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サンドリーヌ・ピオー『évocation』
ソプラノ歌手のサンドリーヌ・ピオーの最初のコンセプトアルバム『évocation/エボカシオン』は、女性にまつわる歌曲集。
私はピオーの名さえ全然知らなかったけれど、いつも拝見しているブログの記事でたまたま紹介されていたドビュッシーの<2つのロマンス>を聴いて、とても興味を惹かれてしまった歌手。
ディスコグラフィの中で特に選曲が私の好みに合っていた『évocation/エボカシオン』は、今まで買った歌曲アルバムのなかでも、とりわけ気にいったものの一つ。
ビオーの潤いのある甘く可憐で表情豊かな歌声がとても魅力的。
この歌声を聴いているだけでも、とても心地良い。
吉田秀和氏がピオーを評して「どんな時も、人肌のぬくもりから、遠く離れることはない。この声の与える手ざわり、その感触は-そう、精妙なガラス細工を思わせる」という。
高音の美しいアーメリンクのソプラノのような透明感と砂糖菓子のような甘さとは違って、しっとりとした潤いと”人肌のぬくもり”のある歌声なのが、心地良さの理由なのかも。

アルバムのブックレットには、ピオー自筆の序文が載っている。
このアルバムには「欠如や幸せ、悲しみといった感覚。また、意識と無意識のあやふやな境界線上にある夢。時に女性性や愛といった偉大なる神秘を背景に立ち上ってくる、くらくらするようなエロティシズムへの招待、といったものが存在している」。
伴奏ピアニストはスーザン・マノフ。マノフまで序文を書いているのが珍しい。

『évocation/エボカシオン』は選曲がとてもユニーク。
前半は、詩的で叙情豊かなショーソン、シュトラウス、ドビュッシー。
後半は、ツェムリンスキー、ケックラン、シェーンベルク。現代色が強くなるけれど、それほど前衛的ではないので、比較的聴きやすい作品ばかり。
ツェムリンスキーとシェーンベルクの歌曲集は随分昔に買って聴いたことがある。
その時は歌手の声質と歌い方が好みと違っていたせいか、(それに、まだ現代音楽とはかなり距離感があったので)、それほど好きには慣れなかった。
でも、同じ歌をピオーの歌声で聴くと、以前とは全然違った歌に聴こえてくるせいか、とても魅力的。

evocationevocation
(2007/11/20)
ピオー(サンドリーヌ)

試聴ファイル
このジャケット写真がとてもお洒落で素敵。女性の内面の多様性を表わすが如く、3人のピオーがそれぞれ違う方向を向いている。多面鏡を模したようなセピア色の格子柄がとてもファンタスティック。

《収録曲》
ショーソン
1. ヘベ /Hbe op.2 n°6
2. 魅惑/Le Charme op.2 n°2
3. セレナード/Srnade op.13
4. 蜂雀/Le Colibri op.2 n°7
5. 愛と海の詩より「リラの花咲くころ」/Le Temps des Lilas op.19

ショーソンは、フランス歌曲集などによく入っているけれど、まとめて聴いたことがない。
ピオーの歌うショーソンは、メロディがとても美しく、繊細で夢見るように詩情豊か。
こんなに素敵な曲だとは、今まで全然わからなかった。
<ヘベ>と<魅惑>は、最初の方に出てくる旋律が特に綺麗で印象的なので、特に好きな曲。
哀感を帯びた<蜂雀>も綺麗。

ショーソンの音楽を心理学的な色合で表現すれば、(見事に調和した和声で強められた)”resignation”(諦め、忍従)だと解説に書かれていた。
そう言われると、ドビュッシーのような物憂げな翳りではなく、透明感のある哀感が漂っているような気がする。

R. シュトラウス:《乙女の花 op.22》
6. 矢車菊/Kornblumen
7. ポピー/Mohnblumen
8. 木づた/Epheu
9. 睡蓮/Wasserrose

"Flower Maidens(花の乙女達)の万華鏡”を見ているような《乙女の花》は、ショーソンとドビュッシーとは曲の雰囲気もピオーの歌い方もちょっと違っている。
<矢車菊>は<魅惑>に良く似た旋律が出てくる。
ショーソンの歌曲の方が、繊細な詩情を感じさせるし、旋律も美しくてより印象に残る。
シュトラウスの<ポピー>の最後のところは、オペラを聴いている感じがする。
シュトラウスの歌では、最後の短調の<睡蓮>が、メロディとピアノ伴奏がとても詩的で美しい。

ピオーは、コンセプトアルバム《Apres un rave》で、シュトラウスの《Morgen! Opus 27/4》を録音していて、これがとても美しい。


ドビュッシー:

10. 星月夜/Nuit d'Etoiles
11. 2つのロマンス(ブールジェ詩)より「そぞろな悩める心」/Romance "L'Ame Evapore"
12. 麦の花/Fleur des Bls
13. 西風/Zphir

ドビュッシーの歌曲は、他の作曲家に比べて、ピアノの伴奏パートがとても美しい。
流麗なパッセージと煌くような輝きのある音色は、独奏曲を聴いているのと同じ。
<星月夜>の冒頭のピアノのアルペジオや、高音部の響きがとても綺麗。
<星月夜>と<2つのロマンス>は、ショーソンの<ヘベ>と<魅惑>で聴いたような旋律がどきどき出てくる。
こういうメロディが、ピオーはとても好きみたい。
ショーソンとドビュッシーのなかでは、この4曲が一番好きなのだけれど、どれがどの曲なのか、時々こんがらがってきそうになる。

解説を読むと、”2つのロマンスの歌とピアノの対話は、マリー=ブランシュとサロンロマンスへの、二重奏の別れ(double farewell)として聴こえるかもしれない”というようなことが書かれていた。
マリー=ブランシュが誰なのかわからなかったのでドビュッシーの略伝を読むと、彼はマリー=ブランシュだけでなく、女性関係での問題を度々引起していたらしい。
ドビュッシー特有の憂愁を感じさせる音楽は、そういう経験がかなり影響しているのかも。


ツェムリンスキー
14. 愛と春/Liebe und Frhling
15. バラのリボン/Das Roseband
16. 春の歌/Frhlingslied
17. 私が夜の森を歩くと/Wandl'ich im Wald des Abends
18. 誘拐/Enfhrung
19. 夏/Sommer op.27

ツェムリンスキーは、長らく作曲の教師、マーラーの”satellite”といったイメージで語られてきたが、近年再評価が進んでいるらしい。
<愛と春>は、聴けばするがわかるくらいに、ブラームス風。
ブックレットの解説によると、<バラのリボン>はシューマン風。
その次の2曲はメンデルスゾーン風。<春の歌>は夢見るように美しく幸福感があり、<私が夜の森を歩くと>も静かで温もりがあり、いずれも旋律はシンプル。メンデルスゾーンの調和した世界を連想さえるような曲。

最後の2曲は作風がちょっと変わっている。
<誘拐>は、途中で不協和的な和声が混ざって、どことなく不安定感がある。
最後の<夏>は、第二次大戦中の65歳の時に書かれた作品で、タイトルとは裏腹に、当時の暗い時代の翳りが覆っているような陰鬱さが漂う。(解説によれば、作家ステファン・ツヴァイクのような”昨日の世界”への深いノスタルジーが現れているという)


ケクラン:《グラディスのための7つの歌/Sept Chansons pour Gladys op.151》
20. 愛は私に言った/M'a Dit Amour
21. おまえは彼をとりこにしたと思った/Tu Croyais le Tenir
22. 罠にとらわれて/Prise au Pige
23. ナイアス/La Naade
24. サイクロン/Le Cyclone
25. 鳩/La Colombe
26. 運命/Fatum

ケクランはフォーレの弟子で。ドビュッシーとラヴェルの影響を受けているという。
《グラディスのための7つの歌》は、ケクランが60歳代の時の作品。
このアルバムの他の作曲家とは随分作風が違って、音の密度が低くて、静けさが漂うモノローグのように聴こえる曲が多い。。
特にピアノ伴奏が、音が少なくて和声が厚みが薄く、パッセージもシンプル。
どの曲も、歌謡的ではなく、ナレーティブ(語り的)な感じがする。
時にリュート歌曲や、中世期のアカペラを連想することもある。それを現代的にしたような曲なのかも。
一番好きなのは、静謐さがとても美しくアカペラのような<愛は私に言った>と<罠にとらわれて>。


珍しくも、このケクランの歌曲集をリサイタルで歌っていたのが、北村さおりさんというソプラノ歌手。
自身のブログに掲載されている2011リサイタルのプログラムノートにも、この歌曲集の簡単な解説が載っている。



シェーンベルク:《四つの歌/Vier Lieder op.2》
27. 期待/Erwartung
28. イエスの物乞い『あなたの金の櫛を渡しにおくれ』/Schenk mir deinen goldenen Kamm
29. 高揚/Erhebung
30. 森の木漏れ日/Waldsonne

シェーンベルクの初期作品なので、調性感もかなり残っているせいか、無調・十二音技法のシェーンベルクの曲だとはわからないくらいにロマンティック。
初期の有名な作品《浄められた夜》のような和声と旋律がよく出てくる。
<期待>は、タイトルどおり、来るべき何かへの憧れや待望を感じさせる、ポジティブな雰囲気に満ちた曲。
同名のOp.17《期待》という曲もあり、こちらは管弦楽伴奏のモノドラマで形式も曲想も全く違う。
第3曲の<高揚>は、《清められた夜》を連想させるような濃密な叙情感とドラマティシズムがあり、まるで《清められた夜》のピアノ独奏版のような曲。
最後の<森の木漏れ日>は、とても素朴な詩と素直な情感がほのぼの。高音域を多用したノスタルジックなピアノ伴奏も美しく、幸福感と郷愁溢れる曲。

tag : ショーソン ドビュッシー シュトラウス シェーンベルク ピオー

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キーシンのインタビュー
森岡葉さんのブログ<May Each Day>の最新記事(9/26)は、「『遊藝黒白』~エフゲニー・キーシン~」

台湾の音楽評論家、焦元溥(Yuanpu Chiao)氏の著作『遊藝黒白』に掲載されているキーシンのインタビューの翻訳です。
キーシンのピアニストとしての始まりの幼少期から、カントル女史との出会いとその教育方法、共演した音楽家とのエピソード、音楽観やピアニストとしてのあり方など、かなり詳細な内容で、いままで知らなかったことが非常に多くて、とても興味を持って読めました。
読後、キーシンに対する好感度がかなりアップしたので、CDを聴くときもプラス方向のバイアスがかかってしまいそう。

tag : 森岡葉 キーシン

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自家製発芽玄米ご飯
玄米を炒って玄米ご飯を炊くのが、ちょっと面倒になってきたので、今度は自家製発芽玄米でご飯を炊いてみることにした。
実際してみると、これが意外なくらい簡単で、市販の発芽玄米を使わずとも、美味しいご飯が炊ける。
ぷちぷち感のある玄米入りご飯なら、入り玄米を使い、ふっくら柔らかい玄米入りご飯なら、発芽玄米を使うのが、私が使うお鍋と炊き方だと一番良さそう。

今はキッチンの温度が25~27℃くらいなので、洗った玄米0.5合を湯冷ましに浸水。
容器はステンレスの小さなボウルを使い、電子レンジ用の軽いプラスチック蓋を、密閉状態にならないように、ほんの少しずらしてかぶせておく。

丸1日経っても発芽していないけれど、泡がぶくぶくと浮かんでくるので、玄米がせっせと発芽のために活動しているのはわかる。
水の交換、5~8時間(くらい)ごと。水面に泡が浮かぶと濁ってくるので、3回ほど交換した。
結局、24時間を過ぎていくと、発芽しているように見える玄米がちらほらと出てくる。
浸水後30時間くらいにチェックすると、明らかに発芽した玄米がいくつも見つかる。
ここで浸水終了。玄米を洗ってから、金芽米0.75合(30分ほど浸水させたもの)、ビタバレー0.25合と一緒に、ストウブ(16cm)のお鍋で炊く。
普通に水加減して(1.5合の米&麦に対して、270cc。炊飯時に10ccほど追加した)、ガスコンロに付属している炊飯モードを使って、自動炊飯。
大体15分くらいで炊き上がる。その後、10~15分くらい蒸らす。

