*All archives*

バルトーク/ピアノと管弦楽のためのラプソディ、ピアノのためのラプソディ
カヴァコスの新譜に《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》が入っているので思い出したのが、《ピアノのためのラプソディ》。
バルトークには、「ラプソディ」という曲が編曲も含めて数曲あるのでややこしい。

《ピアノのためのラプソディ》はピアノ独奏曲。編曲版として《ピアノと管弦楽のためのラプソディ Op.1 Sz.27》もある。
両方とも、録音はかなり少ない。私がCDで聴いたのは、アンダの《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》で、アンダのDG録音集『Geza Anda - Troubadour of the Piano』に収録されている。

《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》は、ヴァイオリン曲のラプソディと比べて、オドロオドロしい騒然とした雰囲気と暗い炎が燃えているような情熱とが、暗い色調の建物が並ぶ東欧の街のイメージとオーバーラップする。
リストの《ハンガリー狂詩曲》と相通ずるところはあるけれど、それよりもピアニスティックで煌びやかな華やかさや舞曲的な躍動感がやや薄く、暗く重苦しい悲愴感が見え隠れする。

2楽章からなり、第1楽章”Adagio molto”は、冒頭は重苦しい悲愴感漂っているけれど、後半には内省的で叙情的な旋律も出てくる。
第2楽章”Poco allegretto”は、舞曲風のリズムでラプソディ的な激しさと躍動感が出てくる。
ピアニスティックでロマンティックになっているけれど、一気に華やかにエンディングに流れ込むというわけではなく、序盤の冒頭主題のモチーフが回想されたり、静かでゆったりとした旋律が挿入されたり、詩的な美しさも織り込まれている。

BARTÓK Rhapsody for Piano and Orchestra Sz. 27 | László Gyimesi / György Lehel



独奏曲の《ピアノのためのラプソディ》は、ピアノだけのシンプルなソノリティのせいか、オケ版とは随分雰囲気が変わって、冒頭から誌的な雰囲気が漂う。
重苦しい陰鬱さではなく、情熱的な旋律が舞っているなかにも静けさが流れているような美しい曲。
ピアノ協奏曲や民謡をモチーフとした他のピアノ独奏曲とも違ってロマンティシズムを感じるものがあり、それと知らずに聴いたとしたら、バルトークが書いたとはすぐにはわからなかったかも。

そういえば、バルトークはピアノの名手でもあり、当時あまり弾かれていなかったリスト作品を度々弾いていたという。
おぼろげな記憶では、学生時代のブダペスト音楽アカデミー(現ハンガリー国立リスト音楽院)の公開演奏会でも、リストを弾いていた...と本で読んだことがある。
(この頃は、まだドビュッシーやストラヴィンスキーの音楽とは出会っていなかったので、その影響はなかったはず)
作品番号1の曲は、《ハンガリー狂詩曲》の作曲者であるリストに捧げられた《ピアノのためのラプソディ》だったというのは、リストへの敬意の表れなのか、はたまた、リストの《ハンガリー狂詩曲》に対して批判的だったバルトークの回答なのか、どちらなのだろう?

Bartók Béla Rhapsody op. 1 for piano solo Tibor Szász



アンダのDG録音集。”Troubadour of the Piano”(ピアノの吟遊詩人)は、カラヤンがアンダを喩えた言葉。
このBOXセットはもう廃盤になっている稀少盤。そのうち廉価盤で出てくるのでは。
得意のシューマン、ショパンを中心に、ちょっと異色のシューベルト、それに、ベートーヴェン、バルトーク、リスト、フランクの作品も入ったバラエティのある選曲でアンダの演奏が聴ける。

Troubadour of the Piano (Spkg)Troubadour of the Piano (Spkg)
(2005/09/13)
Geza Anda、 他

試聴ファイル(amazon.com)



バルトーク関する面白い小論は、吉松隆の「バルトークに関するバトルトーク」
バルトークとリストの関係については、「1901年のリスト生誕90周年で、まだ音楽院の学生だったバルトークはリストの「ロ短調ソナタ」を弾き、作品番号1を付けたピアノ曲「ラプソディ」をリストに捧げて作曲家としてのスタートを切っている。」と書かれている。

tag : バルトーク アンダ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
【新譜情報】カヴァコス ~ ブラームス/ヴァイオリン協奏曲・ハンガリー舞曲集、バルトーク/ラプソディ第1番&第2番
カヴァコスのDECCA移籍第2弾の録音は、予定通りブラームスの《ヴァイオリン協奏曲》。
伴奏は、リッカルド・シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管。

カップリングはピアノ伴奏によるヴァイオリンソロ。
ポピュラーなブラームス=ヨアヒム編《ハンガリー舞曲》より第1,2,6,11番。
それよりも面白そうなのが、バルトークの《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ第1番&第2番》。
有名なヴァイオリンソナタではなく、さらに、オーケストラ伴奏編曲版ではなく、原曲のヴァイオリン&ピアノ版の《ラプソディ(狂詩曲)》を入れているのが珍しい。

ピアニストは、ペーテル・ナジ。
昔からECM盤でカヴァコスのピアノ伴奏をしていたけれど、SONY盤など最近の録音では見かけなかった。
ナジはハンガリー出身のピアニストなので、バルトークは得意としているに違いない。

Violin ConcertoViolin Concerto
(2013/10/08)
J. Brahms

試聴ファイルなし



バルトークの作品には、「ラプソディ」という曲が編曲も含めて数曲あって、ややこしい。
《ピアノのためのラプソディ Op.1 Sz.26》と編曲版《ピアノと管弦楽のためのラプソディ Op.1 Sz.27》もあり、《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》とは別の作品。
《ピアノのためのラプソディ》は、《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》よりも民族色が薄く、悲愴感とオドロオドロしさが強い。
《ピアノのためのラプソディ》も録音はかなり少ない。私が持っているのは、アンダの《ピアノと管弦楽のためのラプソディ》の録音くらい。


比較的最近のものらしいブラームス《ヴァイオリン協奏曲》のライブ録音。
伴奏は、チョン・ミュンフン指揮RFPhil.Orch.
Kavakos - Brahms - Violin Concerto - Movt. I, Part 1



シゲティとバルトーク自身のピアノ伴奏による《ラプソディ第1番》のライブ録音。
1940年4月13日、The Library of Congressにて。
Josef Szigeti, Béla Bartok: Rhapsody n°1



こちらはピアノ伴奏版ではなく、《ヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディ第2番》。
Bartok-Rhapsody No. 2 for Violin and Orchestra
スターンのヴァイオリン、バーンスタイン指揮NYフィル(1962年)



新譜のピアニスト伴奏者がエンリコ・パーチェでないのが、個人的にはかなり残念とはいえ、カヴァコスのライブ映像を観てしまうと、やっぱりカヴァコスのブラームスをCDで聴きたくなってくる。
それに、バルトークはかなり好きな作曲家なので、《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》も聴きたいので、amazonかタワーレコードで予約しておこうと。


<参考情報>
狂気じみた盛り上がりと双子の狂詩曲♪Bartok/2つのラプソディー[読後充実度 84ppm のお話]
《狂詩曲》の作曲にまつわるお話がちょっと載っている。リスト、ラヴェル、ジプシー音楽とハンガリー民謡との関係など。

この記事で引用されている伊東信宏著 『バルトーク ― 民謡を「発見」した辺境の作曲家』は、4年くらい前に読んだことがある。
内容はほとんど覚えていないので、過去のブログ記事を調べると、「第4章 「ハンガリー音楽=ジプシー音楽」という通説をめぐって」について、メモが残っていた。
多少の手間暇をかけても、少しでも記録を残しておくと、後になって少しは役に立つ。

