2017.03.30 18:00| ・ お料理全般・食材
毎年この時期に新物が出回る「わかめ」。
塩蔵わかめと乾燥わかめはいつでも手に入るけれど、新物は3月~4月にかけてしか食べられない。
近くのお店で出回っているのは、三陸、鳴門、大阪産のどれか。産地によって味と食感とかが違うらしい。

6. わかめ上級者は、産地によって使い分け〜わかめをめぐる9つのストーリー[松永和紀,FOOCOM.NET]

わかめは、葉っぱが「わかめ」、芯が「茎わかめ」、根っこが「めかぶ」になる。
それぞれ別々に売られているので、早速わかめと茎わかめを購入。

わかめには茎、茎にはめかぶもついているので、食感の違いが楽しめる。
歯ごたえのあるコリコリ食感が好きなので、わかめよりは茎を買う方が多い。
めかぶは初めて食べたけど、わかめよりもこっちの方が歯ごたえがあって好きなので、次はめかぶだけ買うつもり。

<保存方法>
わかめなら、塩蔵すると冷蔵庫で数か月保存できる。干して乾燥する方法もある。
わかめを塩づけまたは湯通しして冷凍したら、さらに長期保存できる。
(カットして冷凍したら、くっついて固まっていた。少量使う時は使いにくい)

めかぶは、カットして冷凍しても、わかめほどにくっつかないし、ばらせるから便利。
冷凍しても、茎わかめと違って、食感があまり変わらないのが良い。

茎わかめは、茹でて冷凍すると、料理した時に水分が抜けて、厚みが無くなって、フニャフニャ(市販の塩蔵茎わかめも同じ)。つくだ煮を作るときは、こっちの方が味がしみやすく、調理時間も短縮できる。
コリコリ食感を楽しむなら、冷凍せずに、(茹でて)すぐ調理して使い切るに限る。

生わかめの保存方法[Cookpad]
生わかめを買って食べてみよう★保存法[OKWAVE Guide]
生わかめ 食べ方 下処理の仕方・茹で方・冷凍の仕方を紹介 しゃぶしゃぶも出来ます。[kyokoキッチン]


<レシピ>
私が一番重宝しているのは、茎わかめ。酢の物、和え物、炒め物などいろいろ使えるし、レシピを探すと味噌漬けしても美味しいらしい。(味噌漬けは今度作ってみよう)

めかぶレシピ[山内鮮魚店]
茎わかめレシピ[山内鮮魚店]
茎わかめの味噌漬けの作り方[つくる楽しみ・趣味で作る料理や家庭菜園など]
くきわかめとしょうがの和え物|[ 遠藤水産]
えのきだけと茎わかめの和え物[キューピー]
くきわかめのレシピ[生協パルシステム] - 茎わかめのアマニあえ、くきわかめと豚肉のソース炒め、くきわかめと桜えびの香りおにぎり、くきわかめのきんぴら、くきわかめの漬物


<参考情報>
松永和紀「わかめをめぐる9つのストーリー」
1. 日本人のわかめ消費量はこの40年で約4倍に
2. 東日本大震災を経て、三陸産わかめは
3. 放射性物質は心配ない。なのに…
4. わかめの製法には工夫が満載
5. わかめの健康効果は?"
7. 中国産わかめ、なにが違う?
8. 新しい味、冷凍わかめを知っていますか?
9. 食べ方を再度、伝えて行かなければ……
(以上、FOOCOM.NET/専門家コラム:「めんどな話になりますが…」より)

2017.03.26 18:00| ♪ ペーター・レーゼル
レーゼルの最新ライブ映像は、2017年1月にドイツ・ザクセン州Pirna(ピルナ)のGraupa(グラウパ)にあるJagdschlossで行われたリサイタルから、ウェーバの《舞踏への勧誘》。ピアノ小品集『楽興の時』にもこの曲を録音している。

楽興の時~ピアノ小品集楽興の時~ピアノ小品集
(2015年06月03日)
ペーター・レーゼル

試聴ファイル(e-onkyo.music)



調べてみると、会場の”Jagdschloss”とは狩猟用の城館のこと。ドイツには”Jagdschloss”がいくつもあり、博物館やホテルとして使われているものもある。
”Jagdschloss Graupa”にはヴァーグナー記念館やレセプションホールが併設されている。Graupaは、ワーグナーと妻ミンナが1846年に夏を過ごしたことで有名な町だった。


Carl Maria von Weber, "Aufforderung zum Tanz" (1819)


ドレスデンから電車で1時間くらいかかるGraupaまで、ウェーバー記念館のピアノを持ってきたらしく、ピアノに”Klavierhaus Weber Dresden”とペイントされている。
レーゼルが長い間教授職を務めたドレスデン音楽大学の正式名称は”Hochschule für Musik Carl Maria von Weber Dresden”。ドレスデンがウェーバーゆかりの地というのは、数年前にレーゼルのプロフィールを読んで初めて知った。
Carl-Maria-von-Weber-Museum

冒頭主題を回想するコーダの手前で、パチパチ~と拍手。そこで拍手したくなる気持ちはよくわかる。
ドイツでも、誰でもこの曲を知っているというわけではないらしい。
レーゼルが、”ここで拍手しちゃだめだよ!”と手をひらひらさせたり(コーダは左手で弾き始めるので、うまい具合に右手がちょうど空いているし)、本当に曲が終わった時には”もう拍手していいよ”と手でおいでおいでしたりしている。
外見は生真面目に見えるけれど、お弟子さんの高橋望さんが言っていた通り、実はユーモアのある面白い人なんだと思う。

タグ:ウェーバー レーゼル

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タワーレコードで注文したら、翌々日に届いた『Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966』 。
ライナーノートを書いているのは、Ernest A. Lumpe氏。
ドイツ人の高等学校教師でレコードコレクターだったLumpe氏は、若いフィオレンティーノが英国で録音したレコードを聴いて以来の”long-time admirer”だった。
1989年にLumpe氏がフィオレンティーノに初めてコンタクトしてから文通が続き、(当時はほぼ忘れられたピアニストだった)フィオレンティーノがドイツ国内で演奏・録音活動をするため、資金面も含めて全面的に支援した。
1992年と1993年にドイツ国内で行ったリサイタルも、Lumpe氏の尽力で実現したのではないかと思う。事実上のマネージャーやプロデューサーのような役割だったのかもしれない。
※『Berlin Recordings』のブックレットを読み返していたら、Lumpe氏は”aka(別名) Remus Platen"と記載されていて、CDカバーに書かれているProducerは”Remus Platen"。『Berlin Recordings』の原盤(APR盤)をプロデュースしたのは、APRのプロデューサーではなくて、Lumpe氏だったのに気が付いた。


このBOXセットのブックレットでは、当時フィオレンティーノが契約したレーベルと若い頃の録音の顛末について、Lumpe氏が詳しく書いている。
フィオレンティーノが若い頃に多くの録音を残し、1966年以降に録音活動がばったり止まった経緯がよくわかる。
それに、とても印象に残ったのは、ブックレットの最後に書かれているLumpe氏の言葉。

”The presented collection - and some may have suspected this from the beginning - is something of a labour of love, a final tribute to an artist which I have experienced personally as a great musician and pianist.”


Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966
(2016/2/26)
Sergio Fiorentino

試聴ファイル



このBOXセットに収録されている録音は、1953~1966年(26歳~39歳)にかけて、フィオレンティーノがConcert ArtistとSagaに録音した音源を中心にマスターテープまたはLPを元にCD化したもの。


<英国での録音プロジェクト>
1950~60年代のフィオレンティーノの録音活動で大きな役割を担ったのは、エージェント&レコーディングプロデューサーのWilliam H. Barringon-Coupe。
フィオレンティーノよりも数歳若く、ビッグで時にファンタスティックなアイデアを思いつく人で、マイナーレーベルの”Concert Artist Recordings”を設立した。
Barringon-Coupeは有名になりたいと熱望し、若い演奏家たちを集めて録音計画を打ち上げた。フィオレンティーノもそのアーティストの一人。Barringon-Coupeはこのプロジェクトは素晴らしい結果をもたらすだろうと彼らに請け合った。

フィオレンティーノが最初にレコーディングした場所は、London’s Levy Sound Studio。録音場所は他にも数か所ある。
Barringon-Coupeの録音プロジェクトは、ピアノソロに協奏曲から、オーケストラ録音に他レーベルのライセンス音源にまで拡大する。
1956年のモーツァルトイヤーのためのモーツァルト作品とショパンのピアノ作品全集版の録音は、当時すでに有名なメジャーレーベルと競合していた。
この膨大な録音プロジェクトのために多額の資金が必要となり、演奏者自身も資金を出す羽目に。

フィオレンティーノの初録音としてリリースされたのは、ショパンのピアノ曲数曲が収録された10インチ/78rpm(SPレコード)。
1956年3月のグラモフォン誌にリリース予定のカタログリストが掲載されたが、大半はアナウンスだけで終わり、実際にレコードが製造されることはなく、せいぜい良くて一度だけのテストプレスが作られたくらい。
どうなるかわからない運命のマスターテープは棚ざらし状態。ビジネスの世界にありがちな壮大な計画が資金不足に直面して、会社は倒産。会社のオーナーと若い演奏家たちは投資したお金を失ってしまった。
レーベルのピアノソロ録音計画のなかで最も曲数が多かったフィオレンティーノは、(たぶん飛行機事故の後遺症もあって)イタリアへ戻り、ナポリ音楽院で教職に就いた。(プロフィールを調べると、後遺症から回復して、1950年代終わり頃から再び国外での演奏活動を再開)
1966年以降は、いろいろな事情から英国から遠ざかっていき、ほぼ30年近く録音活動は休止してしまった。

フィオレンティーノが初期Concert Artist時代に間違いなく録音したはずのマスターテープは大半が行方不明。
残っているマスターテープは、1954年に録音したモーツァルトのピアノ協奏曲第21番のみ。(1994年にこのテープを聴き直したフィオレンティーノは、”もっと注意深く弾くべいだったのに”とつぶやいていたという)

ブックレットの記述から解釈すると、Barringon-Coupeは”Concert Artist Recordings”は倒産後、SagaレーベルのA&R(Artists and Repertoire:アーティストの発掘・育成・楽曲製作など)をしていたが、そのSagaも短期間で潰れ、Sagaで製作されたマスターテープの一部はBarringon-Coupe(やMarcel Rodd)が所有していた。その後、彼は”Concert Artist Recordings”を再開し、フィオレンティーノのsaga時代の録音も含めてLPを発売していった。


<音源>
このBOXセットの録音の音源は、複数のレーベルのマスターテープ、テストプレス、商業用LPが混在している。
Concert Artist、Delta、Fidelio(他に、Revolution、Triumph、たぶんSummit)は、Barringon-Coupeが製作したレーベル。

CD1:Unhappayな初期の”Concert Artist”時代の録音で生き残っていたもの。
● ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 (1953) [テストプレス]
● ショパン:ピアノソナタ第2番(1953) [テストプレス]
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番(1954年) [マスターテープ]
● ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」(1955年2月15日録音) [LP](Concert Artist社の低価格レーベル”Fidelio”)

Disc2:バッハ [マスターテープ]
● J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ、イタリア協奏曲(1965)
● J.S.バッハ(ブソーニ、フィオレンティーノ編):前奏曲とフーガBWV.532,シャコンヌBWV.1004(1965)

Disc3・4:ベートーヴェン
●ピアノソナタ第8番「悲愴」(1963)、第14番「月光」(1965) [LP](Fidelio、比較的良い状態のステレオ録音)
●ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」(1965) [マスターテープ] (↑よりも音質悪し)

Disc3・4:シューマン
●ウィーンの謝肉祭の道化、子供の情景Op.15(1965) [LP](Concert ArtistのステレオLP)
●謝肉祭、アラベスク、交響的練習曲(1965) [マスターテープ]

Disc4・5: ブラームス
●パガニーニの主題による変奏曲(1965) [マスターテープ]
●ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ(1965) [マスターテープ](軋んだ音。保管方法が不適切)

Disc5
● メンデルスゾーン:3つのエチュード第1番、無言歌集より「紡ぎ歌」(1966)[マスターテープ]
※「紡ぎ歌」はフィオレンティーノ公開演奏で良く弾いたアンコール曲。

無言歌集は子供の頃に10曲以上は練習したのに、「紡ぎ歌」は弾いた記憶がない。
フィオレンティーノの音源がなかったので、バックハウスの演奏で。フィオレンティーノはもっと速いテンポで(演奏時間が10秒くらい短い)、蜂がブンブン飛び回っている感じ。
Wilhelm Backhaus plays Mendelssohn Song without Words Op. 67 No. 4 "Bee's Wedding"


● ボロディン:スケルツォ変イ長調(1966)) [LP](オリジナル)


ラフマニノフについては、ナポリに戻った40歳代後半の頃にラフマニノフ自身の録音を聴いて以来、演奏と解釈(way with the music)が完全に変わった...とフィオレンティーノが言っていたという。
● ラフマニノフ:絵画的練習曲「音の絵」、W.R.のポルカ(1962)
● J.S.バッハ(ラフマニノフ編):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番BWV.1006より「前奏曲」(1962)
[LP](Delta) ※マスターテープは倉庫の火事で焼失。

● クライスラー(ラフマニノフ編):愛の喜び(1966)
英国で最後に録音した曲の一つ。1966年以降、様々な状況がフィオレンティーノを英国から遠ざけたまま、ほとんど30年近く録音活動は止まっていた。

Disc6~10:ショパン
●4つのバラード(1962) [LP](Delta、パリで録音)
●4つのスケルツォ(1961) (最初の2曲は[マスターテープ]、後の2曲はFidelioの[LP]
●12の練習曲Op.10(1962)[マスターテープ]
※革命のエチュードの最後の2小節。珍しいアントン・ルービンシュタインのバージョンで弾いている。
●12の練習曲Op.25(1959) [LP](かなり良い状態)
●3つの新しい練習曲(1962)

Sergio Fiorentino performs Chopin, Complete Etudes (1954-1962)
「革命のエチュード」の最後のアルペジオは、27:11~。確かに楽譜とは違う。


Barringon-Coupeのコンセプトは”完全なもの”を演奏すること(セールス上の利点から)。
ワルツ、ポロネーズは、ショパンが若い頃の作品でほとんど知られていない曲まで録音した。
●19のワルツ(1962) [LP](DeltaのオリジナルLP)
●4つの即興曲(1962) [LP](Fidelio)
●アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、ポロネーズ第1番~第6番、幻想ポロネーズ、3つのポロネーズ、ポロネーズト短調、変ロ長調、変イ長調、嬰ト短調、変ロ短調「別れ」、変ト長調(1960[マスターテープ](ハンブルクで録音、状態は良い)
●ポーランド民謡による大幻想曲Op.13(1966)

