*All archives*

デュシャーブル ~ ベートーヴェン作品集(テンペスト、ワルトシュタイン、告別、創作主題による32の変奏曲)
注文後2日でアマゾンから届いたデュシャーブルの新譜。
CDで全曲聴いてみると、試聴ファイルで聴いて期待していた以上に、聴けば聴くほど素晴らしく思えたベートーヴェン。
今まで聴いたベートーヴェンのピアノ・ソナタ録音のなかでは、(方向性は違うけれど)レーゼルと同じくらいに好きになりそうなくらい。
冴えた技巧が素晴らしく、若いころのポリーニよりも技巧的には優れているのではなかろうかと。
ポリーニと違うのは、どんなに技巧の切れ味が鋭くても、無機質的なメカニカルさは全くなく、力感・量感を備えつつ、品の良い叙情感とパッションが伝わってくるところ。

試聴時の印象どおり、デュシャーブルらしく、かなり速めのテンポで、駆け抜けるように推進力があり、明快でメリハリの効いたフレージングと、切れ味良く軽快ながら、粒立ちのよい力感豊かなタッチで、引き締まって颯爽としたベートーヴェン。
技巧的に正確で安定感があり、タッチが強く硬めのわりに、響きに丸みがあって柔らかい。
力で押し通すような威圧感はないし、弱音は柔らかく、細やかで奥ゆかしさのある情感が品が良い。
どの曲も、過剰な感情移入もなく、軽やかで落ち着いた叙情感がとっても爽やか。

どの曲も外れることなく良かったけれど、特に好きなのは、ベートーヴェンのソナタのなかでもとりわけ好きな楽章のひとつ、《テンペスト》の第3楽章。
速めのテンポとバネのように弾力のあるタッチで、強弱のコントラストが強く、大きな起伏とうねるようなフレージングで、嵐というよりは、荒々しい波が岩に打ち寄せてくるようなイメージ。
特に、左手低音部がバネのように弾力があって、力強い。時々、第1拍目の音がつながって、くっきりと浮かび上がって、今まではあまり気がつかなかった隠れた旋律が聴こえてきたりする。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルとシュタイン」、第26番「告別」 他2015ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルとシュタイン」、第26番「告別」 他
(2015/7/22)
デュシャーブル(フランソワ=ルネ)

試聴ファイル


「ワルトシュタイン」は、起伏が大きくメリハリが良く効いて力感豊かで骨っぽく、構造がくっくりと浮かび上がって隅々まで明晰な演奏。
ペダルを浅く短く入れているのか、残響が少なく響きはクリアで、細部まで明瞭に聴き取れる。
第1楽章はポリーニの最初のスタジオ録音並みにテンポが速く、それでいて、一音一音明瞭で骨っぽいタッチ。バタバタとした慌しさは全然なく、疾走感が小気味良い。
左手低音部の同音連打は、まるで機関車がトットットットッと.疾走しているような感覚がする。
軽快だけど軽すぎず、強音部はほどよい力感でいかめしすぎず。
弱音部では、若干テンポを落とし、柔らかいタッチで歌い回しは穏やかで滑らか。落ち着いて優しげな情感が品良い。
緩急・硬軟のコントラストも強すぎることなく、このバランス感覚が私にはちょうど良い。
第3楽章も速めのテンポで、弱音部は軽やかで滑らかで、強奏部はアクセントがよく効いて、歯切れ良いタッチでリズミカル。
この楽章は第1楽章ほど好きではないのだけど、デュシャーブルの演奏は強弱・硬軟のコントラストが明瞭でダイナミックなので、最後まで面白く聴ける。
終盤のグリッサンドの部分は、グリッサンドにしては滑らかではないので、バックハウスと同じように、両手のオクターブでスケールを弾いていると思う。それにしては、テンポがほとんど落ちず、タッチも軽やか。

FRANCOIS-RENE DUCHABLE plays BEETHOVEN Sonata No 21 "Waldstein" (1995)



「告別」の第3楽章も、速いテンポで勢いよく、生き生きとした躍動感があって、再会の喜びが溢れ出てくるよう。
《自作主題による32の変奏曲》は、ヴェデルニコフの暗い色調で、峻厳で息き詰るような演奏とは違って、全体的にテンポがかなり速く、色調は明るめ。歯切れのよい打鍵で一音一音曖昧さも曇りもなく明瞭。急速の同音連打も精密。
急速系の変奏は切れ味良い技巧で一気呵成に弾き込むような勢いよく、、緩徐系の変奏は音色も叙情感も美しく、緩急の変奏のコントラストが鮮やか。


<参考情報>
デュシャーブル [ぴあのピアの徒然日記]
CDの解説にも書いていたけれど、コンサートピアニストの世界から引退するときに、ヘリコプターに吊るしたグランドピアノを池のなかに投げ捨てたという。

カツァリスのインタビュー記事[ものごっついピアニスト シプリアン・カツァリス]
デュシャーブルについて、かのルービンシュタインが「若手の中で私が理想と するピアニスト」と高く評価した話は有名。
カツァリスも、「同世代のピアニストでは誰に関心がありますか?」という質問に対して、「まず、デュシャーブル。彼は非常にタフで演奏に安定性があり 尊敬しています。」と答えている。


tag : ベートーヴェン デュシャーブル

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
吉村昭 『羆嵐』
日本獣害史上最大の惨事と言われるのが、北海道苫前の三毛別六線沢村で羆により村民殺傷された「三毛別羆事件」。
この事件を小説にしたのが、吉村昭の『羆嵐』。

Copland: Old American Songs羆嵐 (新潮文庫)                      
(1982/11/2)
吉村 昭



「三毛別羆事件」では、大正期に役所の勧告に従って、北海道の山間部にある六線沢村に入植した人々が羆に襲われ、10人が死傷(死亡者は7人)した。
三毛別羆事件(Wikipedia)

