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スティーヴン・ハフ ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番
発売予定日が繰り上がって、1週間以上早く届いたハフの新譜『ブラームス:ピアノ協奏曲集』。

最初に全曲聴いた感想は、私の好みとはちょっと違う優美で繊細な叙情感漂うブラームス。
最も好きなカッチェンの録音は、構造堅牢で力感豊かで男性的な演奏なので、そういうものを期待していると、最初に聴いたときはどうももう一つしっくりこないし、よくわからない...。
特に、緩急の変化がかなり大きく、時々リタルダンドでテンポが異様に遅くなる。急速部もアッチェレランドせずに安定したテンポでしっかり打鍵していくので、急迫感があまり出てこない。
(それに、残響が多い録り方のせいか、音が煙幕のように広がって音がごちゃごちゃしてクリアに聴こえないので、好みとしてはもっとすっきりした響きで聴きたい。)

ちょっと波長が合わないところがあるので、耳の慣れの問題もあろうかと何回か聴き直してみると、ボリュームをかなり上げればピアノの音がしっかりと聴こえて力感・量感・迫力も増し、印象が格段に良くなった。
それに、ソコロフのかなり大胆な表現の個性的なブラームスのライブ演奏や、ゆったりしたテンポで情感豊かなアラウのEMI盤を何度も聴いた後だったので、ハフの演奏にも耳が慣れたせいかもしれない。

Piano Concertos Nos.1 & 2Piano Concertos Nos.1 & 2
(2013/12/10)
Stephen Hough (piano), Mozarteumorchester Salzburg, Mark Wigglesworth (conductor)

試聴ファイル(hyperion)
英国amazonサイトのCDレビューは、さすがにイギリスで大人気のハフだけあって、高評価。

hyperionのホームページで、12月リリース予定のアルバムのサンプラーが無料ダウンロードできる。
収録されているのは、各CDの収録曲の一部(または一曲)。
ハフの新譜は、ピアノ協奏曲第2番第4楽章の一部(4'26)を収録。
Hyperion monthly sampler – December 2013

第1番、第2番とも、表現の奥行きや彫りの深さは、若い頃の旧盤の演奏とは全然違う。
ハフの洗練されたタッチから生まれる硬質で澄んだ色彩感のある音色、それに繊細なニュアンスのソノリティがとても美しくて、魅惑的。特に弱音の繊細さと美しさにはうっとりするくらい。
テンポとディナーミクの変化も細部まで細やか。弱音部の深い静けさとテンポ設定はかなり独特。
緩急の変化がかなり大きく、特に印象的なのは、緩徐部から急速部へ移行するときに、大きくテンポを落としてディミヌエンドしていき、静止したような”間”をとるところ。
旧盤の急速部では、速いテンポで鋭く力強いタッチが疾風怒涛のような雰囲気で、性急で直線的すぎるように思えたところもあった。
特に、第1番の急速楽章は、再録音の方がテンポが若干遅くなり、昔のような性急さも直線的な単調さがなくなっている。
それは良かったのだけど、逆に、力感や疾走感が抑えられて、盛り上がりや白熱感、急迫感が薄くなっているところはある。
第2番は、旧盤でかなり冗長さを感じた第1楽章のテンポ(特に冒頭部分)が若干上がって、もっさり感が大分解消されている。(それでもテンポは遅めだと思うけど)
2曲とも、力強さと拮抗するくらいに、曲の中に込められた内面の繊細な感情を強く表現しようとしたような気がする。

<録音時間>
旧盤:(No.1)22:27/14:19/11:56 (No.2)19:00/9:03/13:09/9:44
新盤:(No.1)22:53/13:28/12:41 (No.2)18:19/9:10/11:52/9:30



<第1番>
疾風怒濤的な激情よりも、若いブラームスの脆く儚い繊細な内面を強く表現しているように思えるくらいに、美しい叙情感がとても印象的。
第1楽章冒頭は、かなり精悍できびきびと引き締まったオケのトゥッティ。音がシャープで力感はあっても、響きの厚みがそれほどないので、すっきりと風通しの良い感じ。
ハフのピアノが始まると、線がやや細くて澄んだ音色がとても綺麗。テンポや強弱にかかわらず、打鍵は精密で丁寧。
特に弱音は柔らかく儚いような繊細さがあり、弱音部でリタルダンドすることが多く、静寂で内面に沈潜していくような内省的な雰囲気が漂うところは、この曲にしては珍しいかも。(私にはちょっとメロウ過ぎてもたれるけれど)
弱音部分に対して、テンポと強弱に強いコントラストをつけた強奏部分では、速いテンポと力強い打鍵で、力感豊か。
特に、終盤20分台の弱音部から強奏部へと移行していく部分は、かなりゆっくりとテンポを落としてゆき、フェードアウトするように静止して、一瞬”間”をとり、それから、急に覚醒するようにテンポを上げて駆け上がっていく。
緩急・静動のコントラストが鮮やかで、ドラマティックな効果があってとても印象的。

第2楽章は、ハフにしてはかなりゆったりとしたテンポのadagio。
儚い憧れ、夢想、甘美でほろ苦くもあるもろもろの感情を込めたような弱音と静寂さがとても美しい。
こんなに叙情的なピアノを弾く人だとは思わなかったくらい。

第3楽章は、旧盤のような疾風怒濤のような力強く直線的な演奏とはすっかり変わっていて、ハフがなぜ再録音したのかよくわかる。
強奏部は、強打しすぎず丁寧なタッチで、テンポもそれほど速くならないので、力強さや鋭い急迫感はちょっと弱く感じる。
逆に、弱音部はとても柔らかな音とフレージングで叙情美しく、終盤のカデンツァも色彩感の綺麗な音色で優美さが漂っている。
この楽章は、最初聴いたときは私の好みとはかなり違っていて、もうひとつシンクロできなくて不完全燃焼気味。
でも、CDレビューで、”間接音が多くて、遠くで鳴っているように聴こえる。かなり大音量で聴かないと演奏の良さが伝わって来ない録音”と書いてあったので、いつもよりもボリュームを上げてヘッドフォンで聴いてみると、ほんとに不思議なことに印象が変わる。
疾風怒濤的でないのは変わらないけれど、打鍵したピアノの音の芯がしっかりして鋭さと力感が増し、繊細さと優美さに加えて、堂々としたスケール感も出てきて、私が聴きたかったハフらしいブラームス。



<第2番>
第1番とは違って、第2番の方は好みとかなり違う...というほどでもなかったので一安心。
第1楽章は、試聴したときと同じく、テンポはやっぱり遅め。若いときはさらに遅かったので、そういう演奏解釈なのだろう。
重たい和音のパッセージでも音が濁らず、フォルテもやや粘りのあるリズムで全ての音を鳴らすように力強い。
弱音のパッセージの音は蝶が舞うような軽やかで、第1楽章は弱音部の優美さが印象的。(好みとしてはもっと速いテンポの演奏が好きなんだけど..)

第2楽章以降は、私には文句のつけどころのないくらいに素晴らしく良くて。
第2楽章はテンポも上がって、打鍵の切れ良く、テンションも高くてかなりパッショネイト。
流麗な叙情感も美しく、特に、トレモロやそれに続く高音の弱音は、内面でつぶやくようなニュアンスの儚げな響きが独特。

Andanteの第3楽章は、ハフの洗練されたタッチの美しさがとてもよく映えている。
柔らかく淡い音色と響きは、木漏れ陽が差し込む森の中に佇んでいるような静けさ。
細かく速いパッセージが静かに激しくかき鳴らされると、時折木々がざわめくようでもあり、内面で激しい感情が沸き立っているようにも思える。
特に、中盤のチェロ独奏に入る直前(6分あたり~)のピアノソロがとても素敵。静かで柔らかな響きは、激しく高ぶっていた感情が穏やかになり、心地よい疲れで眠りに落ちるかのよう。

第4楽章はテンポはやや遅め。軽やかではあっても、落ち着いたタッチでいくぶん優雅な感じもする。
ノンレガートがかったフレーズがちょっとユーモラスだったり、トレックするような足取りや蝶が舞うような動きを連想したり、多彩に変化するリズム感やフレージングを聴くのが面白くて楽しめた楽章。

ハフが20年以上前に録音した旧録を聴き直してみると、再録音ははるかに深化しているのがよくわかる。
よく練られたアーティキュレーションは、タッチ・リズム・テンポ・ディナーミクから音色・ソノリティまで、変化が多彩。
ハフの切れの良い技巧と色彩感と残響の美しい音色が相まって繊細で優美な叙情感は、カッチェンとアラウのブラームスと同じくらいに気に入って、マイベストの一つになるブラームスだった。

tag : ブラームス スティーヴン・ハフ

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ストラヴィンスキー/火の鳥(ピアノ編曲版)
私がマメにチェックしている唯一のスポーツがフィギュアスケート。
演技そのものを見るのが好きという以外に、どんな音楽が使われているのか聴くのが面白いので。

最近の大会のなかで、演技&音楽の両方が一番印象的だったのが、町田樹選手のフリーの演技とストラヴィンスキーの《火の鳥》。(《火の鳥》というと、手塚治虫のアニメの方がすぐに思い浮かぶけど...)

