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ジェシー・ノーマン 『ヨーロピアン・ライブ』 (1987年)
20年ほど前に声楽曲を聴き始めた頃に買ったCDが、ジェシー・ノーマンの『ヨーロピアン・ライブ』。
1987年の欧州ツアー・リサイタルのライブ録音で、ピアノ伴奏はジェフリー・パーソンズ。
シュヴァルツコップの伴奏者として有名なパーソンズが伴奏しているので、この欧州ツアーにはかなり力を入れてようだ。

アルバムの収録曲はかなりユニーク。古典派のハイドン、ヘンデル、時代を飛び越して後期ロマン主義のマーラー、ベルク、シュトラウス。
オランダと西ドイツの2つのリサイタルから収録。同じプログラムらしいので、実際の演奏順もこの通り、マーラーとベルクを交互に歌い、リサイタルの締めくくりはシュトラウス。
ベルクの《私の眼をとざしておくれ》は、1907年と1925年の2バージョンを歌っているので、20年近い歳月の間にベルクの作曲技法が大きく変わったことがよくわかる。
どれがアンコールかCDには書かれていないけれど、多分16曲目の黒人霊歌以降はアンコールではないかと。
ノーマンの歌う後期ロマン主義の曲がかなり気に入ったせいか、ベルクのピアノ・ソナタやマーラー歌曲を聴くきっかけになったという思い出のあるアルバム。

ヨーロピアン・ライブヨーロピアン・ライブ
(1994/09/05)
ノーマン(ジェシー),パーソンズ(ジェフリー)

試聴ファイル(別盤にリンク)

<収録曲>
1. ナクソス島のアリアンナ(ハイドン)
2. 歌劇「リナルド」~わが泣くがままに(ヘンデル)
3. 主よ、汝に感謝す(ヘンデル)
4. ラインの伝説(マーラー)
5. 愛(ベルク)
6. 私の眼をとざしておくれ(1907年第1作)(ベルク)
7. この歌をひねり出したのはだれ(マーラー)
8. 私の眼をとざしておくれ(1925年第2作)
9. うき世の暮らし(マーラー)
10. 夜うぐいす(ベルク)
11. ミニヨン(ベルク)
12. 別離(マーラー)
13. 愛を抱いてop.32-1(R.シュトラウス)
14. あなたの眼が私の眼に見入った時からop.17-1(R.シュトラウス)
15. 鳴りひびけ!op.48-3(R.シュトラウス)
16. 大いなる日(黒人霊歌)
17. ぼくらは踊りだしたい気持ちだ(R.シュトラウス)
18. すべては主の御手に(黒人霊歌)
19. ヴォカリーズ=エチュード(ラヴェル)

このアルバムの曲はほとんどが好きだったのでよく聴いたし、今聴き直してもやっぱり飽きることなく何回でも聴ける。
特に好きなのは。ヘンデルの「主よ、汝に感謝す」、ベルクの「愛」「夜うぐいす」「ミニヨン」、シュトラウスの「愛を抱いて」。
マーラー・ベルク・シュトラウスの歌曲集は昔から好きだったけれど、最初に聴いたのがノーマンの歌だったこともかなり影響しているかも。

主よ、汝に感謝す(ヘンデル)
このアルバムの中では最も好きな曲。歌詞も旋律もシンプルで感動的なくらい。
主への感謝の気持ちや喜びが、ノーマンの伸びやかな声と堂々とした歌から伝わってくる気がする。

 <歌詞>
 主よ、汝に感謝す
 汝に感謝す
 汝は汝の民を汝とともに導き
 今は、約束の地にあり
 我らの前に敵が現れ我らを攻めても
 汝の手は我らを護り
 汝の慈悲により我らに
 救いをもたらさん


Jessye Norman - "Dank sei dir, Herr" - (Händel)
1987年のリサイタルで、伴奏がGeoffrey Parsons。ヨーロッパツアーの時のものらしい。





歌劇「リナルド」~わが泣くがままに(ヘンデル)
この曲は、映画『カストラータ』でも使われていた。

Jessye Norman - Lascia Ch'io Pianga by G.F.Handel




夜うぐいす(ベルク)
「夜うぐいす」(ナイチンゲール)は《初期の7つの歌》のなかの一曲。Youtubeの音源は管弦楽伴奏版。

Jessye Norman - A Portrait - Die Nachtigall (Berg)



<過去記事>
ジェシー・ノーマン~アルバン・ベルク/7つの初期の歌

tag : ノーマン ヘンデル ベルク シュトラウス マーラー

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【新譜情報】ツィンマーマン&パーチェ ~ ヒンデミット/ヴァイオリン作品集
今年は、パウル・ヒンデミット没後50周年のメモリアルイヤー。
といっても、ヴェルディとワーグナーで賑わっているオペラ界と違って、ヒンデミットの音楽で盛り上がることもないだろうけど..。
ヒンデミットのメモリアルイヤーに合わせて、思いがけなくフランク・ペーター・ツィンマーマンの新譜がリリースされるのを見つけて、これはとっても嬉しい。

今回のツィンマーマンの新譜は、ヒンデミット作品集。BISから6月10日発売予定。
ツィンマーマンが最近出した新譜は、<トリオ・ツィンマーマン>が演奏する弦楽三重奏曲で、全てBIS盤。
SONYから長い間新譜が出ていなかったので、BISに移籍したのだろうか?
BISはシュニトケなど現代曲の録音も多く、日本の現代音楽に関する面白い企画のアルバムもいくつか出ている。BISなら、それほど人気があるとはあまり思えないヒンデミットの作品でも、SONYよりは録音しやすいように思える。

収録曲は、ヴァイオリン協奏曲、無伴奏ヴァイオリンソナタ1曲、ピアノ伴奏付きのヴァイオリンソナタ3曲と、ジャンルの異なる曲が3種類。
ピアノ伴奏は、いつものようにエンリコ・パーチェ。パーチェには、ヒンデミットのピアノ・ソナタ第3番の(あのフームズ音楽祭での)ライブ録音がある。これがグールドの同曲の演奏と並んで好きなものなので、今回のピアノ伴奏を聴くのも楽しみの一つ。

新譜のジャケットデザインは、カンディンスキー(か誰かの)の抽象画に少し似ているかも。
ダークでカラフルな色合いと幾何学的な構図が、ヒンデミット作品のイメージによく合っている。
パウル・ヒンデミット : ヴァイオリン作品集 [SACD hybrid] [輸入盤]パウル・ヒンデミット : ヴァイオリン作品集[SACD hybrid] [輸入盤]
(2013/06/10)
フランク・ペーター・ツィンマーマン (ヴァイオリン), エンリコ・パーチェ (ピアノ)、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団

