2018_10
16
(Tue)09:00

おへそが黒い「秋田大豆」 

夏にきな粉を食べる量を減らしてから、代わりに食べているのが蒸し大豆。
昔は富岡商店の「とよまさり」(2kg袋)をよく買っていた。

久しぶりに買った大豆は、マツモトフーツの北海道産大豆(1kg巾着袋)
銘柄・品種は、「とよまさり」、「ゆきほまれ」・「つるむすめ」等を使っているとのこと。結構粒が大きいので歯ごたえのある食感で、味もしっかりしていて美味しい。
近くの業務スーパーなら1kg500円弱と安くてお店でいつでも買えるので、まとめ買いする必要がなくて重宝。

違う大豆も食べてみたいので、いろいろ探していたら、黄大豆の中でも特に大粒の「ツルムスメ」と丹波黒大豆を交配させた「タマフクラ」が超大粒で美味しいらしい。生産量が少ないので、価格が北海道産大豆の2倍くらい。そのうち1袋味見用に買って食べてみたい。

国産大豆にしては安くて珍しかったのが、「秋田大豆」。黒目で小粒で甘みがしっかりあるらしい。1kg399円と安いけど、オンラインショップでしか買えないので、送料含めて2kg買うと1500円弱。
秋田大豆を販売しているお店は、「食べもんぢから」。amazonでも楽天でも同じ価格で買えるので、今回は楽天で。

秋田大豆 1Kg秋田大豆 1Kg

食べもんぢから



名前は「秋田大豆」だけど、これは北海道産。「粒揃いの中粒サイズ」にしては、今使っている北海道産大豆より少し小さい。
毎年新豆が出回るのは11月頃なので、こちらは2017年度。賞味期限は包装から3年後の2020年なので、まとめ買いしても安心。
今の室温だと、秋田大豆1合を1日ほど浸水させると2倍くらいに膨らむ。それでも粒は小さめなので、蒸し時間が少し短くてすむ。

DSCN0392up_convert_20181014150452.jpg
(左)蒸した秋田大豆 (中央)秋田大豆 (右)北海道産大豆

蒸し大豆は、そのまま食べた方がお豆の味がしっかり味わえて美味しいので、料理には使わない。
わずかな砂糖で煮たような自然な甘みがあって、評判通り美味しい。2日くらいで全部食べてしまうので、蒸す量を増やした方が良さそう。

1週間に1合130gくらい使うので、2kgなら4ヵ月くらいで使い切れる。送料が650円かかるので、今度は5kgか10kgくらいまとめ買いするつもり。(一緒に「とよまさり」も2kgくらい買っておきたい)


<参考情報>
幻となるか? 北海道開拓を支えた「秋田大豆」
昔の東京ではこの黒目大豆で作った納豆が主流だったという。
北海道で栽培されている大豆の品種は、白目中大粒種が主流で、秋田大豆のような褐目中粒種は激減している。

JA上士幌町の秋田大豆[十勝かみしほろん市場]
食料自給率2000%の町の新たな挑戦 エネルギー自給のまちづくりへ[⽣活と⾃治]
秋田大豆の(たぶん主な)産地は十勝上士幌町。栽培品種が、「キタムスメ」から「ハヤヒカリ」に変わったという。私が買った秋田大豆も「ハヤヒカリ」なのかも。

もやしに最適、味噌にも好適、秋田大豆の新品種「ハヤヒカリ」[北海道立総合研究機構]
秋田大豆の品種は、ハヤヒカリ、キタムスメ、北見白。耐冷性が強いので北海道でも栽培しやすい。

みそ入門/うま味のもと 大豆[みそソムリエ すずなのみそを知る!大百科]
黒目の大豆は加工すると異物混入と間違われやすいので、白目大豆が主流になった今では、麦味噌以外の市販のお味噌にはあまり使われなくなったという。
大豆の品種別の特徴や用途が載っていて、大豆といっても味も食感も違うので、いろいろ食べてみたくなる。

2018_10
10
(Wed)18:00

フェルツマン ~ ハイドン/ピアノ・ソナタ集 

ウラディミール・フェルツマンのディスコグラフィを見ると、Nimbusレーベルと契約してから、次々と新譜を出している。過去に他レーベルで録音したCDも、新譜と同じCD-R盤で再発売されているものが多い。

