2024.03.31 00:00| ♪ スティーヴン・ハフ
    hyperionレコードがNMLに参加したり、Youtubeの<Stephen Hough - Topic>チャンネルもできたので、スティーヴン・ハフ(やオズボーンなどのhyperionアーティスト)の録音がオンラインで聴けるようになった。
    ハフのCDはほとんど持っているけど、未購入のアルバムがいくつかあったので、試聴して購入したのがドヴォルザーク&シューマンのピアノ協奏曲集。発売時に冒頭だけ試聴した時は購入しなかったけど、今回全楽章試聴すると印象がとても良かった。

     Dvorvak & Schumann - Piano ConcertosDvorvak & Schumann - Piano Concertos
    (2016年03月12日)
    Stephen Hough 、 Andris Nelsons 、 City of Birmingham Symphony Orchestrae


    ピアノはスタインウェイ。ハフの最近のスタジオ録音では、コンチェルトの場合はスタインウェイ、独奏曲の場合はヤマハを使うことが多い。
    ジャケットの絵はムンクの”Moonlight”。確かにドロドロと淀んだような輪郭と色彩はムンクらしいタッチ。

    ブックレットの作品解説者は、なぜかチェリストのスティーブン・イッサーリス(ハフとイッサーリスはデュオ録音したり、ハフの自作曲をイッサーリスが録音したりと、かなり親しい)。
    特にドヴォルザークのコンチェルトの解説が勉強になった。
    「ソロの書き方がピアニスティックでないことは認めざるを得ない。演奏するのは恐ろしいほど難しいが、楽々と弾いているように聞こえるに違いない-ヴィルトゥオーゾの夢とは正反対だ!だからピアニストたちは不平を言った」。
    ドヴォルザークの死後、チェコのピアニスト、ヴィレム・クルツがピアノ・パートを大幅改訂して出版。この改訂版がスタンダードになったが、リヒテルがドヴォルザークの原典版を演奏して以来、原典版が演奏されるようになった。(もちろんハフも原典版を弾いている)
    「この協奏曲の「容易に形づくられたファンタジー」を称賛したブラームスは、ドヴォルザークが他の作曲家にも主要な素材を提供できたはずの主題のアイデアを捨ててしまったと不満を漏らしたことで有名だ。・・・・・この楽章は、美しい主題の宝庫であり、そのような旋律的才能の素晴らしい例を聴かせてくれる。」

    ドヴォルザークのピアノ協奏曲は、主題が変奏曲みたいに次々に展開していき、多数のパーツが組み合わさったパッチワークみたい。この曲のCDで持っているのは、2010年に購入したフィルクスニー(ピアノはヴィレム・クルツにとシュナーベルに師事)のRCA盤のみ。リヒテル&カラヤンの録音も聴いたことはある。
    演奏時間が合計40分(うち第1楽章が約20分)とブラームスのピアノ協奏曲第1番と同じくらい長い。ピアノパートがそれほど際立ったわけでもなく、ドヴォルザーク自身が「ヴィルトゥオーゾのための協奏曲を作曲することが出来ない」と言っているくらいなので、ピアノ独奏付き交響曲みたいな曲。
    特に第1楽章はモチーフそれぞれは綺麗だけど、旋律が断片的なのでピアノパートの音楽の流れが途切れて、オケの中にはめ込まれたパートの一部みたいに聴こえる。でも、《スラブ舞曲》や《詩的な音画》とかよりも聴きごたえはあると思う。それにイッサーリスの解説を読むと旋律から何が聴き取れるのかわかりやすい。

    第1楽章(作品解説)
    「冒頭の小節から、指揮者ヴァーツラフ・ターリチの言葉を思い出す:”ドヴォルザークは自然に耳を傾ける方法を知っていた...木々も、小川も、石も、すべてが歌う。村の音楽の自然主義的なリズムが、リズミカルな詩に作り変えられている”。私たちがドヴォルザークで最も大切にしている資質の多くは、この第1楽章の主題に感じられる。
    「彼の音楽的性格の一部である自然で肯定的な暖かさが、作品の冒頭の秋のメロディーで感じられる。第2主題は、作曲家の典型的なユーモアと無邪気なダンスのリズムを導入し、その対となる主題は、熱烈なカトリック教徒ドヴォルザークの献身を放っている。壮大さもあり、特にカデンツァではシューマンの協奏曲を連想させるようなコーダへと導かれる。」

    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: I. Allegro agitato


    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: II. Andante sostenuto


    第3楽章(作品解説)
    「フィナーレは民族舞踊の世界に引き戻されるような序奏で始まり、メインテーマも同じようにチェコの土壌に深く根ざしたメロディーの曲がりくねったdervish(ダルウィーシュ)。」
    ※Dervish:語源は貧しい人や托鉢僧を意味するトルコ語’darvis”。イスラム教の修道僧のことで、礼拝の一環として体を激しく回転させる踊りや祈祷で法悦状態になる。

    「第3主題で初めてメランコリーが感じられるが、ここでもすぐに抗いがたい踊りが伴奏に入り込んでくる。」
    「長いコーダは、不機嫌な名手をも満足させるほどのピアニスティックな興奮で、足を踏み鳴らすような祝祭的なト長調で終わる」

    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: III. Allegro con fuoco



    シューマンのピアノ協奏曲はハフにしてはテンポが遅くてゆったりして(演奏時間は約32分)、この曲の録音(29分~30分台が結構多い)のなかでも遅い方だと思う。
    粒立ち良いタッチでも、まろやかで柔らかさがあり、フォルテの強度も抑え目。弾けるような躍動感や、パッショネイトな激しさや感情が迸る瑞々しさは薄く感じる。澄んだ音色と豊かな色彩感でピアノの音がとても美しく、さらに和音が一音一音よく鳴り豊かな響きが気持ち良い。オケの透明感のある豊かな響きがピアノとよくマッチして、ピアノとオケの音を聴いているだけでも楽しい。
    ハフのピアノには清々しさと明るい開放感があり、若い頃のシューマンらしい若々しさというよりも穏やかで落ち着いた雰囲気。こういう演奏も好き。

    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: I. Allegro affettuoso


    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: II. Intermezzo. Andantino grazioso –


    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: III. Allegro vivace



    <関連記事>
    フィルクスニー ~ ドヴォルザーク/ピアノ協奏曲

    タグ:シューマンドヴォルザークスティーヴン・ハフ

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    <卵が孵化しない原因>
    HANOVER BALD EAGLE BLOG #12 THIS YEAR’S SOLO EAGLET-WHY ONLY ONE? [HANOVER EAGLES BLOG 2023]
    a)雛が卵の殻を破って出られなかった:雛が弱すぎる、孵化時に下を向いていた、大きすぎて小さな隙間から出られなかった、のいずれか。湿度が高いと卵内の水分が失われる速度が速くなり、小さくて弱い個体が生まれる。
    b)不完全受精:交尾のタイミングが悪い、精子の数が少ない、精子の質が悪い。そのため、雌の卵子がオスの精子と適切なタイミングで受精しなかった。
    c)胚の死滅:原因は卵の内部と外部のガス交換と水分交換が不十分、母体の栄養不足、卵の回転が不十分、抱卵不足で胚の成長率が低い、など。

    Is the last egg going to hatch?[Raptor Resource Project Blog]
    "non-viable egg"(生育不能卵):胚がうまく発育せず死滅した卵。抱卵開始後最初の3日間または孵化直前の3日間に最も起こりやすい。
    胚死滅の原因:
    a)抱卵が不十分。卵は適切な温度と湿度に保たれ、定期的に向きを変えなければならない。胚の発育が始まると99~104℉に維持しなければならない。
    b)殻の破損。胚が完全に発育する前に卵の殻に穴が開いたり割れたりすると胚が死滅。
    c)栄養不足。産卵前の雌が栄養不足に陥ると、卵は発育中の胚に必要な栄養を与えられない。
    d)細菌や化学物質による汚染。胚の成長を妨げたり、死滅させる。

