ショパン/幻想曲 ~ エゴロフとデュシャーブル 

2018, 02. 25 (Sun) 18:00

カッチェンの未公表録音だった《幻想曲》(1967年録音)を聴いてから、今までまともに聴いたことがなかったこの曲が妙に気に入ってしまった。
モーツァルト、シューマン、ショパンの《幻想曲》のなかでは、ショパンが一番好きだと思う。

手持ちのCDをいろいろ聴いてみたら、カッチェンの他に好きなのはエゴロフとデュシャーブル。
カッチェン、エゴロフ、デュシャーブルの演奏は、12分台の速いテンポで、緩徐部の表現が粘りにくく、情感がしつこくなくて私の好みにぴったり合うので。(ツィメルマンやキーシンのショパンは私にはちょっと濃くて重たい)
デュシャーブルはシャープなタッチと明晰な表現でさっぱりと涼しげ、エゴロフは華やかで優美で力強くて繊細さとダイナミズムのバランスがとても良く(3人の中では一番ショパンらしい感じがする)、カッチェンは強弱・静動の落差が大きくてフォルテで盛り上がるときに怒涛のショパンみたいになるので、それぞれピアニズムの違いがはっきり表れていて面白い。


Youri Egorov, Chopin Fantasy in F minor Op.49 for piano、



Chopin / François Duchâble, 1975: Fantasy in F minor, Op. 49 - Complete



↓の音源では、8人のピアニストの聴き比べができる。

Chopin: Fantaisie Op.49 (Kissin, Zimerman, Pollini, Rubinstein, Michelangeli et al)

タグ:ショパン エゴロフ デュシャーブル

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【新譜情報】『レーゼル・プレイズ・バッハ』(仮) 

2018, 02. 20 (Tue) 18:00

ようやく発売されることになったレーゼルのバッハ録音。発売予定は4月25日。SACDハイブリッドで税込3,456円。
昨年12月末にベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ全集」がリリースされているので、バッハの方は今年の秋か年末になるのかなあと思っていたら、ずっと早かった。

そういえば、レーゼルの来日コンサートが、5月3日・4日に金沢(「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭 2018」)、8日に紀尾井ホールで行われる予定だから、(来日記念盤みたいに)発売をそれに合わせたらしい。

レーゼル・プレイズ・バッハ(仮)レーゼル・プレイズ・バッハ(仮)
2018/04/25
ペーター・レーゼル

試聴ファイル(未公開)

キングレコードのホームページには収録曲情報がまだ載っていない。
レーゼルの公式ホームページで確認した情報では、2016年3月にドレスデンのルカ教会でバッハを録音している。

7.-11. Dresden Lukaskirche
CD-Produktion King Records mit zwei Solo-CD
Bach, Partiten 2 und 4, Italienisches Konzert u. a. Klavierstücke verschiedener Komponisten


録音したのが確実なのは、《パルティータ》第2番と第4番、《イタリア協奏曲》。この3曲の演奏時間は合計50~55分くらい。レーゼルはいつもテンポが速めだから、もう1曲くらい収録しているかも。
小品集に収録されているレーゼル編曲の《主よ人の望みの喜びよ》は、マイラ・ヘスの編曲よりも好きなので、この曲が入っていたら嬉しい。(ダウンロード版しか持っていないので)
2か月後の発売がとっても待ち遠しい。


↓のライブ映像は、2016年7月、ドレスデンにあるSchloss Reichstädtでの演奏会。
パルティータのなかで、第4番はめったに聴かない曲だけど、(音質が悪いとはいえ)レーゼルのピアノなら何度でも聴きたくなる。この曲に限らず、レーゼルの小品集に入っているバッハの演奏はどれも好きだし、明晰で構築性のあるレーゼルのピアノはバッハに良く似合う。

Peter Rösel, Klavierrecital auf Schloss Reichstädt


タグ:バッハ レーゼル

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【新譜情報】『クラウディオ・アラウ/フィリップス録音全集』 

2018, 02. 17 (Sat) 15:00

ようやく来月3月に発売されるアラウのPHILIPS録音全集。
たしか30年くらい前に、PHILIPS録音だけを収録した『Arrau Edition』が8万円くらいで発売されていた。その後、『Arrau Heritage』という全集が出たので、これで3度目の全集BOX。