試聴する(amazon.de)
HMVの紹介文

<収録曲>
1. ヴァイオリン協奏曲 (1939)
  パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)(2009年9月録音)

2. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.31-2 (1924)
3. ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.11-1 (1918)
4. ヴァイオリン・ソナタ ホ調 (1935)
5. ヴァイオリン・ソナタ ハ調 (1939)
  ピアノ伴奏;エンリコ・パーチェ (2012年5月録音)

ヒンデミットの音楽は、旋律の歌謡性があまりない曲が多くて、もう一つとっつきが悪いかもしれない。
でも、無調ではないので、現代的な乾いた叙情感というか、漠然とした不安感や好奇心・不可思議な眼差しを感じさせるような独特の和声が美しい。
それに、クールな諧謔やヒンデミットが生きていた時代の都市の喧騒を連想するような騒々しい音遣いもあったりして、ロマン派音楽のような感情移入できる音楽を期待しなければ、結構面白く聴ける。

ヒンデミットはもっぱらピアノ作品を聴いているので、ツィンマーマンの新譜はよく聴いていない曲ばかり。
試聴してみると、無伴奏ソナタは、和声の響きに独特の美しさを感じるピアノ独奏曲とは違って、和声よりも旋律自体の動きが面白い。
なぜか第4楽章はどこかで聴いたことのある調性音楽の旋律で始まる。”Fünf Variationen über Das Lied Komm Lieber Mai Von Mozart”というタイトルが付いているので、これはモーツァルトの曲。
収録曲のなかでは、ヴァイオリンソナタが比較的叙情性が強く、ピアノ独奏曲(ルードゥス・トナリスとか)で使われているのに似たような和声や旋律も出てくるので、私には一番聴きやすい。
初期の作風は後期ロマン主義の影響があるらしく、1918年のヴァイオリン・ソナタ変ホ長調の旋律も、ヒンデミットにしてはかなりロマンティックでわかりやすい。
ホ調(1935年)、ハ調(1939年)のヴァイオリンソナタとなると、調性感がやや曖昧になり、ヒンデミットらしい不可思議な雰囲気漂う乾いた叙情感が美しい。ハ調の第2楽章はフーガ。ピアノ・ソナタにも使われているフーガを連想する。
ヴァイオリンソナタ3曲は試聴しただけでも、好みにぴったり合いそう。


ツィンマーマン&パーチェのヒンデミット演奏の音源がYoutubeでは見つからなかったけれど、なぜかクレーメルとガヴリーロフが、ヒンデミットのヴァイオリンソナタを弾いている音源を発見。
私には、ちょっと不思議な組み合わせのデュオに思えるのだけれど(それも曲がヒンデミットだし)、2人とも同じロシア出身だし親交があったのかも。
ツィンマーマンのCDが届いてから聴き比べれば、この2組のデュオの演奏の違いがわかって面白そう。

KREMER & GAVRILOV - HINDEMITH Violin Sonata in E-flat, 1979 (Violin Sonata No.1 )



<関連記事>
ヒンデミット/ピアノ・ソナタ第3番

tag : ヒンデミット ツィンマーマン パーチェ クレーメル ガヴリーロフ

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サキ短編集
短編集作家のなかで好きなのは、サキとモーム。
有名なO・ヘンリーとはどうも肌合いが合わず、サキやモームの方にリアリティと核心的なものを感じる。
小学生の頃から、角川文庫から出ていた世界の「ポケット・ジョーク」シリーズやアンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』は好きだったせいか、シニカルなタッチのサキやモームとも相性が良い。

ノンフィクションや評論・伝記・歴史書ばかり読むようになって以来、小説はほとんど読まなくなってしまったので、久しぶりに読むサキの短編集がとても新鮮。
サキを初めて読んだのは、高校時代の英語リーダーの教科書に載っていた「開いた窓」。
面白いけど、どこか背筋が寒くなるようなブラックユーモア的なセンスに魅かれるものがあって、すぐに新潮文庫の『サキ短編集』を購入したのだった。

サキ短編集の邦訳は数種類。私は新潮文庫版(21編)だけ読んだけれど、岩波(21篇)、筑摩、それに角川 (ハルキ文庫)からも出ている。
ちくま文庫の「ザ・ベスト・オブ・サキ」は2巻物。新訳4篇を含む86篇を発表順に編集。これが既出訳本の中では一番収録作品が多い。(サキに限らず、ちくま文庫は全集ものが充実している)
角川・ハルキ文庫の「サキ傑作選」は、他の文庫とは収録作品がかなり違う。25編中7編が新潮文庫版に収録されているらしい(未確認)。
新潮文庫版以外も読みたくなってきたけれど、在庫がないか、絶版のようで、中古本で買うしかない。

サキの作品は、青空文庫には掲載されていないけれど、<ghostbuster's book web>の”サキ コレクション ”で、「開いた窓」などの短編(30篇)を読むことができる。


サキ短編集 (新潮文庫)サキ短編集 (新潮文庫)
(1958/02)
サキ

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サキ傑作集 (岩波文庫 赤 261-1)サキ傑作集 (岩波文庫 赤 261-1)
(1981/11/16)
サキ

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ザ・ベスト・オブ・サキ〈1〉 (ちくま文庫)ザ・ベスト・オブ・サキ〈1〉 (ちくま文庫)
(1988/06)
サキ

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  目次:ザ・ベスト・オブ・サキ〈1〉ザ・ベスト・オブ・サキ〈2〉

サキ傑作選 (ハルキ文庫)サキ傑作選 (ハルキ文庫)
(1999/03)
サキ、Saki 他

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やや斜に構えたようなシニカルな文体と、人間のバカバカしい振る舞いや運命罠に嵌まってしまった悲惨さなど、心温まるような話ではないところに、彼の人間性に対する捉え方が出ているのだろう。
新潮文庫には、コメディ的なタッチの作品(「二十日鼠」「宵闇」「新米家」など)も入っているけれど、これは登場人物の勝手な思い込みで大騒ぎした結果、実はその思い込みが大間違いだったとわかるお話。