    WHEN BALD EAGLE EGGS DON’T HATCH[elfruler]
    a)卵の回転(胚の正常な発達に必要)が不十分。抱卵期間の前半は、20分から1時間おきに卵を回すのが一般的。最も重要な時期は、期間の最初の3分の1、抱卵後1~12日目。
    b)産卵前の成鳥の餌量の不足。
    c)低体温症または高体温症。正常な胚の成長と発達に最適な内部温度は、約32°~38°C(89.6°F~100.4°F)。(親が交代で抱卵し、卵が曝露される時間を制御)
    d)新しくつがいとなった繁殖ペアは、両者のホルモン分泌が同期していない可能性がある。

    ※壊れたり孵化しなかった卵は、親ワシが巣に埋める、ネストボールの外に出す、放置するなどしてそのうち巣材の一つとなる。

    一般的に卵が孵化しない理由についてAEFのスピーカーが解説。
    Raptor Radio Episode 2 "Let's Explore Bald Eagle Nesting Behaviors"



    <孵化成功率が低い巣の事例>
    (1)Sauces Canyon nest
    カリフォルニアのSanta Cruz Islandに立地。

    1)A-28(M)&A-27(Meemaw)
    2010年:3/11産卵、4/18孵化、足環6/15

    2)A-40 (Jak) &A-27(Meemaw)
    2011年:3/3・3/15産卵、4/9孵化(1羽)、6/2足環、6/28巣立ち
    2012年:3/2・3/6産卵、4/8・4/10孵化、6/8足環、6/21・7/2巣立ち
    2013年:2/24・2/27産卵、3/4Meemaw侵入者とバトル後行方不明、3/7Jak不在時にカラスが卵を奪う、3/15新しい雌A-48 (Audacity)をテリトリー内で確認

    3)A-40 (Jak、2005生) &A-48 (Audacity、2006生)
    2014年:2/15産卵(2/22破卵)、3/16第2クラッチ産卵(踏まれて破卵)
    2015年:2/7産卵、3/15繁殖失敗確認
    2016年:2/1産卵(破卵2/4)、2/4・2/7産卵、3/12・3/14孵化、4/30足環、5/30巣立ち(2羽)
    2017年:産卵1/31, 2/3, 2/6, 2/9, 2/12, 3/3, 3/9, 3/12(全て破卵)
    2018年:2/2・ 2/5・2/8産卵、孵化3/13・ 3/14・3/16、足環5/1、5/30・5/31・6/9巣立ち
    2019年:2/5・2/8産卵(2個破卵)、3/19産卵、3/19孵化、4/29足環、6/9巣立ち
    2020年:産卵2/21, 2/29, 3/4, 3/7 (全て破卵)
    2021年:2/1産卵、2/10webcam復帰(卵3個あり)、2/12破卵2個、3/15孵化、5/4足環、6/4巣立ち
    2022年:2/17抱卵確認、孵化せず。
    2023年:産卵2/3, 2/6, 2/9, 2/12, 2/15, 2/23, 2/27, 3/2(8個目は未孵化、それ以外は全て破卵)
    2024年:(第1クラッチ)2/2産卵、2/6webcam復帰(卵1個あり)、孵化予定日(3/10-3/22)、3/16破卵; (第2クラッチ)4/11産卵(1個)、4/12破卵

    4)考察
    ・雄ワシA-28(M)またはA-40 (Jak)と雌ワシA-27(Meemaw)が繁殖ペアの時は繁殖成功。
    ・雌ワシA-27(Audacity)に代わってから、多産・破卵が頻繁に起こり、特に8個産卵するとほぼ全ての卵が産卵まもなく(数時間か1日後くらい)割れる。
    ・2014年~2024年累計では、産卵個数は少なくとも37個(Webcamがオフライン時に産卵している可能性あり)、うち孵化・巣立ち数は4シーズン7羽。繁殖成功率は40%。産卵数が3個以下だと破卵する確率が低く、1羽~3羽が巣立ちする確率が高くなり、産卵数4個以上だとほとんどが破卵する傾向。(産卵数が多いほど卵の殻が薄くなる?)
    ・他の雌ワシの場合や、チャネル諸島内のカタリナ島にあるTwo HarborsとWest End、Sauces Canyon nestと同じ島内になるFraser Point Nest でも、8個の多産と頻繁な破卵は起こっていないので、環境要因(残留農薬・鉛汚染など)よりも、Meemaw固有の問題の可能性が高い。
    ・Audacityは産卵時に8~18歳。8歳から破卵と多産を繰り返しているので年齢が原因ではない。それに8個の多産はかなり稀なので(飼育下では7個産卵例があるらしい)、元々繁殖機能に何らかの異常があるのではないだろうか?Dr. Sharpe(Institute for Wildlife Studies)はホルモンや代謝の異常が原因ではないかと言っていたとのこと。

    Sauces Bald Eagles | A Story of Persistence

    動画のキャプションで、”なぜ卵が割れやすいのか研究者も理由がわからない、しかし、年齢が要因の一つの可能性はある”と書かれている。しかし、Audacityは8歳で産卵して以降ずっと破卵が続いているので、年齢が要因とは考えられない。


    (2)Big Bear nest
    Big Bear Valleyはもともとハクトウワシの繁殖地ではなく、繁殖地の湖が凍結する冬にBig Bear Valleyに飛来して餌を探していた。2009年頃にカタリナ諸島の足環を付けた幼鳥が夏を過ごし、その後ワシのペアが湖の北側に営巣。初めて雛が孵化したのは2012年。
    Jeffrey Pine(高さ155ft)にある巣の高さは約145ft(44m)。Big Bear Valleyは標高2067 mの高地にあり、米国で最も高い標高のハクトウワシの巣の1つ。時速40マイル超(64km、秒速約18m)の持続的な風や、時速80マイル超(128km、秒速約36m)の突風が巣に吹くこともある。

    1)Mr & Mrs BB
    2018年:1/3・1/6産卵、2/11:2/12孵化(Stormy、Baby Big Bear/BBB)、3/23BBB死亡(暴風雨とその後の氷点下の低温、生後6週間半で防水羽毛も不完全)、4/26Stormy巣立ち

    2)Shadow & Mrs BB (Jackie、2013生?)
    2019年:3/6・3/9産卵、4/14・4/15孵化(Simba, Cookie)、5/27Cookie死亡(生後6週間、雨・吹雪・氷点下の低温のため)、7/23Simba巣立ち、8/18独立。
    2020年:1/8・1/11産卵、孵化失敗(抱卵日数60日以上)
    2021年:(第1クラッチ)1/6産卵(1/7カラスが壊す)、1/9産卵(1/14カラスが食べる)、1/13産卵中に破卵。(第2クラッチ)2/8・2/11産卵、3/18第1卵孵化開始後孵化せず、第2卵孵化不能(抱卵日数51日)、4/17カラスが卵を割る(雛は成長不全)
    2022年:1/22・1/25産卵、3/3第2卵孵化(Spirit)、5/31巣立ち、6/24独立
    2023年:1/11・1/14産卵、孵化不能(抱卵日数50日前後)、3/7カラスが卵を壊す(未授精または早期に発育停止)
    2024年:1/25・1/28・1/31産卵、2024/3/12時点で全卵孵化不能。

    Big Bearの2019年~2024年の7シーズン中、繁殖に成功(少なくとも1羽が巣立ち)したのは2019年と2022年の2シーズンなので、Jackie&Shadowペアの繁殖成功率は28.6%。

    FOBBV🦅Firmness Of Purpose💔Shadow & His Sticks🥢Jackie Chimes In From Lookout Snag💔2024-03-12