伊東信宏著 『バルトーク ― 民謡を「発見」した辺境の作曲家』 (中公新書) 

tag : バルトーク カヴァコス

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
お鍋で簡単!玄米の炊き方
<びっくり炊き>
玄米のプチプチ感が好きなので、ご飯を炊くときは、白米・ビタバレーに、発芽玄米か、加工した玄米を混ぜたご飯。
市販の発芽玄米は、玄米よりは割高だけれど、白米並に炊きやすい。
自分で発芽玄米を作る方法もあるけれど、発芽させる時間と炊く時間がかなりかかるので、ものぐさな私にはちょっと面倒な気がしてくる。

「簡単に炊ける玄米」とかいろいろネーミングされている加工玄米は、玄米の栄養が豊富な皮部分を削っているらしい。
浸水時間が1時間で済むのは良いけれど、成分表示を見ると玄米本来の持つ栄養がかなり失われている。(それでも、白米よりは栄養分が少しは多い)

栄養面を考れば、炊きやすくて食べやすい発芽玄米か、加工していない玄米そのものを炊く方が良い。
圧力鍋はもっていないので、土鍋やル・クルーゼ/ストウブで、玄米を簡単に炊ける方法はないかと調べてみたら、やっぱりあった。
秋田地方に伝わる「びっくり炊き」という炊飯方法。
NHKの「あさいち」という番組でも、放送していたそう。
「スゴ技Q 知らなかった!お米の新常識~玄米のびっくり!な炊き方」(2012年9月4日放映)

詳しい炊飯方法はこちらのレシピ。
玄米の炊き方(びっくり炊き)
玄米の炊き方(普通の鍋で今すぐ炊ける!) [Cookpad]

長時間の浸水不要、圧録鍋不要。それでも、ふっくらと柔らかく炊ける。
この方法は、一度玄米を加熱することで硬い皮部分を柔らかくしておいから、びっくり水を入れることで、玄米の皮が破れて吸水がよくなる..という原理らしい。
早速玄米2kgを買ってきて、1合だけストウブで炊いてみたけれど、わりと柔らかく炊き上がっている。
それでも、白米とは全然違う食感。硬めのご飯が好きなので、玄米のつぶつぶ感と噛み応えは私にはちょうど良いくらい。
冷凍しておいた解凍して食べると、さらに柔らかくなっているような気がして、とても美味しい。
難点は、炊飯時間が合計40分近くかかること。
冬は暖房がわり(?)になって良いのだけれど、この夏の暑い時に40分もかかって、コンロで炊飯するのはあまり気が進まない。(ル・クルーゼで白米を炊くと、その半分以下の時間で炊き上がる)



<炒り玄米ご飯>
玄米を短時間で炊ける方法がないかと思案して思いついたのが、炒り大豆ご飯のように、あらかじめ玄米を炒っておくこと。
大豆・黒豆入りのご飯を炊くときは、乾燥豆を浸水させずにフライパンで炒っておけば、お米と一緒に普通に炊飯できる。
玄米も炒っておけば、「びっくり炊き」と同じように、短時間で吸水・炊飯できるのでは?...と思って調べてみると、やっぱり炒り玄米を炊飯する炊き方があった。

楽チンにヘルシー♪煎り玄米入り香ばしご飯

この炒り玄米、おかゆや雑炊にも使えることはもちろん、ポリポリとそのまま食べられるので、保存食にもなるという。(消化があまり良くなさそうな気がするけど)
炒り玄米、栄養豊富な究極の非常食[JAFRA:日本食品機能研究会]

早速、炒り玄米ご飯を炊いてみた。
0.5合の玄米を炒ってル・クルーゼで炊くと、ポリポリ硬い。
原因は、玄米の炒り過ぎ、水分が少ない(玄米の容量の1.2倍)、火力が強すぎる、コンロの自動炊飯機能が玄米炊飯には不適、のどれか。

0.5合の玄米とビタバレー0.25合の0.75合をストウブで手動で炊くと、炊飯時間は20分くらい。
玄米はあまりふっくらとはしていないけど、わりと柔らかくて、これくらいなら充分食べられる。
どうやら、炒り玄米ご飯は、玄米100%ではなく、お米や麦に混ぜて炊く方が食べやすい。
それに、ル・クルーゼよりも、ストウブの方が蓋が重くて圧力が高くなるせいか、ふっくらやわらかく炊ける。

いろいろ試行錯誤してみた結果、玄米を8時間ほど浸水させると、炊き上がりが硬くならない。
浸水させた玄米をフライパンで炒って、そのまま白米・ビタバレーと一緒に普通に炊くと、玄米も柔らかめでプチプチとした触感が、ほどよい硬さに炊き上がっていた。
短時間で炊けるわりに玄米も硬くならず、白米・麦の柔らかい食感と相まって、ちょうど良い感じ。

玄米100%ご飯ではなく、白米(または胚芽米)・麦・玄米(または発芽玄米)を混合したご飯をいつも炊くので、この炒り玄米ご飯が一番手間がかからなくて上手く炊ける。(炒り過ぎると硬い玄米ご飯になるので、ほどほどに)
さらに時間に余裕があれば、8時間以上浸水させて、発芽玄米にするということもできる。(夏場の発芽時間は室温で半日~1日)

玄米ご飯の美味しさからいえば、玄米100%なら、びっくり炊きの方がふっくらもっちり柔らかく炊ける。
炒り玄米だけだと、ポリポリ感が強くて食べにくい。白米・胚芽米・押麦などと混ぜて炊いた方が、全体的な食感が柔らかくも硬くもなりすぎず、ほど良い硬さになる。

玄米に限らず、白米を炒って炊くお粥も香ばしくて美味しい。
つぶつぶ感がしっかりとした固めのぼってりしたお粥が好きなので、お粥は5分粥の炒り白米粥。
もち米をつかうとモチモチと粘り気が強くなって、これも美味しい。


8時間も浸水させるのなら、もっと長く浸けておけば、自家製発芽玄米も作れる。
発芽玄米はファンケル製品をいつも使っているので、自家製は水を替えたりする手間隙がかかるのがちょっと面倒。
夏場は室温が30℃くらいなので、室温でも1日くらいで発芽するらしい。
冬は室温が低すぎるので、ホームベーカリーやヨーグルトメーカーなど、保温できる調理器具を使った方が良い。
玄米を発芽させてから、そのまま(または、炒った方が吸水しやすいかも)炊飯すれば、圧力鍋を使ったり、30~40分もお鍋で炊かずにすむ。

<参考情報>
けっきょく“玄米”は、安全なの? 危険なの? “フィチン”の効果についてまとめます[ガジェット通信]

【新譜情報】ルドルフ・ゼルキンのピアノ協奏曲集&ソロ録音集
ピアノ協奏曲集/ブラームス,プロコフィエフ,バルトーク

ブラームス:ピアノ協奏曲全集、プロコフィエフ&バルトーク:ピアノ協奏曲集ブラームス:ピアノ協奏曲全集、プロコフィエフ&バルトーク:ピアノ協奏曲集
(2013/09/25)
ゼルキン(ルドルフ)

商品詳細を見る


タワーレコードとのコラボレーション企画"Sony Classical" スペシャル・セレクション第7期では、ルドルフ・ゼルキンのピアノ協奏曲集とピアノ独奏曲集の2種類がリリースされる。
9月25日発売予定。タワーレコードだけでなく、amazonでも予約受付中。


ピアノ協奏曲集は、ブラームスの第1番&第2番、バルトークの第1番、プロコフィエフの第4番。
ブラームスは、名盤のセル&クリーブランド管盤。輸入盤・国内盤とも昔から出ているし、今でも簡単に入手できる。
個人的には、それ以前にオーマンディ&フィラデルフィア管と録音した第2番も入っていれば、さらに良かったのだけど。(3枚組になると価格も高くなるので無理だろうけど)
セルとオーマンディという指揮者のメンタリティの違いやオケのカラーも反映しているせいか、オーマンディとの録音は、セルと比べてやや緊張感には欠けるけれど、ずっと明るい色調で伸びやかな開放感があって楽しそう。
イタリアの明るい陽光に溢れた第2番の雰囲気がよく出ている気がする。

プロコフィエフとバルトークは輸入盤しかなく、それも廃盤になっていたはず。
この輸入盤は随分昔に聴いたので、あまりよく覚えていない。
記憶にあるのは、バルトークは、ポリーニ&アバド盤よりも、殺伐とした無機的な感じは薄かったこと。また聴き直してみよう。
オーマンディ&フィラデルフィア管と録音したプロコフィエフの第4番は、もともとほとんど聴かない曲なので、曲自体を覚えていない。
プロコフィエフなら、第2番と第3番が好きなので、どちらかを録音してくれたら良かったのに...と思わないでもない。
それにしても、左手のためのコンチェルトという、やや地味な第4番を録音したのはどうしてなんだろう?