ストラヴィンスキーの《火の鳥》は、今まで断片的にしか聴いたことがない。
たしかジュリーニが録音していたような覚えがあるので、シカゴ時代の録音を集めた「シカゴBOX」を確認してみると、やっぱり《火の鳥》(1919年組曲版)が《ペトルーシュカ》と一緒のディスクに入っていた。
ジュリーニは、この曲が好きだったらしく、56年フィルハーモニア、70年シカゴフィル、90年アムステルダム・コンセルトヘボウと、3回録音している。
《火の鳥》は、少し聴いただけでもとても面白そう。
管弦楽曲版は全曲版と組曲版(3種)があるので、まずジュリーにのCDから聴くことにして、探してみるとピアノ編曲版がいくつかある。


ストラヴィンスキー編曲版
ストラヴィンスキー自身の編曲版は、1910年全曲版を元にしたもの。
ストラヴィンスキーはピアノを使って作曲していたため、《春の祭典》や《火の鳥》のスコアよりも先にピアノ譜が完成し、それを元にオーケストレーションにとりかかっていたという。
自作自演版(ピアノロール)の録音があるらしく、そのほかに、イディル・ビレット(NAXOS盤)、Lydia Jardon(Ar Re Se盤)、田中理恵(オクタヴィアレコード盤)が録音している。
全曲聴くならやはり色彩感豊かなオケの方が良さそうな気はするけれど、ピアノで聴くと鋭く尖った音で細部までくっきりと浮き上がってくるので、曲の骨格がよくわかる。

travinsky - L'Oiseau de feu (extraits), transcription pour piano solo

CDの試聴ファイル(NAXOS):ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(ピアノ編曲版)


アゴスティ編曲版
一番よく演奏されているのが、アゴスティ(Guido Agosti)編曲版。
”Danse infernale/凶暴な踊り”、”Berceuse/子守歌”、”Finale/終曲”の3曲で構成しているので、演奏時間は11分前後と短い。
3曲ともピアノで聴いても聴き映えする編曲。
フランチェスコ・ピエモンテージが弾く”凶暴な踊り”は、一気呵成な急迫感と荒々しさで、とてもスリリング。
”子守歌”は、<火の鳥>の神秘性を表現したかのようにとても妖しげな雰囲気。
”終曲”は「展覧会の絵」のような荘重華麗。
ピエモンテージのピアノは、音色がカラフルで力感・量感も豊かなので、管弦楽曲版とは違ったピアノ編曲版の面白さが楽しめる。

Stravinsky The Firebird, piano Francesco Piemontesi




ナオモフ編曲版
ナオモフ(Emile Naoumoff)編曲によるピアノ独奏版。

編曲した曲は、Introduction(序曲)/Ronde des princesses(王女たちのロンド)/Danse infernale(凶悪な踊り)/Berceuse(子守唄)/Tableau final. Allégresse générale(カスチェイの死と終曲)。
ライブ映像を見ると、ナオモフの編曲と演奏は凶暴な嵐が吹き荒れているような激しさ。
原曲の管弦楽曲版に劣らないくらい(それ以上に)テンション高いかも。

Stravinsky Infernal Danse from "Firebird" Piano Transcription by Naoumoff -Live-


Emile Naoumoff plays Excerpts from Stravinsky's Firebird


tag : ストラヴィンスキー ナウモフ アゴスティ ピエモンテージ ビレット

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アイリスオーヤマ《KITCHEN CHEF》 「セラミックヘルシーロースター」の使用感
イオンで実演販売していたアイリスオーヤマの新製品「セラミックヘルシーロースター」。
アイリスオーヤマというと、ホームセンターやDIY製品の会社だったと思っていたけれど、最近、調理家電の新製品をよく見かける。どれも価格的にはそれほど高くないわりに、機能的には良さそう。
どうしてホームセンター企業が、突如家電メーカーになってしまったんだろう?と不思議に思っていたら、次の記事を見てその疑問が解決。
パナソニック技術者ら“第2の人生” 大阪にアイリスオーヤマ開発拠点[Sankei IBiz,2013.5.7]

アイリスオーヤマ セラミックヘルシーロースター オレンジ CHR-2721アイリスオーヤマ セラミックヘルシーロースター オレンジ CHR-2721
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アイリスオーヤマ

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ガスグリルを使うと、手入れが大変なので、どうにかしたいなあと思っていたところだったので、「セラミックヘルシーロースター」のパンフと実演を見て、つい衝動買いしてしまった。
レシピ集をみると、コロッケに焼き春巻き、焼きそばも作れるし、クロックムッシュ、蒸しパン、プリン、チーズケーキまで作れる。コロッケが作れるなら、ドーナツも焼けるはず。
ガスコンロとIH両方で使えるし、セラミック塗装だからお手入れも楽そう。
普通のフライパンと比べるとかなり重い。
昔から朝日軽金属のディナーパンとか、ルクルーゼにストウブと、重いフライパンや鍋ばかり使っているので、重さは全然気にならない。
逆に、重い方が作りが頑丈で耐久性が高く、蓄熱性も良いので、料理しやすいし、長く使える(ことが多い)。

このヘルシーロースターは、フライパンや片面焼きガスコンロと同じく、両面焼こうとすると、途中でひっくり返さないといけない。
特に、コロッケとかの揚げ物をひっくり返すのは面倒ではある。
あくまでフライパンの代わりか、小型の片面焼きガスグリルとでも思った方が良い。(ひっくり返すのが面倒なら、ノンフライヤーが便利)
とはいえ、油なしで揚げ物(もどき)ができるのはポイントが高い。
電気フライヤーで揚げ物をすると、油が大量(最低300cc)に必要だし、揚げ油の処理がさらに面倒。フィルターで濾過しても、使用済みの油は酸化しやすい。
今話題のノン(オイル)フライヤーも便利そうなのだけれど、サイズが大きいことと、そのわりに庫内が狭い。パンとかケーキは、高さの低いものを少量しか焼けないので、価格の割に使えない気がする。

(製品紹介の動画)


<使用レビュー>
新兵器!キッチンシェフ ヘルシーロースター[ママーリオのチープシック・チャーミングライフ]
アイリスオーヤマ★ヘルシーロースターを使ってお料理★[あおいのしあわせ日記]

早速、鮭やさつまいも、玉ねぎとかを蒸し焼きにしてみる。
3分予熱後、ロースター表面にシリコン刷毛(これはとっても便利)で油を薄く塗っておいたので、焦げがこびり付くこともなく、キッチンタオルで油と焦げを拭き取れる。
細い溝部分に落ちている焦げもシリコン刷毛はけでこすりとれば、汚れも綺麗に落ちる。
最後に、洗剤で洗うとすっかりきれいに。
セラミックコーディングなので、汚れも簡単に落ちて、ガスグリルよりも格段に洗うのが簡単。
それに、こんがりと線状の焦げ目がつくのが美味しそう。


