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バッハ/マタイ受難曲より ”憐れみたまえ わが神よ”
昔、ある時期に眠る前に必ず聴いていたのが、バッハの《マタイ受難曲》の有名なアリア"憐れみたまえ わが神よ(Erbarme dich, mein Gott)"。

リヒターとガーディナーと両方の全曲盤を持っているけれど、普段聴くのはガーディナーの抜粋盤。
古楽器の透明感のある軽やかな響きが好きだったのと、独唱がカウンター・テナーのマイケル・チャンスだったので。
当時、カストラートの映画がリリースされたりして、カウンター・テナーがちょっとブームだった。
カウンター・テナーが歌っているCDをいろいろ集めて、そのなかで一番好きな声がこのチャンス。他に好きだったのは、艶っぽい声のジェラール・レーヌ。
ほかにも日本人・外国人のカウンターテナーの録音を何人も聴いたけれど、一番好みの声質はこの2人。


これは珍しいマイケル・チャンスのライブ録音。
女声のアルトとは少し違う中性的な声には、余計な色彩感がついていないので、透明感と落ち着きのある品の良さがある。
この清楚な響きがとても美しく、古楽オケの空中へ抜けていくような軽やかな響きに良く似合っている。

Bach - Matthaus Passion - 39. Aria A - Erbarme dich



St Matthew's PassionSt Matthew's Passion
(1989/11/14)
John Eliot Gardiner, English Baroque Soloists,The Monteverdi Choir,Michael Chance, Andreas Schmidt 他

試聴する(米amazon)
CD1枚のダイジェスト版もあり。


tag : バッハ

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バッハ=リスト編曲/前奏曲とフーガ ハ短調 BWV543
《前奏曲とフーガ ハ短調 BWV543》は、バッハのオルガン曲の中でも有名な曲の一つ。
ホルショフスキのライブ録音のCDに入っていた曲で、”Prelude and Fugue”なので、平均律集の曲だと思い込んでいたら、これが全く聴いたことがない旋律。
曲名を良くみるとリスト編曲になっている。調べてみるとバッハのオルガン曲をリストが編曲したもの。

オルガニストというと、聴いたことはなくともすぐに思い浮かぶのは、リヒター、レオンハルト、コープマン。
この曲の録音を探していたら、マリー=クレール・アランというとても有名(らしい)な女性オルガニストの演奏があって、このオルガンの響きが私にはとても聴きやすい。
パイプオルガンの響きは、荘重で時として峻厳すぎて重たく感じるので、アランの演奏だと高音がよく響き、全体的に厚くなりすぎないクリアな音で、さらさらと流麗。


リストのピアノ編曲版の録音はいくつかあるけれど、これは20歳になる前のリーズ・ド・ラ・サールの演奏。(放送用録音らしい)
この曲は、ラ・サールの2枚目のCDアルバム『バッハ&リスト作品集』にスタジオ録音している。
まだ17歳頃の録音で、リストのオリジナル曲はともかく、リスト編曲のバッハは変なクセのない至極まっとうな演奏で、端正で流麗な叙情感がとても品良く美しい。
ほぼインテンポで、一音一音明瞭で圧力のある音と落ち着きのある音色がこの曲によく似合う。
細かな抑揚のなかで、内省的な静けさと内面のドラマとが交錯するような張り詰めた緊張感が漂い、冷んやりとした清流のような透明感は深みのあるブルーのイメージ。

Lise de la salle plays Bach



バッハ、リスト;バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 [Import from France] (Lise de la Salle plays Bach, Liszt)バッハ、リスト;バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 (Lise de la Salle plays Bach, Liszt)
(2005/05/17)
Lise de la Salle

試聴する(米amazon)


この曲のCDレビューは<Kyushima's Home Page>”J.S.バッハ/リスト 前奏曲とフーガ イ短調BWV543”
ラ・サールとファジル・サイの録音については、このレビューどおり。


tag : バッハ フランツ・リスト

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”あんずボー”の季節
暑くなったせいか、カルディコーヒーファームの店頭に、あの”あんずボー”が置いてあるのを発見。

昨年、生まれて初めて食べた”あんずボー”。
あんずの甘酸っぱい味がとっても気に入って、冷凍庫にいつもストックしていたのに、秋になるとカルディの店頭から消えてしまって、とっても残念だった。
首都圏では、昔から定番駄菓子の一つなので一年中売っているらしい。
関西では珍しい駄菓子なので、カルディでは夏だけの限定販売。
今年はマメにカルディで買い置きしておけば、夏が終っても、しばらくはあんずボーが楽しめそう。

製造元に直接電話取材した『あんずボー』調査という記事を読むと、関西では問屋さんがあまり引き受けたがらないお菓子らしい。
”関西ではおなじみのお菓子だった「おにぎりせんべい」”と書いているけれど、駄菓子ですぐに思い浮かぶのがチロルチョコレート。
他にベビーラーメンとか、アポロチョコレート、ハートチョコレート(義理チョコの定番だった)、etc...。
幼少のみぎりに買ったときは、1個10円とか20円だったと思うけど。


スーク&カッチェン ~ ブラームス/ヴァイオリンソナタ第1番《雨の歌》
梅雨の時期になると(といっても、すでに真夏のような暑さ...)、必ずどこかのクラシックブログで紹介される曲がブラームスの《ヴァイオリンソナタ第1番 "雨の歌"》。

《雨の歌》といっても、ブラームス自身がつけたのではなく、第3楽章の冒頭の旋律が歌曲「雨の歌」から引用されていることからつけられた通称。
でも、第1楽章を聴くと”雨”の降る情景をイメージしても、全然違和感がないくらい。
この副題やエピソードがいくつかあり、ちょうど2年前にもこの曲について書いていた。
スーク&カッチェン~ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番 《雨の歌》


ブラームスのヴァイオリンソナタ全集の名盤というと、シェリング&ルービンシュタインが一番先に来るのだろうけれど、この曲集を聴くときは、スーク&カッチェン。(これ以外の選択肢は私にはありえないので)
カッチェンのピアノがヴァイオリンに寄り添うように奥ゆかしく、若い頃のスークの美音と瑞々しい叙情感がとても爽やか。
じとじとした梅雨の雨ではなくて、明るい空から淡い小雨が舞い降りてくるように軽やか。
高音の柔らかいピアノの響きはしゅわ~ととろける砂糖菓子のように甘い。
カッチェンのピアノは、どうしてソロの時とこんなに違うのかしらと聴くたびに不思議。


Josef Suk,J. Katchen,Brahms Violin Sonata G-major 1(第1楽章)




Violin Sonatas: Decca LegendsViolin Sonatas: Decca Legends
(2001/02/06)
Josef Suk, Julius Katchen

試聴ファイル


 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ


tag : ブラームス スーク カッチェン

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ポール・ジェイコブス 『Busoni ;the Legendary Recording』 (2) バッハ=ブゾーニ編曲/10のコラール前奏曲
米国人ピアニストのポール・ジェイコブスのディスコグラフィで有名なのは現代曲。
シェーンベルク、ドビュッシー(映像、版画、練習曲全巻)、それにブゾーニの評価が高い。
確かにドビュッシーとブゾーニは素晴らしく良くて、この曲で聴いたなかでは多分個人的なベストか同じくらい。
ジェイコブス自身、亡くなる前の最後のインタビュの一つで、「私はブゾーニの幻想的なハーモニー感覚に完全に惹きこまれています。それに、私が絶対に独自的だと思うような感情的な広がり(emotional range)があります。ブゾーニが過小評価されている偉大な20世紀の巨匠だということは、全く疑う余地がありません。」と、ブゾーニに傾倒していた。

Busoni;the Legendary RecordingBusoni;the Legendary Recording
(2000/07/24)
Paul Jacobs

試聴ファイル(allmusic.com)
CDのブックレットに載っている作品解説はジェイコブス自ら書いたもの(たぶんLPの転載)。13頁に渡る長文で英語のみ。
3ヶ国語で書かれている最近のブックレットの解説は内容が薄いけれど、米国のマイナーレーベルだと英文しか載せていないし、稀少曲の録音も多いので、作品解説が充実していることが多い。
ジャケットのポートレイトはジェイコブス自身がとても気に入っていたもの。

<収録曲>
 -ブゾーニ:多声演奏の訓練のための6つの小品
 -ストラヴィンスキー:4つの練習曲
 -バルトーク:3つの練習曲
 -メシアン:4つのリズムの練習曲
 -ブゾーニ:6つのソナチネ
 -バッハ=ブゾーニ編曲:10のコラール前奏曲集
 -ブラームス=ブゾーニ編曲:コラール前奏曲Op.122(6曲)

『Busoni;the Legendary Recording』というアルバムタイトルの通り、ブゾーニはどれも素晴らしく、初めて聴いた練習曲とソナチネ集も予備知識なしでも、昔から良く知っている曲のようにすんなりと入ってくる。
同じく初めて聴いたストラヴィンスキー、バルトーク、メシアンも、曲自体が魅力的。
異聴盤は聴いたことがなくても、ジェイコブスのピアノの多彩な音色にシャープなリズム感、和声の響きが美しく、安定した技巧と高い造形力で極めて明晰な演奏。練習曲と言っても単調さはなく、どれも音楽的で、ストラヴィンスキーの《Vivo》なんて本当に面白い。
20世紀のピアノ作品を集めたアルバムとしては、バッハ=ブゾーニ以外は録音が多くない曲なので、選曲がとてもユニーク。

ブゾーニのオリジナル曲を聴くと、古典・ロマン・現代の音楽的センスがブレンドされたような感覚がするのは、20世紀に入ってブゾーニの晩年に書かれたものが多いから。
《バッハのコラール”幸なるかな”による即興曲》のように調性が曖昧になっている曲もあるし、独特の和声感覚が不可思議な浮遊感と、ドライでウェットな独特の叙情感を感じさせる。
シャコンヌやトッカータ、バッハのコラールのような編曲とは違うブゾーニらしさは、オリジナル曲でよくわかるような気がする。
時に、初期に書いた(とても好きな)ヴァイオリンソナタ第2番で使われているリズムや和声も出てきたりして、ああやっぱりブゾーニの曲なんだなあとわかる。

ジェイコブスのブゾーニはどれも気に入ったけれど、聴きやすいのはやはり編曲版のコラール前奏曲。
バッハとブラームスの編曲があり、ブラームスについてはこの前書いたので、今回はバッハ。

                           

ブゾーニの《10のコラール前奏曲 KiV B27》は、バッハのコラール前奏曲9曲をピアノ独奏用に編曲したもの。
1曲だけ2つのバージョンに編曲しているので、全部で10曲になる。
ブゾーニのコラール前奏曲の録音は多いけれど、たいてい抜粋して弾かれているので、全曲通しで聴いたことがない。全曲録音も多くはない。
曲順は原曲の作品番号順ではなくて、10曲が一つの流れになるように配置されている(ように思える)。
明るいオープニングで始まり、明(動)と暗(静)がだいたい交互に並び、最後は躍動感のある第8曲に続いて、穏やかで内省的な第9曲で終る。

Bach-Busoni/10 Chorale Preludes, BV B 27 (楽譜ダウンロード)(IMSLP)