    孵化日数が70日~76日になった孵化不能卵。卵を放置する時間がかなり増え、Jackieは抱卵しなくなったが、Shadowは抱卵を続けている。Jackieは巣に枝を頻繁に巣に運び、Shadowは巣で抱卵する時間が長い。一般的に、孵化可能期間をを過ぎても、雌よりも雄の方が長く抱卵し続ける。
    FOBBV Eagles 🦅 Jackie urges Shadow to leave eggs overnight 🌙 He's just not ready ☯️ 2024 Apr 10



    Big Bear Eagle Nest Cam運営者の非営利団体”Friends of Big Bear Valley”のFacebook投稿(2024/3/12)
    「なぜ卵が孵化しないのか、私たちには知る術がありません。温度、湿度、高地での酸素レベルなど、環境的なものである可能性があります。卵が作られた時に何かがずれていただけの生物学的なものかもしれません。Jackieと Shadowは2019年と2022年に雛が生まれていたので、どちらかが不妊である可能性は非常に低いです。」

    ​​Dr. Sharpe(Institute for Wildlife Studies)によれば、標高と天候が原因の可能性もあるとのこと。


    <考察>
    ・Big Bearの巣は標高が高く、抱卵中に巣が雪で埋もれたり、気温が氷点下と低かったりすることがあるので、気候条件が繁殖成功率の低さに影響している可能性はある。
    ・研究データによれば、アラスカの繁殖成功率は、本土の温暖な地域(フロリダ州、ジョージア州、バージニア州など)よりも低い傾向(平均50%~60%程度)がある。ただし、アラスカの繁殖成功率の調査データは2000年以前の古いものが多いので、最近の傾向はわからない。
    ・アラスカの繁殖状況の研究の一つでは、繁殖成功したケースでは気温と相関はなく、繁殖失敗したケースの大半は抱卵中に起こり気温と相関がある。したがって、繁殖失敗の主要因は産卵前または抱卵中の餌が不足していたのではないかという仮説を立てていた。

    <ハクトウワシの繁殖成功率>
    論文で報告されている繁殖成功率は算出方法が同じとは限らない。「繁殖成功」は少なくとも1羽が巣立ちすることだが、調査方法に違いがあるため、巣に巣立ち前の”かなり成長した雛”がいるのを観察できれば「成功」としている研究もある。また、成功率の分母が"Active nest"または"Occupied nest"の数のどちらか一方、または両方の数値で算定されているが、"Active nest"や"Occupied nest"の定義自体が論文によって異なることがある。

    (1)算定方法と用語の定義
    Coming to Terms About Describing Golden Eagle Reproduction
    ・イヌワシ(Aquila chrysaetos)のテリトリー占有率と繁殖に関する論文において、著者は異なる、しばしば曖昧で定義されていない用語を使い続けている。
    ・論文の著者が使用するすべての用語を明確に定義し、参照することを推奨。
    ・巣や営巣テリトリーを表現するために”Active”という用語を使用することは、一貫性のない使用の歴史に汚染されているため、控えるよう警告する。

    ・研究者による用語の一貫性のない使用は、立法者、規制当局、管理者によって継続され、拡大されてきた。レビューした最新のUSFWS文書”The Eagle Conservation Plan Guidance (USFWS 2013)”の用語集では、活動中の巣を「占有巣」と相互参照して定義しており、占有巣とは、当年度の「繁殖」に用いられる巣のことであり、「繁殖」は産卵を意味しないようである。

    Definitions concerning the word “active” in U.S. Fish and Wildlife Service documents, 2007–2013.”(表1:2007年から2013年までの米国魚類野生生物局の文書における「アクティブ」という言葉に関する定義)

    ”U.S. Fish and Wildlife Service Eagle Conservation Plan Guidance(Division of Migratory Bird Management,2013)”
    Active nest : occupied nest を参照。
    Occupied nest:その年にワシのペアが繁殖のために使用した巣である。成鳥、卵、若鳥、脱皮したての羽毛、または羽毛をむしったばかりの羽毛、またはその年のmutes(excreta, white-wash)がある場合は、その巣が使用されていることを示唆する。餌資源が乏しい年には、ワシのペアが巣を占有していながら卵を産まないことも珍しくないが、そのような巣は占有されているとみなされる。
    Inactive nest:ハクトウワシまたはイヌワシの巣で、直前から現在に至るまで、少なくとも連続10日間、成鳥、卵、または扶養している雛が巣にいないことによって判断される、現在ワシが使用していない巣。活動休止中の巣は再び活動する可能性があり、Eagle Act.により引き続き保護される。


    ・イヌワシやその他の大型で寿命の長い猛禽類に関する推奨用語集。

    U.S. Fish and Wildlife Service (U.S.F.W.S). 2007. National Bald Eagle management guidelines. U.S.D.I. Fish and Wildlife Service
    Nest: 繁殖のためにハクトウワシが築き、維持し、または使用する構造物である。
    An active nest: 産卵の有無に関わらず、繁殖期にハクトウワシのペアが立ち会う(建設、維持、使用する)巣。
    An alternate nest :ある繁殖シーズン中にワシが繁殖に使用しない巣


    ※Bing AI の訳語
    mutes(ミュート):ハクトウワシの巣に関連する用語で、ワシが巣を作る際に排泄物を含む白い斑点を巣の周りに残すことを指します。これは、ワシの存在と繁殖活動を示す特徴的な兆候となります 。
    excreta(排泄物):生物が体から排出する廃棄物や物質を指します。ハクトウワシの巣においては、ワシの排泄物が巣の周囲に見られる白い斑点として現れます。
    white-wash(ホワイトウォッシュ):同様に、ハクトウワシの巣においては、ワシの排泄物によって形成される白い斑点を指します。


    (2)繁殖成功率
    SUCCESS RATES OF CLUTCHES AND BROODS AT WILD BALD EAGLE NESTS, 2006-2020[elfruler]
    ・観察対象数:野生のハクトウワシの巣。2006-2020の合計クラッチ数(産卵回数)401クラッチ
    ・孵化成功率:少なくとも1羽孵化 350クラッチ(87%)、うち全同腹卵孵化 265クラッチ(66%)
    ・巣立ち成功率:少なくとも1羽巣立 308クラッチ(合計クラッチ数比77%、孵化クラッチ数比88%)、うち全同腹卵孵化 265クラッチ(全同腹卵孵化クラッチ数比71%)

    Virginia bald eagle nest and productivity survey:Year 2008 report
    (Bryan D. Watts,Mitchell A. Byrd,,2008,Center for Conservation Biology College of William and Mary Williamsburg)
    ・2008年に合計864羽のヒナを飛行調査(巣上空をセスナが低空飛行)により確認。(32年間の調査記録中最多)
    ・2月下旬~3月中旬:繁殖テリトリーの状況調査。ペアの鳥が巣にいるのが観察され、最近巣が整備された証拠(例、よく形成されたカップ、新しい内張り、構造的メンテ)があれば“occupied”(占有中)。親鳥1羽が抱卵姿勢で観察された場合、あるいは巣の中に卵や雛が確認された場合は”active”(活動中)と判断(Postupalsky 1974)。
    ・4月下旬~5月中旬:繁殖状況調査。上記で”active”(活動中)と判断された巣の状況と巣にいるイーグレットの数を記録。
    ・バージニア州のハクトウワシ個体群は占有テリトリー数584(2007年比4.7%増)、活動巣(active nest)120か所増加(同5.3%増)。
    ・過去32年間に記録された8,369羽の雛のうち、10.3%が2008年生まれ、65%が2000年以降生まれ。
    ・チェサピーク湾下部:1995年以降占有テリトリーの74%が少なくとも1羽の雛を産む。(北米で過去最高かもしれない)
    ・2007年:占有中560巣、活動中524巣
    ・2008年:占有中584巣、活動中557巣。活動巣のうち繁殖成功した巣は84.5%。平均生産性(1.59雛/繁殖行為)、平均雛数(Brood size、生産巣あたり)1.829雛。
    ・北米地域(太平洋岸北西部(Anthony他、1994年、Watson他、2002年)やロッキー山脈(Swenson他、1986年、Kralovec他、1992年))の多くは繁殖成功率(Nest Success)60%~65%、アラスカ(Stiedl他、1997年)とアリゾナ(Driscoll他、1999年)で雛が育ったのは営巣ペアの半数。(Steidl et al,1997、表後掲)


