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ムソルグスキー/展覧会の絵(原典版とリムスキー=コルサコフ版)
カッチェンが弾いているムソルグスキー《展覧会の絵》は、スタジオ録音・ライブ録音とも、1886年に出版された初版(リムスキー=コルサコフが改訂)の楽譜。
私がいつも聴いているレーゼルの録音は原典版。楽譜は、Pavel LammPavel Lammの編集で1912年に出版されている。

IMSLPにあるこの2種類の楽譜(が一般的に使われているとして)を見比べてみても、同じ音や長さの表記方法が違うことは多いけれど、一般に言われているほどに、実質的な表現上の違いはほとんどない。
速度表記や強弱記号も大して違わない。
ただし、Baue版、Thümer版になると、(コルサコフ版をベースに)全体的に表現記号を多数付け加えている。
Baue版は、さらに同じフレーズのリピートを削除したり、逆に追加したり、かなり改変している。

<IMSLPの楽譜に関する注記
- 初版はムソルグスキーが書いた楽譜を完全に正確に表現したものではなく、編集上の変更に加えて、表記ミス・誤読も含まれている。
- 西側の出版社による一連の楽譜の編集者が、いくぶん誇張して主張しているにも関わらず、コルサコフの編集上の変更は、(Boris Godunovの時と比べれば)比較的マイナーである。
- 最も重要な変更は、”Bydlo”でムソルグスキーが冒頭を”フォルティシモ”で始めるというダイナミックな構造を、”ピアニッシモ”に置き換えたところ。


<Bydlo>
念のため”Bydlo”の楽譜上の違いを確かめると、コルサコフが改訂した初版自体には、”Bydlo”の冒頭に”pianissimo”の表記はない。
この初版をベースに別の編集者が改訂したバージョン(Bauer版、Thümer版)は、”pianissimo”で始まっている。

”Bydlo”の冒頭部分の違いは、耳で聴いていても明らかにわかる。
コルサコフ版は強弱記号が指定されていないので、カッチェンは少し弱音気味で弾き始めてから、クレッシェンドしていく。
原典版は最初からffを指定しているので、リヒテルやレーゼルの演奏は勇猛で力強い。

(参考情報)
「展覧会の絵」を聴く3・・・ヴィドロの謎[「展覧会の絵」を聴く]
この「ヴィドロ」のタイトルとffの有無による効果の違い説明を読むと、「ヴィドロ」というタイトルが表現しているものが、冒頭の強弱の違いによって変わるらしい。


<Samuel Goldenberg and Schmuÿle>
最後の4小節で、原典版と異なる部分が2か所ある。
1つは、コルサコフ版では、原典版にある最初(1つ目の)”sf”を削除。(次の2つ目の”sf”はそのまま残している)。
同一フレーズで同じ強弱記号を一部カットして、強弱の変化を付けているので、原典版にある強烈さ・荒々しさを少し和らげたような感じがする。
また、最後に出てくる両手オクターブの三連符を「C-D♭-B♭」から「C-D♭-C」に変更。
但し、初版の楽譜は右手は原典版と同じ「C-D♭-B♭」、左手が「C-D♭-C」となっているので、表記ミス?。
Bauer版・Thümer版は両手とも「C-D♭-C」。
この後に続く最終音が「B♭」なので、同音連打している原典版の方が厳めしくドラマティックに聴こえる。

これ以外にも、andante graveの部分では、原典版についているアクセントを数か所外している。
細かくチェックすれば、ほかにもこういう変更が見つかると思う。


楽譜を確認したうえで、演奏を聴いても、”Bydlo”の冒頭と"Samuel Goldenberg and Schmuÿle"のラスト以外は、どちらの楽譜を弾いているかは、楽譜上の相違点を細かく把握していない限りは、(ほとんど)わからない。
コルサコフ版も原典版も、表現記号の指定はほぼ同じなのに、原典版を弾いたリヒテルの1958年のライブ演奏の”Bydlo”の印象があまりに強烈だったので、それまで弾かれていたコルサコフ版が「原典版をマイルドに改変した」という通説が出来たのかも。


リヒテルは原典版使用。1958年、モスクワでのスタジオ録音。
Mussorgsky - Pictures at an exhibition - Richter studio



<楽譜ダウンロード>
初版(リムスキー=コルサコフ版)
Nikolay Rimsky-Korsakov編集,First edition (reprint),St. Petersburg: V. Bessel & Co., n.d.(1886).