ジェイコブスが弾く前奏曲は、バッハ弾きのようにアーティキュレーションに凝ったものではなくても、歌うような旋律の流れは内面から自然に湧いてくるようで、よく評されているとおり”spontaneous”。
特に声部の弾き分けが鮮やか。カラフルな色彩感のある音色で違いを出すのではなく、響きの厚みの違いと硬軟のコントラストで、声部がくっきり分離して聴こえる。
低音部はもやがかかったような篭もり気味の音色で、木質感のある丸く柔らかな響きとフェルトのようなやや厚みのある重層感。オルガンで聴く響きとちょっと似ている。
その上を流れる主旋律と副旋律はやや硬質でクリアな音質で、レガートに旋律を歌わせてとてもしなやか。
声部がそれぞれ”songful”なので、まるで2人か3人で弾いているというか歌っているというか、重奏ならぬ重唱のような趣き。
音楽に生気と深い感情移入を感じるけれど、コンテンポラリーがメインのレパートリーというほどに現代的な感性があるせいか、ロマン派的感傷や情緒的なウェットなところが全くないのが良いところ。


第1曲 ”来れ、作り主にして、精霊なる神よ”/Komm, Gott Schopfer, Heiliger Geis. BWV 667
オープニングの曲らしく、明るく開放感に満ちたコラール。
ジェイコブスの柔らかさのあるタッチと美しい和声の響きがとてもよく似合っている。

第2曲 ”目覚めよ、と我らに呼ばわる物見らの声”/Wachet auf, ruft uns die Stimme. BWV 645
バッハのコラール前奏曲の中でも有名な曲。明るい雰囲気でクリスマスの頃になるとよく演奏されている。
ジェイコブスはわりと速めのテンポでとても軽やか。トリルや装飾音はとてもシンプルでさりげなく。
柔らかなタッチとしなやかで優しげな旋律の流れがとても心地良くて、このコラール前奏曲中の中でも一番好きな演奏。
特に3声の歌わせ方がそれぞれ違っていて、3人が重唱しているみたい。
伴奏とはいえ低音部が軽やかなタッチでニュアンス豊か。フェルトのような柔らかく厚みのある響きは、パイプオルガン(のペダル鍵盤?)の響きに近く感じる。
声部の分離と弾き分けが、バッハ弾きとも、そうでないピアニストとも違っている気がするのは、彼がチェンバロ奏者でもあるからなのかも。

Bach / Busoni / Paul Jacobs, 1979: Wachet auf, ruft uns die Stimme



第3曲 ”いざ来れ、異教徒の救い主よ”/Nun komm' der Heiden Heiland. BWV 659
これも有名なコラール。ジェイコブスはテンポが細かく変化し、主旋律は悲愴感を帯びて、強い感情移入を感じささせる。
柔らかい音色で静けさに満ちた副旋律とは対照的に、高音で弾かれる主旋律は強めのタッチとクリアな響きでくっきりと浮かび上がり、タイトルどおり切々とした祈りの声のように聴こえてくる。

Bach / Busoni / Paul Jacobs, 1979: Nun komm' der Heiden Heiland



第4曲 ”今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たち”/Nun freut euch, lieben Christen. BWV 734
これはソコロフの演奏がベストだと思っていたけれど、声部ごとの表情の違いと歌わせ方はジェイコブスの方が多彩で、とても面白い。
ソコロフの場合はすこぶる速いテンポと切れの良いタッチで、どちらかというとメカニカルな面白さが強い。持続音の響きがとてもくっきり明瞭。
ソロコフの方がメカニックは切れ良く安定しているけれど、ジャイコブスは声部ごとのニュアンスが豊か。特に左手の旋律はアクセントがよく効いてとてもリズミカル。こんな風に弾く人は少ないかも。

Bach / Busoni / Paul Jacobs, 1979: Nun freut euch, lieben Christen, BWV 734



第5曲 ”主イエス・キリスト、我汝を呼ぶ”/Ich ruf' zu dir. BWV 639
この曲も第3曲 ”いざ来れ、異教徒の救い主よ”と同じく、深い叙情感が漂う演奏。
表現は大仰ではないけれど、旋律には呼吸するように細かな抑揚やタメが入っているのに、それでも音楽の流れがは滑らか。直観的に内面から湧き出ているような自然な情感を感じさせる。

第6曲 ”朱なる神、いざ天の扉を開きたまえ”/Herr Gott, nun schleuß den Himmel auf. BWV 617
疾走感のある速いテンポと重厚な和声が、とても華麗でドラマティック。
こういう速いパッセージと音の詰まった和声の曲をオルガンで弾くとどう聴こえるだろう...と思って、オルガン原曲を効いてみると、テンポがかなり遅いのと、和声の響きがあまり重なっていないので、随分雰囲気が違う。
やっぱりブゾーニ編曲はかなりロマンティックなのだと、原曲を聴いて実感。

第7曲a ”アダムの罪によりてすべて損なわれぬ”/Durch Adams Fall ist ganz verdebt. BWV 637
第7曲b ”アダムの罪によりてすべて損なわれぬ”/Durch Adams Fall ist ganz verdebt. BWV 637


第8曲 ”汝のうちに喜びあり”/In dir ist Freude BWV. 615
これは第1曲のように明るくて華やかな曲。
重音主体なので、スタッカート的なノンレガートが軽やか。
この曲では、左低音部が太めの力強い響きがよく効き、弾力があってリズミカル。
生き生きとした躍動感と喜びが溢れる出るような雰囲気が、ジェイコブスらしいところ。

第9曲 ”我らが救い主、イエス・キリスト”/Jesus Christus, unser Heiland. BWV 665
内省的な静けさが漂っているけれど、第3曲や第5曲のような悲愴感は強くなく、淡々としたなかに。どこかしら光明が見えているような穏やかさを感じる。
ジェイコブスは、この曲では強い感情移入をこめた弾き方ではなく、ほぼインテンポで、粘りのあるタッチは使わず、しなやかで流麗なレガート。


このブゾーニ編曲版とケンプ編曲版を比較した面白い作品解説が<Database of Transcriptions, Paraphrases for piano solo and my commentary>というサイトの”Bach-Busoni, Bach-Kempff / "Orgel-Choralvorspiele"”
いわゆるバッハ弾きと言われるピアニストは、ケンプ版を弾く人が多い気がするけれど、実際、どちらの編曲版がよく弾かれているのでしょう?

<関連記事>
ポール・ジェイコブス~ブラームス=ブゾーニ/11のコラール前奏曲(ピアノ独奏編曲版)

ブゾーニ/バッハのコラール《幸なるかな》による即興曲(2台のピアノのための)

ツィンマーマン&パーチェ~ブゾーニ/ヴァイオリンソナタ第2番



tag : ブゾーニ バッハ ジェイコブス

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米国のピアニスト ポール・ジェイコブス
チェリストのイッサーリスの本『もし大作曲家と友だちになれたら...』を読んでいて、初めて知ったブラームスの《11のコラール前奏曲》。
オルガンで聴いてももう一つピンと来ないものがあったので、ピアノ独奏版があるのではないかと探してみると、やっぱりブゾーニが編曲していた。
このピアノ編曲版の録音を探していて、これまた偶然に知ったピアニストのポール・ジェイコブス。

Youtubeで聴いたジェイコブスの演奏があまりに良かったので(特に第10番”Herzlich tut mich verlangen(心からの願い)”、ディスコグラフィやプロフィールを探しても、日本語サイトではほとんど見つからない。(同姓同名のオルガニストがいるけれど、全くの別人)
ジェイコブスは米国人ピアニストで、1960年以降はアメリカが活動拠点だったので、amazon.comのCDレビューには、LP時代から聴いていたというファンの人が多くて、評価も高い。
プロフィールは、Wikipedia(英語版)の<Paul Jacobs (pianist)>の項が充実しているし、『Busoni;the Legendary Recording』のCDのブックレットにも詳しく載っている。

彼のプロフィールを見ていると、カッチェンとちょっと似たところがある。
1926年生まれのカッチェンも米国人で同じ世代。戦後、パリを拠点に演奏活動をしていた時期があるというところも一緒。
違うのは、カッチェンはDECCAと専属契約し録音も多数あり、比較的華やかなピアニスト人生でパリにそのまま住み続けたけれど、ジェイコブスは若い頃、9年間欧州で演奏活動を続けた後、米国に戻ったこと。
カッチェンは、当時パリに住んでいたアメリカ人作曲家のネッド・ ローレムと友人になり、彼のピアノ・ソナタやピアノ協奏曲を初演していたし、後にコープランドなどの米国人作曲家の作品を初演したことも度々あるので、ジェイコブスとカッチェンは面識はなくとも互いに知っていただろうと思う。

同世代のピアニストとはいえ、演奏内容は全く違う。
ジェイコブスのレパートリーは、当時の米国人ピアニストにしては珍しく、シェーンベルクやベリオ、ストラヴィンスキー、バルトーク、ドビュッシー、メシアンなど現代音楽が中心。
同じ世代のカッチェン、フライシャー、カペルなどが、古典~ロマン派を中心としたレパートリー(現代曲は少なく、プロコフィエフやハチャトリアン、ストラヴィンスキー、バルトークなどの名曲)だったのと対照的。
それに、ジェイコブスは現代音楽のソロだけでなく室内楽の演奏も多く、さらにはチェンバロ奏者でもあり(バロックも現代曲も弾いていた)、当時としてはかなり変わったタイプのピアニストだったに違いない。

ジャイコブスのことを今まで知らなかった理由の一つは、彼が1983年に53歳でAIDSが原因で亡くなっていること。当時はAIDSという病名がまだ知られていなかったという。
そもそもCD世代なのでLPはほとんど聴いたことがないし、ジェイコブスの録音は長い間CD化されなかったので、目に留まることがなかったので。
WikipediaとCDの解説文のプロフィールを読むと、彼は1930年生まれで、戦後の1951年にジュリアード音楽院を卒業してすぐにパリに渡る。ブーレーズと知り合ったのもこの頃で、以後長い交友関係が始まる。
ソロリサイタルでは、ストラヴィンスキ、ドビュッシー、シュトックハウゼンなどを弾いたり、室内楽ではベルク、ウェーベルク、バルトークなどを演奏していた。
国立パリ管弦楽団やケルン交響楽団(Cologne Orchestra)等と共演し、ヘンツェのピアノ協奏曲の初演をしたり、ラジオ放送用の演奏も多かった。フランス人画家のBernard Sabyと友人になり強い影響を受けたという。

パリ時代はそれほど余裕のある生活でもなかったらしく、1960年に米国に帰国。
タングルウッド音楽祭でコープランドのアシスタントをつとめたり、現代音楽だけのプログラムのリサイタルや、チェンバロ奏者としてカーネギーホールでデビューリサイタルを開いたこともある。
1960~70年代は、ソロ活動と同じく現代音楽の室内楽曲の演奏会も頻繁に行っていた。
1961年からニューヨークフィルハーモニーの公式ピアニストに指名され、1974年からは公式チェンバロ奏者となった。バーンスタイン、ブーレーズや作曲家エリオット・カーターの指揮でNYPOと録音していた。
特にカーターとは長期間に渡って協力関係にあり、彼のピアノ独奏曲やアンサンブル曲、協奏曲の録音を行ったり、ピアノ作品を委嘱している。(この録音はCD化されている)
また、クラム、ベリオ、メシアンなどの作品を初演したり、ジェフスキーへの委嘱曲『ノース・アメリカン・バラード(North American Ballads)』が残されている。
現代音楽がメインのレパートリーだったジェイコブスは、米国の作曲家との交友も多く コリリアーノもその一人。
コリリアーノは、AIDSで次々に亡くなっていく友人たちを追悼して交響曲第1番を書いたし、ボルコムはピューリッツァー受賞作”12 New Etudes”をジェイコブスに献呈している。