4曲とも分売盤のCDを持っているので、この新譜は買う必要がない。
ブラームスのピアノ協奏曲集なら、CDを持っている人は多いだろうし、他の盤でも買えるので、結局、ゼルキンの弾くバルトークやプロコフィエフを聴きたいかどうかによって、お買い得度が違う。


ブラームスのピアノ協奏曲第2番。伴奏はセル指揮クリーブランド管。
Brahms - Piano Concerto No.2 in B flat major Op.83 - PART 1 of 6 - RUDOLF SERKIN
Cleveland Orchestra conducted by George Szell.



ブラームスのピアノ協奏曲第2番。この新譜には収録されていないオーマンディ&フィラデルフィア管との録音。
Brahms-Pianoconcerto no. 2 in B-flat Major op. 83 (Complete)
Rudolf Serkin: piano-Philadelphia Orchestra-Eugene Ormandy: conductor(1960)




ピアノ独奏曲集/ブラームス、ハイドン、レーガー

ゼルキン・プレイズ・ブラームス、ハイドン&レーガーゼルキン・プレイズ・ブラームス、ハイドン&レーガー
(2013/09/25)
ゼルキン(ルドルフ)

試聴する


ソロ録音集は1979年~1985年のもの。すでに76歳以降の高齢になった頃の録音。
ブラームスとレーガーの曲は、それぞれ別のCDでライブ録音も出ている。
ブラームスは、ゼルキンが得意としていた《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》と、ブラームス晩年の《4つのピアノ小品 Op.119》。
ヘンデルバリエーションは、この1979年のスタジオ録音と1957年ルガーノでのライブ録音が残っている。
晩年のゼルキンは響きにこだわるようになり、録音を聴くとソノリティが美しい。
1950年代の若かりしゼルキンは、総じてテンポが速めで、ややゴツゴツとしたタッチに男性的な骨っぽさもあり、ライブだと躍動感も加わる。好きなのはこの若い頃のゼルキンの方。

レーガーのピアノ作品のなかでも、とりわけ重厚長大で複雑な難曲《バッハの主題による変奏曲とフーガ》は、リサイタルでも弾いていた。
CDで聴くのでもかなり骨が折れるのに、リサイタル向きの曲とはとても言えない(と思う)。

ソニークラシカルでの最後の録音、ハイドンの《ピアノ・ソナタ第60番/Hob.XVI-50》。
この演奏は聴いたことがないし、そもそも録音していたのも知らなかった。
ブラームスとレーガーはライブ録音で聴いているし、ハイドンは最晩年の演奏なので、このソロ録音集を買うかどうかは微妙なところ。


1957年のルガーノライブのヘンデルバリエーション。
Brahms-Variations and Fugue on a Theme by Händel Op. 24-(1/2)
Rudolf Serkin: piano-Lugano-1957


tag : ブラームス プロコフィエフ バルトーク レーガー ハイドン ゼルキン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
マーガレット・プライス&カツァリス ~ リスト歌曲集
ロマン派歌曲のなかではあまり有名でないリスト歌曲は、ピアノ独奏曲を連想させるところがあるせいか、シューマンとシューベルトよりも私にて馴染みやすくて、好きな曲が多い。
ピアノソロで有名な「愛の夢第3番」や「ペトラルカのソネット」(《巡礼の年 第2年》に3曲収録)を歌曲で聴くと、また違った味わいが楽しめる。

多作家のリストなので歌曲も書いているとは思ったけれど、歌曲は70曲くらいしか残っていないらしい。
好きな女声による録音を探してみると、古いものではマーガレット・プライス、
シュトラウスとリストの録音が良いといわれるプライスは、リスト歌曲を2回スタジオ録音している。
EMI盤は1973年録音でピアノ伴奏はロックハート。CDはシュトラウス歌曲が多く、リストは数曲。
Apex盤は1986年のデジタル録音。全てリスト歌曲。珍しくも、ピアノ伴奏がカツァリス。
選曲が良く、有名なピアノ曲《愛の夢第3番》の歌曲原曲、《ペトラルカのソネット》が3曲入っている。

試聴盤を聴くと、プライスの声色はやや硬質で、透明感と芯のしっかりした力強さがあり、凛として気品がある。
歌も線がしっかりして、弱音でも隅ずみまで明瞭で、格調高く聴こえる。(結局、プライスのCDを2枚とも購入)

カツァリスのファンサイト<ものごっついピアニスト シプリアン・カツァリス>に、リスト歌曲の録音にまつわるエピソードが載っている。
リストの歌曲は総じて伴奏のピアノパートが難しく、良いピアノ伴奏者が見つかりそうにないため録音を諦めていたプライスだったが、(超絶技巧の)カツァリスを擁するテルデックがレコーディングをオファーしたという。
リストを難なく弾けるカツァリスなので、煌くような美しい音と淀みない流麗なピアノ伴奏も、リスト歌曲を聴く魅力の一つ。

最近のリスト歌曲集なら、ドイツの若手ソプラノのディアナ・ダムラウが、ヘルムート・ドイチュのピアノ伴奏で録音している。プライスのCDに収録されていない曲が多い。
プライスとはまた違った柔らかな歌声で、起伏が大きくニュアンス豊か。


プライスのリスト歌曲集(EMI盤)。ピアノ伴奏がカツァリス。
3 Petrarch Sonnets/Lieder3 Petrarch Sonnets/Lieder
(2012/01/31)
Margaret Price,Cyprien Katsaris

試聴する(英amazon)


・ミニヨンの歌(君よ知るや)/Mignons Lied S275 : "Kennst du das Land"
・高き愛/Hohe Liebe S307
・私は死んだ/Gestorben war ich S308
・おお愛して下さい、愛しうる限り/O Lieb,so lang du lieben kannst S298
・静かな水蓮/Die Stille Wasserrose S321
・雲雀の歌のなんという美しさ/Wie singt die Lerche schon S312
・静かに響け、わが歌よ/Kling leise, mein Lied S301
・すばらしいことにちがいない/Es muss ein Wunderbares sein S314
・ローレライ/Die Loderey S273
・すべての峰に安らぎがある/Ubert allen Gipfeln ist Ruh S306
・嬉しくもあり/Freudvoll und leidvoll S280
[Fassung I]、[Vertonung]、[Fassung II]
・墓穴とバラ/La tombe et la rose S285
・ペトラルカの3つのソネット/
  No.1 Pace non trovo
  No.2 Benedetto sia 'l giorno
  No.3 Vidi in terra angelici costumi


Teldec/Apex盤はリヒャルト・シュトラウス歌曲とのカップリング。最後の5曲がリスト歌曲。
ピアノ伴奏者は、イギリスの指揮者であるジェイムス・ロックハート。プライスのモーツァルト・アリア集の伴奏指揮もしている。(シュトラウスのピアノ伴奏は、サバリッシュ)

A tribute to Margaret Price: Strauss/Liszt LiederA tribute to Margaret Price: Strauss/Liszt Lieder
(2011/05/23)
Margaret Price

試聴する




プライスの音源がYoutubeでは見つからず、他のソプラノの歌で。

ミニヨンの歌(君よ知るや)/Mignons Lied S275 : "Kennst du das Land"
(詩:ゲーテ/Johann Wolfgang von Goethe) )
[訳詩と解説:梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Liszt - Mignons Lied (Kennst du das Land) - Fassbaender - Thibaudet