フェルツマンの録音のなかでは、バッハのパルティータがとりわけ素晴らしい。インベンションもかなり好き。ゴルトベルクは凝ったアーティキュレーションで編曲版みたい(あまり好きではないけど)。NMLで聴いた限りでは響きがさほど綺麗ではないイギリス組曲と歌い回しがちょっとベタっとしたフランス組曲は、CDを買う気にはならず。
ベートーヴェンとブラームスは、テンポの揺れが激しく、タッチや表現も粘着的で私には合わなかった。

結局、今回CDを買ったのは最初の曲を少し聴いただけで、惹き込まれてしまったハイドンとムソルグスキー。
パルティータに劣らず、ハイドンもフェルツマンの細部までニュアンス豊かで色彩感もカラフルな音色がとても美しい。
ノンレガート主体のバッハと違って、ハイドンではノンレガートで弾くことは少ないので、響きが柔らかく軽やか。弱音は羽毛のようにふんわり優しい。
装飾音に凝ったアーティキュレーションでも、フレージングはリズミカルで滑らかで、情感にしつこさがなくて、とても聴きやすい。

Haydn: Keyboard SonatasHaydn: Keyboard Sonatas
(2013/11/12)
Vladimir Feltsman

試聴する


カメラータ盤のバッハやムソルグスキーと比べると、Nimbus盤のハイドンは音質が違う。カメラータ盤の研ぎ澄まされたクールで煌くような響きではなく、明るく温もりのある柔らかい響きが優美。(CD-R盤とはいっても音質がとても良い)
しっかりと芯のある音で一音一音の輪郭が明瞭で粒立ち良いところは同じ。さらに声部毎の異なる色彩感も鮮やかで、旋律がくっきりと浮き上がって立体感もあり、楽譜にない装飾音もいろいろ加えたり変えたりしているので、バッハの弾き方に似ているところはある。
ノーペダルのバッハと違って、ハイドンでは浅く細かいペダルで響きに濁りがなくすっきり聴こえるし、残響が長く伸びるというのではなく、響きがふわっと柔らかく膨らんで羽毛のような軽やかさもある。
音色と響きの美しさに加えて、微妙なニュアンスが余韻にも籠っていて、速いテンポで歯切れ良いタッチでも繊細で優美な情感がこもって、とても素敵なハイドン。

どの曲・楽章も楽章前半は、例外はあるけれどほとんど楽譜通りリピートしている。楽章後半はリピート記号があっても、省略していることがほとんど。
さらに、楽譜とは違った弾き方をしているところがいろいろ。装飾音を付け加えることが多く、リピートする時はその装飾音を少し変えたり(または、最初は装飾音を省いて、リピートで楽譜通り装飾音入れるとか)、和音を少しばらしてアルペジオで弾いていたり、次の小節へ移るときに旋律を付け加えたり。それに、スラーがかかっていないフレーズを軽いノンレガートで弾いていたり、タッチが多彩なので音色も響きもころころ変わって、アーティキュレーションとソノリティの変化が楽しめる。
最初は耳だけで聴いていたら、同じフレーズなのにリピート時にさっきとちょっと音と響きが違うことが多かったので、楽譜を見ながら聴き直してみると、どこをどう変えているのかよくわかって面白い。

CD2枚組で9曲収録。CD1の収録曲は、Hob.XVI:46、XVI:34、XVI:49、XVI:20の4曲。全体的に速めのテンポで、粒立ち良く軽やかなタッチのリズミカルな急速楽章が私のテンポ感とリズム感に妙にぴたっ合っていて、気持ち良い。
XVI:32も入っていたら良かったけど、一番好きなXVI:34はもちろん、それほど好きではなかったXVI:46が凄く気に入ってしまった。
XVI:34の第一楽章は、やや速めのテンポとシャープなタッチで、冒頭主題の暗く不穏な雰囲気が良く出ているし、楽譜にない装飾音を多用していて、楽譜通りに弾く演奏とは響きが違っていて面白い。