    Bald eagle mortality and nest failure due to clade 2.3.4.4 highly pathogenic H5N1 influenza a virus
    (Nicole M. Nemeth et al., Scientific Reports volume 13, Article number: 191 (2023))


    1)ジョージア州
    (調査方法)
    ・州天然資源局が主にヘリコプターによる全州調査実施。2015年~2017年、2022年は既知の全巣テリトリー対象。2018年~2020年は、前年調査による既知巣テリトリーの60~70%をモニタリング(沿岸6郡は全数)。2021年はCOVID-19の制限により、沿岸6郡のみ調査。
    ・飛行調査(初回):1月第1週~2月第1週に実施。活動中の巣を全て発見することを目標。抱卵中の成鳥、卵、雛、巣と密接な関係にある成鳥、巣作りや巣作りの証拠(新鮮な緑/新しい折れ目のある棒/巣材の新しい層など)がある場合、「占有」(Occupied)と判定。
    ・飛行調査(2回目・フォローアップ調査):3月中旬~4月上旬に実施。初回調査で調べた巣の繁殖成績、及び、新たに報告された巣の調査。
    ・第2回調査の時点で、繁殖が失敗していなければ、巣立ち時日齢の約80%まで成長したイーグレットがいるはず。(この日齢以降のイーグレットの死亡率は一般に低い)
    ・第2回調査では、「活動中」と判定された巣のほとんどに発育の進んだ(=9~12週齢)イーグレットの存在が確認された。(2~3週齢の場合もあった)。イーグレットが巣にいるか、または巣の近くに枝にとまっている(=巣立ち)したイーグレットが観察された場合、巣の「成功」と判定。
    ・巣成功率(Percent nest success):巣立ちに成功(上記で「成功」と判定された)占有巣の割合
    ・平均生産性(Mean annual productivity):巣立ち羽数合計を占有巣数合計で除したもの。
    ・平均雛数(Annual brood size):繁殖成功巣1つあたりの巣立ち羽数。

    (調査結果)
    ・沿岸地域の巣の成功率:2022年47%(この地域の平均を約30%下回る)
    ・内陸部の4地域の巣の成功率:約65%~100%(例年と同じ)。
    ・沿岸地域の巣73個中72個が6つの郡内。郡別の巣の成功率は27~81%、過去6年間(2015~2021年)の郡平均巣成功率を下回り、過去7年間のいずれの観察値も下回る。(McIntosh郡を除く)
    ・カムデン郡とグリン郡:繁殖成功率が最も低下。過去6年間平均値に対する下落幅はカムデン郡43%、グリン郡62%。年間生産性(巣立ち雛数)はカムデン郡1→0.5、グリン郡1.3→0.45に減少。
    ・ただし2回目の航空調査(3月実施)では、成長した(もしくはより若い段階)の雛の有無で巣の成功率を判断したため、過大評価の可能性あり。また、調査後や巣立ち後にHP IAV(高病原性鳥インフルエンザウイルス)で死亡した場合はデータが収集されていない可能性がある。

    2)フロリダ州
    (調査方法)
    ・2016年~2022年にAudubon EagleWatch(地域の科学プログラム)がフロリダ州全域のハクトウワシの巣をモニタリング。本研究では、初期発生段階にハクトウワシのHPAIによる死亡事例が確認されている沿岸4郡のモニタリングデータを使用。
    ・ハクトウワシの営巣最盛期(10月1日~5月15日)の間、最低でも2週間ごとに巣を地上調査し、各巣で最低20分間/回の観察。
    ・毎年5月15日までに活動を停止または繁殖失敗した巣は観察中止。活動中の巣は雛が完全に巣立ちするまで観察。
    ・非活動巣(Inactive nest):ワシが観察されなかった、成鳥が一貫して1羽しか観察されなかった、繁殖していない成鳥が2羽観察されたが巣の利用に関心を示さなかった巣。
    ・占有巣(occupied nest)”:ワシのペアが巣で一貫して目撃され、巣の利用に関心を示した巣。
    ・巣が空であってもイーグレットが生後8~10週齢以降の場合、また、病気や怪我をしたイーグレットがモニタ ー地点から回収され、リハビリ後に野生復帰した場合は、巣立ち成功と見なす。
    ・巣成功率・年間雛数・生産性の算定方法:ジョージア州調査と同じ。

    (調査結果)
    ・2022年の繁殖シーズン:繁殖指標の郡レベルの変動がジョージア州と類似。
    ・ブレバード郡とヒルズボロ郡:2022年の巣の成功率が過去6年間(2015年~2021年)の平均指標より低下。ブレバード郡86.5%→41.0%、ヒルズボロ郡78.3%→66.7%。
    ・ジョージア州とフロリダ州(一部の郡):巣の同腹雛数に明確な低下はないが、年間生産性が低下。最も低下率が大きいブレバード郡の巣立ち数(1巣あたり)は0.67羽(過去平均1.52羽)。


    Lifetime Reproductive Success of Bald Eagles in Northern California
    (J. Mark Jenkins and Ronald E. Jackman,The Condor,Vol. 108, No. 3 (Aug., 2006), pp. 730-735 (6 pages))
    ・カリフォルニア州北部のピット川流域に生息するハクトウワシの繁殖成功率を20年間にわたり調査。
    ・繁殖期に各テリトリーを少なくとも3回訪問し、占有状況、抱卵・育雛活動を記録。巣立ち予定日の数日以内に巣を調査し、雛の数をカウント。
    ・営巣行動(nesting behaviornest)が観察されたかどうかにかかわらず、成鳥が2羽存在すれば巣が”occupied”(占有中)と分類。
    ・集中的に調査した10の営巣テリトリーにおける258回の営巣試行において、占有テリトリーあたり年間0.31~1.65羽の子供が生まれ(平均0.97羽)、平均営巣成功率は62%(占有中258巣、繁殖失敗97巣、繁殖成功161巣)。
    ・北アメリカ全土のハクトウワシ個体群の繁殖成功率:年間平均巣立ち雛数0.71~1.30羽(占有巣あたり)、営巣成功率48%~77%(対占有巣比)。(Steidl et al,1997、下記データ)

    ”Table 4. Reproductive parameters of bald eagle populations. We excluded data from populations where authors indicated
    environmental contaminants were a potentially significant problem. ”
    eagle_convert_20240316074116.png
    (注)"Young fledged/successful territories" calculated as "young fledged/occupied territories ÷ nest success"
    (出典:Reproductive Success of Bald Eagles in Interior Alaska、Steidl et al,The Journal of Wildlife Management,Vol. 61, No. 4 (Oct., 1997))

    ※上記の研究データは調査対象期間が研究によってかなり異なり、特にDDT汚染の影響でハクトウワシの繁殖成功率が著しく低下し個体数が激減した時期とその後の個体数回復途上期間(1960~1980年代)のデータが多いため、全体的に繁殖成功率が低くなっていると思われる。他の研究データでは2000年以降では成功率80%前後の地域が複数ある。

    2024.03.15 00:00| ・ 音楽(本&映画)
    ラヴェル その素顔と音楽論ラヴェル その素顔と音楽論
    (1998/12/10)
    Various Artists

    マニュエル ロザンタール (著), マルセル マルナ (編), 伊藤 制子 (翻訳)
    (目次)
    1 ラヴェルをめぐる女性たち
    2 ラヴェルとストラヴィンスキー
    3 同時代の音楽家たち―ドイツ、ロシア、イタリア
    4 ラヴェルの恩師、弟子そして友人たち
    5 フランス音楽へのまなざし―ドビュッシー、ベルリオーズ、プーランク
    6 『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』をめぐって
    7 モンフォール=ラモリのラヴェルの家
    8 素顔のラヴェル―日常生活のひとこま
    9 ラヴェルの評価をめぐって
    10 思い出の演奏家たち
    11 『子供と魔法』から『ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ』まで
    12 スクリャービン、イタリア未来派―同時代の異端者たち