プロフィールを読むと、ミャンマー生まれのスコットランドの小説家という、地理的に辺境なミャンマーと、陰鬱な気候のスコットランドという風土に生まれ育っている。
警察官やジャーナリストという、人間や社会の裏側を見ざるをえない世界にいたらしいので、それが彼のシニカルでブラックユーモア漂う作風に影響しているに違いない。

一番面白くてしっかり記憶に残ったのが「狼少年」。
最初に登場するところからなにやら不気味なものがあり、主人公が彼の正体に気がついた時にはもう...。
ラスト近くの夕暮れのシーン~忽然と姿を消したエンディングがとても印象的。このお話はなかなかコワイ。
レビューを読むと、この話の原題は「ゲイブリル・アーネスト」。
これを「狼少年」とか「人狼」という邦題にしているので、”妖しい男の子の正体バレバレ”というコメントが書かれていた。
これは全くその通り。結末がわかってしまうタイトルをつけるのは止めて欲しい。

”成りすまし”物なら、「運命」と「ある殺人犯の告白」。
ある人物に成りすまして、当人はこれで人生も好転すると思ったところが、実は...というパターン。
「運命」のラストは、ドラマか映画のシーンが浮かんでくるような臨場感があって、もう絶体絶命。

「平和的玩具」や「開いた窓」、「話上手」に描かれているのは、子供が大人に手玉にとるマセタところや、子供特有の攻撃性や残酷さ。無垢で屈託のない子供の二面性はまるでコインの表と裏。

久しぶりに読んでも、サキはやっぱり面白い。

ジェシ-・ノーマン『Jessye Norman Sings Michel Legrand : I Was Born in Love With You』
最近、今まで集めてきた本とCDを大量処分するために選別中。
手放してから後悔しないように、念のため処分しようと思っているCDを聴いてみると、手元に残しておきたくなるCDがやっぱり見つかる。

随分昔、ジェジー・ノーマンのCDを集めていた時に買ったけれど、聴いた記憶がないルグラン作品集『Jessye Norman Sings Michel Legrand : I Was Born in Love With You』。
ルグラン=映画音楽というイメージだったので、オペラ歌手が歌う映画音楽というものにほとんど期待せずに聴き始めたけれど、これが思いがけない素敵なアルバム。

ピアニッシモで軽く口づさむようなノーマンの歌い方は、フランス人シャンソン歌手のちょっと鼻にかかったようなフランス語の歌い方とは全然違うし、ジャズ・シンガーのハスキーな声質とも違って、最初はかなり違和感が無きにしも非ず。
フォルテになると、いつものように馬鹿でかく(?)はないけれど、力強く弾力のある伸びやかな歌声になって、ノーマンらしい歌になる。
センチメンタルでムーディな歌い方とは違って、どちらかというと直線的なところがあるせいか、ベタベタした情緒性がなくて、これは意外と良いかも...と思えてきた。
レビューにもよく書かれている通り、ノーマンの歌には、好みがはっきりと分かれるに違いない。
もともとジャズボーカルというものが好きではなくほとんど聴かないのが幸いして、ノーマンの歌にすぐに慣れてしまった。
それに、サラ・ブライトマンがクラシックを歌ってもポップスにしか(私には)聴こえてこないのとは違って、ノーマンがルグランの曲を歌うと、意味深く、奥行きや広がりを感じるのは、やはりノーマンの歌唱力がなせる業というところだろうか。ルグラン自身も”ノーマンの歌唱力が素晴らしい”と言ってそうだし。

でも、最初に耳が惹きつけられてしまったのは、ノーマンの歌ではなくて、作曲家のルグラン自身が弾いているピアノ伴奏。
宝石のような硬質な輝きと、洗練された華麗さが煌くように流麗で美しくて、これはとっても素敵。
かなりムーディなんだけど、ベタベタとまとわりつくところがなくて品が良く、弱音の響きと歌いまわしの柔らかさは、ふんわりと絹や真綿で包み込まれるように心地良い。
《瞳の中に/Dans ses yeux》では、アクセントを利かせたスタイリッシュなピアノが颯爽としていて、なんてカッコイイこと。
いくつか入っているルグランの映画音楽は、映画の映像と切り離して音楽だけ聴いている方が、曲の良さがずっとよくわかる。
演奏はもちろん、曲の意味や雰囲気に合わせて変幻自在につけていく伴奏の内容自体が素晴らしい。ルグランのジャズアルバムがあれば、聴いてみたくなってきた。
伴奏しているアーティストが豪華で、ルグランのピアノに加えて、ベースがロン・カーター、ドラムはグラディー・テイト。ジャズのピアノ・トリオが伴奏。
曲によって、ピアノ・ソロかピアノ・トリオのどちらかで伴奏しているし、最初はピアノ・ソロで、続いてピアノ・トリオで伴奏する曲もあるので、ピアノ・ソロもピアノ・トリオも両方楽しめる。
ノーマンの歌&ルグランのピアノソロ&ジャズ・ピアノ・トリオと、この組み合わせが私のツボにぴったりはまっていた。


CDジャケットのノーマンのポートレートは、クラシックのCDジャケットのものとは違って、モノローンでとてもシック。もしかしたら、昔ジャケ買いしてしまったのかも。
国内盤のタイトルは、『おもいでの夏~ジェシー・ノーマン meets ミシェル・ルグラン』。
Sings Michel Legrand: I Was Born in Love With YouSings Michel Legrand: I Was Born in Love With You
(2000/02/08)
Michel Legrand、 他

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<収録曲>
1. 「おもいでの夏」~夏は知っている/The Summer Knows
2. 瞳の中に/Dans ses yeux
3. アイ・ウィル・セイ・グッバイ/Je vivrai sans toi
4. 「ハッピー・エンド」~これからの人生/What are you doing the rest of your life?
5. 「嵐が丘」~アイ・ウォズ・ボーン・イン・ラヴ・ウィズ・ユー/I was born in love with you (Theme from "Wuthering Heights")
6. 「水のなかの小さな太陽」~愛のささやき/Dis-moi
7. 嘆きの子供たち/Les enfants qui pleurent
8. 月と私/The Moon and I
9. セ・リュイ・ラ/Celui-la
10. 「華麗なる賭け」~風のささやき/The Windmills of your Mind
11. 「ロシュフォールの恋人たち」~ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング/You must believe in Spring (from "Les demoiselles de Rochefort")
12. リラのワルツ/La Valse des lilas
13. アフターソーツ/Afterthoughts
14. 「シェルブールの雨傘」~シェルブールの雨傘/Les Parapluies de Cherbourg
15. ビトゥイーン・イエスタデイ・アンド・トゥモロウ/Between yesterday and tomorrow
(ピアノ・ソロ伴奏:5,6,8,9,10,13,14)
(ピアノ・トリオ伴奏:1,2,3,4,7,11,12,15)