3楽章構成の有名な曲が多いCD1と違って、CD2(XVI:48、XVI:39、XVI:33、XVI:44、Hob.XVII:3)は2楽章構成のソナタが多い。そのなかではXVI-48の第2楽章(ロンド、プレスト)が軽快なタッチと明るく可愛い曲想が楽しい。
もっと気に入ったのは、たぶん初めて聴いた初期の《12の変奏曲 Hob.XVII:3》。こういう遅いテンポのしっとり系の曲はあまり好きではないはずなのに、なぜか心惹かれる曲。
《12の変奏曲》の主題アリエッタは、とてもシンプルでさりげなく優しく触れるような旋律。フェルツマンの優美な響きがとてもよく似合う。
変奏曲は全て前半・後半に分かれて、それぞれリピート記号あり。フェルツマンはほとんどの変奏でリピートしている。
(※NMLに登録している録音の演奏時間と比べると、楽譜どおりほとんどリピートしているため、フェルツマンが約17分と一番時間が長かった。次はヤンドーの16分)

主題・変奏とも、前半・後半ともそれぞれ10小節のみの短い曲で、楽譜にない装飾音を加える、強弱を変える(リピート時)、スタッカートをスラーで弾く、音の長さを変える、音を省く、旋律自体を変えるとかして、フレージングやリズム、響きを変えている。1回目はあまり変えていないけど、リピート時はどこかを変えていることが多く、急速系よりも緩徐系の曲で変えていることが多い。
似たような変奏が多いので、楽譜をみていても、どれがどの変奏がわからなくなる。楽譜通り全てそのまま弾いてリピートしていたら、私には退屈しやすい曲。
でも、フェルツマンの美しい音色と装飾音を加えたフレージングのおかげで、演奏時間が17分と長くても気にならず、優美な響きと繊細な情感がこもった演奏にうっとり聴き惚れてしまう。

エンディングにも一工夫。楽譜にはないけれど、最後に主題アリエッタを(リピートなしで)弾き直している。(この弾き方はヤンドーも同じ)
全部リピートして弾いているので演奏時間が長いから、《ゴルトベルク変奏曲》のように主題を回想した方がエンディングらしい雰囲気が出てとても良い感じ。
(※NMLでいくつか聴いてみたら、ショルンスハイム、ブッフビンダー、ブラウティハムは、楽譜通り第12変奏で終わっている。)


↓は王子ホールでのライブ映像。CDよりやや速めのテンポで少しシャープなタッチ。
CDと同じく楽譜通りに弾かずに、装飾音を加えたり、旋律つけ足したりしているけど、変えている部分や弾き方がスタジオ録音とは少し違う。

Haydn Piano Sonata in E minor Hob.16-34(Oji Hall, Tokyo, Japan(2007))



<CDレビュー>
フェルツマンがハイドンを録音しているのを知ったブログ記事がこちら。ハイドンの録音情報をいつも教えてもらっている貴重な情報源。
フェルツマンのCDレビュー(CD1)が詳しいので、演奏内容はこちらを参照してください。
ウラディミール・フェルツマンのソナタ集(ハイドン)[ハイドン音盤倉庫]


<関連記事>
フェルツマン ~ バッハ/6つのパルティータ、ゴルトベルク変奏曲
フェルツマン ~ バッハ/6つのパルティータ
フェルツマン ~ ムソルグスキー/展覧会の絵

タグ:ハイドン フェルツマン

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2018_10
04
(Thu)18:00

モーリス・ルブラン『アルセーヌ・ルパン全集』 

今年の夏、読書に励んだのはなぜか『アルセーヌ・ルパン全集』。
暑い夏の最中に音楽を聴く気にならないので、いつも夏は私の読書シーズン。

子供の頃(たぶん小学校低学年の頃)の愛読書がポプラ社版『怪盗ルパン全集』。
子供向けに南洋一郎がリライトしているので、頁数が少なくなってストーリーの骨格がよくわかるし、泥棒のルパンも紳士的でカッコよくて、ほぼ全集を揃えて繰り返し読んでいた。
何度か引っ越しした途中で全集は処分して、長い間ルパンとはお別れしていたけれど、大人になってたまたま新潮文庫の完訳版『八点鐘』と『強盗紳士』を書店で見つけて随分昔に購入。
なぜか今年の夏になって、ルパンをまた読みたくなったので、初めて偕成社版全集を図書館で借りて、気に入った作品だけ単行本や文庫本で手に入れた。