↓は《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》の「ポロネーズ」と「英雄ポロネーズ」。
ちょっと籠ったところはあるけれど、ステレオ録音らしい音の広がりがある。

Sergio Fiorentino plays Chopin's Grand Polonaise op.22
2. Grande polonaise brillante


Sergio Fiorentino plays Chopin polonaise op.53



CDで聴いていると、状態の良くないマスターテープよりは、音質と保存状態の良いステレオLPの板起こしの方が音が良かったりする。
音がわりと良いのは、保存状態の比較的良いマスターテープを使ったバッハとブゾーニ、「パガニーニ変奏曲」、「ポロネーズ集」、LP音源の「ウィーンの謝肉祭の道化」。
LPから板起こししたベートーヴェンの「悲愴」と「月光」は、音は鮮明でもパチパチノイズが入っていたり、ハウリングしたりする。
ライナーノートによると、マスターテープからのリマスタリングはAPRレーベルの設立者Bryan Crimp氏が担当。板起こしをした人について言及がなく、LPを保有しているLumpe氏かもしれない。
1960年代前半の(音質のそれほど良くない)録音を聴き慣れているとは言え、音質のばらつきが大きいこのBOXセットを聴いていると、マスターテープとLPを探してCD化した人たちの熱意と苦労が偲ばれる。


<Concert Artist社>
フィオレンティーノが若い頃に録音したレコード会社のConcert Artist社は、ジョイス・ハットの偽録音事件で知られている。
クラシック音楽史に残る有名な詐欺事件

この事件だけでなく、Barrington-Coupeは、1960年代にMarcel Roddと設立したレーベル”Lyrique”でも、フィオレンティーノがSagaに録音した音源を使って、他人名義や架空のピアニスト”Paul Procopolis”名義でリリースしていた。

フィオレンティーノが1998年に急逝後、Concert Artist社のオーナーBarrington-Coupeがフィオレンティーノの”未公開”録音を所有していると発表し、(ジョイス・ハットの偽録音シリーズと同時期の)2002年以降”CONCERT ARTIST/FIDELIO”から次々とCDをリリースした。
リリース予定のカタログのレパートリーは広範で、ベートーヴェンのピアノソナタ全集(全8巻)、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集(ほぼ完全版に近い)、リストの超絶技巧練習曲集などが含まれていた。

(当然のことながら)当初、Lumpe氏はそれらがフィオレンティーノの録音だということを疑わず、”Sergio Fiorentino Homepage”サイトで紹介していた。
しかし、ジョイスハット事件が発覚後、University of LondonのAHRC Research Centre for the History and Analysis of Recorded Music (CHARM) がショパンのマズルカの歴史的演奏の分析を行っていた過程で、Concert Artistが新たにリリースしたフィオレンティーノの”マズルカ”録音のうち、26トラック中11トラックが他人の音源と判明、残り15トラックも真偽不明のまま。
Fiorentino Fakes: Continuing Saga of Concert Artist Recordings[AHRC Research Centre for the History and Analysis of Recorded Music]

Lumpe氏も、Concert Artist社が2003年以降にリリースしたフィオレンティーノ名義の録音について、”Serigo Fiorentino Homepage”の”DISCOGRAPHY”で、”authenthic”の可能性があるものはわずかで、大半を”suspicious!”としている。

Concert Artistが2002年になって、新たにフィオレンティーノ録音シリーズをリリースした理由は明らか。
APR社が、フィオレンティーノの存命中から1994年~1997年に録音した”Fiorentino Edition”や、若い頃の録音集”Early Recordings”シリーズなどをリリースしていた。
フィオレンティーノの録音が”売れる”とわかったBarrington-Coupeは、フィオレンティーノが亡くなった数年後に”未発表音源”をリリース。それがフィオレンティーノの正規の録音かどうか確実に知る人はもう誰もいないと思っていたからだろう。

しかし、Barrington-Coupeによるジョイス・ハット偽録音事件が2007年に発覚したため、Concert Artist社は活動停止に追い込まれ、今は存在しない。
偽録音とは知らずにハットのCDを製作・販売していたBISレーベルは、個人的な事情を考慮して、告訴はしなかった。Barrington-Coupeは2014年に亡くなっている。
Barrington-Coupeは、捏造した理由を 'I did it for my wife' と語っていた。ジョイス・ハット事件の方は同情の余地がないこともないだろうけれど、フィオレンティーノの偽録音疑惑の方は明らかに金儲けが目的だったとしか思えない。
Barrington-Coupeがジョイス・ハット事件の詳細を語らないため、どの曲が捏造した音源かも未解明で、このフィオレンティーノ名義の”未公開録音”も大半は誰の音源なのか謎のまま。
少なくとも、2002年以降にConcert ArtistからリリースされたCDには手を出さないに限る。(それにオンラインショップでは、ほとんど在庫切れで中古品も出回っていない。)


<参考記事>
Obituary: Sergio Fiorentino[31 August 1998,independent.co.uk]
こちらの記事では、1974年に演奏会で弾くのを止めて、ナポリ音楽院の教職に戻ったと書かれている。
でも、1974年から、Lumpe氏の招きによりドイツでリサイタルを行う1992年までの間のライブ音源がYoutubeにあるので、時折演奏会やRAI(イタリア放送協会)の放送用録音で弾くことはあったらしい。

タグ:フィオレンティーノ

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フィオレンティーノの若かりし頃の録音をまとめたBOXシリーズの最新盤が『Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966』(PIANO CLASSICS)。
フィオレンティーノの録音で持っているのは、1994年〜1997年のベルリン録音BOXと若い頃のリスト録音。
もっと他の録音も聴きたくなったのでディスコグラフィをチェックすると、”Fiorentino Edition”シリーズとしてラフマニノフ、リスト、この”Early Recordings”がリリースされていた。

収録曲リスト(HMV)を見ると、協奏曲はモーツァルトの第21番と、 ショパンの《ポーランド民謡による大幻想曲Op.13》のみ。
残りは全てソロ録音で、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、シューマン、ラフマニノフ、メンデルスゾーンなど。ショパンが一番多くて、BOXセットの半分(CD5枚分)。

NMLでアルバムごと聴けるので、好きな曲を中心に聴いてみると、録音年の違いとは関係なく、玉石混交の音質。
マスターテープの状態の違いと、マスターテープがなくて板起こしした音源も混じっているためらしい。
1950年代の録音音質が悪いのはかまわないけれど、1960年代の録音でもそれほど良くない曲が多い。
バッハがかなり音が良く、ブラームスもそこそ良い。ベートーヴェンは1950年代の録音は悪く(特に「創作主題による32の変奏曲」は音が悪すぎて聴く気にならない)、1960年代の録音もそれほど良くはない。シューマン、ショパンは曲によって音質がまちまち。

「創作主題による32の変奏曲」については、amazonのデジタルミュージックで、1959年録音の音源がダウンロードできる。このBOXセットの録音は1953年なので、ダウンロード音源の方がかなりマシな音質だし、フィオレンティーノのベートーヴェン録音は少ないので貴重な録音。カップリングされているのは「皇帝」。
(曲名の間違いを修正中のため、一時的にサイトから削除されている。(3/17現在))