国内盤のボーナストラック:
16. 夏は知っている(フレンチ・ヴァージョン)
17. 愛の閃く時


収録曲は、曲名は知らなくても、どこかで聴いた曲が結構多い。
曲名と音楽がすぐに浮かぶ曲は、”You Must Believe In Spring”、”風のささやき”、”シェルブールの雨傘”。

”You Must Believe In Spring”
この曲はビル・エヴァンスのアルバムのタイトルにもなっているので、かなり有名かも。これは手持ちのエヴァンスの録音のなかでは一番好きなアルバム。
原曲は、カトリーヌ・ドヌーヴが主演したフランス映画「ロシュフォールの恋人たち」で使われているもので、ジャック・ドゥミ監督自らが「CHANSON DE MAXENCE(マクサンスの歌)」を作詞。
今は、原曲・原詩よりも、この英語版の曲名と英詩(作詞はアラン&マリリン・バーグマン)のほうが有名なのだそう。
歌詞の一節”Just think if Winter comes,Can Spring be far behind?”は、日本語で言うと”冬来たりなば、春遠からじ”というところ。(作品解説[JAZZYな生活])

エヴァンスの演奏を聴いた時のような痛切感はあまり感じないけれど、しみじみ~とした味わいがあって、これも良い感じ。
Jessye Norman - You must believe in spring (Michel Legrand)




”The Windmills of your Mind”(風のささやき)
1968年アメリカ映画「華麗なる賭け」の主題歌。
映画は見たことがないけれど、この曲はたしかポール・モーリアのCDで初めて聴いた覚えがある。
ポピュラー音楽の楽譜にもよく載っているので、自分でも弾いていた。
狭い範囲の鍵盤上を音符が行きつ戻りつするので、ほんとうに囁いているかのように聴こえる。

Jessye Norman The Windmills of your Mind - Les Moulins de mon coeur




”シェルブールの雨傘”
1964年のフランス映画。音楽は自分で弾いていたのでよく知っているけれど、映画は見たことがない。
カトリーヌ・ドヌーヴが主演したくらいは知っていた。でも、セリフがないミュージカル映画とは全然思っていなかった。
口ずさむように静かに始まり、徐々に動きが増してピアノ伴奏がアルペジオに変わって、最後はドラマティックに盛り上がってから、静かにフェードアウト。
ルグランのピアノ伴奏は、それだけ聴いていてもちゃんと曲になっているように、旋律・音型と表情がいろいろ変化していき、とても華麗でドラマティック。

Les Parapluies De Cherbourg- Michel Legrand & Jessye Norman




”The Summer Knows”
1971年アメリカ映画 「おもいでの夏」の主題歌。この映画は見たことも聴いたこともないけれど、この曲はどこかで聴いたような気がしないでも..。

Jessye Norman - The Summer Knows (Michel Legrand)


tag : ルグラン ノーマン

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メシアン/鳥のカタログ
随分昔、現代音楽のCDを買い始めた頃、NHK-FMでメシアンの《異国の鳥たち》をたまたま聴いて、これが結構面白かったので、《鳥のカタログ/Catalogue d'oiseaux》のNAXOS盤を購入。
《鳥のカタログ》は、フランスに生息している13種類の鳥をモチーフにした曲集。
自然の風景や生物の鳴き声、動きなどをピアノの音で表現した曲なので、鳥の姿・動き・鳴き声が体感できそうだと思い込んで聴いてみたら、期待していたほどに視覚喚起的ではなく、どれがどの曲がわからないような似たような響きが旋律が延々と続いて(その時はそう思えた)、どうもメシアンの音楽とは合わなさそうだった。

そもそも、バードウォッチングの趣味もなく、鳥の名前でわかるのは、飼っていたインコ、文鳥、カナリア、そこらを飛んでいる雀・カラス・鳩、テレビや動物園で見た鶴、フラミンゴ、鷲と鷹(どちらか区別がつかない)、近所の公園の池を泳いでいるアヒルと白鳥...と、まあ鳥オンチの私が、この曲からフランスの見たこともない鳥をイメージするのは、今思えば土台無理な話だった。

《鳥のカタログ》は全7巻13曲、総演奏時間が3時間30分くらいでCD3枚分と、ピアノ独奏曲集としてはかなりの規模。リサイタルで全曲演奏する人は多くないに違いない。

<曲名>
第1番 キバシガラス(黄嘴烏、Le Chocard des Alpes)
第2番 キガシラコウライウグイス(Le Loriot)
第3番 イソヒヨドリ(磯鵯、Le Merle bleu)
第4番 カオグロヒタキ(Le Traquet Stapazin)
第5番 モリフクロウ(La Chouette hulotte)
第6番 モリヒバリ(L'Alouette lulu)
第7番 ヨーロッパヨシキリ(La Rousserolle effarvatte)
第8番 ヒメコウテンシ(姫告天子、 L'Alouette calandrelle)
第9番 ヨーロッパウグイス(La Bouscarle)
第10番 コシジロイソヒヨドリ(Le Merle de roche)
第11番 ノスリ(鵟、La Buse variable)
第12番 クロサバクヒタキ(Le Traquet rieur)
第13番 ダイシャクシギ(大杓鷸、Le Courlis cendré)


最近、ウゴルスキやムラロの演奏で《鳥のカタログ》を聴き直してみると、視覚喚起性はあるとは思うけれど、それよりも多彩な音色とソノリティ・リズムで構成された抽象的な音楽に聴こえる。
バードウォッチングに興味があるわけでもなく、モチーフになっている鳥のことを全然知らないので、鳥と音楽との関連性はさっぱりわからないためか、どの曲も似たように聴こえるところはある。
下手に音から鳥のイメージを感じようとするよりは、抽象的な音だけの世界だと思って聴くと、これが結構楽しめてしまう。
多分メシアンの音楽をいろいろ聴いてきたので、その書法に耳と感性が慣れてきたこともあるだろうし、よく理解できないときは考えすぎずに音だけにシンクロして聴いた方が、逆に音楽との距離感が小さくなるような気がする。
最近聴いてとても好きになった《アーメンの幻影》と似た旋律や和声がちょこちょこ出てくるので、これも《鳥のカタログ》が聴きやすくなった理由に違いない。
といっても、ある旋律を聴いても、それがどの曲のものか判別できるかというと、これはかなり難しい。