原典版
Pavel Lamm 編集;M.P. Mussorgsky: Complete Collected Works Vol.VIII: Piano Works, series 2: Pictures at an Exhibition (pp.5-45),Moscow: Muzgiz, 1931

tag : ムソルグスキー

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インスタントコーヒーのマッピング
長年、紅茶ばかり飲んでいたのに、去年の冬あたりから食後にコーヒーを飲むのが習慣になっている。
といっても、紅茶は食事中に飲んでいるので、紅茶に飽きたわけでもなく。
コーヒーはカップ半分くらいしか飲まないし、10種類くらいの茶葉をそろえている紅茶と違って、コーヒーに拘りはないので、手軽なインスタントコーヒーで十分。

冬の間飲んでいたのは、カルディの「カフェカルディ インスタントコーヒー カフェモカ」。
ココアパウダーがブレンドされているのでブラックでもコクがあるし、クリープを入れると一層コクが深まって美味しくなる。(さらに砂糖を入れるとココア風味が強くなる)

「カフェモカ」もそろそろ飲みきってしまうので、次に飲むコーヒーをどれにしようかと、インスタントコーヒーのランキングをいくつかチェック。
今でも「ネスカフェゴールドブレンド」が人気があるらしい。
子供の頃にお歳暮やお中元でもらったネスカフェのコーヒーギフトをよく飲んでいたけど、味は全然覚えていない。
ネスカフェゴールドブレンドを試飲してみると、苦さやコクが薄かったので、この価格でこの味なら買うのはパス。(ソリュブルコーヒー化して、香りも味も変わって不味くなってしまった...というレビューをたくさん見かけたし..)
容量は100g以下で、「カフェモカ」くらいの価格のコーヒーとなると、いろんなランキングで評判が良い「ちょっと贅沢な珈琲店」、無難な「マキシム」あたりだろうか。

参考になったのは、インスタントコーヒーを味を基準にマッピングした図(コク×酸味・苦味)。コーヒー別の特徴がよくわかる。

インスタントコーヒー徹底比較

苦味は想像つくけど、酸味というのがよくわからない。いろいろ飲んでみれば、違いがわかるのだろうけど。
そういえば、昔一時期飲んでいたブレンディは、ブラックよりもカフェオレ向きらしい。(レビュー見るとかなり評判悪いけれど、どんな味だか覚えていない...)
「ネスカフェゴールドブレンド」周辺にマッピングされているコーヒー(マキシム、ちょっと贅沢な珈琲店、マキシムモカブレンド)が飲みやすそう。
味の素サイトで「ちょっと贅沢な珈琲店」のフレーバー別の特徴を確認すると、↑の図とは逆。
酸味が強いのはモカ>スペシャル、コクが濃いのはスペシャル>モカ。これならスペシャルの方を飲みたい気がする。

「UCC THE BLEND 114/117」は、それぞれ酸味と苦味が強い両極端な味らしく、苦味の強い「117」なら、クリープ入れたらコクがあって美味しくなるらしい。
レビューを見ても、味の好みは人それぞれ。やっぱり自分で飲んでみないことには、好みと合うかどうかわからない。

お勧めランキング(普段、家で飲むなら)
「セブンイレブン 香りひきたつコーヒー」は、マキシム系統の風味らしいので、これが飲みやすいのかも。
このランキングにあるコーヒーは、近隣のお店では売っていないものがほとんど。
年によって味が違ったり、ドリップパックと味が違ったりと、レビューを読むといろいろわかって面白い。