                          

同じ米国人ピアニストのGilbert Kalishが、ジェイコブスのピアニズムを評して、'知的な(intellectual)演奏者とはほぼ遠く、極めて直観的で内発的(spontaneous)なタイプの音楽家。そのパッセージの水しぶきのような輝き、煌くような打鍵、リズムとフレージングの気品(aristocratic)のあるセンスを忘れる人はほとんどいないだろうし、彼のようなしなやかな優雅さと敏捷さでもってピアノを弾く人を見たことがない。”
また、Nonesuchのプロデューサー、Teresa Sterneは、”機知に富み博識で、鋭い知性と洗練性(patrician)を持った”と評している。
ジェイコブスのピアニズムについて、”pontaneous”,”intellect”,”aristocratic”,”patrician”と形容されていることと、録音を聴いたときの印象を重ね合わせると、直観に優れて情感豊かで歌心があり、内発的な自然さと知性的な解釈とがバランスよく融合し、きりっと筋の通った品のある演奏...といったところ。

現代音楽を得意としたジェイコブスは、「なぜ演奏家が自分が生きている同時代の音楽に”at home”な気持ちを感じないのか、全く理解できないのです。私が青春時代に聴いた音楽で感動したのは今世紀(20世紀)初期からその後の時代の音楽で、ストラヴィンスキーの後年の作品も入っています。それらの音楽は、形式的な問題をもちだすこともなく、まるで新聞を読んでいるかのように言っていることが簡単にわかります。私にはどう向き合えば良いのかわかっているのです。」と言っていた。

ジェイコブスの録音で特に有名なのは、ブゾーニ、ドビュッシー、シェーンベルク。
それ以外にも、コープランド、ジェフスキー、カーターなどのアメリカ人作曲家の作品の録音が残っている。
ジェフスキーの《ノース・アメリカン・バラード(North American Ballads)》はジェイコブスの委嘱曲。
全4曲のうち第1曲”Dreadful Memories (恐ろしい記憶)”(Wikipediaの解説)

Frederic Rzewski: Dreadful Memories (1978) (Paul Jacobs, piano)





<関連記事>

 ポール・ジェイコブス~ブラームス=ブゾーニ/11のコラール前奏曲(ピアノ独奏編曲版)


tag : ジェイコブス ジェフスキ

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バッハ&ブラームス~コラール前奏曲"Herzlich tut mich verlangen" (オルガン版、ピアノ編曲版)
ブゾーニがピアノ独奏用に編曲したブラームスの《11のコラール前奏曲》の第10曲"Herzlich tut mich verlangen"があまりに気に入ったので、いろいろ調べていたら、バッハのコラールにも同名の曲がある。
それに、ブラームスは第9曲も同じタイトルのコラール"Herzlich tut mich verlangen"。

バッハのオルガンコラール《わが心の切なる願い』(Herzlich tut mich verlangen,BWV727)と同じ旋律が使われているのは、《来たれ、汝甘き死の時よ》(Komm, du süße Todesstunde,BWV161)と、一番有名なマタイ受難曲のコラール《おお頭は血と傷にまみれ》(O Haupt voll Blut und Wunden)。
コラールの歌詞は違っていても、もともとの旋律はハンス・レオ・ハスラーの恋歌「わが心は千々に乱れ」。
Wikipediaの解説J.S.Bach/MIDI Orgel
 
ブラームスの《11のコラール前奏曲》の第9曲と第10曲"Herzlich tut mich verlangen"で使われている旋律は、このバッハのコラールと同じもの。
オルガンの場合、第9曲のコラール旋律が、第10曲ではペダル鍵盤で弾かれる。そのせいか、第10番をピアノ版で聴くと、第9番とは随分違った曲に聴こえる。
(21世紀音楽芸術研究会の作品解説)


バッハのコラール前奏曲"Herzlich tut mich verlangen" BWV 727

オルガン原曲版(オルガン:ワインベルガー)
Chorale Prelude "Herzlich tut mich verlangen" BWV 727



Gedikeのピアノ編曲版(ピアノ:ボシュニアコーヴィチ)
Oleg Boshniakovich plays Bach "Herzlich tut mich verlangen"




ブラームス《11のコラール前奏曲 Op.122》より第10番"Herzlich tut mich verlangen"(心からの願い)

オルガン原曲版(オルガン:イニッヒ)
Choralvorspiele op. 122: Herzlich tut mich verlangen


ブゾーニのピアノ編曲版(ピアノ:ジェイコブス)
Paul Jacobs: Herzlich thut mich verlangen (2nd version) (Brahms-Busoni)


tag : バッハ ブラームス ブゾーニ

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ジョバンニ・ミラバッシ 『Avanti!』
ジャズ・ピアニストのジョバンニ・ミラバッシというと、ずっと昔に澤野工房からでていたCDを買ったような記憶がある。
先日アップしたリッチー・バイラークの記事にいただいたコメントで、Akiraさんがお好きなピアニストと言われていたので、久しぶりにミラバッシのことを思いだしたのだった。
たしかCDを1枚持っていたはずなのに、CDラックを探しても見当たらない。おかしいな~、どこへ行ったんでしょう?

CDを見つけ出すのは諦めて、AkiraさんがおすすめのYoutubeで聴いたのは、ミラバッシのライブ演奏《Les Chant des Partisans》。
これはとても素敵な曲。明るくて草原に吹き渡る風のように爽やか。
ミラバッシはとてもロマンティックなジャズピアノを弾く。でも、やたらメロウにはならずに伸びやかで、清々しいリリシズム。
厚みのある和声が煌くように響き、右手の華麗なパッセージワークが甘美で流麗。




なんて素敵なピアノを弾く人なんだろう...と思って、Youtubeで他の曲もいくつか聴いてみた。
ピアノソロやトリオやいろいろあるけれど、『Avanti!』というソロアルバムに入っている曲が私の好みにぴったり。
CDで試聴してみると、各曲の冒頭部分だけ聴いただけで曲も演奏もとても気に入ったけれど、とりわけ好きなのが《El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido》。

冒頭、右手で弾く主題旋律を聴くと、間違いなく聞き覚えのあるメロディ!
ジェフスキの《不屈の民変奏曲》の主題に間違いなく、ミラバッシが同じ旋律をテーマにして弾いている。
ジェフスキの変奏曲は、チリでアジェンデ政権を支持しピノチェト軍事政権を批判する政治闘争歌 "El pueblo unido jamas sera vencido"の旋律が主題。
スペイン語のタイトルを覚えていたらすぐにわかっただろうけど、英語タイトルしか記憶に残っていなかったので、ミラバッシの演奏を聴くまでは、元歌が同じ曲だとは気がつかなかった。
この曲は名曲とされているだけあって、一度主題の旋律を聴くと忘れられないくらいに印象的。
このミラバッシのバージョンは、政治闘争歌にしては、あまりに流麗で哀感に満ちて美しい。

Giovanni Mirabassi - El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido



<ミラバッシのインタビュー>
 ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ 公演レポート&インタビュー

<関連記事>
  ジェフスキ/『不屈の民』変奏曲


                              

《El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido》を収録しているのは、CD(スタジオ録音)とDVD(ライブ録音)の2種類。
CDの収録曲は、全て革命歌、反戦歌、民衆の歌がテーマで16曲。
ブックレットは各曲の由来に関連した昔のモノクロ写真が満載。紙質もしっかりして40頁近い豪華なもの。
DVDは2002年のピアノソロのライブ録音のライブ(たぶんフランス国内のもの)。
曲目はCDより少なくて、A Si M'bonanga、Place De La Mairie、Addio Lugano Bella、Le Temps Des Cerises、Suite Pour Piano Solo、El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido、Le Chant Des Partisans の7曲。

AvantiAvanti
(2001/06/12)
Giovanni Mirabassi

試聴する(allmusic.com)


ジャズピアノが苦手な人でも、このアルバムならどの曲も聴きやすい。
有名な旋律が多いので、受け入れやすい反面、下手なアレンジだと飽きられやすいところ。
ミラバッシの演奏は、厚みのある和音とペダルを多用して、ピアノソロにして響きがシンフォニック。
それに左手伴奏部分のリズムがバリエーション豊か。細かい装飾の多い主旋律と対照的に、オスティナート的なタッチなので、それぞれがくっきり鮮やかに聴こえる。
わりと似たような雰囲気の曲(アレンジ)が多いので、曲・歌詞が書かれた背景を知っておくと、それぞれの曲に篭められているものがイメージしやすい曲もある。
逆に、原曲のイメージとかなり違う曲もあって、そのギャップが面白く感じられたりする。

1. Pueblo Unido Jamas Sera Vencido
DVDのライブ録音と聴き比べると、ライブの方がやや遅めのテンポで叙情感が強く、より甘美で流麗な感じはする。(演奏時間はライブの方が2分以上も長い)

2. Le Chant des Partisans
「パルチザンの歌」というタイトルにしては、とても明るくて爽やか。
この曲を聴くと、草原に吹き渡る風のようなイメージがしたのも納得。
ジャズらしいリズム感があって、少しキース・ジャレットのソロを思い出すような躍動感が素敵。
歌詞はもともとロシアのスモレンスクのレジスタンスに捧げられたもの。
”パルチザン”は内戦や侵略戦争におけるレジスタンスのことで、ゲリラと同じ。第2次大戦中のロシアのレジスタンスは特にパルチザンと言われていたという。
 ”自由の歌 Le Chant des Partisans” 歌詞・解説・音源

この曲は、国によっていろんなバージョンがあるらしく、”Chant de la libération”というバージョンの音源の方が、このミラバッシのアレンジしたメロディに近い感じ。

3. Ah! Ca Ira
「ア・サ・イラ」はフランス革命時の流行歌。
原曲はベクール作の「国民のカリヨン」。マリー・アントワネットがクラブサンでよく弾いていたというメロディで、元兵士ラドレが歌詞をつけて革命歌にしたという。
旋律は可愛らしい舞踏曲風。そこに不安感を漂わせる和声の伴奏が入っていて、革命歌にしては変わった雰囲気。

4. Le Temps des Cerises
日本語タイトルは『さくらんぼの実る頃』など。フランス革命後に成立した革命政府パリ・コミューンによる弾圧で出た多数の犠牲者を悼む歌。
それにしては、やたらに明るい曲。元々は失恋の思い出を綴ったシャンソンだから。歌詞はほろ苦い思い出を歌っているので、軽やかでどこか可愛らしいメロディがぴったり。
 ”さくらんぼの季節” 歌詞・解説・音源

5. Hasta Siempre
”Hasta siempre(アスタ・シエンプレ)”は、永遠の別れの際に「ごきげんよう」という意味のスペイン語。
キューバ革命成立後、国際的な革命闘争に参加するためコンゴへ旅立つ革命家チェ・ゲバラに捧げられた歌。
ゆったりとしたテンポで哀惜の情が切々と歌われるような曲。ギター(?)かハープシコードで時折かき鳴らされる弦の響きが衝撃的で重苦しい。
 "Hasta Siempre” 歌詞・解説・音源

