気ままな生活

            ♪音楽と書物に囲まれて暮らす日々の覚え書♪  

Category [ ・ 音楽(Books&Movies) ] 記事一覧

宇神幸男 『神宿る手』

恩田陸『蜜蜂と遠雷』のカスタマーレビューを読んでいたら、「同じピアノなら「神宿る手」の方が格段に「音楽」を感じさせます。」という人がいた。興味を引かれてさっそく読んでみたら、確かにその通り。特に演奏の描写面では、『蜜蜂と遠雷』がビジュアル的に喩える表現が多くて、マンガやアニメを見ているような感覚。それに対して、『神宿る手』は文字数は少なくてもは音楽批評的な表現で、実演さながらにその情景が浮かんでく...

奥泉 光 『シューマンの指』

シューマンの伝記をamazonで探していて見つけたのは、『シューマンの指』という小説。この本の題名だけは知っていたけれど、今までシューマンの音楽(とミステリー)に興味がなかったのであらすじも全く知らず。著者はクラシックやジャズ音楽を聴いてきた人で、特にシューマンの愛好家。著者の知人であるピアニスト椎野伸一氏が助言している。シューマンの楽曲解説や演奏に関する記述がやたらに多いというレビューに興味を惹かれて...

リヒテルの「プロコフィエフ論」 (モンサンジョン『リヒテル』より)

ブルーノ・モンサンジョン監督による伝記『リヒテル』。伝記映画も製作されている。『エニグマ~甦るロシアの巨人』というタイトルで、最晩年のリヒテル自らが回想している。そのなかで、唯一、まるまる一章割いて取り上げられている作曲家がプロコフィエフ。リヒテル(2000/09)ブリューノ モンサンジョン商品詳細を見る「Ⅴプロコフィエフ論」私のなかでプロコフィエフの名を思い出させるものは、何よりもまず《三つのオレンジへの...

ブリューノ・モンサンジョン著 『リヒテル』

ブルーノ・モンサンジョン監督による伝記『リヒテル』。リヒテルへのインタビューを元にしているので、リヒテル自身語った言葉が多数載っている。同監督の製作した伝記映画『エニグマ~甦るロシアの巨人』でも、最晩年のリヒテル自らが回想している。リヒテル(2000/09)ブリューノ モンサンジョン商品詳細を見る<目次>ありのままのリヒテル  幼年/オデッサでの1930年代/ゲンリフ・ネイガウス/戦争の時代/プロコフィエフ...

ユーリー・ボリソフ 『リヒテルは語る 人とピアノ、芸術と夢』

リヒテルの伝記や、ピアノを通じてリヒテルと関わったひとたちが書いた本は、日本語でもいくつか出ている。私が読んだことがあるのは、『リヒテル』(ブリューノ・モンサンジョン著、2000年)『リヒテルが愛した執念のピアノ』(プロジェクトX第4期)(NHK、2002年)『いい音ってなんだろう』(村上輝久、2000年)『リヒテルと私』(河島みどり、2003年)『ピアニストが見たピアニスト』(青柳いづみこ,2005年)先日読んだのは、『...

オリヴァー・サックス『音楽嗜好症 - 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

『妻を帽子とまちがえた男』などの医学ノンフィクションで有名な脳神経科医オリヴァー・サックスの著作『音楽嗜好症 - 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』(2010年)の文庫版が、8月にハヤカワ・ノンフィクション文庫から発売されていた。先日本屋さんで本棚を眺めていて、文庫版を発見。私は数年間、単行本発売時にすぐに購入した。文庫化されても1000円以上と結構高いけれど、価格に見合っただけの充実した内容。音楽が関わってい...

【新刊情報】焦元溥 『ピアニストが語る!現代の世界的ピアニストたちとの対話』

『ピアニストが語る!現代の世界的ピアニストたちとの対話』は、今月出版されたピアニストとの対話集。著者は、台湾の音楽ジャーナリスト焦元溥(チャオ ユアンプ)氏、訳者は『望郷のマズルカ―激動の中国現代史を生きたピアニストフー・ツォン』などの著書もある森岡葉さん。森岡さんのホームページ<May Each Day>原書の『遊藝黒白――世界鋼琴家訪談録』は、2007年に台湾・聯経出版社発行の中国語書籍。約53万字で、上下二冊の大著...