《鳥のカタログ》よりも先に書いた《鳥たちの目覚め》では、管弦楽と独奏ピアノで実際の鳥の囀りを再現されている。
この作品について、メシアン自身こう言っている。

「わたしが描こうとした鳥や風景を知っている人なら、この作品を聴くことに特別な喜びを見出すだろう。(略)しかし音楽的な効果はそれとは全く別のことだ。もしこの作品が成功しているなら、鳥の声の識別とは関係なく、生命そのものが姿を現すだろう」

《鳥のカタログ》の曲ではないけれど、《ニワムシクイ》という曲をメシアンは書いている。
《鳥のカタログ》と同じ系列の作品らしく、<楽譜の風景>サイトに載っているメシアンによる「ニワムシクイ」の解説を読むと、どのように自然の姿が音で表現されているかを知ることができる。
メシアン 最大にして最高峰のピアノ独奏曲 ~ 「ニワムシクイ」[楽譜の風景]

メシアン愛好家でアマチュアピアニストの西村英士さんのホームページ<オリヴィエ・メシアンに注ぐまなざし>にある解説を読むと、メシアンにとって鳥のもつ意味や、どのように音楽として表現しようとしたのか、少しわかってきた(ような気がする)。
メシアンの音楽語法 IV.鳥の歌 Chants d'oiseaux[オリヴィエ・メシアンに注ぐまなざし]

                              

《鳥のカタログ》有名な録音の一つは、ウゴルスキ盤。
試聴ファイルを聴いただけでも、かなり緩急・強弱のコントラストが強くて、ダイナミック。
かなり強いタッチでガンガンと響き、情念が飛び交うようにパッショネイトめいたものを感じる。
ウゴルスキ盤の良いところは、最後に”La Fauvette des jardins”(ニワムシクイ)が入っているところ。(アウストボとムラロのCDに「ニワムシクイ」は未収録)
価格も手頃なので、このいう弾き方や響きが好みに合うのであれば、ファーストチョイスに良さそう。


メシアン 鳥のカタログ 第2巻 第4番 カオグロヒタキ, ウゴルスキ(p)



Olivier Messiaen - Le Choral des Alpes (第1巻第1番「キバシガラス」)


Catalogue D'Oseaux / La Fauvette Des JardinsCatalogue D'Oseaux / La Fauvette Des Jardins
(2003/07/01)
Anatol Ugorski

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ロジェ・ムラロの演奏は、ウゴルスキほど強弱のコントラストが極端に強くはないけれど、すっきりとクリアで引きしまった音と、構造がくっきり透けて聴こえるような明晰さ。
ウゴルスキよりも抑制の利いた理知的な趣きがあって、メシアン演奏に関しては、ムラロの方が好みに合っている。

ムラロの《鳥のカタログ》のCDには「ニワムシクイ」は入っておらず、『メシアン/ピアノ独奏曲全集』に収録されている。
このBOXセットには《幼な児イエスにそそぐ20の眼差し》、《8つの前奏曲》も入っているので、結構高い分売盤を買い集めるよりも、全集盤を1つ買う方が良さそう。

Messiaen-Catalogue D'oiseauxMessiaen-Catalogue D'oiseaux
(2000/08/22)
Roger Muraro

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私が昔買ったNAXOSのアウストボ盤は、全体的にタッチと音があまり鋭くないせいか、音の線も音楽もややぼんやりした感じがする。
冒頭に収録されている”Petites esquisses d'oiseaux”から聴き始めたのが良くなかったのかも。
その頃は、まだメシアンの音楽に慣れていなかったこともあり、平板でどれも似たような音楽に聴こえて、《鳥のカタログ》を聴く頃にはすっかり集中力がなくなってしまっていた。
メシアンのピアノ作品も聴き慣れたので、今聴き直せば昔とは違った印象になるのかもしれない。

Catalogue D'Oiseaux / Petites Esquisses D'Oiseaux [CD, Import]Catalogue D'Oiseaux / Petites Esquisses D'Oiseaux [CD, Import]
(1998/3/5)
Haakon Austb

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tag : メシアン ウゴルスキ アウストボ ムラロ

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アイスラーのドキュメンタリー映画音楽 (2) 雨を描く14の方法
今は消滅しているドイツ民主共和国(DDR/東ドイツ)の国歌『廃墟からの復活』の作曲者として知られるアイスラーは、短編ドキュメンタリー映画の劇伴音楽として、変わった曲名の《雨を描く14の方法》("14 Arten den Regen zu beschreiben" Op.70 ,1941年)を作曲している。(この曲名を見ると、なぜかポール・サイモンの《恋人と別れる50の方法》という曲名がすぐに浮かんで来る)
初めは何かの実験音楽?と思ったけれど、これは無声ドキュメンタリー映画の劇伴。
無声映画なので、主役の雨模様の街の映像と同等以上に、音楽の存在感が強いのが面白い。
アイスラーは、かつての師シェーンベルクに、この曲を献呈している。

記録映画『Regen』(雨)は、1929年に製作された白黒映画。
製作者はオランダ人の映画監督ヨリス・イヴェンス(Joris Ivens)。アヴァンギャルトな作風で、ドキュメンタリー映画の世界ではとても有名な人らしい。
全編わずか12分あまりの短編ドキュメンタリーで、ストーリーのある物語ではなく、1920年代のアムステルダムで雨の降る街の様子を撮影したもの。
この映画の音楽は2種類残っている。ルー・リヒトフェルト(Lou Lichtveld)作曲の1929年版とアイスラーの1941年版。
アイスラーは、現代中国と日本との戦争・抗日運動の歴史を描いたイヴェンスの映画『The 400 Million』 (1939年)の音楽を担当したことがあり、それが縁でこの古い記録映画の音楽をアイスラーが書き直したのかもしれない。

"European foundation Joris Ivens"の『REGEN(1929)』作品解説によると、雨が降り注ぐ生活の一日を映した雰囲気が移っていくとても詩的な映画で、晴れたアムステルダムの街から、運河に落ちていく雨粒や、雨、窓・傘・バス・街路に降り注ぐ雨、そして雨が止み、再び太陽が差してくるまでを映し出している。
1932年にリヒトフェルトに初めて作曲を依頼している。1941年には、この映画を見たアイスラーが創作意欲を刺激されて"Fourteen ways to describe rain"を作曲した。
当時アイスラーは"Film Music Project"を手がけており、様々なタイプの既存の映画(短編アニメーションからドキュメンタリー、物語まで)のために新しい音楽を作曲するというもの。(ロックフェラー財団が助成し、1940-1942年にかけてNYにある"New School for Social Research"で運営されていた)