ルパン全集は、抜粋版を含めて、ポプラ社(単行本、文庫)、偕成社(単行本、文庫)、新潮社(文庫)、東京創元社(創元推理文庫)、ハヤカワ書房(ポケットミステリ、ミステリ文庫)などから出ている。
完訳版が揃っているのは偕成社の単行本で、文庫版は抜粋。新潮文庫、創元推理文庫、ハヤカワ・ミステリ文庫は、在庫切れ(または絶版)がかなり多く、新品は入手しにくい。
私が完訳版を買うなら優先順位は、ハヤカワ・ミステリ文庫>偕成社>創元推理文庫>新潮文庫。

<ポプラ社>
子供向けに南洋一郎がリライトした『怪盗ルパン全集』。(子供の頃の記憶がすっかり薄れていたので、ストーリーの細部をかなり忘れていた)
昔は単行本『怪盗ルパン全集(全30巻)』(26巻以降は原文がボアロー&ナルスジャック作)しか出ていなかった。子供向けの絵柄のカバーと、対照的にすっきりした線で描写された大人っぽい挿絵が入っていて、どちらも好きだった。

2種類の文庫版-『新訂シリーズ怪盗ルパン(全20巻)』ポプラ文庫『怪盗ルパン全集シリーズ(全15巻)』は読んだことがない。。
※『黄金三角 怪盗ルパン 文庫版第10巻』のユーザーレビューによると、新訂文庫版は単行本版を一部改変しており、ポプラ文庫クラシック版の方は単行本と同じらしい。

新訂版のジャケットは単行本と随分雰囲気が違う。
怪盗紳士 怪盗ルパン 文庫版第1巻 <怪盗紳士 怪盗ルパン 文庫版第1巻
(2005/2/1)
モーリス・ルブラン



ポプラ文庫版は、単行本と同じジャケット。(挿絵も同じ?)
([る]1-2)怪盗紳士 怪盗ルパン全集シリーズ(2) (ポプラ文庫クラシック)  ([る]1-2)怪盗紳士 怪盗ルパン全集シリーズ(2) (ポプラ文庫クラシック)
(2009/12/2)
モーリス・ルブラン



特に分厚い2巻本『813』と『虎の牙』は、1冊に収まるようにまとめられているので、展開がスピーディで読みやすい。
子供の頃に読んだこのルパン像が刷り込みになっているせいで、他社の完訳版を読むと、『813』ではルパンの権力欲が強く、嫉妬心で激高して暴力をふるったりするので、違和感を感じることがある。
他の作品の完訳版を読んでも、展開やセリフ、オチがかなり違っている部分がいろいろあり、ポプラ社版は南洋一郎が子供向けにルパン像をちょっと理想的に変えたらしい。
大人になってもストーリーを細部まで覚えていたのは、『八つの犯罪』。新潮文庫で『八点鐘』を見つけたときは嬉しくてすぐに買ってしまった。


<ハヤカワ・ミステリ文庫>
ハヤカワ・ミステリ文庫の平岡敦訳は平明な文体が現代的で読みやすいし、文庫版でコンパクトなところが良い。ハヤカワポケットミステリから出ているのは、『ルパン、最後の恋』のみ。
翻訳されているのが5作品と少ないので、私の好きな『金三角』と『813』、『バーネット探偵社』、『八点鐘』が収録されていないのが残念。
文庫版『ルパン、最後の恋』の巻末に収録されている「壊れた橋」は、探偵バーネットの短編。原文のフランス語版にはなく、英語版だけに収録されていた短編で、新潮文庫・創元推理文庫にも未収録。この短編が結構面白い。


<偕成社>
大友徳明訳の偕成社版も読みやすいので、ハヤカワ文庫で読めない作品は、偕成社版で読んでいる。
単行本は全集版(25巻、別巻5巻。ボアロー&ナルスジャック作は未収録)、文庫版(ソフトな紙質の単行本)は7作品・8巻しか収録していない。文庫版といっても新書版並みに大きく紙質がソフトすぎて、読むのにも保管にも不便。


<新潮文庫と創元推理文庫>
新潮文庫は堀口大學の時代がかった古めかしい訳文が独特で、特にルパンの一人称が「わし」と訳している作品が多いのに閉口してしまう。
創元推理文庫版『アルセーヌ・リュパン全集』(訳者は井上勇または石川湧)も同じく古いめかしいところはあるけれど、「わし」と訳していない(ことが多いと思う)ので、どちらか選ぶなら創元推理文庫の方。
ただし、新潮文庫も創元推理文庫も絶版になっている作品が多いので、新品は入手しにくい。