結局、「ちょっと贅沢な珈琲店(スペシャル)」の瓶入り80gが300円少々とたまたま安かったので購入。
「カフェモカ」よりもややコクが薄いような気がするのは、「カフェモカ」にココアパウダーが入っているからかも。
何度か飲んでいると、味に慣れてきたせいか、ブラックでも美味しく飲めるし、クリープを入れるとコクが出て、これも美味しい。
昔はブラックで飲めなかくてミルクと砂糖をたっぷり入れていたのに、なぜか今はブラックでも全然抵抗なし。
(市販のお菓子類を除いて)ほぼ砂糖抜きの食生活にすっかり味覚が慣れてしまったらしい。
酸味よりも苦味の方が強いコーヒーの方が好みに合うような気がしてきたので、次に買うのは「UCC THE BLEND117」が良さそう。

マキシムちょっと贅沢な珈琲店インスタントコーヒー 瓶スペシャルブレンド80g マキシムちょっと贅沢な珈琲店インスタントコーヒー 瓶スペシャルブレンド80g






「ちょっと贅沢な珈琲店」が数か月かかってようやく飲み終わりそうなので、今度は「THE BLEND117」を90g約340円で購入。
早速少量作って飲んでみると、評判どおりかなりの苦さ。ブラックで飲んでも濃厚なコクがあって、美味しい。
香りはあまり感じない。もともと、コーヒーを飲むときに香りのよさとか強さはまったく気にしていないので問題なし。
これを飲んだ直後に「ちょっと贅沢な珈琲店」を飲むと、酸味がしっかりと感じられて、ブラックならこちらの方が飲みやすいかも。
飲み比べてよくわかったのは、自分の好みが、酸味よりも苦みの強いコクのあるコーヒーだということ。
酸味がほとんどない「THE BLEND117」は、クリープ(やミルク)を入れると、濃いカフェオレ風でかなり美味しい。
この濃厚なコクに慣れてしまうと、他のコーヒーが薄く感じられて、物足りなくなりそう。

UCC ザ・ブレンド 117 90gUCC ザ・ブレンド 117 90g






カッチェン 『放送用録音集』 (1960,1962年、ヘッセン)
ドイツの新興レーベルMelo classicsは、2014年以降、名だたる演奏家や知る人ぞ知る(と言われている)演奏家の未発表録音集を多数リリース中。
以前にCD-R盤でリリースしたものを、CD化して再発売したもの。
音源はほとんどが初出の放送録音・ライヴ録音で、そのなかに、カッチェンの放送用セッション録音も入っている。

ムソルグスキー:展覧会の絵、バラキレフ:イスラメイ、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番、シューマン:トッカータ、他 カッチェン(1960、62) ムソルグスキー:展覧会の絵、バラキレフ:イスラメイ、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番、シューマン:トッカータ、他 カッチェン(1960、62)
(2016/1/27)
ジュリアス・カッチェン(ピアノ)

試聴ファイルなし
<収録曲>
ムソルグスキー:展覧会の絵
バラキレフ:イスラメイ
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番
シューマン:トッカータ
ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 WoO80
1960年1月、1962年9月。フランクフルト・ヘッセン放送局にて、モノラル(放送用セッション)録音。
※CD付属のライナーノートに載っているカッチェンのプロフィールには、既存CDやネット上の情報にはあまり見かけない情報がいくつか入っている。(レーベルサイトで読める)
※ライナーノートに掲載されている演奏会時のカッチェンの写真は、今まで見たことがない。演奏前か演奏後、客席へ向かってにこやかに立っている。

このCDの収録曲には、好きな曲があまり入っていないし、モーツァルトのピアノ・ソナタ以外は、DECCAのスタジオ録音や、doremiやaudite盤のライブ・放送用録音集と重複した曲目。
試聴ファイルで音質等を確かめたかったけれど、どこにも見つからなくて、今まで買わなかった。
CDで聴いてみると、放送用セッション録音なので、ライブ録音と比べて雑音はない。
でも、音の輪郭が少しぼやけ気味で、速く細かいパッセージでタッチの切れがかなり悪く聴こえる。
残響も少なく、色彩感やソノリティの美しさがあまり感じられない。
特に、狭いスタジオで弾いているような空間的広がりのない音響がかなり気になる。
音の分離が悪く、立体感があまりなく、速いテンポで音が密度が高いと、残響が少ないのに、音が重なってかなり混濁気味。
《展覧会の絵》、《イスラメイ》、《トッカータ》は音が団子状になってごちゃごちゃして聴こえる。
モーツァルトとベートーヴェンは、音が過密ではないので、混濁感も少なめ。
全体的に、音質面でかなり不満な点が多くて、演奏ももう一つ楽しめない。
同じ頃の放送用録音をCD化したaudite盤の方が音質・音響ともずっと良い。