<炊飯用のお鍋>
ル・クルーゼだと、カニ穴ができないのに、ストウブでご飯を炊くとカニ穴がたくさんできるし、玄米の米粒も白米同様、ふっくら柔らかく炊き上がる。
玄米と白米との食感の違いが、ほとんどわからないくらい。(水を追加しなければ、もう少し硬めに炊き上がっていたかも)

ストウブの蓋は、ル・クルーゼよりもはるかに重く、鍋本体と蓋とがしっかり噛み合う構造なので、鍋内部の圧力が高くなって、米粒が柔らかくなりやすい。
ストウブで、いろんなタイプのご飯を何回か炊いてみたけれど、ストウブの方がル・クルーゼよりも、美味しいご飯が炊ける気がする。
1.5合~2合のご飯を炊くなら、18cmサイズのストウブの方が良いらしいので、もう1台買いたくなってきた。

お鍋ではなく圧力鍋で炊いた玄米ご飯は、モチモチしていて、歯応えのあるどっしりしたご飯になるらしい。
そのうち一番小さな2.5ℓサイズの圧力鍋を買って、圧力鍋で炊いた玄米ご飯を食べてみたくなってきた。


<浸水時間について>
発芽玄米は、芽が少し出るくらいまで玄米を浸水させておく...という方法が一般的らしい。
季節によって、発芽までの所要時間が変わり、夏場だと1日~2日程度。冬は3日ほどかかるらしい。
いろいろ調べていると、芽が出なくても、24時間くらい浸水させれば、ほぼ発芽状態になっているという人もいたりする。
それに、水を数時間ごとに何回か替えるという人もいれば、替えない人もいる。(私は5~8時間くらいごとに、玄米をさっと洗ってから、水を替えている)

実験してみた結果として、25度前後の水温で24時間くらい玄米を浸水させた場合、発芽の有無にかかわらず、白米と一緒に白米のご飯を炊くときと同じ水分量・炊飯時間で、柔らかい玄米入りご飯が、厚手のお鍋で炊ける。

冬は気温がかなり低くなるので、ホームベーカリー(生種おこし機能を使う)か、ヨーグルトメーカー(まず買わないといけない)、どちらか使えば、夏と同じくらいの時間で発芽させることができる。


<発芽玄米の保存方法>
発芽させた玄米を全て使わないのであれば、水を良く切ってから、密閉容器に入れて、冷蔵庫で2日ほど保存可能。
それ以上保存したい場合は、1週間くらいは冷凍保存できるらしい。


<参考情報:自家製発芽玄米の作り方と炊き方>
発芽玄米を作ろう! ~ 発芽玄米の作り方 ~[ちまき亭]

マクロビと玄米 6)発芽玄米 前編[マクロビパパの奮闘記]
マクロビと玄米 8)発芽玄米 後編[マクロビパパの奮闘記]
玄米の吸水時間 <完全版>[BLUETAIL HAPPINESS]
お米は、自分の容量の約130%の水を吸う。100ml のカップ1杯の米を炊くのに、130mlの水が必要。
発芽させた玄米は、30%分をすでに吸水しているので、炊飯に必要な水分は、発芽後の体積と同じか、少なめ。


黒瀬農舎の発芽玄米レシピ(発芽玄米は手作りが一番)
玄米3合(450g)を発芽させると、容積は約4合、重量は約600gと、1.3倍に増える。
発芽玄米を炊くときの水分量は、吸水後の玄米の容積と同量が基準。(好みで水加減を調整する)
発芽させた玄米は、冷凍保存可能(1ヶ月程度)


発芽玄米を毎日食べる 1[もうDIYでいいよ]
発芽玄米を毎日食べる 2[もうDIYでいいよ]

発芽玄米の作り方
発芽を速める方法。
水をたっぷり入れた容器に1日玄米を浸けて吸水させた後に、水を切って玄米が濡れた状態で、容器の蓋を少し開けて放置。
時折水洗いして、数日間経過すると発芽する。(冬は寒いので発芽しにくい)
発芽するには酸素が必要なので、水に漬けておくより、水に濡れた程度の状態の方が発芽しやすい。
水に漬けるときでも、水は多い方が酸素も多くなる。



【2013.10.4 追記】
圧力鍋は、3000円台~3万円近くするものまで、材質・構造・性能に応じて、ピンからキリまで。
有名なメーカーは、ティファール、フィスラー、WMF、ビタクラフトなど。
日本では、アサヒ軽金属工業のゼロ活力鍋が一番良さそう。お値段も欧州メーカーの一流品と同等。

圧力鍋は、加熱しているときの音がかなり煩いらしい。Youtubeで確認すると、ヒューヒューと、ちょっとコワイ。
フィスラーの圧力鍋だけは、方式が異なるので、音が静からしい。

panasonicは、電気式圧力なべというのを発売していた。音は静からしいが、価格に比べて、性能がガスコンロ用の圧力鍋と同等レベルなのかどうか、わからない。

安い圧力鍋で評判が良いのは、パール金属工業製品。
安いだけあって、構造はシンプル。特にフタ部分の構造・安全装置は、ちょっとチャチな感じがする。

いろいろ調べていると、玄米炊飯目的だけで圧力鍋を買うのも無駄なような気がしてきた。
それに、玄米のフィチン酸が身体には良くないという情報もあり、長期間玄米ばかり食べていると体調が悪くなる人もいるという。
私はマクロビ信者でも、玄米菜食信奉者でもないので、玄米至上主義ではないので、その点は大丈夫。
フィチン酸については、玄米を炒るか、発芽玄米にすれば、問題なくなるらしい。

ストウブなら、ルクルーゼよりも蓋がかなり重く、構造的にもがっちりして、玄米炊きでも、吹き零れが少ない。
ルクルーゼは、蓋がストウブよりも軽いので、吹き零れが多く、お鍋内部の圧力はストウブよりも低いのではないかと思う。
ストウブは、圧力鍋とは違うけれど、時間を少しかければ、玄米でもかなり柔らかく炊ける。
それに、発芽玄米なら、圧力鍋を使わずとも、普通のお鍋で白米と一緒に普通の炊飯時間で炊ける。
玄米を自分で発芽させるのはとっても簡単だし、圧力鍋の出番がそんなに多いとも思えなくなってきた。
玄米を発芽させるのも、いつ芽が出てくるかな~と、チェックしながら、1日や2日待つのも、結構楽しい。今の気温なら、24時間~30時間で発芽するのはわかったし、発芽玄米は冷蔵庫や冷凍庫で保存できるので、いつでも好きなときに発芽玄米ご飯が食べられる。
結局、手軽でコストもかからない方法なので、当分、自家製発芽玄米をストウブで炊くことにした。

スホーンデルヴルト&アンサンブル・クリストフォリ ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番&第5番「皇帝」(古楽器による試演版)
私は全然知らなかったアルテュール・スホーンデルヴルトは、オランダ出身のフォルテピアノ奏者。
古楽器アンサンブルのクリストフォリとベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音している。
<音のタイル張り舗道。>ブログの記事「息衝く「皇帝」。スホーンデルヴルトによる驚くべき試演版...[2005]」で、「皇帝」と第4番の録音が紹介されていて、とても興味を引かれたので、フォルテピアノの演奏とはいえ、珍しく試聴ファイルを聴いてみた。

Piano Concerto 4&5Piano Concerto 4&5
(2005/06/02)
Arthur Schoonderwoerd (fortepiano & musical direction),Cristofori

試聴する

outereレーベルの試聴音源(こちらの方が試聴時間が長い)
ピアノ協奏曲全集は分売盤で3枚。それぞれのジャケットに肖像画が書かれている。
一番印象的なのが、この第4番&第5番の絵。男装の麗人のような人物(もともと男性かも?)と構図は、瞬間を切り取った写真のようでもあり、絵の人物がこちらをじっと見つめているような気になってくる。

昔、ガーディナー&レヴィンが古楽オケとフォルテピアノで演奏した「皇帝」のCDを買って聴いたことがある。
これは全く好きになれずに、やっぱりベートーヴェンは現代楽器で聴くのが一番...と思ったものだった。
でも、このスホーンデルヴルトのベートーヴェンを聴くと、それとは全く違っている。
タッチが強すぎず、音がとても綺麗だし、滑らかで細やかな起伏で自然な流れを感じさせる表現のせいか、全く抵抗無く聴けるし、何度でも聴きたくなる。
現代ピアノとはまた違った雰囲気がするので、同じ曲なのにまるで違う曲のようにも聴こえてくる。
この古楽アンサンブルの響きは、フレットワークがヴィオラ・ダ・ガンバで演奏したバッハの《フーガの技法》を聴いた時と同じように、昔懐かしい田舎風景や草いきれの匂いを感じさせる。この音の感触はかなり好き。

全体的に軽やかで透明感のある明るい色調の演奏なので、第4番の第2楽章は軽すぎる気がする。
この楽章だけは、瞑想的な静寂さと深みが強い現代ピアノの響きと演奏で聴きたくなる。

スホーンデルヴルト(何度書いても、彼の名前はなかなか覚えられない...)のベートーヴェン全集のユニークな特徴は、ベートーヴェンのパトロンであったロブコヴィッツ侯爵邸のサロンで行われたという1807年の「試演」時の演奏環境と楽器編成を再現している点。J.フリッツ製作(1810年頃)のフォルテピアノを使い、小規模編成の古楽オケで各パートの奏者は管楽器・弦楽器も1人らしい。(詳しい情報はブックレットを見ていないでよくわからない)

第4番のピアノパートの楽譜については、私が知っている限り2種類のバージョンがある。
普通演奏されるのは、1806年に書かれた楽譜。
もう一つは、1808年の公開演奏としての初演時にベートーヴェンが弾いたもので、写譜師が書いた楽譜にベートーヴェンの直筆注釈が書き込まれている。
これをベートーヴェン研究家のバリー・クーパーがまとめ、「改訂版」として最近出版された。
この改訂版の演奏は、ロナルド・ブラウティハムがBISに2009年に録音している。
ブラウティハムは、ベートーヴェンのピアノソナタ全集ではフォルテピアノを弾いていたが、このピアノ協奏曲全集ではコンサートグランドを弾いている。
楽譜を見なくても聴いただけで、通常の演奏よりフレーズの装飾が多いのがわかる。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 他 (Beethoven : Piano Concertos / Ronald Brautigam) (SACD Hybrid)]ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 他 (Beethoven : Piano Concertos / Ronald Brautigam) (SACD Hybrid)
(2009/12/08)
ブラウティハム、パロット&ノールショピング響

試聴する(amaozon.uk)
<過去記事>ブラウティハム~ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(1808年改訂版)、ピアノ協奏曲ニ長調(ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版)


スホーンデルヴルトの「試演版」は、1807年にロブコヴィッツ侯爵邸宅で行われた内輪(privately)の演奏会。
一方、ブラウティハムが弾いた「改訂版」は、1808年の初演に使われた楽譜を元にしているので、おそらく同じものではない。そのうちスホーンデルヴルトのCDを手に入れれば、それを確認できるはず。


これは、「皇帝」の第1楽章。試聴ファイルで聴く以上に、古楽器とは思えないほどシンフォニックで力強い感じがする。
Beethoven - Piano Concerto No. 5 in E-Flat Major, Op. 73, "Emperor": I. Allegro


tag : ベートーヴェン

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”出身地鑑定!! 方言チャート”
今日の<Farmer's KEIKO 農家の台所>ブログで、「出身地鑑定!! 方言チャート」なるものが紹介されていた。

東京女子大学の女子大生グループが開発したプログラムで、”ものすごい的中率”で評判らしい。
試しに質問に答えていくと、結構迷ってしまうものが多い。
結局、「あなたの出身地は 沖縄県ですね!?」。
全然違うんだけど....。(沖縄には旅行にさえ言ったことがない)

今度は、あまり考えずにすぐに回答して行くと、質問が最初の時とはかなり変わり、質問数も多くなる。
結果は、「あなたの出身地は 京都府ですね!?」。
これも間違いなんだけど...。でも、地域的にはお隣なので、当たらずとも遠からず。ほぼ正解かな。

