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ブラームス/哀悼の歌(Nanie)
ブラームスが親しかった画家に、アンゼルム・フォイエルバッハという人がいた。
ギリシャ彫刻風の優美で古典的な画風は、クリムトに似ている。


フォイエルバッハが亡くなった時、ブラームスが追悼曲として作曲したのが、シラーの詩に基づく《Nanie/哀悼の歌》Op.82。
哀悼歌(ネーニエ)(歌詞と作品解説)[梅丘歌曲会館詩と音楽]


ガーディナー&古楽オケの演奏。ブラームスにしては厚みが薄めの響きが軽やかで、女声の透明感のある歌声も綺麗。
最初はしみじみとした雰囲気で始めるけれど、徐々に力強さと明るさに変わり、なぜか幸福感に満ちているような気がしてくる。
友人との思い出や友情を回想しているのだろうかと思ったけれど、歌詞を読むと、悲愴な言葉が並んでいるわりには、神々しい輝きを感じるような格調高さ。
短調ではなく長調で書いたブラームスの曲が、不思議なくらいこの歌詞によく似合っている。


Brahms Nanie, Opus 82
Orchestre Revolutionairre et Romantique,The Monteverdi Choir
Conductor: John Eliot Gardiner


tag : ブラームス

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【新譜情報】スティーヴン・ハフ ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番
【最新記事:スティーヴン・ハフ ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番(2013.11.29)】

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スティーヴン・ハフの最新アルバム『ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、第2番』(hyperion)が、HMVとTowerrecordsのオンラインショップで予約受付中。
伴奏は、ウィッグルスワース指揮モーツァルテウム管。

hyperionのリリース予定日は12月。
国内のオンラインショップの発売予定日は、HMVが11/10、Towerrecordsが11/30。(HMVでそんなに早く買えるのかな?発売予定日が変更になることはよくあるし..)
amazonサイトでは、まだCD情報が掲載されていない。

※HMVの発売予定日が11/20に変更、Towerは11/21に変更して入荷済み。amazonは12/10発売予定で予約受付中。(11/21現在)

Brahms: The Piano ConcertosBrahms: The Piano Concertos
(2013/11/30(予定))
Stephen Hough,Mark Wigglesworth,Salzburg Mozarteum Orchestra

試聴ファイル(hyperion)


tag : ブラームス スティーヴン・ハフ

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武満徹/死んだ男の残したものは
今年の秋は、随分昔に聴いて挫折した武満徹の音楽をまた聴いたり、著作・対談集を読んだり。
武満作品独特の不協和音の不安げで濃密な響きは、秋や冬に聴いた方が身体にしっくりと馴染むような気がする。

かなり集めたCDはほとんど処分してしまったので、今度はYoutubeや音楽配信サイトで全曲聴いてから、聴けそうな曲が入ったCDを集めている。
なんとも便利な世の中になったおかげで、昔のように聴いたことのない曲のCDを買って後悔することがほとんどないのが嬉しい。

昔聴いた武満作品で一番とっつきやすかったのは、映画音楽を除けば、合唱曲。
中でも一番好きだったのが、《死んだ男の残したものは》。
昔この曲を聴いたがために、武満徹の曲をいろいろ聴くようになったし、今でも忘れた頃にまた聴きたくなる。

《死んだ男の残したものは》の歌詞は、谷川俊太郎の詩。これは原曲版。
無伴奏 混声合唱曲 死んだ男の残したものは



さすがに名曲だけあって、原曲以外に、いろんな人の手による編曲バージョンがある。

林光編曲の合唱曲は、無伴奏ではなく、ちょっと洒落たポップな感じがするピアノ伴奏。
原曲よりも、声部が重層的でシンフォニックに聴こえて、ずっとポジティブな雰囲気で力強い。
原曲は、当時の政治・社会状況と色濃く結びついているイメージがするので、今の時代には、林光の編曲版の方が私には聴きやすい。

武満徹 死んだ男の残したものは / 林光編曲版 東京混声合唱団


<参考映像>「死んだ男の残したものは」に関する林光のお話



ソロバージョンも多数。
私が好きなのは、ギター伴奏で歌った森山良子。
いくつか録音があり、一番好きなのはYoutubeで見つけたこのアニバーサリーバージョン。(CDが見つからなかった)
昔歌っていたフォークソング風ではなく、詩を朗読しているような語り口がしみじみと心に染み込んでくる。

死んだ男の残したものは 森山良子 My Memories -Ryoko Moriyama 25Th Anniversary-




いろんな楽器を使った伴奏で、ポップでちょっとレトロな雰囲気の石川セリの歌も、一風変わっていて面白い。

死んだ男が残したものは(谷川俊太郎 × 武満徹) - 石川セリ



翼 武満徹ポップ・ソングス翼 武満徹ポップ・ソングス
(1995/11/21)
石川セリ

試聴ファイル



<過去記事>
谷川俊太郎作詞・武満徹作曲/死んだ男の残したものは

tag : 武満徹

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ジーナ・バッカウアー ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
難曲の代名詞のようなブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》を録音している女性ピアニストは、意外に多い。
私が調べた限りでは、録音の古い順に、エリー・ナイ、モニク・ドゥ・ラ・ブリュショルリ、マイラ・ヘス、ジーナ・バッカウアー、セシル・ウーセ、アンネローゼ・シュミット、アリシア・デ・ラローチャ、エリザベート・レオンスカヤ、最新録音はエレーヌ・グリモー。
男性ピアニスト並みの技巧とパワーを持つアルゲリッチは、なぜか録音していない。(この曲は、アルゲリッチにはあまり似合わないような気がするし..)
個人的な印象としては、メカニックが安定しているのは、バッカウアーとウーセ。
バッカウアーの方が強靭でパワフルでスケール感があり、情緒表現はさっぱりして、演奏に甘さがない。
ウーセはバッカウアーよりも、ややフォルテの和音でタッチの切れが鈍くて重たい感じがするし、力感・量感で少し落ちる。緩徐部分はテンポが落ちて、ややベタっともたれた歌いまわしになる。
ブルショルリとレオンスカヤはパワフルでメカニックはかなり良いけれど、強奏部分のタッチに粗さを感じるし、レオンスカヤのルバートがかったような粘りのあるタッチとリズムがあまり好きではない。
ナイ、ヘス、ラローチャは、技術的にもともとかなり苦しい上に、ライブ録音なのでキズが多い。ラローチャは手の小さいので、和音が続くパッセージで、和音がアルペジオのようになったりスタッカート気味になったりして、変わった響きに聴こえるのが、私にはかなり気になる。
シュミットは、切れ良くシャープなタッチが冴えているが、線が細くて鋭角的なので、神経にひっかるような感じがする。(全曲聴いていないので、難所をどう弾いているのかわからない)
グリモーのブラームスは、もともとテンポが遅い上に、難所はさらにテンポが落ちてもたもた感があり、技巧的にはかなり聴きづらい。(その上、ソロと同様”女性”を感じるブラームスなので、残念ながら私の好みとは違っていた)

この中で一番気に好きなのは、バッカウアー。
バッカウアーは、ギリシャ出身のピアニストギリシャのイレーネ王女のピアノ教師をしていたこともある。
ステージ姿は女優のように華やかで美しく、パワフルでスケール感と風格のある演奏と相まって、”鍵盤の女王”とも言われていたらしい。
米国で開催されている「ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクール」は、クライバーンコンクールに次ぐ規模で、最近の優勝者では、ニコラ・アンゲリッシュがいる。