O lieb,so lang du lieben kannst /おお愛せよ、お前が愛しうる限り S.298
(詩:フライリヒラート/Ferdinand von Freiligrath)
[訳詩と解説:梅丘歌曲会館 詩と音楽]

リスト - 愛せる限り愛せ (グンドラ・ヤノビッツ)


ピアノ独奏曲のタイトルは《愛の夢第3番》。
Claudio Arrau plays Liszt Liebestraum No.3 in A flat



ローレライ/Die Loderey S273
[訳詩と解説:梅丘歌曲会館 詩と音楽]

Liszt - Die Loreley  
Soprano: Diana Damrau、Piano: Helmut Deutsch
Ferenc "Franz" Liszt - Die Loreley (Text: Heinrich Heine)

ダムラウの「ローレライ」も素敵。
リスト歌曲集のCDを試聴ファイルで聴くと、CDで全曲聴きたくなってくる。




リスト歌曲集リスト歌曲集
(2011/12/07)
ダムラウ(ディアナ)

試聴する(輸入盤へリンク)


tag : フランツ・リスト プライス カツァリス

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
食べ物あれこれ ~ マルちゃん正麺<冷やし中華>、タニタ食堂の金芽米、焙煎丸大豆きな粉、大阪産(もん)名品
「マルちゃん正麺<冷やし中華>」

「マルちゃん正麺」の発売当初に試食した時には、インスタントラーメンにしては麺が美味しいかも..と思ったけれど、インスタントラーメンやカップ麺は今は食べなることがないので、買わないまま。
先日、とある人気料理ブログで、この「マルちゃん正麺(冷やし中華)」が、”驚きの旨さ”と絶賛されていた。
生麺みたいな麺と濃厚のタレがとても美味しいらしい。
このブロガーさんがそれほど美味しいというインスタント麺なら、一度食べてみようと思って、早速イオンで一袋だけ買ってきた。

晩ご飯に作ってみたけれど、ラーメンの方を試食した時と同じく、インスタント麺にしては生麺にかなり近い感じはする。
茹でるためのお湯は1リットル必要。
タレはかなり濃い味なので、私には塩気が多くてからい。
1食(乾麺は80g)366 kcalで、炭水化物(ほとんど糖質)が76.8g、塩分5.1g。
カロリー・糖質・塩分がこれだけ多いと、頻繁に食べるのは避けたくなる。
非常備蓄用にするとしても、茹でるお湯が1食1リットルも必要なので非常時には不向き。

作る手間は生麺もインスタント麺も同じだし、価格もあまり変わらない。(5食セットだと1食あたり単価は若干安いかも)
食べたい時に生麺を買ってきて、好みの味つけの自家製タレで食べれば良い気がする。

このブロガーさんのように、頻繁に食材の買出しに行けない辺鄙な場所に住んでいる場合は、これをストックしておけば、生麺風の冷麺がいつでも食べられるのは便利。
インスタントで生麺に近い冷麺を食べることができるなら、急病とかで料理ができない時の食料として、ストックしておいてもいいかも..。

調べてみると、「ラ王」も生麺タイプのインスタント冷麺を関東地区で限定販売中らしい。
「ラ王」のインスタントラーメン(冷麺以外のしょうゆ・塩・味噌味)はかなり美味しいという評判なので、この冷麺も一度食べてみたい気がしてきた。


マルちゃん 正麺 冷やし中華 5P×6個マルちゃん 正麺 冷やし中華 5P×6個
(2013/04/22)
マルちゃん

商品詳細を見る





「タニタ食堂の金芽米」

しばらく前から店頭にならんでいた「タニタの金芽米」。
ちょうど白米のストックがなくなったので、買ってみたところ、発芽玄米か胚芽米の親戚かと思っていたら、どちらかというとほとんど白米に近い胚芽米に似たお米だった。
炊いたご飯を試食した時は、味は甘みがあって美味しかったけど、やたらにベチャベチャしていた。
たまたま炊き方が悪かったせいかと思っていたけれど、自分で指定どおりの水加減で炊いてみると、やっぱりべちゃべちゃ。

こしひかりのような粘り気のあるお米はもともと好きではないので、なるべく粘り気の少ないお米を買って、さらに水加減を少なくしている。
それも、白米100%のご飯は食べないので、ビタバレー(押麦)と玄米(玄米、発芽玄米、特殊加工した玄米のどれか)を加えて、たまに五穀米や黒豆、小豆、緑豆なども加えたりして、とにかく食感がわりとしっかりした固めのご飯を食べるのが定番。
なので、「タニタの金芽米」もべちゃつくことなく、硬めに炊きたい。
お鍋(ル・クルーゼかストウブ)でご飯を炊いているので、いつも通り少なめの水加減-金芽米専用カップ1合(普通の計量カップで0.9合くらいに相当する)に対して、水180cc弱-まで減らして炊くと、ふっくらとお米が膨らんでもべちゃつくことなく、ちょうど良い柔らかさ。
金芽米、ちょっと大きい粒の押麦、ツブツブした食感の玄米の3つが混ざっていて、美味しい。
(お寿司の場合は、すし酢が絡みにくいので玄米は混ぜない)

「タニタの金芽米」は、0.9合のご飯でも、1合分のご飯並みの量に見える。
実際、ご飯粒はふっくら膨らんでいるので、いつも食べている白米(北海道産のきららやななつぼし、あきたこまち、きぬひかりなど)のご飯よりもご飯粒が大きく見える。

「金芽米」というのは、栄養価の高い胚芽の基底部と美味しく栄養機能に優れた亜糊粉層を残して、糠層だけを除去した無洗米。
無洗米は初めて買ったけれど、たしかに洗う手間が省けて便利。浸水も不要。(ただし、1時間くらい浸水させると、より美味しくなると説明に書いている)
栄養面から言えば、白米よりも栄養価が高く、玄米・発芽玄米よりは栄養価が低いのはわかるとして、胚芽米との比較データがあまり詳しくない。
一般的に言って、茶色いお米粒(胚芽米)の方が精製度は低いので栄養が高いはず。
多分「金芽米」を買う人は、白米がわりに使う人が多そうなので、胚芽米との比較データはあまり必要ないのかもしれない。

この「金芽米」が混ざったご飯を使って、ホームベーカリーでご飯パンを作ってみた。
生地はしっとりもちもち、甘みもかなりあって、この「金芽米」入りご飯パンはかなり美味しい。
お米パンもお米の種類によって、出来上がりが違ってくるというし、ご飯パンも同じようにご飯の粘り気とか甘みの違いによって、パンの焼きあがりもちょっと違ってくる。


金芽米とは[東洋ライス]
-従来の白米より1割少ないお米で、同じ量のご飯が炊き上がる。(なので、お米1袋4.5kgのパッケージで販売中)
-亜糊粉層(あこふんそう)は栄養価が高い。上質な甘味、旨味の元となる健康糖質を作る酵素が多く含まれる。白米に精米する時にヌカと一緒に除去されている部分。
-金色に見える胚芽の基底部一部分を「金芽(きんめ)」と命名。

【精米】タニタ食堂の金芽米 4.5kg (無洗米/ブレンド米)【精米】タニタ食堂の金芽米 4.5kg (無洗米/ブレンド米)
()
トーヨーライス

商品詳細を見る


東洋ライスの金芽米に自然治癒力向上成分[農業協同組合新聞]
香川大学医学部の稲川裕之准教授の研究グループによれば、金芽米には「自然免疫力活性化効果」があるという。
「金芽米の亜糊粉層には、優れた糖脂質(LPS)が多く含まれている。マクロファージ細胞は、体内の異物(死亡細胞や細菌、異物など)を貪食し排除する機能があり、免疫力や自然治癒力を向上させるが、そのマクロファージ細胞を活性化させるのが、糖脂質(LPS)だ」
亜糊粉層を露出含有している金芽米には、通常の精白米に比べ約5.9倍の糖脂質があり、マクロファージ細胞を活性化させる、脳組織のマクロファージは、アルツハイマーの原因であるアミロイドβを貪食除去する。
金芽米には生活習慣病、感染症、認知症、癌、アレルギーなどの疾患を予防し、治療する効果が期待される。