3回目にトライ。
迷ったものは、すべて「いいえ」と回答すると、ようやく出身地が正解。
でも、「ひざまづき」は微妙。イラストは正座姿勢に見えるのだけど、「ひざまづき」を使うときは、正座ではなくて腰を浮かした状態なので。
メシアン/ヴァイオリンとピアノのための《主題と変奏》、《幻想曲》
DGのメシアン全集BOX『Oliver Messiaen Complete Edition』が早速届いたので、ピアノソロ、室内楽曲、歌曲を少しずつ聴いている。
スリムでコンパクトなBOXセットは、真っ白な外装箱が綺麗。
CDの紙ケースはペラペラで薄いけれど、ブックレットは全部で400頁近くと大部。
ブックレットは、フランス語と英語表記なので、索引・トラックリスト・歌詞を除けば、英語の作品解説は実質的に110頁ほど。
作品解説の筆者は、メシアン、ロリオ、その他の研究者/評論家(らしき人)。
メシアンの解説は、その作品を発想したときの様子など、作者自身にしか語れないことが書かれていたりするので、一番興味を惹かれる。

Oliver Messiaen Complete EditionOliver Messiaen Complete Edition
(2013/06/06)
Various Artists

試聴ファイル(allmusic.com)
収録曲リスト(HMV)

メシアンの数少ない室内楽曲のなかで一番有名なのは、《世の終わりのための四重奏曲》。
第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜収容所で作曲・初演されたエピソードは有名。
その他に演奏機会が比較的多い曲のひとつらしいのが、ヴァイオリンとピアノのための《主題と変奏/Theme and Variation》と最近発見された《幻想曲/Fantaisie》。
いずれも1930年代初めに書かれたメシアン初期の作品。
メシアンは1932年にピアノ独奏曲《おどけた幻想曲(ファンタジー・ブルレスク)/Fantaisie burlesque》という曲も書いている。
BOXセットの収録音源の奏者は、《主題と変奏》がクレーメル&アルゲリッチ、《幻想曲》がホープ&ヴェルムーラン、《おどけた幻想曲》はムラロ。


《主題と変奏》(1932年)
メシアンが最初に結婚したヴァイオリニスト、クレール・デルボスへの結婚の贈り物。
作品解説によると、7+7+14小節で主題が提示され、第3旋法を使っているので、全音から半音へ交代しながら上昇する。どの曲も展開部がなく最初の4つの変奏は徐々にテンポが加速し装飾されていき、最後の第5・第6変奏でオクターブで跳躍して高揚する。

実際聴いてみると、主題は不安げな憂いを帯びて静謐。ミステリアスな雰囲気もする。
変奏に入ると、テンポが上がって、音が増えて(特にピアノ伴奏)、動きも多くなっていく。
(たぶん)第5・第6変奏に入ると、元のゆったりしたテンポに戻り、静寂さではあっても力強いタッチで主題を回想する。ピアノ伴奏のオクターブ(らしき)の和音が荘重感を出している。最後は、リタルダンドしながらフェードアウト。
主題もどの変奏も調性感があるのでとても聴きやすい。
もうこの初期作品からピアノパートがかなり凝っている。
時々、フランクやヤナーチェクの音楽に似たようなものを感じる。


Messiaen : Theme and Variation for Violin and Piano (Janine Jansen)
Violin : Janine Jansen,Piano : Itamar Golan(Live on May13,2011,Paris)



《幻想曲》(1933年)
デルボスと演奏することを念頭に作曲し、1935年にメシアンとデルボスがパリで初演。
なぜか楽譜が出版されたのが2007年。イヴォンヌ・ロリオが楽譜を発見したという。

《主題と変奏》よりも躍動的で、モチーフの旋律はどれも印象的。
ピアノ伴奏が《主題と変奏》よりもずっと凝っていて、音色・ソノリティも書法も多彩。
後年の作品を連想するようなメシアン独特の旋律や和声が出てくるけれど、全体的に調性感が強くロマンティックな叙情感もあるのでとても聴きやすい。
冒頭主題はいかにもメシアン風の、威圧的というか、力強く何かが押し寄せてくるような畏怖感を感じる主題。
続いて、まるでフランクのヴァイオリンソナタのような叙情的な旋律に変わる。
海の波がさざめくように煌く音色のピアノ伴奏がとても綺麗でファンタジック。
この2つのモチーフが何度か交代していきながら、展開していく。
展開部では、ピアノ伴奏がオーケストラ伴奏風にシンフォニックになるところがあり、まるでメシアンの管弦楽曲を聴いているような気がしてくる。
最後は、ヴィルトオーソ的に華やかなCodaでエンディング。

《幻想曲》は、濃密な情念を稀薄にしたフランクのヴァイオリンソナタのような曲に思えたけれど、時に民族色を稀薄にしたフランス風(?)ヤナーチェクのようにも聴こえる。
歌曲《ハラウィ》では、ピアノ伴奏がほとんど独奏的(歌曲とデュエットしているような)なのに比べると、《主題と変奏》も《幻想曲》も、ピアノパートは華やかで装飾的ではあっても伴奏らしく聴こえる。

Tedi Papavrami violon, Momo Kodama piano, Messiaen Fantaisie


《幻想曲》のライブ映像のピアニストは、日本のメシアン奏者として有名な児玉桃さん。
第2主題のピアノパートがとても美しいし、他の部分も力強くて、印象的。
私にしては、珍しくも”女性ピアニスト”でソロ演奏を聴いてみたいと思った人。
『impressions - ドビュッシー作品集』を試聴すると、ドビュッシーとしては、音やタッチに独特のものがあり、音色とソノリティがとっても魅力的。
表現も、パッセージごとに起伏が明瞭につき、個性的で主張がはっきりしているように感じる。
ドビュッシー録音は全集盤をいろいろ集めてきたけれど、これは久しぶり惹かれるものを感じるドビュッシー。
メシアンの《みどり児イエスに注ぐ20のまなざし》も試聴してみると、クリアでシャープなタッチとソノリティで、力強くも明晰さを感じるところが私の好みに合っているかも。
ドビュッシーもメシアンも、両方ともCDで聴いてみたくなってきた。


<参考情報>
作曲家オリヴィエ・メシアン生誕100年ウェブサイト[Sony Music Foundation]
メシアンのメモリアルイヤー2008年に制作された記念サイト。
メシアンのバイオグラフィ、人物像、作曲技法、主な作品(一部)の紹介。わかりやすくて、入門編としてはわりと詳しい。
『メシアンってどんな人?』は、「作曲家」「オルガニスト」「鳥類学者」「カトリック信者」「教育者」という側面から、簡潔に説明したもの。
一番興味があるのが、「鳥類学者」としてのメシアン。
メシアンが来日した時に訪れた軽井沢で、4日間で26種の鳥の歌を採譜し、帰国して作曲したのが《7つの俳諧》(1962)。序奏、「奈良公園と石灯籠」「山中湖-カデンツァ」「雅楽」「宮島と海中の鳥居」「軽井沢の鳥たち」、コーダの7曲で構成され、ウグイス、ホトトギス、キビタキ、オオルリ、アオジ、サンコウチョウ、クロツグミ、ヒバリ、ビンズイ、オオヨシキリなどが登場する..という曲なので、これはCDで聴いてみなければ。
「カトリック信者」の項は、もともと理解しがたい側面だけに、やっぱりよくわからない。
『メシアンの音楽世界』で解説されている「音階とその色彩」の解説が面白い。リズムの話も基礎知識があれば、曲を聴くときの参考になりそう。
『メシアンの言葉、そしてメシアンへのメッセージ』には、メシアン奏者のピエール=ローラン・エマール、児玉桃、原田節、それに、ヴァイオリニスト堀米ゆず子のメシアンを廻るインタビューが聴ける。(動画とテキストの両方あり)

「WorksⅠ」の作品リストは、ピアノ作品とその紹介文が1~2行程度と貧弱。
『代表作でみる、メシアン音楽のテーマ性』は、《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》と《トゥーランガリラ交響曲》のテーマ解説。
『メシアンゆかりの土地マップ』は、フランスとパリ、日本の地図に地名がいくつか載っている。それをクリックしたら解説が出るのかと思っていたら、タイトルどおり単なるマップだった。


Regards sur Olivier Messiaen オリヴィエ・メシアンに注ぐまなざし
外科医でアマチュア・ピアニストの方が個人的に運営されているメシアン情報サイト。
「メシアンの生涯」「年表」「作品のカタログ」「メシアンの音楽語法」「作品解説」「「二十のまなざし」の解析」「ディスコグラフィー」「参考文献」など、メシアンに関する詳細で膨大な情報が載っている。
メシアンのことを深く知りたい人には、とても役立つ情報源。


tag : メシアン 児玉桃

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『Olivier Messiaen Complete Edition』(オリヴィエ・メシアン・コンプリート・エディション)
作曲家の作品をまとめたボックスセットの類は、演奏者が好みと違う場合が多々あるし、分売盤を持っていて重複した音源も結構あるので、ほとんど買うことはないのだけれど、例外的にずっと気になっていたメシアン作品集『Olivier Messiaen Complete Edition』をとうとう購入。

Oliver Messiaen Complete EditionOliver Messiaen Complete Edition
(2013/06/06)
Various Artists

試聴ファイル(allmusic.com)


メシアン生誕100年のメモリアルイヤーを記念して、作品集BOXセットがいくつもリリースされたなかで、収録曲数が多かったのが、EMI盤とこのDG盤のBOXセット。
CD枚数は、EMI盤の『メシアン・エディション』は18枚、DG盤は価格が高いだけあって32枚組。
DG盤は<Complete Edition>という名の通り、収録曲は、ピアノ、オルガン、管弦楽、室内楽、オペラ、声楽まで、網羅されている。(収録曲リスト/HMV)
そのうち、オーケストラ&合唱用作品が10枚、ロジェ・ミュラロによるピアノ独奏曲が7枚、オリヴィエ・ラトリーによるオルガン作品が6枚、『アッシジの聖フランチェスコ』が4枚。残りが室内楽曲と歌曲。
メシアンの曲は、オペラを除いて、いろんなジャンルを曲を少しずつ聴いてきたので、このBOXでまとめて聴けるというのはとっても魅力的。

BOXセットに限らず、CDを選ぶときに一番ポイントになるのが、ピアニスト。
EMI盤は、ロリオ、エマールの録音が多い。
DG盤は、ピアノ独奏作品はロジェ・ムラロ、管弦楽曲のピアノ奏者には、ムラロやエマールが参加している。
もともとムラロが録音したメシアンのピアノ作品全集BOX(7枚組、DG盤)を買うつもりだった。
価格と収録曲数を考えれば、DG盤BOXならメシアン作品全てが32枚のCDに収録されているのでかなりのお買い得。
試聴すると、オルガン曲とオペラは、どうにも最後まで聴けそうにないのがわかったけれど、それ以外のジャンルの曲はほぼ大丈夫。
それに、随分昔、現代音楽は全く合わないと思って、早計にもミョンフンの《トゥランガリー ラ交響曲》とDG盤の《世の終わりの四重奏曲》、それにBIS盤の《Harawi/Poemes pour Mi》を処分してしまい、ちょうど買い直そうかと思っていたところ。
最後の32枚目のCDが、メシアンとロリオによる『アーメンの幻影』というのも魅力的。
この曲はオズボーンのhyperion盤を持っているけれど、メシアンの自作自演盤を聴けば、オズボーンとの解釈の違いがわかるはず。
最近楽譜が出版された《ヴァイオリンとピアノのための幻想曲》も収録されているし、CDが32枚もあれば、いろいろ楽しめそう。


tag : メシアン

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【製品情報】音楽専用イヤプロテクター
ITmediaのプレスリリース情報で見つけたのは、西華デジタルイメージ㈱から新発売の音楽専用イヤプロテクター(耳栓)。
日本初上陸 楽器パートや音楽カテゴリー別に設計された、 “クレシェンドのイヤープロテクター”(西華デジタルイメージ/プレスリリース)

西華デジタルイメージは、三菱グループの機械商社である西華産業㈱の100%出資子会社(らしい)。

CRESCENDOブランドのイヤープロテクターに関する製品紹介
製品の特長、メーカー紹介、音圧低減効果データ、使用アーティストとレビュー。
- 音楽の質を落とさず聴覚にダメージを与えないレベルまで安全に音圧(音量)を低減。
- 楽器のパートや音楽のジャンルに合せた、独自のフィルター搭載。それぞれの特性に応じて音圧低減。
- イヤープロテクター装着時でも、コミュニケーション可能。装着状態でも、警告音が聞き取れる。


このイヤプロテクターの製造元は、Dynamic Ear Company(DEC)社。
本社はオランダのデルフト市。デルフト工科大学に私設された企業なので、大学からスピンアウトしたベンチャーなのかもしれない。
Crescendo(Dynamic Ear Companyホームページ)