収録曲のなかでは、《展覧会の絵》(1950年)、《イスラメイ》(1954年、1958年)、《トッカータ》(1957年)は、DECCAのスタジオ録音があり、いずれも、このライブ録音よりも昔の録音。
《展覧会の絵》は、スタジオ録音から10年後の演奏。狭い部屋で至近距離から聴いているように、音が近くでデッドな響き。
音響的には、同じモノラル録音とはいえ、1950年のスタジオ録音の方はかなり音が古めかしく、リマスタリングでエコーがかった響きになって、音に煌きがある。
でも、高音はキンキンと細い金属音なので、この放送用録音の方は音質はいい。
演奏の方も、スタジオ録音の方が強弱の振幅やテンポの揺れが大きくタメが入ったりするところはどうかと思うけど、スフォルツァンドやフォルテもガンガンと強くて、ドラマティック。
こんなに激しく弾かなくても...とか思う部分もあったりして、結構面白い。
それに比べて、この1960年の演奏は、テンポの揺れが少なく、強弱の振幅も少し狭くなり、強奏時のタッチに量感が増して、旧盤よりも重厚感がある。

カッチェンが弾いているのは、ムソルグスキー自筆譜に基づいた原典版ではなくて、昔よく使われていたリムスキーコルサコフ改訂版(編曲版)。
1958年にリヒテルが原典版を演奏して以来、原典版の方が一般的に使われるようになったらしい。
どちらかというと、洗練された感のあるリヒテルやレーゼルに比べると、カッチェンは少し遅めのテンポでタッチに量感があるせいか、厳めしさと重厚感が強め。

スタジオ録音とこの放送用録音では、細かいところで多少違うところがある。
"Samuel Goldenberg und Schmuyle" の最後の数小節のsfの弾き方。
スタジオ録音ではほとんどアクセントが付いていない。こっちはフォルテくらいにかなり強く弾いているし、楽譜にはない(原典版にはある)sfをつけている。

楽譜とは違う弾き方なのは、最終楽章の64小節目(オクターブのスケールから全音に移るところ)。
ffがついているのに、ピアニッシモで弾いている。スタジオ録音も同じ。

"Samuel Goldenberg und Schmuyle" の次に出てくる "Promenade"は省略している。
放送時間の関係かと思ったけれど、スタジオ録音でも弾いていなかった。

Mussorgsky - Pictures at an Exhibition (Julius Katchen) (1950年、DECCAスタジオ録音)



しっかり聴いたことがなくて記憶に全然残っていない《イスラメイ》。(それに、なぜか”イスメライ”と思いこんでいた)
↓は、たぶん1958年のステレオ録音。1954年のスタジオ録音と演奏時間はほぼ同じでも、冒頭のパッセージがちょっと速め。音質もステレオ録音なので良くなっている。
どの演奏も勢いは良いけど、melo盤は音が混濁気味で聴きにくい。

Julius Katchen plays Balakirev Islamey



今まで曲自体を聴いた記憶がないモーツァルトの《ピアノ・ソナタ第6番》は、カッチェンのディスコグラフィにはなかった曲なので、稀少な初出音源。
モーツァルトの《ピアノ協奏曲第25番》(カッチェンがミュンヒンガーの指揮で録音していた)に似て、とてもシンフォニックなソナタ。
でも、演奏は同じモーツァルトでもかなり違う。
ピアノ・ソナタの力強くて豪快なところは、モーツァルトというよりも、初期~中期のベートーヴェンを聴いている気分。
そういえば、ペーター・マークの指揮でモノラル録音したモーツァルトのコンチェルト(第13番と第20番)がこういうタッチだった。
後年、ミュンヒンガーと録音したモーツァルトのコンチェルト(第20番と第25番)は、ちょっと品よくお澄まししたような印象だったので、このピアノ・ソナタの演奏の方が、カッチェンらしさが出ているように思う。
それに、もともとモーツァルトが好きではない私には、こういうパワフルな演奏の方が面白くて楽しめる。


