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(Wed)18:00

ナタリー・シュトゥッツマン ~ 夢のあとに/フォーレ歌曲集  

ナタリー・シュトゥッツマンの『夢のあとに/フォーレ歌曲集』。14年前にCDを買った時にとても気に入って何度も聴いたけど、久しぶりに聴き直してみてもシュトゥッツマンの歌とフォーレの曲が好きなのは変わっていなかった。
好きな曲は長調の方が多い。短調の曲は陰翳と彫の濃い表情がシュトゥッツマンの声質に良く似合う気がする。

夢のあとで~フォーレ歌曲集夢のあとで~フォーレ歌曲集
(2007/11/07)
ナタリー・シュトゥッツマン、カトリーヌ・コラール



軽やかで愛らしい「蝶と花」。このアルバムでは「夢のあとに」と同じくらい好きな曲。
Le papillon et la fleur, Op. 1, No. 1「蝶と花」


Mai, Op. 1, No. 2「5月」


Chanson du pêcheur, Op. 4, No. 1「漁師の歌(哀歌)」


Rêve d'amour, Op. 5, No. 2「愛の夢」


Tristesse, Op. 6, No. 2「悲しみ」


Après un rêve, Op. 7, No. 1「夢のあとに」


Au bord de l'eau, Op. 8, No. 1「河のほとりで」


Nell, Op. 18, No. 1「ネル」


Les berceaux, Op. 23, No. 1「ゆりかご」


Notre amour, Op. 23, No. 2「われらの愛」


Spleen, Op. 51, No. 3「憂鬱」



<関連記事>
ナタリー・シュトゥッツマン ~ 夢のあとに/フォーレ歌曲集

タグ:フォーレシュトゥッツマン

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(Sat)07:00

ドゥヴィエル & タロー 『Chanson D'amour ~ フランス歌曲集』 

たまたま見つけたライブ映像でザビーヌ・ドゥヴィエルが歌う《愛の小径》に魅せられて、衝動買いしたCDがフランス歌曲集『Chanson D'amour/シャンソン・ダムール』。

Chanson D'amour/シャンソン・ダムール~フランス歌曲集Chanson D'amour/シャンソン・ダムール~フランス歌曲集
(2020年09月11日)
 サビーヌ・ドゥヴィエル、アレクサンドル・タロー

<収録曲>
フォーレ:私たちの愛、水のほとりで、愛の歌、夢のあとに、ゆりかご
プーランク:平凡な話(第4曲 パリへの旅)、ルイ・アラゴンの2つの詩、セー(C)、雅な宴、平凡な話第2曲「ホテル」、愛の小径
ラヴェル:5つのギリシャ民謡(花嫁の目覚め、むこうの教会へ、私と比べられる男前はだれなんだ?、乳香を集める女たちの歌、何と楽しい)、草の上、3つの歌第2曲「楽園の美しい3羽の鳥」(声とピアノ版)、花のマント、民謡集第2曲「フランスの歌」、愛に死せる王女のためのバラード
ドビュッシー:星の輝く夜、ロマンス、まぼろし、忘れられたアリエッタ(やるせない夢ごこち、巷に雨の降るごとく、木々の影は、木馬、グリーン、憂鬱)
録音:2019年3月11-17日、Siemens Villa(ジーメンスヴィラ,ベルリン)
アルバム再生リスト(Youtube)

ブックレットは英・仏・独語の作品解説と歌詞。表紙以外のカラー写真5点(ドゥヴィエル&タローが一緒3点、単独各1点)、作曲家のモノクロ写真4点(プーランク、フォーレ、ラヴェル、ドビュッシー)。ジャケット写真とカラー写真がとても綺麗。5頁目の室内写真の構図が面白い(絵画をバックに椅子で楽譜らしき本を手にしているドゥヴィエルとその横に座っているタロー。なぜが楽譜を見ずに横目で何かを見ているドゥヴィエルの眼が気になってしまった)