製品紹介では、「各種ライブやフェス、コンサートやイベントは勿論、バーやクラブ、スタジオにおいて、主催者はある一定以上の音量環境下では聴覚保護を目的とした対策を打つように法律で定められており、イヤープロテクターの装着を推奨しております。」と記載されている。
EUは携帯音楽プレーヤーによる難聴者の増加を懸念しているため、製品に対する法規制も強化されている。

携帯音楽プレーヤーに関するEU規制動向と音楽用イヤプロテクターに関する過去記事は以下の2件。
携帯音楽プレーヤーの難聴リスクとEUの規制動向(2012.06.17)

音楽家向けイヤプロテクターを装着しながら演奏する実例の一人が、英国人ピアニストのスティーブン・オズボーン。
耳栓をして演奏するピアニスト(2012.11.16)

イグ・ノーベル賞(医学賞)「心臓移植したマウスにおけるオペラ聴取の影響評価」
今年2013年のイグ・ノーベル賞の医学賞に選ばれたのは、日本人研究者グループによる「心臓移植したマウスにおける、オペラ聴取の影響評価」。

この研究論文ウェブ上で公開されており、論文タイトルは "Auditory stimulation of opera music induced prolongation of murine cardiac allograft survival and maintained generation of regulatory CD4+CD25+ cells,"。[Masateru Uchiyama, Xiangyuan Jin, Qi Zhang, Toshihito Hirai, Atsushi Amano, Hisashi Bashuda and Masanori Niimi, Journal of Cardiothoracic Surgery, vol. 7, no. 26, epub. March 23, 2012.]。(Pubmed抄録はこちら)
この英文論文は日本語では発表されていないらしく(検索したけれど見つからなかった)、Pubmedで英文論文の抄録・全文が見つかる。


論文を読むと、実験に使われたマウスは、全部で5グループに分割されている。
1)非治療群:音楽聴取なし。
2)治療群:4パターンの音楽聴取(オペラ、クラシック音楽、ニューエイジのいずれか)、または、単一周波数。心臓移植手術日から6日後までの合計7日間。
- オペラ:La Traviata by Giuseppe Verdi, Royal Opera House Covent Garden Chorus and Orchestra, conducted by Sir Georg Solti, 448 119-2; Decca, London, United Kingdom [UK], 1995
- クラシック音楽:The Ultimate All Mozart, Berlin Philharmonic, POCG-30044; Polydor, Tokyo, Japan, 1999
- ニューエイジ:Paint the Sky with Stars: The Best of Enya, Enya, WPCR-2345; Warner Music Japan, Tokyo, 1997
- 6種類の周波数のうち、1種類:100, 500, 1000, 5000, 10,000, or 20,000 Hz

3)対照群:心臓移植手術前の7日間に音楽聴取(事前治療)
- tympanic membrane perforationのあるマウス
- 心臓移植前の7日間に音楽聴取


この論文を読むと、周波数の帯域と種類がかなり違った音楽をマウスに聴かせている。
多数の歌手とオーケストラが参加するオペラは、周波数帯域が幅広く周波数の種類も多い。
その次に周波数が多様なのが(曲にもよるが)、音楽療法に良く使われるモーツァルトの管弦楽曲。
NEWAGEは、歌手が女性一人(バックコーラスはあり?)で楽器もそれほど多くは使っていないだろうし、単一周波数(100, 500, 1000, 5000, 10,000, or 20,000 Hz)になると、いわゆる雑音。
オペラの中でも、ベルディの《椿姫》を選んだのは、単に研究者の趣味の問題のような気がする。

この研究は、「心臓移植を受けた」マウスを使って、音楽聴取による免疫反応への影響を研究したもの。オペラを聴いたマウスが免疫反応が緩和されたため、他の音楽・ノイズ(単一周波数)を聴かせたマウスよりも、生存期間が長かった。
一般論として、マウスがオペラを聴くと病気がよくなるとか、長生きする可能性があるということでは、全然ないし、人間に対する効果は未知数。
心臓移植分野では、音楽療法に対しては論争があり、音楽療法の効果に対しては懐疑的な医師が多いらしい。
実際に心臓移植患者で臨床試験をするとしても、(日本国内の)患者数はそれほど多くはないだろうし、著しい効果が期待できるわけでもなさそうなので、人間の被験者で実験するのは難しいのかもしれない。

ストラヴィンスキー/カプリッチョ
ヤナーチェクの《カプリッチョ》を聴いていると、ストラヴィンスキーも《カプリッチョ》という曲を書いていたのを思い出した。
この曲は、レーゼルの協奏曲BOXに収録されていた。《ペトルーシュカによる3楽章》の録音とカップリングされていたので覚えていたけれど、しっかり聴いた覚えがない。

Igor Stravinsky: Capriccio per pianoforte e orchestra (1929)

Carlos Roque Alsina, pianoforte, Orchestre Philharmonique de France,Ernest Bour (1975.11)


3楽章形式。全てアタッカで途切れなく演奏される。
ヴィルトゥオーゾ向けのピアノ協奏曲らしく、ピアノパートの旋律は単音が多くてシンプルに聴こえるけれど、速いテンポでの同音連打、跳躍、スタッカート、変則的なリズムなど、かなり腕が疲れそう。

第1楽章 Presto
冒頭からちょっと騒然とした雰囲気で、ヤナーチェクの《カプリッチョ》と比べると、全体的にファンタジックな感じは稀薄。
逆に、いかにも「カプリッチョ」(気まぐれ、形式にとらわれない、快活で諧謔な曲、奇想曲)に相応しい、羽目を外したような自由さや、軽妙で奇想天外(?)な雰囲気漂うところが面白い。
特にピアノパートの目まぐるしく移り変わる旋律やリズムは、(私には)シニカルなところを薄くしたプロコフィエフ風だったり、ジャジーだったりする。
左手が打楽器的に力強いリズム感を刻むところは、オケの打楽器の一種のように聴こえる。
終盤はリタルダンドして、アタッカで第2楽章へ。

第2楽章 Andante rapsodic
密やかに忍び寄るような重たいテンポと暗い雰囲気の旋律で始まる。
ここは刑場へ向かう囚人のような足取りみたい。
やがて”rapsodic”らしい短調の悲愴感漂う曲想にかわり、スペイン風(?)のエキゾティックな感じがする。
ときどき軽妙な喜劇風の旋律が混在したりする。
ラプソディックな曲ではあるけれど、私にはなぜかパロディ的に聴こえたりする。

第3楽章 PrestoII. Allegro capriccioso ma tempo giusto
いかにも”capriccioso”風の終楽章。
まるでチャップリンの映画を思い出すような軽妙さが妙に可笑しい。


全体的に、ヤナーチェクの《カプリッチョ》より、旋律やリズムが明瞭でわかりやすい曲ではあるけれど、とらえどころのないところもかなりある。
部分的にはいろいろ面白いのだけれど、印象に残るかといえば、繰り返して聴く気にまではならない。
ヤナーチェクの《カプリッチョ》に限らず、ピアノ曲や室内楽曲を聴いても、総じてストラヴィンスキーよりヤナーチェクの作品が好きなので、どうやらストラヴィンスキーは私の好みとは違うらしい。

tag : ストラヴィンスキー

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坂田阿希子著 『おいしいフレンチトースト パンペルデュ』
パンペルデュ―おいしいフレンチトースト

食パンやフランスパンと卵が余っていると作りたくなるのがフレンチトースト。
フライパンで焼けばフレンチトーストになるし、数切れにカッティングしてオーブンで焼けばパンプディング。

フレンチトーストで思い出すのは、随分昔に大ヒットした映画『クレーマー・クレーマー』。
特にフレンチトーストを作るシーンは有名。
こんなに不味そうなフレンチトーストは、笑うのを通り越して、悲惨...。

Kramer vs Kramer French Toast



このレシピブックを読むと、簡単でワンパターンだったフレンチトーストでも、ちょっとした工夫でいろんなバリエーションが楽しめる。
”パンペルデュ”は、もともとフランス語で「だめになったパン」という意味。
時間がたってカチカチになった食パンやフランスパンでも、牛乳と卵を混ぜた液に浸して、「パンペルデュ」(英語で言うところのフレンチトースト)にすれば、とろとろ食感の美味しいお菓子パンやお食事パンに変身。

パンペルデュ―おいしいフレンチトーストパンペルデュ―おいしいフレンチトースト
(2010/12/10)
坂田 阿希子

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フレンチトーストというと、砂糖(または蜂蜜、メープロシロップ)がたっぷり振りかけられた甘~い(シュクレ)パンだと思っていたら、「サレ」という食事向きの甘くないフレンチトーストのレシピがたくさん載っている。
これを早速作ってみたら、しっかりチーズ味で、朝食にはぴったり。

使うパンは、食パン、フランスパンから、ブリオッシュまで、だいだいどんなパンでもOK。
パンの種類や厚みと、牛乳&卵の混合液の濃度や種類によって、浸す時間が違う。
食パン6枚切りのシュクレだと、20~30分くらいで混合液を吸収して、とろとろになる。

基本の「シュクレ」は、牛乳、卵、砂糖。
基本の「サレ」は、牛乳、卵、パルメザンチーズ、塩・こしょう。
フライパンでパターを溶かして、そこに、混合液をたっぷり吸ってとろとろになったパンを入れて、弱火でふっくらと焼き上げる。
(他のレシピだと、卵と牛乳の混合液を使うのではなく、牛乳にパンを浸してから、卵液に絡めるというのも見たことがある)

ほとんどのレシピは、基本の「サレ」か「シュクレ」のレシピを使ってでパンペルデュを焼くので、その上に載せるトッピングのバリエーションがたくさん載っている。
トッピングを変えただけではなく、基本の「サレ」「シュクレ」の材料の一部を変えたり、加えたりしている。
牛乳の全量または一部を果物ジュース(オレンジジュースなど)、紅茶(アールグレイ)、コーヒー、ココナッツミルク、ビールに代えたり、生クリームやチョコレートを加える、砂糖を黒糖に代える、etc.。
おなじみのフレンチトーストといえども、これならバリエーションが豊富。

朝食、昼食、おやつ、おつまみと4種類のパンペルデュに分けて、それぞれレシピが10件前後。
写真はシンプル。見開き2頁でレシピが1つ。
レシピによって、使っているパンや浸し液が違うので、浸す時間の目安が載っている。20分~1時間くらいのものが多い。
砂糖の量は私にはちょっと多いので、分量を減らすとほんのり甘くてちょうど良い。(蜂蜜やメープルシロップもかけないので)


1分で中まで浸透♪フレンチトースト♪ [レアレアチーズ/Cookpad]
クックパッドで見つけたフレンチトーストの大人気レシピ。
パンをフライパンで焼く直前に電子レンジで短時間加熱すると、牛乳・卵の混合液がしっかり浸透するという時短レシピ。つくれぽが5000件近くあるというのは凄い。



あまったパンで魔法のレシピ (ヨーロッパ発おばあちゃんの知恵)

amazonでたまたま見つけて面白そうだったレシピブックが『あまったパンで魔法のレシピ』。
パンペルデュのレシピは2つだけ。前菜、スープ、メインディッシュ、おかず、スイーツと、余ったパンをいろいろ方法でリメイクして美味しく食べるレシピ集。
目次を見ると、イタリア、フランス、ドイツ、スペインの家庭に代々伝わるレシピを掲載。
パンの使い方には、パターンがいくつかあり、そのままパンを使う(トルティーヤ、ブルスケッタ、ミニピザなど)、スープに混ぜる(ガスパチョなど)、具材にする(オニオングラタンスープ、ポトフ、グラタン、など)、代替材料に使う(キッシュ、チーズタルトなど)。

あまったパンで魔法のレシピ (ヨーロッパ発おばあちゃんの知恵)あまったパンで魔法のレシピ (ヨーロッパ発おばあちゃんの知恵)
(2013/01/19)
尾田 衣子

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実際に本書を読んでみると、期待していたほどには作りたくなるレシピが多くはなかった。
パンを小さく切ってから、オリーブオイルで野菜とかと一緒に炒める「ミガス」は、クルトンの応用編みたいな料理。(小さなキューブ状のパンをオリーブオイルを絡めてオーブンで焼けば(または揚げれば)クルトン。これが美味しくて、おやつ代わりにもなる)