ベートーヴェン《創作主題による32の変奏曲》は、スタジオ録音はなく、1962年のライブ録音(音質悪し、Doremi)、1962年の放送用セッション録音(モノラル、音質良、Audite)が出ている。
3つも録音が残っているということは、カッチェンはこの曲がかなり好きでよく弾いていたみたい。

Beethoven - Julius Katchen (1961) 32 Variations in C minor on an original theme



《イスラメイ》もこのシューマンの《トッカータ》も、時々細かいパッセージがもこもこ固まって聴こえてくる。(好みとしては、打鍵が一音一音明瞭で粒立ち良いシャープなタッチの方がいいんだけど)

Julius Katchen plays Schumann Toccata Op. 7



<参考情報>
愛好家垂涎の録音が目白押しの MELO CLASSIC

tag : カッチェン ムソルグスキー バラキレフ ベートーヴェン モーツァルト シューマン

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綾佳子の墨彩画
たまたま美術展で見かけた南画家の綾桂子さんの墨彩画。
綾さんの祖父は、南画の大家直原玉青画伯。

綾さんの画風は、南画に多い墨色一色だけの作品とは違って、ベースの墨絵に金・白・赤色などが施されていたり、抽象画風だったりして、とてもモダンな印象。
特に、展示されていた『街角のカーニバル』は、普通の水彩画のようにカラフルな色彩が鮮やか。
欧州のカーニバルで、(チロル地方みたいな)民族衣装を着た子供たちが、フルート、ヴァイオリン、アコーディオンなどに加えてハープも弾いている情景が、柔らかいタッチの輪郭と淡く明るいパステル画風の色彩で描かれている。
とても綺麗な色合いとほのぼの~とした雰囲気で、いつも見る南画とは全く違った作風。

綾桂子さんの作品をネットで探してみると、南画にしては珍しく、外国にあるモチーフを使ったものがかなり多い。
墨絵をベースにしているわりに、とても幻想的な雰囲気が漂っている。

一方、日本の風景を描いた作品の方は、絵葉書みたいに昔懐かしい温かさを感じるタッチ。『街角のカーニバル』はこちらの画風。
具象画が多いけれど、展示会では『薄れゆくもの』という中央上部に花火がさく裂するような抽象画風の作品が出典されており、facebookにも載っている。

小さな画像や画集で見るよりも、実物の作品を原寸大で間近に見た方が、質感・量感・迫力が感じられて、やはり絵は現物を見る方が良い。
でも、美術館でいつも見られるわけではないので、画集を探してみても、出版されていないようだった。残念。

<主な作品>(リンクあり)
『カーニバルの日』
『象とアルルカン』
『パレルモの月』
『カーニバル』
『ヴェネチアの夜』
『仮面の人』
『mirage』

『祭りの日』
『干支の人形』
『こどもの日』
天神祭の花火
天神祭の獅子舞


<展覧会>
「綾 佳子現代墨彩画展」(案内状)(2014年12月津田塾大学)
「綾 佳子現代墨彩画展」(案内状)(2016年7月京阪百貨店)


ゼルキン ~ ベートーヴェン/幻想曲ト短調Op.77
ベートーヴェンのピアノ作品はほぼ聴いていると思っていたけれど、Youtubeで偶然見つけたゼルキンの録音で初めて聴いた《幻想曲ト短調Op.77》。

Wikipediaの作品解説「幻想曲 (ベートーヴェン)」を読むと、《ピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」》と作品番号が連続している曲で、自筆原稿では同一作品番号中の連番になっていたらしい。