ずいぶん昔に合唱や歌曲ばかり聴いていたころに集めていたCDは、ドーン・アップショウとジェシー・ノーマンにナタリー・シュトゥッツマン、数年前にはサンドリーヌ・ピオー。ドゥヴィエルの少し硬質で透明感があり凛とした歌声はとても好きなタイプのソプラノ。
さらにアレクサンドル・タローのピアノが素晴らしい。カラフルな色彩感と多彩な響きに柔らかなフレージングと強弱のメリハリ効いた伴奏は、ピアノパートだけ聴いていても面白い。(タローの録音は、デビュー盤のクープラン(ティック・トック・ショックとか)やラモーを数曲しか聴いたことがない)
ピアノが近くから聴こえ音量もかなり大きいけど、ドゥヴィエルの声も力強いので、ピアノとソプラノが同じくらいの存在感。絵に喩えれば、色とりどりの花畑(ピアノ)のなかに大輪の白百合が咲いているようなイメージ。色彩感豊かな音色と抑揚豊かな歌い回しのピアノが引き締まった硬質のソプラノを彩り引き立てている。

フランス歌曲で好きなのはフォーレとプーランク。ドビュッシーとラヴェルの歌曲はアップショウとシュトゥッツマンのアルバムで聴いた時はどうも好みに合わないと思ったけど、ドゥヴィエル&タローで聴くと好きな曲が多い。収録曲が違うことと、収録曲が同じ場合でもドゥヴィエルの歌の方が歌い回しが硬くて一音一音明瞭に聴こえるので旋律がわかりやすく、さらにタローのピアノ伴奏を聴くのが好きだからかもしれない。それにこのアルバムは馴染みやすい旋律の曲が多くて、短調・長調とりまぜて曲想もバラエティ豊かでとっても聴きやすい。

<プーランク>
シャンソンみたいな『愛の小径』。この曲を初めて聴いたのはドミニク・ヴィスのアルバム『愛の小径 - ドミニク・ヴィス14~20世紀を歌う』だった。
Sabine Devieilhe, Alexandre Tharaud – Poulenc: "Les Chemins de l'amour"(「愛の小径」)

Les chemins de l’Amour FP 106 愛の小径[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
プーランク :愛の小径[ピティナ・ピアノ曲事典]

Banalités, FP 107: No. 4, Voyage à Paris(Francis Poulenc)(「パリへの旅」」

Voyage à Paris   FP 107 パリへの旅 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]
歌めぐり旅(3)パリへの旅[日本シャンソン館/Chanson Column]


<フォーレ>
フォーレのピアノ曲で好きな曲は少ないのに、なぜか歌曲は好きな曲がかなり多い。『夢のあとに』を初めて聴いたのはナタリー・シュトゥッツマンの『フォーレ歌曲集』
コントラルトで線の太いシュトゥッツマンの歌声は艶っぽくて、ドゥヴィエルは清楚に聴こえる。
Sabine Devieilhe, Alexandre Tharaud – Fauré: "Après un rêve"(「夢のあとに」)

Après un rêve Op.7  夢のあとに [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

とってもロマンティックなフィオレンティーノのピアノ編曲版「夢のあとに」。この曲の録音場所もSiemens Villa。(たまたま見つけたこの動画を聴いてフィオレンティーノのピアノにすっかりはまり、CDコレクターになったのだった)
Fiorentino plays Fauré Après Un Rêve



3 Songs, Op. 23: No. 2, Notre amour(Gabriel Fauré)(「私たちの愛」)

Notre amour Op.23 ぼくたちの愛[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

3 Songs, Op. 8: No. 1, Au bord de l'eau(Gabriel Fauré)(「水のほとりで」)

Au bord de l'eau Op.8  河のほとりで [梅丘歌曲会館 詩と音楽]


2 Songs, Op. 27: No. 1, Chanson d'amour(Gabriel Fauré)(「愛の歌」)

Chanson d'amour Op.27  愛の唄 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

3 Songs, Op. 23: No. 1, Les berceaux(Gabriel Fauré)(「ゆりかご」)

Les berceaux Op.23 ゆりかご [梅丘歌曲会館 詩と音楽]