金芽米の生産・販売好調に推移
最近、急にお米の価格が安くなっている。そのわりにお米の売れ行きが芳しくない中で、高価格の金芽米(4.5kg2450円)は売れ行き好調。
金芽米はもともとトーヨーライスが開発・販売している無洗米。この金芽米を社員食堂用に採用しているタニタとタイアップして「タニタ食堂の金芽米」という商品名で発売したもの。ご飯パックも発売中。
タニタがオープンした一般向けの食堂”丸の内タニタ食堂”でも使われている。

[口コミ]タニタ食堂の金芽米を食べてみた[味は?][ダイエット廃人]



坂口製粉所の「焙煎丸大豆きな粉」

札幌のメーカー坂口製粉所が作っている北海道産大豆の「焙煎丸大豆きな粉」
郵便局の帰りに寄ってみたマックスバリュで見つけたもの。イオンとか近所のスーパーでは見かけたことがない。

北海道産大豆100%のきな粉にしては、価格はかなり安い。(1袋175g入で108円。メーカー直販オンラインショップで163円)
クリーンロースターで特殊熱風焙煎しているせいか、ミルキーな甘い風味で、さらさらと微細な軽い粉なので口どけもよくて、私の味覚から言えば、とっても美味しい。
他社のきな粉は、もっと濃い茶色っぽい色合で、かなり香ばしい風味の深煎りしたきな粉が多い。
それと比較すると、このきな粉はちょっと違っていて、色は白っぽくて、香ばしさは少ない。その代わり、牛乳のようなミルキーなまろやかな甘みがある。
焙煎方法に加えて、大豆の品種によって風味もそれぞれ違うのかもしれない。
ふりかけたり、混ぜたりするより、きな粉だけを食べると、独特のミルクのような甘い風味がよくわかる。

きな粉フリークの私は、このきな粉にすっかりはまってしまい、100gくらいはすぐに食べてしまう。
きな粉は「畑の肉」といわれるくらいに、栄養豊富。
きな粉をたくさん食べるようになってからは、指の爪にボー線が出ることも、指がささくれて荒れることも無くなった。重い貧血も多少は改善されているかも。
きな粉は100gあたりの糖質が15gと少ないので、おやつの甘味代わりに気兼ねなく食べられるのが良いところ。
悩ましいのは、カロリーが極めて高い点。100g当たりのカロリーが500kcal近い。
大豆製品のなかでも、乾燥・茹で大豆、豆腐、おからよりも重量あたりのカロリーが高く、主食の米・小麦粉(100gあたり350kcal程度)と比べても、はるかに高カロリー。
”過ぎたるは及ばざるが如し”と言うとおり、食べ過ぎには注意。


焙煎丸大豆きな粉 175g焙煎丸大豆きな粉 175g

坂口製粉所

商品詳細を見る


きな粉牛乳ブーム発祥の地 道産きな粉加工品で販路を開拓中




大阪の特産品(大阪産(もん)名品)

<大阪の特産品(大阪産(もん)名品)>は、大阪府が公開している特産品サイト「大阪産(もん)」の中でも、大阪の特産と認められる加工食品を紹介したもの。

大阪産(もん)名品事業者一覧(商品別)

今は食べていないけれど、昔よく買ったり食べたりしたものが結構ある。

今でもお料理に使う「上野焚黒糖」、お中元に度々いただいた「小倉屋山本」、昔は良く食べた「磯じまん」「都こんぶ」「満月ポン」(駄菓子屋さんで売っていた)、これも時々お土産にいただいた「銀装の青箱カステラ」は、懐かしい。

いずれも、このリストを見て、大阪の企業が作っていたものだと初めて知ったくらいに、メーカーのことは気にしていなかった、

絹笠「とん蝶」
ピクニックのお弁当によく買っていた「おこわ」。
国産餅米の白蒸しに、大豆、塩昆布、小梅を混ぜたもの。
普通の白蒸しと、七味唐辛子入りがある。最近は、黒豆入りもあるらしい。
この前、デパチカで見かけた時に、そういえば昔よく食べたなあと思い出した。

釣鐘屋「釣鐘まんじゅう」
祖父が戦死した長男(私の伯父)が奉られている四天王寺をお参りした帰りに、必ず買ってきてくれたのが、「釣鐘まんじゅう」と「釣鐘せんべい」。四天王寺の「釣鐘」を模した素朴なお菓子。

「蓬莱」
有名な(もしかして全国区?)豚まん、焼売、焼餃子、アイスキャンデーとか、時々買っていた。
今でも、デパチカのお店などで行列しているのをよく見かける。

青山通 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』
「紀伊國屋書評空間」(2013/08/06)に載っていた”青山通『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』”の書評を読んで、久しぶりに聴いたのがリパッティのシューマンの《ピアノ協奏曲イ短調》。

この本が出ているのは知っていたので、そのうち読もうと思っていたら、書評がとても詳しくて、半分読んだ気になってしまった。
子供の頃に好きだった特撮ものには、仮面ライダーにウルトラマンシリーズ、人造人間キカイダー、ゴレンジャー(それにおぼろげな記憶では、月光仮面)など、結構多い。ゴジラ(とモスラ)の映画も時々見ていた。

ウルトラシリーズのなかでは、初代ウルトラマンとウルトラセブン(たぶん再放送された番組)をよく見ていた。
特にセブンは、ストーリーやテーマが子供向けの怪獣特撮物の域を超えて、制作当時に存在した社会的問題を扱っていた話もあったせいか、映像の色調や映像の雰囲気が暗めで、そこはかとなく漂う哀感を子供心に感じたものだった。

最終回を見たのは覚えているけれど、かすかな記憶なので、終盤のシーンで使われていた音楽は全然覚えていない。
著者の青山さんも、当時子供だったのに、このシーンで使われていたシューマンのピアノ協奏曲を覚えていて、それが後年の音源探しにつながって行く。

「クラシック音楽は、同じ曲でも演奏によってまったく違う表情になる。そして、同じ演奏者でも同じ演奏は二度とない」というのは、確かにその通り。
それにしても、子供の耳で、TVでオリジナルな劇伴音楽に混じって使われていたシューマンのピアノ協奏曲を覚えていて、さらには、後年になって、その曲が、リパッティのカラヤン盤とアンセルメ盤、ルービンシュタイン盤、ケンプ盤と同じかどうか、演奏の違いが聴き分けられた...というのは、凄いかも


文芸評論家・研究者でウルトラマンマニアらしき小谷野敦氏が、amazonのカスタマーレビューや自身のブログ<猫を償うに猫をもってせよ>の5月5日の記事で書評を書いている。
「クラシック音楽は、演奏によって違うということらしいが、まあ違うといえば違うが、ちょっと誇張し過ぎ」、「 『セブン』で聴いたシューマンのピアノ協奏曲がリパッティであったところから、それ以外の演奏を聴いて「違う」と思ったという話が、どうも信じられない。」と書いている。
著者の年齢から考えれば、そう思ったのもわからないではないけれど、著者にとっては、この曲が使われているシーンが強烈に記憶に刻みこまれていたに違いない。


ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれたウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた
(2013/04/25)
青山通