本土の熊と北海道の羆(ヒグマ)は、同じクマといっても、全く異なる動物。
木の実を主食とする穏やかな性格の本土の熊とはちがって、北海道の羆は肉食動物。牛・豚・鶏だけでなく、人間も羆にとっては単なる餌に過ぎない。
羆が出没する地域だとは知らずに入植した村民たちは、羆の恐ろしさを知らない。
冬眠する穴を見つけ損なったらしき羆が、餌を求めてある日突然民家を襲い、家の中にいた子供を殺し、その母親をさらって山中へ姿を消した。
その母親をほとんど跡形もなく食いつくした羆は、味をしめて、女を目当てに村中の家に順に押し入っては、獲物の女を探し回る。男は殺すだけで、決して食べない。
羆を恐れて無人になった村に見切りをつけて、羆が餌を求めて下流へと下っていくと予想されるため、その途上にある村々でも、村民たちがより下流の村へと慌てて逃げ出していく。

村人たちの恐怖感、(意外にも)賢い巨体の熊の獰猛さと俊敏さ、熊退治に乗り出した200人あまりの近隣の村民たちの無力さ、熊が骨を噛み砕いて人間を食い荒らしていく様子とか、リアルにその情景が思い浮かんでくる。
特に、人間を食っている様子は、直接的な描写をするのではなくて、羆が骨を砕く音が村人に聞こえたり、目撃した少年の話だったりして、間接的に描いているのだけど、それだけでも十分凄まじい....。
凄惨な状況と緊迫感が文字面から伝わってきて、読んでいるだけでも、その場面が目に浮かんできたりするので、だんだん気分が悪くなってくる。

そこに村人たちが期待をかけるのが、鬼鹿村の猟師「銀四郎」。「銀オヤジ」とも言われている。
羆を何頭も仕留めてきた凄腕の”熊撃ち”(猟師)なのに、乱暴者で酒乱で暴力沙汰は数知れず。近隣の村人たちからは忌み嫌われている。
しかし、警察署長と200人近く集まった救援隊(討伐隊)の男たちは何の役にも立たないので、日頃の嫌悪感は棚上げにして、三毛別を預かる区長は銀四郎に羆狩りを頼む。
羆狩りの最中の銀四郎は、酒を飲んでいるときとは(まるでジキルとハイドの如く)別人のようになる。

村民も救援隊の男たちも熊の影に怯えて足を踏み入れたがらない六線沢村に、案内役の区長と共に平然と向かう銀四郎。
銀四郎と2人だけで羆に荒らされた村中の家々の状況を調べていた区長は、それまで退治してきたのとは違う異質な羆だとわかった銀四郎の顔に、恐怖が色濃くうかんでいるのに気が付く。

羆に襲われた家に「囮」(餌)として残された遺体のなかで、女だけを羆は食い散らし、まだまだ食い足りないので女体を求めて村中の家を荒らし回し、女の匂いのする衣類や寝具を漁り、引き裂いて、大暴れ。
はては、女の持ち物だった湯たんぽ用の石までかじっていた。
人気のない村中を徘徊する羆の行動を調べることは、銀四郎以外には誰にもできなかったため、区長も村人たちも銀四郎を頼りにするようになる。

農家で休息する銀四郎に丼に入れた焼酎を持っていった区長は、銀四郎がほとんど酒を残したことが意外だった。

 「この男は本物のクマ撃ちなのだ、と彼は思った。銀四郎が酒を飲み争いを好むのは猟期以外のことで、山中で羆を追う間は酒を口にすることもないのだろう。かれは、神経が酒によって麻痺し猟の障害になることをおそれているにちがいなかった。
 かれは、妻に逃げられ、子供にも去られた寂寥をいやすように、酒を飲むこともせず羆を追って山中を歩きまわるのだろう。」


羆の性癖や行動パターンを熟知している銀四郎は、冷静で的確な状況判断で、羆を追い、背筋を伸ばした安定した姿勢で銃を構えて、2発の弾丸で心臓と頭の急所を撃ち抜き、見事に仕留める。

仕留められた熊は、解体され、骨と内臓は廃棄。商人が買い取る毛皮、高価な肝、肉が残された。
地域の仕来りでは、羆に襲われた村では、その羆の肉を食べることが死者の供養になるという。
入植者だった村民たちはその仕来りを知らず、女を食い殺した羆の肉を食べることなどできないと言う。
それが仕来りだと言う銀四郎の強い言葉で、区長は羆の肉を食おうと決め、大鍋で羆の肉を茹でる。
最初は嫌がった村人たちも、滅多に口にすることができない肉の匂いに食欲を刺激され、箸も進み、どんどん肉を食べていく。その姿は、まるで儀式のようにだった。

羆狩りが終わり、羆と対峙する恐ろしさから解放された銀四郎は、いつものように、酒を飲むと癇癪を爆発させて傍若無人な彼に戻り、村人に金を要求する。

「区長は羆を仕とめた折にふりむいた銀四郎の顔を思い起こしていた。その顔には血の気がなく、区長は初めて羆撃ちの名手といわれているかれが、死の恐怖とたたかいながら熊と対したことを知った。(略)
 銀四郎は、自分の体が熊の爪で引き裂かれ骨をくだかれて食い尽くされる恐怖にさらされながら、照準を定め引き金を引いたにちがいない。羆はかれの死を賭した行為によって仕とめられたものであり、それに対して報酬をあたえ、感謝の意をしめすべきであった。」


結局、羆の肝(仕留めた人間がもらう仕来り)と、貧しい六線沢村民たちと区長が差し出した謝礼の50円と、一升瓶の焼酎を手にして、銀四郎は酒を飲みながら鬼鹿村へ帰っていく。
(それに、銀四郎に羆退治を頼んだとき、彼の銃は50円の借金と引き換えに質として鬼鹿村の村長に差し出されていたので、それを知った区長が銃を引き出すために50円を出し、派遣された村人が村長に渡している)

事実描写主体の客観的・即物的な文体が、ごつごつとした岩のような固さと無機的で暗い雰囲気をかもし出し、実際の事件の凄まじさを厳然と浮かび上がらせて、下手なホラー小説を読むよりもずっと恐ろしい。


<関連書籍>
『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』 (文春文庫)

tag : 吉村昭

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
【新譜情報】デュシャーブル ~ ベートーヴェン作品集(テンペスト、ワルトシュタイン、告別、創作主題による32の変奏曲)
レコ芸9月号に載っていたフランソワ=ルネ・デュシャーブルの新譜はベートーヴェン作品集。
コンサートピアニストの表舞台から自ら去ったデュシャーブの最新録音???
記事を読んでみると、新譜といっても1995年にスタジオ録音したもので、国内盤は未発売だった。
でも、輸入盤も見かけたことがない....。(調べてみると、廃盤のためamazonでは中古CDが異常な高値になっている)