冒頭はバッハの「トッカータとフーガ」みたいに急速で下降するスケールで唐突に始まり、一転して穏やかなアルペジオ伴奏で単調の悲しげな旋律に代わる。
この短調・急・暗と長調・緩・明という組合わせが交互に表れるというパターン。
冒頭のスケールは、なぜかバッハのパロディみたいに聴こえるし、全力疾走しては突然一休みして、また走り出す...みたいにに緩急がコロッ、コロッと変わっていく。
現代音楽で使われるパロディのような、何だか風変わりな曲。

Beethoven - Fantasia in G minor, Op. 77 [Rudolf Serkin]



Youtubeの音源の演奏者はルドルフ・ゼルキン。
ゼルキンの《幻想曲》を聴いた覚えがなかったので、収録しているCDを調べると、私が持っている《ディアベリ変奏曲》のCDに入っていた。
カップリングされている《バガテルOp.119》の方はたしかに聴いたけど、《幻想曲》は聴いていなかったのかも。

Diabelli Variations Bagatelles Op.119
(2003/9/30)
Rudolf Serkin

試聴ファイル

tag : ベートーヴェン ゼルキン

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”水”をモチーフにしたピアノ曲
”鳥”に続いて、夏によく似合う”水”をモチーフにしたピアノ曲。
すぐに思い浮かぶのは、有名な印象主義のドビュッシー《水の反映》とラヴェル《水の戯れ》。

個人的な好みとしては、水の動きを写実的に表現したように感じる《水の反映/Reflets dans l'eau》よりも、物語的なストーリー性を感じる《水の戯れ/Jeux d'eau》の方がダイナミックで面白い。
それに、時々東洋風な響きがする《水の戯れ》は、かなり好きなドビュッシーの「雨の庭」(《版画》第3曲)に、音の動きや和声がちょっと似ているところがあったりする。

Arturo Michelangeli - Debussy Reflets dans l'eau


ラヴェル/水の戯れ (ミッシェル・ベロフ)




ラヴェルもドビュッシーも”Ondine”’(水の精)という同名の曲を書いている。
ラヴェルの「オンディーヌ」は《夜のガスパール》第1曲で、アルペジオが水の流れのように絶えることなく、水と一体化したような無生物的でファンタスティックな妖精の美しさ。
ドビュッシーの「オンディーヌ」は、《前奏曲集第2巻》第8曲。ラヴェルに比べると、こちらはパックみたいに、実体のある妖精風というか、ラヴェルよりは感情的なものを帯びているように感じる。

Pogorelich plays Ravel: Gaspard de la nuit (Ondine - Le Gibet - Scarbo)


Jean-Rodolphe Kars plays Debussy Ondine



印象主義を先取りしたようなリストの「エステ荘の噴水」(《巡礼の年 第3年(S.163)》。
ドビュッシーとラヴェルよりも、水の動きのなかにロマンティックな情感がこもっている。
硬質でシャープで線の細めのなハフの音色は、クリアでくっきりとした造形感があり、高音のきらめくような高音がとても綺麗。

Stephen Hough plays Liszt's Les jeux d'eau à la Villa d'Este



”水”にまつわる曲で最も好きなのは、リストの《伝説》の第1曲「波の上を渡るパオラの聖フランシスコ」
この曲なら、1950年代にケンプのモノラル録音した演奏が崇高で神々しく、劇的な高揚感に満ちて感動的。

Kempff plays Liszt - Deux légendes, S. 175; No. 2; St. François de Paule marchant sur les flots



リストが編曲したシューベルトの歌曲《水の上で歌う》

Evgeny Kissin Schubert Liszt Auf dem wasser zu singen




《水の戯れ》とちょっと似ているような気がするドビュッシー《版画》の第3曲「雨の庭」
庭園に降り注ぐ雨の様子の変化がダイナミックで物語的。

Paul Jacobs plays Debussy Jardins sous la pluie




ショパンなら、前奏曲《雨だれ》が有名だろうけど(この曲は全然好きではなくて)、《練習曲集Op.25》第12番 「大洋」は、広大な海を想像させるダイナミックな迫力とスケール感が壮快。