アイスラーの作品は調性音楽ではないので、慣れていないと聴きづらいところはあるけれど、師シェーンベルクの12音技法の作品よりは、概してアイスラーの作品はわかりやすい。
映画音楽として聴きやすいかというと、ぼ~として聴いているとどれも似たような曲に聴こえてしまう。
普通の映画音楽なら、テンポや調性(長調・短調)や曲想をいろいろ変えて14種類の雨を表現するだろうと思うけれど、無調となると、ちょっと違う。
調性の変化でコントラストをつけているわけではないので、やや不安げな雰囲気が一貫して流れている。
映像にあわせて、使われる楽器や音の配列が変わっているので、この映像ならこういう音楽になるのかと、いろいろ考えながら聴く種類の音楽だろうか。
雨が降る前の明るい街、雨に急に降られて慌てる人達のユーモラスさ、降り続く雨、雨上がりの落ち着いた街など、無調ながらも曲想がコロコロと変わっていくのが、段々とわかってくる。

Hanns Eisler/Joris Ivens: Regen (1929/1941)




こちらは、1929年版の音楽。全く正反対の方向性の音楽がついているところが可笑しい。
Joris Ivens - Regen (1929)



<関連記事>
アイスラーのドキュメンタリー映画音楽(1)夜と霧

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ロジェ・ムラロ ~ メシアン/幼な児イエスにそそぐ20の眼差し
メシアンを弾くピアニストと言えば、すぐに思い浮かぶのは、ロリオ夫人、エマール、ベロフ。
大久保賢さんのブログ<Le plaisir de la musique 音楽の歓び>の記事で、ロジェ・ミュラロ(日本ではムラロと呼ぶことが多いらしい)のメシアン演奏が紹介されていた。
ムラロのことは全然知らなかったので調べてみると、”現代最高のメシアン弾き”とも言われている人らしく、エマールと同じくロリオ夫人に師事しているし、メシアン自身も彼の演奏には賛辞を寄せている。
ムラロのプロフィール[トッパンホール]
ムラロのインタビュー記事(鋭い打鍵が埋もれた日常を引き裂き、水晶のごとき音塊が空間に放たれる)[水戸芸術館音楽紙[ヴィーヴォ]2004年9月]


ムラロは『メシアン独奏曲全集』(ACCORD)をすでに録音している。
メシアンのピアノ独奏作品の全集録音は少ない。ベロフもエマールも全集録音はしていない。ロリオ夫人なら録音しているかも。
私が知っているのは、アウストボのNAXOS盤。随分昔、アウストボの《鳥のカタログ》を聴いた時にどれも似たような曲に聴こえて(耳が慣れていなかったせいもある)、メシアンの音楽とは合わないと思った記憶がある。アウストボとムラロの録音を少し聴き比べてみるとそれも納得。
アウストボのメシアンは、ややタッチが緩くて音もきりりと引き締まった感じがせず、演奏の緊張感も弱い感じがする。個人的な好みとしては、全集盤ならムラロの方を選ぶ。


ムラロの『メシアン独奏曲全集』。分売盤をそれぞれ買うよりもずっとお得なBOXセット。
最近の円安の影響もあってか、マイナーレーベルのCDなので結構高い。それでも試聴していると、これは手に入れたくなってくる。
Messiaen-Integrale Piano SeulMessiaen-Integrale Piano Seul
(2005/05/11)
Roger Muraro

試聴ファイル


<収録曲>
- 幼な児イエスにそそぐ20の眼差し(1944)
- 鳥のカタログ(1956~58)
- 8つの前奏曲(1928~29)
- 鳥の小スケッチ(1985)
- 4つのリズムの練習曲(1949~50)
- カンテヨジャーヤ(1948)
- ロンドー(1943)
- 滑稽な幻想曲(1932)
- ピアノのための前奏曲(1964)
- ポール・デュカスの墓のための小品(1935)


《幼な児イエスにそそぐ20の眼差し》の演奏はDVDでも出ている
Messiaen: Vingt Regards Sur L'Enfant Jesus [DVD] [Import]Messiaen: Vingt Regards Sur L'Enfant Jesus [DVD] [Import]
(2005/05/11)
Roger Muraro

商品詳細を見る



《幼な児イエスにそそぐ20の眼差し》を試聴ファイルとYoutubeの音源で聴いてみると、全体的に速めのテンポで、リズム感が凄く良い。
クリスタルのように研ぎ澄まされたソノリティは硬質でクール。演奏自体も理知的で明晰さを感じさせる。
ムラロのメシアン演奏については、「まるで針先で音を磨くように、水晶のように澄んだ音色」「持ち前の豊かな響きと鍵盤に切り込むような鋭いリズム」という評を見かけたけれど、これは全くその通り。

エマールのメシアンは、音が柔らかく弱音のニュアンスが内省的・瞑想的なので、独特の茫漠とした、ちょっと霞がかかったような雰囲気を感じる。
どちらかというと、響きに耽溺している気がしないでもないけれど..。
エマールと比べると、ムラロはタッチ・音がずっとシャープでクリア。
音色・ソノリティの色彩感と弱音の微妙なニュアンスはエマールほどに多彩ではないように感じはするけれど、演奏自体は隅ずみまで明晰でリズム感・テンポ感が良く、曲の内部へ切り込んでいくような集中力と凝縮感があり、強いメッセージ性を感じる。
ムラロのメシアン演奏は「解像度が高い」というのは、試聴ファイルを聴いていても実感できる。


《幼な児イエスにそそぐ20の眼差し》(DVD)のTrailer。
Olivier Messiaen | Vingt Regards sur l'Enfant-Jésus d'Olivier Messiaen with Roger Muraro | Trailer



第11曲”Première Communion de la Vierge”(聖母の最初の聖体拝受)
Messiaen - Première Communion de la Vierge - Roger Muraro