ノーマン・レブレヒト 『クラシックレコードの百年史 記念碑的名盤100+迷盤20』

どこで書評を読んだのかすっかり忘れてしまったけれど、面白そうだったので早速読んでみたのが、ノーマン・レブレヒトの 『クラシックレコードの百年史 記念碑的名盤100+迷盤20』。クラシックレコードの百年史 記念碑的名盤100+迷盤20(2014/03/31)ノーマン・レブレヒト商品詳細を見る<目次> ■第1部 巨匠(マエストロ)たちの歴史 / 第1章 はじまり / 第2章 最盛期 / 第3章 転換点 / 第4章 ミリオンセラーの時代 / 第5章 ...

『武満徹 自らを語る』

武満徹の著作は、自伝、音楽論、エッセイなど、多数出版されている。対談が好きな人だったらしく、対談集も多い。そのなかで一番有名なのが、新潮文庫から出ている小澤征爾との対談集『音楽』。随分昔に武満作品を聴いて、これは全然合わない...と思ったので、この本は未読だった。それが、最近になってようやく、武満作品がなぜか普通に聴けるようになっていたので、作曲経緯や作品解説を知りたくて、これも読んでみた。音楽 新...

伊熊よし子著 『クラシックはおいしい アーティスト・レシピ』

伊熊よし子さんの新刊『クラシックはおいしい アーティスト・レシピ』が本日発売。伊熊さんのブログでも度々紹介されていたので、演奏家と料理レシピの組み合わせには興味深々。クラシックはおいしい アーティスト・レシピ(2013/09/13)伊熊よし子商品詳細を見るページ数は232頁でレシピ付きということもあってか、価格が2,520円と単行本としては結構高め。(専門家向けではない)普通のレシピブックは、100頁前後で1200円~1600円...

青山通 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』

「紀伊國屋書評空間」(2013/08/06)に載っていた”青山通『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』”の書評を読んで、久しぶりに聴いたのがリパッティのシューマンの《ピアノ協奏曲イ短調》。この本が出ているのは知っていたので、そのうち読もうと思っていたら、書評がとても詳しくて、半分読んだ気になってしまった。子供の頃に好きだった特撮ものには、仮面ライダーにウルトラマンシリーズ、人造人間キカイダー、ゴレンジャー...

平野昭 『ベートーヴェン』

今まで読んだベートーヴェンの伝記は、ロマン・ロラン、メイナード・ソロモン、青木やよひ、平野昭の著作。文体・構成からベートーヴェン像まで、それぞれ独自のものがあるので、全て読んでもいつも違ったベートーヴェンに出会える。(それに、伝記ではないけれど、ベートーヴェンとチェルニーが登場する森雅裕のミステリー小説『ベートーヴェンな憂鬱症』と『モーツァルトは子守唄を歌わない』も、かなり好みに左右されるだろうけ...

音楽家を描いた2つの映画 『カルテット』,『A Late Quartet』

音楽家、それも高齢になった音楽家を廻る2つの映画がアメリカとイギリスで製作されている。日本ではいずれも未公開。一つは、音楽専用老人ホームの生活をコミカルに描いた『カルテット』。もうすっかりお年を召したダスティン・ホフマンの初監督作品というのも話題の一つ。もう一つは、パーキンソン病を患ったチェロ奏者と彼がメンバーになっている弦楽四重奏団の物語『レイト・カルテット(A Late Quartet)』。いずれも、チェロを...

エヴェリン・グレニー/Touch the Sound、TED talk"How to listen to music with your whole body"

『Touch the Sound』『Touch the Sound』は、スコットランド出身のパーカッショニスト、エヴェリン・グレニー(Evelyn Glennie)の生い立ちとその音の世界を追うドキュメンタリー映画。2006年公開。12歳の時に聴覚をほとんど失ったグレニーは、英国王立音楽院で学び、今ではプロのパーカッショニストとして有名。この映画で登場するグレニーの演奏の舞台は、コンサートホールではなく、街の中 - 路上、駅、建物のアトリウム、日...