新潮文庫版の『八点鐘』はポプラ社版と同じように面白いのに、『強盗紳士』はどうも波長が合わない。
堀口大學の訳文の古めかしさはあまり気にならない(漢字が多い文章が好きなので)けど、『強盗紳士』はルパンの一人称を「わし」と訳している短編が多くて、これがどうも受け入れられない。
この短編集は青年時代のルパンが登場するので、「わし」というのは変。(ハヤカワ文庫の平岡訳では「ぼく」)
さらに、ガニマールとの会話でも、ガニマールも「わし」と自称しているので、こんがらがってしまう。
『八点鐘』では、レニーヌ公爵(ルパンの変装)の一人称を「僕」と訳している。


ルパン全集では、時々部下・手下たちが登場する作品があり、ルパンのことを「親分」、「パトロン」、「ボス」とか読んでいる。フランス語原文では「パトロン」らしいけど、たぶん新潮・偕成社・創元・ハヤカワでは「親分」、ポプラ社では「パトロン」や「ボス」が多かったような気がする。
中でも一番よく出てくるのが「親分」。このセリフを読むたびに、清水次郎長みたいな任侠の世界を連想してしまう。窃盗団なんだから、マフィアみたいに「ボス」という方がまだしも私としてはしっくりくる。

完訳版を読んでいて、私が一番面白かったのは『水晶の栓』と『金三角』。
『水晶の栓』では、ルパンが難敵にことごとく裏をかかれて窮地に陥る。最後は逆転満塁ホームランみたいに胸のすくような結末。
『水晶の栓』に関しては、ジルベールの人物設定とセリフの整合性というところで、新潮文庫&創元推理文庫ではちょっとズレを感じるので、ハヤカワ文庫か偕成社の方が良いと思う。

水晶の栓 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 水晶の栓 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2007/2/1)
モーリス・ルブラン




『金三角』は、ポプラ社版の題名『黄金三角』の方がイメージも語呂も良い。
ルパン扮するスペイン貴族ドン・ルイス・ペレンナが颯爽としていて、変装したルパンの中では一番好きなキャククタ。特にペレンナは自分のことを「小生」と言うところがちょっとキザで、知的な雰囲気もあって好きだな~。
ストーリーも、パトリス大尉のママン・コラリーとのロマンスが素敵だし、悪役エサレスと秘書のシメオンが絡んだ謎解きも面白い。

金三角 (アルセーヌ・ルパン全集 (10)) 金三角 (アルセーヌ・ルパン全集 (10))
(1981/12)
モーリス・ルブラン




『813』は、登場人物が多く、次々と展開していくストーリーが面白い。どちらかというと、ルパン扮するルノルマン国家警察部長&ロシア貴族セルニーヌ公爵が登場する前編が好きで、ルパンが正体不明の敵に翻弄された挙句にとうとう逮捕されてしまう。
後編は、サンテ刑務所でのルパンの行動やロシア皇帝も登場して謎を解いていくところとか、面白い話はいくつもあるけど、ルパンの権力欲や嫉妬心(と「犯人」の思い込み)が強く出てくるので、ちょっと鼻につくところはある。
ルパンが無実の人間を殺人犯だと思い込んで証拠を次々と公開して死刑の判決が出るように追い詰めていき、その後真犯人がわかった後に死刑執行を止めることができなかったのが、ルパンの大きな過ち。(ポプラ社版では、死刑執行寸前で、ルパンが死刑を食い止めたことになっている。)

813 (偕成社文庫) 813 (偕成社文庫)
(2005/9/1)
モーリス ルブラン


続813 (偕成社文庫) 続813 (偕成社文庫)
(2005/9/1)
モーリス ルブラン




短編集は『怪盗紳士』、『バーネット探偵社』、『八点鐘』と『ルパンの告白』の4冊。1冊に10作品くらい収録していて、趣向の違った謎解きがバラエティ豊か。

『怪盗紳士』で好きな話は、逮捕された青年ルパンの獄中&脱獄話と、幼少期に盗んだマリー・アントワネットの首飾りの話。
怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM) 怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM)
(2005/9/9)
モーリス・ルブラン