全部でCD80枚と膨大。収録曲を見るとほとんどPHILIPS録音で、Disc74と76~79の録音は、たぶんどれも聴いたことがないので、DECCA録音?
長らく廃盤状態だった『ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集』(新盤)も収録されている。
最後のDISC80は、グラモフォンのライブ録音で、レナード・バーンスタイン指揮バイエルン放送響が伴奏したベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》(タワーレコード盤あり)。
アラウ&バーンスタイン指揮バイエルン放送響 ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番

アラウの録音をあまり持っていないのであれば、1枚あたり350円くらいで手に入るとてもお得な全集BOX。
EMIとRCA&コロンビアの録音も、それぞれ全集BOXが発売されているので、この3種類のBOXでアラウのスタジオ録音はほぼ網羅される(はず)。

クラウディオ・アラウ/フィリップス録音全集(80CD)クラウディオ・アラウ/フィリップス録音全集(80CD)
(2018年03月10日)
クラウディオ・アラウ

試聴ファイルなし



アラウの録音は若い時にかなり集めたけれど、ほとんど聴かないCDは整理したので、PHILIPS盤で今でも持っているのは、ベートーヴェン、リスト、ドビュッシー、シューマンと、ショパンのバラード第1番などが入っているオムニバスアルバム数枚。EMI録音全集とグラモフォンのライブ録音もまだ持っている。

オリンピックのフィギュアスケートの映像を見ていたら、ショパンの《バラード第1番》が流れていた。(曲は継ぎ接ぎだったけど)
4つのバラードのなかでは一番好きな曲。ツィメルマンなどいろいろ聴いてはみても、いつも聴くのはちょっと骨太のアラウのバラード。

BALADA NO. 1 DE CHOPIN - CLAUDIO ARRAU(1977年録音)



アラウらしい包容力と温もりが籠ったリスト《愛の夢第3番》(1985年録音)。
Claudio Arrau plays Liszt Liebestraum No.3 in A flat



最晩年のアラウの録音で一番好きなのは、ドビュッシー《月の光》(1991年録音)。とても不思議な異世界の夜の風景。
Claude Debussy - Clair de lune, by Claudio Arrau


タグ:アラウ

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エバークックのフライパン 

2018, 02. 14 (Wed) 18:00

フライパンは全部で5個(さらにロースター、卵焼き器が1個ずつ)持っている。そのなかで、26cmサイズのフライパンは、20年以上前に買ったアサヒ軽金属工業の「ディナーパン」
とても優れもののフライパンで重宝しているけど、重くて腕が疲れるし、大分以前からコーティングが剥がれて焼き物が焦げつくので、もう寿命。
コーティングの再加工サービス(5400円)を申し込もうと思ったら、旧型ディナーパンなので対象外だった。
当時は13000円くらいで買ったけど、新しいディナーパンやオールパンは17000~18000円もする。さすがにこれだけ高いと買う気にならない。

26cmのフライパンをいろいろ探した結果、耐久性がわりと高そうに思えたエバークックをamazonで年末に購入。店頭だと定価で3000円前後するところを、たまたまお試し価格で1580円と安かった。

evercook ずっと使いたくなるフライパン[DOSHISHA]

エバークック フライパン ガス火専用 26cm レッド 1年保証付き 固定ハンドル evercook

ドウシシャ(Doshisha)




実物を見ると、今使っている26cmのフライパンよりかなり大きい。仕様を確認すると直径が27.7cmとほとんど28cmサイズ。
収納するにも、シンクで洗うにも大きくてちょっと邪魔。ちゃんとサイズを確認しなかったのは失敗だった。


<長所>
フライパン表面はツルツルで、食材がはがれやすくて、裏返しも簡単。
おせち用の伊達巻を作ってみたところ、円形に広がった卵入りの緩い生地を、少し固まったくらいの状態で端を内側に寄せていくと、上手く四角形に成型できた。
裏返すときも、フライパンの表面から生地がスルっと剥がれて、両面とも程よい焼き色。

お魚を数匹焼いてみると、弱火でも火が通るのが速い。スルっと裏返せるので、形崩れしにくい。
いつも焼きすぎてパサっとする焼き魚が、ふっくらと焼けたし、焦げやすい照り焼きでも全然焦げ付かない。
焼きそばも餃子もくっつかずにフライパンからスルスル離れてくれる。
フライパンに残った油や調味料もクッキングタオルでさっと拭きとれるし、「ずっと使いたくなるフライパン」というキャッチフレーズ通り何でも作りたくなる。