最新録音でなくても、デュシャーブルの演奏ならとても興味があったので、試聴ファイルですぐに試聴。
デュシャーブルらしく、明快でメリハリの効いたフレージングと、切れ味良く軽快ながらゴツゴツとした力感豊か。
躍動感のある引き締まった演奏で、颯爽としたベートーヴェン。
ベタベタと引き摺ることなく、透き通るように軽やかで生き生きと湧き出るような叙情感がとっても爽やか。
こういう演奏なら、この暑苦しい夏の最中で涼しげに聴こえる。
冒頭だけ聴くと、これは全部最後まで聴いてみたい気になってくる。特に《テンペスト》の第3楽章。(この曲で波長が合いそうなら、他の曲でもたぶん大丈夫)
最近はどうしても聴きたくなるような録音が少なくなったせいで、CDはほとんど買っていないのだけど、これはすぐに注文。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルとシュタイン」、第26番「告別」 他2015ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルとシュタイン」、第26番「告別」 他
(2015/7/22)
デュシャーブル(フランソワ=ルネ)

試聴ファイル

<収録曲>
● ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 op.53『ワルトシュタイン』
● ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 op.31-2『テンペスト』
● ピアノ・ソナタ第26番変ロ長調 op.81a『告別』
● 創作主題による32の変奏曲ハ短調 WoO.80
1995年3月、ラ・ショー=ド=フォン(スイス)にて録音


FRANCOIS-RENE DUCHABLE plays BEETHOVEN Sonata No 21 "Waldstein" (1995)

「ワルトシュタイン」は、起伏が大きくメリハリが良く効いて、力感強くて、躍動感溢れて、表情豊か。そのわりに、タッチが骨っぽくて、構造がくっきり浮かび上がり、隅々まで明晰。
ペダルを浅く短く入れているのか、残響が少なく響きはクリアで、細部まで明瞭に聴き取れる。
第3楽章終盤のグリッサンドの部分は、バックハウスと同じように、両手のオクターブでスケールを弾いているように聞こえる。(それにしては、ほとんどテンポが落ちていない)


<過去記事>
フランソワ・ルネ・デュシャーブルの録音

tag : ベートーヴェン デュシャーブル

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
津村節子 『紅梅』
作家の津村節子が、夫である吉村昭の闘病生活を綴った小説『紅梅』。
夫妻の名前は「育子」と「夫」になっているけれど、小説というよりはほとんどノンフィクションの闘病記。(でもフィクションの部分も混じっているのかも)
舌癌の放射線治療、膵臓癌の摘出手術とインシュリン療法、抗がん剤治療に免疫療法、在宅治療など、闘病の様子を中心に、夫が病気のことを隠しながら続けていた著述・講演・取材活動、デビュー前後からの育子と夫の生活の回想、夫が生前に書いていた遺書の内容など、文字で追うドキュメンタリーのように思えてくる。
小説は3人称(第三者の視点)で書かれているのだけれど、まるで「育子」自身が一人称で書いているように錯覚してしまう。(実際、著者自身が「育子」そのものなのだから、錯覚ではないのだけど)

作家の育子は原稿の締め切りに追われて、夫の看病も十分にできない。
「本当に、小説を書く女なんて、最低だ。」と思ってしまう。

夫の遺作となった作品『死顔』に書かれていた一節。
 
 幕末の蘭方医佐藤泰然は、自らの死期が近いことを知って高額な医薬品の服用を拒み、食物をも断って死を迎えた。いたずらに命ながらえて周囲の者ひいては社会に負担をかけないようにと配慮したのだ。その死を理想と思いはするが、医学の門外漢である私は、死が近づいているか否かの判断のしようがなく、それは不可能である。泰然の死は、医学者故に許される一種の自殺と言えるが、賢明な自然死であることに変わりはない。

入退院を何度か繰り返し、最後は自宅で療養していた夫は、食べることができなくなっていた。
点滴のための管と、首の静脈につなげられたカテーテルポートを使って、栄養を摂っていた。
このまま在宅治療がずっと続いて生き延びていくように思っていた育子。
しかし、突然連絡もせずにやって来た高名な主治医は、もし夫が自宅で亡くなった時にどう対応すれば良いか、家族に告げる。

それから、何日かが過ぎ、夫は止められていたコーヒーとビールを少しだけ美味しそうに口にした日の夜、点滴管のつなぎ目を外し、次にカテーテルポートを自ら引き抜き、「もう死ぬ」と言った。そして、もうほとんど体力も残っていないはずなのに、頭を北向きに変えようとして、ベッドの上で自ら身体を半回転させた。
夫の呼吸が止まったときに育子が叫んだ言葉は、「あなたは、世界で最高の作家よ!」。

夫は、佐藤泰然のように断食することはできなかったけれど、自動的に栄養を送り続ける医療器具を身体から抜き捨てることで、泰然と同じように「食」を断った。自らの意志で最期の時を決めたということなのだろう。

Copland: Old American Songs紅梅 (文春文庫)
(2013/7/10)
津村 節子



書評:『紅梅』 (津村節子 著) 解説 最相 葉月


闘病記というのはあまり好きではなくてほとんど読まないのだけど、この『紅梅』だけは何度も読んでしまった。
なぜかと考えてみると、長年癌との闘病生活を送っていた母親と、最期の頃には数ヶ月間病室に泊まり込んで会社に出勤したり、病室で仕事していた自分のことが、「夫」と「育子」の姿にオーバーラップしてきたから。
普段はほとんど思い出すこともないのに、『紅梅』を読み進んでいくと、その頃の様子や心理が記憶の中からリアルに甦ってくる。


tag : 津村節子 吉村昭

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
吉村昭 『破獄』
暑い最中に音楽を聴こうという気があまり起こらず、今はもっぱら読書。
夏のブックフェア「新潮文庫の100冊」のパンフレットを見ていて、興味を魅かれたのが吉村昭の『破獄』。
さらに、『戦艦武蔵』、『零式戦闘機』、『海の祭礼』、『冬の鷹』、『アメリカ彦蔵』、『大黒屋光太夫』、『高熱隧道』、『プリズンの満月』、『仮釈放』、『落日の宴』、『羆嵐』にエッセイなど、10冊以上立て続けに読んでいる。