    「自作への批判と修正」
     ラヴェルの出版作品では、誤りがその後引き継がれて定着するようなことはない。逆に、ラヴェルは直したいと思ったかもしれないが、けっきょく修正されなかったものは多い。たとえば、《ラ・ヴァルス》の冒頭は(彼の言い分によると)、「粗雑」な出来である。だが直すのは簡単だ。私自身、演奏のときに、冒頭のコントラバスの分割を修正し、ニュアンスのわずかのちがいを付け加えている。かつてラヴェルにもこの修正を聴いてもらったが、問題はなく、それから冒頭がよく響くようになった。それにひきかえ低音のいくつかを書き替えるのは、作品すべてをやり直さなければいけなくなるので、不可能である。これは、すぐさま聴き手を始めの部分に、引き戻してくれる、一種のダ・カーポなのだ。
     ラヴェルは、こういった間違いひどく嘆いていた。だが私が間違いを見つけると、感謝してくれるまではいかないにせよ、自らの教育成果が表れていると言って、得意気だった。つねに誠実さを失わないラヴェルは、あっさり認めてしまう。「残念だけれど、たしかに君の言う通りだ」。(87頁)


    《ラ・ヴァルス》
     ラヴェルは、《ラ・ヴァルス》の最後の部分の、呪術的とも言える激しさのようなものを誇りに思っていたらしい。最後の部分が、ひじょうに速いテンポで演奏されると、オーケストラのある部分で、半音階的な変化のようなものが生じるのだ。ラヴェルはいつも言っていた。「ここでは、もっと思い切って音を出さないと」。彼が望んだのは、何かもっと「おどろおどろしいもの」らしい。この部分については、「荒れ狂るようなものだ」だと言うべきだろう。・・・そのうえ避けなくてはならない失敗は、同じような動きの部分で、その後テンポを急激に上げることだ。これはラヴェルが望んだことではない。このようにテンポを上げても、フィナーレが壮大さを獲得するわけではないのだ。さらにラヴェルは落ち着いてこう言うのだ「ここで、おしまい」、と。チタ・チタ・タ・・・・・・。もっとゆっくり・・・・・・。(87~88頁)
    Ravel: La valse ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Pablo Heras-Casado



    《優雅で感傷的なワルツ》
    成功作だと言えよう。ラヴェルは、とくに夢のようなエピローグが傑作なのをよくわかっていた。この部分では、あらゆる主題が再登場する。彼はこれをたいそう誇りに思っていたが(この場合はもっともなことだろう)、これが極めて感動的な部分だからだ。この部分に、このように過不足ない情熱を与えることのできる者は少ないだろう。なぜなら、あらゆるモティーフが戻ってきたかと思うと、また消滅しなければならないからだ。(88~89頁)

    Ravel: Valses nobles et sentimentales ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Nicholas Collon


    Maurice Ravel : Valses nobles et sentimentales



    《亡き王女のためのパヴァーヌ》
     ラヴェルは《亡き王女のためのパヴァーヌ》をめぐって、しばしば攻撃された(とくに六人組に。コクトーは「だらけたアルペッジョ」だと皮肉った)。だがラヴェルにしてみれば、これはさほど重要な作品ではないらしい。次のように語っているからだ。「そう、これは美しい曲だが、真の意味では私の作品ではない。これはシャブリエの焼き直しだから。原因はシャブリエにあるよ」。ここまで言うのは正しくないが、ラヴェルは、シャブリエとサティからの影響については、つねづね言及していた。(89頁)

    Ravel "Pavane pour une infante défunte" 1922 piano roll


    Ravel : Pavane pour une infante défunte (Orchestre national de France / Dalia Stasevska)



    《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》
    1)第2楽章(ブルース)
    ラヴェルは、初演ではピアノを自分で担当し、ヴァイオリンは以前から一目置いていた若手ジョルジュ・エネスコに協力してもらおうと考えた。だがエネスコのほうは、最初に譜読みをしたときから、この曲の中間楽章が気に入らないと公言してはばからなかった。(104頁)

     この作品の残りの部分については、エネスコの意見とはちがうのだが(彼は、ソナタという伝統的なジャンルに、ラヴェルが「ジャズの曲」を持ち込んだのが許せなかった)、私が残念に思ったのは、このブルースが(第2楽章に使われている)、本物のジャズではなく(ラヴェルがこう言ったわけではないが、彼はよくわかっていた)、下手なジャズとしか言いようのないものを連想させてしまうからだ。しかもアメリカでのブルースはメランコリーの雰囲気を基調にしているのに、ラヴェルの場合、このブルースには沈んだ気分がまるで反映されていない。

    ここに見られるのは、ジャズの模倣でしかないだろう。偉大なフランスの作曲家のエスプリを持ってしても、乗り越えられないものがある。《子供と魔法》のフォックス=トロットのほうが、ずっとうまくいっているのではないだろうか。
     エネスコのほうは、この第二楽章に拒絶反応を示した。その理由は、こんなジャンルの音楽を弾いてみせるなど、とんでもないということにある。(106頁)

     最初に問うべき問題はこうだ。ラヴェルはなぜ、《ヴァイオリンとチェロのためのソナタ》などで使ったフランス特有の形式を参考にせずに、ブルースを取り上げたのだろう?(さまざまな要素は、イギリスへ行った際の望郷の念や鳥の鳴き声の模倣に、由来しているらしいのだが)。この問いに答えるのは難しい。
     まず思い出さなくてはならないのは、モンフォールに移り住んだラヴェルは、あまり出かけなかったので、仕事する以外は家で退屈していたということだ。森に散歩に出たとしても、作曲中のものを考えながらである。したがって気分転換が必要だったし、息抜きや休息を求めていたのだろう。(107頁)

     ラヴェルは、作曲技法としてのジャズから得るところもたしかに多かっただろうが、それにもましてジャズが予想外の「息抜き」になっていたのではないだろうか。仕事に疲れたときでも、ラヴェルはパリへ急ぎ、ナイトクラブに駆け込んでいた。夜の生活もそうだが、そこで演奏される音楽も重要だった。ジャズこそ、日々の作曲の仕事から開放していれる息抜きだったからだ。ラヴェルは、長いメランコリックな旋律に魅せられていた。
     ジャズに見られる技法は、ラヴェルがつねに用いてきた技法と共通するところがある。私が言いたいのは、持続音の使い方である。これはつねに同じ枠組みで、和声が変化してもリズムは終始変わらないように見える。この持続音の上で、大胆な旋律線が展開していくのである! ラヴェルがもっともこだわっていたのは、ほかならぬ旋律そのものだったのではないだろうか。(108頁)

    私には、ラヴェルのブルースが、ジャズやアメリカ音楽へのオマージュだったとは思えない。これまであまり使っていなかった手法を取り入れるのも、悪くはないと感じただけだろう。ラヴェルにとってジャズは、全世界的規模の希望のようなものを表現しているように思われたからだ。当時のジャズはもうアメリカのみを象徴するものではなかった。(109頁)