『バーネット探偵社』では、ベシュー刑事との掛け合いや、探偵料”無料”なのに最後はしっかり報酬を手に入れるところとか、コメディ風なのが異色。(「壊れた橋」は収録されていない)
バーネット探偵社 (アルセーヌ・ルパン全集 (17))バーネット探偵社 (アルセーヌ・ルパン全集 (17))
(1983/10)
モーリス ルブラン



探偵バーネットが登場する「壊れた橋」を収録しているのは、ハヤカワ・ミステリ文庫のみ。
ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
(2013/5/24)
モーリス・ルブラン




『八点鐘』では、謎解きに加えて、レニーヌ男爵(=ルパン)と美しい令嬢オルタンスとのロマンスの要素も入っていて、堀口大學の古典風な訳が結構似合っている。それにレニーヌ公爵の一人称を「僕」と訳しているので、違和感なく読める。
八点鐘―ルパン傑作集〈8〉 (新潮文庫)  八点鐘―ルパン傑作集〈8〉 (新潮文庫)
改版 (1961/01)
モーリス ルブラン




『ルパンの告白』のなかで有名や短編は、「太陽のたわむれ」と「赤い絹のスカーフ」らしい。
「ルパンの結婚」は、ポプラ社版では読んだ記憶がない。この作品に限らず、完訳版ではルパンの恋愛沙汰が多くて、かなり惚れっぽい性格?。
「地獄の罠」は、ポプラ社版ではかなり改変されていてオチが全然違う。ポプラ社版ではルパンを救った泥棒は、少女の頃にルパンが助けた女性だったという麗しい話なのに、原文は、単にルパンの顔が良くてその女泥棒に好かれただけだったので、気が抜けてしまった。

ルパンの告白 (アルセーヌ・ルパン全集 (8)) ルパンの告白 (アルセーヌ・ルパン全集 (8))
(1982/07)
モーリス ルブラン




他にも『謎の家』、『パールイヴァ荘』、『虎の牙』とかもわりと好き。
『虎の牙』で登場するのは、私の好きなドン・ルイス・ペレンナ。前編は推理小説風の謎解きが面白いけど、後編終盤はルパンがアフリカ某国の皇帝になったりして、荒唐無稽なストーリー。
ルパンの子分は他の作品でもいろいろ登場するけど(『水晶の栓』のジルベールとか)、『虎の牙』ではかつて子分だったマシュー巡査部長の人物像が詳しくて、ストーリーにもよく絡んでいて、キャラクタに味がある。

虎の牙 (創元推理文庫 107-7 アルセーヌ・リュパン・シリーズ) 虎の牙 (創元推理文庫 107-7 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
(1973/03)
モーリス ルブラン





<参考情報>
ルパンのことを詳しく知るなら、<怪盗ルパンの館>というサイトが一番。特に読書案内が充実していて、作品や訳文を選ぶのにとても役に立つ。
怪盗ルパンの館
??どれを読んだらいいの??ルパンシリーズ読書入門編
―ぼくが、わたしが、みんなが読んだ― 南洋一郎「怪盗ルパン全集」の部屋
「子ども時代にルパンを夢中で読んだ」という日本人の多くが、南洋一郎による『怪盗ルパン全集』(ポプラ社刊)でルパンに触れています。」という通り、私もこの全集が愛読書だった。
原文をかなり改変・創作していたのは、完訳版を読んで初めてわかり、私の抱くルパン像がちょっと変わってしまったけど、こっちのルパンの方が好きな作品もある。

2018_09
29
(Sat)13:00

フェルツマン ~ ムソルグスキー/展覧会の絵 

久しぶりにフェルツマンのディスコグラフィーで聴いていない録音をNMLでチェックしていたら、冒頭のプロムナードを聴いただけで惹き込まれたムソルグスキー《展覧会の絵》。
《展覧会の絵》は、若い頃のレーゼルの録音が好きで、他に持っているのはキーシン、カッチェンくらい。NMLでいろいろ聴いても見たところ、テンポ、ディナーミク、ソノリティのどれをとっても、フェルツマンが私の感覚にぴったり。とりわけ、充実した響きの多彩さと美しさが素晴らしい。

Mussorgsky: Pictures at An Exhibition
(2013/8/13)
Vladimir Feltsman

試聴する

(Nimbus盤はめずらしくもCD-R盤。高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用しているらしい。CD-R盤は全てバックアップを取っているけど、このCD-Rなら耐久性高いのだろうか?)

