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お手軽ワッフルメーカー
ワッフルメーカーを買おうと思って情報収集中。
人気があるのは、やっぱりビタントニオ。
新型モデルと旧型モデルがあって、サイズ、デザイン、カラー、付属プレート、価格と、かなり違うところが多いので、悩ましいところ。
それほど使いこんでいないのに故障したとか、部品が壊れたとかというレビューをときどき見かけるので、壊れやすいのかもしれないところがちょっと気になる。
修理すると新品を買った方が安かったりすることもあるので、それなら旧モデルでプレート3枚セットの方が諦めがつきやすそう。
ビタントニオ以外にもいろいろあるけれど、ワッフル以外の複数プレートが使えるタイプとなると、やっぱりビタントニオが良いかなあと。

たまたま見つけたワッフルメーカーのレビュー、くにまんが日記さんの”ワッフルメーカーHL-106でベビーカステラ”がとっても面白くて、つい買ってしまったのが、このワッフルメーカー。
ワッフルにしては形が面白くて、つくりは子供のおもちゃみたいなちゃちな感じだけれど、メーカー直販の970円という低価格品にしては、温度調節機能があるというのが優れもの。(定価は3000円くらいするらしい)
1000Wとハイパワーなので、数分で綺麗に焼きあがり。
生地の硬さや配合を変えれば、形は違えど、ソフトなアメリカンワッフル風、または、ベビーカステラ風とか、食感や味が違ってくる。
お祭りの屋台で売っているような丸いベビーカステラは、たこ焼き器で作れるけれど、たこ焼き器は持っていないし、丸めるのが面倒。(大阪人は1家に1台たこ焼き器を持っている...という人がいるけど、本当?)

このワッフルメーカーを使えば、ベビーカステラ風を作るのがとっても簡単。
お子様向きとはいえ、5種類の形のデザインが小さくて可愛らしくて、意外に楽しい。
ベビーカステラ以外にも、一口お好み焼きや人形焼きづくりにも使えそう。

ワッフルメーカー HL-106ワッフルメーカー HL-106

SIS

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カッチェン ~ ローレム/ピアノ協奏曲第2番(1954年初演のライブ録音)
またYoutubeで発見したカッチェンのレア音源は、ネッド・ローレムの《ピアノ協奏曲第2番》。
この曲は、アメリカ人作曲家のローレムが戦後パリに住んでいた時、1951年に作曲したもの。
戦後間もない頃、パリに住んでいたアメリカ人の演奏家は結構いたらしく、カッチェンの友人グラフマンやレオン・フライシャーもパリに滞在していた。
この曲のNAXOS盤の作品解説によると、同じくパリを拠点に演奏活動をしていた友人のカッチェンのために書かれた曲。
1954年に、カッチェンのピアノ、ジャルディーノ指揮フランス国立放送管弦楽団の伴奏で初演されている。

ピアノ協奏曲第2番の録音は、今のところ2006年8月にNAXOS盤のみ(のはず)。
これは、サイモン・ムリガンのピアノ、ホセ・セレブリエール指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の伴奏で、世界初録音。
数年前に書いた記事”ネッド・ローレム/ピアノ協奏曲第2番"で、「初演はカッチェンがピアノを弾いたそうだけれど、ライブ録音が残っていないのはとても残念」と書いていた。
その初演のライブ録音が残っていたなんて、本当にびっくり!
Youtubeの音源はラジオ放送をそのまま録音したものらしく、録音音質はかなり悪いし、雑音も入っているけれど、それでも全く録音がないのとは全然違う。
そんな古いテープが残っていたのはほんとに運が良いし、歴史的資料として貴重。
音質の良いNAXOS盤の録音があるので、あらかじめそれを聴いておくと、どういう曲かわかっているので、聴きにくさがかなり緩和される。
記憶の中に残っている音を使って、脳が聴きずらい部分の音を補強してくれているのかも。



スタジオ録録音と初演のライブ録音の演奏時間を比べると、全体的に初演のテンポが速い。
NAXOSのスタジオ録音は、聴いていてもテンポが遅めな感じがする。(特に第3楽章の遅さが気になる)

NAXOS盤スタジオ録音 15:58/12:32/5:43 (34:34)
初演ライブ録音      11:25/09:55/4:30 (約26分)

この曲は指回りの良いカッチェンを念頭に書かれた曲なので、アタッカで演奏される第1楽章と第2楽章はピアニスティック。
音がキラキラと輝き、淀みなく流れて、とても華麗。
緩徐部分は透明感のある瑞々しい情感が美しく、カッチェンの明晰で叙情豊かなピアニズムが映えている。

全楽章を通してラヴェルのピアノ協奏曲を連想させるような旋律と和声が頻繁に現れて、ときどき出てくるジャジーなところはガーシュウィン風。
それに加えて、第1楽章と第2楽章の軽快で諧謔な曲想のところで、時々プロコフィエフのピアノ協奏曲に似た感じがする。

第1楽章の冒頭はプロコフィエフの初期のピアノ協奏曲に似ている。
その後はまるでラヴェルの《ピアノ協奏曲》を聴いているような錯覚がするほど、良く似ている。
時々、ジャジーな旋律が聴こえてくるところはガーシュウィン風。

第3楽章は、打って変わって、冒頭から指示通り速いテンポでオーケストラとピアノが協奏していく。
NAXOS盤は、ピアニストの技巧的な問題のためか、細かいパッセージで特にもたもた感があり、とても"Real Fast"には聴こえない。
さすがに速いテンポで音に切れのあるカッチェンの初演で聴くと、すっかり印象が変わり、舞うように軽やかで華麗。
ラヴェル風の雰囲気が薄れているけれど、時々前の楽章の主題の回想が出てきたする。
ピアノが弾く細かい高速のパッセージはとても軽妙で、どことなく洒落たユーモアのある感じ。
ガーシュウィンのピアノ協奏曲のように、管楽器があちこちで突発的に騒ぎ出して賑やかだし、ラストでの管楽器での締めくくり方もアメリカの音楽を聴いているような雰囲気。

《関連記事》

 ネッド・ローレム/ピアノ・ソナタ第2番 ~ 『Julius Katchen: Decca Recordings 1949-1968』より

 ネッド・ローレム/ピアノ協奏曲第2番

 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ


tag : ローレム カッチェン

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耳鳴り治療のための音響・音楽療法 (6)脳のリセット/リブート療法
この記事は、次の2件の記事に分割ずみ。最新情報は、それぞれの記事に記載。

耳鳴り治療のための音響・音楽療法 (4) Acoustic CR® Neuromodulation (アップデート版)
耳鳴り治療のための音響・音楽療法 (7) Serenity System™ therapy (アップデート版) 


                     

新しい耳鳴り治療のための音響療法として、現在、臨床試験段階にあるのが、"脳のリセット/リブート療法"。
調べたところでは、少なくとも2種類の治療法が開発途上にある。

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Acoustic CR® Neuromodulation
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"Acoustic CR® Neuromodulation"は、ドイツの医療技術会社 ANM Adaptive Neuromodulation GmbH が開発中している治療法。(CR® = Coordinated Reset)
療法の原理は、耳鳴りを学習してしまった脳に、その学習内容を"unlean"(消す、忘れさせる)するよう訓練するもので、脳を"リセット"する治療法。
具体的には、あるアルゴリズムを使って、個々の患者用にカスタマイズした音響刺激を作成し、専用のスティミュレーターを使って一定期間聴く。
適用対象は、音型(tonal)型慢性耳鳴りで、耳鳴周波数が200Hz~10,000Hzなどの条件があり、拍動性耳鳴りなどは対象外。
"Neurostimulator"という専用の医療機器を使用。患者ごとに適した神経的刺激シークエンスがプログラムされた小型サウンドジェネレーターと医療用イヤフォーンが付いている。

現在、第2フェーズまで治験が完了している。
2011年中に第3フェーズとして、拡大した一般臨床試験を実施予定。

なお、2010年2月には、慢性耳鳴りの治療機器として、"acoustic CR® neurostimulator"がCEマーキング取得、TÜV認証取得、欧州での商標登録完了。


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‘reboots’ the brain (脳をリブートする)
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ダラスのテキサス大学のDr Michael Kilgardが提唱した治療法で、高周波の音と迷走神経への電気的刺激を併用し、聴覚皮質を耳鳴発生以前の正常な状態に戻すもの。

耳鳴り患者に朗報!? 脳をリブート(再起動)すると耳鳴りが解消する{日本語記事]
How high-pitched music could cure tinnitus by 're-booting' the brain[英語原文]
「足りない音信号を補完している脳の状態を、以前の耳鳴りのない正常な状態に戻すこと、つまり脳のリセットで耳鳴りの根本原因を取り除く」という治療法。
音響外傷により難聴となったラットの聴覚皮質を元の正常な状態に戻すという動物実験を実施。
無線の電極装置を首にある左側の迷走神経に外科手術でつなげ、迷走神経を電気的に刺激し、同時に高周波数の音を流す。

"Cure for Tinnitus Has a Nice Ring to It"[Washington Examinerの紹介記事]
記事中のほかの医師のコメントでは、"そもそもラットが耳鳴りを持っているかどうか自体が不明。人間の被験者に対する臨床試験の結果を見ないと何とも言えない、方向性は妥当"。


Dr Kilgardの論文"Externally Directed Neural Plasticity for the Treatment of Neurological Disease"
この療法の研究リーダーであるテキサス大学のDr Michael Kilgardの論文。
療法の原理とラットによる動物実験の結果などが記載されている。
-脳の奥深くに刺激を与える方法に代って、迷走神経を短時間刺激することにより、脳の可塑性を導き、聴覚皮質ニューロンの情報処理システムに信頼性の高い変化を引き起こすことができる。
-この変化の内容は、音刺激によって引き起こされる活動パターンに依存する。
-ラットを使った実験では、”Pairing rapid trains of sounds”が、耳鳴りとそれを引き起こしている病理学的可塑性を反転(reverse)させる効果があった。


microtransponder社のホームページ
米国のバイオテクノロジー企業microtransponder社は、この療法に使用する専用のスティミュレーターを開発。


tinnitus-update(www.willrosellini.com)
sbirs-and-tinnitus(www.willrosellini.com)
microtransponder社のCEOのホームページ www.willrosellini.comで、臨床試験の進捗状況が掲載されている。
現在、ベルギーの臨床試験結果の要約作成中。
米国では最初の3ヶ所の臨床試験が完了。さらに次の臨床試験と器具の商業化プランを作成し、NIDCD(国立聴覚・伝達障害研究所)に助成金を申請予定。
9人の被験者の試験結果について、2012年に論文公表予定。

[2012.2.12追記]
microtransponder社のCEOのブログ記事によると、同社が2012年に計画しているEUの臨床試験を実施するために、自ら資金調達する必要に迫られている。(NIHは、米国外での治験に対して助成は行わない。)
米国の臨床試験は、FDAの要求基準を同社が達成することが2012年中は不可能なため、2013年に願わくばNIHの助成を得て、実施することができる。
EUの臨床試験の結果により、ベンチャーキャピタル等が同社へ投資すると示唆しており、この投資が実現すれば、EUでの機器販売および米国でのより大規模な臨床試験実施が可能となる。
SECの規定により、資金調達のためには、10万ドルの投資家10人が必要である。

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備考
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医学的文献については、大意要約のため訳文の精度は高くはありません。正確な内容については、必ず原文を確認してください。

tag : 音響・音楽療法

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いろんな粉で作るロールケーキ生地
簡単!米粉(上新粉)のロールケーキ生地
ロールケーキに使う小麦粉は、普通は薄力粉なんだろうけれど、試しに上新粉で作ってみたら、だまにもならず、焼き上がりのきめが細かくてしっとりしゅわしゅわな食感。