吉村昭の小説は数ヶ月前に読み始めたけれど、司馬遼太郎の歴史小説よりも、ずっとノンフィクション的。
ノンフィクションノヴェルや”記録文学”というジャンルになるのか、小説はほとんど読まなくなったノンフィクション好きな私の好みにピタっと合っている。
今まで読んだ吉村作品は、『白い航跡』、『夜明けの雷鳴』、『深海の使者』、『海の祭礼』。
どれも全く外れることなく、一気に読み通してしまうほど面白い。
寝る前に少しだけ.....と思ってうっかり読み始めると、読み終わるまで眠れない。

破獄破獄
(1986/12/20)
吉村昭



『破獄』は、太平洋戦争の渦中、昭和20年前後に4ヶ所の刑務所(青森、秋田、脱獄不可能といわれた網走、札幌)から脱獄・逃避行を繰り返した無期刑囚人をモデルにした小説。
小説中では、無期刑囚人は「佐久間清太郎」と言う名前になっており、他の登場人物もほとんどが仮名。

著者自身は「佐久間」自身に合ったことは無く、公式記録や当時の看守・刑務所長たちへの取材を行っているせいか、本書は、脱獄囚の行動や心理を中心に描写するのではなく、当時の刑務所組織の管理体制や、看守側の立場・行動・心理を追っている。
脱獄方法や逃亡生活も、佐久間自身に語らせる場面は少なく、脱獄後に看守や警察官が検証した過程で説明される。看守たちの立場や視点に立って読むことになる。
『アルカトラズからの脱出』や『ショーシャンクの空に』とかの映画なら、脱獄囚にスポットを当てた方が面白いだろうけど、文字になると、想像しがたい脱獄囚の視点から書かれるよりも、脱獄を防ごうとする監視側(刑務所長や看守たち)の行動を描いた方が面白く読める気がする。

佐久間がいかに天才的な脱獄犯であるかという札幌刑務所戒護課長・亀岡梅太郎の佐久間評。
「佐久間は、学歴などもなく外観的には鈍重な男にみえる。これに対して、十分な教育と経験をそなえた刑務所の幹部や老練な看守たちが、あらゆる対策をねって闘争を阻止しようとつとめてきたのに、彼は意表をついて脱獄する。明治以来、破獄をはたした者は多いが、佐久間のように緻密な計画性と大胆な行動力をそなえた男は皆無であった。」

その佐久間に畏敬に似た感情を抱き始めた自分自身に驚く亀岡は、「彼の人間としての能力は、破獄にのみ集中されている。もしもその比類ない能力が他の面に発揮されれば、意義のあることをなしとげたに違いない、彼が悲運な男にも思えた。」

最後に収監された府中刑務所長の鈴江圭三郎は、佐久間に対して、今までの刑務所とは違って、苛酷な扱いと厳重な監視で脱獄を防ぐのではなく、普通の囚人同様に扱い脱獄しようという気を削ぐ、いわば”北風”ではなく”太陽”作戦をとった。
佐久間は、府中刑務所を脱獄することはせず、模範囚として過ごすようになり、54歳のときに仮釈放された。
佐久間自身が「疲れましたよ」という言葉のとおり、鈴江が考えるに「想像を絶する智力と労力を要する4回の破獄と逃亡生活で、彼の人間としての力は燃え尽きてしまい、脱獄への執念も気力も萎えてしまったのかもしれない。」

あの手この手で脱獄防止対策を講じていったり(結局脱獄されてしまうけど)、他の刑務所に移送する際の異常な手錠・足枷をはめて、多数の看守が監視するなど、いかに看守たちが脱獄・逃亡を恐れていたのか、よくわかる。

脱獄を巡る話以外にも、刑務所行政や特に刑務所内の運営・管理の状況が詳しく書かれている。
- 徴兵による人手不足、戦後は待遇の悪さで看守が集まらず、看守の人材難が顕著。
- 戦況も押し詰まってくると、囚人たちも刑務所外の工場で働いたり、空襲後の焼け跡の遺体処理をしたりと、囚人も貴重な労働力だった。
- 終戦後、多数の軍人が復員し、犯罪も急増していったため、刑務所が定員オーバーの多数の囚人を収容。監視する立場の看守たちの方が、逆に膨れ上がった囚人たちに監視されているように感じるようになる。
- 囚人の集団脱走や相次ぐ暴動など、終戦直後は刑務所内の監視体制や秩序が崩れ混乱する刑務所も出てくる。
- 戦中の看守不足を補うため、囚人に囚人を監視させる「特警隊員」制度の創設。(戦後になって、刑務所を牛耳るような囚人が出てきたため廃止)
- 戦中・戦後の食料不足のときでも、囚人の不満が暴動につながることを恐れて、囚人には(原則として)白米6合が毎日支給されていた。そのうち支給される米も不足して食事内容も悪化するが、それでも、一般国民よりも恵まれた食生活だった。
- しかし、支給される主食は多くても、副食が乏しいため栄養失調になる囚人が多かったため、刑務所内での囚人の死亡率が国民平均よりも高くなっていく。
- 網走刑務所は、敷地内で農産物が豊富に収穫できたし酪農場もあったのでほぼ自給自足。食料事情は他刑務所に比べてかなり良かった。
- 戦後になると、刑務所もGHQの指揮下に入る。GHQは看守たちによる囚人虐待を厳しく追及した。

最後のところで、「巣鴨プリズン」の話がちょっとだけ出てくる。
この「巣鴨プリズン」を題材にして書かれたのが、10年以上後に発表された『プリズンの満月』。


この実在の無期刑囚人は、昭和の脱獄王と言われた「白鳥由栄」。
行刑史では伝説的な脱獄犯だったらしく、本も数冊出ているし、『破獄』はNHKでドラマ化されている。

昭和の脱獄王「白鳥由栄」



ドラマスペシャル「破獄」(1985年放送・ダイジェスト映像)[NHKアーカイブス/NHK名作選 みのがし なつかし主な番組)