バッカウアーの十八番が、このブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》。
それだけあって、男性ピアニストと比べても遜色ないメカニック、力感・量感豊かな音、速いテンポで難所でもテンポがほとんど落ちず、技巧面ではストレスなく聴ける。
2種類の録音があり、いずれも原盤はマーキュリー。オケはロンドン響。
指揮者が異なり、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ロンドン響(1962年録音)とドラティ指揮ロンドン響(1967年録音)。ドラティにとっては、この曲での唯一の録音。
演奏時間や音質はかなり違う。楽章順の演奏時間は以下の通り。

 スクロヴァチェフスキ指揮盤(1962) 16:26/8:29/10:09/8:53
 ドラティ指揮盤(1967)       17:55/9:10/12:39/9:33


スクロヴァチェフスキ指揮盤(1962年)
スクロヴァチェフスキ盤は、『Mercury Living Presence』シリーズとしてリリースされており、1962年の録音にしては音質がとても良い。
カッチェンのDECCA盤も同じ頃の録音なので、聴き比べてみると、Mercury盤の音質の良さがよくわかる。
ヘッドフォンで聴いても、全く古ぼけた感じはせず、クリアで臨場感豊かな音質なので、ストレスなく聴ける。
バッカウアー全盛期の録音だけあって、全体的にドラティ盤よりもずっとテンポが速く、打鍵もリズムも切れ良く、力感・量感とも充分。
速いテンポで、ルバートも多用せず、力強いタッチで突き進んでいく演奏は、女性ピアニストが弾いているとは思えないくらい。
難所の和音が連続するフォルティッシモでも、女性ピアニストにありがちなバンバンと鍵盤を叩くことも、もたもたすることもない。
テンポを落とさず、タッチの切れ味もよく、技巧的な余裕を感じさせるほどに、スラスラと弾いている。
(ところどころミスタッチが残っているのは、LP化する時にほとんど編集していなかったせい?)

若い頃のポートレートを見ると、気品漂うかなりの美人。
外見はかなり細身で、パワーがあるようには見えないけれど、これだけ豊かな音量のフォルテを速いテンポの和音移動でも出せるのは、腕力が思いのほか強いのか、奏法によるものなのか、よくわからなかった。
でも、CDジャケットの写真をよく見ると、腕の筋肉の太さは尋常ではない...。上半身も結構ボリュームがあるし、あれだけ力強いブラームスが弾けるのも納得。

バッカウアーの演奏は、メカニックの良さだけではなく、一音一音明瞭な粒立ちの良いやや硬質のタッチで、刃物のような鋭い切れ味があり、和音が連続していても音が混濁せず。
ルバートを多用せずほぼインテンポで弾き、リズミカルで引き締まった演奏には強い推進力があり、淀むことがない。
ブラームス的なほの暗い陰影や重たさはあまり感じないけれど、力感豊かで決然とした演奏は男性的で爽快。
特に、第2楽章は、一気呵成に弾きこんでいき迫力十分。
緩徐部分や緩徐楽章でも、情感たっぷりのもたれた表現はせず、さっぱりとした叙情感は品良くて清々しい。(第3楽章の中盤部分は、テンポが速くてフォルテも力強すぎて、ちょっと騒々しくはあるけれど)
第4楽章も、切れ良いタッチとリズムで、快活明瞭。
こういうブラームスを弾く人は今では少ないのだろうけれど、これは私の好きなタイプのブラームス。

GINA BACHAUER, PIANO BRAHMS -- PIANO CONCERTO NO. 2 1962


ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 他ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 他
(2012/11/07)
バッカウアー(ジーナ)

試聴ファイル

カップリング曲は、ブラームスのパガニーニ変奏曲、リストのハンガリー狂詩曲第12番、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第9番。
タイプの異なる曲が多くて、これも面白い。好きなベートーヴェンの初期ソナタの第9番は、ブラームス演奏とは違った愛らしさがある。
(リーフレットに、”オリジナル・マスターテープからリマスタリングしているが、ピアノ協奏曲だけはマスターテープのコピーを使用”という旨の記載がある)


ドラティ指揮盤
1967年の再録音。残響がやや多くなり、音響的な重層感と流麗さが強くなった気がする。
加齢による技術的な問題のせいか、演奏解釈が多少変わったのか、指揮者の違いも影響しているのか、テンポが旧盤よりも遅くなっている。(それでも、かなり速い)
旧盤のような白熱感や一気呵成の迫力がやや薄くなった代わりに、タッチが明瞭で一音一音芯のしっかりした張りのある音と演奏には、揺ぎ無い堅牢さと強靭さがある。
難所では技巧的に多少落ちているような感じはしたけれど、全体的にはメカニックの安定感と豊かな力感・量感はほとんど変わらない。
緩徐部は、若干表現が柔らかくしっとりとした叙情感が強くなっている。
といっても、ロマン派のコンチェルトだからといって、ルパートを多用したり情緒的にもたれたりするようなことはなく、しなしなウェットな甘さがないところは、旧録と変わらず。
明晰で冗長さの全くない引き締まった演奏は、古典的な造形美さえ感じさせる。

第3楽章は、スクロヴァチェフスキ盤よりも2分半以上も長い。
特に旧盤と違うのは、曲半ばあたりでクレシェンドして盛り上がっていく部分。
それほどテンポを速めず、フォルテのタッチも穏やかで騒々しさもなく、じっくりと弾きこんでいるところ。
第3楽章は、この新盤の方が落ち着いた深い叙情感があって良い感じ。
全編通して、女性、それも60歳をすぎたピアニストが弾いているとは思えないスケール感があり、全く堂々としている。
スクロヴァチェフスキと録音した旧盤とはまた違った味わいがあり、どちらも聴けば聴くほど惚れ惚れするブラームス。

Gina Bachauer "Piano Concerto no. 2 " Brahms (1. Mov.)

※この音源は、CDやダウンロード販売の音源よりも、ややエコー過剰気味。


Brahms:Piano Conc.2 in BbBrahms:Piano Conc.2 in Bb
(1994/06/23)
Brahms & Straus

試聴ファイル(Allmusic.com)
(『Mercury Living Presence』の国内盤あり。輸入盤はChesky Records。両方とも廃盤かも?)


第2楽章のダウンロード音源(amazonMP3)
レビュー:バッカウアーとドラティによるブラームスのピアノ協奏曲第2番[鎌倉スイス日記]


バッカウアー,ジーナ[総合資料室/一世による歴史的ピアニスト紹介]


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女性ピアニストによる「ブラームス:ピアノ協奏曲第2番」の録音
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マイラ・ヘス( Myra Hess)
録音年:1951年(ライブ録音)
伴奏:ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団
CD:モーツァルト:「エクスルターテ・ユビラーテ」/ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(キングレコード)
Youtube:Myra Hess plays Brahms Piano Concerto No. 2 (1/6)

モニク・ドゥ・ラ・ブリュショルリ(Monique de la Bruchollerie)
録音年:1952年12月(モノラル録音)
伴奏:ロルフ・ラインハルト指揮シュトゥットガルト・プロ・ムジカ管弦楽団
CD:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(コロムビア)
Youtube:Bruchollerie ブルショルリ Brahms ブラームス Piano Concerto No.2.

