バルトーク/ピアノと管弦楽のためのラプソディ、ピアノのためのラプソディ
2013-08-29(Thu)
カヴァコスの新譜に《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》が入っているので思い出したのが、《ピアノのためのラプソディ》。
バルトークには、「ラプソディ」という曲が編曲も含めて数曲あるのでややこしい。
《ピアノのためのラプソディ》はピアノ独奏曲。編曲版として《ピアノと管弦楽のためのラプソディ Op.1 Sz.27》もある。
両方とも、録音はかなり少ない。私がCDで聴いたのは、アンダの《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》で、アンダのDG録音集『Geza Anda - Troubadour of the Piano』に収録されている。
《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》は、ヴァイオリン曲のラプソディと比べて、オドロオドロしい騒然とした雰囲気と暗い炎が燃えているような情熱とが、暗い色調の建物が並ぶ東欧の街のイメージとオーバーラップする。
リストの《ハンガリー狂詩曲》と相通ずるところはあるけれど、それよりもピアニスティックで煌びやかな華やかさや舞曲的な躍動感がやや薄く、暗く重苦しい悲愴感が見え隠れする。
2楽章からなり、第1楽章”Adagio molto”は、冒頭は重苦しい悲愴感漂っているけれど、後半には内省的で叙情的な旋律も出てくる。
第2楽章”Poco allegretto”は、舞曲風のリズムでラプソディ的な激しさと躍動感が出てくる。
ピアニスティックでロマンティックになっているけれど、一気に華やかにエンディングに流れ込むというわけではなく、序盤の冒頭主題のモチーフが回想されたり、静かでゆったりとした旋律が挿入されたり、詩的な美しさも織り込まれている。
BARTÓK Rhapsody for Piano and Orchestra Sz. 27 | László Gyimesi / György Lehel
独奏曲の《ピアノのためのラプソディ》は、ピアノだけのシンプルなソノリティのせいか、オケ版とは随分雰囲気が変わって、冒頭から誌的な雰囲気が漂う。
重苦しい陰鬱さではなく、情熱的な旋律が舞っているなかにも静けさが流れているような美しい曲。
ピアノ協奏曲や民謡をモチーフとした他のピアノ独奏曲とも違ってロマンティシズムを感じるものがあり、それと知らずに聴いたとしたら、バルトークが書いたとはすぐにはわからなかったかも。
そういえば、バルトークはピアノの名手でもあり、当時あまり弾かれていなかったリスト作品を度々弾いていたという。
おぼろげな記憶では、学生時代のブダペスト音楽アカデミー(現ハンガリー国立リスト音楽院)の公開演奏会でも、リストを弾いていた...と本で読んだことがある。
(この頃は、まだドビュッシーやストラヴィンスキーの音楽とは出会っていなかったので、その影響はなかったはず)
作品番号1の曲は、《ハンガリー狂詩曲》の作曲者であるリストに捧げられた《ピアノのためのラプソディ》だったというのは、リストへの敬意の表れなのか、はたまた、リストの《ハンガリー狂詩曲》に対して批判的だったバルトークの回答なのか、どちらなのだろう?