このレシピは卵、砂糖、上新粉だけで作れて、工程もとても簡単。
粉が少ないので、卵の味が強め。あまり上新粉が多いと、小麦粉と違って、生地が重たくなりそうなので、これくらいが限度かも。
卵はハンドミキサーで共立て、しっかり泡立てれば、焼き上がりがふわふわでしっとり、ちょっととろけるような食感。
このレシピで初めてロールケーキを焼いたら、全然失敗せずに綺麗な出来上がり。丸型で焼けば、スポンジケーキ。
これくらいの仕上がりの生地がお家で簡単に作れて、しかも添加物ゼロ。
生クリームは使わないのでホイップクリームではなく、自家製のカスタードクリームやチョコカスタードを塗って巻けば、ロールケールの出来上がり。
キッチンにいつも常備している食材だけで計量から焼き上がりまで、20分くらい。
クリームは、生地を冷ましている間に作ればよく、10分もかからず。
自分でロールケーキが簡単に作れるのがわかると、有名店の無添加ロールケーキは別として、添加物がいろいろ入っている市販のロールケーキを食べる気がしなくなる。


米粉「リ・ファリーヌ」で作るロールケーキ
普通の上新粉以外にも、グルテン入りの製菓用薄力米粉がかなり出回っているし、価格も随分安くなっている。
製菓用の米粉は、上新粉よりも粒子が細かいので、洋菓子に使うとキメの細かいケーキやサクサクした軽い食感のクッキーになるらしい。
小麦NGでなければ、ケーキやクッキーなど洋菓子系は、製菓用米粉をつかうと仕上がりが上新粉よりもよいかも。
和菓子はあのもちもちした食感がないと物足りないので、やっぱり上新粉で。
製菓用米粉を使うとコシがなくなるため、どうしても米粉で和菓子を作りたいなら、上新粉・米粉各50%で配合すると良いらしい。

昔から販売されている製菓用米粉といえば、有名なのがグルテンフリーの「リ・ファリーヌ・グランクリュ」。250gが400円弱とこれはかなり高い米粉。
波里から出ている薄力米粉(強力粉と違ってグルテン添加せず)は500gで150円くらい(イオンの店頭価格)。
それにしても、この価格差はかなり大きい。
両方とも国産米を使っているとはいえ、米の等級や加工方法が違うことはあるだろうし、イオンが大量購入しているのも影響しているのだろう。


目からウロコスポンジ ロールケーキの場合

ロールケーキのレシピをいろいろ探していたら、とっても面白いレシピとブログを発見。
<くにまんが日記>さんのブログは、知る人ぞ知る...という類のものらしく、このレシピを使ったレシピ本も出版されていた。

もともとはスポンジケーキ用のレシピを考案するために、粉の種類や配合を変えて試作を重ねていたもので、それをロールケーキに応用したもの。

ロールケーキ・スポンジケーキのレシピのポイントは天ぷら粉を使うこと。
家では天ぷらは作らないので、キッチンには天ぷら粉のストックがない。
天ぷら粉なら、卵の粉とベーキングパウダーが入っているので、お好み焼きもふっくら。
<Farmer's KEIKO 農家の台所>に載っていた『実家秘伝のお好み焼き』も天ぷら粉を使っていた。

目からウロコのスポンジケーキ 完璧編 その6 まとめ(レシピ)

極上ふわふわ簡単スポンジケーキ!―なんと天ぷら粉&浮き粉で大成功!! 誰も考えつかなかった驚きのミラクルレシピ極上ふわふわ簡単スポンジケーキ!―なんと天ぷら粉&浮き粉で大成功!! 誰も考えつかなかった驚きのミラクルレシピ
(2007/12)
くにまんが

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ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第3番&第4番(ピアノ協奏曲版,ピアノ独奏版)
ヴィラ=ロボスといえば、まず《ブラジル風バッハ》。特に第5番の美しいアリアは有名で、ベスト盤とか名曲集で、この曲(楽章)だけとりだして録音しているCDをよくみかける。
《ブラジル風バッハ》は全9曲。楽器編成が曲ごとに違うという面白い構成。
こういうタイプの作品ですぐに思い浮かぶのは、ヒンデミットの《室内音楽集》とラーシュ=エーリク・ラーションの《12のコンチェルティーノ》。

私がまず一番先に聴くのはピアノが入った曲なので、《ブラジル風バッハ》では、ピアノ協奏曲の第3番、それにピアノ独奏版と管弦楽版がある第4番。

Heitor Villa-Lobos : The Complete Choros & Bachianas Brasileiras (7CD BOX) [Import]Heitor Villa-Lobos : The Complete Choros & Bachianas Brasileiras (7CD BOX) [Import]
(2009/07/13)
Various

試聴する(米国amazon)
ショーロスとブラジル風バッハ全曲を収録したBOXセット。NMLのリスナーレビューによると、NAXOSのシャーマーホーン盤よりもスイング感が薄く、ラテン音楽にしてはかなり洗練されたタイプの演奏らしい。ブラジル人のミンチェク&サンパウロ交響楽団の演奏とはいえ、BIS盤なのでインターナショナル志向なのかも。(ピアノはJean Louis Steuerman)


ブラジル風バッハ第3番(1938)

9曲中、唯一のピアノ協奏的な曲。どちらかというと、ピアノ・ソロが華やかに主題となる旋律を弾くというよりは、オーケストラの1パートを担っているような協奏的交響曲風。ロマン派とバロックが融合したような趣き。
主題旋律はロマンティシズムを感じさせるところはあるけれど、ピアノソロで聴いた第4番に比べると、あまり強い印象がない。
たぶん第1楽章~第3楽章の曲想が良く似ているので、個々の主題旋律の印象が薄まってしまったのかも。

第1楽章 Preludio: Ponteio
プレリュードらしく、ドラマティックな幕開けのような雰囲気。

第2楽章 Fantasia: Devaneio (Digression)
この楽章は、ピアノが煌くように華やか。それほど幻想的というわけではないけれど、終盤のサビのところは映画音楽のようにロマンティックな盛り上がっている。バッハの前奏曲のコラール風な静寂さも。

第3楽章 Aria: Modinha
この楽章を聴き始めると、第1楽章~第3楽章まで曲想がかなり似ているような気がしてきた。
アリアにしては、かなり力強いタッチで、行進曲風なところもあって、映画音楽風にドラマティック。

第4楽章 Toccata: Picapu
この楽章だけ、随分雰囲気が違うトッカータ。
ブロッホの《コンチェルト・グロッソ》を少し連想させるような古典的な旋律と和声が主体かと思うと、シンフォニックなサウンドはどことなく映画音楽風だし、様式が折衷的な印象。


ブラジル風バッハ第4番(1939)

この曲は、なぜか管弦楽版とピアノ独奏版がある。最初に書いたのがピアノ独奏版、管弦楽版はその2年後。

第1楽章は珍しくLentoで、Prelude (Introduction)
やや神秘的で憂いを帯びたとてもロマンティックな主題。ロマン派音楽の旋律といっても、なるほどと思えてくるほどに繊細で綺麗な旋律。
この旋律がゆったりとしたテンポで、ひたすらリフレインされるので、頭の中にこびりつきそう。
管弦楽版とちがって、ピアノ独奏だと静謐さのなかに情熱が秘められているような趣きがあり、それでいてさっぱりとした透明感もある。

第2楽章もゆったりとLargoChorale (Canto do Sertao)

第3楽章も相変わらずまったりとmoderatoAria (Cantiga)
アリアにしては、かなり力強いタッチで、これを歌にしたものをどこかで聴いたような..。記憶を辿ると、どうもジェフスキの《不屈の民》変奏曲らしく思えてきた。
ジェフスキはアメリカ人でも、《不屈の民》の元ネタの旋律は、チリの作曲家セルヒオ・オルテガが民衆歌をもとに作曲したものなので、ラテン的な音階や旋律が似ているかも。
ただし、ピアノソロで聴くとそういう気がするけれど、管弦楽版だと響きが全然違うので、それほど似た感じはしない。

第4楽章は、ようやくテンポがあがって、Miuto ritmado e animado
軽快なテンポとタッチのDance (Miudinho)。冒頭からラテン風(とでもいうのか)のリズムと旋律は、アルベニスの《イベリア組曲》を連想させるような港町の爽やかな風が流れているような曲。
この楽章だけとりあげて、ジャズのピアノソロなんだよと言われても、そんなに違和感がない。

管弦楽版とピアノ独奏版を聴き比べると、ピアノ独奏だと音も少なく響きがずっとシンプルなので、静謐さと透明感があって、やや冷んやりしたさっぱりとした叙情感。
第1楽章などはモノローグ的ノクターン風といった雰囲気。

管弦楽版の方は、色彩感が豊かで響きに厚みがあるので、叙情感が深くてとてもロマンティック。
弦楽器が奏でる低音~高音の響きの色彩感と流麗な流れが、哀愁溢れた曲想と旋律に良く似合っている。
ゆったりとしたテンポで緩急の変化が少ないのに、飽きることなく惹きつけられてしまう。
特に、第1楽章の深い叙情感がとても美しくて、交響曲よりピアノが好きな私でも、第4番は管弦楽版の方で聴きたくなる。

第2楽章と第3楽章はどちらの版でもそれほどこだわりはないけれど、第4楽章はピアノソロが素晴らしく良くて、煌くような輝きと軽快な躍動感がとても爽やか。
管弦楽版とはかなり違った趣きで、全く違う曲のように聴こえる。第4楽章だけでも、ピアノ独奏版で聴いてほしいと思うほどに魅力的。

第1楽章(管弦楽版)
Bachiana Brasileira No. 4 for piano (1930-41) - orch. in 1941, I. Prelúdio (Introdução)



第4楽章(ピアノソロ)
Youtubeのライブ映像ではあまり良い演奏がなく、このGabriel Ferrazのライブ映像が、一番音響的にすっきりして、テンポやリズムなども他のピアニストよりもずっと良かった。

H.Villa-Lobos - Bachianas Brasileiras 4 - Dansa


tag : ヴィラ=ロボス

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ポール・ジェイコブス ~ ジェフスキ/ノース・アメリカン・バラード
フレデリック・ジェフスキの代表作といえば、《"不屈の民"変奏曲》。
チリの政治闘争歌 "El pueblo unido jamas sera vencido!(団結した人民は決して敗れない!)"を元にした変奏曲で、技巧的にかなりの難曲。でも、ピアニスティックな華麗さにメロディの美しさ、さらに闘争的な力強さとが相まって、かなりドラマティックで哀愁を帯びた主題旋律は一度聴いたら忘れられないほどに印象的。

《"不屈の民"変奏曲》と並んで有名な作品が、1978年に作曲された《ノース・アメリカン・バラード》。
ポール・ジェイコブスの委嘱により作曲されたもので、現代アメリカの代表的ピアノ作品と評されている。[作品解説/Wikipedia]

ジェイコブスは、CDのブックレットに自ら作品解説を書いていることが多い。
このアルバムの作品解説によると、ジェフスキーのジャズの即興テクニックを効果的に使った作品を何曲か聴いたジェイコブスは、ジェフスキに「とっつきやすくて、いかにもアメリカ的」な作品を書いてくれないかと頼んだところ、生まれたのが《ノース・アメリカン・バラード》。
4曲ともアメリカの歌を元にしたもので、元々の歌詞が暗示している現実の厳しさを、陽気なオプティミズムが圧倒している曲だという。
スコアを調べると、かなりポリフォニックな書法が使われている部分があり、メロディ素材はほとんど全て元の旋律の断片から作り出されているので、聴けばすぐに原曲のメロディが思い出せるはずらしい。(米国人にとっては)
ジェイコブスによる作品解説は、「このアルバムに収録された作品は、ピアノという楽器を隅から隅まで知り尽くした彼ら(コープランド、ボルコム、ジェフスキ)が書いた、演奏は難しいけれども弾いていて楽しい曲なのである」という言葉で結ばれている。

ブルース、バラード&ラグ アメブルース、バラード&ラグ アメ
(1996/10/25)
ジョイコブス(ポール)

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輸入盤・国内盤とも廃盤。収録曲の大半を、レクチャーコンサートで弾いたライブ録音『ストラヴィンスキー:4手ピアノのための音楽集』がCDで出ているけれど、音はクリアでややデッドな音響。ジェイコブスの色彩感の豊かなピアノを聴くならスタジオ録音で。

1.Dreadful Memories/恐ろしい思い出 (1978)
1931年のケンタッキーの炭鉱ストライキのときに、モリー・ジャクソン女史が歌った歌が原曲。

2.Which Side Are You On?/ あなたはどっちの味方? (1978)
原曲は、同じくケンタッキーの鉱山ストライキを撮ったドキュンタリー映画で、フローレンス・リース女史が歌っていたもの。