<ラヴェル>
Sabine Devieilhe, Alexandre Tharaud – Ravel: Chanson de la mariée (5 Mélodies populaires grecques)(「花嫁の目覚め」)

Chanson de la mariée M.A 9 花嫁の目覚め [梅丘歌曲会館 詩と音楽]
Cinq Mélodies Populaires Grecques   M.A 9 5つのギリシャ民謡(カルヴォコレッシ仏訳)

5 Mélodies populaires grecques, M. A 5: No. 4, Chanson des cueilleuses de lentisques(Maurice Ravel)(「乳香を集める女たちの歌」)

Chanson des cueilleuses de lentisques   M.A 5  乳香を集める女たちの歌  [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

3 Chansons, M. 69: No. 2, Trois beaux oiseaux du paradis(Maurice Ravel)(「楽園の美しい3羽の鳥」)

Trois beaux oiseaux du Paradis M.69  天国の美しい3羽の鳥[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Manteau de fleurs, M. 39(Maurice Ravel)(「花のマント」)

Manteau de fleurs M.39  花のマント [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Chants populaires, M. A 17: No. 2, Chanson française(Maurice Ravel)(「フランスの歌」)

Chanson Française M.A17  フランスの歌 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]


<ドビュッシー>
夜空で星が瞬いているようなピアノのアルペジオ。
Nuit d'étoiles, CD 2, L. 4(Claude Debussy)(「星の輝く夜」)

Nuit d'étoiles L4  星の輝く夜 [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

2 Romances, CD 65, L. 79: No. 1, L'âme évaporée et souffrante(Claude Debussy)(「ロマンス」)

Romance L79 ロマンス[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Apparition, CD 57, L. 53(Claude Debussy)(「まぼろし」)

Apparition L53  まぼろし[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Ariettes oubliées, CD 63b, L. 60: No. 1, C'est l'extase langoureuse (Second Version)(Claude Debussy)(「忘れられたアリエッタ~やるせない夢ごこち」)

C'est l'extase L60  それはエクスタシー[梅丘歌曲会館 詩と音楽]
Ariettes Oubliees L60 忘れられた小唄[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Ariettes oubliées, CD 63b, L. 60: No. 2, Il pleure dans mon coeur (Second Version)(Claude Debussy)(「忘れられたアリエッタ~巷に雨の降るごとく」)

Il pleure dans mon coeur L60  私の心は涙で濡れる [梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Ariettes oubliées, CD 63b, L. 60: No. 4, Paysages belges. Chevaux de bois (Second Version)(Claude Debussy)(「忘れられたアリエッタ~木馬」)

Chevaux de bois L60  木馬[梅丘歌曲会館 詩と音楽]

『Tharaud plays Rachmaninov』のアルバムのなかで、ドゥヴィエルが1曲だけ歌っている《ヴォカリーズ》。気品があって美しい。
14 Romances, Op. 34: No. 14, Vocalise


タグ:ドゥヴィエルタロープーランクラヴェルドビュッシーフォーレ

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(Wed)00:00

チョウゲンボウの子育て動画(2) 

チョウゲンボウは一腹雛が5~6羽生まれることが多く(3羽のこともある)、兄弟間の餌の獲得競争が激しいため餌不足で餓え死にする雛が少なくない。チョウゲンボウの雛たちは、ワシのように餌を独占するために年少の兄弟雛をボンキング(嘴で突く)することはない。その代わり、給餌する親や餌に群がって我先に餌を食べようとし、先に生まれた体の大きい雛ほど有利で餌をたくさん食べられる。孵化間隔が開くほど年少の雛が餌を食べるのが難しくなり、餌不足が続くと最年少の雛から飢え死にして3羽が2羽に、5羽~6羽が4羽や3羽に減ったりする。(主に最年少の)飢えで衰弱している雛を兄弟たちが攻撃して食べたり、親が他の雛に餌として与えることもある。