    このブルースは、ラヴェルがジャズにちょっと興味を感じたから使われただけであって、レント楽章の誕生にまつわるひとつのエピソードにすぎない。この楽章は、交響曲や室内楽での中間楽章として作曲されるアダージョやアンダンテとはちがったものになるはずだった。したがって、物想いにふけるようなこの緩徐楽章は、われわれには馴染みのない形式と言語で、構想されたのである。曲の後半でこのブルースには、ある種の冷たさや緊張感、怒りなどが感じられるようになる。これはラヴェルの戦後の作品ではおなじみだ。だんだん緊張が嵩まるが、ついには脱力してしまう・・・・・・。これが極めて印象的なのである。
     同じような表情のうつろいは、ラヴェルの多くの作品でよく見られる。《ラ・ヴァルス》《左手のための協奏曲》《ボレロ》など・・・・・・。これは死への恐れではないだろうか。ラヴェルは、ランブイエの森がとてもお気に入りだったのに、秋にはそこに行ったことはない。紅葉がすばらしですよと勧めても、無駄である。彼にしてみれば、このような美しさこそ、まるで葬式にも似た壮麗さに感じられたのだろう。ラヴェルはこう言っていた「まるで死のような情景だ。大地に落ちたは葉はすべて、腐ってゆくからね」。
     消滅への恐怖・・・・・・。《ラ・ヴァルス》の・・・終結部はひどく不気味な感じがする。《ボレロ》も同じだ。まるで首が切れるかのように唐突に終わるのだから。《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》のブルースも、そして《子供と魔法》のフォックス=トロットもそうだ。複調的なパッセージによって、唐突に終わるのである。
     《ソナタ》をしめくくる楽章は、こんな具合だ。ひじょうに冷淡で抽象的な形式を使うことで、内に秘められたものを隠しているわけだ。ある種の永遠なる動き、果てしなくめぐるロンドのような形式・・・。ラヴェルは永遠なる動きにも非常に執着した(ブルースにも同じような雰囲気がある)。(111~112頁)

    2)破棄された最終楽章
    (破棄された初稿について)「ブルースに続くこの最終楽章は、普通の形式感覚からするとしっくりいっていない」。
    私は新しいフィナーレも魅力的ですかと聞いてみた。「いや、前の方がいい。でも、この《ソナタ》全体とは、もっとうまく調和する形式になっている」。

     「形式」というのは、私に対するラヴェルの教育の中でも魔法のような力をもつ言葉だった。彼いわく、形式こそが、ある作品に個性を与えてくれる(サティの場合では、《梨の実の形をした三つの小品》などがよい例だ)。ラヴェルが作曲について語るとき、決まって口にした言葉は、けっきょく「形式」につきる。事実、彼の音楽は、どんなときでも、周到に構想された形式にぴたりとはまっている。(114頁)

    《ヴァイオリン・ソナタ》のフィナーレをめぐる問題を考えるとき、私は、映画化された『透明人間』が、ラヴェルに与えた衝撃を思い出す。ラヴェルを夢中にさせたのは、この映画の全体ではなく(ごく普通の人間たちが得意な能力を持つ人間を追跡するが、最後にはそれを殺してしまう)、最後のシーンだけだ。このシーンでは、破壊された透明人間が、少しずつ人間の姿に戻っていく。ラヴェルはこういった光景に興奮してしまったのである。この部分について何度語ってくれたことか!
     たしかにこの場面そのものは不思議な感じがしたが、ラヴェルの精神において、これが作曲となんらかの関係があったように思われる。どんな作品であれ、導入部を経て、主題の核心に迫ることができる。だがもっと重要なのは、終わりにすることだ。始めるのは、誰でもできる。そして中間部に難しいパッセージ、そして説得力のある部分があれば、作品全体を知るために最後の部分に期待することになる。つまりもっとも難しいと思われるのはどうやって終わらせるかだろう。未知の音楽の世界において、ともに歩んできた道のりの「終わり」を、だれもがはっきりわかるように示すにはどうしたらよいか、なのだ。
     ラヴェルが『透明人間』に心を動かされたのは、けっきょくこの最後の映像が、彼の音楽家としての興味と一致したからだ。音楽家は、音楽において多くの要素を提示するが(それらが多かれ少なかれ、無意識のうちに過ぎていったとしても)、けっきょくはそれらを要約し、聴き手に「自分たちは、ドビュッシーやラヴェルの世界を共有しているのだ」という感覚を抱かせなくてはならない。ラヴェルは透明人間の死について考えながら(それは、芸術家の復活でもある)、いつも感極まり、ときにはすすり泣きさえして、胸がしめつけられる思いだと話していた。・・・・・・『透明人間』の最後の映像が、きわめて劇的な方法を用いて、ラヴェルに示してくれたのは、作曲家は作品の最後に、個性をちりばめた要素をつねに統合しなくてはならないということだろう。(116~117頁)

    Violin Sonata in G Minor, CD 148, L. 140: I. Allegro Vivo


    Violin Sonata No. 2 in G Major, M. 77: II. Blues. Moderato
    ]

    Violin Sonata in G Minor, CD 148, L. 140: III. Finale. Très animé


    The Invisible Man (1933) - Visible at the End Scene (10/10) | Movieclips

    タグ:ラヴェル

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    2024.03.11 00:00| ・ 音楽(本&映画)
    今年に入ってからタロー、デュモン、オズボーンの『ラヴェル/ピアノ独奏曲全集』を立て続けに買ったせいか、ラヴェルの伝記を読みたくなって見つけたのが『ラヴェル その素顔と音楽論』。著者のマニュエル・ロザンタールは指揮者&作曲家でラヴェル最後の直弟子だった。ロザンタールはラヴェルから教えを受けていた学生時代からラヴェルが亡くなるまでの間、ずっとラヴェルと親しく身近にいた。ラヴェルの教育方法から、他の作曲家に対する評価、ラヴェルの作曲法、ラヴェルの日々の暮らしまで、ロザンタールでしか語れないエピソードや作品・作曲論が書かれていて、期待していたよりもずっと面白かった。

    ラヴェル その素顔と音楽論ラヴェル その素顔と音楽論
    (1998/12/10)


    マニュエル ロザンタール (著), マルセル マルナ (編), 伊藤 制子 (翻訳)
    (目次)
    1 ラヴェルをめぐる女性たち
    2 ラヴェルとストラヴィンスキー
    3 同時代の音楽家たち―ドイツ、ロシア、イタリア
    4 ラヴェルの恩師、弟子そして友人たち
    5 フランス音楽へのまなざし―ドビュッシー、ベルリオーズ、プーランク
    6 『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』をめぐって
    7 モンフォール=ラモリのラヴェルの家
    8 素顔のラヴェル―日常生活のひとこま
    9 ラヴェルの評価をめぐって
    10 思い出の演奏家たち
    11 『子供と魔法』から『ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ』まで
    12 スクリャービン、イタリア未来派―同時代の異端者たち

    <関連情報>作曲家の演奏美学 第2回 モーリス・ラヴェル(内藤晃)[日本音楽協会]


    <ラヴェルによる作曲家評>
    ラヴェルはさまざまな音楽家の例を引いてくれたのに、レッスンを受けていた間、ベートーヴェンの音楽は、ただの一小節も使わなかった。レント楽章一つすら取り上げたことはなく、バッハもなかった。けっきょくラヴェルの言い分によると、これらの作曲家は、尊敬に値するし、すばらしい作曲家ではあるが、ただそれだけだということらしい。(1頁)

     それに対して、モーツァルトの音楽は、たえず話題にのぼった。そのうえ、ロマン派の作曲家、なかでもウェーバーの音楽がしばしば登場した。・・・・ラヴェルは管弦楽のことには触れず、むしろこの音楽の熱情的な性格について語っていた。これは驚くべきことだ。この種の音楽は、ラヴェルの音楽とはまるで正反対だからである。ウェーバーの音楽を表情過多にしてしまうことさえある熱狂ぶると激しさ、そして表現力などに、ラヴェルは注目していたのである。しかもラヴェルは、この大胆さと完成された男性的魅力を極めて高く評価していたのだ。(2頁)

     ラヴェルが、またいっそう控えめながらも深く尊敬したのは、シューマンだ。(2頁)

     ラヴェルは、深い人間味にあふれたシューマンの音楽を一貫して評価していた。・・・ラヴェルはシューマンの交響曲については語ることはなかったが、このジャンルに興味がなかったからだろう。(2~3頁)