Sokolov - Chopin Etudes Op.25 #12

tag : ドビュッシー ラヴェル リスト ショパン

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お米の消費量
【1人当たり米供給数量】

夏井医師のホームページに掲載されていた「日本人の米離れ」の記事。
「米の生産量は3割減なのに、人口はほとんど増えていない。コンビニおにぎりも定食屋も流行っているし、パックご飯の生産量が20倍に増えている。実際は一人あたりの米消費量はそれほど減っておらず、統計の取り方に問題があるのでは?」とコメントされていた。

このレベルの統計が間違っている...と言うのは腑に落ちないので、統計を調べてみた。
結果的には、統計が正しく、日本人の人口は「ほとんど増えていない」ということはなく、昭和35年度から平成22年度までの過去50年間で、約1.37倍に増加している。
一方で、米生産量の方は約3割減っているため、一人当たり米供給量は、50年間で114.9kg/年→59.5kg/年に半減している。

kome2.jpg

(出典)「米をめぐる状況について」(農林水産省、平成28年6月)


<統計値>
                     米生産量
  年度       総人口  (うち国内消費向け純食料)  1人当たり米供給数量
----------------------------------------------------------------------------------------
昭和35年(1960年)  93,419千人 12,858(10,738)千トン  114.9kg/年
平成22年(2010年) 128,057千人  8,554(7,620)千トン   59.5kg/年

※1人当たり供給数量:純食料を総人口で除したもの。(日量は年量を365日で除して、自分で計算した)
※純食料(精米):粗食料(玄米)[国内消費仕向量-(飼料用+種子用+加工用+減耗量)]に歩留まりを乗じたもの。
(出典)平成26年度食料需給表(農林水産省)「(参考)総人口及び年度中の日数」「品目別累年表(3-1 穀類 米 )」

手軽で予想外に美味しいパックご飯 20年間で生産量が10倍増[NEWSポストセブン]
パックご飯の生産量:1994年 約1万1千トン→2012年 約11万7千トン。今後も増加基調。
パックご飯というのは、自炊または店舗で購入する白ごはんが置き変わったり、防災用ストックが多いと思う。
パックご飯の生産量は、炊く前の白米ベースに換算すると(重量比約1/2)、日本の米供給量の1%足らず。増加率が高いといっても絶対量が少ないため、米消費全体への影響は(ほとんど)ない。



【1人当たり米供給数量の増減率】

1人当たり米供給数量の対前年比増減率を計算してグラフ化してみると、昭和38年度からマイナスに転じて、昭和41年度に減少率が最大になり、以降も減少幅を縮小しつつも、減少が続く。
平成6年度に減少率が突出したのは、前年度に記録的冷夏による米不足が起こったため。当時、タイ米を緊急輸入したものの、インディカ米のタイ米は、日本人が食べているジャポニカ米とは食感・味わいが全然違うので、かなり不評だった。(タイ米はカレーやピラフにすると、とっても美味しいのに)
平成19年度以降は、増加・減少を繰り返している。
個人差はあるとしても、年齢が高い人ほど一人あたり米消費量の減少幅が大きいので、長期間の減少率は高くなる。
消費量を比較する期間が短くなる(過去10年間とか5年間とか)につれ、もともと消費量が少ない世代の人が増えるので、消費量の減少も緩やかになって、最近では低位安定という感じ。
高齢になると食べる量が減るため、これからも1人あたりの米消費量が大きく回復するとはあまり考えられない。
高齢者が和食回帰するかというと、すでにパン・麺類を常食する食習慣が定着していると、年をとったからといってご飯を食べる頻度・量が増えるとは限らない。
それでも、ご飯はやはり主食であり続けると思うので、そのうち一人あたり消費量の落ち込みは底打ちして、安定するだろうけど。
それに、小麦の国際価格がまた高騰する可能性は充分あり、パンや麺類が値上がりする一方、お米に割安感が出れば、ご飯を食べる人が増えるかも。

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【食事内容と食料消費量の変化】

具体的な食事内容のモデルを見ると、食生活の変化が視覚的にもよくわかる。
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(出典)農林水産省ホームページ