エリー・ナイ(Elly Ney)
録音年:1955年3月3日(モノラル録音)
伴奏: フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
CD:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調(WEITBLICK)
Youtube:Elly Ney - Brahms: Piano concerto #2 complete 1955

セシル・ウーセ(Cécile Ousset)
録音年:1974年
伴奏: クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
CD:Brahms: Piano Concerto No. 2(Berlin Classics)
Youtube:Johannes Brahms - Piano Concerto No. 2 in B-flat major, Op. 83 - I. Allegro non troppo

アンネローゼ・シュミット(Annerose Schmidt)
録音年:1979年(デジタル)
伴奏:カール=ハインツ・シュレーター指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
CD:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(コロムビア)

アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha)
録音年:1981年6月7,8日(ライブ録音)
伴奏:オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・ドイツ響
CD:ピアノ協奏曲第2番OP.83(WEITBLICK)
Youtube:Alicia de Larrocha plays Brahms - Concerto No.2, Op.83 [live,1981]

エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja)
録音年:1994年
演奏:クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
CD:Piano Concerto 2(Teldec)
Youtube:1)Brahms piano conc. 2 in B flat major - 1st mvt. part 1 of 2 DRSO-K. Sanderlin/E. Leonskaja (DR Symfoniorkestret - Kurt Sanderling - 1997)
Youtube:2)Brahms: Piano concerto No.2 I.Allegro ma non troppo, Elisabeth Leonskaja, PART I. (Israel Philharmonic Orchestra,Paavo Järvi,Tel Aviv 2001)

エレーヌ・グリモー(Hélène Grimaud)
録音年:2013年(デジタル録音)
伴奏:アンドリス・ネルソンス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CD:Piano Concertos Nos. 1 & 2(DG)
Youtube:Hélène Grimaud: Brahms the Piano Concertos - EPK long

tag : ブラームス バッカウアー グリモー

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レヴィナス ~ ドビュッシー/喜びの島
<Le plaisir de la musique 音楽の歓び>のブログ記事”フランスの演奏家2人” で紹介されていたのが、作曲家でピアニストでもあるミカエル・レヴィナスの弾くドビュッシー。

レヴィナスの録音では、バッハの平均律曲集が有名。
私は試聴ファイルでしか聴いたことがないけれど、それだけでもはっきりとわかるくらいに、ペダルを多用した極めて個性的で”非正統派”的奏法のバッハ。
レヴィナスは作曲家でもあるだけあって、他の作曲家の作品であっても、独自の解釈・奏法と美学に貫かれている。
結果的に、その演奏は斬新というか、今まで聴いたことがないような音楽になったり、作曲家が意図していたものが聴こえてくるような気がしたりする。

ドビュッシーの「喜びの島」。
たっぷり使ったペダルで混濁しかけたような響きと、揺れ動くテンポとリズム感があって、ここでも独特の美学を感じさせる。
ドビュッシーがこの曲に篭めた「恋の喜びとエロスの充満」(青柳いずみこさんの解説)が、弾力的に伸縮するテンポと粘りのあるリズム、それに、濃密な響きのなかに感じとれる。
ペダルをたっぷり使った重層的な響きと、強弱の起伏の大きいダイナミックなフレージングの演奏から溢れ出てくるのは、”生命の躍動感”。

Debussy - Michaël Levinas (2000) - L'Île joyeuse



ドビュッシーの《前奏曲集第1巻》
Debussy - Michaël Levinas (2000) - Les Préludes Premier livre


レヴィナスのドビュッシーアルバムには、「喜びの島」、《映像第1集》、《前奏曲集第1巻》を収録。
Isle Joyeuse-Prelude/1er CahierIsle Joyeuse-Prelude/1er Cahier
(2009/03/31)
Michael Levinas

試聴する




以前試聴した時に興味を惹かれたのは、バッハの《平均律曲集》。
試聴ファイルを聴いただけでも、チャンバロ的なノンレガートの演奏とも、現代ピアノの響きを生かしたレガートな演奏とも、かなり違う。
現代ピアノによる演奏であっても、曲によってはこれだけペダルを深く長く入れた残響過多な演奏は珍しく、最初はかなりの違和感を感じる。
聴き続けていると不思議とその違和感が消えて、こういうバッハもありかも...と納得してしまう。

Bach J S: Well Tempered Klavier 1 & 2Bach J S: Well Tempered Klavier 1 & 2
(2003/10/14)
Michaël Levinas

試聴する



レヴィナスの自作自演と、自作以外のピアノ演奏を収録したBOXセット『ダブル・フェイス~作曲家・ピアニスト』
バッハの平均律にベートーヴェンのピアノ・ソナタ、リゲティのエチュードには惹かれるものが。
でも、レヴィナス作品自体は、私の苦手なタイプの現代音楽なので、トータルで考えると、まだこのBOXセットを買うまでにはならない。
ディアベリ変奏曲とドビュッシー録音が入っていれば買う気になるのだけど。

『ダブル・フェイス~作曲家・ピアニスト』 ミカエル・レヴィナス(11CD)『ダブル・フェイス~作曲家・ピアニスト』 ミカエル・レヴィナス(11CD)
(2011/04/18)
ピアノ作品集

商品詳細を見る

収録曲リスト(HMV)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻BWV.846-869
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ(月光、ワルトシュタイン、熱情、ハンマークラヴィーア、第32番)
シューマン:謝肉祭、交響的練習曲、蝶々
フォーレ:優しい歌、20のメロディ第2巻、夢のあとに
スクリャービン:練習曲Op.8
リゲティ:ピアノのための練習曲集
レヴィナス作品集

tag : ドビュッシー バッハ

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映画『武士の献立』
クックパッドのバナー広告で、たまたま目にとまった映画『武士の献立』。
映画の公式サイト

『武士の献立』予告篇


特報・予告編を観ると結構面白そう。
食生活や食の文化史といった歴史的な話はわりと好きなので、韓国の宮廷料理人のTVドラマ『チャングム』は、DVDを買って何度も観ていた。

『武士の献立』の公式サイトに載っているあらすじを読んだだけでも面白い。
何度か出てくる料理の腕前比べのシーン以外に、藩政改革をめぐる軋轢など、映画が単調にならないような話もいろいろ挿入されている。

舟木伝内・安信親子は実在の人物。
安信の妻であるヒロインの春は、架空の人物か、実際に妻ではあったが、設定を変えているのか、わからない。
料理人の家に生まれた春は、血筋のせいか、天性の料理上手。(そういえばチャングムの母も、優れた料理人だった)
勝気な性格と料理の腕の良さでしっかりものの春が、年下の料理ベタな夫を一人前の料理人にするべく、頑張るというストーリー。

キャストのなかで知っている役者さんは少ない。
西田敏行が加賀藩屈指の包丁侍・舟木伝内役、鹿賀丈志が藩の保守派で悪役の立場。

公式サイトに載っている武家の饗応料理の写真を見ると、御茶請、本膳、二の膳~七の膳、引菜料理、後御菓子と、お膳の数が滅法多い。
映画のなかで作られる料理の監修は、石川県の老舗料亭「大友楼」の16代目当主、大友佐俊さん。
創業天保元年(1830)の老舗で、代々加賀藩の料理方、御膳所としてつかえてきたという。伝統ある「加賀料理」を味わえる唯一の料亭。
ホームページに載っているお弁当・駅弁類は種類が多く、1000円前後と価格も手頃。(大友楼ホームページ

クックパッドとのコラボサイト:「映画「武士の献立」に学ぶ、ひと手間で驚くほど美味しくなる和食のコツ! 」


<関連書籍>
包丁侍 舟木伝内: 加賀百万石のお抱え料理人包丁侍 舟木伝内: 加賀百万石のお抱え料理人
(2013/10/11)
陶 智子、綿抜豊昭 他

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武士の献立 (小学館文庫)武士の献立 (小学館文庫)
(2013/11/06)
大石 直紀