     むしろ彼が興味をもったのは、鍵盤楽器のため作品だ。賞賛に値するピアにスティックな発見が多く、ラヴェル自身もそこから得たものがあるからだ。シューマンとリストは、ラヴェルがピアノ曲、とくに《夜のガスパール》を作曲する際に、非常に参考になったのである。そのうえ、私の記憶では、ラヴェルは、シューマンの管弦楽つきの合唱曲《楽園とペリ》に感動していたと思う。ラヴェルはこの作品のなかに、偉大なシューマン像、つまりすばらしい声楽やきわめて息の長い旋律といったものを発見したらしい。ラヴェルは、旋律を生み出す豊かな才能に、惜しみない賛辞を送っていたのである。(4頁)

     たとえば、ベルリーニもそうだ。ラヴェルは、《ノルマ》のパッセージをよく弾いて見せてくれた。(4頁)

     さらに、また別の音楽のことも言及しておこう。ラヴェルがひじょうに尊敬していて、もっとも偉大な人物だとみなした音楽家、ショパンについてだ。ラヴェルは、舟歌こそ、あらゆる音楽のなかでもっともすばらしい作品のひとつだと考えていたのである。彼はそこに-私も正しいと思うが-、旋律、ピアノ書法、そして和声などをめぐる偉大な相違を見て取っており、さらに独特の才能のひらめきも評価していた。(4~5頁)

     ここでわかるのは、ラヴェルが、自分には恵まれなかった才能に執着していることだろう。私が言いたいのはつまり、旋律を生み出す才能のことだ。ラヴェルの音楽には、すばらしい旋律線があふれているように見えるものの、それらはたいていペンタトニックの音階と関係がある。どこからこの感傷的な旋法を引いてきたのかと質問したとき、彼はすぐさまはっきり教えてくれた。「じつは、シャブリエからなんだよ。彼の音楽を聴いたことが、旋法的な旋律を書くきっけかになった。」
     ベルリーニ、ショパン、シューマンにおいて、多くの旋律が次から次へと湧きあがってくるさまを見て、ラヴェルはすっかり感激していたのだろう。ラヴェル自身は旋律を引き出すために、ちがった方法を用いている。彼の音楽では、ある旋律が曲中のいたるところで使われているような印象を受けることがよくある。旋律は、感動的なものであれ激しいものであれば、すんなりとどこにでも紛れ込んでしまう。じつは、これはいくつかの音程に関係している。ラヴェルが卓抜した手法でこれらの音程を組み合わせ、変形しているのがわかる。だが基本的な要素には、真の新しさはない。彼はもともと、そういった能力には恵まれていなかったからだ。(5頁)

    ストラヴィンスキーは、どんなものに取り組んでも、そこにはつねに洞察力があり、オリジナリティや力強さが感じられる。
     ラヴェルは自分だけの庭をつくりあげたが、そこにはけっしてストラヴィンスキーは近寄らなかった。ラヴェルの庭では、形態と配置の完璧さこそが追及されていたからだ。ストラヴィンスキーがドビュッシーのほうを好んだのは、そこに、予測不可能な何かがあったからだろう-たとえ、かならずしも「完璧」ではないにせよ。そうは言っても、ストラヴィンスキーが、ラヴェルの完成度の高さについて、多少なりとも嫉妬していたのは確かだ。
     ストラヴィンスキーがフランスで生活をしていた当時は、まるで二人の大物作曲家が張り合っているようだった。この時代、彼ら二人ほど評価されていた作曲家はいなかった。・・・表向きにはルーセルのほうが評価されていたと前に述べたが、全世界を見渡した場合には、やはりストラヴィンスキーとラヴェルの二人こそが重要な作曲家だったのではないだろうか。(45~46頁)

    ラヴェルは、フォーレの人格に特別な敬意を払い、音楽家としてのフォーレにも一目置いていた。とはいえ、フォーレの音楽は好きではなかった。ラヴェルは、フォーレの美学には関心がなく、フォーレからは何も教わっていないとみなしていた。(67頁)

    ラヴェルは、ごく親しい仲間うちでは、こう打ち明けている。フォーレと自分が、まるで水と油のようにちがっており、お互いへの影響も皆無だった、と。
    ラヴェルは、自作において調整という基盤を重視していたが(《マラルメの三つの詩》のように、無調に傾いたこともあったが、だからといって私の発言とは矛盾しない)、こういったことは、フォーレの場合の調整の不安定さとは相反するものだから。フォーレはつねに、二つの調合のあいだを跳ね回るように動いている。ラヴェルはなによりも率直さを愛したのに、フォーレの音楽は-これこそ彼の美点だが-、和声の明解さからは程遠い。・・・そのうえフォーレの歌曲には、サロン風の雰囲気が濃厚すぎる。(67~68頁)

    ラヴェルいわく、ブラームスは第一級の作曲家ではなく、二流どころの作曲家だという。そうは言っても、ラヴェルは、ブラームスの交響曲の何番かわからないが、少なくとも、彼のオーケストレーションのすばらしさについて論じた文章を発表している。当時はこのような寒天からブラームスを論じた者は、皆無であったというのに。
     二流という意見があったにせよ、ブラームスを無視するわけにはいかないだろう。ブラームスはすでに圧倒的な名声を誇っていたので、私はある日ストラヴィンスキーにこの点について、尋ねてみた。ストラヴィンスキーいわく、ブラームスのオーケストレーションには、「何ひとつ新しさなどない」ということだ。彼はこう言葉を続けた。「たしかにブラームスのオーケストレーションには、独特の色彩はある。でも創意のかけらもないのはたしかだ」(70頁)

    ラヴェルがどこからオーケストラ的装いのセンスを引き出しているか、問わなければならない。ラヴェルが参考にしていたのは、サン=サーンスであった(奇妙に思えるが理解できなくはない)。リムスキー=コルサコフとシュトラウスの譜面を別にすれば、ラヴェルの譜面台につねに立てかけてあったのは、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番なのである。しかもいつでも!
     「まさに、この一曲の中にすべてがあるんだ。こんなにも少ない素材で、ここまで完璧な結果を引き出せるんだからね」。ラヴェルにとっては、これこそ究極の姿なのである。和声と旋律がいかにお粗末でも、二の次になってしまう・・・・・。彼の目には、すべては職人芸の質の高さによって、救われているように映っているのだ。(73~74頁)

    「こんなパッセージはあまり良くない。でもそれを支えている管弦楽部分を見てごらん。模範的な響きだし、これこそ驚異的な出来だ。そして次にピアノがくる。ピアノがところどころ月並みなのは、少々残念だけどね。でも、ピアノがどんなふうに書かれているかを見てごらん。指を二本しか使わないのに、こんなに響くんだ。こんなふうにピアノで弾いて、こういう響きが作れるなんてすごい。うまくできているよ。オーケストラのほうもけっしてソロを邪魔せずに、さまざまな創意工夫を凝らしている・・・・・・・」。(74~75頁)

    じつはラヴェルがサン=サーンスにおいて評価していたのは、メチエというよりも、このすばらしい創意と効率の良い手法である。たしかに、サン=サーンスの音楽は、つねに興味深く独創的な手法で響いているのは確かだ。(75頁)


    <作曲家という仕事について>
     ラヴェルは助言を求めにきた者にも、絶対に譲歩はしない。厳しい分だけ公平だったが、それは、彼が創造的な仕事にある厳しさを感じていたからだろう。(40頁)