脱獄王―白鳥由栄の証言 (幻冬舎アウトロー文庫) :史実とインタビューを元にしたノンフィクション。
脱獄王―白鳥由栄の証言 (幻冬舎アウトロー文庫) 文庫 脱獄王―白鳥由栄の証言 (幻冬舎アウトロー文庫) 文庫
(1999/06)
斎藤 充功


白鳥由栄事件[事件録]

tag : 吉村昭

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
『大人気料理家50人のニッポンのおかずBest500』
料理ブックは数十冊持っているし、新刊本も図書館でかなりチェックしているので、最近は買ってまで手元に置いておきたいと思う料理ブックがなかなか見つからない。
たまたまブックフェアで見つけたのが、『大人気料理家50人のニッポンのおかずBest500』 (主婦の友百科シリーズ)。
普通、レシピブックは100頁前後の本で千円~1500円くらいする。
この本は250頁のカラー写真入りで、コメント付きのレシピが500件も載っているのに、定価が1500円くらい。
元々コストパフォーマンスが非常に高いところに、2012年発行なので再販制度から外れて、半額になっていたので、つい衝動買いしてしまった。

amazonでもアウトレット本として、同じディスカウント価格で販売していた。(今は定価販売に戻っている)
「アウトレット本」というのは、発売から一定期間が経過した新刊本の中から、出版社が再販指定(店頭販売価格を決める権利)を解除した本のこと。
書店側で自由に価格設定できるので、掘り出し物が見つかることもある。

大人気料理家50人のニッポンのおかずBest500【アウトレット品】 (主婦の友百科シリーズ) ムック大人気料理家50人のニッポンのおかずBest500【アウトレット品】 (主婦の友百科シリーズ) ムック
(2012/10/2)




今、日本でもっとも人気があり、注目されている料理研究家・シェフ・料理人50人の「自分にとってのニッポンのおかず」ベストレシピ。
思い出の味、郷土の味、自分が元気になれる味がいろんなストーリーとともに紹介。
掲載されている料理家は、読者1000人アンケートで選ばれた50人。
有元葉子、石原洋子、板井典夫(マロン)、市瀬悦子、今泉久美、ウー・ウェン、枝元なほみ、杵島直美・きじまりゅうた、コウケンテツ、小林カツ代、鈴木登紀子、浜内千波、寺田真二郎、野崎洋光、道場六三郎、平野レミ、相田幸二、藤井恵、笠原将弘、坂田阿希子、庄司いずみ、飛田和緒、平野レミ、ヤミー、川上文代、上田淳子、平野由希子、など。
経歴を見ていると、栄養科のある大学・専門学校で栄養士・管理栄養士、調理師専門学校出身、料理ブロガー、マスコミ(放送局、出版社など)で料理関係の仕事をしていて転進、料理教室主宰者、親が料理研究家や料理人など、様々。

料理レシピに、ポイントや思い出など、短いコメントがいろいろ書かれていて、読む部分が多いのが◎。
写真も色鮮やかで綺麗だし、レイアウトも読みやすい。
なかには、箇条書きではなく、改行せずに文章として書き込んでいるレシピがいくつかあり、これは読みにくい。
1頁に載っているレシピは、だいたい2~3種類なので、レシピ数が合計500くらいと多数。
(巷のレシピブックでは、見開きで写真とレシピが左右に1点づつとか、1頁に1レシピというのも結構ある)
レシピ自体は料理家別にまとめられているので、ご飯もの、魚料理、野菜料理というようにカテゴリー別ではない。
索引はカテゴリ・食材別に載っているので、すぐ見つけられる。似たような名前のレシピが並んでいるので、誰のレシピかまではわからない。

どちらかというと、和食が少し多い感じ。(私が洋食をあまり作らないせいで、そう思うのかも)
切干大根、おから(卯の花)、ひじきを使ったご飯やおかずが、わりとよく出てくる。
洋食系は、坂田阿希子さん、辻調理師専門学校出身の上田淳子さんと川上文代さん。(和食も載っているけど)
おかずのレシピ本といっても、スープやお汁、まぜご飯、お寿司、パスタに麺類とか、いろいろ載っている。
デザート系はほとんどなし。(おはぎ、ヨーグルトムース、バナナ&クリームチーズくらい)
50人のレシピを見ていると、作りたい料理レシピが多い料理家とそうではない料理家(たいてい肉料理が多い)、料理としては食べたいけれど作るのが手間(とくにフランス料理)、とか、料理家との相性がよくわかる。

鈴木登紀子さんのレシピは、彩りが良くて、盛り付けも上品。
「秋色ごはん」は、紅葉にんじん、いちょう卵、松葉ごぼうがトッピングされていて、綺麗な絵みたい。
炊き立てご飯にゆかりを混ぜて、刻んだくるみをあしらった「ゆかりごはん」は簡単なので、早速晩御飯に。
紫色のゆかりの白いご飯の上に、黄色いクルミがくっきり鮮やか。ゆかりのしそ味よりも、細かく刻んだクルミの甘みがしっかり味わえて、いつものゆかりご飯とは違う美味しさ。これは定番のご飯にしたい。

武蔵裕子さんの「なまり節ご飯」は、なまり節の炊き込みご飯。なまり節は店頭で見るけれど、使ったことがないので、一度作ってみたい。
川上文代さんの「みそピー」。ピーナッツに味噌&砂糖&酒の衣を絡めるだけ。随分昔に作ったことがあり、これは美味しくて、食べ過ぎ注意。
枝元なほみさんの「ガパオ」。タイから輸入したガパオペーストを持っているけど、このレシピはオイスターソース、ナンプラー、豆板醤を混ぜ合わせて作るので、簡単。
大庭栄子さんの「ひよこ豆のディップ」。中近東料理で「フムス」という。ひよこ豆も好きなので、乾物や缶詰をストックしてから、これはすぐに作れる。
奥園尋子さんの「さば缶ずし」は水煮缶に味付け。私はサバ缶(特に味噌煮缶)が好きなので非常時用に20個くらい常時ストック。新しいものと入れ替えるときに、醤油・みりんを加えて煮ると、おかずやお寿司の具に便利。
唯一、手づくりパンのレシピが載っていたのが、ヤミーさんの「20分でできるクイックヨーグルトブレッド」(ベーキングパウダー使用)。