自分の体長の倍くらいは長いヘビを食べようとする雛たち。雛の口からヘビを引っ張り出そうとしたり、ヘビが体に巻き付いたりして、激しい争奪戦の末にたぶん最年少の雛がヘビを全部飲み込んだ。
この巣では、孵化後の餌は虫・昆虫・クモ(?)が多く、時々ヘビ、トカゲ、カエル。マウス、モグラ、鳥は見かけない。両親鳥が頻繁に餌を運んでくるので、3羽孵化して今のところ(生後2週間)順調に育っている。
Kestrel Chicks - 18Nov 2023 Day 14


親鳥が運んでくる餌を仁王立ちで待っている雛たち。この日の餌はヘビが多く、綱引きみたいな争奪戦が激しい。
Kestrel Chicks Day 20, 24November 2023



ムカデを食べようとするチョウゲンボウの雛。
Epic Battle: Falcon Nestling vs Centipede. This young wild lesser kestrel was not going to give up.



餌に喰いつこうと激しく競争する雛たち。4番目の雛が孵化したのは23日、最後の雛は25か26日に孵化。慢性的な餌不足らしく、空腹の雌親が雛に餌をやらずに自分で食べていることも度々。
最後に孵化した小さな雛は、兄弟姉妹たちと体格差が大きくなり出してから、餌の争奪戦に負け続けてほとんど餌に喰いつけずに痩せ細り、ますます大きくなっていく雛に踏まれるし、飢えで体力も尽きて動けない。
ほとんど動けなくなった雛を見た雌のチョウゲンボウは、その雛を餌にするため弱々しく抵抗する雛の頭を毟り始め、他の雛たちが群がって来たので一旦止めてから、しばらくして再び毟ろうとした。最後はその雛の頭に覆い被さり(抱雛の姿勢だけど足で雛の頭を踏んづけている)、足と身体で激しく雛を踏み続けた。雛が飢えて死ぬのは時間の問題だったが、止めを刺したのは雌鳥だった。
Torenvalk avond 5 juni 2022


翌日、死んだ雛を兄弟たちが食べていた。次に日にはもう1羽の雛が死に(原因不明)、空腹の雛たちが争ってそれを食べ始め、手ぶらで巣に戻った雌鳥が雛たちに食べさせながら、自分もかなり食べていた。極端な餌不足ではなかったとしても、5羽の雛にとっては餌が少なすぎたし、マウスを丸のみして独占する雛もいたので、体の小さな雛は餌にありつけなかった。最終的に孵化した雛5羽のうち3羽が無事巣立ちした。


6羽の雛が全て無事巣立ちしたチョウゲンボウの巣。巣箱ではなく天然岩盤の巣をWebcamで見るのは珍しい。餌不足にならず、さらに巣が横長のため、雛が餌に群がらずに横一列に並んで餌を食べられた。
Common Kestrel bringing food to the nest with 6 chicks (18 minutes) - Cyprus



この巣では5/23-28にかけて6羽孵化したが最年少の雛が死亡。孵化するのが遅すぎて眼もまだ良く見えず、他の雛に給餌するのに忙しい雌鳥が餌も与えず、最後は元気な兄弟の下敷きになっていた。26日に孵化した5番目の雛も小さかったが、なんとか餌に喰いつくことができて生き延びた。
Pustułki w Starostwie Legionowo(PL)- dostawa i karmienie 5 x 🐥, szósty nie dał rady 2022 06 01


↑と同じ巣で昨年は6羽孵化し、全て巣立ちした。最年少の雛”ミニ”が巣立ちするまでの日々の行動を解説付きでまとめた「チョウゲンボウの末っ子奮闘記」(1~19)が面白い。この”ミニ”は、他の巣や翌シーズンに死んだ小さな雛よりも、ずっと活動的で動き回っていてとても元気。ポジションニングも上手く、兄弟と果敢に餌の奪い合いをして勝つことも度々あったので、飢えなくて済んだ。

[閲覧注意]チョウゲンボウの末っ子奮闘記4 kestrel youngest chick story 2021/06/11 良い兆しが見え始めたミニ、大きな餌を食べる