次に試してみたのが、塩焼きそば。
(蒸し/茹で)中華麺、野菜、焼き鮭を載せて、調味液を振り掛けて、5分蒸し焼きにすると、途中にかき混ぜて炒めなくとも、味がちゃんとついている。(最後の仕上げに、塩胡椒と醤油を入れてかき混ぜたけど)
麺が全然べたつかず、伸びることもなく、ちょっとこげたところはパリパリ。
フライパンで作る塩焼きそばよりもずっと美味しく出来上がって、このロースターを買ってよかったと思ったくらい。
これからは、焼きそばはロースターで作るに限る。
このヘルシーロースターは、蒸し焼き系の料理がかなり得意らしい。シューマイ、ギョーザの類は上手く出来そう。
蒸しパン、蒸しプリン、蒸しチーズケーキもレシピに載っているので、お菓子も作ってみたい。

お手入れは、フライパンよりは手間がかかるけれど、ガスグリルよりは簡単。
ロースター表面や溝の油分をキッチンタオルでよく吸い取ってから、焦げや汚れをシリコン刷毛(かブラシ)でこすりとる。さらにお湯を注いでから拭き取れば、汚れはすっかり落ちる。
最後に洗剤で綺麗に洗えば、ツルツルピカピカ。
普通のフライパンよりは値段が高いので、お手入れもちゃんとしようという気になる。



[2013.12.12追記]
今日は、子持ちししゃも10匹を焼いてみた。
さんまを焼くときと同じように、予熱3分後、ロースター表面にシリコン刷毛で薄く油を塗って、ししゃも5匹づつ二段に分けて並べる。
蓋をして中火で5分ほど焼いてから、蓋をとってししゃもを裏返し、水を大さじ2ほど溝に投入。
すぐに蓋をして3分ほど焼けば、両面とも焼き色がこんがりついて、ふっくらと身が柔らかく焼き上がり。

ガスグリルで焼くと、焼け具合を確認するのが見づらいし、バーナーからの距離で焼きムラがかなりできる。
いつも焼きすぎて、ししゃもがカリカリに細くなってしまう。グリル用の陶器製焼き皿に載せて焼いているけれど、焦げ付きがひどくて、いつも洗うのに一苦労。

ヘルシーロースターの良いところは、蓋をとれば、すぐに10匹全部の焼け具合を簡単に確認できること。
10匹とも同じ程度の焼き具合になるので、ロースター上のどこに置いても、焼きムラがほとんどない。
普通に焼いても、ふっくらこんがり焼けているし、蒸し焼きにすると身も柔らかくて、美味しい。
これなら、ほかのお魚でも上手く焼けるはず。

お手入れも簡単。ほとんど焦げつくことがなく、魚から出た脂分が羽根餃子みたいにこんがり焼けていた。
シリコン刷毛とキッチンペーパーで、ロースター表面に残っている焦げや油を拭き取って、ぬるま湯を流し込んでから、洗剤で洗えば、すっきり汚れが落ちる。ガスグリルやグリル用焼き皿とは大違い。

ヘルシーロースターでこれだけこんがりふっくらと美味しくお魚が焼けて、洗うのも簡単で汚れも綺麗に落ちてしまうと、もうガスグリルでお魚を焼こうという気がしない。
やっぱりこのロースターは、とっても良い買い物だった。
次にロースターで作るのは、焼き芋、コロッケ、お焼きあたりにしようかと。


[2014.5.25追記]
サバのみりん干しを焼くと、みりんや水あめなどの調味液がベタベタと焦げ付いてこびりつき易い。
お魚を焼くなら、調味液が付いていない塩干しや生魚の方が、ロースターを洗うのが楽。

[2015.6.12 追記]
調理自体には問題なく、焼きそば、焼き魚、焼き芋、餃子などふっくら、こんがり美味しく出来上がる。
洗うのも、調理終了後、ペーパータオルですぐに油分をふき取って、水(お湯)を入れて置けば、焦げ付きも綺麗にとれる。溝部分は、シリコンハケか、歯ブラシで軽けばOK。
唯一の難点は、フタのつくりがとてもヤワなこと。
保管中に何かに当たったらしく、凹みが数ヶ所できていた。
そのせいで、本体にピタっと嵌らなくなって、ムリにはめ込もうとしたら、本体のコーティングが剥げてしまった。
それに、フタにゆがみができるとバランスが取れないのか、自立するはずのフタがすぐに倒れてしまう。
そのうちフタだけ買い替えないといけないかも。(でも、アイリスオーヤマのショッピングサイトにはフタは別売りしていなかった)



バルトーク/左手のための練習曲
HMVの新譜情報に載っていた『智内威雄/左手のシャコンヌ』
収録曲のうち、ブラームスの《左手のためのシャコンヌ》は有名だし、ウゴルスキーの録音でもよく聴いた。
サン=サーンスの《エレジー》とスクリャービンの《前奏曲と夜想曲》の方は、聴いたことがなかったはず。

少し興味を引かれたので、智内さんの情報を調べていると、以前にドキュメンタリー番組『左手のピアニスト 智内威雄 - Pianist of the left hand心に響く命の音』が放送されていた。
そのなかで演奏されていたのは、ブラームスの《シャコンヌ》、ラヴェルの《左手のためのピアノ協奏曲》(2台のピアノ版)、サン=サーンス、スクリャービン、バルトークの左手のためのピアノ作品。

初めて聴いたサン=サーンスとスクリャービンの曲よりも、バルトークの《左手のための練習曲 BB27》が印象的だった。
耳で聴いていると、ペダリングによって左手だけで弾いているとはわからない。
智内さんの演奏映像(↓)を見てみると、最初から最後まで左手だけで弾いている。
練習曲のようには思えないくらい、コンチェルトようなシンフォニックな響きと華やかで勇壮な雰囲気。
力強くややほの暗い情熱と、清々しく爽やかさとが溶け合って、どこかブラームス風なところも感じるせいか、これはかなり好きなタイプの曲。

Bela Bartok : Tanulmany balkezre ( for the Left Hand Alone ) - Tchinai (P)



楽譜表示のある音源(演奏はゾルタン・コチシュ)を見ると、高音部(ト音譜表)と低音部(ヘ音譜表)の上下二段に分かれているので、一見両手で弾く普通の練習曲に見える。
よく見ると、両手で弾く部分がなく、左手1本で弾けるように、高音部か低音部かどちらかのパートを弾くようになっている。
この楽譜にはペダル記号がついていない。両手で弾いているかのように響かせるために、ペダリングを工夫しないといけないので、ペダリングのための練習曲という目的もあるのかな?

Study for the Left Hand BB27 (1903)

tag : バルトーク

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ターメリックの効用と副作用
香取薫さんの『はじめてのインド家庭料理』に載っていたターメリックライスとターメリックミルクを作ってみたら、これがとても美味しい。
ターメリックミルクの作り方は、無塩バターとターメリックをよく練ってから、牛乳(または水とスキムミルク)でよく溶かして、沸騰させる。それに砂糖を少量入れると、ほんのり甘くて美味しい。

ターメリック(日本名は「ウコン」)は、インドで使われている代表的なスパイスの一つ。(ターメリックのほか、クミン・コリアンダー・チリパウダー・ガラムマサラもよく使われている)
レシピ本のなかでターメリックの効用として、腸内細菌の活動を抑えるのでインドでは豆類の料理では一緒に使うことが多い..と書かれていた。

少し興味があったので、ターメリックについて調べてみると、ウコンが注目されたのは、ハウス食品の「ウコンの力」という特定保健用食品のせいらしい。
(トクホとかドリンク剤の類は全く買わないので、この製品のことは全然知らなかった。そもそもお酒を飲まないので、二日酔いとは縁がない)
「ウコンの力」に関する面白い記事は、「ハウス食品『ウコンの力』は毒にも薬にもならない 効かないウコン、危険なウコン一覧」[MyNewsJapan]。(でも、この記事の信頼度は私にはよくわからない)

ウコンの有効成分「クルクミン」は、ほとんど体内には吸収されないことがわかっている...のが事実なら、対して効き目はない製品かも。
この記事が書いている通り、ウコンサプリを過剰摂取すると、効果は高まっても摂取量の安全基準を超える可能性が高い。
クルクミンは、肝機能を高めるという効用がある一方、過剰摂取や肝疾患患者が摂取すると、肝臓障害を引起すリスクが高い。
サプリとしてウコン(クルクミン)を摂取するのは要注意と警告するサイトは多い。