《幼な児イエスにそそぐ20の眼差し》の第6曲”VI. Par Lui tout a été fait”(御言葉によってすべては成されたり)。
エマールはテンポがかなり遅いけれど、和声や音色の色彩感の変化がよくわかる。演奏がちょっと重たい感じがして、あまり急迫感が感じられないところは結構気になる。
ムラロ(それにベロフ)の演奏はいずれもテンポが速く、追いたてられるような切迫感がある。ムラロはリズム感が凄く良くて、弾けるように切れの良い音でダイナミック。
どちらのメシアンが好きなのかは、はっきり言い難いところがあるけれど、エマールなら和声・ソノリティの多彩さや瞑想的な雰囲気が聴けるし、ムラロはクリアなソノリティと躍動的なテンポ感・リズム感でダイナミズムと曖昧さのない明晰さが体感できる。
聴いた後に残る印象は、ソノリティの美しさよりも、音楽のもつ緊張感と強いメッセージ性を感じるせいか、ムラロの方が(私には)強い。

Olivier Messiaen | Regard sur l'Enfant-Jésus n°6 by Roger Muraro



こちらはエマールの演奏。ムラロとの違いがはっきりわかる。
(1/2) Messiaen: Vingt Regards - VI. Par Lui tout a été fait - Pierre-Laurent Aimard


tag : メシアン ムラロ

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乾燥おから/おからパウダーを使ったレシピ
肉類はほとんど食べないので、蛋白源は主に大豆製品に、ときどきはお魚、たまに卵。
大豆製品が重宝なのは、炒り大豆、茹で大豆、豆腐、がんも、厚揚げ、納豆、きなこ、おからに豆乳と、バリエーション豊富な上に、きな粉以外は、糖質・カロリーとも少ないところ。
特に豆腐とおからは、主食・おかず・和食・お菓子といろいろ使えてとっても便利。

この優れた食品であるおからは、大半は産業廃棄物として廃棄されているらしい。なんともったいない。
豆乳よりも栄養価は高いし、値段も安くて、ローカロリー、低糖質。料理・パン・お菓子(和菓子、洋菓子、スナックなど)用途も広い。

最近よく使っているのが、おからを乾燥させた「おからパウダー」と「乾燥おから」。
両方ともおからを乾燥させて粉砕したもので、粒の大きさによって、16、30、80、150メッシュなど数種類ある。
特に粒子の小さいパウダー状のものを「おからパウダー」と称するらしいが、名称はメーカーや販売店によって違う。
粒子の大きいものは、卯の花など普通の料理用、粒子が小さくなるほど、パン・お菓子の混ぜ込み用に向いている。

おからに小麦粉・米粉・片栗粉類と混ぜれば、カロリーカット・糖質カットに便利。
炭水化物(糖質)の多い粉類を置き換えて、おから100%で作れるレシピは多くて、おからのお好み焼き、おから蒸しパン、おから蒸しケーキ、おからクッキー、おからパンケーキなど。

生おからでも、乾燥おからと同じように使えないことはないけれど、保存するのが面倒。
そのまま水分の多い状態で冷凍保存すると嵩張るし、保存期間が短くなる。長期冷凍保存するには、フライパンで炒って乾燥させた方が良い。
スーパーの店頭で国産大豆を使ったおからパウダーを見つけて、しばらく使っていたけれど、インターネット通販でも売っているのを発見。
ネットショップの方は外国産大豆が原料で、用量が多くて割安。粒子の大きさも数種類あるので用途別に選べるのが良い。


<ネットショップ>
キョーワ(楽天市場)
-乾燥おから1Kg×4個(4Kg)/おからパウダー1Kg×4個(4Kg)/乾燥おから・おからパウダーニコニコセット
-賞味期限は、未開封で約90日
-カナダ産食用白目大豆(遺伝子組み換えでない)使用
※価格はたぶん最安。4kgのおからを賞味期限3ヶ月以内に消費するのは、かなり大変。


以前購入していたのは、こちらのお店のもの。
メール便で配達してくれる500g以下のパックがとても使いやすい。2~3ヶ月で使い切れるし、賞味期限が5ヶ月以上あるのも安心。
楽天市場の店舗が閉店してしまったので、今は購入していない。
e-おから(楽天市場)(現在閉店中)
-ドライおから:150M/80M/30M/16M/全粒(皮ごと乾燥)
【ドライおから16M】大豆の皮の部分を除去。全粒粉に比べて口当たりが滑らか。卯の花、ハンバーグ、コロッケ、餃子など。他に、皮も一緒に乾燥させた全粒製品もあり。
【ドライおから150M】150メッシュで粉砕加工されて小麦粉のようなパウダー状。おからクッキー、ホットケーキ、お好み焼き、おからパンなど。
-賞味期限:製造日より180日(未開封)(160日以上の物を発送)
※大豆の産地は不明。この価格なので、多分カナダ産かアメリカ産ではないかと。

【2013.11.21 追記】
現在、「e-おから」は、yahooショッピングで「a-おから」として再出店中。国産大豆が原料。
他店では買えない商品が「乾燥おから皮パン粉」(200g入】。


「e-おから」が閉店中に新しい購入先を探したところ、「北海道食材のユウテック」というお店をamazonと楽天市場で発見。
国産大豆100%の「おからパウダー500g(超微粉)」が税込336 円プラス送料160円。
国産大豆にしてはかなり安いので、今はこちらで購入している。
「超微粉」という通り、150M並みにサラサラ。ポテトサラダの代用にも、お菓子・パンに混ぜても、いろいろ活用できる。大豆粉や小麦ふすまも販売中。(こちらも他店よりも安いかも?)


<おからの成分>
乾燥おから100gの場合:
 エネルギー 336Kcal
 水分 6.1g
 たんぱく質 25.1g
 脂質 13.2g
 灰分 3.4g
 糖質 6.0g
 食物繊維 46.2g
 ナトリウム 12.6mg
 (データ:キョーワ製品のデータ。日本食品分析センター調)

(参考)生おから100gの場合
 エネルギー 111kcal
 水分 (記載なし)
 たんぱく質 6.1g
 脂質 3.6g
 灰分 (記載なし)
 炭水化物 13.8g
 食物繊維 11.5g
 ナトリウム 5㎎
 (データ:おからの栄養価[日本豆腐協会])



<おからレシピ集>
おからを使ったレシピはたくさんあって、バリエーション豊富。
小麦粉を置き換えて、お菓子・おやつにパン作りから、おからのお好み焼き。パン粉の代りにおからハンバーグ。惣菜の具に使って、おからの春巻き・餃子・シューマイ。

おからレシピ[おいしい料理]