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【新譜情報】 『スティーヴン・ハフ/5 Classics Albums』
スティーヴン・ハフが、Virginレーベル時代に録音したアルバムを集めたBOXセット(CD5枚組)が11月に発売予定。

5 Classic Albums5 Classic Albums
(2013/11/12)
Stephen Hough


10/18現在、HMV、Towerrecordのオンラインサイトで予約受付中。amazonでは未登録。
5枚組のBOXセットで、予約価格は1800円弱。
ポイントが付く場合は、実質的にはもっと安くなるので、とてもお買い得。
(私はモーツァルトとシューマン以外は分売盤で持っているので、買う予定なし)


<収録曲>
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番、第21番(1987年録音)
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(1989年録音)
リスト作品集:メフィスト・ワルツ第1番、タランテラ、スペイン狂詩曲、他(1987年録音)
シューマン:ダーヴィト同盟舞曲集、幻想曲、子供のためのアルバム(3曲抜粋)(1988年録音)
ブリテン作品集(1990年録音)

ブラームスは、第1番とカップリングした廉価盤が入手可能。

リストは、分売盤でも入手可能。
分売盤は2枚組(原盤)、1枚組(抜粋盤)の2種類ある。
このBOXセットに入っているのは、2枚組のDisc1の方かも?(収録曲リストが完全ではないので、確認できない)

ブリテンのCDはずっと以前に廃盤。今はブリテン作品集BOX(EMI盤)に収録されている。

モーツァルト・シューマンとも、分売盤が発売中。(私は両方とも未聴)


この中で素晴らしく良いのは、リストとブリテン。
ブラームスは個人的にはもう一つ。(hyperionの新譜が発売予定。そちらに期待)
特に、ブリテンのピアノ作品の録音は僅かなので、とても貴重な音源。
今年はブリテンイヤー。長らく廃盤だったハフの録音を再発売したのが、このBOXセットの一番良いところ。

ブリテン《ノットゥルノ》
Britten Night Piece(Notturno) (Stephen Hough)



ブリテン《休日の日記/Holiday Diary》より、第2番「航海/Sailing」、第4曲「夜/Night」
Britten Holiday Diary op 5 (Stephen Hough)




リスト《巡礼の年第2年》、補遺『ヴェネチアとナポリ』より、第3曲”タランテラ”
”タランテラ”というと、毒蜘蛛を思い出すので、不気味な雰囲気の曲かと想像していたら、洗練された華やかな舞曲風。
タイトルの”タランテラ”は、毒蜘蛛のことではなくて、南イタリアの民族舞踊。
有名な伝説があり、毒蜘蛛タランチュラにかまれた時、この舞踊を踊ると治るという。(これは全然知らなかった)
技巧的なパッセージが少し似ている有名な《メフィストワルツ》よりも、この曲の方が詩的な繊細さがあって、聴いていても楽しい。

Stephen Hough plays Liszt's Tarantella (Stephen Hough)
(Années de pèlerinage,Deuxième Année: Italie Supplément: Venezia e Napoli S.162)





<試聴ファイル(分売盤)>
リスト:Liszt Piano Works
ブリテン:Britten: Chamber & Instrumental Works(Disc 5)
ブラームス:Brahms - Piano Concertos 1&2
シューマン:Schumann Fantasy Davidsbndlertanze


<過去記事>
スティーヴン・ハフ~ブリテン/ピアノ作品集『Holiday Diary』

tag : ブリテン ブラームス フランツ・リスト スティーヴン・ハフ

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「ユダの福音書」(佐藤優『インテリジェンス人間論』より)
佐藤優『インテリジェンス人間論』の「ユダの福音書」の章は、キリスト教とは全く無縁の私でも、とても興味を惹かれる内容だった。

新約聖書がまとめられた経緯、そこでの「ユダの福音書」の位置づけ、「ユダの福音書」の要点、神学と一般信者との「ユダ」観の乖離、寛容・多元主義としてのキリスト教など、「ユダの福音書」を廻る話がいろんな角度から書かれている。(以下は、要点のメモ)

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)インテリジェンス人間論 (新潮文庫)
(2010/10/28)
佐藤 優

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(キリスト教における「ユダの福音書」の位置づけ)
筆者の見解では、キリスト教神学の世界では今世紀最大の発見。
その影響が実際に神学の世界に現れるのは、20~40年くらいの時間が必要。
新約聖書に含まれるのは27文書。
編纂当時には、他にも複数の文書が存在していたが、それらは除外され「偽典」とされてきた。この「ユダの福音書」もそれに含まれる。


(キリスト教における正統と異端の違い)
「正統」と「異端」の違いは、”使徒性”で、使徒に遡ること=確実なキリスト証言であるということ。
ところが、確実なキリスト証言であると確定することは、ほぼ不可能。
聖書学者が100年にわたって研究した結果、紀元前1世紀にイエスという人物がいたことも、いなかったことも、客観的には証明できないという結論になってしまった。
この結論により、多くの神学者が無心論者に転向した。(フォイエルバッハなど)
ただし、当時イエス・キリストを神の子であり救い主と確信した集団があったことは確か。
その教義を研究した神学者たちが、キリスト教神学を形成していった。


(キリスト教神学と信者のユダ観の乖離)
学術的神学と一般信者のキリスト教観の間には、簡単に埋まらない溝がある。
神学と信者の間ではユダの位置づけが大きく異なる。
ユダという言葉自体が忌み嫌われているが、神学の世界ではユダは単なる裏切者とはされていない。
神学者カール・バルトのユダ像は、「ユダの福音書」の内容と驚くほど整合性がある。
バルトは、ユダが使徒の一人であり、実は神によって特別に選ばれたものであると論じている。
ユダの裏切りによって、結果的にイエスが救い主だということが認識されるようになったのだから、ユダの裏切りは神の意志に適っていたと説いている。

「ユダの福音書」のユダ像も、最も誠実なイエスの友人であり弟子である。
官憲へイエスを引き渡すという大きな犠牲を求められたのがユダであり、しかもそれを要求したのがイエス自身。
イエスの一番弟子のペテロと他の弟子たちも、結局はイエスを裏切った。
つまり、ユダの裏切りは、12使徒=キリスト教徒全体を代表して行われたものということになる。


(グノーシス主義と正統派教会の教義の違い)
「ユダの福音書」はグノーシス主義の系統に属する。
グノーシス主義では、救済を得るためには、思索・瞑想が必要だという学識を重視する教義。
正統派教会は、洗礼と聖餐(キリストの肉であるパン、血であるワインを飲む儀式)という原理原則。(その方が布教しやすい)
キリスト教は知識に対する不信が大きいという基本的性格を持つ。


(一元主義と多元主義、寛容性)
キリスト教の主流であるカトリシズム、プロテスタンティズム、正教は、エイレナイオスの流れを引いている。
エイレナイオスの方法論は、キリスト教世界の中で敵と味方の線を引き、敵を殲滅することで問題の解決を図る。そのため、宗教戦争が絶えなかった。

「ユダの福音書」には、キリスト教は本来、ユダの裏切りさえ許容する寛容性を持ち、多様な価値観を受け入れる性格があること、一元主義が神の意志とは異なり、イエス・キリストが多元性と寛容を説いていたことを示している。