ターメリックの効用と副作用の関する情報のポイントをあげると、
- ターメリックの有効成分クルクミンは、摂取したうちのほとんどが72時間以内に排泄され、小腸からわずかに吸収される
- ターメリックの摂取目安量は10g/日
- 有効成分のクルクミンに限って言えば、人へ投与した場合ででも、3ヶ月間8g/日の摂取量では安全。
- クルクミンの含有量が数%のターメリックを、普通の料理のなかで使うことは問題ない。

また、「クルクミン」の効用の一つとして、がアルツハイマー病に有効と考えられるようなUCLAの研究チームの研究報告もある。(インド人のアルツハイマー患者数はアメリカ人の場合の1/4程度らしい)

クルクミンの吸収率は低い。きな粉と一緒に食べると、きな粉の中に入っているレシチンがクルクミンの吸収率を300倍にする事ができるという記事もある。(出典不明)[沖縄健康茶専門店 オキナワかけはし]

ターメリックは、インドでは常用されているスパイス。インド人に肝臓障害が多いという話もないし、インド人の平均摂取量は1日6グラムとか8グラムらしい。
日本人の食生活ではターメリックはほとんど使われていないので、サプリを常用しない限り、特に問題があるとは思えない。
ここ最近、ターメリックミルクをよく飲んでいるけれど(それにたまにターメリックライスも食べている)、ターメリック粉末の使用量は、概ね1日小さじ1/4(1.25cc)なので、せいぜい1gくらい。
このレベルなら、肝臓障害のリスクは全然気にする必要はなさそう。


<ターメリック(ウコン)関連情報>
ウコンについて(永田純一/国立健康・栄養研究所 食品機能研究部)
ウコン [「健康食品」の安全性・有効性情報/国立健康・栄養研究所]
ウコンの効能に注意![虎の門針灸院ノート]
アルツハイマー病予防にカレー?[All About]
ウコンの飲み方と食べ方|効能と料理法
ウコンの選び方講座

ウコンの意外な落し穴/肝臓の健康を守れSP[ためしてガッテン,2011年6月29日放送]
ウコンは肝臓に要注意![アピタル - 朝日新聞デジタル,2013年9月2日]

小川典子『ドビュッシー/ピアノ独奏曲全集』
『武満徹:ピアノ作品集~Rain Tree』がとても良かったので、ディスコグラフィをチェックしてみると、ドビュッシーも凄く良い。
ドビュッシー録音は、分売盤と『ピアノ作品全集』の両方が出ている。
全集を試聴してみると、一番最初に収録されている《アラベスク第1番》が素晴らしく良い。
いつもは退屈する曲なのに、耳が惹きつけられてしまった。
小川さんの《アラベスク第1番》は、柔らかく温かみのある音色と夢見るような雰囲気で、砂糖菓子のように甘い。こういうドビュッシーははじめて聴いたかもしれないくらい。

Claude Debussy - Arabesque No. 1 in E Major



全集のなかでは、特に最初の2枚(DISC1とDISC2)がその音色にぴったり合った曲が多い。
収録曲を見ると、DISC2=分売盤Vol.1 が好きな曲が一番多かったので、次の分売盤を早速購入。

ドビュッシー:ピアノ作品集 Vol.1ドビュッシー:ピアノ作品集 Vol.1
(2002/01/26)
小川典子

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どの曲も、優しさと温かみのある音色がとても心地良い。タッチ自体は硬質で一音一音クリアに響き、強弱のコントラストも明快で、全体的にすっきりと引き締まり、明晰で見通しがとても良い。

《映像第1集》1.水の反映/2.ラモーを讃えて/3.運動
「水の反映」があまり好きな曲ではないけれど、硬質な響きなのに優しく温かみ音色の輝きが綺麗。時々ルバートがかかったようなリズムが単調さを打ち消し、盛り上がるところはかなり力強くてダイナミック。
単に音がスラスラと流れるのではなくて、テンポが微妙に変化し、リズムに少しひかっかりがあるので、平板や単調さが消えて、ニュアンス豊か。
「運動」は、メカニカルな動きなのに、情感がこもっていて、表情がくるくると移り変わっていく。まるで、「運動」自体が生き物のように思えてくる。


《映像第2集》1.葉ずえを渡る鐘の音/2.荒れた寺にかかる月/3.金色の魚

どの曲も音のもつニュアンスがとても豊か。標題の情景が浮かび上がってくるようなイメージ喚起力が強くて、苦手な第2集でも、とても面白く聴ける。

《忘れられた映像》1.レント、メランコリックにやさしく/2.ルーヴルの想い出/3.「いやな天気だから、もう森へは行かない」の諸相
「ルーヴルの想い出」はどこかで聴いた旋律なのに、すぐには思い出せない。調べてみると、『ピアノのために』第2曲「サラバンド」だった。
「いやな天気だから、もう森へは行かない」の諸相」の方は、タイトルで《版画》第3曲「雨の庭」に出てくる有名な童謡だとわかるし、曲を聴いてもやっぱりよく似ている。
でも、この曲の方が可愛らしいタッチでずっと童謡風。

《版画》1.塔/2.グラナダの夕暮れ/3.雨の庭
「塔」は、ハープのような音色が、どこか東洋風な響きを帯びて、とても綺麗。日本の黒っぽい神社仏閣というよりは、水中に浮かぶおとぎ話の龍宮城みたいな色とりどりの美しいお城。
その甘くて夢を見ているような甘い響きに、幻惑されてしまいそう。
「グラナダの夕暮れ」はちょっと妖しげでエキゾチックな雰囲気。
とても好きな「雨の庭」も、雨のの移り変わる様子を映像をみているような。

《仮面》は、最初は柔らかいタッチだったけれど、徐々に力強さを増し、線の太めな音でリズムを折り目正しくしっかり刻み、かちっと固めの構築感がある。


ドビュッシー:ピアノ曲全集 (Debussy : The Solo Piano Works / Noriko Ogawa) [6CD BOX]ドビュッシー:ピアノ曲全集 (Debussy : The Solo Piano Works / Noriko Ogawa) [6CD BOX]
(2012/02/10)
小川典子

試聴ファイル


ドビュッシー:ピアノ曲全集 Vol.5 (Debussy : Piano Music Volume 5 / Noriko Ogawa) [輸入盤・日本語解説書付]ドビュッシー:ピアノ曲全集 Vol.5 (Debussy : Piano Music Volume 5 / Noriko Ogawa) [輸入盤・日本語解説書付]
(2011/08/10)
小川典子

試聴ファイル


MP3ダウンロードでは、全集版『Debussy: The Solo Piano Works』と抜粋版『Debussy: Music for Piano』(たぶんDisc1とDisc6を除いたバージョン)の2種類あり。


<参考情報>
イギリスを拠点に演奏活動を続け20年 欧米で高い評価を得ている実力派のピアニスト[日経ビジネス,2007年12月27日]
インタビュー/小川典子[伊熊よし子のブログ]


tag : ドビュッシー 小川典子

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フメクリストいらずの iPad/iPhone用電子楽譜ビューア 「piaScore」
日経BPのオンライン記事「iPadで270ページの楽譜を“譜めくり”、30年ぶり演奏支えた日本発1人ベンチャー」で紹介されていたのは、国内ベンチャーが開発した楽譜ビューア「piaScore」。

現代曲で楽譜を置いて演奏することはよくあるけれど、2時間以上かかって演奏するアルカンの長大な曲「すべての短調による12のエチュード」は、紙楽譜は270ページもあるという。
この曲を来日リサイタルで弾いていた若手ピアニストのヴィンチェンツォ・マルテンポは、暗譜ではなくて、iPadを使って「piaScore」の表示させる楽譜を見ながら演奏。
楽譜を見ながら演奏するときは、フメクリスト(譜めくりする人)がピアノの横に座るのだけど、今回はフメクリストはいない。
マルテンポは、普段はAndroid版タブレットにPDFファイルを表示しながら演奏していたそうで、来日した時に演奏会主催者が小池宏幸氏が開発した「piaScore」を紹介すると、マルテンポはすぐにそれを使うことにしたという。


piaScoreホームページ

piaScore ver.3.0 new features



無料楽譜ビューア piaScore[itunesプレビュー]