6.Je Chante Pour Passer Le Temps
”I sing to pass the time”という意味で、フランスの詩人・小説家ルイ・アラゴンの詩に、フランスのシャンソン歌手レオ・フェレが曲をつけたもの。
ミラバッシはルイ・アラゴンの詩集をジャケットのポケットに入れていつも持ち歩いているほど、気に入っているという。とりわけこの詩は彼にとって特別なものらしい。
それほど気に入っている詩のせいか、CDの収録曲中”Imagine”の次に演奏時間が長く、しっとりとした哀感漂う主題のメロディが繰り返しリフレインされる。

7. Sciur Padrun
イタリアのフォークソング。反エスタブリッシュメントを歌ったレパートリーの一つ。
収穫期の農婦が歌っていたという。
”Ah! Ca Ira”のメロディのように可愛らしい旋律なのに、”Ah! Ca Ira”と同じく、和声と左手伴奏のオスティナート(これがずっと耳につく響き)がちょっと不安げなムード。

8. El Paso del Ebro
”Ay Carmela”という歌詞が有名。元々は、ナポレオン軍と戦ったスペインのパルチザンが歌った恋歌。
転じて、スペイン内戦のエブロ川の戦いで決定的な敗北を喫した共和国軍の兵士への追悼曲。

9. A Si M'Bonanga
南アフリカ共和国のズールー語で、”見たことがない”という意味。20年間も獄中生活を送って、”自由、正義、平和”を見たことがないであろうマンデラ氏のイメージを反映したもの。
穏やかでのどかな旋律なのに、どこかもの哀しい透明感のある曲。

10. La Butte Rouge
「赤い丘」という意味。赤は血の色。第1次対戦中、フランスのシャンパーニュ地方の激しい戦闘の様子を歌った反戦歌。
”Le Temps des Cerises”のように可愛らしい旋律だけれど、同じように多数の犠牲者への追悼歌。
 "La butte rouge/赤い丘” 歌詞・解説・音源

11. Addio Lugano Bella
"さようなら、美しいルガーノ"というイタリア語。
ロシアの思想家で無政府主義者の革命家で、晩年はルガーノで暮らしていたバクーニンへの追悼歌。
(ルガーノといえば、クラシックの音楽祭が開催されて、ライブ録音が多数リリースされているので、よく知っている地名)
明るく軽快で、パストラル風の情景が目に浮かんでくるような爽やかで伸び伸びとした雰囲気。

12. Johnny I Hardly Knew Ye
アイルランドのトラッドソング。反戦歌のように歌詞は悲痛なもの。
Gilmoreが南北戦争時時に転用して”When Johnny comes marching home(『ジョニーが凱旋するとき』)”という曲の旋律に使われた。こっちはかなり有名なマーチ曲で勇ましい。
 ”Johnny I Hardly Knew Ye” 歌詞と解説

13. Bella Ciao
元々は収穫期に農婦が歌うトラッド。”恋人よ、さようなら”というタイトルと歌詞がつけられて、第2次大戦時のイタリア・パルチザンの反ファシスト歌になった。
 ”Bella Ciao” 歌詞・解説・音源

14. Imagine
有名なジョン・レノンの”Imagine”。メロディが断続的に演奏されるので、ぼ~っとして聴いていると”Imagine”と同じ曲には聴こえないくらい、原曲とは随分違った旋律の流れと雰囲気。

15. My Revolution
ミラバッシのオリジナル

16. Plaine, Oh Ma Plaine
英文タイトルは知らなくても、聴けばすぐわかるあの有名な「ポーリュシカ・ポーレ」。原題は”広い草原”。
”雲流れる ロシアの大地に...”というフレーズだけ覚えている。(続きの歌詞は忘れたけど)
第2次大戦中のロシア軍の勝利と勇気を讃えた歌で、赤軍合唱団の合唱曲のなかで長く歌い続けられている大ヒット曲。
原曲のメロディは、一度聴けば忘れられないくらいに印象的。
ミラバッシは、速いテンポでリズミカルな疾走感のあるアレンジ。左手の伴奏は厚みのある和音と凝ったリズム感で、その上を和音でつなげていくメロディが流れて、堂々として力強く、爽やか。
 ”Plaine, Oh Ma Plaine” 歌詞・解説・音源


tag : ミラバッシ

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チャイコフスキー=ワイルド編曲/《白鳥の湖》~四羽の白鳥たちの踊り
ヴィルトオーソで編曲者としても有名な(日本ではあまり知られていない)ピアニスト、アール・ワイルド編曲・演奏によるチャイコフスキーの《白鳥の湖》の”四羽の白鳥たちの踊り”。
管弦楽版とは全然雰囲気が違うけれど、可愛らしい4羽の白鳥が遊んでいるような、キラキラと輝くような響きのパッセージが鮮やか。

Tchaikovsky/Wild - Dance of the Four Swans


この曲は、スティーヴン・ハフのアルバム『Hough/Collecion』にも収録されている。
ハフの音質は硬質で線がちょっと細いので、ワイルドよりもさらに軽やかで可愛らしい感じ。


昨年亡くなったアール・ワイルドは、米国ピアノ界の長老でとても有名なピアニストだった。
代表的録音は、ラフマニノフのピアノ協奏曲集。
ロシア的濃厚な重たいラフマニノフとは違って、速いテンポと力感のあるシャープなタッチで切れ味のよく、爽やかな叙情感が気持ち良い。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の録音の中では、ハフ、カッチェンの次くらいに好みのタイプ。

RACHMANINOV "Piano Concerto n. 2" Mov. 3 (Wild/Horenstein)



Piano Concertos 1-4 / Rhapsody on Theme PaganiniPiano Concertos 1-4 / Rhapsody on Theme Paganini
(2003/06/24)
Royal Philharmonic Orchestra

試聴する(米amazon)




編曲ものを集めたアルバムは幾つか出ている。
最新作はグラミー賞受賞作『Transcriptions virtuoses pour piano』。
これに収録されている《Dance of the Four Swans》は、高齢で録音したせいかテンポがちょっと遅めでタッチの切れもやや悪い感じがする。
『Great Pianists of the 20th Century - Earl Wild~The Art of the Transcription』がに収録されている録音の方が良いのだけど、これはすでに廃盤。

13 Transcriptions for Solo Piano13 Transcriptions for Solo Piano
(1995/11/21)
Earl Wild

試聴する(米amazon)


tag : ワイルド チャイコフスキー ラフマニノフ

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”耳”と”耳鳴り”に関するお話 ~ 日経新聞記事,倉田百三,医師ブログ
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 ”耳鳴り”の日経新聞記事
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日経新聞のウェブサイトに、耳鳴りに関する記事(6/5付け)で載っています。
ステロイド剤注射、キョーリンが臨床試験を行う開発中の耳鳴り治療薬(ネラメキサンのこと)、TRT療法が紹介されています。

 「耳鳴り、完治は困難も薬で軽減 音に慣れる治療法も」


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 ”耳鳴り”と倉田百三
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上記の日経記事中に、耳鳴りに悩まされた作家、倉田百三のことが紹介されていました。
倉田百三といえば「出家とその弟子」が有名ですが、少し調べてみると、強迫性障害と耳鳴りに悩まされて、いずれも森田療法で克服したそうです。詳しくは下記のウェブサイトに載っています。

 不安の力(Ⅶ)― 倉田百三の場合 ―
  ※倉田百三の作品(一部)は、インターネット電子図書館「青空文庫」で読むことができます。

なお、上記のウェブサイトは医療法人により運営されているので、耳鳴り以外のメンタルな症例や病気の解説が載っています。
 主な病気の解説


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”耳”に関する医師ブログ
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耳鳴りや難聴など”耳”に関するお医者さまのブログやホームページをいくつか見つけたので、今まで記事中に記載したブログも含めて、まとめておきます。いずれも開業医の方です。

 耳鼻科医の診療日記
聴力検査、難聴、耳鳴りなど、関連する記事が多数。
”耳”というタグを使うと耳関係の記事がほぼ一覧できるようです。
以前書いたiPhone用マスカーアプリの記事で紹介しました。

 きこえとことばの発達情報室
子供の”耳”の発達、補聴器の話が特に詳しく書かれています。
耳鳴りのコラム記事「Dr.黒石の最近思うこと/耳鳴りの話」では、耳鳴り発生の諸説、薬物治療なども含めた治療法について書かれています。

 ebipapa
医学的に専門的な内容の公演録が多いようです。(素人に理解しがたい専門的な話も多いですが)
「頭痛・めまい・痛み」にまつわるテーマが中心。耳鳴り、メニエール病、難聴、薬(マイスリーなど)の記事もあります。
細かいカテゴリやタグが見当たらないので、「すべて表示」または「全体表示」の「リスト」を選ぶと記事タイトルの一覧が表示されます。

”耳鳴りを克服する”という記事では、耳鳴りで苦しんでいた倉田百三の「川の音や松風の音は、聞くまいと思えば何時でも聞かない事が可能である。絶え間なく聞くことを強いられ、いかなる協和音も必ず不快になる。泣くに泣かれぬ苦しさである。・・」という文章が紹介されてます。(出典は不明ですが)

 耳の病気に関する基本的なQ&A
耳の病気に関する質問と耳鼻科医の回答集。一般的な回答が中心で、具体的な治療法に深くは言及はしていませんが、質問項目数はかなり多いです。

 めまい診療
病院・医師名は公開されていませんが、めまい以外にも、耳鳴関係の記事がときどき載っています。

(2012.2.27 改訂)
”音楽家のジストニー”&”認知症と音楽療法” ~ オリヴァー・サックス著『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』より
オリヴァー・サックスといえば、すぐに思い浮かぶのが代表作『妻を帽子とまちがえた男』。
たぶん大学生の頃に話題になっていたし、変わったタイトルだったので、本を読んだ記憶はなくても、書名だけはずっと覚えていた。
『火星の人類学者』という著書も出ているので、今なら両方とも興味をもって読めるに違いない。
サックスの著書『レナードの朝』を映画化した同名の映画もあり、これは封切後に映画館で見た映画。
パーキンソン病患者役だったロバート・デ・ニーロと医師役の髭がふさふさのロビン・ウィリアムズの姿が記憶に残っている。

オリヴァー・サックスの新著は『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』。
4部構成で本文だけで400頁以上。取り上げられている症例も数多く、各部のテーマに合致する音楽知覚、音楽に関連した疾患、音楽療法などが取り上げられている。
音楽好きなら、一読する価値は十分(以上に)ある医学ノンフィクション。
脳のメカニズムの驚異的で不思議な力や、音楽を聴いたり演奏することが、人間の脳に大きく依存していると同時に、ダメージを受けた脳と人間を修復させるほどの力も持っていることを認識させられる。

「第1部 音楽に憑かれて」
音楽がもたらす病的な症例:突発性音楽嗜好症、音楽発作、音楽誘発性癲癇、脳の中の音楽、脳の中の虫、音楽幻聴

「第2部 さまざまな音楽の才能」
音楽を知覚する機能や他の感覚との関係:失音楽症、絶対音感、蝸牛失音楽症、片耳による立体知覚、音楽サヴァン症候群、音楽と視覚障害、共感覚と音楽

「第3部 記憶、行動、そして音楽」
音楽の持つ治癒力と音楽療法:音楽と記憶喪失、失語症と音楽療法、運動障害と朗唱、音楽とトゥレット症候群、リズムと動き、パーキンソン病と音楽療法、幻の指(片腕のピアニスト)、音楽家のジストニー(筋失調症)