フィオレンティーノは、若い頃にリストやラフマニノフをよく弾いていたので、指回りはすこぶる良く、精密で力感のある切れ味の良い打鍵で技巧面は全然問題ないと思う。
フレージングは滑らかで、音の輪郭に丸みがあってまろやかさもあるので、聴き心地がいい。
緩急・強弱のコントラストが明瞭で、旋律最後の音をスパッと切ったり(これは90年代の録音でも同じ)、ペダルを使ったときの重層感のある響きの美しさ、緩徐部分でのゆったりとして情感深い歌い回しとか、さりげないけれど表情もニュアンスも豊かで面白く聴ける。
技巧優れていてもメカニックがギラギラすることはなく、端正さや品の良さがあるので、技巧と表現のバランスがとても良い感じ。

Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966
(2016/2/26)
Sergio Fiorentino

試聴ファイル

※amazonの試聴ファイルは、単品ダウンロードできない曲は試聴できない。itunestoreなら冒頭から1分30秒間、全曲試聴できる。
※No.12~No.29は、曲名と音源が一致していない。登録している音源の順番が間違っている。(3/17現在)


バッハの(まともに聴いたことがない)《半音階的幻想曲とフーガ》と《イタリア協奏曲》は音質がとても良い。
《半音階的幻想曲とフーガ》の響きがとてもファンタスティックで、《イタリア協奏曲》速いテンポで切れ良くコロコロ転がっていく音と快活で明るい雰囲気が聴いていて楽しい。歯切れ良いタッチでも、音色とフレージングに少し柔らかさと優美さもあって、元気過ぎないのが良い。

フィオレンティーノ編曲のバッハ=ブゾーニ《前奏曲とフーガ ニ長調 BWV 532》も音が鮮明で聴きやすい。(響きにちょっと電気的なものを感じるけど)
1996年のセッション録音よりもずっと速いテンポで(演奏時間にして40秒くらい短い)、同じようにペダルを多用している。
重音のタッチが軽やかで切れも良く、速いテンポでも残響がいくら重なっても混濁感がなく、若い頃の技巧優れたところがよくわかる。響きの長さ・重なり方が多彩なので、巧みなペダリングだと思う。
ゆったりとしたテンポで弾く1996年(69歳)の録音は荘重で重厚感があるけれど、この1965年の録音は荘重華麗な響きに包まれつつもしなやかで爽やか。
どちらもそれぞれの味があって素晴らしい。両方とも何度聴いても深く感じるものがあって、この若い頃の演奏もCDで聴きたくなってきた。

同じくフィオレンティーノ編曲のバッハ=ブゾーニ《シャコンヌ》も、和音の音が増えたりして、いつも聴いているキーシンの録音とは違う音や響きが聴こえてきて面白い。
緩急のテンポの落差がかなり大きい。緩徐部分はかなり遅く、アッチェレランドで移行する急速部はかなり速い。緩急それぞれのテンポの中でもかなり幅があり、タッチも強弱も多彩に変化する。緩急・静動のコントラストが大きく、緊張と弛緩が何度も交代するのにこちらもシンクロしてしまった。
急速部分は一気に駆け抜けるような疾走感と緊張感があり、一音一音をゆったりと弾きこんでいく(長調の)緩徐部分は音色が暖かく緊張感もほぐれて、独特の密やかで安らかな雰囲気が漂う。
ドラマティックでロマンティシズム溢れる荘重華麗な演奏が素晴らしくて、とても気に入ってしまった。

↓このライブ演奏も、1965年の録音と同じようなテンポ。音質の違いで、こちらの方が響きが重層的で重厚に聴こえる。
71歳の時の演奏でも、指回りとタッチの切れの良さは若い頃と変わらないくらい。

Bach-Busoni Ciaccona - Sergio Fiorentino (Live 1988)



ベートーヴェンは、滅法速い「熱情ソナタ」の第3楽章以外は、普通に速いか少し遅いくらいのテンポ。同一楽章内の緩急(テンポ)の落差がかなり大きい。(バックハウスよりも大きいかも)
急速楽章では指回りが良く、粒立ち良い打鍵とほどよい力感でキビキビとした躍動感が爽快。
かなりゆったりしたテンポの緩徐楽章では一つ一つの音とさりげない語り口に繊細なニュアンスが籠っていて、急速楽章でもテンポが遅めの演奏の方が味がある。特に弱音とペダルを使ったときの響きがとても綺麗。
パチパチノイズが入っている「月光ソナタ」の第1楽章は、起伏の少ない平板な弾き方のなかに何とも形容しがたい雰囲気が漂う。
「ワルトシュタインソナタ」はノイズはないけれど音が遠いし、音自体もゴツゴツと骨っぽくてあまり綺麗とは言えない。それでも第3楽章の弱音の響きの美しさが印象的(音質が良ければずっと美しく聴こえるはず)。終盤ではグリッサンドは使わず、オクターブでスケールを弾いているのが珍しい。
「悲愴ソナタ」はパチパチとノイズが入っていても、「月光ソナタ」と同じくらいに音は鮮明。なぜか第1楽章のりピートしていない。トリルやフレージングとかアーティキュレーションに独特なものがあって(奇抜なところはない)、どの楽章も今まで聴いてきた演奏とは一味違う不思議な魅力がある。特に第2楽章は弱音で弾くときの語り口に何とも言えない優しさや密やかさが籠っていて、とても親密な感じがする。
ベートーヴェンではこの「悲愴ソナタ」が一番好き。ますますCDで聴きたくなってきた。

ブラームスの変奏曲2曲は、パガニーニが音が近くてかなりデッドな音質。音はクリアなのでわりと聴きやすい。
急速系の変奏でも力業で押すことなく、かなり軽やかなタッチで技巧優れているうえに、表情がしなやかで繊細な叙情感もあって、この曲にしてはわりと面白く聴ける。
ヘンデルの方は,パガニーニよりも音がやや後方に下がり、残響もそこそこある一方で、音がモコモコと籠り気味。速いテンポの重音移動でも力みなく滑らか。美しいソノリティと軽やかでしなやかなタッチなので、落ち着いた優美さがある。

苦手のシューマンでは、まともに最後まで聴いたことがなかった《ウィーンの謝肉祭の道化》は、ちょっとモコモコしてかなり前方から聴こえてくる。それほど音は悪くはないし、曲自体も面白い。少なくとも《謝肉祭》よりは好きな曲。
CD5枚分もあるショパンの方は、音質が良くない曲が多い。バラードが一番音が良く、ポロネーズもやや籠り気味だけどわりと良い。


音質の良いと思われる1997年Newport音楽祭のショパンリサイタルのライブ録音(In Memory of Sergio Fiorentino: Chopin Piano Works)は、在庫切れまたは廃盤なので入手困難。
youtubeにも音質のとても良いライブ音源がある(映像はないけど)。CDと曲目は同じ。
最後のアンコール曲《子犬のワルツ》が起伏が大きくて、中間部のワルツのリズムが優雅で、何だか妙に面白い。

Sergio Fiorentino in recital (1997 Newport) A Chopin recital



ショパンのエチュードをアンコールで弾いたライブ映像。力みがなく指の形や動きの滑らか。
若手ピアニストが弾いているライブ映像はいろいろあるけれど、さすがに(68歳の)フィオレンティーノくらいの年齢のピアニストがアンコールで弾くのは珍しいのではなかろうかと。(それに、指揮者がフィオレンティーノの指の動きをじ~っと覗き込んでいるのが面白い)