楽譜クラウドサービス「Cloud Play」(IMSLPに登録されているクラシック楽譜56,000曲をダウンロード)
PDFファイルのサポート(手持ちの楽譜データを転送)
自由な書き込み(色・太さ・筆先を変えられる6種類のペン)
ジェスチャー譜めくり(iPad の前で「頭」か「手」を振る)
簡単な楽譜めくり "Air Page Turning" (iPhoneが必要)
Bluetooth ペダル “AirTurn” のサポート(足で譜めくり)
piaScore ツール(鍵盤、チューナー、レコーダー搭載)
メトロノーム機能
YouTube上の関連動画の再生
デジタル楽譜ストア 「piaScore ストア」
曲解説の閲覧(ピティナの「ピアノ曲事典」情報が閲覧可能)


ipadもiphoneも持っていないので、試用できないけれど、使ってみたいなあと思わせられるほど「piaScore」には便利な機能がいっぱい。

ipadでは、楽譜を見ながら自分の頭を左に動かすと譜めくりされて、次のページが表示される。
演奏中に首を動かすことは忘れないだろうけど、つい感情移入が激しくなってうっかり首を動かしてしまうと、譜めくりされてしまいそう。上体を揺らして演奏する人が使う時は要注意?

iPhoneリモートコントローラーアプリ「piaScoreAir」を使うと、iPhone 上部の近接センサーに手を近づけて譜めくりできる。
これは練習中は便利。演奏会本番では、譜めくりする時に片手が空いているとは限らないので、使えないかも。
Bluetoothで接続した米国メーカー製のペダルを踏むと楽譜をめくれる機能があるので、プロのピアニストならそれを使えば大丈夫。
これも、ペダルワークが煩雑な部分で譜めくりするときは、足がこんがらがらないように、気を付けないといけない気がする。「piaScoreAir」の手をかざす動作よりは、問題なく使えそう。

気になったのは、ipadでもiphoneでも、紙楽譜に比べれば画面が随分小さいので、音符が見えにくいのではないかと。(特に、音が多くて密集している曲)
ほとんど暗譜していて、念のために楽譜を置いておくのには良いだろうけれど、初見の時から「piaScore」を使って練習するのは目が疲れそう。
若い人はそういうことを気にしなくてもよいだろうけれど、視力が落ちてくる中高年には見づらい気がする。


<レビュー記事>
クラシック楽譜管理アプリpiaScoreのiPhone版が出たので使ってみた[先走れカート,2013年5月29日]
iPad向け楽譜アプリのpiaScoreは首を振ると楽譜のページをめくってくれる[TECHCRUNCH、2012年6月1日]

ハンドクリームに「ワセリン」
そろそろハンドクリームが必要な季節。
寒くなって空気が乾燥すると、水で手が濡れた後だけでなく、普通の時でも手指の肌が乾燥して、ささくれてくる。
数年前から肌が乾燥しやすくなったことに加えて、3年前にいわゆる「主婦湿疹」のために手指の肌が随分荒れて以来、冬はハンドクリームが必需品。
今までよく使ってきたハンドクリームは、メンタームやメンソレータムの「ビタミンクリーム」、「ユースキンA」。
ほかにもいろいろ試してみたけれど、「ビタミンクリーム」が適度に油分があり、肌への刺激も少なく、比較的落ちにくいので、一番使いやすかった。
「ユースキンA」もかなり良いけれど、すぐに乾いた感じがするので、何度も塗り直さないといけない。

もっと良いハンドクリームがあったら使ってみたいと思っていたところ、定期的にチェックしている湿潤療法の夏井医師のブログ<新しい創傷治療>に、ハンドクリームとワセリンの話が載っていたのを思い出した。

手荒れ用ハンドクリームは手にどう作用するのか?
手荒れ・主婦手湿疹の治療,クリーム,尿素など
質問【ワセリンが鉱物油というのが気になります。保湿や保護の目的ならば,植物オイルでも代用できるのでしょうか?】

【ハンドクリームは使っちゃ駄目(・・・だと思う)】という説明は、なるほどと思い当たることはある。
手指の乾燥は、てっきり寒さと手洗い・水仕事(の後の水分蒸発)のせいだと思っていたけれど、クリーム自体が肌の油分・水分を除去してしまっていたらしい。
実際、水で手を洗った後は、クリームがすぐに流れ落ちてしまうので、肌がざらざら乾燥する。水で手を洗うたびに、クリームをつけ直さないといけない。

【尿素クリームは最悪(・・・だと思う)】というのは、全くその通り。
一昨年、肌の乾燥がひどくなってかゆみが止まらず、かゆみ止めには尿素入りクリームが良いといろんな情報で読んだので、使ってみたところ、余計に悪化。
肌がひりひりして、使う前よりもさらに乾燥して肌荒れがひどくなったので、一度使っただけで、捨ててしまった。
以来、尿素入りクリームだけは使わないことに。

数ヶ月前、夏井医師のブログで推奨されていた通り、サランラップを使ってスリキズがちゃんと治ったことがあるので、今度はワセリンをハンドクリームがわりに使ってみることに。


《ワセリン製品》
近くのドラッグストア数店で取り扱っているワセリン製品は少ない。
amazonで探すと、日本で販売されている白色ワセリン製品がほとんど見つかる。
イオンが販売している白色ワセリンだけは、イオンの店頭とオンラインショップで見つけたもの。


<酸化防止剤入り>
ヴァセリン(ユニリーバ、製造国:インド製、ボトルのみ)
ワセリン(イオン、チューブのみ)

<酸化防止剤無添加>
ヴァセリン ペトロリュームジェリー(インターブランドなど、製造国:米国、ボトルのみ)
白色ワセリン(健栄製薬)(ボトルチューブ
ワセリンHG(太洋製薬)(ボトルチューブ
プロペト(丸石製薬)(ボトルチューブ
サンホワイトP-1(日興リカ)(ボトルチューブ


ワセリンといっても、純度の違いから、「白色ワセリン」と「黄色ワセリン」の2種類があり、純度の低い「黄色ワセリン」は工業用で、化粧品・医薬品には使われていない。

「白色ワセリン」でも、製品によって精製度が異なり、色も品質も違う。純度が低いと黄味がかった色になり、純度が高いほど白く、価格も高くなる。
調べた限りでは、純度の高い製品から並べると、サンホワイト>プロペト>白色ワセリン・ワセリンHG・ワセリン(イオン)>ヴァセリン、という順番になるのではなかろうかと思う。(それが正確かどうかはわからない)

日本の製薬会社の「白色ワセリン」は数種類あり、すべてワセリン100%。
ボトルとチューブの2種類があり、チューブ式の方がソフトで塗りやすい。
ユニリーバとイオンPB製品には、酸化防止剤(BHT)が含まれている。

イオンのワセリンは、日本製で、「ヴァセリン」と「プロペト」の中間くらいの純度らしく(ワセリンHGと同等レベル)、そのわりには価格がかなり安い。テスターで試すと、「ヴァセリン」に比べて、柔らかくて伸びが良いけれど、少量塗ってもベタベタするので、ティッシュで拭き取った方が良い。
元々肌が弱いため、酸化防止剤が入っているので、使うかどうか少し迷うところ。

「ヴァセリン ペトロリュームジェリー」には、ユニリーバ社と他社の輸入製品がある。
ユニリーバ社の製品はインド製で酸化防止剤添加。
輸入品は、ドラッグストアでも売っていた(輸入元はインターブランド社ではない)。いずれもアメリカ製で酸化防止剤無添加。

ユニリーバ製の「ヴァセリン」は、やや黄色がかった色味。原料は「白色ワセリン」と記載されている。
ワセリン製品に関するユニリーバ社のプレスリリース[2012年6月]

「サンホワイト」は、類似製品のなかでは一番純度が高い(らしい)。価格も一番高い。
不純物を排除した「サンホワイト」誕生物語 [日興リカ社ホームページ]