「第4部 感情、アイデンティティ、そして音楽」
音楽と精神・神経性疾患との関係:音楽の夢、音楽に対する無関心、音楽と狂気と憂鬱、音楽と感情、音楽と側頭葉、ウィリアムズ症候群、認知症と音楽療法

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々
(2010/07)
オリヴァー サックス

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音楽がそれほど好きではなかった人、音楽を聴くだけの人、実際に楽器で演奏する人、プロの音楽家など、音楽に深く関わっていた人から、(かつては)そうではなかった人まで、記載されている症例は多数。
プロの音楽家の症例では、音楽型の耳鳴りが聴こえるヴァイオリニスト、蝸牛失音楽症にかかった作曲家、ジストニー(筋失調症。ジストニアとも表記される)から回復したピアニスト、アルツハイマー病でもピアノを弾くことを忘れなかったピアニスト、など。

ピアニストに関するエピソードは世の中にたくさんあれど、運動障害や病気に関するものはそう多くはない。
プライバシーの問題もあるだろうけれど、それ以前に、演奏活動を続けている間は、ピアニスト生命に関わる障害や病気にかかっていることを公表したくはないはずだから。

ピアニストが指の故障で演奏活動を中止するケースは多い。
よく知られているのは、フライシャー、ベロフ、グラフマン、ペライアなど。ベロフとペライアは一時的に演奏活動を中止したが、再びカムバックしている。
フライシャーとグラフマンは、いずれもジストニー(筋失調症、ジストニアとも表記される)で右手の一部の指が動かなくなり、実質的なピアニスト活動を中止した。
フライシャーについては、音楽教育や指揮活動に転向したが、再び左手だけで演奏活動を始め、実に発症から30年あまり後、右手の故障が回復。両手のピアニストとしてカムバックしている。

グラフマンも右手の故障以降、教育活動などに関心を寄せ、長年にわたってカーティス音楽院院長を努め、ピアノや室内楽演奏の教育にもあたってきた。あのユジャ・ワンもグラフマン門下。
また、ネッド・ローレムが左手だけで演奏するために作曲した《ピアノ協奏曲第4番》を初演するなど、左手のためのピアノ作品の初演も数多いという。

 第22章 小筋肉のアスリート-音楽家のジストニー
ピアニストのレオン・フライシャーのお話。30歳代半ばまでの1950~60年初めにかけて、ジョージ・セル&クリーブランド管弦楽団と名だたるピアノ協奏曲を次々に録音していったことでよく知られている。

1960年代前半にピアニスト活動を断念せざるをえなくなったフライシャーのジストニー(ジストニア)についてはよく知られているけれど、本書はジストニー自体の解説も含めて、かなり詳しい。

ジストニーは、昔は書記がかかる「書痙」などいわゆる「職業神経症」と言われていたもので、「何度も繰り返す筋肉運動を行おうとすることによって、特定の症状が引き起こされる病気群で、一般に患者の職業が関係している」。
本人が抑制しようとすればするほど、異常や動きや痙攣が多くなり、これにかかると同じ仕事や職業を続けるチャンスはほとんど無かった。
ピアニストやヴァイオリニストもかかりやすいと言われ、職業演奏家の世界ではよく知られているが、まず公にすることはない。
演奏活動を断念して、教師、指揮者、作曲家に転向するしかないと考えられていたためである。
1980年代にフライシャーとグラフマンがこの病にかかった経緯を詳細に公表したことで、医学者も注目するようになったことから、彼らの症状がジストニー(筋失調症)だとわかり、研究が進んでいった。

ジストニーのメカニズムは、手の感覚野におけるマッピングに異常があり、一番悪くなっている指から徐々の感覚表象が極端に拡張し始め、その後、重なり合って融合し、「脱分化」する。さらに集中して練習し、力づくで演奏することで、さらに症状が悪化するという悪循環に陥る。
当初は、感覚の再訓練による治療法が試されたが、脳が一度学んだことを忘れるという行為が必要になり、それは非常に難しいことだった。

1980年代に試みられた新しいアプローチは、大量に摂取すると麻痺を引き起こすボツリヌウ毒素をごく少量投与するもの。
必ずしも効果があるとは限らないが、硬直・痙攣してほとんど動かせない筋肉が演奏できるまでに回復するケースがあり、フライシャーは幸運にもボトックス治療が効を奏した。
同時にロルフィングという筋肉を柔らかくする治療も受ける必要があったが、1996年に両手のピアニストとしてカムバック。以後、演奏活動を再開し、次々とレコーディングも行っている。

フライシャーが、サックスの自宅で発症以降のことを語った内容について。
1962年、シューベルトの《さすらい人幻想曲》を1日8~9時間も練習したのち、しばらくして右手の薬指と小指が丸まってしまい、さらに練習と演奏会を続けて悪化していった。
結局、その1年後、ピアニスト活動を断念。当時は深い欝と絶望に襲われたというが、教育活動や指揮活動へと転向。
やがて、右手を失ったピアニストのヴィトゲンシュタインが、左手のためのピアノ作品を数多く著名な作曲家に委嘱していたことを発見した。
フライシャー自身も左手だけで演奏活動を行うようになり、徐々に「自分の人生でいちばん大切なのは両手で弾くことではなく、音楽なのだ」と気がついたという。
それでも、右手が動かないという事実を受け入れることはできなかった。突然動かせるようになるかもしれない希望を捨てきれず、30年もの間、毎朝右手が動くかどうかテストしていた。

ボトックス治療は、投与量を厳密に守る必要があるため、2~3ヶ月ごとに繰り返し行わなければならず、フライシャーはジストニーと縁が切れたわけではない。
ジストニーを再び引き起こしかねない指の動きを必要とする曲は避け、指使いも右手に負担がかからないように変更し、左手と分担するなど、細かく気を配っているという。

関連記事:レオン・フライシャー 「TWO HANDS ~ ピアノ作品集」

参考情報:フォーカルジストニア 〔局所性ジストニア・音楽家のジストニア・奏楽手痙〕


 第29章 音楽とアイデンティティ-認知症と音楽療法
認知症が進行しても音楽への反応は依然として失われていない症例がいくつも出てくる。

「大脳皮質には、音楽にまつわる知性と感情を助長する特定の部分があることはまちがいなく、そこが損傷を受けて失音楽症になることがある。しかし音楽に対する感情反応は、皮質だけでなく皮質下にも広がっているので、アルツハイマー病のようなびまん性皮質疾患にかかっても、音楽を感じ、楽しみ、反応することができる。」

「音楽への感受性、音楽への感情、そして音楽の記憶は、ほかの形の記憶が消えてしまったずっと後も残っている傾向がある」ので、認知症治療に音楽療法が活用されている。
それに、聴いたことのない音楽であっても、認知症患者の感情を揺り動かすことができるという。
「そこにはまだ呼びかけをまっている自己があるのだとわかる-たとえ、その呼びかけを行えるのが音楽であり、音楽だけであるにしても。」

認知症に限らず、音楽療法が神経性疾患の治療に活用される例は多いが、認知症治療と運動・発話障害の治療とでは、使われる音楽が異なる。
パーキンソン病患者の場合は、しっかりしたリズムが必要だが、なじみのある音楽や感動をするような音楽である必要はない。
失語症の場合は、歌詞のある曲や抑揚をつけたフレーズを使う必要があるし、療法士との密接なコミュニケーションが不可欠。
認知症患者の場合は、残っている「自己」の部分に働きかけ、それを刺激する音楽であれば良い。

音楽に関与する神経系が驚くほど強靭である症例として、88歳という高齢の著名なピアニストのエピソードが紹介されている。(これは、サックスへ寄せられた手紙に書かれているもの)
彼はすでに言語能力を失ってはいるが、ピアノを毎日弾いている。モーツァルトの連弾をするために(たぶん弟子の一人と)楽譜の読み合わせをすると、反復記号を見ないうちに、指でページを指示することができる。
1950年代にレコーディングした同曲の演奏よりも、最近2人で録音した演奏や着想の方が、連弾者は好きだという。
「彼の場合、音楽の才能と病気の両極端がとにかくきわだっています。音楽で病気を超越しているので、訪問すると本当に驚かされます」と手紙が締めくくられている。

この話を読んだときにすぐに思い出したのはヴィルヘルム・ケンプ。
パーキンソン病を患ってピアニスト活動から引退したが、アルツハイマーにもかかっていたという話も聞いたことがある。
病院で療養していたケンプは、自分がピアニストだという記憶がなく(そのことは人から聞いたらしいが)、ピアノの弾き方は全然忘れていなかったので、見舞いに来た弟子のためにピアノを弾いていたという。(でも、出典が確認できないので、実話かどうかはわからない)
ケンプなのか、それとも全然別人のピアニストなのかは定かではないとしても、アルツハイマー病にかかりながらも、終生ピアノを弾き続けることができたのは、ピアニストとしては幸せなのかもしれない。
逆に、自分がピアニストだと覚えているのに、ピアノの弾き方が記憶から消えている方が、ずっと悲愴な話だと思えてしまう。

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”音楽耳鳴り”に関する概要と文献(1)
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"音楽耳鳴り"とは
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"音楽耳鳴り"は、あまり知られていない耳鳴りの一種。英語では、"Musical Tinnitus"と言う。
実際に"音楽耳鳴り"を経験した(している)ことがあっても、病院で受診していないケースもあるため、症例報告が少ない。

この症状が米国で一般的に注目される契機となったのが、神経科医で著作家のオリヴァー・サックスが書いた『妻を帽子をまちがえた男』。
<追想>という章のなかで、頭のなかで音楽が聴こえてくると訴える高齢女性患者2名の症例が報告されている。
脳波検査の結果から、てんかん性の症状によるものだった。けいれんではなく、音楽が頭のなかで意志とは無関係に鳴ることから、この時は著者は”音楽てんかん”と表現していた。
この本が米国でかなりの反響を呼んで、同じ経験をしたと訴える投稿や手紙が、新聞のコラム欄やサックスの元に多数寄せられた。実際、サックスの患者でこの症状がある人も多いという。
このあたりの話は、サックスの最新刊『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)』に書かれている。同書でも『音楽幻聴』という章で、”音楽耳鳴り”を訴える患者の複数の症例が具体的に紹介されている。

耳鳴りで聴こえてくる音には数種類のパターンがあり、単純な音が聴こえる耳鳴りは、"tonal tinnitus"(純音性)と"pulsatile tinnitus"(拍動性)の2つに分類されている。
また、"noisiform tinnitus"(雑音性)という分類もある。
聴こえてくるのが音楽の場合は、"musical tinnitus"(音楽性)という。

"Musical Tinnitus"(音楽耳鳴り)の医学用語としては、"Musical hallucination"(音楽幻聴)が一般的に使われている。
British Tinnitus Association(BTA)(英国耳鳴協会)のホームページでは、音楽耳鳴りは、"Musical hallucination"または"Musical Tinnitus"と言われると説明されている。

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”音楽耳鳴り”に関する概説(BTAホームページ)[要約]

"耳鳴り"で聴こえてくる音は、通常は単純な音(ブーブー、リ~ンリ~ン、シーなど)だが、その音がより複雑でエモーショナルになり、音楽が聴こえてくる場合がある。

この現象"Musical hallucinations"(音楽幻聴)は、"Musical Tinnitus"(音楽耳鳴り)とも言われる。
典型的に聴こえてくるのは、シンプルなメロディの短い断片で、日ごろ聴いている音楽や子供の頃によく聴いていた音楽のもの、特に賛美歌やキャロルであったりする。
難聴者の場合、現在の聴力レベルで聴こえてくるものとは違って、それを初めて聴いた時と同じように聴こえてくることがある。