Chopin Etude op.10 n4 - Sergio Fiorentino - Live in Germany 1995



最初は好きな曲だけダウンロードしようかと思ったけれど、単品ダウンロードできない曲がいくつもある。
それに、バッハとブゾーニ、ベートーヴェンがとても気に入ったので、このBOXセットもすぐに注文してしまった。


タグ:フィオレンティーノ バッハ ベートーヴェン ブラームス

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2017.03.13 12:00| ・ お料理全般・食材
今年の冬は干し芋をたくさん作りたくて干しカゴを買ったら、さつまいもだけでなく、いろんな野菜を干すのが日課になってしまった。
今まで干したのは、さつまいもの他に、にんじん、大根、(蒸し)かぼちゃ、まいたけ、ぶなしめじ、えのきだけ、れんこん、さといも、なす、ブロッコリー、もやし。
果物で干したのは、親戚からお歳暮代わりに届いた愛宕梨。
そのうち、エリンギ、ネギ、たまねぎ、白菜、ズッキーニに、りんご、バナナも干してみたい。(今、青ネギを干しているところ)

野菜や果物を干す利点は多い。
味や食感の面では、味が濃くなって美味しくなるし、出汁としても使える。それに、荷崩れしにくく、食感がコリコリして歯ごたえがある。
保存面では、水分がとんで小さくなるので、大量にまとめ買いしても、干せば(乾燥の度合いによって)常温・冷蔵・冷凍のいずれかで、短期または長期保存できる。
特に水分が多くて、冷凍保存するとやたらに嵩張るナスや、嵩張るキノコ類やブロッコリーとかは、容量が激減するので、干して保存するに限る。
おかげで、缶詰や乾物などをまとめ買いしてストックする性分に拍車がかかって、野菜までまとめ買いするクセがついてしまった。


<干しニンジン>
干し野菜をはじめよう 3 ニンジンは干す[LunaFarm]
野菜の保存方法 乾燥 干しニンジン[enjoy家庭菜園]

2日~3日ほど干したニンジンは甘みが強くなって、とても美味しい。乾燥するのが速いのでとても干しやすい。
千切り、輪切り、拍子切りと数種類干しておけば、いろんな料理に使える。
お味噌汁とか炊き込みご飯に入れて加熱しても、シコシコ歯ごたえがあって、干さないニンジンよりもよく噛むようになる。
輪切りよりも拍子切りの方が、繊維が切断されていないので、歯ごたえがある。
冷凍状態でそのまま食べても繊維がしっかりしているし、加熱してもシコシコ感が残る。
おやつ代わりに食べても美味しい。
これからは、ニンジンを買ってきたら全部干したくなってきた。


<干しきのこ(ぶなしめじ、まいたけ)>
干ししめじの作り方と保存方法まとめ[干し野菜の作り方・レシピまとめ]
うまさ超UP! シメジ驚きの調理術[NHK/ガッテン]
干したブナシメジはホンシメジ並みに美味しくなるらしい。

ぶなしめじは、2日ほど干すと、にんじんよりも水分の抜けが速くて、干からびてきた。匂いがかなり強くなっている。
小サイズのフリーザーバックに2個分のぶなしめじが収まるくらい。(干さないと中サイズのフリーザーバックが2個必要)
しめじは冷凍保存しても旨みが増すので、干ししめじを冷凍すればさらに美味しくなる?
煮物・汁物とかに入れたら、元のサイズに近いくらいに膨らんで、干さないぶなしめじとは違って、繊維の歯ごたえがしっかり。


干し舞茸(乾燥まいたけ)の作り方と保存方法まとめ[干し野菜の作り方・レシピまとめ]
まいたけは、下の硬い部分を切って、手で適当な大きさに裂いてから干した。
きのこのなかでは、舞茸が一番濃いお出しがとれるので、干すとさらに濃厚になりそう。



<干しえのき>
えのきだけを干すと、あさりみたいなお出しが取れると濱田さんの『干し野菜百科』に書いていたので、1パック干してみた。
石づきの少し上をハサミでカットすると、バラバラにならなくて便利。(バラバラにして干しても良い)
数日で茶色に変色してドライ状態に。汁物に入れたら、あさりみたいなお出しが出ていた。
嵩張らないので冷凍保存して、煮物の具や、汁物のだしの素がわりに使う予定。


<干し芋>
ほしいもの作り方[ほしいも百科事典]
プロのほしいも農家さんの作り方の紹介。これだけ手間をかけていれば、国産の干し芋が高いのも納得。

干し芋を作る[kcyの趣味と生]

いろんな芋で干し芋を作る[@nifty:デイリーポータルZ]
定番のさつまいも以外に、じゃがいも、京いも、ヤーコンの干し芋を食べ比べ。
京いももジャガイモも、干したら美味しそう。茹でた京いもはポクポクしているそうなので、里芋を干しても美味しいかも。

干し芋泥棒[マクロビパパの奮闘記]
写真を見ると、上手に蒸せたお芋は透き通っている。白いところがまだらに残ったのは、固くて蒸し足りない。

今まで作った干し芋がもうひとつ甘みが足らなかったのは、白いまだら模様だったからに違いない。
私はお芋を皮つきで丸ごと蒸しているので、ある程度柔らかくなったところで、中を割ってみないと蒸し加減がわからない。
細目のお芋はすっかり透き通っているのに、太目のお芋は白いまだら模様だった。これをさらに蒸し続けると、しっかり透き通って、味見してみるとかなり甘い。今年の干し芋は例年よりも美味しくなりそう。
5日ほど干したお芋をガスコンロの火であぶって食べると、まさにお店で売っている”干し芋”の味。
縮んで薄くなってしまったので、次は厚めにスライスすれば、市販品とほぼ同じ食感になる。

干し芋【丸干し】VS【平干し】どっちが人気?美味しい?(紅はるか)鶴田商店で味比べ[ランキング・口コミで人気のアレコレ実際に買ってためしてみました.]
✿干し芋の作り方✿丸干し[cookpad]

丸干しした干し芋も美味しそうだったので、小さくて細いお芋を3本丸干し中。やはりスライスした蒸し芋よりも乾燥するのにかなり時間がかかる。1週間くらい干しても、表面がなかなかカラっと乾いてくれない。
市販の干し芋は、乾燥機を利用して大量生産しているものも多いらしい。
天日干しだと、平干しで7日間、丸干しだと20日間くらいかかって乾燥させるそうなので、そこらのお店では売っていない丸干し芋は稀少品。

【あなたのNo.1ほしいもはどれ?(ほしいも銘柄別の味わい)】[ほしいも百科事典]
手に入りやすい紅アズマ、安納芋、鳴門金時は、干し芋には向いていないという。時々お店で見かける紅マサリは、干し芋向き。
たしかに、紅マサリはしっとり仕上がって形崩れしにくいし、甘みが強い。
紅アズマ、鳴門金時、黄金芋は、ホクホクしているので、カットするときにポロポロと崩れやすい。
干しても、黄金芋はあまり甘くならなかったけど、水で濡らしたクッキングタオルとアルミホイルで巻いてガスコンロで蒸し焼きした紅アズマと鳴門金時は、かなり甘い干し芋になっていた。