特に演奏機会が多いのが、次の2曲。

3.Down By The Riverside/川辺を下って(1979)
原曲は、ベトナム戦争や核廃絶デモなど、事あるごとに替え歌にして歌い継がれてきた曲。
ジェイコブスの冒頭主題は草原にそよぐ風のように軽やかで素朴なタッチ。残響はそれほど多くなく、音色はすっきりとクリア。
不協和音が入ってくると、平和な日常に亀裂が生じたように混沌としていく。
調和と不協和とで響きと雰囲気が一変するので、コントラストが鮮やか。
不協和音は荒くざらついた音色でどこかしら焦燥感のようなものが漂う。
調性的に安定している主題を弾きつつ、不協和音の伴奏と対旋律を弾くところの扱い方が上手く、それぞれの旋律線がくっきりと弾き分けられ、クリアな響きと相まって、とても明晰な演奏。

Frederic Rzewski: Down By The Riverside (1979)




4.Winnsboro Cotton Mill Blues/ウィンスボロ綿工場のブルース(1979)
映画《ノーマ・レイ》のように、紡績工場の作業現場を表現した曲。
前半では、紡績機械を模した音がメロディをかき消しかねないほど。
最後にこの賑やかな音がピアノの高音部へ移行し、喜びとなって爆発する、という曲。
2台のピアノ版もあり、ジェフスキが米国現代音楽の演奏で定評のあるアーシュラ・オッペンスと録音している。

ピアノが表現するのは、紡績工場の紡織機が一斉に唸っているような音。
ジェイコブスはピアノは、低い唸りが羽音のように重なって、かなり不気味な殺伐とした不気味な雰囲気がする。
まるで紡織機の動きを耳で聴いているかのように、リアリティ充分。

Frederic Rzewski: Winnsboro Cotton Mill Blues (1979), part 1/2



後半は、ムーディなジャズのような旋律と曲想になり、それが軽快なタッチに変わって、楽しげ。
紡績工場の労働者たちが、休憩時間に食事や飲み物でほっと一息ついている様子?
最後に再びミニマル的な紡織機の音が高音で演奏されて、そのまま機械の回転が勢いを失って止まるかのように、デクレッシェンドしてフェードアウト。

Frederic Rzewski: Winnsboro Cotton Mill Blues, part 2/2



<関連記事>
 ポール・ジェイコブス~アメリカン・ピアノ・ミュージック・リサイタル

 ジェフスキ/『不屈の民』変奏曲


tag : ジェフスキ ジェイコブス

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アックス&ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響 ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
シェーンベルクの《ピアノ協奏曲》の録音が素晴らしく良かったので、エマニュエル・アックスの録音をまとめて数枚CDで聴いてみた。
そのなかで、シェーンベルク以外にとても気に入ったのが、ブラームスの《ヘンデル・ヴァリーエーション》、それにベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》。
ブラームスの方は、別記事にまとめて書いておくので、ここではベートーヴェンの方を。

アックスは、ピアノ協奏曲第4番を2回録音している。
最初はプレヴィン/ロイヤル・フィルハーモニックとのスタジオ録音(1986年)。こちらは未聴。
2回目がこのライブ録音で、2009年12月のティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ響との演奏会。

Symphony No.5/Piano Concerto No.4Symphony No.5/Piano Concerto No.4
(2011/2/8)
Emanuel Ax(Piano), San Francisco Symphony , Michael Tilson Thomas (Conductor),

試聴する(米国amazon)


第1楽章冒頭のピアノ・ソロがとても印象的。第4番は、この最初のピアノソロが最大の難所。
"皇帝"よりも第4番の方を好んでいたバックハウスでさえ、この冒頭の数小節は、何度弾いてもなかなか納得いくように弾けなかった..と、どこかで読んだことがある。
アックスの冒頭のピアノソロは、今まで聴いた録音のなかでも、とりわけ素敵に思える演奏の一つ。
特徴的なのは、一番最初の和音をアルペジオで弾いているところ。
それが全く違和感がなく、逆にアルペジオの方が柔らかくて、ずっと自然に思えてしまう。

全体的に、アックスのタッチはフォルテでは力強くてシャープな切れがあり、音色は輝くような光彩があって、私の好きなレーゼルの演奏に方向性が似ている感じがする。
元々アックスの音色はやや固く鋭いところがあるので、フォルテのタッチがきつくて、少し音が尖った感じはする。
レーゼルの力強くもやや柔らかい音色に慣れているので、強演部分ではちょっと音が粗く感じることが時々。
演奏は微細な弱音に拘ることもなく、ルバートを多用して表情たっぷりに弾くこともなく、堂々として"正攻法"と言いたくなるようなベートーヴェン。
技巧的に危ないところがなく、演奏に勢いといきいきとした生気と輝きがあって、音楽が淀みなく流れていく。
テンポも速すぎず、遅すぎず、安定していて、技巧も切れ良く、表現には誇張や過剰な感情移入がないので、最初から最後まで安心して聴ける。

第4番は、昔から聴いていたのが、ゆったりしたテンポで静寂で聖母のような慈愛を漂わせるようなアラウ、時々テンポが走りがちだけれど弱音の静けさに引き込まれるようなカッチェン。
アックスは、レーゼルと同じく(またはそれ以上に)、第1楽章は陰翳が薄く、ポジティブで輝くような明るさ。
もう少し静寂な雰囲気が漂っている方が好みではあるけれど、"女帝"マリア・テレジアのように堂々とした第4番は、"皇帝"よりも好きなので、レーゼルと同じくアックスの第4番もマイベストの一つ。

《ライブ録音のCDレビュー》
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番をアックスのピアノで聞く[鎌倉スイス日記]
ティルソン・トーマス指揮,サンフランシスコ響のベートーヴェン・ライヴ[Classical CD Information & Reviews]


tag : ベートーヴェン アックス

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音のイリュージョン ~ イリュージョンフォーラムの”錯聴体験”
今まで読んでいた音楽関係の本は、作曲家・演奏家の伝記、音楽評論、作品解説、音楽エッセイにノンフィクションなど。
最近、サックスの『音楽嗜好症』を読んだり、音楽療法と治療法があるのを知って、科学的・医学的な観点から音楽にアプローチした文献をいろいろ探すようになった。
よく見かけるのは音楽療法の本。方法論やケーススタディが載っている理論書では、主に子供の養育・教育、高齢者のアルツハイマー、精神的疾患、ターミナルケアを主に扱っている。
耳鳴治療の一つに「音楽療法」というものがあるけれど、専門書ではほとんど扱っていない。
また、「音響療法」という場合はホワイトノイズや自然音などを使う療法のことを指し、歌やインストゥルメンタルを使うときは「音楽療法」という用語が使われているようだ。

音楽と聴覚の関係をテーマにした本では、脳における音楽の知覚・認識を扱ったものがいろいろ出ている。
そのなかでちょっと変わった視点の本だと思ったのが、錯覚の一種である「錯聴」の解説書『音のイリュージョン 知覚を生み出す脳の戦略』(柏野牧夫著、岩波科学ライブラリー)。

「錯覚」といえば、思い浮かべるのは、"エッシャーのだまし絵"などでよく見かける「錯視」。
大阪南港の天保山には「現代館」というトリックアートの施設ミュージアム(今は閉館)があって、これはかなり変わった美術館だった。
心理学検査で使われていたロールシャッハテストも「錯視」なのかも。「錯聴」の方はあまりピンと来ないものがある。

音のイリュージョン――知覚を生み出す脳の戦略 (岩波科学ライブラリー 168)音のイリュージョン――知覚を生み出す脳の戦略 (岩波科学ライブラリー 168)
(2010/04/24)
柏野 牧夫

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「錯聴」のパターンがいろいろ上げられていて、それが実際に体験できるサイトが、<イリュージョンフォーラム>
「錯聴」の方は、言葉自体あまり聞いたことがなかったし、実際にこれだけまとまって体験できるのは珍しい。
「錯聴」だけでなく、「錯視」の体験用ファイルも多数ある。


「錯聴」の簡単な説明:http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/ja/auditory.html

「錯聴一覧」トップページにあるタブ[錯聴一覧]で、37種類の錯聴が体験できる。

雑音が挿入された「マスキング」関係の錯聴ファイルもいくつかある。
「スライダー」を移動させて数値設定を変えると、雑音の条件がいろいろ変化する。
錯聴ファイルによって、周波数、長さ、間隔、音圧など、雑音が変化する条件が異なる。
雑音の長さや間隔を変化させると、パルス型やザーという雑音型などの耳鳴り音に似た感じの音になる。

錯聴の原理については、各錯聴ファイル画面の右上にある[説明を読む]をクリックすると、画面の下側に、サンプル音声の条件と錯聴の原理の説明が表示される。

私が実際に各錯聴ファイルを聴いてみて、耳鳴りの疑似体験ができそうだと思ったファイルは以下の通り。
「ヘッドフォン」と表示されているファイルでは、ヘッドフォンを使わないといけない。

マスキング関係のファイル
「マスキング」とは、耳鳴り治療でいう「マスキング」ではなく、耳鳴り音のような雑音によって発生するマスキング効果のこと。
知覚的補完 - 「マスキングレベルの可能性の法則」(レベルの関係)(周波数帯域の関係)(両耳間差の関係)
知覚的補完 - 「時間領域の生起条件」(ギャップ)(欠落部分の長さ)
視聴覚統合 - 「マガーク効果」(雑音が入ると、目に見える映像に影響されて、違った音声(言葉)に聴こえてくる)

耳鳴り音に似たノイズ音のファイル
空間知覚 - 「両耳ビート」(両耳の位相差と周波数変化)
空間知覚 - 「両耳マスキングレベル差」

たとえば、 「両耳マスキングレベル差」では、ヘッドフォンで聴いていても、ターゲット音がなかなか聴こえない。
これは聴力自体が落ちているのか、耳鳴りが邪魔しているのか、どっちなんだろう?
音量を変化させると、ターゲット音の聴こえ方が違う。
B・Dでは、音量を上げるより、絞った方がターゲット音が聴こえやすい。これは、音量を上げると、ターゲット音も雑音も両方とも大きくなるが、雑音の方がその度合いが強いので、マスキング効果が高くなるため。
また、雑音が少ない環境で方耳で聴く時と、雑音の多い環境で両耳で聴く時の違いもわかる。


最新型ホームベーカリー
9月29日、日本テレビ系の「news every.」という番組の「気になる!」コーナーで放映された特集「新機能が続々、ホームベーカリーの魅力」
私はTVは全然見ないので、たまたまPanasonicサイトの「ベーカリー倶楽部 フェーヴのパン日記」の記事に載っていた。

番組ホームページで番組録画も視聴できる。こういう情報系TV番組はたまに見ると面白い。

番組では、たぶんT-falのホームベーカリーで焼いたと思われる丸いメロンパンやマカロンがちらっと映っていたけれど、主に紹介されていたのはpanasonicの最新機種SD-BMS104
「ごはんパンコース」が搭載されて、冷やご飯が最大200g混ぜ込むことができる。

生のお米から作る「お米ぱん」は、『GOPAN』を使わないと作れないけれど、炊いたご飯なら、どのホームベーカリーでも簡単に作れる。
旧型のpanasonicのホームベーカリーでは、「食パンコース」を使うレシピで、冷やご飯の量が150g。
粘り気のあるご飯を捏ねるのはかなりパワーが必要なので、あまりモーターが強力とは思えないpanasonicのホームベーカリーだと、150gであってもコネ足りない。

新機種の「ごはんパンコース」だと、ご飯が200gまで投入できる分、コネ方・時間や発酵時間の設定が、食パンコースとは違うはず。
象印のホームベーカリーにも、確か同じコースがあって、こちらも200gまでご飯を入れることができる。

 "ごはんdeパン"基本レシピ(従来機種の場合)

 "冷やごはんパン"レシピのバリエーション(従来機種の場合)


さらに改良されたのは、レーズンナッツ機能。
羽根の回転速度を遅くして、投入した具材がちゃんと残るようになっている。
私が持っている旧型機種だと、レーズンや小さく切ったかぼちゃ、さつまいもは原型をとどめていないことが多い。
しっかりした食感と形で焼き上げたければ、コネが終ってから生地を取り出して、自分で混ぜ込むしかない。(面倒なのでしてないけど)