商品詳細を見る



これが、問題の最終回のシーンと音楽。確かにシューマンのコンチェルトの第1楽章冒頭の旋律が、(0:55のところで)突然聴こえてくる。

ウルトラセブンとシューマンのピアノ協奏曲イ短調



ためしに、TV番組で使われていた曲と、 リパッティ、ルービンシュタインの演奏の冒頭部分を聴いてみた。
冒頭のピアノソロの旋律は、リパッティ/カラヤン盤は速めのテンポで切れ良いタッチ。それに比べると、ルービンシュタインは、ややテンポが遅く、符点のリズムが少し鈍くて重たい。
その後に続く部分は、さらにテンポが違ってくるので、両者の演奏の違いが明らかにわかる。
私の聴く耳が良くないのだろうけど、番組中の演奏と、リパッティの演奏とが一緒だとは、すぐには確信を持って言えるほどではなく。
トゥッティが終わった後のピアノソロの旋律を聴くと、これはリパッティみたいだと思えてくる。
リマスタリングしたCD、LP、実際の番組中の音源とでは音質が違うだろうし、Youtubeの映像はかなり圧縮されているはずなので、音が滲んでひび割れた感じがする。
それでも、ルービンシュタインの演奏ではないというのはわかるし、リパッティ/アンセルメ盤は、冒頭部分から、テンポもタッチも、明らかに他の音源とは(それに番組中の曲とも)違っている。


これはカラヤンが伴奏指揮したリパッティの1948年スタジオ録音。
1950年のライブ録音よりも、全体的にテンポが速めでタッチにも切れの良さがあり、音質はやや古めかしくとも、繊細で瑞々しい音と叙情が流麗でとても美しい。

Schumann - Piano Concerto - Lipatti, Karajan (1948) mvt. I



著者が聴き比べたというルービンシュタインの1967年録音(指揮はジュリーニ)。
Arthur Rubinstein - Robert Schumann, Piano Concerto, Op. 54 - Allegro affettuoso (1)




リパッティのシューマンのピアノ協奏曲には、1948年のスタジオ録音から2年後にあたる1950年の演奏会のライブ録音も残っている。伴奏指揮はアンセルメ。
音質はスタジオ録音に比べればさらに悪いけれど、ピアノの音自体は明瞭に聴き取れる。
タッチの切れも良く煌びやかさを感じるカラヤン盤と比べると、この演奏会の頃は病気がかなり進行していたため、全体的にテンポが遅めで、タッチの切れもやや鈍って重たく感じる。
リパッティが最後まで弾き切ることができるかどうか危ぶまれる状態だったらしく、スタジオ録音とは違ったある種の重苦しさと緊迫感が漂っている。
特に、第3楽章は、ひたすらエンディングを目指してひたひたとにじり寄っていくような息詰まるものがある。

Lipatti & Ansermet - Schumann Concerto in A minor Op. 54


tag : シューマン リパッティ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
【新譜情報】 アラウ&デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデン ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集
長らく廃盤になっていたアラウ&コリン・ディヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデンの『ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集』が、とうとうと言うか、ようやく来月9月に再発売される。

このリイシュー盤は、UNIVERSAL MUSICとタイアップしたタワーレコード限定盤で、“VINTAGE COLLECTION +plus”シリーズの一つ。(amazon・HMVでは取り扱っていない)
アラウは1903年生まれなので、今年2013年に生誕110年記念盤としてリリースされる。
既発の廉価盤(全集ではなく抜粋)とは違って、原盤と同じジャケット・デザイン。アラウの風格のあるポートレートが素敵。
なかなか全集が再発売されなかったのは、このタワーレコードの企画盤の計画が進んでいたのが影響していたのかも。

ベートーヴェン: ピアノ協奏曲全集, 他<タワーレコード限定>ベートーヴェン: ピアノ協奏曲全集, 他<タワーレコード限定>
(2013/09/06)
Claudio Arrau 、 Colin Davis 、 Staatskapelle Dresden

試聴ファイル(別盤にリンク):第4番&第5番
 

アラウのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は、EMI時代のガリエラ指揮フィルハーモニア管盤と、1960年代にphilipsで録音したハイティング指揮コンセルトヘボウ盤もある。
ハイティングとの録音は、Philipsが廉価盤を数種類出しているので、CDを探すときに結構まぎらわしい。

今回のリイシュー盤の収録曲は、ピアノ協奏曲第1番~第5番全曲に加えて、原盤の全集には収録されていなかったピアノ独奏曲(《アンダンテ・ファヴォリ》と《創作主題による32の変奏曲》)をカップリング。
《アンダンテ・ファヴォリ(Andante favori: WoO 57)》の録音は1984年、《創作主題による32の変奏曲》は、Philips盤では68年・85年録音の2種類があり、85年録音の方を収録。

名盤とされているのは、1984年に録音された第4番と第5番「皇帝」。
第1番~第3番は1987年録音なので、3年前の録音よりもさらに技術的な衰えを感じてしまうし、蒸留水みたいに淡白な演奏に思えるので、ほとんど聴いていない。
初めて聴いた第4番の演奏が、このアラウの全集だった。悠々と大河が流れるような超スローテンポで、慈愛で包み込むような包容力や深い静寂さには奥深い味わいがある。アラウの晩年の録音のなかでは、一番好きな曲。

第4番と第5番のカップリングで廉価盤が2種類出ている。今でも入手可能。
第1番~第3番は分売盤が廃盤になっているし、廉価盤も見かけない。
原盤の全集や分売盤は、かなりのプレミアムが上乗せされて売買されている。(ヤフオクでは、全集BOXが7000円~8000円台で落札されているのを何度か見かけた)
原盤とこのリイシュー盤の音質が同じなのかどうかはよくわからないけれど、3枚組で2500円(発売前に定価を2400円に値下げしていた)という手頃な価格なので、アラウが最後に録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴きたい人にはお勧めのCD。

第4番と第5番だけ聴きたいなら、廉価盤はこちら。
Piano Concertos 4 & 5: EmperorPiano Concertos 4 & 5: Emperor
(2001/04/19)
Claudio Arrau 、 Colin Davis 、 Staatskapelle Dresden

試聴する


ジャケットデザインは全く好きではないけれど、発売年月が新しい廉価盤はこちら。
Beethoven: Piano Concertos Nos. 4&5Beethoven: Piano Concertos Nos. 4&5
(2009/01/23)
L.V. Beethoven

試聴ファイル



そういえば、今年はアラウの生誕100周年にあたるメモリアルイヤーなのを思い出した。
廃盤の再発売や未公開音源、それに協奏曲や独奏曲のBOXセットとかが、年内に出てくる可能性がある。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集BOX(旧盤)はすでに再発売ずみ。(でも、新盤全集の方は廃盤のまま)
Philips盤のショパン、リスト、モーツァルト録音は、それぞれ作曲家別の廉価盤BOXで再発売されているけれど、ブラームスとバッハのソロ録音は廃盤のまま。
ベートーヴェン以外をまとめたBOXセットが廉価盤で発売されるなら、手持ちのCDを処分して、BOXセットで買い直しても良い気がする。

                              

タワーレコードでは、独自企画盤をいろいろ出している。
アラウのタワーレコード限定盤でとても良かったのは、1976年10月17日に行われた"The Amnesty International Concert"(アムネスティ・インターナショナル・コンサート)でのピアノ協奏曲第4番のライブ録音。
伴奏は、珍しくもバーンスタイン指揮バイエルン放送交響楽団。
アラウとバーンスタインは、バーンスタイン夫人がアラウの弟子だったため、かなり懇意だったらしい。でも、演奏会で共演することはほとんどなかった。
このライブ録音は、“Leonard Bernstein Collectors Edition”(6枚組)にも収録されている。それを買うつもりは全然なかったので、この分売盤はとても嬉しい企画だった。

ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番, 交響曲第5番, 他<タワーレコード限定>ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番, 交響曲第5番, 他<タワーレコード限定>
(2010/06/04)
Leonard Bernstein 、 Bavarian Radio Symphony Orchestra 、 Claudio Arrau



このライブ録音の映像も残っている。
Philipsの最後のスタジオ録音よりも、テンポがやや速く、技巧的にもずっと安定している。
スタジオ録音独特の透明感としっとりと潤いのある音とは違うけれど、かなり前面から聴こえて来るピアノの音はクリアで細部までよく聴き取れるし、特に高音の煌きが綺麗。
どちらかというと、音質は別として、演奏そのものは最後のスタジオ録音よりもこのライブ録音の方が好きかもしれない。