デザートのチーズケーキとかは、パンで大体せずとも、小麦粉とか本来の材料を使えば良い気がする。
やっぱりパンの再利用方法なら、フレンチトースト、パンプディング、ラスク、クルトン、ピザあたりが、作りやすいし、パン自体が美味しく食べられる。
内容以前に気になったのが構成。料理レシピは、ほとんどが見開き2頁(写真、レシピ)で1つ。
この体裁のレシピブックは結構多くて、レシピ数が少ないのはよくあることだけれど、本書の場合は、レシピが載っているページの余白があまりに多い感じがする。(半分近くが余白かも)
ソコロフ ~ サン=サーンス/ピアノ協奏曲第2番、ショパン/ピアノ協奏曲第1番
サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番で、ハフ以外に良い演奏がないかと探していたら、グレゴリー・ソコロフの音源を発見。
1966年という随分若い頃の演奏だけれど、ソコロフの数少ないスタジオ録音で音質はとても良い。
ソコロフの若い頃の録音といえば、ショパンのピアノ協奏曲第1番はショパンらしくない(?)清楚な雰囲気が漂っている。
その10年前くらいに弾いたこのサン=サーンスのコンチェルトも素晴らしく良い。
後年のソコロフの演奏を彷彿させるように、やや遅めのテンポで、切れのよい精緻な打鍵、研ぎ澄まされた透明感のある美音、細部まで緻密でニュアンス豊富な表現で、方向性は違ってもハフのサン=サーンスと同じくらいに聴かせてくれる。

Grigory Sokolov - Saint-Saëns Piano Concerto No. 2
Conductor: Neeme Järvi、Piano: Grigory Sokolov (1967)


ソコロフは、ハフとは違って、全体的にテンポが遅めで、打鍵も強いので、まるで音で彫刻しているかのように感じる。
特に第1楽章は、研ぎ澄まされた音がとても美しく、音が水の滴のような瑞々しさを帯びて、ロマンティック。
細部まで緻密で微妙なニュアンスのある表現で、かえってテンポが遅い方が、この曲の良さを隅ずみまで味わえると思ってしまうくらい。
ソコロフのショパンのピアノ協奏曲第1番を思い出したくらいに、私にはソコロフ流のショパン風にも聴こえる。
ソコロフには華麗なロマンティシズムとドラマティックなスケール感があるので、さっぱりとした清々しい叙情感のハフと比べると、この楽章はソコロフの方に強く惹きつけられる。
第3楽章は、テンポがかなり遅く、打鍵も一音一音を刻み込むように強く重い。
速いテンポで、シャープで軽やかなタッチのハフの方が、Prestoらしい疾走感があって、とっても爽快。



若い頃のソコロフがスタジオ録音したショパンのピアノ協奏曲第1番は、コロムビアの国内盤で聴ける。
表現は細部まで緻密でルバートも多用して濃密なくらいなのに、ベタベタともたれるセンチメンタリズムを感じさせない。
逆に、ショパンらしくない清楚で可憐なスミレのように美しくて、この曲では一番好きな演奏。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ショパン:ピアノ協奏曲第1番
(2006/12/20)
ソコロフ(グリゴリー), ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロヴィツキ(ヴィトールド)、他

試聴ファイル


Grigory Sokolov - Chopin Piano Concerto No.1 Mvt.1 (Part 1)
Münchner Philharmoniker,Conductor: Witold Rowicki,Piano: Grigory Sokolov(1977)


Grigory Sokolov - Chopin Piano Concerto No.1 Mvt.1 (Part 2)


tag : サン=サーンス ショパン ソコロフ

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ブリジット・バレイ ~ ベルリオーズ/夏の夜
かなり以前に、たまたま新譜のレビューで”バレイの歌声が美しい”と書かれていたので、試聴もせずに(その頃は試聴ファイルがほとんどなかったので)購入したのが、ベルリオーズの歌曲集『夏の夜、カンタータ「エルミニ」』”。

メゾ・ソプラノのブリジット・バレイは、オッターの《夏の夜》ほどに声も歌いまわしも硬くなく、ベイカーのように粘着的なオペラ風でもなくて、私の好きなタイプの歌声。
ソプラノ歌手も好きなので、ヘンドリクスやノーマンも聴いてみたけれど、フランス人らしい軽やかで洒落た感じのバレイの歌が記憶にすっかり刷り込まれている。
オケはヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼ管。古楽オケなので、他の録音とは一風違って、まろやかで奥ゆかしい響きがする。

Nuits D'Ete HerminieNuits D'Ete Herminie
(2009/09/03)
Brigitte Balleys,rchestre des Champs-Elyses,Philippe Herreweghe

試聴ファイル


《ベルリオーズ 歌曲集「Nuits D'Ete/夏の夜」Op.7》
1.ヴィネラル /Villanelle "Quand viendra la saison nouvelle"
2.バラの幽霊/Le Spectre de la Rose"Soulve la paupire close"
3.入り江にて/Sur les lagunes"Ma belle amie est morte"
4.君なくて/Absence"Reviens, reviens, ma bien-aime !"
5.墓地にて/Au cimetière (clair de lune)
6.見知らぬ島/L'Ile Inconnue"Dites, la jeune belle !"

とても美しい第1曲は「Villanelle(ヴィネラル)」
「Villanelle」とは、特定の形式を持たない「田園詩」という意味らしい。
バレイが歌う伸びやかで開放感のある旋律が流麗でとても綺麗。
”Nous irons ecouter les merles”のフレーズがちょっと可愛らしい感じ。
ベルリオーズは華麗なオーケストレーションで有名ならしく、オケ伴奏が正確に刻むリズムとカラフルな色彩感も歌に劣らず印象的。ベルリオーズの管弦楽曲も聴きたくなってくる。
この曲は1度聴いただけで忘れることがなかった。

Brigitte Balleys: Les Nuits d'été (Villanelle) by Hector Berlioz

歌詞・解説[梅丘歌曲会館 詩と音楽]



「Le Spectre de la Rose/バラの幽霊」は、ゆったりとしたテンポで朗々と張りのあるバレイの歌声が綺麗。
ゴーティエの詩「バラの幽霊」というタイトルがちょっと洒落ている。
舞踏会の夜服に差していたバラが幽霊となって囁くの詩が面白い。
やや気だるい雰囲気を感じるのは、幽霊のモノローグのせい?

Brigitte Balleys: Nuits d'été (Le spectre de la rose) by Hector Berlioz

歌詞・解説[梅丘歌曲会館 詩と音楽]


終曲(第6曲)は、「L'Ile Inconnue/見知らぬ島」
ゴーティエ詩がとてもシンプルで、最後の一段の言葉が意味深げ。
長調のなかに短調が入り混じって、旅への不安と期待が交錯するような憂いも感じられるのが良いところ。

Brigitte Balleys: Nuits d'été (L'île inconnue) by Hector Berlioz

歌詞・解説[梅丘歌曲会館 詩と音楽]


伊熊よし子著 『クラシックはおいしい アーティスト・レシピ』
伊熊よし子さんの新刊『クラシックはおいしい アーティスト・レシピ』が本日発売。
伊熊さんのブログでも度々紹介されていたので、演奏家と料理レシピの組み合わせには興味深々。

クラシックはおいしい アーティスト・レシピクラシックはおいしい アーティスト・レシピ
(2013/09/13)
伊熊よし子

商品詳細を見る

ページ数は232頁でレシピ付きということもあってか、価格が2,520円と単行本としては結構高め。(専門家向けではない)普通のレシピブックは、100頁前後で1200円~1600円くらいのものが多い。)
レシピに加えて、エッセイも読めるし、料理写真はカラー(らしい)なので、頁数から考えても、売れにくいクラシック本としてはこのくらいの価格設定になるのは仕方がないのかも。

出版元の芸術新聞社のホームページに目次が掲載されている。

<目次>
ヨーヨー・マ(超絶技巧の酢豚)
小澤征爾(黄金ちらし寿司)
エフゲニー・キーシン(あっさり本格ボルシチ)
エサ=ペッカ・サロネン(究極のオイルサーディン)
マリア・ジョアン・ピリス(カボチャの極上プリン)
ホセ・カレーラス(哀愁のパエーリャ)
マリア・カラス(ナス大好き人間ムサカ)
マキシム・ヴェンゲーロフ(真ん丸ピロシキ)
ダン・タイ・ソン(おつまみ揚げ春巻きニョクマムだれ添え)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(美と味を突き詰めたビーフ・シュニッツェル)
ミッシャ・マイスキー(変幻自在のオイスターチャウダー
レイフ・オヴェ・アンスネス(涼風を呼ぶブロッコリー&カリフラワーのツナディップサラダ)
マレイ・ペライア(味わい深しミートボールシチュー)
アンネ=ゾフィー・ムター(容姿端麗、大人のハンバーグ)
コラム:アレクシス・ワイセンベルク/ワレリー・ゲルギエフ(大根のステーキ、牛肉のしぐれ煮添え)
内田光子(レンコンとカリフラワーの揚げポン酢)
アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ(濃厚な味わいパスタ・ボロネーゼ)
ヘルマン・プライ(圧巻のおいしさミートオムレツ)
ギドン・クレーメル(忍耐と熟成オニオングラタンスープ)
舘野泉(ロハスな炒り豆腐)
ルネ・フレミング(まろやかホワイトソースのマカロニグラタン)
マルタ・アルゲリッチ(元気が出る出るビーフシチュー)
アリシア・デ・ラローチャ(技ありゴマ豆腐)
ラン・ラン(だれからも愛される中華風肉団子黒酢風味)
小林研一郎(エネルギーの源、石焼きビビンバ丼)
ポール・メイエ(エレガント、ソバ粉のクレープ
コラム:コリン・デイヴィス/パーヴォ・ヤルヴィ(実だくさんのミネストローネ)
樫本大進(エネルギッシュ・カツ丼)
クリスティアン・ツィメルマン(揚げゴボウとカツオと豆腐の和風サラダ)
ジュゼッペ・シノーポリ(海&山の幸のぜいたくピッツァ)
サイモン・ラトル(ついつい手が出るスコーン)
プラシド・ドミンゴ(色とりどりのタパス)
エレーヌ・グリモー(白身魚のポワレ、ラタトゥイユ添え)
ズービン・メータ(ドライカレー&自家製福神漬け添え)
アルフレート・クラウス(イワシのベッカフィーコ〈包み揚げ〉)
フリードリヒ・グルダ(かろやかで繊細なアップルケーキ)
竹澤恭子(骨太な味わい、小アジの南蛮漬け)
コラム:ヘルベルト・ブロムシュテット
フランク・ペーター・ツィンマーマン(みんなに愛されるポテトコロッケ)
辻井伸行(具だくさんの満幅カニ玉)
ダニエル・ハーディング(暑い夏には、ゴマだれ風味の冷やし中華)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(全身に活力がみなぎるスープ・ドゥ・アイユ)
諏訪内晶子(美しきヴィシソワーズ)
ジェームス・ゴールウェイ(カブとキノコのあったかスープ・ジェノヴェーゼ風味)
リッカルド・シャイー(官能的なアンチョビピラフ)
ラファウ・ブレハッチ(やみつきシーザーサラダ&ポテトサラダ)
小川典子(伝統と革新がマッチした筑前煮)
レオン・フライシャー(癒されるキノコのリゾット)
エマニュエル・パユ(特製さつま汁)
アルバン・ベルク四重奏団(絶妙のハーモニー、坦々麺)
大野和士(底力は和食定番で、牛肉入り五目きんぴら)
コラム:イングリット・ヘブラー

好きなピアニストを中心に何人かの料理レシピをチェックすると、伊熊さんのホームページに以前から掲載されている「アーティストレシピ」とは、料理レシピが違うアーティストもいる。

フランク・ペーター・ツィンマーマン:幸福フォカッチャ ⇒ ポテトコロッケ
※手作りするなら、フォカッチャよりもポテトコロッケの方がずっとポピュラー。それに、ツィンマーマン=ドイツ=主食がじゃがいも..という連想もあるかも。

エレーヌ・グリモー:キッシュロレーヌ ⇒ 白身魚のポワレ ラタトゥイユ添え

クリスティアン・ツィメルマン:まるごとインゲンのダイナミックサラダ ⇒ 揚げゴボウとカツオと豆腐の和風サラダ(ホームページでは、アンデルジェフスキのレシピだった)
※インゲンサラダよりはゴボウと豆腐のサラダの方が美味しそう。