"音楽耳鳴り"の経験者は、男性よりも女性に多く、年齢は60歳を越えていることが多い。さらに、一人暮らしの人や、難聴者もその経験者となりやすい。
ほとんどの経験者において、”音楽耳鳴り”の根本的な原因は不明であるが、時に重い病気が原因であることもある。非常に稀ではあるが、脳内血管の障害や脳腫瘍が原因となる場合があるが、てんかんやアルツハイマー病患者の場合の方が経験者は多い。

音が聴こえるタイプの耳鳴り同様に、"音楽耳鳴り"でも、数多くの薬が原因・要因だと責められて続けている。しかし、その関連性は強くはないと考えられ、たいていの"音楽耳鳴り"ケースでは、薬が原因ではない。
唯一の例外はopiumベースの薬(tramadol, morphine sulphate, oxycodone)であり、稀ではあるが音楽耳鳴りを引き起こすことがある。

"音楽耳鳴り"が聴こえると、深刻な精神的な病気の兆候ではないかと不安に思う人もいる。統合失調症で聴こえるのは、"人の声"であって、音楽が聴こえることは実際に極めてまれであり、”音楽耳鳴り”との間に関連性はないと考えられている。また、強迫性障害で音楽が聴こえることはあるが、強迫性障害が稀な症状であり、"音楽耳鳴り"経験者の大半は精神疾患を持っていない。

"音楽耳鳴り"に根本的な原因がある場合は、それを除去・治療すれば解決することはできる。
最も共通していて治療しやすい原因は難聴であり、補聴器を装着することも考えられる。多くの人の場合、症状について説明を受け、深刻な潜在的原因がないと安心すれば、"音楽耳鳴り"のわずらわしさが減少する。
依然として"音楽耳鳴り"が支障になり続けるのであれば、治療のために薬を使用することが適切かもしれない。いろいろな選択肢があるので、医師とよく話し合うようにすること。

(以上、要約終わり)


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"音楽耳鳴り"に関する文献リスト
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"音楽耳鳴り"に関して、過去の研究・症例データを収集するため、以下の方法で文献検索を行い、2種類の文献リスト(書誌事項、治療薬の事例)を作成した。

◆文献検索・リスト作成方法 (最終抽出文献数:120件)

1)使用DB:Pubmedのオンラインデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed)
  検索キーワード: ((songs OR tunes OR melodies OR music) AND hallucination) OR (musical AND hallucination)
  ヒット件数:209件
  最終抽出件数:113件
  スクリーニング方法:除外した文献は、
    1)精神疾患患者が対象
    2)"Musical hallucination"の分析が目的ではない一般的読み物記事
    3)1990年より以前に発表された文献(20件)
      [1990年Berrios論文以降の文献を抽出]

2)使用DB:米国NIHの臨床試験DB’ClinicalTrials.gov’(http://clinicaltrials.gov/ct2/home)
   検索キーワード:"musical hallucination"では該当文献なし。

3)オリヴァー・サックスの著書(症例が載っている)
   『妻を帽子とまちがえた男』(晶文社、1992年1月)
     (The Man Who Mistook His Wife For A Hat: And Other Clinical Tales,1985年)
   『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)』(早川書房、2010年7月)
     (Musicophilia: Tales of Music and the Brain, 2007年)

4)British Tinnitus Association(BTA)の資料で参考文献とされている論文4件
  (全てPubmedの検索結果に全て含まれている)

5)インターネット検索等
  CiNii 国立情報学研究所論文情報ナビゲータおよびメディカルオンライン、インターネット検索により
  日本語文献を検索。タイトル・抄録(入手できたもののみ)でスクリーニング。
  日本語論文3件および関連論文1件の計4件を抽出。英文文献1件も追加。

最新版の文献リスト(PDF)
「"音楽耳鳴り"に関する概要と文献(2) 文献リスト改訂(2012年5月)」からダウンロードできます。

(参考資料)文献レビュー要旨メモ.pdf[ダウンロード](更新日:2011年6月18日)


なお、この記事では、一般的にイメージされる"幻聴"と混同されるのを避けるため、"音楽耳鳴り"という言葉を使っている。
ただし、作成したリストでは、医学用語の直訳として”音楽幻聴”を使用している。


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利用上の注意
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記事本文および作成したリスト類は個人的な参考資料として作成したものであり、その内容・翻訳文・要約文・医学用語等については、厳密な正確さを期したものではありません。
この記事およびリストを参考にされる場合は、必ずご自身で論文原文・原典もお読みください。また、医学的な内容については、医療専門家にご確認ください。


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リスト更新履歴
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2011/6/12 暫定版アップロード
2011/6/13 修正版アップロード(文献追加、記載内容の追記・訂正)
2011/6/18 確定版アップロード(文献追加、記載内容の追記・訂正)、参考資料アップロード

2012/6/9  改訂版を別記事「"音楽耳鳴り"に関する概要と文献(2) 文献リスト改訂(2012年6月)」にアップロード


tag : 音楽耳鳴り オリヴァー・サックス

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朗読とイッサーリスのチェロ&ピアノによるコンサート "Why Beethoven Threw The Stew"
スティーブン・イッサーリスの著作『もし大作曲家と友だちになれたら』の原題は、『Why Beethoven Threw the Stew: And Lots More Stories about the Lives of Great Composers 』。

同じタイトルのライブ映像をたまたまYoutubeで見つけた。
これは抜粋映像だったので、ノーカット版がClassicalTVのウェブサイトで公開中。(今は抜粋映像のみ公開)

Why Beethoven Threw The Stew - Preview


ウィグモアホールで行われたファミリーコンサートのライブ映像だった。
イッサーリスの本で紹介されている6人の作曲家の作品をイッサーリスのチェロやピアノ独奏で演奏するというもの。
最初に、ナレーターがイッサーリスの本の一節を朗読して、作曲家のエピソードを紹介。
続いてイッサーリスが作曲家と演奏曲の解説、チェロによる演奏。(ストラヴィンスキーのみ、ピアニストの解説&ピアノ独奏)
ふわふわカーリーヘアのイッサーリスの話し方は、英語で聞いていてもどこか面白い。

全編1時間以上の朗読&演奏会。
ファミリーコンサートにしては、あまりポピュラーすぎない選曲。向うではこういうプログラムが多いんだろうか。日本のファミリーコンサートのプログラムは名曲集化しすぎているのかも。

作曲家はイッサーリスの本で登場する順番どおり。本に載っていない曲も入っている。
 J.S.バッハ:ガンバ・ソナタ第3番第1楽章
 モーツァルト:『ドン・ジョバンニ』より”セレナード”
 ベートーヴェン:モーツァルトの『魔笛』の主題による12の変奏曲
 ストラヴィンスキー:ピアノ・ラグ・ミュージック (ピアノ独奏)
 シューマン:民謡風の5つの小品
 ブラームス:ハンガリー舞曲第2番

アンコールとして
 イッサーリス:お化け屋敷(朗読付き)

バッハのガンバ・ソナタは古楽器ヴィオラ・ダ ・ガンバのための曲。モダン・チェロでもよく演奏されるらしい。
イッサーリスのチェロ(ガット弦を使っている)で聴くと、ブランデンブルク協奏曲風に聴こえる。
数あるチェロ作品のなかで、最も好きなのがベートーヴェンのチェロソナタ&変奏曲。モーツァルトの『魔笛』の主題自体は聴いたことがなくても、ベートーヴェンの変奏曲はいつ聴いても楽しい。
ストラヴィンスキーは現代音楽風のラグタイム。不協和音が入り混って一風変わっていて面白い。(もっとシャープなタッチでリズミカルに弾くとさらに面白いはず)
《お化け屋敷》はイッサーリスの自作自演。ピアニストのハフと録音したアルバム『子供のチェロ』にも収録されている。

ClassicalTVのウェブサイトでは、このイッサーリスの演奏会以外にも、ライブ映像の全曲版が多数登録されている。
ピアニストだけでも、オピッツ、シフ(珍しいショパン)、ガヴリーロフのベートーヴェンのピアノ・ソナタ第6番&第7番(すっかり表舞台にカムバックしたらしく)、グルダの晩年のリサイタル&演奏会(グルダだけとりわけ多い)、グリモー、アルゲリッチなど。
他に、交響曲、歌曲、合唱、コンチェルト、室内楽のライブ映像もいろいろ。

クラシックの無料VIDEOのホームページ(ClassicalTV)


tag : イッサーリス バッハ ブラームス シューマン モーツァルト ストラヴィンスキー

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ガヴリリュク ~ バッハ=ブゾーニ/トッカータとフーガ ニ短調
バッハのオルガン曲で最も有名な(と思う)《トッカータとフーガ ニ短調 BWV565》。
冒頭のドラマティックでかなりオドロオドロしい旋律は、まるで悲劇の幕開けを告げるような趣き。

この冒頭の旋律からして好きではないので、オルガンの演奏でも、編曲版でもまともに聴いたことはない。
これだけ有名な曲なので、編曲したくなる作曲家やピアニストは数多く、<バッハの音楽の曲目データベース>の編曲版リストを見ると、全部で25種類。
ブゾーニ、レーガー、シロティといった名だたるバッハ編曲者もやっぱり編曲している。

たまたまYoutubeで見ていたガヴリリュクのブゾーニ編曲版のライブ映像。
オルガンと違ってピアノの音だとオドロオドロしさが薄くなって、さらに生気と迫力漲るガヴリリュクの演奏が素晴らしく、全然イメージが違う曲に聴こえる。
冒頭のトッカータの力強いピアノの響きがドラマティックなのも良いけれど、それよりもその後に続くフーガの美しいこと。

ブゾーニらしくピアニスティックで華麗な編曲ではあるけれど、ガヴリリュクらしいピアニッシモの響きの瑞々しい美しさが静寂で厳粛な雰囲気によく映えている。
力強く深い響きのフォルテは大聖堂のように聳え立つような荘重堅牢な重厚感も充分。
ガヴリリュクの良いところは、技巧的な曲を切れの良く安定したメカニックで弾いても、外面的な煌びやかさが前面に出ずに、音楽そのものを聴かせるところ。

ALEXANDER GAVRYLYUK BACH-BUSONI TOCCATA / FUGUE D MINOR

tag : ガヴリリュク バッハ ブゾーニ

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”脳の虫”と”音楽幻聴” ~ オリヴァー・サックス著『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』より
音楽療法に関する文献を探していて、見つけたのがオリヴァー・サックスの最新刊『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』。
著者のサックスは『妻を帽子とまちがえた男』(たしか大学時代に話題になっていた)や『火星の人類学者』などの著作で有名な脳神経科医。現在はコロンビア大学メディカルセンター教授。

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々音楽嗜好症(ミュージコフィリア)- 脳神経科医と音楽に憑かれた人々
(2010/07)
オリヴァー サックス

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病的なまでの音楽好き『音楽嗜好症』を始めとして、脳神経の何らかの異常・混乱が原因で、音楽に憑りつかれたしまう症例の数々が紹介されている。

目次からテーマを抜き出してみると...