<参考情報(ナショナルジオグラフィック・ホームページ)>

「特集 ユダの福音書」[ナショナルジオグラフィック]
ニュース:1700年前のパピルス文書『ユダの福音書』を修復・公開、ユダに関する新説を提示
「ユダの福音書」の持つ意味[ナショナルジオグラフィック ニューJune 27, 2011]

『ユダの福音書イエスと”裏切り者”の密約』(DVD)
再現ドラマを交えたドキュメンタリー。紹介映像

ナショナル ジオグラフィック[DVD] ユダの福音書 (<DVD>)ナショナル ジオグラフィック[DVD] ユダの福音書 ()
(2006/07/05)
ナショナル ジオグラフィック

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『ユダの福音書を追え』
「ユダの福音書」を再現しようとする学者たちと、その解釈に関するノンフィクション。今、ちょうど読んでいるところ。

ユダの福音書を追えユダの福音書を追え
(2006/04/29)
ハーバート・クロスニー

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『原典 ユダの福音書』
原典 ユダの福音書原典 ユダの福音書
(2006/06/02)
ロドルフ・カッセル、 他

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tag : 佐藤優 伝記・評論

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
レシピブック 『糖質制限の健康おつまみ』
江部康二医師&検見崎聡美さんによる前著『糖質制限の「主食もどき」』レシピに続いて、今回はおつまみレシピ集。
おつまみレシピは、”もどき”的料理を意識しなくても良いものが多いので、単に糖質の低い食材を使ったレシピが結構多い。

代用食材を使う場合は、「ポテトサラダ」には”おから”、「焼きうどん」には”大根”、「スパゲティ」には”しらたき”、ラザニア・春巻きには”湯葉”、フライ・揚げ物の衣には”高野豆腐の粉”など。
『糖質制限の「主食もどき」』よりも、代用食品の使い方にいろいろ工夫があるのが良いところ。

特に、高野豆腐の粉を使ったレシピが多いのが特徴。
大豆粉やアーモンド粉に比べて、入手しやすく価格も安いので、使いやすい。
おからパウダーでも代用できそうな気はするけれど、店頭ではあまりみかけない。
高野豆腐なら、普通のお店ならどこでも置いているし、必要な量だけ自分で摩り下ろせば良いので便利。

糖質制限の健康おつまみ糖質制限の健康おつまみ
(2013/08/02)
江部 康二、検見崎 聡美 他

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第1章 とりあえずの簡単おつまみ
代用食材としては、クラッカーやパンの代わりに、ズッキーニ、大根、蕪を使ったカナッペ。

第2章 居酒屋おつまみ
コロッケ:じゃがいも⇒おから、衣のパン粉⇒高野豆腐粉
から揚げ・フライ:衣のパン粉⇒高野豆腐粉
ポテトサラダ:じゃがいも⇒おから(マヨネーズで和える)。
※春頃からおからパウダーを定期的に購入したので、おからサラダを毎日食べている。おからとはわからないくらい美味しい。

スパゲティサラダ、スパゲティナポリタン:スパゲティ⇒しらたき
えびの春巻き:春巻きの皮⇒湯葉 ※湯葉を使うので高コスト。
たこ焼き:小麦粉⇒高野豆腐粉
ピザ、タコス:小麦粉生地⇒ピザ用チーズ
焼きうどん:うどん⇒大根

第3章 肉と魚のおつまみ
特に代用食品を使わずとも、一般的なレシピ通りに作っても、糖質制限メニューになる。

第4章 小皿おつまみ
チップス:根菜チップスのかわりに、湯葉、こんにゃく、チーズのチップス。
※こんにゃくチップスは冷凍こんにゃくを使う。どんな味がするんだろうか...。意外と美味しいかも。

もっちりチーズパン:小麦粉⇒アーモンド粉&グルテン粉
※かなり高コストだけれど、買うよりは安いはず。

ふわふわ揚げパン:小麦粉⇒高野豆腐粉
※カロリーが高そう。おから蒸しパンの方がヘルシーで簡単。
※ふわふわ揚げパンにチョコレートソースをかければ、デザートの「プロフィトロール」。

ラザニア:小麦粉のラザニア生地⇒湯葉
※しっかり水切りした豆腐をスライスしても良いかも。

アランチーニ:ライスコロッケもどき。ご飯⇒しらたき。衣は高野豆腐粉。
シーザーサラダ:高野豆腐のクルトン。
生春巻き:春巻き生地⇒サニーレタス ※太く切った大根を湯葉みたいに薄切りすれば代用できるかも?

第5章 締めのご飯と麺
のり巻き:ご飯⇒しらたき。ゼラチンで固める。
焼きおにぎり:ご飯⇒しらたき。高野豆腐粉&チーズで固める。
※両方とも、味は美味しいのかな?jこれは、自分で一度作って試してみないと..。
麺類の代用には、大根、しらたきを使用。

第6章 別腹スイーツ
トマトのフローズンヨーグルト
※卵、生クリーム不要のヘルシーアイス。トマト以外でも作れそう。

ティラミス:スポンジケーキ⇒高野豆腐
※スポンジケーキを作る手間が省けて簡単。


<高野豆腐粉について>
本書で使われている高野豆腐の粉は、市販の固形高野豆腐をすり下ろして粉状にしたもの。
もともと信州では、こうや豆腐の粉末製品である「粉豆腐」が常食されているという。
お肉や小麦粉、卵の代用品として使った粉豆腐料理は、ハンバーグ、炒り豆腐、だし巻き卵など。

(粉豆腐のレシピ集)
粉豆腐[旭松食品ホームページ/こうや豆腐の基本]

粉どうふで! - こうや豆腐レシピ[登喜和冷凍食品]
キーマカレー、お豆腐パンケーキ、お豆腐ブラウニー、もっちりコロコロドーナツ、玉子焼き、ハンバーグ、肉だんごのレシピ。

粉末高野豆腐:レシピ一覧[Cookpad]
クックパッドを「粉末 高野豆腐」で検索したレシピ一覧。
おかずだけでなく、パンやケーキ、クッキーなどお菓子レシピも多い。(高野豆腐をそのまま使うレシピも入っているので、ノイズ多し)



<関連情報>

『糖質制限の「主食もどき」レシピ』
糖質制限の「主食もどき」レシピ糖質制限の「主食もどき」レシピ
(2013/01/25)
江部 康二、検見崎 聡美 他

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過去記事:ローカーボ・レシピ情報
佐藤優『インテリジェンス人間論』
最近、佐藤優の『獄中記』を読んで、彼の読書論やバックボーンとなっている思想信条にかなり興味を持ったので、多数の著作のなかから数冊を選んで読書中。
有名な『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』と『自壊する帝国』は、すでに単行本発刊時に購入してすぐ読み終えた。
両方とも自身の体験を綴った刺激的で面白い本だったけれど、その後に読んだ本が全然なかった。

久しぶりに読んだのは『獄中記』(岩波書店)。
獄中の環境・生活状況など、日常的な話は(幸いにして)縁遠いものなので、興味深々。(『獄中記』はそのうち読書記録を記事として残しておく予定)

『獄中記』の次に、読んだのが『インテリジェンス人間論』。
”インテリジェンス”とは直接関係ない人物の章も多いような気がしないでもないけれど、もともとインテリジェンスの話には興味がないので(スパイものの小説とノンフィクションは好きだけど)、歴史的人物やキリスト教関係の話の方がはるかに面白かった。

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)インテリジェンス人間論 (新潮文庫)
(2010/10/28)
佐藤 優

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<目次>(新潮社ホームページ)