フリードリヒ・グルダ:アップルパイ ⇒ アップルケーキ
※パイよりはケーキの方が簡単で作りやすい。

ラファウ・ブレハッチ:シーザーサラダ ⇒ シーザーサラダ&ポテトサラダ
※シーザーサラダだけでは簡単すぎて物足りない。

同じ料理レシピだったのは、キーシン(ボルシチ)、ミケランジェリ(パスタ・ボロネーゼ)、フライシャー(きのこリゾット)、ペライア(ミートボールシチュー)など。

変更前・後の料理を見ていると、料理レシピの方を優先して、アーティストとレシピのカップリングを変えたようにも思えるし、以前とはアーティストと料理のイメージとが違っているためなのかもしれない。

この『クラシックはおいしい アーティストレシピ』は、レシピブック&エッセイという形式らしく、レシピブックやクラシック関係の本を収集する趣味のある私には、購買意欲をいたく刺激されてしまう。


<関連サイト>
「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」(伊熊よし子のブログ/2013.09.05 Thursday)
Artist Recipe(Yoshiko Ikumaホームページ)

ニュース:【新刊】「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」[KAJIMOTOホームページ]

<過去記事>
Artist Recipe(2012.12.10)
 


[2013.10.15 追記]
読了した感想。簡単なアーティストの紹介、過去のインタビューの内容、実際会ったときのエピソードなどが断片的に綴られている。
アーティスト1人につき見開き2頁、それも1/3のスペースはレシピに使われているので、盛り込む内容も量的に限られる。

アーティストに該当レシピをくっつけた理由はちょっと苦しい料理が多いかも...。
そう言われればそうかも、と思えないこともないけれど。
それはそれとして、あくまで料理レシピとして参考にするので、全然気にならない。
レシピと料理の写真は。各頁の下段1/3くらいが充てられている。
材料が縦書きで続けて記載されているので、わかりにくいし、作り方もやや見づらい。

ちょっと残念だったのは、写真があまり綺麗でないこと。
料理に影がかかっていたり、写真の明るさにばらつきがあったり。
プロの写真家が撮影していなかったのかも。
それに、木目のテーブルの上に、お皿がポンと載せられている感じ。料理ごとのお皿もあまり凝っていない。
おそらくプロのテーブルコーディネイターを使っていないのでは。
料理専門家のレシピブック本のような装丁(写真やレイアウト)を期待してはいけない。
この本を買う人は、料理レシピよりも、クラシック演奏家に興味がある人がほとんどだろうから、レシピの体裁に凝らなくても良いだろうし。

スティーヴン・ハフ ~ サン=サーンス/ピアノ協奏曲第2番
あまり人気があるとは思えないサン=サーンスのピアノ協奏曲のなかでも、有名なのは第2番、それに第5番「トルコ風」。
サン=サーンスの曲をいくつか聴くと、隠れた(?)メロディメーカーだと思うくらいに、旋律の美しさが印象的。
唯一の難点といえば、聴いている時はなんていい曲なんだろう!と思っていても、後になってみると、なかなか曲が思い出せないこと。
さすがに、第2番のコンチェルトは何度も聴いたので、しっかり記憶に定着。

このピアノ協奏曲第2番も、どの主題旋律も華麗でロマンティック。
珍しくも、第1楽章がAndante sostenutoと緩徐楽章になっている。そのわりには、深い憂愁が漂いつつも、とてもパッショネイト。
第2楽章は、Allegro scherzando。第1楽章とは曲想が一転して、ほんとにピクニック気分。拍子抜けするくらいに、明るく軽快で楽しそう。(両端楽章と比べると、ちょっと場違い(?)に感じるほど)
第3楽章Prestoは、フィナーレに相応しく、スピーディでダイナミック。
私は第2番と第4番が好きだけれど、この第2番は何度聴いても名曲だと思う。
どうしてあまり知られていないのかと考えると、演奏機会が少ないこと。
楽譜を見ながら聴いていると、ショパンのように譜面がごちゃごちゃと錯綜しているわけではなく、和音・アルペジオ・スケールとも、単音か音の少ない重音で、とてもシンプル。
幾何学的な美しさを感じるくらいに、すっきりとした音の配列なのだけど、これを速いテンポで一音一音明瞭にクリアな音で、タッチがきつくもバタバタすることもなく、さらりと滑らかに弾くのは、かなり難しそう。
ハフはかなり速いテンポで弾いているけれど、他のピアニストの演奏をいくつか聴くと、テンポが速いと音が団子状に聴こえたり、重音が連続していくと力んでタッチが荒っぽく音にデリカシーが無くなったり、とにかく譜面のシンプルなほどには、スラスラと弾けないみたい。

全集録音の昔からの定番は、パスカル・ロジェのDECCA盤。
比較的新しい録音では、スティーヴン・ハフのhyperion盤の評価がとてもよい。
技巧優れたハフだけあって、タッチも音の切れ良さも抜群、特に、第3楽章Prestoの速いテンポの疾走感は爽快。

ハフの録音では、全集録音と抜粋盤の2種類が出ている。
抜粋盤は、第2番、第4番、第5番の3曲。
全集コレクターでないなら、廉価盤の抜粋盤でも充分楽しめる。


Complete Works for Piano & OrchestraComplete Works for Piano & Orchestra
(2001/10/14)
Stephen Hough, City of Birmingham Symphony Orchestra,Sakari Oramo

試聴する(hyperion)


Piano Concertos Nos.2 4 & 5Piano Concertos Nos.2 4 & 5
(2011/04/04)
Stephen Hough, City of Birmingham Symphony Orchestra,Sakari Oramo

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tag : スティーヴン・ハフ

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帚木蓬生『閉鎖病棟』
『安楽病棟』の次に読んだのが、『閉鎖病棟』。
あらすじ紹介を読んだときは、病院内での殺人事件を軸にしたミステリーかと思っていたら、読んでみると全然違っていた。
『安楽病棟』と同じく、殺人事件が小説の軸ではなく、殺人事件に関わった人たちの生き方を淡々とした筆致で、共感を込めて描いたノンフィクションノヴェルのような話だった。
実際の殺人事件を題材にしたわけではないので、あくまでフィクションなのだけれど、登場人物の過去や病院内の生活の描写にかなりリアリティがあるので、ノンフィクション的に思えたのかもしれない。

構成や文体のスタイルは『安楽病棟』と似ている。
最初は、登場する主要人物の過去の話が順番に出てくる。
『安楽病棟』とは違うのは、看護士の眼を通して見た一人称ではなく、より客観的な三人称で語られていくところ。
その方が、登場人物の行動や内面描写が詳しく、人物造詣に深みが出て、私にはこの文体の方が読みやすいし、登場人物に共感しやすい。

閉鎖病棟 (新潮文庫)閉鎖病棟 (新潮文庫)
(1997/04/25)
帚木 蓬生

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『閉鎖病棟』というのは、精神病院特有の病棟。
精神病院というイメージに比べて、登場する患者たちの病院内での生活や言動に、それほど極端に病的なところが感じられない。
私には、『安楽病棟』に出てくる認知症患者の行動の方が風変わりに思えることもある。

ただし、登場する患者たちの過去は暗く思い。
精神的な病のために家族を殺してしまったり、家に放火したり、死刑執行が失敗して死に損なった死刑囚だったり。院内殺人に至る原因となった女子高生の話も痛々しい。
文体が描写的で淡々としているわりに、話の中身自体はかなり衝撃的。

『安楽病棟』の方は、介護者としての眼を通して書いているので、ワンクッションあるというか、フィルターをかけて読んでいるような感覚がある。
それに、介護士・看護士の苦労話とか、入院患者たちの奇矯な言動とかの話が、『閉鎖病棟』よりもずっと多いように思える。

両方に出てくるのは、患者たちが外でレクリエーションを楽しむ場面。
こういうシーンは、開放感があって、読んでいても楽しそうな情景が浮かんでくる。
『閉鎖病棟』の院内イベントで、患者たちが劇に出演する話は面白いのだけど、これは、出演した患者のクロさんが(後で)死んでしまう話の伏線になっている。
医師も登場するけれど(『安楽病棟』では安楽死を密かに実行している医師、『閉鎖病棟』で最後に登場する新任の女性医師)、患者達に比べると、存在感が薄い。

精神的に「異常な」患者たちに対して、チュウさんの「正常な」妹夫婦の金銭欲に憑りつかれた姿は見苦しい。
こういう親子兄弟の間の財産争いは世間でよくある話。一体どちらがモラリティが高いのか、道理があるのかは、読んでわかる通り。

『安楽病棟』の院内での安楽死事件と同じく、『閉鎖病棟』で院内殺人に至る話の流れは、いくぶん唐突な感じがしないでもない。
殺人事件後の話になると、チュウさんや秀丸さんは、それに、女子高生の島崎さんは、どうなるのだろうかと、気になってしまったくらいに、読ませるものがある。

最後は、過去に死に損なった場所である拘置所へと再び戻ってしまった秀丸さん。
それとは逆に、「閉鎖」された病棟から退院して、「開放」された自分の家で暮らす昭八さんとチュウさん。
それに、登校拒否状態から脱して看護学校に通い始めた島崎さんの話で締めくくられる。
秀丸さんが「重宗」を殺したことで、結果的に、チュウさんと島崎さんを救ったのだという結末になっている。

『安楽病棟』よりも『閉鎖病棟』の方が印象がはるかに強く、読んだ後にずっしりと重たく残るものがある。
第8回山本周五郎賞を受賞したのも納得できる内容の小説だった。


この小説は『いのちの海 Closed Ward』のタイトルで1999年に映画化されていた。
あらすじを読むと、ほぼ原作どおりの筋書き。
構成上、冒頭は殺人事件の裁判シーンで、そこから過去に遡って、院内の生活や殺人事件に絡む伏線などの話が展開するらしい。
私の知っている役者は少ないので、配役を見ても、ピンとこない人が多い。
「梶木秀丸」役の中村嘉葎雄は、キャラクター的にぴったりはまっているに違いない。
秀丸に殺されてしまう粗暴な「重宗」役は、安岡力也。これもぴったりかも。

tag : 帚木蓬生

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【新譜情報】スティーヴン・ハフ ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番
【最新記事:スティーヴン・ハフ ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番(2013.11.29)】

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hyperionのホームページでスティーブン・ハフの試聴ファイルを探していたところ、発見したハフの新譜情報は、ブラームスの《ピアノ協奏曲第1番&第2番》という豪華なカップリング。

ハフは、Virginレーベル時代、28歳の時にこの2曲を録音している。
第1番、(特に)第2番とも、私にはフラストレーションを覚える演奏だったので、hyperionで再録音してくれたのは、とっても嬉しい。

新譜の試聴ファイルもすでに公開されている。
第1番の第3楽章は、旧録よりもタッチが少しマイルドになっている気がする。
1961年生まれのハフは、今年52歳。28歳の若い頃のように、速いテンポとシャープなタッチで一気呵成に疾走するような弾き方はしなくなっているのかもしれない。
その分、表現がかなり直線的に感じた旧録音より、表現が丁寧になってソノリティも美しく、演奏自体はずっと良さそうな感じがする。
第3楽章は速いテンポで疾走感のある演奏の方が好きなのだけど、まあ最後まで聴いてみないことには、はっきりとはわからない。

第2番は、旧録では冒頭のテンポが遅くて、どんより、もっさり。
ここでガックリきてしまったし、その上、テンポもかなり揺らたり、タメが多かったりと、全然好きな演奏ではなかった。
新譜の試聴ファイルで冒頭の一部を聴いた限りでは、そういうことはなさそうなので、ひと安心。(でも、やっぱりテンポが遅くて、もたっとしている気がしないでも...)
第2楽章のスケルツォも、冒頭はわりと丁寧なタッチ。もう少しシャープな方が好きなのだけど、これも最後まで聴いてみないと何とも言えない。

試聴ファイルで一部を聴いた限り、第1番よりも第2番の方が良さそう。
少なくとも、第2番に関していえば、Virgin盤よりもこの再録音の方が、私の好みに合っているように思える。

12月発売予定のせいか、今(9/6現在)のところ、amazon、HMV、Towerrecordのオンラインショップでは、新譜情報が載っていない。
発売レーベルのhyperionのホームページには、録音データと試聴ファイルが掲載されている。