参考データ:世界「コメをたくさん食べる国ランキング」が発表! 日本は1位……ではなく50位!! 1位はバングラデシュで1日あたりおにぎり10個以上食べるらしい[ロケットニュース24]

(年齢・性別・食習慣による違いはあるとして)昔は1日茶碗5杯食べていたご飯が、今では茶碗3倍。それ以外の食品は、野菜以外は増えて、食生活全体としては栄養状態が良くなっている。
※1日当たり米供給量:昭和35年315g → 平成22年163g。
※茶わん1杯のご飯150g=精米約65g。精米315g=茶碗約4.8杯、精米163g=茶碗約2.5杯。

この図には、なぜかパン・麺類が載っていない。ご飯が減った分が、パン・麺類に置き換わっている?
それに、鶏肉、お菓子、アルコールも載っていないし...。
現在の食生活で、1日ご飯3杯食べる人は少なくないとしても、牛乳が週4本、植物油が年9本(13.5kg)というのは、ちょっと多いような気がする。
たぶん牛乳には学校給食の分が入っているだろうし、てんぷらやフライに使う油が多いとしても、揚げ油は使用後廃棄する部分もあるので、すべて摂取しているわけではない。(廃棄分もデータに含まれているかどうかは不明)
それに、外食・テイクアウト・市販品など家庭外で調理した食品(フライ・てんぷら・お菓子類など)の消費量も入れれば、油の摂取量もこれくらい多いのかもしれない。


個人的には、食生活は昔と大きく変わっている。
1日3食主に米食(各食茶碗1杯) → 朝食がパン → 1日2食になり、ご飯は週に3回くらいで、毎回茶碗半分。
計算してみたら、米消費量は半減どころか、2割になっていた。
たまに米粉パンやごはんパンを食べているので、それに含まれているお米を加えれば、ちょっとだけ増えるけれど、大した違いはない。
でも、小麦で作ったパンばかり食べていると、どうも体の調子がよくない気がするので、そのうちお米を入れたパンやご飯を食べる量が増えるかもしれない。
ベロフ ~ シューマン/クライスレリアーナ
躁鬱的な浮き沈みを感じるせいか、体質的に合わない気がするシューマンの音楽。
それにしては、好きな曲と演奏はわりと多い。交響曲4曲にピアノ協奏曲・ヴァイオリン協奏曲、ピアノソロなら《クライスレリアーナ》、《幻想小曲集》、《子供の情景》、ハープのような美しい響きの《ペダル・フリューゲルのための練習曲》に、神秘的な「予言の鳥」と技巧鮮やかな「トッカータ」とか。
モーツァルトやショパンよりは、好みに合う部分が多いのかも。

今まで聴いたシューマンの録音で一番強烈な印象を受けたのは、20歳頃のミシェル・ベロフが弾いた《クライスレリアーナ》。
黒光りする鋼のように太く強靭で弾力のある音色で力強くガラスのように研ぎ澄まされた明晰さと、蒼々とした瑞々しい叙情感が清々しい。
特に、急速系の短調の曲は、激しさと緊張感に満ちて、「鮮烈」と評されるのも納得の演奏。
ベロフの演奏があまりにインパクトが強すぎて、他の演奏をいろいろ聴いても、やはりベロフに戻ってしまう。

シューマン:クライスレリアーナ、森の情景シューマン:クライスレリアーナ、森の情景
(2016/1/27)
ベロフ(ミシェル)

試聴ファイル

第1曲 ニ短調:きわめて感動的に
第2曲 変ロ長調:心をこめて、あまり速くならぬように
第3曲 ト短調:きわめて興奮して
第4曲 変ロ長調:非常にゆっくりと
第5曲 ト短調:非常に生き生きと
第6曲 変ロ長調:非常にゆっくりと
第7曲 ハ短調:非常に急速に
第8曲 ト短調:速く、そしてたわむれるように
※曲目リストを見ていたら、短調に挟まれている長調は変ロ長調のみ。初めて気が付いた。

tag : ベロフ シューマン

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yoshimi

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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