[閲覧注意]チョウゲンボウの末っ子奮闘記12 kestrel youngest chick story 2021/06/23-24 完全に巣を支配しているミニ、餌を好きなだけ食べている



ドイツのチョウゲンボウの巣では、6/10-14に合計5羽が孵化。奥でうずくまっているのは18日に最後に孵化した雛。孵化が遅かったのでとても小さく、弱っているように見える。雌鳥が給餌しようとしたが、結局他の雛たちに給餌することにした。この最年少の雛は翌日死んでいた。
他の巣に比べると5羽の雛たちは給餌中でも大人しい。巣が広いので団子状に群がらずにすみ、全ての雛が餌をもらいやすい。そ嚢も膨らんでいるので、いつも餌を十分食べているのかもしれない。
Windsbach Kestrels - Pustułki🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀- Karmienie i dostawa gryzonia 19/06/2022 Germany


さらに8日後の雛たち。成長して体格差もあるけど、やはり餌の争奪戦は激しくない。横列に並んで喰いついているし、雌鳥が量の違いはあっても全ての雛に餌を与えているように見える。この5羽は巣立ちするくらいに無事成長した。
Windsbach Kestrels - Pustułki - Karmienie 5 głodomorków🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀🐥🌹🍀 27/06/2022 Germany



この巣は5羽の雛が全て巣立ち。親が運んでくる餌が多いらしく、狭い巣のなかでも雛たちは給餌する親に先を争って群がることは少なく、かなりお行儀よく給餌されている。(もしかして雛の攻撃性は遺伝的な影響もあるのだろうか?)
Kestrel Nest / Kestrel breeding season 2023



17日には5羽いた雛が22日は4羽に減っていた。餌が少なく雨も降っていたので最年少の雛が飢えと寒さで死亡。チョウゲンボウの巣で交尾中に追い出されたJackdaw(ニシコクマルガラス)が執念深く、度々雛や親鳥に嫌がらせ。カラスに巣から引きずり落とされた雛は管理者が拾って巣に戻し、カラスのいたずら防止のため巣に柵がつけられた。
Kestrel - from egg to first flight



餌を奪い合う雛たちの攻撃性が非常に強い巣の映像。カメレオンを丸呑みしようとした雛の口から、カメレオンの尻尾を引っ張って餌を奪おうとする兄弟たち。カメレオンの尻尾と間違えて舌を食いちぎられた雛が死に、兄弟と雌鳥の餌になった。
Crazy and Raw: Kestrel Nestlings Devour Sibling After Chameleon Choke! Viewer Discretion Advised



雄のチョウゲンボウが生きたシジュウカラの雛を捕まえて来たが、雌鳥はそれを雛に与えずに自分の雛と一緒に温め出した。チョウゲンボウよりもずっと小さなシジュウカラの雛は口を開けて餌をねだっていても、給餌されていないように見える。結局、シジュウカラは2羽とも飢え死にした。
Unbelievable! Did Falcon Mom Just Adopt Its Prey? You Have to See This! Viewer discretion advised



雌のチョウゲンボウが行方不明になり、雄鳥は全く餌を運んで来ない。雛が人間と餌を関連づけないようにするため、巣の天井に穴を開けて餌を投入。突然餌が降ってきた天井を見つめる雛たちはとても不思議そう。全く雛を育てる気がない雄鳥が度々手ぶらで巣にやって来ては餌を横取りしようとすると、雛たちが親鳥を攻撃して餌を守っていた。やがて親鳥に狩りを教えられなくても雛たちは自力で狩りができるようになり、とうとう人工給餌された餌を食べることなく巣を去り、二度と姿を見せなくなった。
2022 Monastery Kestrels - ケストレルの赤ちゃんの救出