《Johannes Brahms :The Piano Concertos》(hyperion)
- Mozarteumorchester Salzburg, Mark Wigglesworth (conductor)
- 2013年1月録音。オーストリアのSalzburger Festspielhausにて。
- 2013年12月リリース予定。
- 録音時間は約98分。CD2枚組で、価格は1枚組と同じ。


こちらは、旧盤のVirgin盤。
Piano Concertos 1 & 2Piano Concertos 1 & 2
(1998/01/01)
Johannes Brahms、Sir Andrew Davis 他

試聴する(amazon.com)



演奏時間を比較すると、緩徐楽章が第1番・第2番とも、新譜の方が演奏時間が短い(テンポが速め)。
試聴ファイルの印象どおり、第1番の急速楽章は新譜の方がテンポが若干遅い。第2番は、第1楽章がテンポが速くなって演奏時間もかなり短くなっている。
旧盤:(No.1)22:27/14:19/11:56 (No.2)19:00/9:03/13:09/9:44
新譜:(No.1)22:53/13:28/12:41 (No.2)18:19/9:10/11:52/9:30



第1番第3楽章のライブ映像。かなり若い頃の演奏なので、新譜よりも旧盤の演奏に近い(はず)。
旧盤のスタジオ録音よりも、このライブ録音が好きだったので、昔はこればかり聴いていた。
Stephen Hough Plays Brahms First Piano Concerto Pt. 3
Budapest Festival Orchestra and Ivan Fischer




《ハフの来日公演情報》
珍しくも、ハフがとうとう来日する。(以前にいつ来日したのかわからない)
今年の年末近く、11月30日~12月1日に、N響の定期演奏会でデュトワの指揮により、リストの《ピアノ協奏曲第1番》を弾く予定。
ハフの公式ホームページで公演予定を確認すると、米国、台湾のコンサートツアーを行ってから来日。
東京では、N響とコンチェルトを演奏するのみ。リサイタルの予定がなかったのは残念。
詳細情報(N響ホームページ)

tag : ブラームス スティーヴン・ハフ

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帚木蓬生『安楽病棟』
古典となった文学作品や昔読んでいた作品を除いて、小説を読むことはほとんどなくなっているけれど、現役の精神科医で作家でもある帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)氏の小説を珍しくも読んでいる。
医学をテーマにしたものでは『安楽病棟』、『閉鎖病棟』。『臓器農場』という医学サスペンスもあるので、これも読もうかと。
著者は元々は東大仏文科出身。医学以外のテーマの小説も多く、日本からヒトラーへ防具が送られていた事実を素材にした小説『ヒトラーの防具』(旧題:総統の防具)などもある。

最初に読んだ『安楽病棟』は、病院での高齢者介護と認知症患者の安楽死がテーマ。
どうやらミステリー仕立てだったようだけれど、全然サスペンスタッチではないので、私はそうとは気づかず、ノンフィクションノベルみたいな感覚で読んでいた。

安楽病棟 (新潮文庫)安楽病棟 (新潮文庫)
(2001/09/28)
帚木 蓬生

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最初の数章は、主要登場人物が自身の人生を語る...というスタイル。
どの章も文体が似通っているので、同一人物なのか別人なのか、最初はわからなかった。(本書自体が、どの章も文体が似ていて、全体的にモノトーン的)
こういう話は、本書で読まなくても、似たような話はどこでも読めるので、あまり興味はなかったけれど、この独り語りは、後から描かれる高齢者の病棟生活の伏線にもなっている。

この最初のセクションで、私が一番印象に残った話は、(まだ元気だった頃に)妻が入院中、好きだった大判焼きを1個だけ買って行っては、食べさせていた...という「大判焼」の話。
この後に出てくる介護病棟の話のなかでは、その妻も亡くなり、自身が介護病棟に入院中、時たまおやつに大判焼が出てくる。1つの大判焼を、まず半分に割ってから、片方は自分の分、もう片方は亡くなった妻の分...と言って、食べていた。

次のセクションでは、認知症などで入院している高齢者病棟の看護士の視点から、病院での日常が綴られている。

病棟生活の部分は、多分にノンフィクション的。病院介護現場のことを知るにはとても参考になる。
訪問介護の方は、最近読んだ『無縁介護』(タイトルは、NHKの番組『無縁社会』をもじっている)というルポルタージュがリアル。独居高齢者の介護と孤独死の現実がよくわかる。

とても良いなあと思ったエピソードは、いわゆる”老いらくの恋”。
お互い伴侶に先立たれた高齢者同士の入院してたまたま出会ったのが縁でいろいろ身の上話をしていくうちに好意が芽生えてきて、結局、一緒に暮らすことになったというお話。

この『安楽病棟』で、最も驚きを覚えたのが、オランダの安楽死法とその実情を紹介した医師の講演録の章。
本の構成上、この話が挿入されているのには、唐突でトーンも異なり流れが不自然。この章だけが異質に思える。
でも、これがこの小説のテーマだったのだと、最後の方になってわかったので、これは重要な伏線だった。
この本は一応ミステリー仕立てなのらしいけれど、終盤になるまで全然気がつかなかった。
実際、ミステリーにしてはトーンが平板。終盤でようやく謎らしきものが現れてくるし、謎解きにしても、主人公の看護士が犯人を告発して、ようやく謎と犯人とが一緒に読者に明示されるという、(普通思い浮かべる)ミステリー小説とは言い難いところはある。
ノンフィクションノヴェルとでも思って読んだ方が自然に読める。

それにしても、いつの間にか、安楽死というのがこれほど積極的に実践されているとは、全然知らなかった。
オランダでは、認知症にも安楽死が適用された事例もある。
調べてみると、オランダ以外にも安楽死を法制化した国はいくつかあり、さらにスイスには外国人の自殺幇助を行う団体まで設立されている。

安楽死や自殺幇助が合法化された国々で起こっていること[WEBRONZA]
認知障害進んだ患者で初の安楽死、オランダ[AFPBB News,2011年11月10日]
「自殺幇助は合法」スイスの流儀~世界で最も進歩的な安楽死制度を支持し外国からの「自殺ツーリズム」も受け入れるスイス人の人権意識[ニューズウィーク日本版、2011年6月1日号]
「さまよう安楽死団体」[swissinfo.ch]


オランダの医療・介護・福祉制度に関する本はたくさん出ているけれど、タイトルがいささか衝撃的だったのは、後藤 猛『認知症の人が安楽死する国』。
内容は、オランダの医療・介護制度の解説が多く、内容もタイトルほどにはショッキングではない。
認知症の安楽死には、かなり厳しい条件が付されているので、実際の事例は極めて少ない。(認知症以外の安楽死のケースに関しては、稀というわけではない)
認知症の人が安楽死する国認知症の人が安楽死する国
(2012/10/25)
後藤 猛

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tag : 帚木蓬生

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フィルクスニー ~ ヤナーチェク/コンチェルティーノ、カプリッチョ「挑戦」
最近はよく演奏されるようになったヤナーチェクのピアノ作品。
私の持っているCDのなかでよく聴くのは、新しいものではアンデルジェフスキ(ライブ録音)、少し古いものだと若い頃のアンスネス、定番中の定番といえば、フィルクスニー。

ヤナーチェクのピアノ作品集として、一番収録曲が多いのは、フィルクスニー盤。
フィルクスニーは子供の頃からヤナーチェクに師事しており、子供のいないヤナーチェクと父親のいないフィルクスニーは親子のような関係でもあったという。
フィルクスニーの録音には、DG盤とRCA盤(廃盤。Newton Classics盤で再販)の2種類があり、録音年と収録曲がかなり違う。
DG盤は1971年録音で独奏曲と協奏作品を収録した2枚組。
独奏曲では、RCA盤には収録されていない《主題と変奏(ズデンカ変奏曲)/Tema con variazioni (Zdenka-Variations》と《思い出/Reminiscence (Vzpominka)》が入っているのが珍しい。
ピアノ協奏作品として、《コンチェルティーノ(ピアノと室内管弦楽のための)/Concertino For Piano And Chamber Orchestra》《Capriccio"Vzdor"/カプリッチョカプリッチョ「挑戦」》を収録。伴奏は、クーベリック指揮バイエルン放送響。

RCA盤は1989年録音で、ピアノ独奏曲のみ収録。《ズデンカ変奏曲》と《思い出》は入っていない。
長らく廃盤だったけれど、2011年にNewton Classicsから再販されている。

初めてヤナーチェクを聴いたのは、たしかアンスネスのDG盤。
映画『存在の耐えられない軽さ』を観たときに、劇中でヤナーチェクの曲が多数使われていた。
それがとても気に入ったので、サントラを買い、その後にアンスネスの録音を見つけて購入。
さらに、昔から定評のある録音が、ヤナーチェクの弟子だったフィルクスニーのものだと知り、RCA盤も購入した。
数年前に、フィルクスニーのDG盤が出ているのを知り、これには独奏曲とピアノ協奏曲でまだ聴いたことのない曲が収録されていた。

DG盤の2枚組。
Piano WorksPiano Works
(1998/1/19)
Rudolf Firkusny,Rafael Kubelk,Bavarian Radio Symphony Orchestra

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Newton Classics盤。廃盤になっているRCA盤のリイシュー盤。
Piano WorksPiano Works
(2011/12/21)
Rudolf Firkusny

試聴する(amazon.de)



《ズデンカ変奏曲》は1880年の初期の作品、《思い出》は1928年に書かれたヤナーチェクの最後の作品。
演奏時間が数分足らずの小品で、演奏されることは少ない。
どちらも叙情的ではあるけれど、《ズデンカ変奏曲》はシンプルでやや感傷的。(何度も聴くには曲が単調で飽きてくる)

Tema con Variazioni (Zdenka Variations) (1880)
Rudolf Firkušný, piano



最晩年の作品《思い出》は、やや不調和的な重層的な響きと、移り変わる色彩感が美しい。
タイトルが《思い出》というわりに、感傷的なところは稀薄。

Leoš Janáček - Reminiscence



ヤナーチェクのピアノ作品は、独奏曲と協奏曲とでは、随分趣きが違う。
独奏曲で有名な作品は、主に1900年代から1910年代前半に作曲されている。旋律・和声・叙情感とも美しい曲が多い。

それに対して、10~20年経った晩年に書かれた2つのピアノ協奏作品は、より現代的で感性的に乾いたような和声と、諧謔さと侘びしさの両方を帯びたような雰囲気がする。
両曲とも通常のオケとは違って、室内オケよりもさらに小規模で、楽器編成も変わっているので、音色も独特。



ピアノと室内管弦楽のためのコンチェルティーノ
1925年の作品。ピアノと室内アンサンブル(2台のヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、フレンチホルン、バスーン)で演奏する。
4楽章形式で、速度指定のみ。1.Moderato、2.Pi mosso、3. Con moto、4.Allegro。

英文Wikipediaの解説によれば、ピアニストのJan Heřmanの演奏にインスピレーションを受けたヤナーチェクが、Heřmanのために作曲したという。初版楽譜には、"To Jan Heřman"と記されている。
当初、ヤナーチェク最初のピアノ協奏曲という構想だったが、後に小規模な室内協奏曲に変更。"Spring"という曲名が最初は付けられていた。初演が成功し好評だったため、すぐにヨーロッパ中に広まったという。

冒頭のピアノソロの旋律からして、怪しげな雰囲気が漂い、それに加えてホルンなどの管楽器の音色が茫漠として、全体的に摩訶不思議な雰囲気が漂う。
(なぜか、”エイコーラ、エイコーラ”と連呼したロシア民謡(?)みたいな旋律に聴こえてくる)
旋律は、器楽的というよりは、声楽的というのか、人の話し声のように聴こえる。
ヤナーチェクはモラヴィア民謡の「話し言葉(の抑揚)」を研究し、それを作曲に活用していたので、代表作のオペラに限らず、晩年には器楽曲でも”話し言葉”的な要素が強いのかもしれない。
主題らしきものはあるのだけれど、旋律は歌謡的というよりは、物語的。
それに、劇伴音楽のように、音楽の背後に特定の情景描写が透けて見えてくるような気もする。
ピアノ協奏曲というよりは、ピアノと室内楽アンサンブルが、対話しながら融合していくような一体感もある。
無調ではないので、調性感は比較的安定しているとはいえ、現代曲のピアノ協奏曲のなかでは一風変わった曲だと思う。