ケン・ラッセル監督/映画『マーラー』

昨年11月に亡くなったケン・ラッセル監督の映画で、見たことがあるのが『マーラー』。一度観たら、その強烈な映像イメージとメタファー、それとは場違いなくらいに美しい自然の風景描写が目に焼きついてしまう。20年以上たった今でも、美しいマーラー邸の風景、軍隊調の衣装で鞭をもつワーグナ妻コジマ(オペラのパロディ場面)、映画のラストで駅のホームにいるマーラーの病弱そうな青白い顔...とかが浮かんで来る。コラージュ風...

チャールズ・ローゼン著 『ピアノ・ノート』 (2)

[チャールズ・ローゼン著 『ピアノ・ノート』 (1) の続き](以下は、印象に残った部分の抜粋です。また、文中で言及されていた曲やピアニストの録音に関する参考音源をあげておきました。)第7章 演奏スタイルと音楽様式超絶技巧の理想は実際よりむずかしく聞こえることである。(実際の演奏よりむずかしく聞こえない作品を書いたのはおそらくブラームスだけだろう。連弾曲として書かれた『ハンガリー舞曲集』の独奏用アレ...

チャールズ・ローゼン著 『ピアノ・ノート』 (1)

ピアニスト内藤晃さんのブログで、最近出版されたチャールズ・ローゼンの著書『ベートーヴェンを"読む"-32のピアノソナタ』が紹介されていた。内藤さんが監修者として、訳出に協力されている。大久保賢さんのブログ<Le plaisir de la musique 音楽の歓び>でも、ローゼン『ベートーヴェンを”読む”――32のピアノソナタ』 という記事で紹介されている。(著者のローゼンは2012年12月9日に亡くなった)チャールズ・ローゼンは、米国...

福井一『音楽の感動を科学する―ヒトはなぜ“ホモ・カントゥス”になったのか』

最近読んでいるのは、”音楽と脳”の関係をテーマにした本。医療法の一つである音楽療法の文献を読んでいると、脳科学や神経学に関連したものが多い。オリヴァー・サックス『音楽嗜好症』も、脳の一部が損傷したり、脳神経の異常な活動によって発生する病的な症状を音楽との関連で取り上げていた。医学用語も頻繁に出てくるので、その分野の基礎的な知識をインプットするのによさそうだったのが福井一著『音楽の感動を科学する―ヒト...

『ブラームス回想録集〈3〉 ブラームスと私』

ブラームス回想録集全3巻の中で、一番内容的にバラエティがあって密度が濃いと思ったのがこの第3巻。第1巻も面白いけれど、手紙の文面が結構多くて、若かりし頃のブラームスに関する回想が多い。晩年の気難しいひげ面ブラームスとは違った細身の青年ブラームスが爽やか。特にブラームスのレッスンやピアノ演奏に関する回想が印象に残っている。第3巻の目玉(らしい)のは、シューマン夫妻の娘オイゲニー・シューマンのシューマン...

『ブラームス回想録集〈1〉 ヨハネス・ブラームスの思い出』 ~ ピアノ教師&ピアニストとしてのブラームス

ブラームスの伝記と言えば、真っ先に思い浮かぶのがガイリンガー著『ブラームス 生涯と芸術』。1952年に音楽之友社、1975年に現代芸術社が出版し、今入手できるのは1997年の改訂版。新潮文庫版"カラー版作曲家の生涯"シリーズの『ブラームス』は、ブラームスの一生がコンパクトにまとまっていて、何より良いのが小さいけれどカラー写真が豊富なところ。最近読んでいるのは、ブラームスと親交があった人たちが彼の思い出を綴った『...

吉田秀和著『世界のピアニスト』(新潮文庫版、ちくま文庫版)

音楽関係の本のなかで私が一番よく読んだのが、新潮文庫から出ていた『世界のピアニスト』。ピアノ好きの人なら、この本を読んだことがある人は多いでしょう。大学時代にCDを買い集め始めたときに、新潮文庫版を購入。それ以来、興味を持ったピアニストや初めて聴いたピアニストのことを調べるときに参考書代わりに読んでいる。巷のピアニストガイドとは違って、録音に関する評論が多くて詳しい。章立ては「世界のピアニスト」「ピ...