取り上げている人物は、前半は主に著者が外務省時代に関わった政治家(鈴木宗男、橋本龍太郎、小渕恵三など)や、ロシア関係の政治家たち。
他の著作でも登場する人たちが多く、新鮮味があまりないし、体験談や裏話的なものが多いので、あまり好きなスタイルではない。

目次を読んで興味を持ったし、実際読んで面白かったのは、著者と知己ではないが、伝記や著作からその人物像を読み解いていく章。
「スパイ・ゾルゲ「愛のかたち」」は、本書でも引用されている『ゾルゲ 引裂かれたスパイ』を読んだことがあり、それに比べるとそれほど詳しいものではないけれど、ゾルゲの女性観と律儀な一面が垣間見える。

「「異能の論客」蓑田胸喜の生涯」は、立花隆が『東大と天皇』で取り上げていた。
蓑田胸喜の言説と当時の状況に関しては、そちらの方が詳しい。

意外にも面白かったのが、「不良少年『イエス・キリスト』」「二十一世紀最大の発見「ユダの福音書」」
「不良少年『イエス・キリスト』」は、謎の多いイエスの少年時代に関する福音書に関する話。
終末遅延により、現世の終わりがなかなかやって来ない。記憶が薄れないうちに、イエス・キリストについて文書を残しておかないといけないと、古代のキリスト教徒たちが新誓約書というものをまとめ上げた。
イエス誕生時の記録は詳細に残っているが、12歳のイエスを両親がエルサレムの神殿に連れて行く時までの記録がない。
新約聖書の編纂時に却下された文書のうち、「トマスによるイエスの幼児物語」は2世紀終わりに書かれたとされる。
大衆的読物であると同時に、宗教的宣伝の書であるため、まず第一に、少年イエスの神的超能力と異常な知恵を出来うる限り誇張して述べようとする。
イエスの神性を強調しすぎて、超能力者にしてしまったことが問題点。
イエスは自分の超能力で、ちょっとしたことに腹を立てて近所の子供を殺したり、イエスを非難する大人を失明させたり、父親のヨゼフを脅したり。
その後、善行を施して人々に感謝されるが、そもそも自分が危害を与えた人たちを原状回復しただけのこと。
この「幼児物語」は偽典と定まっている。
佐藤氏は、イエスが不良少年であったという印象が拭い去れない。
新約聖書でも、神殿の境内でお店を出していた人々を追い出したり、酒とメシが大好きだったり(大食漢の大酒のみと言われた)。

本書のなかで、最もスリリングな話が「ユダの福音書」
「ユダの裏切りはキリストの命令だった」ことが記されているパピルス「ユダの福音書」が解読されたが、これは今までのユダ像が大転換してしまうくらい(天動説から地動説くらい?)の大発見らしい。
弟子たち全てが、形は違えどイエスを裏切っていたので、ユダは裏切り行為を代表して行ったに過ぎない。それもイエスの命によって。
これが定説になると、「イエス・キリストを裏切った」悪役ユダは消滅し、その代わりに、人は自分の内なる悪と向き合わなければならなくなるという。
神学の世界でこの発見が定説化するには数十年かかるらしく、さらに、一般の人たちの固定観念を変えるには、もっと時間がかかるのだろう。
(「ユダの福音書」の話がとても面白かったので、読書記録を記事にする予定)

聖書などキリスト経典類はほとんど読んだことがないので、「ユダ」と言えば、すぐに思い出すのは、太宰治の『駆込み訴え』。
イエスへの愛憎が交錯する心中の葛藤が一気に書き下され、異様な緊迫感とリアリティを持っている。
口述筆記した美知子夫人曰く、「全文、蚕が糸を吐くように口述し、淀みもなく、言い直しもなかった」 という・
 『駆込み訴え』(青空文庫)



最後の章は「ティリッヒ神学とアドルノ」
アドルノは大学時代に社会哲学を勉強していたことから、彼の著作を数冊読んでいた。(難解な本が多くて、理解できたとは言えないけれど)。
師のティリッヒは、アドルノの才能を早くから見抜いていたが、博士論文を読んで言った言葉が「私は一言もわからないが、この論文はすばらしい」。
神学の世界で、自らの知の枠組みと異なる言説を評価する場合、よく使う表現形態だという。
ティリッヒは正確にアドルノの言わんとしていうところを理解していたが、必ずしも同意はしなかった。
この言葉は、自分の思考的枠組みとは違っていても、学問的に正当な評価をしようという学者の良心のあらわれなのだろう。

後半部分は、キリスト教神学の著名な神学者パウル・ティリッヒ、カール・バルト、フリードリヒ・シュライエルマッハー、それに、ヨセフ・ルクル・フロマートカの話になり、各人の神学論の違いがわかる。
キリスト教にも神学自体には全く縁がないけれど、”思想史”としての神学の変遷を知るにはわかりやすい章。

時々挿入される同志社大学神学部時代の恩師の話も面白い。
パウル・ティリッヒは、20世紀プロテスタント神学を代表する「知の巨人」。
同志社大学時代の恩師、緒方純雄教授が言うには、
「バルトは神学は『最も美しいビッセンシャフト(学問=体系知)』といった「美しい」という形容詞が危険に思えた。バルトの弁証法を身につければ、世の中の全てのことが説明できるようになる。ここに自己絶対化の誘惑が潜んでいる。」
「ロマン主義をきちんと押さえておかなければ、現代神学はわかりません。ロマン主義的情熱が、結果としてヨーロッパを戦争と破滅に導いたこと、その後の、ニヒリズムの試練を経て、バルト神学が誕生したこと、この過程を性格に理解しなくてはなりません。そのシュライエルマッヘルに遡及しなくてはならないのです。初めからバルト神学で出発すると哲学を軽視して、独断論になってしまう。」

佐藤氏は、歴史や自然に肯定的価値を一切認めないカール・バルトよりも、歴史と地政学に制約された状況の中でイエス・キリストの真実を生全体で証するというフロマートカの「受肉の神学」に惹き付けられ、その引力圏から抜け出すことが未だにできていないという。
外務省時代に、フロマートカ門下の神学者や反体制派哲学者とチェコで議論したときに、もっとも波長が合ったのが、プロテスタント神学校のミラン・オボチェンスキー教授。
教授によれば、「ティリッヒだけでなく欧米アカデミズムの左翼神学者は、現実の具体的政治問題にかかわっていない。だから過ちを犯すこともないし、つまづくこともない。」
「1930年代初頭、ドイツでティリッヒがナチスに”否(ナイン)”を唱えたとき、その言葉には命があった。戦後、アメリカの安全圏から聞こえてくるティリッヒの言葉には、命がなかった。従って、僕たちの心を打たなかった。」
神は神学研究室での真摯な思索からではなく、この世の汚れた現実の中で見出されるということを、フロマートカとその門下の神学者たちから、著者が学んだという。
佐藤氏がキリスト教神学の解説書を書くことがいつかあったなら、読んでみたくなる。


(参考情報)
『聖書を読む』- 中村うさぎ・佐藤優が語り尽くす聖書のディープな世界[CREAおすすめ書籍]
かの有名な浪費家(?)の中村うさぎがキリスト教徒だとは、ついぞ知らなかった。佐藤氏とは同じ同志社大学出身だけど、神学部ではなく英文学科卒。

tag : 佐藤優 伝記・評論

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フォーレ/夢のあとに (歌曲、チェロ編曲、ピアノ編曲)
秋の季節に似合う歌曲というといろいろあるのだろうけれど、私が聴きたくなる曲の一つが、フォーレの《夢のあとに》。
フォーレは滅多に聴かないけれど、歌曲集だけは好きなので、時々思い出したように聴いている。
《夢のあとに》は女声でしか聴かないけれど、一番好きなのは、ソプラノではなく、コントラルトのシュトゥッツマン。
甘さの少ないハスキーな低音の硬質の歌声と、彫の深い陰翳のある表現が、とても渋い。
初めて聴いたフォーレの歌曲集がシュトゥッツマンのCDで、とても気に入って度々聴いているせいか、ほとんど擦り込み状態になっている。