「第1部 音楽に憑かれて」
音楽がもたらす病的な症例:突発性音楽嗜好症、音楽発作、音楽誘発性癲癇、脳の中の音楽、脳の中の虫、音楽幻聴

「第2部 さまざまな音楽の才能」
音楽を知覚する機能や他の感覚との関係:失音楽症、絶対音感、蝸牛失音楽症、片耳による立体知覚、音楽サヴァン症候群、音楽と視覚障害、共感覚と音楽

「第3部 記憶、行動、そして音楽」
音楽の持つ治癒力と音楽療法:音楽と記憶喪失、失語症と音楽療法、運動障害と朗唱、音楽とトゥレット症候群、リズムと動き、パーキンソン病と音楽療法、幻の指(片腕のピアニスト)、音楽家のジストニー(筋失調症)

「第4部 感情、アイデンティティ、そして音楽」
音楽と精神・神経性疾患との関係:音楽の夢、音楽に対する無関心、音楽と狂気と憂鬱、音楽と感情、音楽と側頭葉、ウィリアムズ症候群、認知症と音楽療法

サックスがとりあげている症例を大まかに分類してみると、病的なほど優れた音楽的な才能、音楽知覚能力が部分的に失われる病、精神・神経性疾患治療のための音楽療法、逆に、音楽そのものが原因になっている病。

音楽が病的な形で現れている症例はいくつかあり、音楽発作と音楽誘発性癲癇(一般的にはごく稀な症候)、"Brainworms"(脳の虫)”Musical Hallucinations(音楽幻聴)”

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Brainworms(脳の虫)
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"Brainworms"とは”脳の虫”。頭にこびりついて離れないメロディやフレーズのこと。
「ふつうに頭に浮かぶ音楽が一線を越え、決まった断片が何日間も連続的でとめどなく、ときには気が狂いそうになるほど繰り返されるようになって、いわば病的なものになることがある、このような繰り返し-たいていの場合、短くはっきりした楽節や3,4小節分の旋律-は、ややもすると何時間、何日間も続き、頭のなかでぐるぐる回り、その後だんだん消えていく。(中略)音楽が脳の一部に入り込んでそこを占領し、繰り返し自発的に興奮させる強制作用を起こしていると考えられる。」

「earworm(耳の虫)」(元々はドイツ語由来)が最初に使われたのは1980年代。しかし、1987年のマーク・トウェインの短編小説にも、”頭の中で繰り返す歌”の記述がある。
「動きや音や言葉の強制的な繰り返しがトゥレット症候群や強迫障害や前頭葉損傷のある人に起こる傾向があるのに対して、音楽の楽節が心の中で無意識に、あるいは強制的に繰り返される現象はほぼ万人に起こる。」
「この場合、病的なものと正常なものとに区切りはないのかもしれない。」

「脳の虫はたいてい、特徴が型にはまっていて変わらない。特定の寿命があり、数時間から数日間パワー全開で走ったあと、たまに火花を散らしながら、段々消えていく。(略)ときには何年も経ってから、物音、連想、またはその話が引き金になって再発しがちである。そして脳の虫はほぼいつも断片的だ。」という症状は、癲癇の症状によく似ているという。

トウェインの時代から劇的に音楽環境は変わり、今や私たちは「たえまない音楽の包囲攻撃にさらされている」ため、この「音楽の弾幕砲火」により人間の聴覚システムにはかなりの過負荷がかかっている。
その結果として起こっていることは、一つは難聴の罹患率が非常に高くなりつつあり、特に若い人や音楽家の間で顕著なこと。もう一つは”脳の虫”がひとりでに現れ、自分の都合でしか立ち去らないこと、だという。

サックスが"Brainworms"について語っている映像(amazon.com)


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Musical Hallucinations(音楽幻聴)
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本文中では10件ほどの音楽幻聴の症例が具体的に紹介されている。その他にサックスへの手紙で音楽幻聴を訴えた例など、症例は多い。
精神疾患の患者も音楽幻聴を経験することがあるが、サックスが対象としているのは、精神的には正常で、脳内の神経学的な原因によって現れる音楽幻聴。

音楽幻聴の症例を読むと、個々人によって幻聴のパターンや強さ、コントロール可能度はかなり違う。
聴こえてくる音楽は、聴いたことのある馴染みのある音楽である場合もあれば、意味のない楽節やパターンであることもある。
また、自ら演奏している曲が勝手に独創的に変化していたり、脳が独自に作曲したオリジナル曲だったりすることもある。
わずらわしさのレベルも様々。24時間中うるさくてわずらわしくて夜も眠れないと苦しむ人もいれば、音楽幻聴がとても穏やかで、楽に無視できる人もいる。
音楽幻聴を止められなくとも、その音楽の中身を意図的に変えることができる人もいる。

音楽幻聴のある人の大半は難聴者であり、その多くは何らかの「耳のなかの雑音」(ゴウゴウ、シューシューという耳鳴り)や、漸増(特定の声か物音が異常に、そしてしばしば不快に大きくなること)も抱えている。病気、手術、あるいは聴力のさらなる低下がきっかけで、臨界を越えたように思われる人もいる。

「年齢も聴力低下も単独では幻聴を引き起こす十分条件ではないが、老齢脳と聴覚障害などの要因が結びつくと、脳の聴覚システムと音楽システムの抑制と刺激の微妙なバランスが崩れ、病的な活性化につながるのかもしれない」

「音楽幻聴を誘発する要因が周辺的なもの(たとえば難聴)であれ、中枢的なもの(発作や脳卒中)であれ、すべてに共通の脳のメカニズム、すなわち最終共通路があるように思われる。」
音楽幻聴の素因は様々であっても、大部分の患者に共通しているのは、「自分が音楽を「イメージしている」とは言わず、何か奇妙な独立したメカニズムが脳のなかで動き始めると話す。脳の中の「テープ」、「回路」、「ラジオ」あるいは「レコード」と呼ぶのだ。ある人は手紙のなかでそれを「頭蓋内のジュークボックス」と呼んでいる。」

「音楽幻聴すべてに共通の特徴-最初は外から聞こえるように思えること、たえまがないこと、断片的で反復すること、不随意でわずらわしいこと-はあるが、細部は千差万別だ。」

「脳卒中、一過性の虚血発作、そして脳の動脈瘤や動脈奇形は全て、音楽幻聴につながることがあるが、そういう幻聴は病変が鎮まったり、直ったりすると消える傾向があるのに対し、大部分の音楽幻聴は、長年のあいだには少し弱くなることはあっても、非常にしつこく続く。」

「ほとんどの音楽幻聴は、突然症状が始まる。そして幻聴のレパートリーが広がり、音が大きくなっていき、さらにしつこく、わずらわしくなっていく。そして、素因を特定して取り除くことができても、幻聴は続く場合がある。幻聴が自律し、自己刺激し、自己永続的になるわけだ。この時点で止めたり抑えたりすることはほぼ不可能だが、「ジュークボックス」の中にリズムやメロディや主題の似た曲があれば、それに取り換えることができる人もいる。(略)たんなる心象ではなく、「実際の」音楽が聞こえているかのように物理的に響くことが多い。」

「このような発火、燃え上がり、そして自己永続の特徴は、癲癇に似ている。ということは、脳の音楽ネットワーク内に電気的興奮の持続的で抑制できない広がりのようなものがあるのではないだろうか。ひょっとすると、(もともとは抗癲癇薬として開発された)ガバペンチンのような薬が、ときに音楽幻聴にも効くことは偶然ではないのかもしれない。」

サックスによると、音楽幻聴の「治療法」はないが、わずらわしさを和らげることはできる。
症例のなかで、患者に投与された薬では、ガバペンチン(抗てんかん薬)、クエチアピン(抗精神病薬)は、音楽が一時的に消滅したり、弱まったりした効果がある人もいた。逆に、全く効果がなかったり、音楽幻聴が悪化した(耳鳴りまで発生した)ケースもある。
難聴治療のため人工内耳をつけた患者も同様で、音楽幻聴が消えた人もいれば、相変わらず聴こえ続けている人もいる。
プロのヴァイオリニスト・ゴードン氏の場合は、脳のMRI、CTスキャン、24時間脳波モニタリングは全て正常。鍼や、クロナゼパム・リスペリドン・ステラジンなど様々な薬も全く効果なく、結局、クエチアピンで音楽幻聴が緩和された。


<関連記事>
サックスの英Brain誌への寄稿文「The power of music」
(出典:Brain (2006) 129 (10): 2528-2532. doi: 10.1093/brain/awl234)


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[追記]
英国耳鳴協会(The British Tinnitus Association:BTA)のホームページの説明によると、”musical hallucination”は、”musical tinnitus(音楽型耳鳴り)”とも言われる。
”musical hallucination”の解説(BTAホームページ)
”musical hallucination”に関する参考文献リスト(同)
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以下は、参考文献に関するメモ。

”Musical hallucinations(音楽幻聴)”で有名な論文は、本書でも紹介されていたBerriosの”Musical hallucinations. A historical and clinical study.”(British Journal of Psychiatry 156: 188-194, 1990)。
抄録によれば、音楽幻聴を経験した46件の症例(既存文献36件と新規症例10件)が分析されており、発症者は女性が多く、年齢、難聴、脳疾患(非優位半球に影響するもの)が重要な要因。精神疾患や個人的要因は重要ではない。

関連論文はBerrios:”Musical hallucinations: a statistical analysis of 46 cases”(Psychopathology. 1991;24(6):356-60.)


Berriosの上記論文の発表後、”Musical hallucinations”の研究結果がいろいろ報告されている。
既存文献サーベイにより132件の症例分析を行ったおこなったEversとEllgerの論文”The clinical spectrum of musical hallucinations.”(J Neurol Sci. 2004 Dec 15;227(1):55-65.)によると、神経学的・精神的な疾患をもつ患者の間では広く知られている(稀な現象ではあるが)。そのメカニズムや類型に関して、広く受けいれられている理論はない。
症例の70%は女性、平均年齢は61.5歳、脳内局所病変のある患者は他のグループよりもかなり若いが、病変のある脳半球は主要な要因ではない。
治療法に関する体系的な研究はないが、抗痙攣薬と抗うつ薬が効果があるとほぼ一貫して報告されている。
音楽幻聴の病態生理学的分析で検討された理論は、求心路遮断(聴覚における”シャルル・ボネ症候”)、感覚器の聴取能の剥離(sensory auditory deprivation)、 寄生的記憶、認知回路モジュールにおける自発的活動など。

Cope&Baguleyによる文献レビュー”Is Musical Hallucination an Otological Phenomenon? A Review of the Literature”(Clinical Otolaryngology, Volume 34, Issue 5, pp423-430,2009)
音楽幻聴は、耳や脳に潜んだ病理の印でありうる。または強迫性障害の痕跡、社会的孤立などを示唆。音楽幻聴が医学的に報告されないことも多い。
難聴、女性、社会的孤立や年齢が60歳以上などとの関連性があるが、独立的な危険因子ではないかもしれない。潜在的な原因には神経血管性の病理、精神障害、オピオイド系医薬が含まれているが、これらは大半のケースでは稀。聴力損害が誘発因子であるかもしれないが、第一の機能障害は聴覚関連皮質の過剰反応(より高次の抑制障害も必要のように思われるが)。