音のイリュージョン ~ イリュージョンフォーラムの”錯聴体験”

今まで読んでいた音楽関係の本は、作曲家・演奏家の伝記、音楽評論、作品解説、音楽エッセイにノンフィクションなど。最近、サックスの『音楽嗜好症』を読んだり、音楽療法と治療法があるのを知って、科学的・医学的な観点から音楽にアプローチした文献をいろいろ探すようになった。よく見かけるのは音楽療法の本。方法論やケーススタディが載っている理論書では、主に子供の養育・教育、高齢者のアルツハイマー、精神的疾患、ター...

アラウ&ホロヴィッツ『アラウとの対話』 ~ 「レコードで聴くアラウ」 

アラウとジョーゼフ・ホロヴィッツの対話をまとめた『アラウとの対話』には、アラウの伝記、音楽観、演奏と録音に関する対話や解説・分析がきっしりと詰め込まれている。アラウのピアノが好きな人には絶対的にお薦めしてしまう記録であり、研究書でもある。アラウの演奏をいろいろな視点から、より深く味わうためには、絶好の本であることは間違いない。アラウとの対話(2003/06)アラウ、ジョーゼフ・ホロヴィッツ 他商品詳細を見る...

中野達哉著 『ブラームスの辞書』

音楽用語辞典は、世の中にたくさん出回っているけれど、世界で唯一の音楽用語辞典ではなかろうかと思うのが、中野達哉さんのブラームス専用音楽用語辞典『ブラームスの辞書』。自費出版した400頁の本に、ブラームス作品に出てくる音楽用語と用例(記載作品の該当頁)、用法や解説、譜面(一部の用語について)など、多くの情報が詰め込まれている。辞書編纂の苦労が伝わってくる労作。この辞書を執筆するにあたって、ブラームス作...

ブレンデルとフランツ・リスト ~ 『音楽のなかの言葉』と『対話録「さすらい人」ブレンデル』より

ブレンデルがリストについて書いた評論や意見は、著書『音のなかの言葉』や『対話録「さすらい人」ブレンデル』に載っている。『音のなかの言葉』で、ベートーヴェン、シューベルトと並んで、重点的に取り上げられているのが、リスト。リストに関するエッセイ・小論に数章を割いていて、リストの人間像や作品に関するブレンデルの考えがまとまって書かれている、ブレンデルは通俗的なリストの人物像や音楽論に対しては否定的で、「...

『対話録「さすらい人」ブレンデル~ リストからモーツァルトへの道程』

ブレンデルのピアニズムを知るには一番良いのでは...と思ったのが、『対話録「さすらい人」ブレンデル リストからモーツァルトへの道程』。ピアニストにしては筆の立つブレンデルは、『楽想のひととき』、『音楽のなかの言葉』という音楽評論集の著作があるが、本書は、音楽ジャーナリストのマルティン・マイヤーとブレンデルが対話した内容を記録したもの。対話録にしては、ブレンデルの話は、簡潔ながらポイントが明瞭で論理的で...

オリヴァー・サックス著『音楽嗜好症』 ~ 「音楽と記憶喪失」

オリヴァー・サックスの『妻と帽子をまちがえた男』の「ただよう船乗り」のジミーと同じく、記憶が短時間しか保持できない症例が『音楽嗜好症』の「音楽と記憶喪失」のグライヴ・ウェアリング。グライヴの症例は、BBC News Magazineのウェブサイトの記事"How can musicians keep playing despite amnesia?"(21/11/2011)でも紹介されている。また、妻デヴォラの著書も『七秒しか記憶がもたない男 脳損傷から奇跡の回復を遂げるま...

減少するピアノ生産台数 ~ 製造拠点の海外シフト、電子ピアノの増加

------------------------------------------------------------------------------減少の一途をたどるピアノ生産------------------------------------------------------------------------------インターネットを検索していたら、たまたまピアノの生産台数の記事が目についた。静岡県西部地域しんきん経済研究所のリサーチレポート(No.6/2010年03月17日)の「10万台を割り込んだピアノ生産台数」という記事。そういえば、昔は...