料理家が50人もいると、レシピにバラエティがあって、読んで楽しく、使って重宝。
今まで買ったレシピブックのなかでも、質・量ともにベストな本の1冊。
コープランド/エミリー・ディキンソンの詩による歌曲(ピアノ伴奏版/管弦楽伴奏版)
《アパラチアの春》で有名なコープランドは、数は多くはないけれど、《ピアノ協奏曲》や《ピアノソナタ》に小規模な独奏曲など、いくつか残している。
現代アメリカの有名な作曲家のなかでは、アイヴズのピアノ作品はどうにもとっつきが悪かったけれど、コープランドは多少はとっつきが良く(曲によってかなり違う)、一番聴きやすいのはバーバー。

コープランドを初めて聴いたのは、ドーン・アップショウの初期のベストアルバムらしき『花の挨拶』に収録されていた有名な《エミリー・ディキンソンの8つの詩による歌曲》の一曲、”The World feels dusty”(世界は塵のような)。
この歌曲集には、「8つの詩」と「12の詩」の2種類の作品があるらしく、調べてみると、歌曲が12曲あるのはピアノ伴奏版で、8曲しかないのが管弦楽伴奏版。
最初にピアノ伴奏版を書いて、その後で管弦楽曲伴奏版に編曲している。
聴く比べてみると、ピアノ伴奏よりも(管楽器を多用した)オーケストラ伴奏の方が空間的な広がりがあって、現代的な乾いた叙情感や黄昏れた明るさがあって、意外と清明な感じがする。
どちらというと、ピアノ作品より歌曲の方が親近感を感じるところがあって、じんわりと染み透るような味わい深さがある。

ドーン・アップショウは、ヴォルフ指揮セントポール室内管弦楽団の伴奏なので、8曲のみ。
"The World feels dusty"は、日が沈んでいくように、どことなく侘しげな明るさが漂う。

Copland : "The World feels dusty"

歌詞(梅丘歌曲会館「詩と音楽」)


Copland : "Heart, we will forget him"
(performed by Dawn Upshaw and the Saint-Paul Chamber Orchestra conducted by Hugh Wolff)

歌詞(梅丘歌曲会館「詩と音楽」)

"Nature, the Gentlest Mother"は、管楽器の音色やリズムが生き生きとして、タイトルどおり自然の息吹溢れるように明るく、温もりと安らぎを感じる曲。

Copland : "Nature, the Gentlest Mother"

歌詞(梅丘歌曲会館「詩と音楽」)


アップショウの《エミリー・ディキンソンの8つの詩による歌曲》が収録されているコープランド作品集。
こちらは曲集名が”12 Poems of Emily Dickinson”となっているけれど、収録されているのはオケ伴奏版の8曲。

Copland: Old American SongsCopland: Old American Songs
(2005/6/6)
Thomas Hampson (Baritone),Hugh Wolff (指揮), Saint Paul Chamber Orchestra (オーケストラ), Dawn Upshaw (Soprano)

試聴ファイル



バーバラ・ボニーによる《エミリー・ディキンソンの12の詩による歌曲》全曲。ピアノ伴奏はアンドレ・プレヴィン。
Barbara Bonney: The complete "12 poems of Emily Dickinson" (Copland)


全曲の訳詩(梅丘歌曲会館「詩と音楽」)

tag : コープランド アップショウ ボニー

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
ツィンマーマン&ロンクィッヒ ~ 現代フランスのヴァイオリンソナタ集
フランク・ペーター・ツィンマーマンは、EMI時代にピアニストのアレクサンダー・ロンクィッヒとデュオを組んでいた。
EMIに録音したヴァイオリンソナタは、モーツァルト、プロコフィエフ、ドビュッシー、ラヴェル、ヤナーチェクと、かなり地域・作風の違う曲が並んでいる。
それ以外の録音があるのを知らず、たまたまYoutubeで見つけたのが、フランスの新古典主義作曲家のヴァイオリンソナタ集の音源。
「フランス6人組」(20世紀前半フランスで活躍した6人の作曲家:ルイ・デュレ、アルテュール・オネゲル、ダリウス・ミヨー、ジェルメーヌ・タイユフェール、フランシス・プーランク、ジョルジュ・オーリック)のうち、ミヨー、プーランク、オーリック、さらに少し世代の古いサティと若い世代のフランセも収録した珍しい選曲。
調べてみると、EMIからCDが発売されていたけれど、今は廃盤で、MP3ダウンロードもできない。

Auric; Francaix; Milhaud; Poulenc; SatieAuric; Francaix; Milhaud; Poulenc; Satie
(1996/11/27)
Alexander Lonquich,Frank Peter Zimmermann

商品詳細を見る

<収録曲>Georges Auric/Sonata in G major (1936)
Jean René Désiré Françaix/Sonatina (1934)
Erik Satie/Choses vue à droite et à gauche -sans lunettes(左と右に見えるもの-眼鏡なしで) (1914)
Darius Milhaud/Sonata No 2 op 40 (1917)
Francis Poulenc/Sonata (1942/43, revised 1949)

プーランクのソナタ以外はどれも聴いたことがない曲ばかり。
東洋や東欧(?)のエキゾチックな雰囲気も漂って、当時はこういう作風が流行っていたのかも。
サティの曲の冒頭部分を聴くと、なぜかティンティナブリ様式のペルトを連想してしまった。
もともと好きなプーランク以外だと、オーリックのソナタがプーランクに似ていて、軽妙洒脱でコロコロ曲想が変わっていくので面白い。

Popular Alexander Lonquich & Frank Peter Zimmermann videos

Francis Poulenc, Sonata (1942/43, revised 1949) Mov I (Zimmermann, Lonquich)


Georges Auric, Sonata in G major (1936) Mov I (Zimmermann, Lonquich)


Darius Milhaud, Sonata No 2 op 40 (1917) Mov. I (Zimmermann, Lonquich)


Erik Satie, Choses vue à droite et à gauche (sans lunettes) 1914 (Zimmermann, Lonquich) Mov I