<干し大根>
ようやく大根が安くなって、1本105円で売られていたので、大根も干したくなって買ってきた。
ポピュラーなのは、切り干し大根。
珍しいのは、茹で干し大根と蒸し干し大根。
茹で干し大根は、茹でてからすぐに干す。
「ゆで干し大根づくり 長崎」(Youtube)によると、茹でた大根を一昼夜さらすと、一気に飴色に変わるらしい。

蒸し干し大根は、蒸して干す方法と、生のまま干した後に、蒸して干す方法があるらしい。
「稲美町でゆで干し大根づくり」(Youtube)を見ると、最初に生の千切り大根を干して乾燥させてから、蒸し干ししている。なので、正確には、茹で干しではなく、蒸し干し大根。
茹で干し大根を作ってみたり![あんな話こんな話]

干し方によって色合いや食感、味が違うので、茹で干しと蒸し干し、それに輪切りやイチョウ切りの干し大根も作ってみた。
まず、丸干し用のさつまいもと一緒に、拍子切りの大根もついでに蒸して干してみたら、数日たってもなかなか水気が抜けない。
蒸すと水っぽくなる大根の拍子切りを乾燥させるのはかなり時間がかかるようなので、千切りに細く切ってから、干し直し。
一緒に干しているのは、生の大根の輪切り、千切り、拍子切り、いちょう切り。
2日ほど干した生の大根の拍子切りを炒めものに使うと、沢庵やつぼ漬けみたいなポリポリした歯ごたえ。炒めずに食べてみると、ちょっと甘みがあって、これも美味しい。
人参も大根も干した方が歯ごたえが良くて、この食感がかなり気に入ったので、冷蔵庫で保存している大根も順番に干したくなってきた。

数日干した輪切り大根の中央部が緑色に変色している。ちょっとカビみたいな色だけど、表面ではなく内部から緑色になっている。
白く乾いた大根でも、冷蔵庫・冷蔵庫で保存していると、同じ現象が起こる。
調べてみると、これはカビではなく、「青あざ症」という現象で、乾燥により組織変性が起こって変色したらしい。
食べても害はないそうだし、煮ると緑色が消えて白い大根に戻っていた。
でも、見た目が嫌なので、長期保存せずに、数日間使う分だけ干して、冷蔵庫で保存することにした。

「大根を切ったら真ん中が青く、かなりの部分が変色していました」(yahoo!知恵袋)

今のところ、いちばん気に入っている干し大根のレシピは、醤油漬け。
お酢や砂糖を入れるのが一般的らしいけれど、酢も砂糖もほとんど使わないので、シンプルに丸大豆醤油に漬けておくだけ。
干し大根の甘みがお醤油と絡まって、甘辛くて美味しい。
漬けておいたお醤油は、干し大根の旨みが浸透して、お酢も砂糖も入っていないので、いろいろ料理に使える。


<干しれんこん>
干しレンコン[採集生活]
↑は薄切り。1cm~1.5cmくらいの厚切りにすると、煮物にも使える。
※皮をむくときは、クシャクシャにしたアルミホイルでこするのが手っ取り早い。
レシピ本通り、1cmくらいの厚切りを1日干すと、もともと水分が少ないせいか、陰干しでも表面がかなり乾いていた。
煮物に入れたら、食感がモチモチして、歯ごたえもしっかりして強くなっていた。



<干しかぼちゃ>
干しかぼちゃの作り方と保存方法まとめ[干し野菜の作り方と保存方法まとめ]
普通は、生のかぼちゃを適当にスライスして、そのまま干す。
かぼちゃはかなり乾きにくいので、角形よりはスライスした方が良い。良く乾いていないかぼちゃを煮たら、生のかぼちゃと同じように荷崩れしてしまった。
廣田有希さんの『干し野菜をはじめよう―太陽の香りがするレシピ100』で紹介されていたのは、「レア干しかぼちゃ」。
さつまいもの干し芋づくりと同じように、かぼちゃを蒸してから干す。あらかじめ干したかぼちゃを蒸した方が形崩れしにくく、乾きやすい。
厚さ1cmくらいにスライスしたレア干しかぼちゃは、甘みが増して、食感ももっちり。煮込みやバター焼きにするよりも、ドライフルーツみたいにそのまま食べる方が美味しい。これは大ヒット。


<干しなす>
水分の多いナスを干すと、3日~4日ほどですっかり干からびて小さくなっている。
煮物に入れると、生のナスなら煮すぎてトロトロになるのに、干しなすは歯ごたえもしっかり残る。
水気が多いので、完全に乾かすとすっかり小さくなって、冷凍保存するのにとても便利。

大量消費に!☆白く仕上がる!干しナスの方法☆


<干しブロッコリー>
濱田さんの『干し野菜百科』によると、ブロッコリーを完全にドライ状態にすると、えぐみが強すぎて食べられたものではないらしい。
ドライにする場合は、30秒ほど塩ゆですると書かれている。セミドライなら生のまま干して良い。

試しに、生ブロッコリーと茹でブロッコリーの両方を、セミドライとドライで干してみた。
生のブロッコリーは、陰干しだとなかなか乾かないし、味もそれほど濃くなっていなかったので、途中で中止。
茹でたブロッコリーも乾くのにかなり日数がかかるけれど、生のブロッコリーよりは早くしっかり乾くし、味が凝縮されて美味しい。ブロッコリーは茹でて干すのがベスト。


<干しもやし>
濱田美里さんの『干し野菜百科』で紹介されていた干しもやし。
あんなに水気が多いもやしでも、3日ほど陰干ししたら、糸みたいにすっかり乾燥していた。
細もやしに似た少し硬めの食感で、元の緑豆もやしの面影はなし。
もやしからは良いお出しがとれるので、汁物・煮物に入れるのがよさそう。

干し野菜 研究室 ”もやし”偏[常陸屋ノート]


<干しねぎ>
薬味用の青ネギを小さな輪切りにして陰干ししたら、2日ほどでカラっと乾燥。瓶に入れて置いたら、湿気ていたので冷凍。
お味噌汁に入れると、生の青ネギよりも香りが弱い。味の方がしっかりとコクがあって、美味しい。


<干し梨>
あたご梨のドライフルーツもネットで販売されていたので、あたご梨も自分で干してみた。
あたご梨は、切り口が黒くなりにくいので、塩水にはつけなくても良い。
数ミリの薄さにスライスしてそのまま数枚干して、2日後に1枚だけ味見してみると、思ったほど甘くない。
もっと長く干さないと水分が抜けて甘みが凝縮しないらしい。
いつから干したのか忘れた頃(1週間とか10日後くらい)に食べてみると、部分的に少し変色して半分くらいの大きさに縮んでいた。おかげですっかり甘くなってとても美味しい。


<干しりんご>
紅玉が安かったので、12個まとめ買い。
少し気温が上がったせいか、乾燥させるのに愛宕梨よりも時間がかかる。
愛宕梨と違って水気が少ないせいか、薄く切ると水気が飛んでスカスカで歯ごたえがない。あまりジューシーではない紅玉だからかも。
厚めに切ってセミドライで食べる方が、水気が残ってジューシー感あり。バターソテーすると甘みがしっかりする。
煮てから干す方法もあり、こっちの方が美味しい気がする。
それに、ジューシーな愛宕梨の方が甘みが凝縮してずっと美味しい。