今使っているホームベーカリーは全く故障する気配もないし、さしたる不満もないので、当分買い替える予定はなし。
ホームベーカリーの出荷台数は年間60万台に増加しているそうだし(世帯普及率はすでに10%を超えているのかも)、まだまだ機能も良くなっていくに違いない。
お米パンが作れる『GOPAN』も、一度使ってみたいとは思うけれど、騒音と設置スペースが問題。
そのうち、騒音がもっと小さくなって、サイズ・重さもコンパクトで軽量化されるのでは...と期待してます。


tag : ホームベーカリー

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カッチェン ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番(1961年,ライブ録音)
カッチェンのピアノ協奏曲第1番のライブ録音は、明日(15日)にケンペ&BBC響とのライブ録音が発売予定。(NMLでは、すでにアルバムが登録されているので、会員の方なら全曲聴くことができます。)
この曲のカッチェンの録音は、スタジオ録音を含めてこれで全部で4種類。
CDで聴くことができるのは、
 1951年 ブール指揮南西ドイツ放送交響楽団(ライブ録音)
 1959年 モントゥー指揮ロンドン交響楽団(ステレオ録音)
 1960年 コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(ライブ録音)

モントゥー&ロンドン響と録音したDECCAのスタジオ録音のCDは、リマスタリングのおかげで、ベールが一枚被ってエコーがかかったような変な音質。
元の録音のLPも持っていないので、演奏に多少キズがあっても、音質の良いライブ録音を聴きたくなる。
1951年のライブ録音は音質が悪い上に、演奏内容も良くはないので、これはCDラックで眠っている。
いつも聴いている1960年のライブ録音は、演奏内容は良いけれど、モノラル録音でピアノの高音部の音がかすれがちなのがちょっと気になる。

カッチェンがピアノを弾いていた演奏会は年間100回以上。
"ブラームス弾き"で有名だったので、このコンチェルトのライブ録音は探せばいくらでも見つかりそう...と思っていたら、Youtubeに今まで聴いたこともないライブ録音の音声が登録されている。

1961年、ミュンヘンにて、伴奏はアルトゥール・ローター(Arthur Rother)指揮バイエルン放送交響楽団。

調べてみても、カッチェンのディスコグラフィには載っていない録音で、正規盤のCDでは発売されていない。
1951年、1960年のライブ録音に比べると、かなり良い音質なので、放送用音源?
硬質でシャープなタッチと力感・量感のある線のしっかりしたクリアな音も、かなり速めのテンポなのについつい加速してしまうのも、いつものカッチェンらしいところ。
特に、第3楽章はテンポがすこぶる速くて勢いの良いこと!
冒頭から飛ばしているので、最初のトリルがちょっと抜け気味だけど。
カデンツァの冒頭も、いつもどおり、テンポを落とすことなく、アルペジオを一気に弾いている。
時々、ピアノが走りすぎて、オケの伴奏が置いてけぼりになりそうになっていたりする。これは他のライブ録音でもよくあること。
オケの伴奏は、音がシャープで切れ良く低音も重みがあり、強演ではアクセントをきかせてメリハリがよくついているし、緩徐部分のレガートも美しく、カッチェンのピアノととてもよく似合っている。

1961年というと、彼が35歳の頃。力強く若々しい躍動感と爽やかな叙情感を織り交ぜた生き生きとした演奏は、いつも聴いているカッチェンらしくて、彼のライブ録音というのは間違いなさそう。


Julius Katchen " Piano Concerto" No 1" Brahms (3.Mov.)


Julius Katchen " Piano Concerto" No 1" Brahms (1.Mov.)[Youtube]

Julius Katchen " Piano Concerto" No 1" Brahms (2.Mov.) [Youtube]



《関連記事》
 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』
 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ



tag : ブラームス カッチェン

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イッサーリス&ハフ ~ フランク/チェロ・ソナタ(ヴァイオリンソナタ編曲版)
スティーヴン・イッサーリスとスティーブン・ハフは、チェロ&ピアノの曲集~フランク、ラフマニノフ、ブラームスに加えてチェロの小品集のアルバム~をいくつか録音している。
初めはちょっと珍しい取り合わせのような気がしたけれど、同じ英国人同士で音楽性が合うのか、メンタリティ的に相性が良いのか、どのアルバムもチェロとピアノのバランスが良く、特にハフのピアノのソロの時以上に煌くような美しさがあって素敵。
ハフが好きな人でも、彼の室内楽曲の録音を聴いていない人が多いようなので、ピアノパートが技巧的に難度の高いフランクとブラームスの録音はかなりお勧め。

ラフマニノフ&フランクのチェロソナタアルバムは、フランクのチェロソナタを聴くために買ったCD。
チェロソナタ以外に小品が4曲カップリングされていて、特にフランクの声楽曲2曲が思いもかけず良い曲だった。

Cello Sonatas / Oriental Dance / PreludeCello Sonatas / Oriental Dance / Prelude
(2003/07/08)
Steven Isserlis,Stephen Hough 他

試聴する(独amazon)


ラフマニノフで何度も聴いた曲といえば、《ピアノ協奏曲第2番》、《パガニーニの主題による狂詩曲》、小品の《ヴォカリーズ》、《前奏曲<鐘>》くらい。
どうもラフマニノフとは相性がかなり悪いらしく、試聴した時に予想したとおり、このチェロソナタもあまり面白いと思えなかった。
それでも、第1楽章と第4楽章は、ピアノパートがとても華やかで、曲はともかく、ハフのピアノだけ聴いているだけでも楽しい。
それに、第2楽章のスケルツォの冒頭部分は、嵐が迫り来る中を馬が疾走するような雰囲気。ここは、大好きな《パガニーニ狂詩曲》に出てくるような音の動きと旋律に似ているので、わりと好きな部分。
それ以外の叙情的な部分はあまり心情的に迫ってくるものがなくて、そもそもチャイコフスキーなどのロシア的叙情漂う作品は全く合わないので、ラフマニノフも同じらしい。
カップリングされている《前奏曲ヘ長調Op.2-1》の穏やかで美しい旋律は、どこかで聴いたことがあると思ったら、この曲はピアノ独奏曲の編曲版だった。


フランクの《チェロソナタ》は、《ヴァイオリンソナタイ長調》のチェロ版で、よくチェリストが弾いている。
イッサーリスのチェロの響きが好きなのと、なによりハフのピアノ伴奏が試聴しただけでも素晴らしかったのが、このCDを聴きたくなった理由。
ピアノパートは、伴奏の域を超えて、ピアノパートだけ聴いていても立派な曲に聴こえる。
イッサーリスのガット弦を張ったチェロの響きは、穏やかで奥深くてじわ~と染みてくるような心地良さがある。チェリストの中では、ウィスペルウェイのチェロと並んで好きな音。
チェロはあまり聴かないし、技巧的なことはヴァイオリン同様わからないので、音色と表現が好みに合うかどうかは直観的に決まる。
イッサーリスのチェロの音が奥ゆかしいせいか、あまり感情的にウェットな演奏にならずに、さらさらと淀みなく流れているような感覚がするので、とても聴きやすい。
マイスキーやヨーヨー・マのような、深く豊饒な音と感情移入が強い弾き方は、長時間聴いていると疲れてくるので。

ハフのピアノはいつもながら、技巧的に難しいピアノパートを軽々としたタッチで弾きこなして、鮮やか。
ピアノソロの時と同じように、ピアノの音は色彩感豊か。線のやや細いシャープなタッチで、宝石がきらきら煌くような輝きと澄み切った音色がとても美しい。
叙情表現も、粘らずにすっきりとしているけれど、細部まで丁寧に弾きこんでいるので、繊細で叙情豊か。
ピアニッシモでは、線がちょっと細いので華奢な感じがするけれど、弱音でもピアノはしっかりと鳴っているので、弱々しくはない。
もともとピアノパートがピアニスティックに書かれているので、ヴァイオリンより目立ってしまいがちな曲。
音域が低いチェロだと、高音域のピアノの方がよく聴こえてしまうので、ピアノが音量を上手くコントロールしないと、チェロの音がかき消されてしまう。
ハフのピアノは、ソロの部分ではかなり強くシャープなタッチで弾いているけれど、チェロが主旋律を弾いてピアノが伴奏に回るところは、音量を抑えている。
ピアノが前面に出てきてチェロをかき消すことなく、ピアノとチェロがうまく噛み合ってバランスがとても良い。
この曲は、ヴァイオリンの音色で聴くよりも、深みのある落ち着いたチェロの音色で聴く方がずっと心地良い感じがする。
                            
                           


フランクのカップリング曲は声楽曲2曲で、《空気の精(Le Sylphe)》《天使の糧(Panis angelicus)》
ソプラノは、レベッカ・エヴァンス。2曲ともチェロとピアノが伴奏に回るという珍しい(と思う)フォーマット。
ソプラノが歌う清らかな旋律の美しさがストレートに伝わってくる。

《空気の精(Le Sylphe)》では、ピアノはずっと伴奏に回り、チェロが時々ソプラノと一緒に旋律をユニゾンで弾いてデュエットしている。ソプラノが休んでいるときは、チェロが主旋律を弾いて、ピアノ伴奏とデュエット。

César Franck - Le Sylphe
(Gabriella Létay Kiss, soprano;Adrienne Hauser, piano;
Tibor Boganyi, violoncelle)




《天使の糧(Panis angelicus)》はとても有名な歌。
クリスマスの時によく合唱やテノール/ソプラノ歌手が歌っている。
原曲は、フランクの《荘厳ミサ曲イ長調》の「天使の糧(パン)」。ミサ曲では、サンクトゥスとアニュスデイの間に歌われる聖体祭賛歌。

ジェシー・ノーマンが歌う《天使の糧》
Jessye Norman sings Panis Angelicus




tag : フランク ラフマニノフ イッサーリス スティーヴン・ハフ

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アラウ&ガリエラ/フィルハーモニア管 ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集
アラウのベートーヴェン/ピアノ協奏曲の全集録音は、全部で3種類。全てスタジオ録音。

 ガリエラ指揮フィルハーモニア管 (1955年[第4番、モノラル]、1958年,EMI)
 ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管 (1964年,Philips旧盤)
 ディヴィス指揮シュタッツカペレ・ ドレスデン (1984年-87年,Philips新盤)

ライブ録音では、全集版はなくて、クレンペラー/フィルハーモニア管の伴奏による第3番~第5番のロンドンでのライブ録音(TESTAMENT)が残っている。

<ディヴィス指揮シュタッツカペレ・ ドレスデン/Philips新盤>
3種類の全集録音のうち、おそらく最も良く聴かれているのが、晩年のPhilips新盤の第4番と第5番。
特に第4番は人気のある録音で、レビューもすこぶる良い。ただし、この超スローなテンポを受け入れられるならという条件はあるけれど。
個人的な感想をいえば、いつも新盤で聴くのは、ほとんど第4番のみ。すこぶるスローなテンポで、アラウが弾いているとすぐわかるほどに独特。
でも、この透明感、包容力、慈愛に充ちた演奏は、多少指回りの悪さを感じるところはあっても、そういうことは関係なく素晴らしい。
第1番、第3番になると、さらに後年の録音のため、技巧的な衰えが進み、タッチの切れも悪く、ダイナミックレンジも狭くなっている。
淡々とした表現で、演奏に勢いがなく、物足りない感じがする。第3番の第1楽章は、ロマンティックというよりは、枯れたもの哀し差を感じてしまう。
第1番~第3番は若い頃のベートーヴェンの作品なので、もっと生気と覇気のある演奏を聴きたい。

Piano Concertos 4 & 5: EmperorPiano Concertos 4 & 5: Emperor
(2001/03/13)
Ludwig van Beethoven、 他

試聴する(米amazon)


<ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管/Philips旧盤>
ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の伴奏は、新盤のディヴィス指揮シュタッツカペレ・ドレスデンやEMIのガリエラ指揮フィルハーモニア管の伴奏に比べて、ややオケの存在感がやや薄く感じる。
どの曲も音質は良いけれど、ピアノだけやたら前面からよく聴こえてくる。アラウのピアノが細部までよく聴き取れるので、それはそれで悪くはないけれど。
全体的に、ピアノの音が綺麗で細部までくっきりと聴き取れて、サラサラと流麗。起伏がEMI盤に比べて少し緩やかで、タッチの切れがやや鈍く、音もまろやか。
全体的に整った美しい演奏だとは思うけれど、勢いやスケール感やロマンティシズムが薄くて、あまり強い印象が残っていない。
1960年代以降のアラウのスタジオ録音は、どこか"おとなしい"感じがするときがあり、これはライブ盤と比較するとよくわかる。
緩徐楽章は、全体的にテンポが遅くなってゆったりと沈潜していくようになり、この傾向は年を経るに連れて強くなっていく。
この旧盤で、この曲が絶対に聴きたいと思うものがない。あえて言うなら、5曲の協奏曲のなかでは、第4番が一番良いように思うけれど、第4番なら、新盤かバーンスタイン指揮バイエルン放送響のアムネスティコンサートのライブ録音の方を聴いてしまう。

Complete Piano Sonatas & ConcertosComplete Piano Sonatas & Concertos
(1999/11/09)
Beethoven、Arrau 他

試聴する(米amazon)


<ガリエラ指揮フィルハーモニア管/EMI盤>
ガリエラが指揮するEMI盤がPhilips盤よりもずっと良いというレビューをいくつも見かけたので、探し回っていた録音。
長らく廃盤だったけれど、ようやくBOXセットに収録されて再リリースされた。
評判どおり、このベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、それに、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の録音が素晴らしく良かったので、それだけでしっかり元はとれたはず。

Icon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the PiIcon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the Piano
(2011/02/28)
Claudio Arrau

試聴する


ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、第4番のみ1955年のモノラル録音で、他の曲は1958年録音のステレオ録音。
それにしては、音が鮮明できりきりっとしたシャープなところと適度なざらつき感があって、とても聴きやすい。
いつも第2番と《皇帝》はほとんど聴かないので、残り3曲について。
第1番と第3番は、Philips新旧両盤よりもはるかに良く、EMI盤だけで充分と思えるくらい。
きびきびとした生気と勢いのある演奏を聴くと、まだ55歳頃のアラウのピアニズムがどういうものだったのかよくわかる。
第3番の緩徐楽章は、ゆったりとして深く物思いに沈んでいくところは、晩年のアラウの演奏を彷彿させるようなところがある。

ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
第1楽章冒頭オケのトゥッティは勢いよく、躍動感があって、まだ若い時に書いたベートーヴェンの曲らしい雰囲気。
アラウのピアノも、Philips盤とは打って変わって、タッチの切れが良く、リズミカル。
速いテンポで指回りの良さを感じさせるような、やたら元気な演奏とは違う。
アラウらしい一音一音がくっきりと明瞭なマルカート的なタッチは、きびきびと軽快。
ピアニッシモは柔らかくて滑らかなレガートが美しく、溌剌さと優美さがブレンドされて品良く。

第1楽章のカデンツァは、途中で楽譜が消失している未完成版の方。
この版を弾いている演奏を聴いたのは、レーゼル、アンダ、ブレンデルなど。
消失した部分以降は、それぞれ処理が違い、自作のオリジナルを弾いたり、完成版のカデンツァを接続したりしている。
アラウは、消失部分以降は、残された2つのカデンツァの一部分を取り出して、繋ぎ合わせているようで、特にスケール部分がとてもダイナミック。

第3楽章も、さほど速いテンポでもないけれど、軽快なタッチ。
リズム感やアクセントをやや強調して、きびきびと気持ち良い。
線が太めで弾力がある音なので、骨太感があって、落ち着きと安定感がある。


ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37 
この全集録音中、一番好きな演奏は第3番の第1楽章。
冒頭のトゥッティからぞくぞくっとするようなドラマティックな雰囲気。
伴奏は、全体的にダイナミックレンジが広くて、クレッシェンドにも急迫感があり、メリハリの強いところは、Philips新旧盤よりも、このEMI盤が一番良い感じ。
わりと速めのテンポをとり、ピアノソロが始まると、線の太めな力強いタッチと柔らかなピアニッシモとを取り混ぜ、スケールやアルペジオにも勢いがあり、後年よりもずっと生気と張りがある。
カデンツァのアルペジオも、一音一音の発音が明瞭で重なりあう響きが力強い。
この曲で一番最も好きなカッチェンやルプーほどに、感情移入というか叙情表現が濃くはないので、端正なロマンティシズムといった感じ。

第2楽章は、晩年のように瞑想的・思索的ではないけれど、ゆったりとしたテンポでピアニッシモが深く沈潜していくような静けさが漂う。
第3楽章は、リズム感を強調した装飾音がアラウ独特。高音のトリルも高速で粒立ちも良くて、よく響く。
平板な演奏ではないけれど、それほど哀感が強くない感じがする。

ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
第4番は1955年のモノラル録音なので、聴きづらいほどではないけれど、ちょっと音が古めかしい。
Philips盤よりも全体的にテンポが速く、より明るく快活な感じ。
高音の響きの優美さや、ピアニッシモの密やかなところと、フォルテの力強さがほどよい感じ。
第1楽章のカデンツァも品の良い美しさ。
どこかしら静寂な佇まいがあるように感じるのは、どの時代の録音でも同じ。
特にアムネスティライブから最後のPhilips新盤の録音にかけて、その静寂さがさらに強まり、テンポが遅くなっていく。
アムネスティのライブ録音は、透明感と優美さのある落ち着いた気品がある。
晩年のPhilips新盤になると、かなりのスローテンポ。
"静かに微笑みを浮かべる聖母"のような静けさと慈愛に満ちた雰囲気が独特。

1950年代のアラウの録音に関して、『アラウの対話』の中で著者のホロヴィッツがこう言っている。
「次の10年ほどの間に録音された演奏はもっと荘重な歩調となっている。策を練る余裕を与えられて、駆け出すよりもためらっている様子である。輝かしい力のみなぎるパッセージでも、静寂に充ちたパッセージでも同じようにさえを見せている。しかし同時に、純粋な演奏のために弾き手が冷淡に見えることもある。」

「輝かしい力のみなぎるパッセージでも、静寂に充ちたパッセージでも同じようにさえを見せている」というのは、全くその通り。
技巧の安定感、生き生きと輝きのある音色、力強さと静けさが入り混じり、気品のある演奏は、どの年代の録音よりも美しく感じてくる。

<関連記事>
 アラウ&ホロヴィッツ『アラウとの対話』~「レコードで聴くアラウ」 

(EMI盤とPhilips旧盤を比較した部分)

「ベルナルト・ハイティンク指揮によるベートーヴェンの『皇帝』では、冒頭のカデンツァと冒頭のトゥッティが、まるで別々の演奏から抜き出していたかのように聴こえる。アルチェオ・ガルリエーラ指揮のベートーヴェンの場合は、アラウのカデンツァはハイティンクのときよりよく融け込んでいるが、独奏部分ではピアノがふつうより大きく響く。推察するところ、機器のつまみをいじったり、テープのつぎはぎをしたせいであろう。」

「鍵盤の織りなすテクスチュアのどれもこれもが、表面に押し出されてひしめく細部によって構成されるようになると、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のような作品に要求される光と影の絶え間ない戯れも、その別なく曖昧になってしまう。ハイティンク指揮によるアラウの盤にみられるのがこの例である。それに比べると、鮮明度が落ちるガルリエーラ指揮による盤は、アラウの漂うピアニッシモをかえってより確実に再現し、そのファルティシモはいっそう豊かである。」

「アラウの吹き込んだ2種類のベートーヴェン協奏曲集のうちでは、ガルリエーラ指揮によるEMI盤の演奏が、ハイティンク指揮によるフィリップス盤を凌ぐ。特に、アラウとがルリエーラの協奏曲第4番は非凡な演奏である。ハイティンクより、あるいでDGGコンサート録音で聴くレナード・バーンスタインよりも、ガルリエーラは冒頭のトゥッティに対するアラウのメランコリックな幻想を共有している。アラウは悲しみのオルフェウスに擬した4つの音が叩く動機を使って、楽章全体にヴェールを投げかけている。そのため、この楽章は来るべき嘆きの淵に危うくとどまって終る」

 アラウ&ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集

 アラウ~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番





tag : ベートーヴェン アラウ

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耳鳴り治療薬情報(1)ネラメキサン ②国内治験情報
耳鳴り治療薬として開発中の新薬「ネラメキサン」に関する治験情報が、下記のウェブサイトに掲載されています。

「KRP-209 第II相臨床試験 -自覚的耳鳴患者に対する有効性及び安全性の検討-」(試験実施機関:杏林製薬)

この情報は、国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」、および、財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)「臨床研究(試験)情報」で公開されています。
その試験内容の一部を抜粋すると...

「自覚的耳鳴患者を対象に、KRP-209の有効性及び安全性を検討する。」
  目標症例数:400
  年齢:20歳~64歳
  性別:男女両方
  用法:KRP-209錠を1日2回投与する。
  予定試験期間:2011年10月1日~2013年5月31日
  試験の現状:参加者募集中
  会社名・機関名:杏林製薬株式会社 臨床開発センター (連絡先のメールアドレスが記載されている)

[筆者注]試験薬剤名「KRP-209」というのは、杏林製薬が通常使用している開発中の薬品コードで、「ネラメキサン」のことです。


「耳鳴りナビ」(運営:杏林製薬)の治験情報

この治験の被験者募集は2012年8月31日で終了しました。
「耳鳴りナビ」サイトは9月30日で閉鎖されました。


治験の目的と方法
「自覚的耳鳴りの患者さんに治験薬を28週間にわたって服用していただき、有効性と安全性を確認することです。また、治験薬を服用しない期間が4週間から8週間あり、試験の総期間は32週間から36週間となります(この期間は患者さんによって異なります)。
この期間に12回の来院をしていただき、診察や検査などを行います。また、耳鳴りの症状を毎日記録していただくなどの作業が必要になります。」

治験に参加できる人の条件
年齢、耳鳴り発症後の経過期間、耳鳴りのタイプ、他の耳鳴り治療法や服用治療薬の条件などが書かれている。
また、ここに記載されていない基準がその他にもあるとのこと。

セルフチェック
この治験に参加可能かどうか、事前に「セルフチェック」する仕組み。
この「セルフチェック」の結果、参加基準に該当した場合に、「治験に関する問い合わせセンター」の連絡先や治験WEB申し込みページが表示される。

「セルフチェック」の条件と、上記の「参加できる人の条件」とは、微妙に違うところがある。
「初診時の耳鳴りの検査、説明などを受けて28日以上経過している」と参加条件には書かれている。
一方、セルフチェックでは、初診後に経過した期間が「3ヶ月~1年半」の間であれば、治験参加条件に合致し、それ以外の期間だと、「治験に参加できません」と表示される。

耳鳴りのパターンについては、鳴ったり止まったりという断続的な耳鳴りや、拍動性(一定のリズムで鳴る)の耳鳴りだと、治験参加対象外。耳鳴りが終日鳴り続けていることが参加条件。
服用薬している薬が、「抗うつ薬」なら参加対象外となるが、「抗不安薬、睡眠導入薬」はかまわないようだ。
なお、非薬物療法(マスカー療法、TRT、はり治療など)については、約1か月以内に行っていないことが条件だと、「治験に参加できる人の条件」に記載されている。

また、JAPIC「臨床研究(試験)情報」に記載されている治験対象基準では、「片側もしくは両側性耳鳴」とあるので、右・左・左右両方のどの耳で鳴っていてもよいらしい。

[筆者注]
各項目の条件設定の組み合わせによって結果が変わるので、必ず、自分自身でセルフチェックしてください。
「耳鳴りナビ」経由の治験参加者希望者に関しては、上記の基準をもとに、セルフチェック画面で治験参加への可否が表示されます。
一方、治験実施医療機関でも、参加申し込みを直接受け付けている場合があります。


治験実施医療地域
岩手県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、長崎県、大分県の対象都市で実施中。
具体的な都市名は、「治験実施医療地域」に記載。実施場所は随時追加されている。


なお、「耳鳴りナビ」では、治験の目的となる新薬の名称が明示されていません。
しかし、「耳鳴りナビ」は杏林製薬が運営している耳鳴り治療薬の治験情報サイトであること、さらに、(財)日本医薬情報センターと国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報」サイトでも、杏林製薬の「KRP-209」(=ネラメキサン)関する治験情報が公開されていること、以上の点から、治験薬は新薬「ネラメキサン」であると考えられます。