FRANÇAIX Sonatina (1934) | F.P.Zimmermann, A.Lonquich | 1991 (Youtube


ドビュッシー、ラヴェル、ヤナーチェクのヴァイオリンソナタ集。(こちらも廃盤。MP3ダウンロードで販売中)

Debussy/Ravel: Violin SonatasDebussy/Ravel: Violin Sonatas
(2003/12/25)
Alexander Lonquich,Frank Peter Zimmermann

試聴ファイル

<収録曲>
debussy/Violin Sonata (1917)
Ravel/ Violin Sonata (1927)
Janacek/Violin Sonata (1922)
Ravel/Violin Sonata posthume (1897)

tag : ツィンマーマン ロンクィッヒ プーランク サティ ミヨー フランセ オーリック

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
大豆粉を使った食パン・スコーン・スイーツレシピ
<大豆粉の種類>
糖質の少ないパンやケーキ・クッキーを作るときに、小麦粉や米粉のかわりに、小麦ふすま、大豆粉、おからパウダーなどを使うのが流行っている。
特に低糖質パンは、大豆粉とグルテン粉をメインに使うレシピが多い。

定番の大豆粉というと、すずさやか、ユウテックの「珠美人」、パイオニア企画の大豆粉、みたけの大豆粉(ホッカンの大豆粉もみたけ製らしい)。
みたけの大豆粉は、生の大豆粉に加熱処理をした「失活」大豆粉なので、これで独特の匂いがほとんどなくなるという。

おからパウダーと小麦ふすまはユウテックで買っているので、大豆粉もユウテックの「珠美人」を一緒に購入。
「珠美人」は失活処理をしていないので、膨らみが良いけれど、匂いがキツイと不評。
たしかに材料を全部混ぜてみると、水を吸ったら、大豆特有の青臭い匂いがする。
これは、乾燥大豆から豆乳を作るときの匂いと同じなので慣れているし、熱湯でふやかしてから使えば、その匂いは消える。(これを「失活処理」というらしい)
水分を加えると、かなり粘りのある生地になる。ユウテックの大豆粉の特徴らしい。

大豆粉の配合量が2割くらいなら、焼き上がれば匂いも味も青臭みはすっかり消えるので、「失活処理」をせずとも、パンを作るには問題なし。
大豆粉100%クッキーや大豆粉60%のソイスコーンを作ったときは、「失活処理」せずとも、大豆っぽい青臭みは残らず、特に変な匂いがするということはない。(私が気にならないだけかも?)

<参考:ユウテックの大豆粉「珠美人」の使い方>
HBで低コスト・低カロリーな全粒粉風・湯捏ね大豆粉パン(珠美人)~低糖質[キッチンは実験室♪~Experiment in the kitchen]
小麦ファイバー入り湯捏ね大豆粉パン~低糖質[同上]
-超微粉ならではの焼き上がりの軽いパン。
-生の大豆粉なので、「粘り」があり、膨らみが良くなる。
-熱湯で溶いて、さらにお酢を入れると、特有の青臭みが消える。(失活処理)

大豆粉・すずさやか[お砂糖のないスイーツ]

「すずさやか」の特徴は、「すずさやかのご紹介です。リポキシゲナーゼがないので青臭くない大豆です」に詳しく記載されている。


[2016.1.6 追記]
最近新発売されたらしいマルコメの「ダイズラボ」。
糖質は75%カット。200g入り1kg入りの2種類。
200g入りパッケージを近隣のイオンの店頭で見かけて、試しに300円くらいで購入。
1kg入りはamazonで1,131 円(送料込、2016.1.5現在)で販売中。数種類発売されている大豆粉のなかでは、単価はおそらく最安値レベル。
低温で焙煎処理済みなので、大豆の青臭い匂いがしない。
粒がさらさらしているので、ふるわなくてもダマにならない。混ぜていても粘り気が出ないので、とても扱いやすい。
難点は、「珠美人」に比べて、あまり膨らまないこと。ソイスコーンは、山型というより、台形みたいになってしまった。

ダイズラボ・ブランドサイト[マルコメ]


<大豆粉入り食パン>
糖質減!大豆粉入り食パン!!簡単おいしい [cookpad]
HB(ホームベーカリー)でつくる大豆粉入り食パン[HB(ホームベーカリー)レシピ]

食パンコースを使ったレシピだと、水が200ccで、水分量80%の高加水パンになって、生地がドロドロ。途中で粉を10gくらい追加した。
配合は、強力粉135g、大豆粉25g(失活処理せず)、バター6g、砂糖10g、水120g、塩3g、スキムミルク小さじ1。
普通の食パンコースだと、クラストの焼色が濃く硬い。

大豆粉が入るとクラストがかなり硬いので、ねかしの多い「ソフト食パンコース」を初めて使ってみるとよく膨らんだ。
クラムはふわふわで適度な弾力があって、ちょっと甘くて、凄く美味しいというわけではないけれど、これなら充分食べられる。
側面と底面は、やっぱりかなり厚くて濃い焼色がついている。クッキーだと思えば、美味しい。
大豆粉が入っていると、ほんのりお豆腐味。おからや小麦ふすまよりも、ずっと食べごたえがあって、お腹いっぱいになりやすい。
おからパウダー入りのパンは、クラムがふんわりさっくり。大豆粉を入れるとお豆腐の味が強いし、目が詰まってもっちりして食べ応えあり。
パナソニックとタイガーのHBのソフト食パンコースで焼いてみると、パナソニックの方がふんわりと膨らんで、食べやすい。


<ソイスコーン>
パナソニックの最近の機種にはついている「ソイスコーンコース」。
きなこ、大豆粉を使ったスコーンが、材料を投入するだけで、オーブンなしで1時間で作れる。
材料にヨーグルトと豆乳が必要。全粒粉も4割くらい使うので、100%大豆粉ではない。
試作してみると、出来上がりは、お豆腐っぽい味がして、独特の風味がある。(この時は塩を入れるのを忘れていた)
底は瓦煎餅みたいにツルツル、パリパリ。
ザクザクしたスコーンと違って、クラムはパンケーキみたいにふわふわで、もちっとしてひきが強い。
なぜか、大きな縦長の気泡が蜂の巣みたいにたくさん入っている。見本の写真でも、実際作った人のブログの写真でも、気泡はほとんど入っていないのに。
ベーキングパウダーが多すぎたのか、古かったのか、それとも、膨らみが良いと評判のユウテックの大豆粉「珠美人」を使ったから?(メーカー推奨は別の無臭大豆粉)
きな粉100のレシピもあるけれど、きな粉は毎日大量に食べているので、ちょっと気が進まない。