Arrau Bernstein Beethoven Piano Concerto No. 4



<過去記事>
 アラウ~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
 アラウ~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
 アラウ&バーンスタイン指揮バイエルン放送響~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番


tag : ベートーヴェン アラウ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
井上ひさし 『新釈 遠野物語』 『吉里吉里人』  
井上ひさしの作品は、題名だけは知っているものが多いけれど、今まで読んだことがない。
たまたま読んだ、短い評伝『接続詞「ところが」による菊池寛小伝』(『ちくま日本文学全集21 菊池寛』所収)がとっても面白い。
他の作品も読んでみようと、本のタイトルを見てすぐに興味をひかれたのが『新釈 遠野物語』。
『遠野物語』というと、学生時代に読んだ柳田国男の『遠野物語』や、日本民俗学が専門だった指導教官を久しぶりに思い出して、ちょっと懐かしい気がしてくる。
『遠野物語』は、民間伝承を記述した研究書みたいで、少し読みにくかった覚えがある。採録されていた話はほとんど覚えていない。
『新釈 遠野物語』を読んでみると、まるで語り部が話しているような語り口。
『遠野物語』に描かれた世界を井上ひさしが仕立て直しているので、『遠野物語』とは話の細部が違うのかもしれないけれど(同じ題材の話を読み比べないとわからない)、お話自体はとても面白い。
人間と人知を超えた生き物(狐、馬、こうもり、など)たちが身近に暮らしていた世界の息遣いが伝わってくる。

新釈 遠野物語 (新潮文庫)新釈 遠野物語 (新潮文庫)
(1980/10/28)
井上 ひさし

商品詳細を見る

<収録作品:鍋の中/川上の家/雉子娘/冷し馬/狐つきおよね/笛吹峠の話売り/水面の影/鰻と赤飯/狐穴>

各話の冒頭は、「私」と話し手の犬伏老人とが会うところから始まる。
回を追うごとに2人が親密になっていき、特に「ぼく」が犬伏老人の話を楽しみにしている様子を読むと、こっちまで同じ気持ちになってくる。

語られているお話は、グロテスクで不気味なものが多いけれど、どの話も程度の差はあっても、面白い。
井上ひさしの語り口が上手いせいか、映画のような情景が目の前に浮かんでくるような視覚喚起力があるし、温感・嗅覚・触覚も刺激されて、臭い・冷たさ・生ぬるさ・ぬるぬるとした触感とかが肌に感じられてくるような感覚がある。
特に気に入ったのは、「川上の家」、「冷し馬」、「水面の影」、「鰻と赤飯」、「狐穴」。

「川上の家」は、数ヶ月前に読んだサキの短編「狼少年」によく似ている。
「川上の家」は、狼少年ではなく、芥川龍之介の小説にも登場する日本古来の妖怪。
伏線がいろいろ張ってあるので、ストーリーの展開はだいたい予想できたけれど、それでも、どうなるんだろう...と期待しながら最後まで面白く読めてしまう。
サキの短編と同じところは、犠牲になったのは男の子で川で溺れたように見せかけられている、結局”謎の少年”の正体がわかったのは主人公のみ。
違っているのは、サキの「狼少年」は行方知れずで逃げおおせるし、男の子の遺体も見つからなかった。
「川上の家」では、昔からの言い伝え通り、川で溺れた男の子を「黒葬」にしたので、”謎の少年”は言い伝え通りの運命になったこと。
字面から、ぬるぬるじめじめとした質感と気持ち悪さや、”謎の少年”の不気味さが漂ってくるし、お話自体、これが一番面白かった。

「冷し馬」は、馬と飼い主の若い娘が情愛関係に陥っていくお話。
まるで馬が人間の男のような生々しさを感じさせるせいか、”恋物語”というよりは、もっと情念的な妖しげな雰囲気が漂っている。
この話で思い出したのは、子供の頃に読んだステープルドンの『シリウス』というSF小説。
天才生理学者トレローンの研究により、人間に匹敵する知性と知能を獲得した犬シリウスが、研究者の娘と恋愛関係に陥るが、彼らは他の人間たちに迫害されていく。シリウスは人間の言葉を話し、読み書きもできる点は「冷し馬」とは違うが、動物が”男性”であって、若い女性と愛し合うようになるのは一緒。

随分昔に読んだ話なので、『シリウス』の細部はすっかり忘れていた。
このブログ記事「シリウス」その①~オラフ・ステープルドン[ブログ:わしには,センス・オブ・ワンダーがないのか?]を読むと、再読したくなってきた。
この本は処分していなかったはず。どの本棚に埋もれているのか、探し出さないと...。


「水面の影」は復讐ものの怖いお話。ラストがとてもリアルで、まるで映画の一シーンを見ているみたい。

「鰻と赤飯」は、「鰻」の正体が私にはちょっと意外だった。
主人公が「鰻」に親切にも警告してあげたおかげで、主人公が祟られずに無事生き伸びたというのは、恩返しのようで義理堅い。
「赤飯」自体はほんの少し出てくるだけの小道具のような使い方だったので、さして気にもとめていなかったけれど、この「赤飯」がなければ、この話は全然成り立たなくなるくらいに重要な「小道具」だった。

最後の「狐穴」は、入れ子構造の夢のようなお話。オチが面白くて、笑える。
このオチを暗示するような伏線が、それ以前の短編にいろいろ出ているし、レビューとかでも暗にほのめかしている人もいるので、予想できないでもなかったけれど、それでも”実はそういう話しだったのか~”と、やっぱり笑えた。


                              


次に読んだのは、井上ひさしの代表作で大部な『吉里吉里人』

吉里吉里人 (1981年)吉里吉里人 (1981年)
(1981/08)
井上 ひさし

商品詳細を見る


最初から最後まで、すこぶる個性的な作品。寄り道の多い冗長な文章と、品のないシモネタの連発には辟易するし、かなりアクの強い小説。
人格円満で品の良い人にお勧めしたいとはあまり思わないけれど、面白いことは面白い。
とにかく登場人物が多く、それもユニークで多彩。賢者風な老人が出てくるのはよくあることとして、少年警官や少女アナウンサーといった非常に有能な少年少女も登場する。
単行本だと800ページを超え、文庫本は上中下の3巻に分かれている。全巻しっかり読み通すには、多少の根気はいるかも。
吉里吉里国の独立と崩壊までの時間的経過(1日半)に合わせて、小説も30時間で読めるような長さになった..という話を読んだ覚えがある。

『吉里吉里人』は、読売文学賞に加えて、なぜか日本SF大賞を受賞している。
近未来SFのようでもあるし、言語による硬派なスラップスティックのようにも思える。
扱っているテーマは、金本位制、タックス・ヘイヴン、医療制度、脳死による臓器移植、国防と自衛隊など。
かなり広範囲な政治的・社会的テーマを織り込んでいる。
作者自身の話では、「執筆動機はコメと憲法」だったという。(出典:山形新聞,2009年5月4日)
執筆当時と現在では、政治・社会情勢がかなり違っているので、本書を読んでいると”遅れてやって来た進歩主義者”みたいな主張に思えるところもある。
吉里吉里国の独立の切り札の一つが、医学・医療立国という視点はユニーク。井上ひさし自身、医学部進学を志して医大受験までした人なので、医学・医療が重要なテーマになっている。
吉里吉里国の経済制度は、タックスヘイブンと金本位制がベースで、経済面の独立を担保している。タックスヘイブンなので、外国企業が次々と支店を開設していくし、金本位制も吉里吉里国の通貨価値を高め、対円の交換レートもあれよあれよと上がっていく。
この金本位制を支える”金”の隠し場所は意外。口の極めて軽い迂闊な古橋が、それを偶然にも発見してしまったことが、吉里吉里国の不運だった。
最初はかなり冗長感を感じたけれど、小説の舞台が吉里吉里国立病院に入ってからは、吉里吉里人たちの独立をつぶそうとする各国政府との軋轢が激しくなり、騒動が次から次へと起こって、急展開していく。独立騒動が自国へ波及するのを恐れた外国政府のスパイも潜入し、終盤は銃撃戦になだれ込む。