ジャンケレヴィッチ著『ドビュッシー 生と死の音楽』 ~ 3.出現 【読書メモ】

------------------------------------------------------------------読書メモ(要点抜粋)------------------------------------------------------------------3 出現水に映る影ドビュッシーは、一見するところ、無定形に溶解するものの詩人であることに限りはない。彼にとって、無定形とは無数の形への可能性を意味する。...重要なのは、ドビュッシーが連続か不連続かの二者択一を超越していることだ。連続する生成が前進で...

ジャンケレヴィッチ著『ドビュッシー 生と死の音楽』 ~ 2.実在 【読書メモ】

------------------------------------------------------------------読書メモ(要点抜粋)------------------------------------------------------------------2 実在光と高さ(ドビュッシーの秋の詩とは違った側面について)《グラナダの夕暮れ》《アナカプリの丘》《デルフォイの舞姫》《パゴダ》《イベリア》は、大洋の風景画ではない。これは東洋の、あるいは真昼の地中海の景色、光に燃え立ち、目も眩む光線に焼かれた風...

ジャンケレヴィッチ著『ドビュッシー 生と死の音楽』 ~ 1.衰退 【読書メモ】

------------------------------------------------------------------読書メモ(要点抜粋)------------------------------------------------------------------1 衰退屈地性ドビュッシーの下降線は、無限の彼方にある地点、絶対下よりもっと低く、非在すらも越えてしまう地点を目指している。ドビュッシーの旋律線の特徴をなす傾きは、下向きの傾斜として譜表上に現れている(フォーレの特徴が上向きの浮上であるのとは正反対...

音楽サヴァン症候群 ~ 2000曲のオペラを記憶している「生き字引き」

脳神経学者オリヴァー・サックスの著作で、度々取り上げられている症例の一つが"サヴァン"。"サヴァン症候群(savant syndrome)"とも呼ばれ、博識・碩学・賢者などを意味するフランス語の"savant"が語源。サヴァン症候群の研究書として有名なものが、ダロルド・A・トレッファート『なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異』(草思社,1990年)。トレッファートの定義によれば、サヴァン症候群とは、「発達障害(精...

ジャンケレヴィッチ著『ドビュッシー 生と死の音楽』

今年も、昨年同様、随分暑い夏になりそうだけれど、なぜか夏になるとよく聴くのがドビュッシー。昨年はアラウやベロフ、今年はポール・ジェイコブスのCDを手に入れたこともあるし、そもそもドビュッシーの音楽は夏に聴いても、全然暑苦しくないので。昨年はじめてアラウのドビュッシーを聴いていると、ミケランジェリとツィメルマンではどうもピンとこなかった《版画》《映像》《前奏曲》が、とても不思議な音楽に聴こえてきて、面...

”音楽家のジストニー”&”認知症と音楽療法” ~ オリヴァー・サックス著『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』より

オリヴァー・サックスといえば、すぐに思い浮かぶのが代表作『妻を帽子とまちがえた男』。たぶん大学生の頃に話題になっていたし、変わったタイトルだったので、本を読んだ記憶はなくても、書名だけはずっと覚えていた。『火星の人類学者』という著書も出ているので、今なら両方とも興味をもって読めるに違いない。サックスの著書『レナードの朝』を映画化した同名の映画もあり、これは封切後に映画館で見た映画。パーキンソン病患...

スティーブン・イッサーリス著 『もし大作曲家と友だちになれたら… 音楽タイムトラベル』

チェリストのイッサーリスは、CDの作品解説を自分で書くし、本まで出していて、なかなか筆の立つ人らしい。イッサーリスが書いた子供向けの作曲家列伝が『もし大作曲家と友だちになれたら…―音楽タイムトラベル』。英国ではかなり評判になり、amazonUKのベストセラーランキングでは、あのハリポタの真下に(1日だけ)ランクインしたこともあるというほど、音楽書にしては珍しくよく売れたらしい。大作曲家の人生や作品を描いた楽し...