《使用感》
試しに小さい容量のワセリンを買おうと、近所のドラッグストアで販売していた「ヴァセリン」(米国製、酸化防止剤無添加)の49gボトルを購入。
気温が低いせいか、ちょっと固い。少量を手指にのばしながら摺り込むようにしていくと、全然ベタつかず、さらっとしている。(たくさん塗ると、ティッシュや布で拭き取らないとべたつくらしい)

この「ヴァセリン」は、輸入元は違うけれど、amazonで販売している製品と同じもの。
ヴァセリン ペトロリュームジェリー(大)368gヴァセリン ペトロリュームジェリー(大)368g
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インターブランド

商品詳細を見る


ワセリンを夜寝る前か朝に手指の肌にすり込むと、夕食の炊事後くらいまでは、ほとんど水に落ちずに残っている感じ。
特に手指の先は水に濡れる回数が多いので、ワセリンが落ちやすい。そこだけ少量塗り直せば、今のところ1日2回も塗れば十分。
ワセリンが落ちた後でも、手指の肌がざらざらと乾燥した感じがそれほどしない。
肌に浸透するのではなく、肌に薄~くコーティングした感覚。かなり薄くのばして塗ったので、何かを塗っているような違和感が全然なく、すべすべして気持ちが良い。
しばらく使ってみて、特に肌に異常がなければ、今冬のハンドクリームはワセリンに変える予定。
ワセリンは安定した物質なので、1~2年くらいは使えるという。でも、ボトル式は雑菌が入る可能性もあるし、この「ヴァセリン」には酸化防止剤が入っていないので、1シーズンで使い切った方が良さそう。
そういう点ではやはりチューブ式の方が衛生的。次に使うときは、「ヴァセリン」よりも柔らかくて、ボトルよりも衛生的なチューブ式の方を試してみようかと。

それに、ワセリンは、顔用の保湿クリームやリップクリームとしても使えるらしい。
夏井医師のブログ記事には、医療用には純度の高いものを使うように..と書かれていたし、顔に塗る場合は、「ヴァセリン」よりも純度の高い「プロペト」や「サンホワイト」を使った方が良いかも。
試しに、リップクリーム代わりに塗ってみると、唇がぷるぷるする感じ。口紅を上に塗っても、少量ですむしノリも良く、当分使って様子を見ることにした。

<参考情報>
ワセリンの保管方法[ワセリンで乾燥肌をやっつけよう]

リスト=ブゾーニ編曲《スペイン狂詩曲》
リストの《スペイン狂詩曲》はピアノ独奏曲。
この編曲版があるとは全然知らなかったけれど、バッカウアーの音源集を聴いていて、ブゾーニがピアノ&管弦楽版に編曲した曲を録音していた。
録音はそれほど多くはなく、有名なピアニストではエゴン・ペトリが録音している。

ピアノ独奏だけでも荘重華麗で情熱的な曲なのに、さらにカラフルな音色と厚みのある響きの管弦楽が加わって、《スペイン狂詩曲》の曲想によく似合う。
もともとこの曲が好きなので、このブゾーニ編曲版もかなり好きな曲。(この音源の音質がちょっと古めかしいけれど) ピアノ協奏曲というよりは、ピアノ独奏付き管弦楽曲版といった感じがする。
この編曲版を聴いて後に原曲を聴くと、ピアノ独奏だけでもシンフォニックなのがよくわかる。
ソロよりも管弦楽曲付きの方が原曲のように思えてくるくらい。


ピアノ&管弦楽曲版。ピアノはバッカウアー。
Gina Bachauer plays Liszt Rapsodie Espagnole (arr. Busoni)



原曲のピアノソロ。録音は多数あるけれど、私はハフかキーシンの録音でよく聴いていた。
これはキーシンの来日時のライブ映像。

エフゲニー・キーシン(Evgeny Kissin) - リスト スペイン狂詩曲 1/2


tag : ブゾーニ バッカウアー キーシン フランツ・リスト

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サンドリーヌ・ピオー 『Après un rêve』
サンドリーヌ・ピオーの『Évocation』がとても良かったので、コンセプトアルバムの第2弾『Après un rêve』も購入。
「夢」にまつわる歌曲を集めたアルバムなので、フォーレの名曲『夢のあとに』はこのCDに相応しいタイトル。
「眠るときに見る夢、夜の象徴である夢、恋人とみる夢、恋人のことを見た夢、さらに夢には魔女やネズミなど様々な不思議な生き物が登場するちょっとおかしな夢・・・」など、色とりどり。

視聴した時、とても印象が良かったけれど、CDで聴いてみても、『Évocation』と同じく、とても素敵な歌と選曲。
作曲家は、シュトラウス、フォーレ、メンデルスゾーン、ショーソン、ヴァンサン・ブショー、プーランク、ブリテン。
ドイツ・フランス・英国のロマン派、印象主義、現代音楽からの選曲。
フランス歌曲集、ドイツ歌曲集といったアルバムと違って、似たような作風の曲が少ないし、特に良かったのは、ピアノ伴奏がソロ並に凝った曲もいくつかあるので、歌とピアノと両方が楽しめる。
スーザン・マノフのピアノ伴奏も、ピアノの音色がピオーの歌声によく似合っていて、どちらかというと、テンポの遅い叙情的な曲の方が良い感じ。特に、神秘的・夢想的な曲のピアノ伴奏が素晴らしく、雰囲気がよく伝わってくる。


Apres un reveApres un reve
(2011/03/22)
Sandrine Piau

試聴ファイル



R. シュトラウス:夜op.10-3、秘めごとop.17-3、あすの朝op.27-4
シュトラウスの「Die Nacht/夜」「Morgen/あすの朝」は、以前から好きな曲だったけれど、ピオーの歌で聴くと、余計に素晴らしく聴こえる。
特に「Morgen」が絶品。ゆったりとしたテンポで、静けさとしっとりした叙情感のピオーの歌に加えて、マノフのピアノ伴奏がとても素敵。この静謐さにはマーラー歌曲に通じるものを感じる。

Sandrine Piau - Susan Manoff - Richard Strauß - Die Nacht & Morgen!


フォーレ:夢のあとにop.7-1、月の光op.46-2、ゆりかごop.23-1
「Apras un reve/夢のあとに」は、聴き慣れたシュトゥッツマンの歌と比べると、儚げというよりは、かなり元気。
「Clair de lune/月の光」は、ドビュッシーのピアノ独奏曲の同じ曲名でも、曲想は全く違う。「Les Berceaux /ゆりかご」は子守歌のような曲かと思っていたら、どこかで聴いたことのある短調の悲しげな曲だった。

メンデルスゾーン:夜の歌op.71-6、新しい恋op.19-4、眠れぬ瞳のともしび、魔女の歌op.8-8
私が知っているメンデルスゾーンは、ピアノや室内楽曲が中心。
歌曲はほとんど聴いたことがないか、記憶に残っていなかったけれど、ピオーが選んだ4曲はどれも印象的。他の歌曲も聴いてみたくなってくる。
「Nachtlied/夜の歌」と「Schlafloser Augen Leuchte /眠れぬ瞳のともしび」は、ロマン派というよりは、古典派の歌曲に近い感じで、かっちりとしたフォルムで端正な叙情感がとても美しい曲。
それとは作風が随分変わり、ちょっとコミカルな「Neue Liebe/新しい恋」と、魔王の女性版(?)みたいな疾走感と切迫感のある「Hexenlied/魔女の歌」は、オペラ風。
劇中の登場人物の動きが思い浮かんでくるようなところがあって、これはかなり好きなタイプの曲。
それに、ピアノ伴奏が、メンデルスゾーンの室内楽曲と同じく、ピアニスティックで華やか。

ショーソン:昔の恋人op.2-2、魔法と魅惑の森でop.36-2、時の女神op.27-1
第1曲と第3曲はいずれも深い哀感のある詩情がとてもロマンティック。
「Dans la fort du charme et de l'enchantement/魔法と魅惑の森で」がかなり変わった作風。
特に、ピアノ伴奏はまさにタイトル通り、まるで”ラビリンス(迷宮)”の世界に迷いこんだような摩訶不思議さ。歌よりも印象的で、ピアノソロとして聴いても違和感がないかも。