干しりんごはいかがですか?〝干す〟に最適な時期到来。 [rassic]
パリッと、干しリンゴ [のどかに]





<干し野菜の本>

干し野菜のレシピブックを6冊くらい読んでみたところ、私が気に入ったのは次の2冊。

干し野菜をはじめよう―太陽の香りがするレシピ100
(2011/10)
廣田 有希


著者は、料理道具店『つきじ常陸屋』の三代目社長で、干し野菜研究家。
最初の方の15頁分をイメージ写真付きで干し野菜の利点の説明に費やしている(大半はカラー写真)。これは多すぎて冗長。もっとコンパクトにまとめて、その分は掲載する野菜や果物の数とレシピを増やして欲しかった。

内容の方は、干し方の説明が多いカタログ的な本を探していたので、かなり希望に合っていた。レシピは、写真や字は小さいけれど、数は多い。
コンパクトなサイズと整然としたレイアウトで、干し方のポイントが簡潔に書かれている。干し野菜の写真は、干した後のみ。小さめの写真なので、スペースを取らないところが良い。
著者のコメントを読むと、なすびやカボチャを干すととても美味しそうに思えてくるので、俄然干したくなってくる。
珍しい干し野菜は、サツマイモの干し芋と同じように、蒸してから干す”レア干しかぼちゃ”。
早速かぼちゃを買って蒸し干しして、コンロの火で炙って食べてみると、説明どおりもちもち食感で甘くて美味しい。糖質の多い干し芋の代わりにちょうど良い。この本のなかで、一番のヒット。

著者はオリジナルの国産干しカゴをを考案して販売中。
オリジナル干しカゴの開発経緯は「廣田有希さんにインタビュー(Volume62)」という記事に載っている。



干し野菜百科
(2011/7/21)
濱田 美里


サイズが大きく、干し野菜の写真が多い。レシピ数は少なく、干し方が詳しい。
灰汁の強いナス、さつまいも、ブロッコリーなどを干す前または料理前の下処理方法(塩水に漬ける、茹でる)とか、ドライとセミドライでも下処理の方法が違う点など、細かいところまで説明されている。
冬瓜、ミカンの皮、枝豆、もやしなど、他のレシピブックではあまり取り上げていない野菜や、ハーブ、果物の干し方もいろいろ載っている。
早速もやしを干してから、スープに入れてみると、繊維の歯ごたえがしっかり残って、食感が面白い。ただし、ボリューム感がないので、かさましするなら普通のもやしを使った方が良い気はする。
干すと灰汁の強くなるブロッコリーは、生よりも茹でてから干した方が乾くのが速いし、味も濃くなっていた。


<関連記事>
干しカゴ選び

数あるバッハ録音のなかでも、フィオレンティーノのバッハはとても好きなので、折に触れて聴いている。
今回聴きたくなったのは、テンポが遅すぎてほとんどまともに聴いていなかったバッハ=ブゾーニ編曲《前奏曲とフーガBWV 532》と、なぜか聴きそびれていた《フランス組曲第5番》。
両曲とも何度も繰り返し聴いたくらいに気に入って、特に《前奏曲とフーガ》はフィオレンティーノのピアノでしか聴けない演奏だった。

バッハ=ブゾーニ編曲《前奏曲とフーガBWV 532》(1996年録音)は、フィオレンティーノ自身がさらにアレンジしたバージョンで弾いている。
1960年代に録音したり、1990年代のリサイタルでも度々弾いている。自ら編曲しただけあって、この曲にはかなり愛着を持っているように思える。
フィオレンティーノの編曲版は、いつも聴いているレーゼルのブゾーニ版と比べると、明らかに和音を構成する音が増えているし、何よりペダルをたっぷり使っている(特にフーガ)。
楽譜を見ながら聴くと、レーゼルの演奏は音は(当然のことながら)楽譜どおりで、ペダルを使う場所も楽譜の指定に(ほぼ)従っている。
ブゾーニ版では重音移動でもペダル記号がついていないことが多いので、レーゼルは軽快で歯切れ良い打鍵でテンポも速く、ペダルを使わないわりに音が滑らかにつながっていく。
この曲の演奏をいくつか聴いていると、レーゼルのように速めのテンポで音が濁らないようにペダルも控えめに短く踏みかえて使っている演奏が多い。

フィオレンティーノの場合は、テンポがかなり遅い(フーガの演奏時間はレーゼルが6分、フィオレンティーノは7分半)。
ブゾーニ版よりも音が増えて和声がさらに重厚になり、何よりも楽譜でペダル指定がない部分でもペダルを多用して(それにペダルを長く踏んで)いるので、残響が長く幾層にも重なっていく。時々装飾音も追加している(これが結構洒落ている)。
これだけ響きが厚いのに、響きはクリアで混濁した感じが全然しない。
豊かな色彩感とピアノから溢れ出てくる重厚な響きは、まるで教会で聴くオルガンの響きのように荘重華麗。2台のピアノで弾いているかのように錯覚しそうになることがある。
ゆったりと一歩一歩踏みしめるようなタッチで弾く旋律と重層的な響きから、この曲と演奏のもつ明るさと温もりが伝わってきてとても心地良い。


1996年10月、ドイツSiemensvillaでのCD用録音風景。パッセージに応じて(右側の)ペダルを細かく踏みかえているのがよくわかる。
S.Fiorentino: Bach-Busoni (arr. Fiorentino). 2.Fuga.




↓は1996年Newport音楽祭のリサイタル音源。
伸びやかで張りのある豊かな響きが生き生きと輝いて、CDよりもずっと音が良い。その上ライブ独特の臨場感があるので、さらに素晴らしく聴こえる。
これだけ音質の良い音源が残っているのなら、CD化してくれたら嬉しい。
BOXセットのブックレットの解説を読んでいたら、このリサイタルが成功して評判になったおかげで、フィオレンティーノが一気に注目の的となり、演奏会のオファーが相次いだと書かれていた。この時、フィオレンティーノは69歳。

Sergio Fiorentino in recital (1996.07.08 Newport) Bach/Busoni, Schumann, Gounod, Tchaikovsky



フィオレンティーノの《フランス組曲第5番》(1996年録音)もとても素敵。
明晰でありつつ叙情豊かで、さりげない表情のなかに深い味わいがあって、コロリオフと同じくらいに私の好みとぴったり。
”Allmande”と”Loure”は、軽やかというよりも、落ち着いたタッチで、残響が和らかく、優しい叙情感がじわ~としみ込んでくる。
それと対照的に急速系の曲は、コツコツした硬めで切れのよい打鍵で、パルティータと同じように、アゴーギクを使わずほぼインテンポ。速いテンポでも、バタつくことなくデリカシーを失わない丁寧なタッチ。
拍子をきっちり刻むので縦の線がピシっと揃って、かっちりとした構成感で小気味良い。
ノンレガートでも、滑らかなタッチで繋がっていき、時々スラー末尾の音をスパっと切っている。これがスキップしているみたいに歯切れよく、ちょっと粋な感じがする。それに、最後に和音で終わるときは、アルペジオ風に崩していることが多い。
(シフのように)”Loure”はリズムを強調するのではなく(これはこれで面白いのだけど)、(コロリオフのように)多彩なリズムの変化がわからないくらいにゆったりとしたテンポでじっくりと弾く旋律がしみじみとした味わい。
”Gigue”では、力強い弾力あるタッチと柔らかく軽やかなタッチを使い分け、拍子をきちっと刻んでいくシャープなリズム感で、着実に一歩一歩前進していく。
面白いのは、フィオレティーノの流儀として、(バッハに限らないけど)楽譜にない音を付け加えているところ。