中火で加熱し始めてからフライパンが充分に温まるまで、ちょっと時間がかかる。その後は弱火でも冷めにくい。
中火の設定は、底に炎が届くか届かないくらいとちょっと微妙。
ガスコンロの温度設定機能を使って180℃に設定してから、フライパンの底に炎がちゃんと届く火力で加熱し始めると、ずっと速くフライパンが温まる。この温度設定機能は便利。

洗うのはとても簡単。あらかじめフライパンの汚れをクッキングタオルでふき取っておけば、さっと洗剤を含めたスポンジで拭いてから水で洗うだけ。水滴もほとんど残らないので、すぐに乾く。


<短所>
使い始めた頃は、リンナイ製ガステーブルの新型五徳の上で炒め物をしている時に、フライパンの中の食材をヘラで炒めると、スルスルとフライパンが滑っていた。
ガス火専用なのでフライパン自体がちょっと軽いため、食材をたくさん入れても重さが足りない場合に滑る。
底には円形の細い滑り止めが刻まれていても、食材の量が軽いとやっぱり滑る。
柄を持って調理すれば滑らないとはいえ、そういう習慣がないので、不便。

なぜか右側よりも左側の五徳の方が滑りやすい。フライパンを置く位置をいろいろ変えてみると、五徳の一番側に底の滑り止めがひっかかるように置くと、滑りにくくなる。
やはりフライパンは重たくて底全面に滑り止めが加工されている方が良い。ガス火専用のフライパンは軽いものが多くので、エバークックのIH対応のフライパンか、ガス火専用でも三層構造とか底が重いフライパンを買った方が良かった。
何度か使ううちに、滑り止めの溝が五徳にひっかりやすくなり、大分滑りにくくなってきた。

使い慣れればこの程度の滑りは許容範囲という気はするし、機能的にはとても優れているフライパンなので、この価格で買えたのであればお買得だった。
1年保証のコーティングがセールスポイントだけど、カスタマーレビューを読んでいると、実際に保証を適用してもらうのは、結構厄介らしい。
以前使っていた20cmの超硬質ファインセラミック加工のフライパンは、2000円台と安かったのに7年以上使えた優れもの。エバークックにも、そのくらいの耐久性を期待しているので、元々コーティング不良の場合以外は、1年保証に魅力は感じない。

カッチェン、謎の録音 ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30番 

2018, 02. 09 (Fri) 18:00

Youtubeに最近登録されていたのは、カッチェンのベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第30番 Op.109》の音源。
この曲はDECCAの録音全集にも、今まで他レーベルでリリースされたライブ録音にも、Youtubeのライブ映像にも残っていない。録音場所と日付が書いていないので、真偽不明。
録音は1967年なので、演奏(録音)時から50年が経過してパブリックドメインとなったため、公開された模様。
1950年代のスタジオ録音をリマスタリングしたみたいなちょっと古めかしいモノラルな音がする。音自体は鮮明なので聴きづらいということはない。
DECCAの未公開録音が存在していたとしても、1967年のステレオ録音とは思えない。演奏会のライブ録音にしては雑音が入っていないので、どこかの放送局のアーカイブで保管されていた放送用録音か、そのラジオ放送をリスナーがたまたま録音していたのか、どちらかではなかろうかと。

本当にカッチェンの演奏なんだろうか?と半信半疑ながらもじっくりと聴いてみると、カッチェンの演奏だと言われても全然違和感がない。
少し丸みのあるコロコロした音色、重量感のある左手、少し掠れたような弱々しい弱音の静けさ、音と音の間合いとフレージング、強弱の振幅の大きさと移り変わり方、ベタっとした情緒過剰さのない頻繁なルバート、繊細ながらもさっぱりとした叙情感、最終楽章終盤の盛り上がり方とか、とてもカッチェンらしい。
特に、急速部の演奏でよくわかるカッチェンの特徴は、指回りの良さとテンポが前のめりになるクセ。Prestissimoの第2楽章なんて、カッチェンならこう弾くだろうと思うような急き込むようなテンポと滑るような指回りだし。(彼が弾いているのなら、当然のことだけど)