雄のチョウゲンボウが運んでくる餌(マウス)を雌鳥が雛たちに給餌しなくなり(その後は姿が見えず)、30匹あまりのマウスが積み重なっていた。チョウゲンボウは、雌だけが雛に給餌(餌を引き裂いて与える)し、雄は獲物を運ぶという習性のため、雄は雛に給餌しなかった。大きなマウスは雛が自分で引き裂けないため、雄が運んでくる小さなマウスを丸呑みして雛たちは生き延びたらしい。雛のうち1羽は巣から転落したが、残り3羽は成長し、大きなマウスでも引き裂いて自己給餌できるようになった。
Kestrel Nesting | 30 mice in a Kestrel Nest | Kestrel breeding


「チョウゲンボウの子育て動画(1)」では、雌鳥が行方不明になったため、雄のチョウゲンボウMr.Kesが雌鳥に代わって抱雛と給餌をすることを自ら学び、さらにMr.KesのこどものJefも成長して親鳥になり、雄鳥なのにMr.Kesと同じく雛に給餌していた。JefはMr.Kesの給餌行動を記憶していて、「雄鳥」であっても雛に給餌しなければならないと学習したのかもしれない。(通常、雌鳥の給餌行動を見て育つチョウゲンボウの雄鳥は、成長して親鳥になっても、↑の動画のように雛に給餌する習性はない)
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(Sat)00:00

ヤン・スンウォン&パーチェ 『リスト&ショパン~愛の讃歌』 

ベートーヴェンに続いてヤン・スンウォンとエンリコ・パーチェが録音したのは、リストとショパンのチェロ&ピアノ作品集『Liszt&Chopin ~ Cantique d'Amour(愛の讃歌)』。CD2枚とDVD(録音風景とインタビュー)の3枚セットで2018年発売。
発売当時に曲目を見て聴きたい曲がなかったので買わなかったけど、今Youtubeの音源で聴くと《詩的で宗教的な調べ》の「アヴェ・マリア」がとても素敵だったし、《コンソレーション》はチェロの響きが加わって立体感豊かになり、さらにショパンの《チェロソナタ》はチェロの低音の渋い響きがショパンの感傷性を中和して私にはちょうど良い叙情感の曲だった。すでに廃盤になっていたので、iTunesstoreでアルバムをダウンロードしてオーディオCDを作りステレオで聴いている。(後で調べたらmoraがAAC-LC(320kbp)でビットレートが少し高いのでそちらにすればよかった)

リスト&ショパン~愛の讃歌リスト&ショパン~愛の讃歌
(2018/10/5)
ヤン・スンウォン、エンリコ・パーチェ


<収録曲>
フランツ・リスト:
1. 忘れられたロマンス S.132
2. 悲しみのゴンドラ S.134
3. ノネンヴェルトの僧房 S.382
4. エレジー第1番 S.130
5. 慰め S.172 (No.1,2,3,5,6)(Arr. by Jules de Swert for Cello and Piano)
6. エレジー第2番 S.131
7. 『詩的で宗教的な調べ』より『アヴェ・マリア』 (Arr. by Robert Pflughaupt)
8. 『詩的で宗教的な調べ』より『愛の讃歌』 (Revised by Enrico Pace and Sung-Won Yang)

フレデリック・ショパン:
9. チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
10. 序奏と華麗なポロネーズ Op.3
11. ノクターン第20番嬰ハ短調 遺作 (Arr. by Gregor Piatigorsky)

チェロ曲はほとんど聴かないので、知っている曲はピアノ原曲の《アヴェ・マリア》《愛の賛歌》《コンソレーション第3番》、ピアノ編曲版(悲しみのゴンドラ第2稿S.200/2)の原曲《悲しみのゴンドラ S.134》、ショパンの《ノクターン第20番》。ピアノソロの《忘れられたロマンスS.527》は聴いたことがあるはずだけど覚えていなかった。

ベートーヴェン録音よりもチェロがピアノより少し前方から聴こえるせいか(音量も若干大きい)、いつもピアノの方に集中して聴くのに、チェロの音がピアノよりよく聴こえてきてそちらに耳が集中してしまう。
ピアノ原曲の編曲版は、チェロの響きが入ると立体感豊かで色彩感と響きも多彩になっていて、かなり好きな曲が多い。「アヴェ・マリア」はチェロが入ると響きも情感も重たくなるので、ピアノ原曲の方が好き。