Fauré - Après un rêve - Nathalie Stutzmann



夢のあとで~フォーレ歌曲集夢のあとで~フォーレ歌曲集
(2007/11/07)
シュトゥッツマン(ナタリー)

試聴する(amazon.uk)




<チェロ編曲版>
《夢のあとに》はチェロ名曲集にもよく入っている。
低音の深く陰翳のあるチェロの豊かな響きがこの曲には良く似合う。(ヴァイオリンよりも人間の歌声に近い気がする)
チェロ版では、Youtubeで再生回数が一番多いのが、ステファン・ハウザー(DodomoのCMで話題になったチェリストらしい)。スローテンポでフレージングの息が長く起伏も少ないせいか、私にはべた~と粘着的な感じがする。
好きなピアニストのフランク・ブラレイが伴奏、ゴーティエ・カピュソンがチェロを弾いているライブ映像も発見。
マイスキーのようなどっぷりと感情移入したチェロは苦手なので、音も表情も引き締まって端正な叙情感のカピュソンのチェロはとてもよい感じ。

Gautier Capuçon and Frank Braley - Fauré Après un rêve




<ピアノ編曲版>
《夢のあとに》でとても好きな編曲バージョンは、ピアニストのフィオレンティーノが編曲したピアノソロ。
人間の歌声とは違うピアノの高音とこの編曲だと、渋いシュトゥッツマンの歌とは違って、とろけそうなくらいに甘美でムーディ。
Youtubeでこの演奏をたまたま聴いたがために、フィオレンティーノのBOXセットを買うことになったくらい、いつ聴いても、フィオレンティーノのピアノにはうっとり。

Fiorentino plays Fauré Après Un Rêve


tag : フォーレ フィオレンティーノ

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児玉桃『impressions ~ ドビュッシー作品集』
最近とても興味を魅かれているピアニストは児玉桃さん。
『IMPRESSIONS』は、今まで聴いたなかでは、特に素晴らしく思えるくらいに気にいったドビュッシー作品集。
国内外と問わず、CDコレクターをしたいほどに興味を魅かれる”女性”ピアニストというと、マリア・ユーディナくらいだったので、私にしては女性ピアニストに興味を持つこと自体珍しい。
その理由を考えて見ると、女性ピアニストにありがちな”女性らしい繊細さ”に寄りかかることも、情緒過剰気味のところもなく、考え抜かれた音色・ソノリティの選択と演奏解釈を通して、奇抜ではなくとも個性的。
どういうドビュッシーを弾きたいのかがはっきりわかる。

明晰な音と色彩感・ソノリティの多彩さ、自由に移り変わるテンポ、一音一音にニュアンスに篭もったような表情の豊かさは、今まで聴いたドビュッシー録音のなかでもかなり際立っている。
個性的なドビュッシー録音といえば、フランク・ブラレイの「ドビュッシー・ラヴェル作品集」。(偶然にもアルバムタイトルが同じく『IMPRESSIONS』)
ブラレイの場合は音の色彩感と大胆な強弱のコントラストがかなりのインパクト。
そのブラレイと並ぶくらいに、表現もニュアンスも豊かではあるけれど、強弱のコントラストを強調するのではなく、音の色彩感と特にソノリティの多彩さで、万華鏡のように表現がカラフルに変化する。
フレーズ内での起伏の変化が大きく、テンポも微妙にコロコロと変化するのに、フレージングがとても滑らかなので音楽の流れに違和感がない。
とりわけ魅かれるのが和声の響き。和声感覚が独特というのか、長短・硬軟のソノリティの重ね方がかなり凝っている。他のピアニストでは聴けないような響きが新鮮。
それに、右手と左手のタッチがかなり違うので、まるで2人のピアニストが弾いているような立体感を感じるのも面白い。
リズム感も良くて、どこか軽妙でエスプリを感じさせる。
ペダリングが上手く、録音環境・方法も良い(と思う)ので、ペダルを多用して残響も長いのに、和声の響きが混濁することなく、一音一音が明瞭に聴こえる。

幼少の頃から欧州で育ち、今もパリで暮らしているせいか、ドビュッシー(やフランス音楽)に対して、日本生まれの日本育ちの日本人とは違った皮膚感覚的な何かを身につけているのかも。

彼女が得意とするのはメシアン。《みどり児イエスにそそぐ20の眼差し》も、試聴した時にかなり良かったので、注文ずみ。
数日前にリリースされた最新録音は、ECM盤《鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集》。
試聴したところ、興味を惹かれるのは、メシアンの《ニワムシクイ》、苦手の武満徹《雨の樹素描》。ラヴェルは私のイメージとはちょっと違うかも。
ショパンアルバムの方は、試聴したところ、今まで聴いた録音とは一風違っている気がする。(そもそもショパンはほとんど聴かないので、よくわからない)

ドビュッシー作品集ドビュッシー作品集
(2008/01/23)
児玉桃

試聴する


このアルバムで一番面白く聴けたのが、《子供の領分》。
ピアノのレッスンで弾いたこともあるので馴染みのあるわりに、今まで何度聴いても全然好きになれない。
児玉桃のピアノで聴くと、今まで聴いたことがないと思うような面白さ。
視覚喚起力が強く、想像力を刺激する”イマジナティブ”でもあり、ピアノで物語るような”ナレーティブ”でもあるので、”曲が好き”というよりも、”演奏”が好きなのだと思う。

メカニカルなパッセージが続く「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」は、単調さが全くなく、多彩なソノリティが美しく華麗。
特に、面白かったのは、2曲目の「象の子守歌」。
この曲は、遅い(というよりノロい)テンポで音価が長い音符が続くので、いつもは退屈してしまう。
彼女の演奏は、テンポの移り変わりとフレージングの語り口が上手く、不思議と音自体に面白みが篭もっていて、本当に子象が眠って夢を見ている雰囲気がいっぱい。
「人形へのセレナード」は可愛らしい人形の姿が浮かんで来るようだし、「雪が踊っている」の躍動感は、シンシンと降り注ぐ雪が意志をもっていて踊っているよう。
まるでピアノが子供たちに物語りを話して聞かせているようなわかりやすさと面白さで、このアルバムでは一番聴いていて楽しい曲集。

《子供の領分》よりも華麗で豊かな響きと表現の《ベルガマスク組曲》も素敵。
「前奏曲」は、華麗さとほのかに漂う哀感が美しく交錯するし、標題音楽ではないけれど、とても詩的。
「メヌエット」と「パスピエ」は、軽妙さと華やかさが入り混じって、楽しげで、品の良い美しさ。
「月の光」は、静けさのなかに温もりのある響きは、春の月夜のように明るく心地良い。

「仮面」は、全集録音くらいでしか聴いたことがないので、あまり記憶になかった曲。(ピティナの作品解説)
ラヴェルの「道化師の朝の歌」とか、スペイン風の音楽を連想させるようにパッショネイト。
スペイン風の「グラナダの夕べ」はあまり好きではないけれど、この「仮面」はスタッカートのオスティナートの旋律とリズムがとっても面白い。
それに、曲半ばでなぜか東洋風(に私には思える)のアルペジオが出てきたり、(たぶん)前奏曲「夕べの大気に漂う音と香り」のような厳めしい低音が響いたり、他にもドビュッシーらしい旋律がたくさん。