イアン・カー著『キース・ジャレット 人と音楽』

バッハの平均律曲集の録音をいろいろ聴いていたら、そういえばキース・ジャレットのCDもあったはず...と思い出した。キースの平均律は、さらさらと清流が流れていくような蒸留水みたいなところがあるので、そう度々聴くことはないけれど、演奏自体は印象がとても良いので、好きな録音の一つ。ときどきポピュラー音楽のような軽く滑るようなタッチや音が聴こえるけれど、私にはグルダの平均律の方がポップス的にデフォルメされたク...

パウル・バドゥーラ=スコダ著 『ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 演奏法と解釈』

パウル・バドゥーラ=スコダと言えば、”ウィーン三羽烏”のピアニストとして有名。あとの2人は、イェルク・デームスとフリードリヒ・グルダ。この中ではグルダが一番ピアノが達者でずば抜けて人気があるし、吉田秀和氏の『世界のピアニスト』では、バドゥーラ=スコダとデームスは、独立したピアニストとしては難点がありすぎるけれど、自分の音楽を持っているし、音楽の雰囲気を周囲に発散させる力を持っているし、そういう生まれ...

ブレンデル『音楽のなかの言葉』 ~ ベートーヴェンの後期様式の特徴

ブレンデルの著書『音楽のなかの言葉』で、”ベートーヴェンの後期様式の特徴”という章が載っている。ピアノ・ソナタ第28番~第32番に関する解説のようなもので、ハンマークラヴィーアを除いては好きな後期ソナタなので、簡単なメモを記録がわりに作成。(作品106については省略)音楽のなかの言葉(1992/03)アルフレート ブレンデル商品詳細を見る日本語版はどうも絶版らしい。表紙の画像はハードカバーのものを使用。●表現方法の総...

ブレンデル 『音楽のなかの言葉』より ~ ベートーヴェン/ディアベリ変奏曲

ブレンデルは、ピアノだけでなく、筆も立つ人らしく、何冊か本を出している。『音楽のなかの言葉』は、ブレンデルによる作品解説といくつかのエッセイをまとめたもので、自伝的な読み物は全くない。ピアニストが雑誌とかのインタビューで簡単に答えている記事はよくあるけれど、ブレンデルのように本としてまとまって読めるものはほとんどない。元々は、レコード解説用、リサイタルのプログラム用、さらには講演録、雑誌掲載文で、...

『究極のCD200 クラシックの自由時間』(改訂新版)

吉松隆が構成・編者をつとめた『クラシックの自由時間』の改訂新版は、お薦めCDカタログ本にしては、結構面白かった。推奨盤カタログみたいな本は、定番ものが多く載っているので、CDを収集し始めた頃はともかく今はあまり読むこともなくなってしまった。それでも、たまに面白い曲を発見することがあるので、執筆者・選者が信頼できそうな時は、一応チェックする習慣。この前読んだ岡田暁生氏の『CD&DVD51で語る西洋音楽史』は文章...

デイヴィッド・デュバル 『ピアニストとのひととき』

興味のあるピアニストがいたら、本に載っていないかといつもチェックするのが、デイヴィッド・デュバル著『ピアニストとのひととき』と吉田秀和著『世界のピアニスト』。『ピアニストとのひととき』の方は、著名なピアニストへのインタビュ集で、その多くがラジオ番組「音楽への愛のために」のタイトルで放送されたものを、活字化してまとめたもの。ピアニストによってインタビュー項目がかなり違っているので、比較対照はしにくい...

久保田慶一 『孤高のピアニスト 梶原 完 ~ その閃光と謎の軌跡を追って』

戦前・戦後期に欧州を拠点として活動していた日本人ピアニストで日本でも名前が知られているのは、原千恵子や田中希代子だろうか。2人ともパリ国立音楽院でラザール・レヴィに師事して優秀な成績で卒業し、国際コンクールの入選・入賞歴もあって、キャリアはとても華々しく、欧州で演奏活動を続けていた。彼女たちに比べて、その名前を聞いたことのある人はとても少ないと思われるピアニスト梶原完(かじわら・たかし)も、1950~...

岡田暁生 『CD&DVD51で語る西洋音楽史』

『CD&DVD51で語る西洋音楽史』というタイトルどおり、各時代・作曲家を代表するようなCDとDVDを取り上げて、時代背景やクラシック音楽の歴史的な変遷、作曲家の本質的な特徴などを、わかりやすく解説。著者の岡田暁生氏は音楽史の学者さんなので、極めて主観的で思い込みの激しい一部の音楽評論家とは違い、歴史的・社会的コンテキストを背景に作曲家や作品を解説してくれるので、歴史と社会学を勉強した私にはとても面白い。彼は...