《展覧会の絵》の原盤はUrtext盤で廃盤のため入手不可能。国内盤がカメラータ盤で、リイシュー盤がNimbus盤。
レビューを読んでいたら、Urtext盤とカメラータ盤では若干音質が違って、カメラータ盤の方が音が硬いらしい。
私がNMLで聴いたのは↑のNimbus盤でとても好きなソノリティ。カメラータ盤のレビューも好評なので、ちょっと迷ったけれど、試聴ファイルがないためCDで聴くしかないカメラータ盤を購入。

PCの外付けスピーカーで両盤を聴き比べると、カメラータ盤CDは響きが少し硬く、音の輪郭も少しゴツゴツとした骨っぽさがあり、表情がくっきりと浮き上がって生々しい迫力がある。
Nimbus盤の方が響きが柔らかく、明るさと煌きもあって耳触りはよく、表情も少しまろやかに聴こえる。
ステレオでカメラータ盤CDを聴くと、はるかに音質が良く、残響も長めに聴こえるし、響きに輝きがあってゴージャズ。低音が力強くて迫力があり、弱音の不気味さもはるかに増して、カメラータ盤の音質に全く不満なし。
それに、カメラータ盤はプレスCDなので、Nimbus盤のCD-Rのような盤面劣化を心配する必要も(ほとんど)ないので、やはりカメラータ盤を買って正解。

展覧会の絵&子供のアルバム
(2004/12/15)
フェルツマン

試聴ファイルなし


ゆったり弾く人も多い冒頭の「プロムナード」は、私の好きな速めのテンポで力強くも軽快。「小人」は緩急・硬軟のコントラストが強く、靄がかかったような弱音には不気味な雰囲気が漂っている。冒頭の「プロムナード」と「小人」にすっかり魅せられて、CD買ってしまったくらい。
フェルツマンの素晴らしいところは、研ぎ澄まされた多彩なソノリティ。硬軟・強弱のタッチと響きの変化が多彩で細やか。まるで絵画のような豊かな色彩感がとても美しい。
硬質で輪郭のくっきりした艶のある響きで、フォルテでペダルを踏んだ時でも、音の芯と輪郭がしっかり浮き上がって、綺麗にすっと伸びていく。響きが重なりあっても、ごちゃごちゃとした混濁感がなくて澄んでいる。
緩急・硬軟が細やかに変化し、起伏に富んで結構ドラマティックなわりに、仰々しさやしつこさがなくて、音楽の流れが滑らかですっきり。

冒頭のプロムナードは、艶と煌きのある響きで残響がとても美しい。力強いフォルテも締まった澄んだ響きで、荘重ながらも端正に聴こえる。5回出てくるプロムナードもそれぞれ響きもニュアンスの違った表情が楽しめる。
弱音は柔らかく、「小人」の不気味なオドロオドロしさ、「古城」の瀟洒でミステリアスな佇まい、「死せる言葉による死者への呼びかけ」の弔いの静けさなど、醸し出す深い情感は細やかで深い。
特に「小人」は硬軟のコントラストが鮮やかなタッチと弱音の豊かなニュアンスがとても印象的。「古城」を聴いていると、古城を舞台にして繰り広げられてきた出来事の残影が漂っているような雰囲気を感じる。


カメラータ盤に比べると、↓のライブ演奏は残響が長いので少しモコモコして聴こえる。(これでも充分クリアな響きだとは思うけど)
硬軟・強弱のタッチの違いによる響きのコントラストも、スタジオ録音のCDに比べてやや薄い感じはする。

An Evening with Vladimir Feltsman - La Jolla Music Society's SummerFest 2008
(《展覧会の絵》は、42:00~)


<参考情報>
CD聴き比べ/組曲「展覧会の絵」 (ピアノ原典版)  


カップリングはチャイコフスキー《子供のアルバム》。
チャイコフスキーは滅多に聴かないので、この曲集も聴いたことがない。例外的に好きなのは、《四季》くらい。
音の数が少なく、旋律がシンプルなせいか、チャイコフスキーにしては情感がさっぱりしている。

フェルツマンの音源がなかったので、こちらはプレトニョフのライブ映像。
Mikhail Pletnev plays Tchaikovsky Children's Album op. 39 - video 1986