きな粉と大豆粉を半量づつにしてみると、気泡がかなり減って、目の詰まったパウンドケーキ風。
きな粉のしっとり感と大豆粉のふわふわ感が混ざり合って、ナッツ入りのような食感と味がとても美味しい。
ソイスコーンの良いところは、同量の小麦粉100%スコーンに比べて、糖質40%と6割も減っているから、心おき無く食べれること。
大豆粉の割合が多い(6割近く)ので、同量の小麦スコーンと比べて、お腹のなかで膨張しているのか、満腹感が長持ちする。(おからやきな粉よりもお腹が膨れる感じが強い)
美味しいことと安心感から、一気に半分以上食べてしまったので、カロリーは400kcal以上。
でも、糖質は35gと食パン1枚分より少し多いくらいですむ。油断して過食しないように注意しないといけない。

《ソイスコーン(大豆&きな粉同量タイプ)のレシピ》
 大豆粉(珠美人) 50g (付属レシピの推奨粉は、「珠美人」ではなく、無臭大豆粉)
 きな粉       50g
 小麦全粒粉    75g
 卵(溶いたもの) 1個(50g)
 オリーブオイル  小さじ1(4g)
 無調整豆乳   80g
 ヨーグルト    50g
 塩     ひとつまみ(微量)
 ベーキングパウダー(アルミフリー) 5g

※無調整豆乳がないときは、温めたお湯にクリープ(小さじ2)とココナッツミルクパウダー(小さじ1~2)を混ぜている。
※ヨーグルトを無調整豆乳に代えると、膨らみが悪い。
※付属レシピでは、塩2.5g。これでは塩辛すぎて食べづらいので、塩はひとつまみだけ。



《panasonicのホームベーカリー用レシピ》
ソイスコーン(大豆粉)
ソイスコーン(きな粉)
HB付属レシピどおり、塩2.5gを入れて作ってみると、凄く塩っ辛い。塩を入れず作っても、ほんのりと塩気があって美味しい。
イーストではなく、ベーキングパウダーを使っているので、塩が必要とは思えないし、スコーンには普通塩は入れずに作るので、どうして↑のレシピは塩を使っているのだろう?
平均的な日本人の食生活だと、塩分は取り過ぎだし、塩を入れると美味しくないので、塩なしか、ひとつまみだけ入れることにした。

何回焼いても、鍾乳洞みたいに縦長の気泡がところどころ入ってしまう。
ユウテックの大豆粉がダマになりやすく、粘りも強いせいかも?
試しに、(ベーキングパウダーも含めて)粉類を全て合わせて、ふるってから、パンケースに投入してみると、粉のキメが細かくなって、水分に均等に混ざて滑らか。焼き上がっても、気泡があまり入っていない。

オイルやバターをほとんど入れていないので、焼いた翌日には、生地がパサパサ・スカスカする。
小さくカットして冷凍したものを、温めずに冷たいまま食べてみると、しっとり感とザクザク感が増し、味もしっかりして、食べ応え十分。
ちょうど夏で暑いので、今はアイス・ソイスコーンにして食べている。

<大豆粉レシピ集>

みたけ食品のキッチン[cookpad]
バレンタインにぜひ★大豆粉ブラウニー 木綿豆腐使用。
スチームケースで作る大豆粉蒸しパン 卵不使用。
大豆粉の焼きドーナツ
大豆粉マフィン

nonsugarjpのキッチン
パンよりも簡単に作れるのが、蒸しパン(スチームケーキ)。
大豆粉のチーズスポンジ
大豆粉で作るダイエットスポンジケーキ
大豆粉のココアカップケーキ
豆腐とカボチャの大豆粉ケーキ
大豆粉のクッキー

パンというよりは、油分の少ないパウンドケーキみたいなレシピ。
30分、6STEPで完成!基本の大豆粉パンのつくり方

低糖質!大豆粉ブラウニー  豆乳使用。


ダイズラボ 大豆粉を使ったレシピ[マルコメ]
大豆粉のみ使用レシピとアーモンド粉や薄力粉などを他の粉も混ぜたレシピがある。
パンケーキ、マフィン、スコーン、チーズケーキ、クレープ、蒸しパン、丸パン、ピザ、フォカッチャ、ヨーグルトブレッド、お好み焼き、チジミなど主食とお菓子のレシピ。珍しい豆腐レシピもある。

tag : ホームベーカリー

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
ラヴェル/ソナチネ、き王女のためのパヴァーヌ
《ソナチネ》
《ソナチネ》を初めて聴いたのは、ソコロフのライブ録音。
どの楽章も繊細でロマンティック。ラヴェルのピアノ独奏曲のなかでは、一番好きかもしれない。
第1楽章Moderéは、蝶のように軽やかに舞う高音が煌くように綺麗。
第2楽章Menuetはとりわけ繊細で優しく、時に大らかに歌い上げるように。
第3楽章は、《水の戯れ》のように力強く華やかで、生き生き(Anime)。

Sokolov - Ravel Sonatine.wmv



《亡き王女のためのパヴァーヌ》
子供の頃に使っていたピアノ名曲集の楽譜によく載っていたのが、ドビュッシーの《亜麻色の髪の乙女》。
その頃は、ピアノで弾く曲としてラヴェルがあまり流行っていなかったせいか、《亡き王女のためのパヴァーヌ》が楽譜に載っていなくて、弾いたことがない。
でも、《亡き王女のためのパヴァーヌ》を初めて聴いたら、ドビュッシーよりも断然好きな曲だった。

ゆったりしたテンポと柔らかい音色がとても素敵なリヒテルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》。
リヒテルより速いテンポで弾く人が多いけれど(ラヴェル自身のピアノロールでもかなり速い)、これくらい遅めのテンポの方が残響の響きが長く手美しく、想い出を回想するような深い味わいがある。

Richter - Ravel - Pavane pour une infante défunte


tag : ラヴェル ソコロフ リヒテル

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
カレンダー
07 | 2015/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。