編曲版の面白いところは、原曲とは異なる旋律をピアノが弾いているところ。それに、チェロが入るとピアノソロで聴いた時と印象がが変わったりして、いつも眠くなる《コンソレーション第3番》や陰鬱な《悲しみのゴンドラ》も最後までしっかり聴ける。

リストの曲順は暗→明へグラデーションするみたいに並んでいき、色調の移り変わりと曲想の変化を楽しめる。最初の3曲(特に《悲しみのゴンドラ》)が陰翳濃く、第4番で少し陰翳が薄くなり、第5曲~第9曲の《コンソレーション》で長調の曲が続いて暗さから開放されて明るく和やか。短調の「エレジー第2番」を挟んでから、優しく清らかな「アヴェ・マリア」と華麗なエンディングの「愛の賛歌」で終わる。

《忘れられたロマンスS.132》
リストが31歳の時に書いた歌曲をもとに、5年後に書いたピアノ曲「ロマンス」は出版せず、32年後にヴィオラとピアノのために書き直し、「忘れられたロマンス」として出版。その後にピアノ版(S527)とヴァイオリン&ピアノ版も出版。
冒頭のメランコリックな主題旋律がチェロの響きに良く似合う。この曲はピアノ独奏よりも室内楽で聴く方が好き。

Liszt: Romance oubliée (arr. for Viola or Cello and Piano) , S.132


ピアノ編曲版。
F LISZT ROMANCE OUBLIEE BALAZS SZOKOLAY(Piano:Balazs Szokolay)



《悲しみのゴンドラ S.134》
リスト晩年の陰翳濃い曲。ヴァイオリンまたはチェロとピアノの二重奏曲。ピアノパートがユニゾンで弾く旋律は不穏な予兆の鐘が鳴っているみたい。ピアノソロより情感が濃くて、ゴンドラの情景より”悲しみ”の感情が強く感じる。
Liszt: La lugubre gondola (arr. for Viola or Cello and Piano) , S.134


《悲しみのゴンドラ 第2稿/La lugubre gondola S.200/2》(1885年版)。《悲しみのゴンドラ S.134》をピアノ版に編曲したもの。
チェロよりも不穏さが少し薄く、ピアノソロだと水上を密やかにゆらゆらと漂うゴンドラの情景の方が先に浮かぶ。
La lugubre gondola, S. 200 (1885 Version)(Piano:Stephen Hough)



《詩的で宗教的な調べ》~第2曲「アヴェ・マリア」
ピアノの高音が美しく透明感のある曲なので、チェロの響きだと重たくて陰影が出る。5:10~のピアノが左手で弾くアルペジオは原曲には全然ない旋律で新鮮。

Liszt: Ave Maria (arr. for Cello and Piano) , S.558/12


ピアノ原曲。
Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 2, Ave Maria(Piano:Saskia Giorgini)



《詩的で宗教的な調べ》~第10曲「愛の賛歌」
Liszt: 10 Harmonies poétiques et religieuses, S. 173 - 10. Cantique d'amour (arr. for Cello and...



《愛の賛歌》(ピアノ原曲)
Liszt: Harmonies poétiques et religieuses, S. 173: X. Cantique d'amour(Piano:Steven Osborne)



《6つのコンソレーション S.172~第2番》
Liszt: 6 Consolations, S.172 - No. 2 in E major. Un poco più mosso


6 Consolations, S.172: No. 2, Un poco più mosso(Piano:Saskia Giorgini)


《6つのコンソレーション S.172~第3番》
Liszt: 6 Consolations, S.172 - No. 3 in D flat major. Lento, placido


Consolations, S. 172: No. 3 in D-Flat Major, Lento placido(Piano:Aldo Ciccolini)


《ショパン/チェロソナタ ト短調Op. 65》
ショパンのピアノ曲はあまり聴かないし、このチェロ・ソナタが初めて聴いたけど、好きなショパンの曲ベスト3に入れたいくらいに好きな曲だった。曲想・旋律・和声ともピアノ協奏曲の編曲版を聴いている気分。