ヴァンサン・ブショー:Galgenlieder(絞首台の歌)~月のこと、カワカマス、真夜中のネズミ、水、絞首台の子供の子守歌
ブショーは現代の作曲家なので、録音も少なく、Youtubeでも音源がほとんど見つからない。
『Galgenlieder(絞首台の歌)』という不気味なタイトルの歌曲集。
不協和的な和声もつ不安定感や、摩訶不思議な雰囲気の旋律とピアノ伴奏は、このアルバムのなかでは異色。
なぜか私の波長にぴったり合ってしまって、どの曲も面白い。
「DerHecht/カワカマス」は、パイクという魚のこと。カモのくちばし状の口から”カモグチ”とも言うらしい。いかにも現代音楽風のナレーティブでモノローグ的な歌。エキセントリックというか、ねじのハズレたような危なさ。
「Das Wasser/水」はまるで生き物のように思えるし、特にピアノ伴奏が”水”のもつ神秘的な雰囲気を出している。
この歌曲集は、このアルバムのなかでは思わぬ掘り出し物だった。

Sandrine Piau & Susan Manoff: Mondendinge - Galgenlieder - Vincent Bouchot


プーランク:モンパルナス、ハイド・パーク、セー(C)、華やかな宴
《Deux poemes d'Apollinaire》の「Montparnasse/モンパルナス」と「Hyde Park/ハイド・パーク」、
《Deux Poemes de Louis Aragon》の「C/セー」と「Fetes galantes/華やかな宴」。
「Montparnasse」と「C」は叙情的で美しく、「Hyde Park」と「Fetes galantes」はプーランクらしい軽妙でコミカル。
「Fetes galantes」のラストで、旋律が下行していくところは、ガクッと脱力してしまいそう。

ブリテン(民謡編曲):サリーの園、なぐさめる人もなく、なにゆえイエスは
珍しいブリテンの民謡編曲。
「I Wonder as I Wander/なにゆえイエスは」は、クリスマスとかに良く歌われているし、「サリーの園」も聴いたことがある(たぶん有名な)メロディ。
編曲に面白さがあるのかもしれないけれど、元々の民謡に詳しくないと、それがわからない。(メロディはそんなに変えられないだろうから、ピアノ伴奏のつけ方に特徴がある?)
ブリテンの編曲で聴かずとも民謡の録音は多数あるので、同じブリテンを歌うなら、ブリテンらしさが味わえるオリジナル曲を歌って欲しかった。
それでもピオーの歌声で聴いた民謡は美しく、ブリテンの選曲を除けば、とても満足感のあるアルバムだった。

tag : ピオー フォーレ メンデルスゾーン プーランク ブリテン

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トランス脂肪酸 ~ 米国FDAが安全性を否定、使用禁止へ
今朝の日経オンラインで、「トランス脂肪酸、米が使用禁止「心臓発作を予防」」という記事が出ている。それによると、

「FDAはトランス脂肪酸を「食用として安全と認められない」と暫定的に判断した。60日間の意見聴取期間を経てこの判断が最終的に確定すれば、許可を受けた場合を除き使用を原則禁止する。」

情報ソースは、米食品医薬品局(FDA)のニュースリリース(Nov. 7, 2013)

詳しい内容が報道されているのは、米国メディアの日本版。
「米FDA、トランス脂肪酸の安全性否定へ転換―禁止に向かう公算」(ウォールストリートジャーナル)
トランス脂肪酸の安全性否定 食品への使用禁止も 米当局(CNN Japan)


海外では、トランス脂肪酸(トランスファット)の成分表示を義務付けている国も多いのに、日本では表示義務が全くない。
国産品でトランス脂肪酸の含有量を表示しているのは、私が見た限りでは、トランスファットフリーのマーガリンくらい。
海外からの輸入品には、トランス脂肪酸の含有量を表示しているものをよく見かける。

日本では、”欧米人とは食生活が異なる日本人は、トランスファット摂取量が平均的には多くはないので、表示しなくても問題ない”と、厚生省も業界団体(マーガリン工業会などの)も言い続けてきたと思う。
食品安全委員会の「『食品に含まれるトランス脂肪酸』評価書」(は2012年3月)では、日本人のトランス脂肪酸の摂取実態として、「大多数は世界保健機関(WHO)の目標である、総エネルギー量の1%未満を下回っている。通常の食生活では、健康への影響は小さい。ただし、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要がある」記載されている。(出典;「トランス脂肪酸」気にするくらいなら禁煙を 脂肪酸との付き合い方(前篇)(JB PRESS、2013.10.18)

FDAがトランス脂肪酸を「食用として安全と認められない」と明言したことには、どう反応するんだろうか。
日本でトランス脂肪酸が入った製品を販売禁止にすると、スーパーの特売品で大量に並んでいるマーガリン、食用油、それらを使った加工食品(パン、お菓子、惣菜など多くの加工食品)まで対象になるので、メーカーから消費者に至るまで、影響は甚大。
成分表示さえ義務付けていないのに、FDAのように(近い将来)禁止措置にするとはあまり思えない。
まず、トランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けることが先。

それに、以前に調べた限りでは、トランス脂肪酸の使用を規制していても、今回のFDAのように食品への使用を原則として禁止している国は(おそらく)なかったはず。
トランスファットフリー製品といっても、トランス脂肪酸ゼロとは限らず、一定量以下のトランス脂肪酸を含有しているものもあり、その販売が認められている国が多い。
(摂らないに越したことはない)
トランス脂肪酸を摂らないに越したことはないと思うけれど、多量に摂取しなければ健康上の問題がどれくらいあるのだろうか。

WHO/FAOは、摂取量は全カロリーの1%未満にするよう勧告しているらしい。
ということは、全摂取カロリーが2000kcalなら、トランス脂肪酸(1g=9kcalとすると)の許容量上限は20kcal=約2.2g。
この程度の量なら、1日の食事(パン、揚げ物とか)とおやつ(お菓子・スナック)で、すぐに超えてしまいそうな気がする。

自分でトランス脂肪酸を極力摂らないようにするとすれば、
-トランスファットフリー以外のマーガリン・ショートニングは買わない。バターを買う。
-原材料表示を確認して、マーガリン・ショートニング・食用油が使われているものは避ける。(多くの加工食品が該当する)
-バター、トランスファットフリー製品、もともとトランスファットが含まれていない油(オリーブ油、ごま油などの搾油)を使って、手作りする。


<トランス脂肪酸に関する過去の記事>
食品中のトランス脂肪酸と飽和脂肪酸(2013.09.01)
トランス脂肪酸ゼロとトランスファットフリーは違う(2010.12.27)
トランスファットフリー・マーガリン(2007.04.30)
トランス脂肪酸(2) 国外の規制(2007.04.29)
トランス脂肪酸(1)(2007.04.28)

tag : トランス脂肪酸

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武満徹/リタニ、雨の樹素描、フォー・アウェイ
昔は全然受け付けなかった武満徹のピアノ作品。あまりに音の密度が低く、静寂で沈黙が支配するような内省的な音楽だったので、集中力が続かず、どうも私には合わない作風だと思ったものだった。
随分以前に聴いたピアノ作品集のCDは、もう聴くことがないだろうと思って処分してしまったので、それが誰の演奏だったか思い出せない...
記憶をたどると、最後のトラックに収録されていたのは《2つのレント》だったし、ジャケット写真が藤井一興の『武満徹 鍵盤作品集成』に似ていた。当時《2つのレント》を録音していたCDはこれだけだったはず。

久しぶりに買った武満徹のピアノ作品集のCDを数枚聴いてみると、意外なくらいに自然に耳に入ってくるようになっていた。
その理由を考えてみると、ドビュッシーやメシアンを随分聞くようになったことので、武満作品の和声的な響きに慣れたこと。
それに、音と音のあいだにある「間」、休止府、それに、残響の余韻が消えていく部分など、音が鳴っていない時に感じ取れるものがあるのに気がついたこと。
緩徐楽章はあまり好きではないのに、武満作品のゆったりと遅いレントやアダージョには、ニュアンス豊かというか、意味に満ちているように感じるものがあるので、自然に集中して聴いてしまう。