以上

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注意事項
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この記事は、治験参加を推奨する目的のものではありません。新薬の治験内容に関しては、リンク先の元々の情報をご自身で必ず確認してください。


ブラッド・メルドー/ケビン・ヘイズ/パトリック・ジンマーリ 『Modern Music』
久しぶりに出会ったとても知的で刺激的なジャズアルバム『Modern Music』。
ジャズピアニストのブラッド・メルドーとケビン・ヘイズ、それにクラシック/ジャズ作曲家のパトリック・ジンマーリの3人のコラボレーションによる『Modern Music』。

好きなジャズ・ピアニストの一人、ブラッド・メルドーのアルバムなので期待していたけれど、聴いてみると、予想以上に斬新で刺激的。
ジャズという枠を超えて、クラシックの現代音楽、コンテンポラリーを融合したような、タイトルどおり現代の音楽(Modern Music)。
まず選曲がユニーク。メルドーとヘイズ、ジンマーの3人のオリジナル作品に加え、スタンダード曲、フィリップ・グラスとスティーヴ・ライヒの編曲も入っている。
作曲技法・構成・曲想のバリエーションも多彩。ジャズ以外に、ミニマル、ペルト/グレツキの作曲技法、ドビュッシー風の和声なども使い、曲想もリズミカル、叙情的、静謐、etc、といろいろ。
メルドーとヘイズが2台のピアノで演奏し、ジンマーリは作曲・編曲にプロデューサー。オリジナルはジンマーリのものが多い。

一番刺激的だったのが、意外にもスタンダードの《Lonely Women》。
原曲をベースにしつつ、過去から現在までの作曲様式と奏法をいくつか組み合わせている。
響きも音の配列も曲想も次々と転換していくところが実験的で面白い。

クラシックの現代曲が好きなら、この《Lonely Women》と、和声的にかなり斬新で幻想的なメルドーのオリジナル曲《Unrequited》、それにライヒ作品を編曲した《Excerpt from Music for 18 Musicians》あたりがおすすめ。

Modern MusicModern Music
(2011/10/01)
Kevin Hays, Brad Mehldau, Patrick Zimmerli

試聴する(米amazon)
HMVの紹介文(リンク)

このアルバムは、ジャズ&クラシックの音楽ブログであるkenさんの<Kanazawa Jazz days>の"Brad mehldau, Kevin Hays, Patrick Zimmerli :Modern Music (2011):20世紀に背を向ける孤独感"で、先日紹介されていたもの。
記事中に載っていたYoutubeの音源を聴いて、すぐに強いインスピレーションが走ったくらいに、ピピっとくるものが...。
ジャズ・ピアノの録音でこういう経験をするのは、とても珍しい。

                         

ライナーノートに、メルドー、ヘイズ、ジンマーリへのインタビューが掲載されている。
彼らが知り合った経緯を始め、このアルバムのコンセプト、選曲のプロセス、編曲や奏法の解説などがわかりやすく書かれている。

アルバム製作にあたり、長距離電話によるメルドーとヘイズの最初の対話で強い関心があったのが、シュトラウスの《メタモルフォーゼン》の編曲。
《メタモルフォーゼン》は戦争で失われた芸術と音楽へのオマージュとしての記念碑。
3人は『Modern Music』の構想中、ずっと《メタモルフォーゼン》に取り組んでいた。
最終的にこの曲を使わなかったが、アルバムの方向性やトーンを設定する上で貴重なものだった。

《メタモルフォーゼン》から始まって、ジンマーリは他の作曲家も取り上げてみようと提案。
彼らが取り組んだのは、スティーブ・ライヒの『Music for 18 Musicians』、フィリップ・グラスの《弦楽四重奏曲第5番》、アルヴォ・ペルトの《タブラ・ラサ》、ヘンリク・グレツキの《交響曲第3番》。

アルバムには、ジャズのスタンダードを1曲入れるつもりだった。
彼らが話し合った結果、ジンマーリがずっと愛している曲《Lonely Woman》に決定。
ジンマーリは、《Lonely Woman》のアレンジのために、"twenty note Chord"によるアプローチやミニマリスト的モチーフを取り入れている。
アルバムには、さらに、3人のオリジナル曲、《Modern Music》、《Unrequited》、《Elegia》も加えた。

インプロヴィゼーションについては、かなりディスカッションしたという。どのように、どのくらいの量と長さで?
ジャズミュージシャンの即興は、直観的な行為であって、知性を一時停止(Suspend)させて、自然にできるもの。
しかし、このプロジェクトではかなり違っていた。
ジンマーリがかなりユニークで挑戦的な試みをしている。
例えば、《Modern Music》では、右手側では即興を要求し、左手側では楽譜に書かれた音を弾くという手法。
紙に書かれた音符自体は難しくはなかったが、この方法は本当に挑戦的なもの。
なぜなら、全てを即興で弾く、あるいは、楽譜の通り弾くことは、それぞれ単独で行うなら問題はない。
しかし、それを半分づつ(half and half)だって!? とんでもなく難しいことだ! 
この奏法は、メルドーとヘイズの"Confort Zone"から全く外れていた。

最終的に、グレツキとペルト作品の編曲は、無理なところがあって、採用せず。
その代りにジンマーリがデュオ向きの3曲、《Crazy Quilt》、《Generatrix》、《Celtic Folk Melody》を作曲した。
《Celtic Folk Melody》では、ペルトとグレツキの作曲技法を取り入れている。

ライヒとグラスの編曲作品は、メルドーとヘイズにとって、"Confort Zone"から外れていたので、かなり苦労して取り組んだという。
メルドーにとって、クラシックでは伝統的なドイツとフランス音楽の影響が強い。コンテキストから一部を取り出してジャズの演奏に取り入れることで、何か新しいものを発見する。
しかし、ライヒとグラスの作品は、クラシックの伝統的音楽とは全くかけ離れていた。
その音楽から何かを取り出すことはできない。彼ら(メルドーとヘイズ)と共にあるもの、まさに今ここに(here and now)に存在するもの、彼らのコンテキストを構成する部分そのもの。そのサウンドはあらゆるところに浸透している。
奇妙なことに、この近接性(proximity)が、作品にアプローチすることをさらに難しくしていた、とメルドーは書いている。

《Music for 18 Musicians》では、全体的に曲を支配しているのがⅡ-chord進行。ジンマーリはベースとしてこれを使い、その旋律の上に、メルドーとヘイズが自分たちのオリジナル曲をもとに即興する奏法にした。

                        

全曲、2台のピアノで弾いている。右側から聴こえるのがメルドー、左側がヘイズ。

1.Crazy Quilt (Patrick Zimmerli)
オープニングの曲に相応しく、テンポとリズムが軽快で切れ良く、2台のピアノで弾く声部は、ジャズ・トリオのように多層的に聴こえてくる。
2台のピアノとも、左手はリズムセクションのように楽譜で記された同じパターンのリズムを刻み、右手側で即興的に演奏しているらしく、オスティナートでリズミカルな伴奏の上に流れる旋律は、シンプルだけどとても印象的。
左手と右手とも、次々とシンプルな音型が新たに現れて、テンポ良く進行していくので、その変化が面白い。
ジンマーリの曲はいずれも"感性的"というよりは、"構造的"な印象。
曲を構成する複数の要素がいろいろなパターンで組み合わされ、パズルのような面白さを感じる。
これは、彼のオリジナル曲の《Crazy Quilt》、《Generatrix》、《Modern Music》に共通していると思うところ。

2.Unrequited (Brad Mehldau)
このアルバム唯一のメルドーのオリジナル。
冒頭は、メルドーのソロピアノが主題旋律を提示して、やがてヘイズのピアノが重なっていく。
初めはシンプルは和声でそれほど変わった響きではない。
徐々に重音が増えていき、重なりあう響きがつぶれたように混濁していく。
これがとても不協和的なのだけれど、意外なくらい美しく、妖艶な響きに聴こえてくる。
メロディはメルドー的なモダンで叙情的だけれど、それを固定と即興を交えて4手で弾くとなると、予想しえないような独特の和声に変わっていく。
これが不安定感や摩訶不思議な雰囲気を醸し出して、とってもファンタスティック。

3.Generatrix (Patrick Zimmerli)
あちこち飛び跳ねるように動くスタッカート気味の旋律が印象的。"Generatrix"とは「直線母線」のこと。
音がふんわりと軽く、軽やかにダンスをしていたり、宙を舞っているように、鍵盤上を動いている感覚が面白い。

4.Celtic Folk Melody (Patrick Zimmerli)
冒頭を試聴したときに、アルヴォ・ペルトの曲に良く似ていると思った曲。
作曲者のジンマーリは、ペルトとグレツキの作品を直接引用してはいないけれど、その作曲技法を使っているという。
全曲聴いてみると、シンプルで密度の薄い音の配列と高音域で弾かれる主旋律は、ペルト独自の作曲様式であるティンティナブリ様式を思い出させる。
ペルトやグレツキをよく聴いていたので、様式的には同じだとしても、違いの方を強く感じる。
彼らの音楽で感じるのは、静謐さ、純粋さ、エッセンスだけを凝縮したような緊張感。この曲を聴いていても、そういうところは稀薄な印象。
そういうことを考えずに曲だけを聴いていれば、シンプルで綺麗な曲とは言える。
せっかく4手のピアノで弾いているにしては、1台のピアノで弾く曲とは違った新鮮さや面白さをあまり感じなかったのが残念。

5.Excerpt from Music for 18 Musicians (Steve Reich, arr. Patrick Zimmerli)
原曲はライヒの有名な作品《Music for 18 Musicians》。ひたすらミニマル的な音楽が、多少変化をしつつ、延々と続いていく。
作品解説(Wikipedia)を読んでいると、やっぱり奏法が変わっていて面白い。1人1楽器なら22人で演奏することになる。タイトル通り18人で演奏する場合は、誰かが複数の楽器を弾けないといけない。
全部で13セクション。調性のある一定のパルスやリズムの繰り返しと変化で構成。テンポは一定。
18種類の楽器が絡みあう響きの面白さと、原始的でシンプルなリズムやエキゾチックな旋律が融合して、面白いのは面白いけれど、60分間聴き続けるには、眠気を誘われてしまう。

ジンマーリの編曲版では、ピアノの音と和声が美しく、馴染みのあるジャズ音楽のメロディ(メルドーのオリジナル曲など)が主旋律になって、次々と現れてくるので、デジャヴ(既視感)を感じる。
ミニマル的に一定のリズムを刻む伴奏が底流に流れ、その上を断片的な主旋律が泡沫のように現われては消えていく。
クレッシェンドとデクレッシェンドを繰り返してミニマルな旋律が展開し、波のように浮き沈みする。
まるで"Modern"な旋律が、ミニマルな音の流れの中へ溶解していくような感覚が面白い。


ライヒの原曲のライブ映像。聴き比べると随分雰囲気が違う。
楽器の違いに加えて、使われている旋律が違うので、全く別の曲のような..。

Steve Reich "Music for 18 Musicians" -Section VIII



6.Lonely Woman (Ornette Coleman, arr. Patrick Zimmerli)
Ornette Colemanの歌《Lonely Woman》の編曲版。
ジンマーリ自身が、これは実験的な編曲だと書いていたけれど、実際に聞いてみるとその通り。
このアルバムの中では、その新奇さとと面白さで、一番刺激的な曲。
編曲がかなり凝っていて、クラシックの作曲技法や様式をいくつか使っているらしく、旋律・音色・曲想が次々と転換していところが面白い。

静謐さの漂う冒頭は、まるでプロローグのよう。
ドビュッシーの映像第2集《そして月は廃寺に落ちる》に、静かで不穏な不可思議さのある雰囲気と旋律がよく似ている。
印象主義風の旋律と和声がとても幻想的。
東洋風のアルペジオ的和音から経過音を経て、原曲の旋律へと繋がる。湿気を含んだ妖艶な音色と響きはバラード風? 
内部奏法を使っているのか、ピアノの低音ではなくて、ベースの低音がボンボンと鳴っているような響きがする。
その低音のオスティナートの上に、コラール風の厳粛な雰囲気のする和声が出てきたり、フーガ風の旋律が現れてメルドーとヘイズが旋律を受け渡ししたり対話したり、時に右手の旋律が鍵盤上を軽やかに舞ったりと、次々と変転していく。
4手それぞれのパートの旋律が線的で、立体的にくっきりと交錯していく。