いわゆる"ズーズー弁"風の「吉里吉里語」には、最初はとても違和感があって、意味がよくわからなった。
読み進めるうちに、だんだん理解できるようになってきたし、なぜか親近感まで湧いてきた。逆に、標準語の方が無味乾燥に思えてくる。

主人公で作者のカリカチュアらしき作家、古橋健二はアンチヒーロー型。
古橋の思考回路と言動は、極めて馬鹿馬鹿しくて、ナンセンスで、かなり俗物的。
それなのに、なぜか妙に納得できるものがあり、共感(?)らしきものを感じないでもないので、私にはあまり憎めないキャラクター。
結局、古橋の度重なる軽率な言動が吉里吉里国の滅亡につながるんだけれど。

私が一番好きなのは、吉里吉里国立病院の総看護婦長のタヘ湊(たへ みなと)
存在感抜群の頼もしい婦長さん。やたらに古橋が気絶するので、その度に人工呼吸するシーンでの古橋とのやりとりが笑える。

                              


この2冊以外に読んでいる最中なのは、『私家版 日本語文法』『自家製 文章読本』。
中身はかなりハードだけれど、堅苦しい文法書とは違って、著者独自の日本語の書き方論がユニーク。
井上ひさしの極めて政治的な言動には、ほとんど感心するものはないけれど、小説家としての言葉に対する敏感さやセンス、理論的な考察に関しては、とても勉強になりそう。

私家版 日本語文法 (新潮文庫)私家版 日本語文法 (新潮文庫)
(1984/09/27)
井上 ひさし

商品詳細を見る


自家製 文章読本 (新潮文庫)自家製 文章読本 (新潮文庫)
(1987/04/28)
井上 ひさし

商品詳細を見る

tag : 井上ひさし

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
アラウ ~ モーツァルト/ピアノ作品集 (2) (1964年&1973年録音)
珍しくも、”モーツァルトらしくない”アラウのモーツァルトが気に入っているので、今までリリースされたCDを調べてみると、録音年をチェックして聴くのが良さそうに思えてきた。

Philipsのスタジオ録音は、1973年、1983~88年の2回に分かれている。
1973年に録音したのは、ピアノ・ソナタ第14番、幻想曲ニ短調・ハ短調、ロンドイ短調の4曲。
1983年以降に、14番を除くピアノ・ソナタ全曲、アダージョ、ロンドニ長調を録音。
アラウのモーツァルトが、”遅い、重い”と言われているのは、おそらく1983年以降の録音について。
1973年の録音は、マルカート気味のタッチでゴツゴツとしてはいるけれど、テンポは遅すぎもせず、打鍵はしっかりして音の切れも良い。重心が低くて揺らぐことのない安定感と深い叙情感があり、技巧と表現のバランスが良い。

最近リリースされた未発表音源は、1964年のタングルウッド音楽祭のライブ録音(2枚組)。
ピアノ・ソナタ第5・8・14・17・18番と幻想曲ハ短調のCD2枚組。
Philipsの1980年代のスタジオ録音とは全く違い、第14番は1973年の録音よりもさらにテンポが速く(少し慌しい感じがしないでもないけれど)、ゴツゴツと骨っぽいタッチは堅牢。力強くてキビキビとした快活さは気持ちが良い。
アラウはライブになるとかなりテンポが速くなる傾向がある。どちらかというと、第14番については、スタジオ録音の方が、若干テンポが遅くなっているせいか、落ち着いた弾きぶりで、こちらの方が個人的には好み。
タングルウッドの方は、スタジオ録音よりもさらに昔のライブ録音なので、音はかなりデッド。
その分、小さな部屋で直接聴いているようなくらいに、細部まで克明。(やや左手側の音が大きめかも)
晩年のデジタル録音は音がはるかに美しいとはいえ、ベートーヴェンと同じくモーツァルトでも、技巧的にしっかりした全盛期の演奏は必ず聴いておきたい。
結局、今回はPhilipsのモーツァルト作品集BOX(廉価盤)は見送って、1973年に録音した曲だけを収録した分売盤(国内盤)を購入。このタングルウッド音楽祭のライブ録音ももうすぐ手に入れることになりそう。


モーツァルト:Pソナタ第8番モーツァルト:Pソナタ第8番
(2001/08/29)
アラウ(クラウディオ)

試聴ファイル
(第8番のみ1983年録音。他の曲は1973年録音)


Claudio Arrau Live at TanglewoodClaudio Arrau Live at Tanglewood
(2013/06/25)
Claudio Arrau

試聴ファイル(Presto Classical)




ついでに書いておくと、どのCDを買おうかと、試聴ファイルやYoutubeの音源でアラウのモーツァルトの演奏を聴いていたら、子供の頃によく練習したピアノ・ソナタ第16番の第1楽章にとても惹きつけられてしまった。
この曲は、ピアノの初学者が必ず練習するのではないかと思うくらいに、やさしくポピュラーな曲。
アラウが弾いているトリルは、まるで小鳥が囀っているように可愛らしい。
晩年のアラウが弾くモーツァルトは、(指回りが危なっかしくてたどたどしさがあるとはいえ)、同じく晩年に録音したバッハやベートーヴェンにも共通した独特の透明感と無垢な子供のようなピュアなものを感じるせいか、不思議な魅力がある。

Claudio Arrau - Mozart Sonata K.545 1 mov


tag : モーツァルト アラウ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
美白化粧品に関する医療記事
日経メディカルオンラインに掲載されていたのが、「肌がまだらに白くなった」という症状とその原因に関する解説記事。

<連載:【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来 第10回(2013.7.29)>
「原因は美白化粧品? 外来で「肌がまだらに白くなった」と訴えられたら」



日本皮膚科学会のホームページには、「ロドデノール含有化粧品の安全性について」という患者向け説明資料が掲載されている。

「ロドデノール含有化粧品の安全性について 患者さんの質問にお答えします!」(PDF)  (社団法人日本皮膚科学会 ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会 2013.8.1.作成(VER.1))
- 医薬部外品有効成分“ロドデノール”が配合された製品(本来メラニン生成を抑制する目的で販売されている化粧品)の使用により、過剰なメラニン産生抑制反応や炎症が生じたあとにメラノサイトが少なくなって色が抜けた可能性が疑われている。
- ロドデノールに対するパッチテストで陽性=アレルギーのある人もいる。
- 化粧品使用を中止後、半年~1年以上かけてゆっくりと色素が回復し白斑の面積が小さくなる可能性はあるが(実際そうなっている人もなかにはいる)、完全白斑(部分的に真っ白な皮膚)が治癒するプロセスが不明のため、長期観察が必要。
※正確な内容は、資料本文を参照してください。


[2013/9/13 追記]
NHKクローズアップ現代【カネボウ美白トラブル白斑症状ロドデノール中村幸司】詳細情報
- 美白成分ロドデノールによって、色素細胞そのものが破壊されているケースがある。
- 強い日差しを浴びた肌の状態はチロシナーゼという酵素が増え、この酵素とロドデノールが反応することで細胞が破壊される。(東京工科大学・前田憲寿教授の説)
- 美白化粧品を併用すればロドデノールの量も増える。販売時に複数の化粧品(化粧水、乳液、クリームなど)の併用を推奨していたカネボウは、3種類以上の併用を想定した試験を行なっていなかった。2倍濃度と2種類併用試験の被験者数も僅か。
- ロドデノールの原料であるラズベリーケトンは、20年以上前に国内で白斑被害を引き起こしている。
- カネボウは、国への申請書類にラズベリーケトンの白斑被害の論文を引用。この引用が問題。(原論文では、患者は完全には治癒していなかったが、カネボウは経時的に治癒したと引用したらしい)
  最新報告 カネボウ“美白”問題[NGKクローズアップ現代 013年9月2日放送]

カレンダー
07 | 2013/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。