Bartók Béla Rhapsody op. 1 for piano solo Tibor Szász
アンダのDG録音集。”Troubadour of the Piano”(ピアノの吟遊詩人)は、カラヤンがアンダを喩えた言葉。
このBOXセットはもう廃盤になっている稀少盤。そのうち廉価盤で出てくるのでは。
得意のシューマン、ショパンを中心に、ちょっと異色のシューベルト、それに、ベートーヴェン、バルトーク、リスト、フランクの作品も入ったバラエティのある選曲でアンダの演奏が聴ける。
バルトーク関する面白い小論は、吉松隆の「バルトークに関するバトルトーク」。
バルトークとリストの関係については、「1901年のリスト生誕90周年で、まだ音楽院の学生だったバルトークはリストの「ロ短調ソナタ」を弾き、作品番号1を付けたピアノ曲「ラプソディ」をリストに捧げて作曲家としてのスタートを切っている。」と書かれている。
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バルトークには、「ラプソディ」という曲が編曲も含めて数曲あるのでややこしい。
《ピアノのためのラプソディ》はピアノ独奏曲。編曲版として《ピアノと管弦楽のためのラプソディ Op.1 Sz.27》もある。
両方とも、録音はかなり少ない。私がCDで聴いたのは、アンダの《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》で、アンダのDG録音集『Geza Anda - Troubadour of the Piano』に収録されている。
《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》は、ヴァイオリン曲のラプソディと比べて、オドロオドロしい騒然とした雰囲気と暗い炎が燃えているような情熱とが、暗い色調の建物が並ぶ東欧の街のイメージとオーバーラップする。
リストの《ハンガリー狂詩曲》と相通ずるところはあるけれど、それよりもピアニスティックで煌びやかな華やかさや舞曲的な躍動感がやや薄く、暗く重苦しい悲愴感が見え隠れする。
2楽章からなり、第1楽章”Adagio molto”は、冒頭は重苦しい悲愴感漂っているけれど、後半には内省的で叙情的な旋律も出てくる。
第2楽章”Poco allegretto”は、舞曲風のリズムでラプソディ的な激しさと躍動感が出てくる。
ピアニスティックでロマンティックになっているけれど、一気に華やかにエンディングに流れ込むというわけではなく、序盤の冒頭主題のモチーフが回想されたり、静かでゆったりとした旋律が挿入されたり、詩的な美しさも織り込まれている。
BARTÓK Rhapsody for Piano and Orchestra Sz. 27 | László Gyimesi / György Lehel
独奏曲の《ピアノのためのラプソディ》は、ピアノだけのシンプルなソノリティのせいか、オケ版とは随分雰囲気が変わって、冒頭から誌的な雰囲気が漂う。
重苦しい陰鬱さではなく、情熱的な旋律が舞っているなかにも静けさが流れているような美しい曲。
ピアノ協奏曲や民謡をモチーフとした他のピアノ独奏曲とも違ってロマンティシズムを感じるものがあり、それと知らずに聴いたとしたら、バルトークが書いたとはすぐにはわからなかったかも。
そういえば、バルトークはピアノの名手でもあり、当時あまり弾かれていなかったリスト作品を度々弾いていたという。
おぼろげな記憶では、学生時代のブダペスト音楽アカデミー(現ハンガリー国立リスト音楽院)の公開演奏会でも、リストを弾いていた...と本で読んだことがある。
(この頃は、まだドビュッシーやストラヴィンスキーの音楽とは出会っていなかったので、その影響はなかったはず)
作品番号1の曲は、《ハンガリー狂詩曲》の作曲者であるリストに捧げられた《ピアノのためのラプソディ》だったというのは、リストへの敬意の表れなのか、はたまた、リストの《ハンガリー狂詩曲》に対して批判的だったバルトークの回答なのか、どちらなのだろう?
Bartók Béla Rhapsody op. 1 for piano solo Tibor Szász
アンダのDG録音集。”Troubadour of the Piano”(ピアノの吟遊詩人)は、カラヤンがアンダを喩えた言葉。
このBOXセットはもう廃盤になっている稀少盤。そのうち廉価盤で出てくるのでは。
得意のシューマン、ショパンを中心に、ちょっと異色のシューベルト、それに、ベートーヴェン、バルトーク、リスト、フランクの作品も入ったバラエティのある選曲でアンダの演奏が聴ける。
Troubadour of the Piano (Spkg) (2005/09/13) Geza Anda、 他 試聴ファイル(amazon.com) |
バルトーク関する面白い小論は、吉松隆の「バルトークに関するバトルトーク」。
バルトークとリストの関係については、「1901年のリスト生誕90周年で、まだ音楽院の学生だったバルトークはリストの「ロ短調ソナタ」を弾き、作品番号1を付けたピアノ曲「ラプソディ」をリストに捧げて作曲家としてのスタートを切っている。」と書かれている。
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