低音部のオスティナートや澄んだ高音の旋律を聴くと、キースのパリ・コンサートのインプロヴィゼーションを連想させるところがある。
まるで人気のない静かな湖の上で、ゆっくりと花びらや蝶々が待っているような自然の情景が浮かんで来る。
レスピーギの《ミクソリディア旋法のピアノ協奏曲》の第1楽章を聴いた時にも、同じような感覚を覚えたのは、同じ旋法を使っているのかも。(実際のところはよくわからない)

最後は、冒頭の序奏と同じくドビュッシー風の旋律と、続いて、再び原曲の編曲部分で出てきた断片的なフレーズが回想的に現われてエンディング。

7.Modern Music (Patrick Zimmerli)
ライナーノートで書かれているように、左手で楽譜通りに弾き、右手は即興。
それを2台のピアノで演奏するという、メルドーとヘイズにとってはかなり難しい手法で弾いた曲。
シンプルなリズムと重音主体の音型によるオスティナートがとても印象的。
左手の小刻みでリズミカルなオスティナートがよく利いている。
右手で弾いている歌謡性の薄い旋律は、短い音のパターンが次々と繋がっていく。
重音を多用しているわりに、やや濁りのある重層的な響きが徐々に厚みを増していっても、それがとても綺麗に聴こえる。

8.Elegia (Kevin Hays)
このアルバムのなかで、一番叙情的でメロディアスなエレジー。
ジャズのバラードのような美しい旋律に、不協和的な和声が混じって、濁ったような響きが面白い。
メルドーとヘイズの即興が、似たような方向だったり、違う方向だったりしているようで、このズレやアンバランスさが単調さを感じさせない。

9.Excerpt from String Quartet No. 5 (Philip Glass, arr. Patrick Zimmerli)
フィリップ・グラスの《弦楽四重奏曲第5番》より。
グラスの曲は叙情的に美しい曲も多いけれど、ミニマル的なので、ずっと聴いていると単調さを感じてくる。

この編曲は4分あまりと短い抜粋バージョン。
アルバムの他の曲と比べて、斬新さや意外性はあまり感じないけれど、ゆったりとしたテンポで流れる叙情的な旋律がモノローグ的でとても美しい。
弦楽四重奏曲のように複数の声部が重なり合う響きと和声の美しさが、2台のピアノで弾くとさらに引き立っている。


tag : ブラッド・メルドー ケビン・ヘイズ スティーヴ・ライヒ フィリップ・グラス

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アラウ&ホロヴィッツ『アラウとの対話』 ~ 「レコードで聴くアラウ」 
アラウとジョーゼフ・ホロヴィッツの対話をまとめた『アラウとの対話』には、アラウの伝記、音楽観、演奏と録音に関する対話や解説・分析がきっしりと詰め込まれている。
アラウのピアノが好きな人には絶対的にお薦めしてしまう記録であり、研究書でもある。
アラウの演奏をいろいろな視点から、より深く味わうためには、絶好の本であることは間違いない。

アラウとの対話アラウとの対話
(2003/06)
アラウ、ジョーゼフ・ホロヴィッツ 他

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第5部むすびのなかで、「レコードで聴くアラウ」という章がある。

アラウの膨大な録音に対する分析であり、Philips盤だけでなく、それ以前に録音したEMI盤についてもかなり取り上げている。他にコロンビア盤、RCA盤、SP録音などにも少し触れている。
1982年に初版が出版されているので、1980年頃以降の録音(Philips盤)への言及はない。

スタジオ録音の編集について
完璧主義者のアラウは、演奏会とレコーディングでは、目的が全く違うものと考えていたので、スタジオ録音を編集することは当然と思っていた。

「フィリップス盤によるアラウのレコーディングはほとんど例外なく音の間違いはまったくない。EMI盤も完璧な場合が多い。・・・・調整室でテープを切る外科医たちの手出しが増えてきたことを示している。アラウ自身も、レコードは家庭で反復してきかれるものであるから、その役目はコンサートの目指すものとははっきり違う、と考えている。誤った音を温存しておくことについても、自分が奉仕すべき楽譜に加えられた侮辱であるとして、反対している。」

デジタル録音だけでなく、アナログ録音でも、昔から編集はされていた。
それでも、EMI盤の協奏曲録音を聴いていると、打鍵ミスがいくつか残っている。

「特に協奏曲は、スタジオ録音の陥穽にはまりやすい。・・・調整すべき主義主張もそれだけ多く、訂正すべき誤りもそれだけ多い。」

「ベルナルト・ハイティンク指揮によるベートーヴェンの『皇帝』では、冒頭のカデンツァと冒頭のトゥッティが、まるで別々の演奏から抜き出していたかのように聴こえる。アルチェオ・ガルリエーラ指揮のベートーヴェンの場合は、アラウのカデンツァはハイティンクのときよりよく融け込んでいるが、独奏部分ではピアノがふつうより大きく響く。推察するところ、機器のつまみをいじったり、テープのつぎはぎをしたせいだであろう。」

「さらに犠牲を強いているものは、録音スタジオでところ狭しと配置されるピックアップ群である。。・・・・個々の音の衝撃と鮮明度がこうして強調される一方では、そうした音の総合体も性格が変わり、論議を呼ぶこととなった。ピアノの色調も、アラウがドビュッシーを弾いたコロンビア盤とフィリップス盤を比較すればわかるように、離れた方がいっそうしっかりと固まる。」



ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番について
ハイティング指揮のPhilips旧盤を聴いても、印象がもう一つ。それよりは、アムネスティコンサートのライブ盤の方が臨場感もあって良く聴いている。

ガリエラ(ガルリエーラ)指揮のEMI盤を聴くと、ハイティング盤の方は全体的に音がどれも鮮明で滑らか。明るい色調で立体感が少ない感じはする。耳と音の距離がとても近い感じで、音の広がりが平面的な感じがする。
特に、アラウのピアノが、前面からやたらによく聴こえてくる。

ガリエラ盤は1955年のスタジオ録音なので、音が古めかしいけれど、音質の悪さで有名なEMIにしては、良い方なのかもしれない。
オケは少し離れたところから、全体としてまとまって聴こえてくるので、音と耳の距離感がとてもよい。音自体が滑らか過ぎずにひっかかりがあり、輝きや艶、立体感のある自然な音の聴こえ方がする。
アラウのピアノは、こちらもかなり前面からよく聴こえてくる。
これはちょっと篭もった感じ丸みのある音で、やや古さを感じさせるところはあるが、音自体はかなりクリアで、高音部は煌きのあるきらきらした音が綺麗。
どこか落ち着いておとなしい感じがするPhilips盤よりも、音が悪いとはいえEMI盤の方が、音と演奏に勢いがあり、音が弾けるように切れ良く、きらきらと輝く粒立ちが良い。フォルティシモのタッチも力強く、強弱のメリハリもよく利きいている。

「鍵盤の織りなすテクスチュアのどれもこれもが、表面に押し出されてひしめく細部によって構成されるようになると、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のような作品に要求される光と影の絶え間ない戯れも、その別なく曖昧になってしまう。ハイティンク指揮によるアラウの盤にみられるのがこの例である。それに比べると、鮮明度が落ちるガルリエーラ指揮による盤は、アラウの漂うピアニッシモをかえってより確実に再現し、そのファルティシモはいっそう豊かである。」

Icon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the PiIcon: Claudio Arrau-Virtuoso Philosopher of the Piano
(2011/02/28)
Claudio Arrau

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アラウの協奏曲録音について
アラウのピアノ協奏曲の録音中、もっとも良いものの一つとして上げているのが、EMIに録音したジュリーニ指揮フィルハーモニア管と録音したブラームスの2つのピアノ協奏曲。

「アラウによる協奏曲の録音は、全体的にみて、50年代から60年代初めにかけてのものがもっともよい。ジュリーニとガルリエーラの指揮が、明敏に想像力豊かにアラウを支えている。フィルハーモニア管弦楽団の演奏もすばらしいし、そのなかでも、独奏管楽器の貢献がいちじるしい。ジュリーニの指揮でブラームスの二つの協奏曲を演奏するアラウは、暖かみのある、詩的な解釈を見せており、双方ともにさんさんと照る太陽の光を浴びて絶頂に至る。」


EMI時代に、アラウがガリエラ指揮フィルハーモニア管と録音したピアノ協奏曲は、ベートーヴェンの5曲、チャイコフスキー、グリーグ、シューマン。
個人的には、ベートーヴェンと、特にチャイコフスキーが素晴らしく良かった。
両方ともLP時代の名盤らしく、Philips盤よりもEMI盤の方が良いと言うレビューをいくつか読んだことがある。

「ガルリエーラとフィルハーモニアはアラウの協演者としてグリーグの協奏曲において最大の力を出しており、デモーニッシュな力を叙情的なセクションの華麗な安らぎに配した演奏をしている。グリーグの裏面に入っているシューマンの協奏曲は光輝に充ち、力みのない演奏である。」

"もっとも刺激的な協奏曲のレコード"としてあげられているのが、意外にもショパンのピアノ協奏曲。
これはクレンペラー指揮ケルンWDR交響楽団とのライブ録音で、一度聴けば著者のホロヴィッツが言っていることが本当だとよくわかる。
まるでベートーヴェンかブラームスを聴いているような気分がするので、たぶんショパンのこの曲の演奏としてはかなり異質な気がする。
"サロン音楽"のような感傷的な流麗な演奏とは違ったショパンを聴きたい人にだけおすすめ。

「興味深いことに、この時期のアラウによるもっとも刺激的な協奏曲のレコードはコンサートの録音で、1954年、オットー・クランペラーが指揮したショパンのホ短調協奏曲である。アラウは、スタジオ録音におさまっているときにはめったに聴かれないような率直な華麗さ、それに遊び気分すらみせて演奏している。男性的なパッセージ・ワーク、音符の薄いクライマックスをものともしない力強さ、堅固で明晰な構想、そして、不純物の混じらない持久力と安定性。そうしたものが、エリアフ・インバル指揮の1970年盤に比べて、より推進力に優れ、綿密すぎる追求は避けた全体像によって、補強されている。こうしたものすべてが、たいへん興奮を呼ぶ。」

Chopin: Piano Conc 1/BalladesChopin: Piano Conc 1/Ballades
(2005/06/06)
Claudio Arrau

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アラウのピアニズムの変遷について
「強弱の差も少なく色調がぼかされていてもアーティキュレーションが的確であること、速度が目めぐるしく変化しても均等であり明晰であること。アラウのレコードから判断すると、こうしたものは初めから彼を作っているものの一部であった。」

「最盛期のレコーディングは1940年代までのものが入るが、もっとも快活な演奏で、ニューヨークでの初期の批評に述べられたように、きらきらと輝く、洗練された音で磨きたてられている。」

1940年代までのものもいろいろ聴いたけれど、年代のわりに音質がすこぶる良いのが、1946-1950年の録音を収録したコロムビア盤。
RCAに1942年に録音したバッハの《ゴルトベルク変奏曲》は素晴らしいけれど、こちらは音質がもう一つ。
1940年代の一連のバッハ録音には、「さまざまな声部を「辿る」能力、全体の均衡は破らずに、目立たない入りや補助的な声部に光をあてる能力など、彼のポリフォニックな演奏の才能が、もっとも純粋な形で披瀝されている。」


「次の10年ほどの間に録音された演奏はもっと荘重な歩調となっている。策を練る余裕を与えられて、駆け出すよりもためらっている様子である。輝かしい力のみなぎるパッセージでも、静寂に充ちたパッセージでも同じようにさえを見せている。しかし同時に、純粋な演奏のために弾き手が冷淡に見えることもある。」

1950年代はEMI録音が多い。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ9曲、ショパンの《練習曲集》(全曲)や《ピアノ・ソナタ第3番》、シューベルトの《さすらい人幻想曲》など、独奏曲が多い。
1952年に録音した「『ディアベッリ変奏曲』は、同じ時代に出たデッカ・ブランズウィックから出たほかのレコード(『エロイカ』変奏曲と、二枚組のショパンによるもの)と並んで、それ以降に出た彼のレコードのどれよりも、魅惑的にアラウのピアニズムの美を再現していると言えるだろう。・・・・デッカ技術陣が捉えた力と光輝の配合は忘れ難いものである。」