Leoš Janáček - Concerto for Piano, 2 Violins, Viola, Clarinet, French Horn and Bassoon
Members of Czech Philharmonic Orchestra - Vaclav Neumann, Rudolf Firkusny - piano



カプリッチョ「挑戦」
1926年に完成。左手のピアノと吹奏楽アンサンブル(フルート、2台のトランペット、2台のトロンボーンとテナーチューバ)のための作品。
《コンチェルティーノ》と同じく4楽章形式。いずれも速度指定のみ。1.Allegro、2.Adagio、3.Allegretto、Andante。
ヤナーチェクと同時代人のストラヴィンスキーも、ピアノ協奏作品の《カプリッチョ》を書いている。(この曲はレーゼルが録音している)

左手のピアノ協奏作品はそれほど多くはない。右手を故障したピアニストのヴィトゲンシュタインが当時の著名な作曲家に委嘱して書かれた曲がほとんど。
英文Wikipediaの解説によると、この《カプリッチョ》も、右手を第1次大戦中に失ったピアニストのOtakar Hollmannのためにヤナーチェクが作曲したもの。
Hollmannと初めて会ったとき、ヤナーチェクは左手のピアノ作品を書くことに否定的だったという。その後、考えを改めて、左手のためのピアノ協奏曲を書いたが、Hollmannにも知らせず、初演に弾く権利も与えず。しかし、結局のところ、ヤナーチェクはHollmannに楽譜を送り、それを元に勉強したHollmannが、ブルーノのヤナーチェク宅でこの曲を弾きこなしたのに満足して、1928年3月にプラハで初演が行われた。ヤナーチェクは、Kamila Stösslováへの手紙の中で、この曲をよく"Vzdor" (Defiance)と呼んでいたという。

低音域のホルンなどの管楽器と、高音域のピアノの音色とが対照的。ピアノパートがくっきり浮かびあがる。
類似した音型を執拗に繰り返すオスティナートが、《コンチェルティーノ》よりもさらに強まっている。
全体的に旋律が断片的で、緩急・静動が頻繁に交代し、時おり叙情的な美しい旋律が挿入されたりと、主題と展開というような構造的な安定感が感じられず、様々な心象風景が次から次へと移り変わっていくような音楽。
音楽的なコラージュというか、つかみどころがなくて、やっぱり《コンチェルティーノ》と同じく、摩訶不思議な曲。
それでも、モチーフがコロコロと変容していくので、面白いことは面白くて、結構飽きずに最後まで聴けてしまう。この曲はもう少し聴きこんでみたくなる。
《コンチェルティーノ》と比べて、《カプリッチョ》の方がモチーフの変化が多彩で、どちらというと話し言葉的ではない器楽的なフレーズが多い気がする。
それに、断片的ではあるけれど美しい旋律も多くて、ファンタスティック。どちらか好きかといえば、《カプリッチョ》の方。


Leoš Janáček - Capriccio for Piano Left Hand and Wind Ensemble
Members of Czech Philharmonic Orchestra - Vaclav Neumann, Rudolf Firkusny - piano



<参考情報>
作曲家レオシュ・ヤナーチェクの生涯と芸術[Isato Aoki]
 ヤナーチェクの詳しい伝記が載っているホームページ。
 「17.同時代の音楽と」に、《コンチェルティーノ》と《カプリッチョ》の作曲経緯が書かれている。


<関連記事>
ミラン・クンデラ 『裏切られた遺言』より ~ ヤナーチェクについて(メモ)
ヤナーチェク/ピアノ曲集

tag : ヤナーチェク フィルスクニー

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食品中のトランス脂肪酸と飽和脂肪酸
消費者庁が”製品中に含まれるトランス脂肪酸含有量の表示を義務づける”という方針がかなり以前に出ていたけれど、それにしては、マーガリンやファットスプレッドのパッケージには今でも表示が全くない。
調べてみると、結局、表示の義務づけは諦めたらしく、業界・企業の情報公開にまかせることになっていた。

欧米からの輸入食材には、私が見たことのあるものに限って言えば、「脂肪」の栄養成分表示として、「Total Fat」(脂質)、「Trans Fat」(トランス脂肪酸)、「Saturated Fat」(飽和脂肪酸)の3つの含有量がパッケージに記載されている。
アジア諸国からの輸入食品にも同様に表示されているものもある。

消費者庁の資料によると、「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」の表示を義務づけている国(例)は、米国・カナダ・韓国・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイ・ブラジル・香港・台湾。
オーストラリア・ニュージーランドは「飽和脂肪酸」のみ義務付け。

日本の成分表示では、「エネルギー・炭水化物・たんぱく質・脂質・ナトリウム」が必須表示。
「脂質」は合計値の一括表示のみ。「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」の細目表示は任意。
店頭でいくつかマーガリン類の製品表示を確認すると、欄外に「飽和脂肪酸」の含有量が記載されている製品もある。

参考までに、日本では「炭水化物」に含まれる「糖質」「食物繊維」の2項目も任意表示。なかには「糖質」「食物繊維」を表示している製品もある。
輸入食材の場合は、「Total Carbohydrate」(炭水化物)、「Dietary Fiber」(食物繊維)、「Sugars」(糖類)の3種類が表示されている。
ただし、国ごとに成分表示の定義が違うらしく、日本の栄養表示基準で計算した含有量と海外のそれとが、完全に同一とは限らない。

<参考資料>
「栄養成分表示の規制に関する国際的動向」(『栄養成分及びトランス脂肪酸の表示規制をめぐる国際的な動向』(資料)[平成22年9月,消費者庁食品表示課]
「栄養成分表示をめぐる国際的な動向」[消費者庁]

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トランス脂肪酸の情報公開について
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【消費者庁のガイドライン】
「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針の概要」(消費者庁)
「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について」(平成23年2月21日、消費者庁)

【関連業界の対応】
パン業界
パン業界は、業界団体とメーカーとも、積極的に情報公開している。
ここまで公開するなら、製品パッケージにも表示すれば良いのに..と思う。(いちいちホームページで確認する人は少ないはず)

「トランス脂肪酸等に関する情報開示について」(日本パン工業会,平成23年6月27日)
「主なパン類のトランス脂肪酸、飽和脂肪酸、コレステロール等の含有量」(日本パン工業会)
「主要製品のトランス脂肪酸、飽和脂肪酸、コレステロール及び一般栄養成分の情報」(山崎製パン)
主な商品の栄養成分値(神戸屋)

マーガリン業界
トランス脂肪酸の含有量が高いことで随分以前から問題となっているのが、マーガリン・ファットスプレッド・ショートニング。
業界団体であるマーガリン工業会が、表示には全く積極的ではない。
雪印メグミルク社は、ホームページでトランス脂肪酸含有量を公開している。(後掲)

食品油業界
主な食用油のトランス脂肪酸の含有量(日清オイリオ)

流通業界
セブン-イレブン トランス脂肪酸の低減

外食産業
低トランス脂肪酸オイル(ミスタードーナツ)
- 低トランス脂肪酸オイルの使用により、ドーナツ1個当たり平均1~1.5g含まれていたトランス脂肪酸を、平均約0.25gまで低減。


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トランス脂肪酸と飽和脂肪酸
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トランス脂肪酸の減少と飽和脂肪酸の増加はトレードオフ?
どうなるトランス脂肪酸規制 今後は飽和脂肪酸の方が危ない
- メーカーなどがトランス 脂肪酸を含まない「パーム油」への切り替えを進めた結果、パーム油に多く含まれる飽和脂肪酸の含有量が増える傾向にある。
- 飽和脂肪酸を多く摂取すれば動脈硬化の原因になるとされる。

科学無視のトランス脂肪酸批判 思わぬ弊害が表面化 日本人への影響は?
- 食品安全委員会の調査結果では、トランス脂肪酸の含有量は、一般用も業務用も大きく低減されている代わり、飽和脂肪酸の含有量が急増。
- トランス脂肪酸削減のために、メーカーが原料・製法を変更すると、飽和脂肪酸の含有量が増えるという「トレードオフ」が起きるのではないかと以前から指摘されており、それが現実化している。


トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の概要
トランス脂肪酸ファクトシート(最終更新日:平成22 年12 月16 日)
飽和脂肪酸[簡単!栄養andカロリー計算]
- 血液中の中性脂肪やコレステロールを増やす。(動物性の食品を全く食べないのは問題で、コレステロールの不足の症状になる。)
- 血液の粘度を増す。
- 動脈硬化の原因になり、進むと、脳卒中、狭心症、心筋梗塞。
- 日本人は、肉や加工食品を多く摂るようになり、これ以上摂る必要はない。
- 多く含まれている食品:豚脂、牛脂、パーム油、バター等

バターの飽和脂肪酸含有量(表品100g当たり)
バター(無塩) 52.43g
バター 50.45 g


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食品中のトランス脂肪酸・飽和脂肪酸含有量データ
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食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量(農林水産省、2011年年3月9日)

食品に含まれるトランス脂肪酸の評価食品安全モニター会議 資料(2012.1.8)
我が国における食品中のトランス脂肪酸含有量の推移(p.9):全体としては減少。製品によるばらつきが大きい
我が国における食品中の飽和脂肪酸含有量の推移(p.10):全体としては増加。製品によるばらつきが大きい

新開発食品評価書:食品に含まれるトランス脂肪酸[食品安全委員会]
同一銘柄の製品の平成18年度および平成22 年度の測定結果を記載。(食品安全委員会による調査結果、13頁~17頁参照)
○トランス脂肪酸の含有量(100gあたり)
一般用マーガリンの平均値:5.28 g ⇒ 3.13 g (約41%減)
ファットスプレッドの平均値:2.48 g ⇒ 2.01 g (約19%減)
業務用マーガリン及びショートニングの平均値:1/10 以下に減少
ほとんどの試料で約1 g/100gを下回っているが、トランス脂肪酸含有量の低減されていない銘柄や含有量の高い銘柄も存在した。

○脂肪飽和酸の含有量
業務用マーガリンの平均値:29.9 g/100 g ⇒40.9 g/100 g(約1.4 倍に増加)
業務用ショートニングの平均値:23.9 g/100 g ⇒45.4 g/100 g(約1.9 倍に増加)

○測定結果表:表5 トランス脂肪酸、飽和脂肪酸測定結果(g/100 g)(参照4)(P.17)


主な加工油脂食品類のトランス脂肪酸、その他脂質成分含有量(雪印メグミルク、平成24年8月23日現在)
<商品10gあたりのトランス脂肪酸/飽和脂肪酸含有量>
  雪印ネオソフト    0.08g /2.4g
  雪印ネオソフトハーフ 0.3g /0.5g
  雪印ネオソフトべに花 0.5g /0.8g
  雪印リセッタソフト  0.3g /5.0g
  雪印ケーキ用マーガリン  0.06g /4.3g


<CO・OPマーガリン類、コーヒー用ポーションのトランス脂肪酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸含有量(100 g当たり)>(COOP)
<マーガリン>     (飽和脂肪酸/トランス脂肪酸)
コーンソフト100マーガリン: 14.3 g/13.2 g
コーンソフト100(遺伝子組換え原料不使用)マーガリン: 14.3 g/11.8 g
ケーキ用マーガリン : 33.4 g/3.0 g
べに花マーガリン : 20.2 g/1.6 g

<ファットスプレッド> (飽和脂肪酸/トランス脂肪酸)
コーンソフト(製造者:明治油脂): 22.6 g/0.8 g
コーンソフト(製造者:丸和油脂): 20.4 g/1.9 g
コーンソフトハーフ: 6.4 g/3.9 g
コーンソフト バターの風味: 24.6 g/0.7 g
NEWソフト: 18.5 g/0.4 g
べに花ソフト: 16.0 g /0

※COOP販売製品では、マーガリンよりもファットスプレッドの方がトランス脂肪酸含有量が少ない。トランス脂肪酸含有量が少ない製品は、逆に飽和脂肪酸含有量が多い傾向があるが、両方とも少ない製品もある。


(追記:マーガリンのトランス脂肪酸含有量の最新データ)
危険なトランス脂肪酸、含有量ワースト5のマーガリン![2015.07.11,Business Journal]

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トランス脂肪酸に関する情報サイト
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トランス脂肪酸に関する情報[農林水産省]
トランス脂肪酸について[食品安全委員会]
トランス脂肪酸に関する情報[消費者庁]

植物油100%が危ない!トランス脂肪酸
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

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