武満徹のピアノ作品はそれほど多くはない。作曲年順に列記すると、独奏曲では、

ロマンス(1949)
2つのレント(1950)
遮られない休息I (1952)
遮られない休息II (1959)
遮られない休息III (1959)
ピアノ・ディスタンス (1961)
ピアニストのためのコロナ (1962)
フォー・アウェイ(1973)
こどものためのピアノ小品 (1978)
閉じた眼I -瀧口修造の追憶に-(1979)
雨の樹素描I (1982)
閉じた眼II(1988)
リタニ -マイケル・ヴァイナーの追憶に-(1989)[2つのレントを改作したもの]
雨の樹素描II -オリヴィエ・メシアンの追憶に-(1992)


ピアノ協奏曲風の作品は数曲。《アステリズム》《弧(アーク)》《テクスチュアズ》《リヴァラン》、2台のピアノによる《夢の引用》、チェロとピアノのための《オリオンとプレイアデス》。

室内楽アンサンブルとオーケストラによる協奏的作品では、《クロッシング》《カトレーン》、室内楽曲では《悲歌》などで、ピアノが使われている。(武満徹作品一覧)

武満作品では、管弦楽曲よりも、室内アンサンブルやピアノ独奏曲の方がずっと聴きやすい。
管弦楽曲で好きなのは、《弦楽のためのレクイエム》や《ノスタルジア》、《精霊の庭》など、それほど多くはない。
室内楽曲や室内アンサンブルが入った曲は、それぞれの楽器パートがクリアで旋律も辿りやすく、和声もすっきり。
一番すっと聴けるのは、旋律がくっきりと浮かび上がってくるピアノ独奏曲。
好きな曲は、《リタニ》、《雨の樹素描Ⅰ・Ⅱ》、《閉じた眼》、《フォー・アウェイ》。
《フォー・アウェイ》以外は、それぞれ、瀧口修造(閉じた眼)、マイケル・ヴァイナー(リタニ)、オリヴィエ・メシアン(雨の樹素描Ⅱ)を追悼している。
比較的動きが多く、表情も多彩で、追悼曲として書かれていない曲よりも、ずっと叙情的。
故人を偲んで、過去の思い出や感情記憶を表現しているのだろうか。

リタニー -マイケル・ヴァイナーの追憶に-
初期のデビュー作《二つのレント》を改作したもの。Ⅰ.アダージョ(コン・ルバート) 、Ⅱ.レント・ミステリオーソの2楽章構成。(ピティナの作品解説)
武満徹のピアノ作品のなかでは、もっとも叙情的で美しいのではないか思う。

《リタニ Ⅰ》は、ゆっくりとしたテンポで静寂さが漂い、鎮魂歌のように重苦しさはあるけれど、とても美しい。
日本的音階(五音階)というのか、和楽器で弾く調べのような旋律と和声が頻繁に出てきて、日本式庭園・箱庭にある池や井戸の水面の静けさや水音を感じさせる。
ピアニストによって音色や響きの違いで、この印象は変わる。(これは小川典子の録を聴いた時の印象)

《リタニ Ⅱ》は沈鬱な雰囲気はやや薄らぎ、部分的に音の密度がはるかに増し、動的で浮遊感もあり、強い情感を感じさせる。
神秘的な雰囲気が漂い、メシアン風の音色・和声・旋律が頻繁に現れてくる。

Takemitsu - Litany
I. Adagio,II. Lento misterioso





雨の樹素描Ⅰ・Ⅱ(ピティナ作品解説)
《雨の樹素描Ⅰ》も、どこか異世界の風景のようなミステリアスな雰囲気。
リアルな雨と樹ではなく、ガラス細工のような人工的な質感がする。

《雨の樹素描Ⅱ-オリヴィエ・メシアンの追憶に-》は、最後に作曲したピアノ独奏曲。
メシアン風の色彩感豊かな旋律や和声が時々聴こえる。
低音~高音の異なる旋律と響きの重なりは、長さと音の密度の違いや、休止に漂う余韻が長く、いくつもの時間軸が交錯するような独特の感覚。


武満「リタニ」(クロスリー),「雨の樹素描Ⅰ&Ⅱ」(小川典子)
小川典子のピアノの音色は、録音を聴いた時はとても好きだったし、このライブ映像でも、ガラスか氷のように硬質で鋭く研ぎ澄まされて透明感があり、温度感も冷たく、美しい。





フォー・アウェイ
《雨の樹素描》よりは音も少なく響きもシンプル。
音の配列と響きの質感は、水滴がしたたり落ちているような。
いくつか演奏を聴いたなかでは、一番すっと入ってくるのが高橋悠治の演奏。
硬質でシャープなタッチ、残響が少なく厚みの薄い響きで、余計な飾りのない引き締まった演奏には、明晰さと理知的な鋭さを感じる。
音に少し柔らかさと丸みがあり、残響もふっと消えていくので、意外と聴き心地が良い。
なぜか時々、妖艶というか、セクシーというか、幻惑される何かを感じてしまうのが、ちょっと不思議。
武満作品を聴いた米国人のジャズ奏者は、一種の麻薬的な陶酔感を感じる人も多いという。
どうやらそれと似たものを私も感じているのかも。

Tōru Takemitsu: For Away (1973) (これはPeter Serkinの演奏)




<参考情報>
武満徹とピアノ

tag : 武満徹

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2014年にメモリアルイヤーを迎える作曲家
この時期になると、いつもチェックするのが、翌年メモリアルイヤーを迎える作曲家。
今回の情報源は以下の2つのサイト。

クラシック作曲家生没記念年一覧

作曲家記念年検索/Composer Anniversary Year Search
メモリイヤーが検索できるという、とっても便利なサイト。使うのは今回が初めて。
暦年だけでなく、検索する暦年の間隔(10、50、100年単位)も設定できる。
今のところ、登録データは100人分。生年・没年は検索結果に表示されないので、自分で調べないといけない。

50年刻みの周年でみると、私が知っている作曲家は

生誕300年 バッハ, C.P.E.(1714-1788)
没後250年 ラモー (1683-1764)
没後100年 リャードフ (1855-1914)
生誕150年 R.シュトラウス(1864-1949)
生誕300年 グルック(1714-1787)
生誕100年 早坂 文雄(1914-1955)
生誕100年 伊福部 昭(1914-2006)

興味があるのは、リヒャルト・シュトラウス。特に歌曲が好きでよく聴いている。
ピアノ作品の方は数も少なく、あまり知られていない。珍しくもグールドが録音している。

伊福部昭の作品は、数年前に集中的に聴いたことがある。
「ゴジラ」などの劇伴音楽は人気があるけれど、クラシック作品はすぐに伊福部作品とわかるくらいに極めて個性的。
特に好きな曲の《りトミカ・オスティナータ》は、日本のピアノ協奏曲のなかの名曲の一つ(だと思う)。
実演するにはピアニストにかなりの負担がかかる難曲らしく、演奏会のプログラムではあまり見かけたことがない。
録音も少ないけれど(私が知っている限り4種類)、今はピアニストの演奏技術もかなり高くなっているので、来年は演奏会で実演する日本のオーケストラが出てくるかも。
早坂文雄のピアノ協奏曲も聴いたはずなのだけど、よく覚えていない。ほかの作品ともども、また聴き直してみなくては。


《ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ》の録音で一番好きなのは、若杉弘指揮読売日本交響楽団と小林仁のピアノによる1971年の録音。
特にピアノが素晴らしく、速いテンポでも全く崩れずに弾き切っている。
畳み掛けるような勢いの疾走感と緊迫感は、いつ聴いてもゾクゾクッとするくらいにスリリング。
中間部のアダージョの日本的な旋律と響きを聴くと、遠い昔の絵巻物が浮かんで来る。
このCDはすでに廃盤。メモリアルイヤーの来年にはぜひ再発売して欲しいCDの一つ。

Akira Ifukube: Ritmica Ostinata (1961) 伊福部昭 リトミカ・オスティナータ



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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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