<関連記事>
フェルツマン ~ バッハ/6つのパルティータ、ゴルトベルク変奏曲
フェルツマン ~ バッハ/6つのパルティータ

タグ:ムソルグスキー フェルツマン

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2018_09
24
(Mon)18:00

栗っぽくて美味しい「蒸し大豆」 

<蒸し大豆の作り方>
今年の夏は暑くて、きな粉を食べる量が激減.。たんぱく質確保のために、久しぶりに自家製蒸し大豆を食べていた。
大豆は消化が悪い食材なので、炒った大豆を節分豆のようにそのまま食べることはない。消化の良い豆腐や厚揚げ・おからは毎日よく食べているのでこれ以上増やす気にならず。

数年前に買ったマルヤナギの「蒸し大豆」がホクホクして栗みたいな味でとっても美味しかったので、それ以来水煮ではなく蒸して食べている。
毎週1回140g(1合)蒸しているけど、そのまま食べるだけで美味しいので、1日で2/3くらい食べてしまう。
気のせいか、蒸し大豆だとお腹にもたれることもなくて消化が良い。もしかしたら、腸内環境を整える作用がある「ターメリック」入りのおからサラダを毎日食べているせいかも。
「蒸し大豆」は1袋100gで100円前後なので、乾燥大豆(1kg500円くらい)を自分で蒸した方がコストも安いし、心置きなく食べられる。
でも、マルヤナギの蒸し大豆の方がもう少し栗っぽい味がしたような...。長い間食べていないので実際そうなのかは定かでなく。ちなみに、干した長芋を煮ると、ほんとに栗みたいな味でやみつき。長芋を1本買ったら、半分は干している。

おいしい蒸し豆・蒸し雑穀シリーズ[マルヤナギ]


一般的な大豆の蒸し方。
蒸し大豆の作り方(乾燥大豆100g使用)[蒸し豆研究会]

マルヤナギのホームページに載っていたのは、ちょっと変わった蒸し方。ラップで包んで蒸すと、ずっと美味しいらしい。明日、試してみよう。
家庭でできる究極の蒸し大豆の作り方[マルヤナギ]


お鍋で蒸す時間を短縮するために、私は吸水後冷凍してから蒸して、ホットクックで保温している。(煮る時も同じ)
ホットクックで保温した大豆はかなり柔らかくなっている。少し青臭さが残っているので、最後にビラクラフトで蒸している。
適度な硬さも残っているので、歯ごたえが良くてホクホク感あり。大豆の甘みもしっかり残っているので、水煮大豆よりもずっと美味しい。
浸水(半日~1日) ⇒ 冷凍 ⇒ 解凍(電子レンジ) ⇒ ビタクラフトで蒸す(5分くらい) ⇒ ホットクックで保温(数時間) ⇒ ビタクラフトで蒸す(数分)
(※折りたたみ式フリーサイズ蒸し器使用)


(参考情報)
NHKあさイチで紹介の「まるごと大豆」には蒸し大豆がおススメ![蒸し豆プロジェクト]
今“蒸し大豆”がアツイ!? 食物繊維をとれる大豆の食べ方[ AERA dot]



<炒り大豆ご飯>
ついでに、秋になると炊き込みご飯が食べたくなるので、美味しい炒り大豆ご飯の作り方。
炒った大豆だけでも美味しいし、いろんな具を加えると五目炊き込みご飯になる。
炒り大豆の炊き込みごはん[ゆとりの空間 - 栗原はるみ]

大豆ではなく、炒った黒豆の炊き込みご飯もとても美味しい。ほんのり綺麗な紫色で、もちもち。
モチモチ煎り黒豆ごはん[キユーピー3分クッキング]


大豆の炒り方は、フライパンで炒る、電子レンジで加熱するかどちらか。
私は水で大豆をさっと洗ってから、吸水させずに南部鋳鉄のフライパンで少し焦げ目がつくまで中火くらいで炒る。炒る時間は5分くらい(だと思う)と短いけど、醤油を入れて煮るか、炊き込みご飯にするので、長々と炒る必要はない。
鉄や鋳鉄製のフライパンで炒るのが無難。(フッ素加工はコーティングが剥げるので避けた方が良い)

煎り豆の作り方[浦田農園]

大豆を炒るのが面倒なら、節分用の炒り大豆を使えば簡単。
炒り大豆ごはん[キユーピー3分クッキング]