↓のYoutube音源は、エラールのピアノで弾いたライブ演奏。
セッション録音と同じく、シャープなリズムとコツコツとしたノンレガートなタッチが歯切れ良い。

Sergio Fiorentino plays Bach gigue from French suite n.5 (on Erard)




ついでに、今まで聴いたどの演奏よりも好きな《パルティータ第1番》。これも同じく1996年の録音。
優しく美しく気品があって、何度聴いても素晴らしい。これが私のベスト盤。

Sergio Fiorentino: Partita n.1 (Bach)




このBOXセットにはバッハの他に、ピアノの音と繊細なタッチが美しいシューベルト、技巧鮮やかでロマンティシズム濃厚なリスト、重厚で陰翳の濃い響きのフランク、濃密な情感漂うスクリャービンやラフマニノフ、優美なスカルラッティ、夢見るようなドビュッシー、ロマンティックなフォーレの《夢のあとに》(フィオレンティーノ編曲)など、煌くような宝石がいっぱい詰まっている。

『Sergio Fiorentino Edition Vol.1 :The Berlin Recordings 1994-97』
Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1Berlin Recordings-Fiorentino Edition Vol. 1
(2012/01/10)
Fiorentino

試聴ファイル(分売盤にリンク)(allmusic.com)



<過去記事>
フィオレンティーノ ~ バッハ/パルティータ第1番

タグ:バッハ フィオレンティーノ

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先日注文したコロリオフの《フランス組曲》のCDが届くまでかなり日数がかかるので、それまでステレオで聴くために、すぐに手に入る《フランス組曲》の録音を探してみた。(いつも聴いていたガブリーロフの録音は、テンポとタッチが今の私の好みとはかなり違っているので)

ピアノ演奏なら、シフ、ペライア、フェルツマン、グールド、リュプザム。いずれも今までに部分的には聴いていたので、試聴ファイルで聴き直してみても、やはりCDを買うまでには至らず。
ほとんど聴いたことがないチェンバロ演奏は、ルセ、レオンハルト、曽根麻矢子。ついでにキース・ジャレットも。
他にもyoutubeにある音源をピアノ・チェンバロともいろいろ聴いたなかで、冒頭から惹き込まれたのはレオンハルトの1973年録音。
今までの経験から言えば、最初を聴いただけで惹き込まれる演奏なら、ほぼ間違いなく波長がぴったり合う。
それに、チェンバロ演奏に対してはプラス方向のバイアスは全くかかっていないので、合うのは間違いはない。

普段からチェンバロはほとんど聴かないけれど、なぜかレオンハルトの《パルティータ》と《イギリス組曲》(いずれも1984年録音の新盤)は好きなのでCDを持っている。(旧盤よりもアゴーギクが強くなくて聴きやすかったので)
フランス組曲》を試聴してみたら、昔はアゴーギクの強い弾き方が好きではなかったのに、今は不思議なことに全然大丈夫。
たぶん、ピアノにしてはアゴーギクを多用したコロリオフの《フランス組曲》を何度も聴いているおかげで、すっかり耳も感性もそれに慣れてしまったらしい。
一音一音の強弱をほとんどつけられないチェンバロでアゴーギクが少ないと、曲によっては表情がかなり単調に感じる。
ルセのチェンバロもかなり好きなのだけど、装飾音に凝って優雅でメロディアスなルセよりは、タッチと音に鋭さがあり、かっちりとした構築感と引き締まった叙情感で格調高く感じるレオンハルトの方がす~と自然に馴染める。

《フランス組曲》で使われているチェンバロは、デイヴィット・ルビオによるパスカン・タスカル・モデル(1723/1725)のレプリカ。
線が細めですっきりした響きが綺麗でとても聴きやすい。
このチェンバロの煌きのある華やかな音色は、《フランス組曲》のバロック音楽らしい優美さと哀感によく似合って、ややゆったりとしたテンポとアゴーギクを多用したフレージングにコクがあって濃厚な味わい。そのわりに旋律も音楽も淀みなく流れるのでとても自然な趣き。
試聴してとても気に入ったのですぐに注文したら、翌日には到着。やはり国内配送は速い。

J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)(期間生産限定盤)J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)(期間生産限定盤)
(2016/9/7)
グスタフ・レオンハルト

試聴ファイル

※1975年2月&12月 オランダ、ハーレム、ドープスへヅィンデ教会にて録音。《フランス組曲》のCDは普通は2枚組なのだけど、レオンハルトの場合は所々リピートを省略しているので(リピートしている時もある)、演奏時間が78分と短く、CD1枚に収まっている。もっと長く聴いていたいし、リピートした時に装飾音を変えた演奏が聴けないのがちょっと残念。

第1番の”Allemande”や”Gigue”、第5番の”Allemande”などのテンポと歌い回しが、コロリオフの演奏と少しオーバーラップしているように聴こえるところがある。
第1番の”sarabadde”では、弱音で弾くピアノと違って、和音が多い部分ではジャンジャン鳴って、ちょっと賑やかに感じる。
単旋律主体の第2番の”sarabande”ではかなり静かになって、しっとりとした憂いが漂っている。

チェンバロ特有の豊かな倍音と多彩な音色の美しさは、ピアノの音色の美しさとはまた違った味わい。
チェンバロの色彩感は油絵のような濃く鮮やかな色合いがカラフルで、響きは荘重華麗。ピアノは水彩画やパステル画のように淡く透明感があり、何よりもタッチやペダルによって、強弱も響きのバリエーションも豊か。
色彩感豊かで煌くのうに華やかで哀愁漂うチェンバロの音色で聴いていると、コロリオフのピアノの音色の透明感と清楚さ、静謐な弱音の美しさがよくわかる。

同じ曲でもこれだけ音色が違うと、ほとんど別の曲を聴いているみたい。どちらの音も演奏も好きなので、楽器の違いにかかわらず両方とも音楽が自然に身体の中に入ってくる。
もともとピアノが好きなので、メインで聴くのはコロリオフの録音だとしても、次に聴きたいのは(他のピアノ演奏ではなくて)、レオンハルトのチェンバロ。

Leonhardt, Bach, ex Bwv 812




ついでに久しぶりに聴いたレオンハルトの《イギリス組曲》。
これもピアノ演奏で私のイメージ通りの全曲録音が見つからず、チェンバロの荘重華麗な音色と演奏が素晴らしくて、レオンハルトの新盤(とルセ)のCDを買ったのだった。(ピアノの抜粋録音で好きなのは、ソコロフの第2番とアンデルシェフスキの第1・3・5番。特にアンデルシェフスキが素晴らしい)
レオンハルトの《イギリス組曲》は、1973年の旧盤よりもこの1984年の再録音の方がアゴーギクが緩くフレージングが滑らかで流麗。

Johann Sebastian Bach, 5th English Suite e-minor BWV 810, Gustav Leonhardt, 1984


バッハ:イギリス組曲 全6曲バッハ:イギリス組曲 全6曲
(2012/9/19)
グスタフ・レオンハルト

試聴ファイル(国内盤にリンク)



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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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