これはチッコリーニの「仮面」。
Aldo Ciccolini plays Debussy (vaimusic.com)



《版画》の「パゴダ」は荘重華麗で幻想的。
この曲もタッチやソノリティが多彩に変化して、柔らかいレガートなフレーズがファンタスティックに響き、低音は厳めしく荘重で、まるでお伽噺の竜宮城のようなお城が目の前に立ち現れてきたような臨場感。
「雨の庭」は、冒頭のスタッカートのパッセージはやや軽い感じがするけれど、タッチと響きの変化で庭に降り注ぐ雨足が変わる様子や、それに連れて庭の表情も移り変わっていく情景を見ているかのよう。

「喜びの島」は、青柳いづみこさんの解説「恋の喜びとエロスの充満─ドビュッシー《喜びの島》」(特集 音楽に恋愛を聴く/「音楽の友」2004年12月号)を読むと、曲のイメージがずっと膨らむ。
この曲は標題のごとく”喜び”に満ちている曲。冒頭は小鳥のさえずりで目覚めるように始まり、気持ちの浮き立つ旅立ちの爽やかな雰囲気から、終盤は”喜び”が爆発したようにダイナミック。

児玉桃が弾くドビュッシーは、何度聴いても飽きることがないくらいに、とっても気に入ってしまった。
《前奏曲》や《映像》など他のドビュッシー作品も聴きたくなってくる。そのうち録音してくれれば嬉しいのだけど。

<収録曲>
《子供の領分》
 1.グラドゥス・アド・パルナッスム博士
 2.象の子守歌
 3.人形へのセレナード
 4.雪が踊っている
 5.小さな羊飼い
 6.ゴリウォーグのケーク・ウォーク
《2つのアラベスク》
 1.Andantino con moto
 2.Allegretto Scherzando
《ベルガマスク組曲》
 1.前奏曲
 2.メヌエット
 3.月の光
 4.パスピエ
「仮面」
「スケッチ帳より」
《版画》
 1.塔
 2.グラナダの夕べ
 3.雨の庭
「レントよりも遅く」
「喜びの島」



<関連情報>
MOMO KODAMA(英文サイト)
演奏・インタビュー映像集
アーティスト情報[KAJIMOTO]

tag : ドビュッシー 児玉桃

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バッハ=ブゾーニ編曲/シャコンヌ
バッハ=ブゾーニ編曲の《シャコンヌ》は録音が山ほどあるけれど、私が一番好きなのは、ミケランジェリとキーシンの《シャコンヌ》。

初めてこの曲を聴いたのは、ミケランジェリのEMI盤スタジオ録音。
ミケランジェリの《シャコンヌ》録音は、この他に1955年のワルシャワライブなどのライブ録音がいくつか出ている。
EMI盤は録音が1948年とかなり古く、CDの録音音質は全然良くないので、ミケランジェリの美音が聴けないのは難点。
それでも、彼の録音のなかでは演奏時間が(たぶん)最も短く、余計なものを全てそぎ落としたように、研ぎ澄まされた集中力・凝集力が漲り、日本刀がギラっと光るような凄みを感じる。
全編にストイシズムが漂い、エンディングも荘重・厳粛。
録音の悪さが逆に、モノクロ写真特有の”迫力”や”迫真性”に似たものを感じさせるように思えてくる、


A.B.Michelangeli Préférences Bach-Busoni Chaconne.wmv




キーシンの《シャコンヌ》の音源には、SONYのスタジオ録音(1997年)とライブ映像(1996年、Youtube)がある。
ミケランジェリとは違って、ロマンティシズムが濃厚。
SONY盤スタジオ録音を初めて聴いた時は、冒頭から視界が急に開けたような新鮮さを感じたものだった。
冒頭や緩徐部分は、テンポが遅くタッチや表現がやや粘着的な感じはするけれど、内省的な静謐さが漂っている。(ライブ映像の演奏だと、それがさらに強まっている)
緩急・静動の対比が鮮やかで、急速部では、速いテンポで一気に弾きこみ、音の粒が揃った切れの良い精密なメカニックが際立つ。
どんなに技巧鮮やかであっても、ヴィルトオーソにありがちなテクニック優先という印象がないのが、キーシンの良いところ。
芯のしっかりした充実した深みと重みのある和声の響きも美しく、骨格の堅牢さと情感の豊かさが融合し、荘重・華麗な響きに包みこまれるエンディングは高揚感と開放感で感動的。

Kissin_Bach Chaconne(Violin Partita)




<過去記事>
ミケランジェリ ~ バッハ=ブゾーニ編/シャコンヌ
キーシン ~ バッハ=ブゾーニ編/シャコンヌ

tag : バッハ ブゾーニ ミケランジェリ キーシン

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イギリスのパンケーキ”クランペット”
このところ(というか、ここ数年)、パンケーキがブームらしい。
そういえば、リコッタチーズのパンケーキとか、新製品が店頭にもたくさん並んでいたし、海外の有名なパンケーキ店が日本に出店した...という記事もよく見かける。

日本は空前のパンケーキ・ブーム!! なぜ、今パンケーキなのか?[GQ Japan,2013/4/3]
ふわふわで美味しいパンケーキのレシピ11選[Good Answers]


パンケーキの次に、ブームになっている(らしい)のがフレンチトースト。
パンケーキの次に来る!? フレンチトースト~専門店が続々登場、有名ホテルでも注文急増![日経WOMAN,2013/6/6]
フレンチトーストレシピ集(Good Answers)


その次は...となると、今ちょっと話題になっている(らしい)のが”クランペット”。

クランペットは、 イギリスやアイルランドで食べられているパンの一種。
卵とベーキングパウダーを使わず、ドライイーストで発酵させ、バターを使ってフライパンで焼く。
見た目は、ふっくらと膨らんだホットケーキ。
もちもちして、イーストが発酵した時の蜂の巣のような穴があるのが特徴。

レシピをいろいろ探してみると、パンを作るときと配合が似ている。
ドライイーストを使うので、イーストのための栄養分として砂糖は少量。塩も少量。
極端に違うのは、加水率。
水分は牛乳だけで、粉の重量に対して150%くらいの加水率。(食パンの場合は、65%前後)
これだけ水分を入れて、それも、水ではなく牛乳なので、しっとりもちもちするはず。
セルクルを使えば、イングリッシュマフィンのような綺麗な円形で厚みもあり、本格的。


クランペット♪イギリスの味[ブランディ/Cookpad]
クックパッドで一番つくれぽが多かった人気レシピ。

クランペット[明治おいしい牛乳]
膨らみを良くするには、薄力粉100%よりも、半量を強力粉に置き換えれば良いという。
それなら、中力粉を使っても良さそう。

Traditional Crumpet Recipe[About.com/British & Irish Food recipe]
英国サイトに載っていたクランペットのレシピ。
発酵時間が短いせいか、ドライイーストに加えて、ベーキングパウダーも使っている。


イギリス人も“もっちり”がお好き? イギリス版パンケーキ“クランペット”を食べてきた [えん食べ]
杉並区の紅茶専門店「BERRY’S TEA ROOM」のクランペットのレポート。
トッピング次第で、デザート風にも、お食事用にもなるらしい。

 
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<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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