Chopin: Sonata In G Minor For Cello & Piano, Op. 65 - 1. Allegro moderato


Chopin: Sonata In G Minor For Cello & Piano, Op. 65 - 4. Finale. Allegro

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14
(Tue)00:00

オオワシの動画 

秋はオオワシがロシアの繁殖地から北海道に越冬のため渡ってくる時期。Kota_hawk migrationさんのツイートを追ってみると、10月初旬に宗谷岬にオオワシが飛来し始め、11月2日に飛来したオオワシは約1600羽(この日がピーク)。


知床・羅臼町のオオワシ。映像に出てくる鳥たちは、タンチョウ(Red-crowned Crane)、オオセグロカモメ(Slaty-backed Gull)、ハシブトガラス(Jungle Crow/映像ではJapanese crow)、オジロワシ(White-tailed eagle)。
Steller's Sea Eagle


Shall we dance? -知床・羅臼のオオワシ、オジロワシ、白鳥たちの共存-


知床羅臼のオオワシの大群onthe流氷2013



オホーツク海沿岸で営巣・子育て中(2011年)。巣にいるのは幼鳥2羽と親1羽。
Steller's Sea Eagle at the nest with two chicks


マガダン(オホーツク海に面する海港都市)の巣で抱卵中。
Magadan Steller’s Sea Eagle Nest. Stellera ērgļu pāris Magadānā. 24.04.2022



デンマークで産卵したオオワシ。
説明を読むと、8年前に初めてデンマークのイーグル保護区にやって来たカムチャッカ生まれのオオワシ。北ユトランド上空を自由に飛べるように訓練され、しばしば高度1000メートル付近まで上昇する。昨年(2013年)から巣作りに興味を示し始め、2014年に産卵した。
推測するに、おそらくカムチャッカから2羽(かそれ以上)の幼鳥をデンマークのイーグル保護区に輸送後、ハッキング法により飼育・放鳥され、保護区内で(人工的に作った巣で)産卵したと思われる。人工巣で産卵している理由は、幼鳥は繁殖時に育った地域に戻ってくる習性があることと、ワシが自由に空を飛べる開放型の巣なので”飼育”したのではなく、”餌付け”したのかもしれない。
stellers seaeagle nest 2014 HD



なぜかはるばる北米に渡ったオオワシ。
目撃された場所は、2020年8月アラスカ(フェアバンクス周辺)、南下して2021年3月テキサス、東方へ向かい2021年12月マサチューセッツ州トーントン、2022年4月メイン州ジョージタウン。
町にはこの珍しいオオワシを撮影しようと、映画スターに群がる”パパラッチ”みたいに多くの人が集まっている。
Historic Steller's Sea Eagle has been in Maine for three months


”Vagrant”(迷い鳥)のオオワシの渡りルートは、シベリア-ベーリング海峡周辺-アラスカ、または、カムチャッカ半島-アリューシャン列島-アラスカだろうか?
Rare bird, normally found in Russia spotted in Maine



日本で北海道から南下したオオワシが奥日光、滋賀県北部、無人島「辰ノ島」で目撃されている。
20210102滋賀湖北に飛来しているオオワシの若が見れた


2022/1 奥日光のオオワシ


本物の水平線、野生のオオワシに出会える近所の無人島「辰ノ島」へ。[popeye]

ロシアへ渡らずに北海道に居残り中のオオワシ。
オオワシ居残り2023[サロベツ・エコ・ネットワーク]


<関連情報>
2.海ワシ類の渡り期・越冬期における生息状況[環境省]
4.鳥類:特にオオワシ・オジロワシ調査の成果と今後の動態予測 4-1) 鳥類:特にオオワシ・オジロワシ調査の成果と今後の動態[中川元(斜里町立知床博物館)]
知床半島におけるオオワシの渡りと気象状況(植田睦之'・福田佳弘2・松本経3・中川元、StrixvoL22,pp、71-80,2004)[日本野鳥の会]