レンジでクイック☆おから蒸しパン :生おから100%。小麦粉不使用。
おからパウダーのレンジ蒸しパン
おからパウダーのレンジ蒸しパン+ココア+
おからパウダーのレンジパン♪糖質制限
レンジdeおからとヨーグルトのケーキ:生おからにヨーグルトを混ぜると、ふわふわしっとり。
揚げずになんちゃっておからドーナッツ♪ :おからとホートケーキミックス使用。
おからせんべい
IKKOの絶対内緒おからクッキー完全版
旨いよ~♪もっちもちおから :おから、牛乳、片栗粉の3つで簡単。
ダイエッター必見!おからのモチモチさん:おから、豆腐、片栗粉使用。タレで絡めてお惣菜に。


すっかりはまって、1日2回は食べているのが、おからサラダ。
150Mのおからパウダーを水で戻し(おからパウダー10gなら、水は30-40ccくらい)、(低脂肪の)マヨネーズで和えると、マッシュポテトに食感・味がそっくり。
知らずに食べれば、おからを使っているとはわからないくらい。
おからサラダ
居酒屋さんの☆おから野菜マヨ味噌サラダ♪


<参考サイト>
健康食品おから革命!新発想で激ウマに変身[NHKためしてガッテン,2009/6/24]

チッコリーニ ~ リスト/詩的で宗教的な調べ 第2番 「アヴェ・マリア」
カッチーニの《アヴェマリア》に続いて、今回はフランツ・リストの《アヴェマリア》。
リストの《アヴェマリア》というと、シューベルトの歌曲を編曲したものが一番ポピュラー。
リストはそれ以外にも、「Ave Maria」というタイトルの曲を何曲も書いているので、どれがどの曲がこんがらがってしまう。
最近、ミッチさんのブログ<フランツ・リストに花束を>の「リストのややこしい事 -アヴェ・マリア編-」という記事で、リストの自作・編曲した《アヴェマリア》を一覧にしてわかりやすく解説してくれてます。

リストの曲というと、《超絶技巧練習曲》などの技巧煌びやかなイメージがあるけれど、リストが書いた宗教的な曲はそういう曲とは随分趣きが違う。
リストの《アヴェ・マリア》は美しくも宗教的な敬虔さや清らかさが漂い、静謐さのなかで聖なるものと一人静かに向き合っているような瞑想的な雰囲気を感じるものが多い。
特に好きなのは、《詩的で宗教的な調べ/Harmonies poétiques et religieuses S.154/R.13 A18 S.173》の第2曲。
《詩的で宗教的な調べ》は、リスト晩年のピアノ作品。
フランスの詩人ラマルティーヌの詩集「詩的宗教的諧調集」に感動したリストが、詩集と同名のピアノ曲集を書いたもの。[作品解説(Wikipedia)]

1. 祈り Invocation
2. アヴェ・マリア Ave Maria
3. 孤独の中の神の祝福 Bénédiction de Dieu dans la solitude
4. 死者の追憶 Pensée des morts
5. 主の祈り Pater Noster
6. 眠りから覚めた子供への賛歌 Hymne de l'enfant à son réveil
7. 葬送曲 Funérailles
8. パレストリーナによるミゼレーレ Miserere, d'après Palestrina
9. 無題(アンダンテ・ラクリモーソ) (Andante lagrimoso)
10.愛の賛歌 Cantique d'amour

特に有名なのは、第3曲「孤独の中の神の祝福/Bénédiction de Dieu dans la solitude」と第7曲「葬送曲/Funérailles」。
単独で演奏されることが多いこの2曲に比べて、第2曲「アヴェ・マリア」は、それに比べるとあまり演奏機会がないような気がする。
シューベルトの歌謡性のあるメロディアスな《アヴェ・マリア》とは随分違って、静謐で瞑想的・内省的。
世俗の世界とは隔絶したような清らかで澄み切った明るさと美しさに、心が洗われるような気がしてくる。


Aldo Ciccolini spielt Franz Liszt: Ave Maria.
これはチッコリーニの演奏(1960年代の旧録ではなく、1990年の新しい録音の方)



ミッチさんの「リストの定盤」という記事・コメントによると、この新録音を収録したCDセットは、次の3種類。
ピアノ作品集~『巡礼の年』全曲、他 チッコリーニ(5CD)
アルド・チッコリーニ EMI1950-1991年録音全集(56CD)
『ザ・ピアノ・コレクション』 チッコリーニ、シフラ、ルディ、ワッツ、アンスネス、他(10CD限定盤)

tag : フランツ・リスト

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吉松隆/3つの聖歌より ~ カッチーニ/アヴェマリア(ピアノ編曲版)
吉松隆の自叙伝『作曲は鳥のごとく』には、ピアニスト舘野泉さんのために編曲した”左手のためのピアノ音楽”のことが書かれている。

「北欧の光や水や風の香りを感じさせる音楽を」という舘野さんの要望から生まれた曲は《タピオラ幻影》。
左手1本で弾くといっても、「フルスペックで書いた」という。(リハビリ中の)舘野さんには「弾いていると心臓が止まりそうになります。左手も壊れちゃいますよ」と言われてしまったという。
それに続いて左手だけで弾くために書いた曲は、いくぶん易しい《アイノラ抒情曲集》やピアノ協奏曲《ケフェウス・ノート》、三手のための連弾曲《4つの小さな夢の歌》(自作のピアノ独奏曲を編曲)、アンコール用の《三つの聖歌》などを作曲。
なかでも、《三つの聖歌》のうち、ピアノ独奏用に編曲されたカッチーニの《アヴェ・マリア》は舘野さんのリサイタルのアンコールとして定番になっている。(他の2曲はシューベルトの《アヴェマリア》、シベリウスの《フィンランディア賛歌》の編曲)

原曲は、実際はソ連の音楽家ヴァヴィロフが1970年頃に作曲したもので、スラヴァがカッチーニの《アヴェマリア》として録音してから、ポピュラーになったらしい。

ソプラノ歌手が歌うと、たいてい感情をたっぷり篭めて朗々と歌っている。
このピアノ編曲版は、言葉はないけれど、美しいピアノの音だけでもとてもセンチメンタル。切々とした染み入るようなしっとりとした叙情感がとても綺麗。

舘野泉 3つの聖歌~アヴェマリア/カッチーニ~



原曲のソプラノ&管弦楽伴奏バージョン
Ave Maria - G. Caccini / Brinums - Inessa Galante



舘野泉×吉松隆舘野泉×吉松隆
(2012/07/04)
舘野 泉

試聴ファイル

tag : 吉松隆 舘野泉

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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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