「フィリップスによるアラウのレコーディングは、これに比べて重々しく、細部に力が入り、華やかである。・・・鍵盤全域の各音は、どのような速度でもどのような音力でも充実し磨き抜かれている。それがアラウの音の性格である。」

「そして、1960年頃になると、その録音はまた別の変化を記録することになる。底を流れていたなまの情感が表面にあらわれ、さらに遅いテンポとさらに大きいルバートを命ずるばかりではなく、アラウの音が構築する荘厳な建造物に人間の脆弱さをたえず投影しつづけるのである。それはまるで、彼の初期の録音を通じて、燃え上がったり下火になったりしていた炎が、弱熱の石炭床に投げ込まれたかのうようである。あるいは、50年代の録音を標準とすれば、大理石の下に血が通い始めたかのようでもある。」


スタジオ録音は、50年代よりも総じてテンポが遅くなっていき、特に緩徐楽章ではひじょうに強くて深い感情を感じさせることがある。
特にライブ録音を聴く実感としてよくわかる。スタジオ録音よりは速いテンポになることが多いが、深い感情移入を感じさせるロマンティシズムと、ライブ特有の白熱感や気力が漲っている。

「どうしてこのような変化がおこったのであろうか。アラウは、不安を追い払ったり、抑え込もうとすることよりも、不安を「利用」するようになったと語っている。もっと豊かな、もっと生気溢れる感情移入を推し進めるために、神経的なエネルギーを「創造の流れ」に利用するのだと語っている。なまかじりの心理学に頼る危険を承知のうえで、アラウが「人生最大の衝撃」と振り返る事件、1959年の彼の母の死をここで思い出さないわけにいかない。おそらく、喪の悲しみが新たな感情のはけ口を開いたのであろう。おそらく、自分のなかに浸透していた権威的人物の消滅によって、彼は解放され大胆になって、その芸術のなかにいっそう本音を吐き出せるようになったのであろう。」



tag : アラウ 伝記・評論

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「チャパタ」と「ロデブ」
ちょっと珍しいイタリアとフランスのブレッドが、お家で簡単に手作りできるレシピ。

イタリアのチャパタ
手捏ねでとっても簡単に作れるは、イタリアのパン、「チャパタ」。
いろいろレシピはあるけれど、一番簡単だったのは、<I Love to Create☆*。>のRUNEさんのレシピ"イタリアのパン☆チャパタ"

材料は、薄力粉、ぬるま湯、塩、砂糖、ドライイーストのみ。オリーブオイルは、オーブンで焼く前に塗れば良い。
材料を混ぜるだけで、コネコネしなくてもOK。
加水率90%なので、生地が緩すぎて、捏ねられないし。
ドライイーストが多いレシピなので、半分以下に減らして、室温または冷蔵庫で長時間発酵させても、ちゃんと膨らむ。
焼きあがると、クラストはパリパリ、クラムはもちもち。(焼きすぎると、ビスコッティみたいにクラストがガジガジ固いので要注意)
冷凍してから、電子レンジで温めると柔らかくなるし、冷凍のままトーストするとこんがりパリパリ。
これにオリーブオイルをつけて食べるのがとっても美味しい。
粉に全粒粉を混ぜたり、外側にゴマをまぶしたりと、お豆やナッツを入れたりと、いろいろアレンジ可能。

クックパッドに載っているのは、同じくRUNEさんのレシピ"白&黒ごまのイタリアンブレッド★チャパタ"

強力粉を使って、2次発酵までする作り方もあるようで、加水率は100%と、とても緩い生地。
長時間発酵させるので、気泡も大きい。
レシピは、"オーストラリアで手作りパン♪ 捏ねないチャバタの作り方" [No Knead Chiabatta Bread]



フランスのロデブ
フランスの田舎パン、ロデブも加水率80%以上で、クラムがとてもしっとり。

ホームベーカリーで焼くレシピと手捏ねのレシピ(2種類)がある。公開済みの記事<ホームベーカリーで焼く”ロデブ”>に、少し詳しく書いている。
いずれも、高橋雅子さんのオリジナルレシピ。出版されているレシピブックに載っている。
一番簡単なホームベーカリー用レシピは、『少しのイーストで ホームベーカリー 天然酵母コースでゆっくり発酵』掲載のもの。
分量と水温さえ注意すれば、まず失敗もなく、気泡が入ったロデブがちゃんと焼ける。
手捏ねの方が気泡がたくさん入っていて、本来のロデブらしい。
時間もかかるし、水分量が多すぎて生地が扱いにくいので、ハードブレッドの手捏ねに慣れていないなら、ホームベーカリーを使ったほうが簡単だし、これでも充分美味しい。
手捏ねで上手く出来上がったときは、もっと美味しくなりそう。一度、作ってみたい気はするけれど、上手くできるかどうか..。

少しのイーストで ホームベーカリー 天然酵母コースでゆっくり発酵 (少しのイーストでゆっくり発酵パン)少しのイーストで ホームベーカリー 天然酵母コースでゆっくり発酵 (少しのイーストでゆっくり発酵パン)
(2010/07/07)
高橋雅子

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[2015.10.16 追記]
<ロデブのレシピ>
本に載っているレシピをベースに配合を変更。
はちみつにモルトも加えたせいか、ふっくらと膨らみがわりと良い。
クラストは、パナソニックHBなのに、薄くてパリパリ。
クラムは目が詰まって、保水力の高いライ麦粉(細挽き)を多くしたせいか、水分が多く残って、しっとりもちもち。
ライ麦の味がしっかりするので、とても美味しい。

リスドォル 160g
ライ麦粉(細挽き) 30g
水 160g
にがり(原液タイプ) 約0.2cc
はちみつ 3g
モルトパウダー 小さじ1弱(粉の約0.2%)
塩 3.5g
ドライイースト 小さじ1/5 (0.1cc相当)
※にがりを使うのは、水に混ぜて硬水化するため。にがりの代わりにコントレックスで代用することもできる。エヴィアンなら全量使う。
※水に、にがり、はちみつ、モルトパウダー、塩を入れて良く溶かす。

tag : ホームベーカリー

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
アックス&サロネン/フィルハーモニア管 ~ シェーンベルク/ピアノ協奏曲
<鎌倉スイス日記>さんの"超私的「ランキング」ピアニスト編 Vol.2 第29位"で紹介されていたのが、エマニュエル・アックス。
アックスは、米国を代表するピアニストの一人...だと思うけれど、日本ではあまり人気がないらしい。
キャリアも長いので、私も名前だけはよく知っているのに、アックスの録音はほとんど持っていない。
そもそも名盤と言われる録音といっても、すぐには思い浮かばない。

ランキングの記事を読むと、定評のある録音は、プレヴィンと録音したベートーヴェンの協奏曲、アイザック・スターンやヨーヨーマとの室内楽、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲」など。
そういえば、メンデルスゾーンのピアノトリオは最近、新譜がでていたはず。試聴した気はするけれど..。
それに、珍しくもジョン・アダムスやココリアーノなど現代音楽もレパートリー。
中でも、シェーンベルクの《ピアノ協奏曲》が素晴らしいという。

シェーンベルクの《ピアノ協奏曲》というと、ポリーニ、グールド、ブレンデル、内田光子など、さすがに現代音楽の名曲だけあって録音が多数。
ポリーニは殺伐としていてどうにも好きにはなれないけれど、ブーレーズと録音した内田光子の演奏は、とてもカラフルな色彩感と情緒過剰なくらいの表現。
それがシェーンベルクの音楽の"無機質"なところと融合して、面白いことは面白い。でも、何度も聴いていると、あまりに饒舌すぎる気がしてくる。
シェーンベルクの音楽としては、もう少し無機的な冷んやりした感触が欲しくなる。(好みの問題でしょうが)

ピアノ作品の場合は、マイベスト盤となる録音がないか、いつも探しているようなもの。
好きな曲でも、そういう録音が見つかっていない曲がかなりある。シェーンベルクの《ピアノ協奏曲》もその一つ。
なので、早速、アックス&サロネン指揮フィルハーモニア管のCDを買って聴いてみると、これはレビューどおりの素晴らしさ!
シェーンベルクのピアノ協奏曲は、本当はこんなに美しい叙情的な音楽だったというのが、とても新鮮な驚き。
今まで聴いたどの演奏よりも、自然な流れと透明感のある瑞々しい叙情感がとても美しい。
何の抵抗も違和感もなく、すっと身体のなかに浸透してくる感覚がするので、シェーンベルクの音楽は難解だというイメージがすっかり消えてしまったほど。

カップリングのリストのピアノ協奏曲は、ややはったりのあるようなオドロオドロしい威圧感を感じるものがあり、誰の演奏を聴いてみても、もう一つ好きになれない。
アックスの弾くリストのコンチェルトは、そういうところが全くなくて、流麗で品の良い叙情感漂うロマン派音楽になっているとは思うけれど、やっぱり曲自体を好きにはなることはなさそう。

Piano Concerti 1 & 2 / Piano ConcertoPiano Concerti 1 & 2 / Piano Concerto
(1993/12/14)
Esa-Pekka Salonen (Conductor), Philharmonia Orchestra of London, Emanuel Ax (Piano)

視聴する(米amazon)

エマニュエル・アックスのプロフィール[KAJIMOTO]

シェーンベルクのピアノ協奏曲は、まるで「喜怒哀楽」を表現しているのではないかと、いつも感じるし、そういうイメージで聴くと、各楽章の性格がわかりやすい。
そういえば、ブレンデルが「シェーンベルクはいつも怒りながら曲を書いていた人です。」と言っていた。

一番好きなのは第1楽章の演奏。
Andanteらしく、少しゆったりとしてテンポで始まる冒頭のピアノの音は、とても瑞々しく柔らか。
旋律を"歌う"ようなレガートで軽やかに弾いているのがとても美しい。
呟くようなモノローグ的なタッチとレガートな旋律の流れなので、まるで静かに語りかけているかのようにも聴こえる。
この楽章は曲想の変化が多彩で、瑞々しい叙情感が溢れていて、なぜか清々しい自然の風景のイメージが浮かんでくる。
ピアノが楽しそうにおしゃべりしているかのように、ささいたり、声のトーンが上がって賑やかに話しているよう。
曲想がコロコロと転換していくにつれ、ピアノのタッチや音色、強弱も起伏も明快に変化していくので、表情がとても豊か。

第1楽章の終わりは物々しいトランペットで終って、第2楽章のMolt Allegroへ繋がる。
まるで怒っているかのように、鋭くシャープなタッチの重音がフォルテであちこち飛び跳ねて、荒々しい曲想。

好きかどうかは別として、第3楽章のAdagioも印象的。
かなり賑やかで躍動的なので、ロマン派的なゆったりと叙情的なAdagioとは無縁。
力強く感情が激しく昂ぶっているように強奏する部分が多く、旋律と和声には現代的な得たいの知れない不安感が溢れているように思える。
さすがに最後はピアノソロがAdagioらしい静寂さで終っているけれど、不安や焦燥感に満ちたような現代的なアダージョ。

第4楽章はGiocoso(陽気に、楽しげに)。無調の世界であっても、"陽気で楽しげ"に聴こえないことはない。
和声的には全然楽しげな雰囲気ではない気がするけれど、リズムや音の配列にはコミカルなものがあって、ちょっと飄々としたところがある。

サロネンが指揮しているせいか、透明感と少し冷んやりとした潤いのある音が北欧風の音楽のようなイメージ。
ピアノとオケの音の瑞々しさや色彩感がよく映えていて、その掛け合いがとても魅力的。
なぜか、調性がないはずなのに、不思議なことに調性音楽のように調和的にさえ聴こえてくる。

この曲と演奏がどんなに素敵なのか、私のボキャブラリーと表現力では、とても伝えることができないので、実際聴いてみるに限ります。
"難解"でとっつきの悪そうなシェーンベルクの音楽に対するイメージが、ちょっと変わるかもしれません。

<関連記事>
内田光子 ~ シェーンベルク/ピアノ協奏曲


tag : シェーンベルク アックス フランツ・リスト

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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

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好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

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