本書でサックスが、音楽幻聴の神経基盤に関する先駆的報告だと紹介していたグリフィスの論文”Musical hallucinosis in acquired deafness. Phenomenology and brain substrate.”(Brain. 2000 Oct;123 ( Pt 10):2065-76.)は、ポジトロンスキャンを使い、通常は現実の音楽を知覚するときに作動するものと同じ神経網を、音楽幻聴も広範に活性化させていることを明らかにした。
サックスによれば、この研究報告は、コノルスキーの幻覚の理論-「求心性活動不足」に伴う「解放性」幻覚-を支持するゆるぎない証拠となっている。
サックスがある患者に対して行った説明では、「解放性」幻聴とは、(突然の聴力低下などにより)通常の入力を奪われた脳の聴覚野が、独自の自発的な活動を起こし始め、それが音楽記憶による音楽の幻聴という形をとったもの。

上記の文献のうち、Berrios(1991年)を除く4文献は、英国耳鳴協会(BTA)が”Musical hallucination”に関する参考文献としている。


また、サックスが最後に紹介した症例であり、著名な精神分析学者のレオ・ランゲル博士は、音楽幻聴が10年以上続いている。
博士は、個人の経験と感情による音楽幻聴の形成、そして心や人格と音楽幻聴の継続的な相互作用に関してかなり詳しく分析を行ってきた。

発症後半年後の博士の自己診断では、重い難聴で神経性聴覚障害を患っており、聴力不足に伴う聴覚過敏と関係がある、内部の中枢聴覚経路が過剰に興奮して音を拡張している。最初は、自然音な環境騒音などの外部のリズムや、呼吸・心拍のような体内リズムに基づいて起こるのかもしれないが、「心がそれを音楽や歌に変え、コントロールするようになり、受動性が能動性に負ける」のだと考えた。

下記は、ランゲル博士がhuffingtonpost.comに投稿した手記。
音楽幻聴発症~現在に至る生活を綴っている。今では、音楽幻聴を理解し、それと付き合って暮らせるようになったという。
"I have learned to live with and know it, and I regard my life since that occurrence as living in a ringside seat at a physiological process ordinarily covered and obscured in normal life. "
"At the beginning, I described it as there always; now I say "whenever I listen".”

Music in the Head: Living at the Brain-Mind Border; Part 1
Music in the Head: Living at the Brain-Mind Border; Part 2
Music in the Head: Living at the Brain-Mind Border; Part 3

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[備考]直接的な引用以外の記事内容(医学用語・論文要約など)については、原著・原文や専門医にてご確認ください。
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tag : オリヴァー・サックス 音響・音楽療法 音楽耳鳴り 伝記・評論

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レーゼル ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」(旧盤・新盤)
《テンペスト》を聴く時はいつも第3楽章。
たまに第1楽章と第2楽章を聴くことはあっても、同じ譜面を表現しているにしては、ずいぶん違った演奏になるのが第3楽章なので、ピアニストの個性が一番よくわかる。

《テンペスト》で今まで印象的だと思ったのは、幻想的なリヒテル、音が舞踏するような運動性のポリーニ、物語的なアラウ。
それに加えて、レーゼルの2つの録音が、今一番好きな《テンペスト》。
特にレーゼルの新盤のライブ録音は、私の理想的なイメージにぴったり。何回聴いても飽きないくらい。
強い個性的な語り口ではなく、一見地味ではあるけれど、精密で安定したテクニックと過剰すぎない表現に加えて、多彩で美しいピアノの響きがとても美しい。
レーゼルの録音は2種類。Berlin Classicの1984年スタジオ録音と、現在進行中のベートーヴェン・ソナタ全集の2008年9月ライブ録音(東京・紀尾井ホール)。

Berlin Classicのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ集。
第17番<テンペスト>と第18番<狩>が1984年録音。
第24番<テレーゼ>と第29番<ハンマークラヴィーア>は1979年録音。
この《テンペスト》を初めて聴いたときは、クールで瑞々しくて、余計なものが混ざっていないベートーヴェンを弾く人なんだろうと思ったもの。
それ以来、レーゼルのベートーヴェンにすっかりはまり、ピアノ協奏曲全集やライブ録音のピアノ・ソナタ全集など、ほとんどのCDを揃えてしまった。
Berlin Classic盤は全てNMLで全曲聴けるけれど、どうしてもCDで手元に置いておきたかったので。


独奏曲BOXに収録されている。
Works for PianoWorks for Piano
(2008/07/08)
Peter Rosel

試聴ファイルなし


これは分売盤。
Piano Sonatas 17Piano Sonatas 17
(1996/11/19)
Beethoven、Rosel 他

商品詳細を見る



ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音は、レーゼルが63歳からライブ録音(&セッション録音)を開始。これが初めての全集録音。
Vol.1の収録曲は、第10番、《テンペスト》と《ハンマークラヴィーア》の3曲。
第17番と《ハンマークラヴィーア》は、旧東独時代にも録音していたので、レーゼルが得意とする曲らしい。

ベートーヴェンの真影 ピアノ・ソナタ全集1ベートーヴェンの真影 ピアノ・ソナタ全集1
(2008/12/25)
レーゼル(ペーター)

試聴する



第3楽章に限って言えば、旧盤と新盤の解釈自体は大きく変わっていないと思うけれど、それでも聴いていれば違いがすぐわかる。

旧盤のスタジオ録音は、クリアで透明感のある澄み切った音で、冷んやりとして水気を帯びたような響き。
高音部は蒸留水のように濁りのないやや軽めの質感。新盤よりもやや硬質の音で、スタッカート的なタッチがやや強めだけれど、弱音は柔らかく少し憂いをおびたような響き。
全体的にそれほど速いテンポではなく、細部まで丁寧な打鍵と細やかなディナーミクの変化に加え、ところどころリタルダントを入れて緩急の変化があり、細やかに表情が移り変わり、清冽な美しい叙情感が流れている。
新盤と聴き比べていると、リタルダンドをかけているところで、一瞬流れが淀むような感じがしないでもないけれど、それでも、”あるべきところにちゃんと音のある”(かつてレーゼルのCDをプロデュースした人が彼のピアニズムを評した言葉)と言いたくなる。

レーゼルは若い頃からメカニックが安定して音の切れが良かったけれど、60歳を過ぎてもそれは全く変わっていない。
新盤のライブ録音は、旧盤(演奏時間が7'32")よりも速めのテンポ(同6'48")をとり、リタルダンドでテンポが伸縮することがほとんどなくなって、音楽が一瞬も淀むことなくとても流麗。
打鍵は一音一音明瞭で、和音も全ての音が良く響き、特に左手低音部がよく効いているので、安定感が抜群。
音に透明感はあるけれど、やや木質感のあるしっとりした音色で暖かみがあって、美しく深みのある響き。
高音の澄んだ響きが濁りのないピュアなものを感じさせるのは、昔からレーゼルらしいところ。
音の線がやや太くなり、特に低音部の響きに重みと弾力が増している。

旧盤よりも音の重層感が増し、響きのバリエーションがとても多くなり、表情の変化が多彩。
油絵的なカラフルな色彩感ではなく、落ち着いた音色がベートーヴェンの曲によく似合っている。
なによりもライブのせいか、生き生きとしたダイナミズムを感じる。

主題部冒頭から出てくる4音(3つの16分音符&8分音符)の音型に特徴があって、最後の8分音符がスタッカート的ではなく少し長め。これが良く響いて、第1拍目にアクセントがついているようにリズミカル。
9小節目から、パターンが異なる4音の音型が出てくると、3番目の16分音符がやや強めに響くので、符点がついたような軽やかなリズム感。

冒頭の基本音型が、左手低音部に現われると、弾力のある力強いタッチ。
特に最後の8分音符が強く響いて、底から立ち上がってくるようにずしっとした力感と弾力がある。
旧盤よりも、クレッシェンドとデクレッシェンドは波がうねるような流動感と躍動感がある。
スタッカートもそれほど短くは切ってはいないので、レガートな流れが途切れることなく、テンポの伸縮も少なく、全編に渡って音楽が滑らかに淀みなく流れていく。
特に印象的なのは、展開部に入って出てくる(99小節~)左手アルペジオ。
重なる響きの重層感と駆け上るようなドライブ感があって、まるで大きな波が打ち寄せてくるような感覚。

様々なかたちの波が交錯する様が見えて(聴こえて)くるようなリアルさと、生気のあるダイナミズムを感じるのは、昔よりもレーゼルのピアノがずっと深化しているからに違いない。
この《テンペスト》の演奏が、スタジオ録音ではなくライブ録音というのは凄いかも。
演奏にはピアニストの解釈や音色・響きの選択が入っているとはいえ、レーゼルは取り立てて変わったことはせずクセのない至極まっとうな音楽をつくるので、そういう音楽が好きななら聴くたびに充実感を味わえます。


tag : ベートーヴェン レーゼル

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レーゼル ~ ブラームス/インテルメッツォ (Op.118-2)
ブラームスのピアノ作品全集は、昔はカッチェンの録音くらいしかなかったけれど、今ではレーゼル、オピッツを筆頭に、クリーン、ビレット、ジョーンズなど数種類が入手できるようになっている。
後期ピアノ小品の抜粋録音となると、ルプー、グールド、グリモー、ケンプ、ペライアなど、録音しているピアニストはかなり多い。

ブラームスとなると、感情移入過多というか情緒過剰で感傷的に弾く人がわりと多くて、聴いていて疲れるものがあるので、ブラームスを聴くときは、一番先にカッチェン、次がレーゼル。ときどきケンプ。

カッチェンはやや速めのテンポとルバートを多用した陰翳のある表現で、音の間から心の中の感情がこぼれ落ちてくるかのよう。情緒的ではない爽やかな叙情感と親密感を感じさせるブラームス。
レーゼルのブラームスは、安定した技巧とテンポで、透明感のある音色とさらりとした叙情表現で、そっと心に染み込んでくるようなさりげなさ。
カッチェンとレーゼルのブラームスは方向性がずいぶん違っているけれど、どちらもべたつきのない叙情感がとても自然な趣き。

ブラームスが晩年に残した後期ピアノ小品で最も親しまれているのが、作品118の第2曲インテルメッツォ。
ブラームスらしい子守歌風の優しく語り掛けるような主題が美しく、対照的に中間部では、抑制していたものが溢れ出てくるような強い感情を感じさせる。
再現部は、嵐が過ぎ去った後の凪のような穏やかさのなかで静かに終えていく。

Brahms - Peter Rösel - Klavierstücke op. 118- No. 2 'Intermezzo' in A major



レーゼルの数ある録音のなかで最も知られているのが、30歳になる前に完成させたこのピアノ作品集。
主要なブラームスのピアノ独奏曲をCD5枚に渡って録音したもの。この録音で初めてレーゼルを知ったという人も多いはず。

Piano WorksPiano Works
(2008/07/08)
Peter Rosel

試聴する(allmusic.com)


ブラームスのピアノ作品のなかでも、収録されにくい曲がいくつか。
《ハンガリー舞曲集》のピアノ独奏版や、弦楽六重奏曲第1番第2楽章(映画”恋人たち”に使われた有名な旋律)のピアノ独奏版《主題と変奏》などは、録音が少ない。
《5曲の練習曲》など作品番号が付いていない作品もあり、そういう作品までほぼ網羅しているのは、おそらくジョーンズとビレットの録音。(厳密に照合したわけではないので、収録していない曲も少しはあるかもしれない)
そこまで網羅的に聴く必要もない気がするので、ブラームスのピアノ曲を初期から後期まで、一通り聴きたい人なら、カッチェン、レーゼル(または、私はまず聴かないけれど、好みによってオピッツ)のどれかを選べば良さそう。

tag : ブラームス レーゼル

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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