練木繁夫 『Aをください ― ピアニストと室内楽の幸福な関係』

岩崎淑さんの『伴奏は音楽のパートナーシップ』がとても面白くて、他にピアノ伴奏をテーマにした本を探してみた。クラシック関係では、かなり昔に出版されたジェラルド・ムーアの『伴奏者の発言』(原題:The Unashamed Accompanist)、新しいものだと、ピアニストでシュタルケルのピアノ伴奏者としても知られる練木繁夫さんの『Aをください―ピアニストと室内楽の幸福な関係』くらいしか見当たらない。ムーアの方は歌曲伴奏のこと...

岡田暁生 『ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史』

岡田暁生さんの音楽史シリーズから、今回は『ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史』。これはとっても真面目なピアノ教育にまつわる音楽史。でも、”狂想曲”ならぬ”狂騒曲”的風景はかなり笑える話。「よい演奏」というものは、時代によって定義も変わる。ピアノ演奏における「よい演奏」という演奏美学のコペルニクス的大転換は19世紀。その後の音楽教育を一変させてしまったほどのターニングポイントだった。その前...

青柳いづみこ著 『ピアニストが見たピアニスト』(文庫版)

ピアニスト兼文筆家の青柳いづみこさんの著書『ピアニストが見たピアニスト』が、いつの間にか文庫版で出てました。近くのショッピングセンターにある本屋さんで、文庫棚のところに平積みされてました。単行本は白水社でしたが、文庫版は中公文庫から。(文庫版といっても、最近の新刊は価格が大分高くなりましたね。)6人のピアニスト~リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、バルビエ、ハイドシェックに関する評...

岩崎 淑 『アンサンブルのよろこび』

最近は室内楽(ピアノが入っているものに限って)をよく聴くようになったせいか、ピアノ伴奏法に興味が出てきて、さっそく本を探してみることに。クラシックピアノの伴奏法に関する本は、ほとんど出版されていないようで、ポピュラーピアノに関する伴奏法が少し。コードを使って伴奏をつけるものなので、これはパス。ネットで検索すると、室内楽の伴奏ピアニストで知られている岩崎淑さんが書いた「伴奏は音楽のパートナーシップ」...

岡田暁生著 『音楽の聴き方』、『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』

岡田暁生さんという方が書いた『音楽の聴き方』のレビュをいくつかのブログで良く見かけるので、そのうち読もうと思っていたら、9月の上旬に『音楽の聴き方』で吉田秀和賞を受賞したとニュースに出ていた。音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)(2009/06)岡田 暁生商品詳細を見る著者は、音楽史がご専門らしく、今は京都大学人文科学研究所の准教授。『音楽の聴き方』は、学者らしく多数の引用や例示によって、音楽の聴...

セーケイ・ユーリア著 『バルトーク物語』

バルトークの伝記は数種類出ているが、この『バルトーク物語』は、リスト音楽院でバルトークに師事していた著者が、主にバルトークの幼少期~ハンガリーを出国して米国へ移住するまでの音楽活動についてまとめたもの。著者が「伝記ではなく肖像画」と書いているように、訳文が”ですます”調なところも相まって、事実を積み重ねた伝記風という感じではなく、著者が直接見聞きした様子も交えて、バルトークのいろいろな側面を伝えてい...

伊東信宏著 『バルトーク ― 民謡を「発見」した辺境の作曲家』 (中公新書)

バルトークのピアノ協奏曲の録音をいくつか聴いたので、少しバルトーク関係の資料を探してみたら、伝記や作品解説など、現代音楽分野にしては結構いろいろ出版されている。そのなかで、ちょっと目先の変わった資料としては、伊東信宏著『バルトーク 民謡を「発見」した辺境の作曲家』(中公新書、1997年7月)が面白い。バルトーク―民謡を「発見」した辺境の作曲家 (中公新書)(1997/07)伊東 信宏商品詳細を見るバルトークについて...

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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