何よりもこの演奏から感じとれる情感と”息づかい”というか”呼吸”のようなものが、聴き慣れたカッチェンの演奏と同じ。
詳しい録音状況はわからなくとも、繰り返し聴けば聴くほど、間違いなくカッチェンが弾いていると思えるし、カッチェンの演奏だと思って聴けばとても幸せな気分になれる。たとえ違っていたとしても、この演奏自体がとても好きなので、それはそれで全然構わない。



チャンネル開設者のアカウント名は”Piano Platform”。マイチャンネルの「チャンネル」には英国のピアニスト・オルガニストであるJohn Peace氏のチャンネルが表示されている。これが現役のピアニストがアップロードした音源なのであれば、やはり本物に違いない気がする。


”Piano Platform”のチャンネルには、同じくカッチェンのショパン《幻想曲》、バッハ《パルティータ第2番》が登録されていた。
録音年を見ると、両方とも1967年なので、既出音源(ショパンが1949年DECCA盤、バッハが1965年Dremi盤)とは異なる別音源。音質的にはベートーヴェンと同じなので、ベートーヴェンのソナタと同時に録音したのだと思う。


Chopin - Fantaisie in F minor Op 49 - Julius Katchen


ショパンの《幻想曲》のDECCA盤は1949年録音。DECCA盤よりも音の分離がよく、ずっと聴きやすい。
テンポ・演奏時間はほぼ同じ。DECCA盤よりも、タッチも表現もはるかに丁寧になっているので、フォルテでも音が尖っていないし、荒っぽさを感じたところも無くなっている。23年前の演奏と聴き比べても、フレージングのクセや音の間合とかはほとんど変わっていない。
どちらの演奏も音の線が太くて重量感があり、強奏部はダイナミックでパワフル。
この曲はほとんど聴かないけど、冒頭を聴くたびに、「雪の降るまちを~」という歌詞が頭の中を流れて行く。
ちょっと感傷的な曲だけど、カッチェンが弾くと力強くて男性的なショパンなので、ブラームスを聴いている気分がしたりする。この曲に限らず、カッチェンのショパンは面白くて結構好き。


Bach - Keyboard Partita No 2 C minor (BWV 826) Julius Katchen


Doremi Record盤の《パルティータ第2番》は1965年のライブ録音。↑の音源の2年前に録音しているので、聴き比べればカッチェンの演奏かどうかはっきりわかるはず。
テンポ・演奏時間から、アーティキュレーション、フレージング、装飾音の弾き方とか細かいところもほぼ同じ。
特に「V. Rondeau」が滅法速くて1分12秒で弾いているし、こんな弾き方をするのはカッチェンしかいない思う。(このテンポはいくら何でも速すぎると思うけど)
音質はDoremi盤とは全く違う。Doremi盤の方はややデッドで客席の雑音が入っているし、はるかに音が近くて鮮明で細部まで明瞭に聴きとれる。
音質の違いはともかく、あまりに弾き方がそっくりなので、録音年が間違っていて「1967」ではなくて「1965」ではないかと疑ったけど、同じフレーズでの指のもつれ具合が微妙に違っている。
やはりこの音源は明らかにカッチェンの未発表の演奏。ということは、ショパンもベートーヴェンも同じくカッチェンが弾いているのは確実だと思う。

それにしても、どうやってこの未発表音源を手に入れたのだろう?
もし放送用録音ではないのであれば、カッチェンはDECCAスタジオがあるイギリスにもよく行っていただろうし、Peace氏はイギリス人のピアニストなので、カッチェンと何らかの接点があって、私家録音を持っていたとか? 録音年以外の情報が載っていないので、謎のまま。


[2/10 追記]
ヘッドフォンで聴いていると、ときたま後方でピアノの音や物音がかすかに聴こえる。
客席の雑音とは違う別室の雑音なので、この雑音が混じったシチュエーションとして考えられるのは、ラジオ放送(放送用録音)をリスナーが録音をしていた、または、(隔絶されたスタジオではなく)小人数のサロン等で演奏/演奏会前のリハーサル/普段の練習時の演奏を録音していた(いわゆる「私家録音」の類)、とか。

タグ:ベートーヴェン バッハ ショパン カッチェン

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