    彼はつねに自分の流儀で私にレッスンをしており、情け容赦のないこともよくあった。あるとき私は、ジャン・ユレからニ声フーガの課題をもらった(こういう課題はとても難しい)。私はニ、三の規則違反をしてもいいから、自分の音楽性を十分に発揮して書くべきだと考えたのだ。ユレ0はいくつかの間違いを見つけたが、音楽的なフーガだと評価してくれたのである。
     これを聞いたラヴェルは、ユレに対して(もちろん私へも)怒りを爆発させてしまった。ラヴェルは「君はフーガを学ぶために来ているのであって、自分の音楽をつくるためではない」と怒鳴りつけた。自分の音楽をつくるには、これからまだ時間はあるから、と。今はフーガの練習をするのが目的なのだから、この種の課題の規則には従いなさいと言ったのだ。さらにラヴェルは、こう叫んだ。「音楽的だなどという口実で、勝手なことをしてはいけないよ」。そこで、こちらの顔をまじまじと見ながら、課題をご丁寧にも小さく破り、暖炉へ投げ込んでしまった。私の課題は小さい紙くずになり、ラヴェルの書斎の小さい暖炉に捨てられた・・・・・・。
     ラヴェルからは、しょっちゅうこんなふうに怒られた。彼には寄宿舎の監視人のような厳しさがあり、まるで悪意からそんなことをしているようにさえ思えた。ある日、とうとう私も堪忍袋の緒が切れてしまった。扉を乱暴に開けて飛び出し、教会の広場まで走った。そこは、モンフォール駅に行くため、いつも馬車に乗る場所である。そこにいた馬車は、出発の時間を待っていた。いったん座ったものの、乗っているのは私だけ・・・・・・。私は身体中から涙をふりしぼって、泣き出してしまった。そしてなんどもこうつぶやいた。「もうだけだ。戻ることなんてできない。困ったことになった。先生の技法を十分に学ぼうを思ったのに、これじゃあおしまいだ。なんとかしようと思って、ほんのちょっとへまをしたばっかりに・・・・・・・」。
     雨が激しく降り出したが、突然、馬車の曇ったガラス越しに、人影がこちらに走ってくるのが目に入った。私は、どうやって馬車に乗るのかがわからない旅人が来るのだと思い、彼を待って扉を開けた。すると外には、ラヴェルが立っていたのである。帽子もかぶらず、コートも着ないで、じっとしたまま、ずぶ濡れになっていた。そして、こう言った。「どうしたんだい。先生にさよならも言わずに、出ていってしまうつもりかい?」 この場面を想像していただきたい。私は、わっと泣き崩れ、そしてすべて解決した。
     これについてはもうけっして話題にすることはなかったが、ラヴェルはすべて理解していた。とても善良かつ寛大な面もあり、知性にあふれていたからだ。さらに彼は、こう忠告もしてくれたのである。「わかると思うけれど、作曲家という仕事はたいへん辛い。考えてごらん。直してくれたり、こういう解決は良くないと言ってくれる人など、だれもいなくなるんだよ。音楽的には良くても、あまりいいアイディアではないと思われることもあるし、自分では素晴らしいと思っても、燃やしたほうがましなくらいひどいこともよくあるからね」。
     ラヴェルの家の暖炉には、ところどころ燃えた私のフーガばかりか、彼自身の作品もかなりあった。ラヴェルはこう付け加えた。「こういった犠牲を払う覚悟をしておいたほうがいい。いつも良いものが書けるとはかぎらない。しかも捨てたもののほうを惜しかったと思うことさえある。でも自分の職業に対しては、正直でなくてはいけないよ。そんなふうにしてある水準に達し、別の作品だったらもっとうまくいったかもしれないとわかったら、それこそ何かを学んだことになるのさ。それを期待して、汗を流して励み、作曲をするのはもううんざりだというくらいまでならなくては」(40~43頁)


    <ラヴェルの音楽>
    「音楽に秘められた優しさ」
     ラヴェルのもっとも輝かしい才能というのは、つねに深い「優しさ」(tendresse)を表現し得たことだろう。思うに、ラヴェルこそ、優しさをもった作曲家ではないか(ドビュッシーは愛amourの作曲家だが、暴力的なものや猜疑心もあり、嫉妬さえ持ち合わせている)。ラベルの多くの作品のなかに存在している、こにょうなすばらしい感情こを、敬服すべきものだろう。
     ラベルがだれにもまして、子供の母への愛情の深さを表現できたのはこのためである。これこそ、《子供と魔法》での子供の最後の叫びにほかならない。このような汚れのないニュアンスを発見した者など皆無である。(6頁)

     ラヴェルのあらゆる音楽には、どんな時期に書かれたものであろうと、心地よい、無垢な優しさの輝きを見いだすことができる。

     もちろん、《マ・メール・ロワ》のなかにも、前述したような傾向は見いだせる。しかも、それはちょっと見には、わからないようにつくられている。
     
     《マ・メール・ロワ》の輝くような優しさは、きわめて簡素な手段で巧みに得られたもので、これは真の巨匠だけが発見できるものだろう。こういった簡素さは、誤解を招いてしまう。新しさとはつねに複雑で、骨の折れるものだと思われていることが多いからだ。・・・きわめて洗練された音楽家だからこそ、最小限の手段で<パゴダの女王のリドロネット>や<妖精の国>のような音楽を書くことができたわけだ。

     こんなに単純な曲が天国的なものを喚起しているとなれば、どうして無関心でいられようか。ハ長調で書かれ、二、三の旋律以外はなく、込み入った対位法もない。すでに音楽において学び得るすべてを知りつくぢ、何でもできるような偉大な音楽家が好む、からくりや複雑さもない。仮にラヴェルがどんな作曲家であるかを手短に述べるとしたら、次のように言うべきだろう。彼の音楽こそ、どんなときでも、どんな状況にあっても、優しさからできているのだ、と。それゆえ、彼は現在でもすばらしい作曲家だとみなされているのである。(7~8頁)

    「ボレロの逸話」
    ラヴェルが尊敬していた指揮者トスカニーニが《ボレロ》を演奏した時の語り継がれている逸話。
    《ボレロ》はやけに速いテンポだった。ラヴェルは不機嫌になったわけではないが、すぐに舞台裏に行き、トスカニーニに会った。そして、なぜこんなふうに《ボレロ》を演奏するのかと尋ねた。トスカニーニは、そのとき、ラヴェルにこう言い返すような横柄な態度だった-「なぜかというと、おっしゃるテンポで演奏したら、けっして成功しませんからね」・・・・・・。こういう話はまったくでっちあげである。その後、私はラヴェルに「もっとゆっくり演奏してほしいと言ったのですか」と尋ねた。「もちろん違うよ。あの晩、トスカニーニは、このうえもなくすばらしい手さばきで、《ボレロ》を演奏したのだからね。あんなふうに演奏するなんてだれにもできない。とてもすばらしかったんだから」。(55頁)

    「ラヴェルにとってのピアノ」
     ラヴェル自身がしばしば言及しているドビュッシーもそうだが、ラヴェルも「鍵盤楽器こそが、作曲家にとっての和声論で、ここからすべてを発見できる」と語っている。その頃はピアノをうまく弾けなくなっていたが、彼はいつもピアノで作曲していた。実際に人前で演奏することがなくなったので、以前から癖だった悪い構え方に悩まされていた。ラヴェルは鍵盤の少々端の方につかまるように弾いていたのである。それでは手の位置が平らになり、鍵盤にうまく乗らないというのに。こういった悪い弾き方のために、ラヴェルのピアノ音楽では、オクターブのパッセージをほとんど用いていないのである。
     そのかわりに、彼はよく親指を使っていた。モーリス・ドラージュやロラン=マニュエル、そして私は、これを「絞殺者の親指」などと呼んでいたものだ。実際、ラベルは、ピアニストの手とは思えない節くれだった指をしており、親指はとても大きくて力強かった。しかも手首に近いところに付いていて、他の指からかなり離れており、手の形という点では非常に特殊だったので、ラヴェルの親指は非凡な敏捷さを持っていた。彼のピアノ曲では、旋律を浮き立たせるために、親指が他の指の下をすべるように動くことも多い(《夜のガスパール》の<オンディーヌ>がよい例だ)。(39頁)

     演奏技術が衰え、つっかえることも少なくなかったが、ラヴェルはピアノをこよなく愛していた。・・・・ラヴェルは、オーケストラの譜面以外は、けっして机で書くことはない。オーケストラ作品でも、ピアノで自らのオーケストレーションの具合を確認していたほどだったのだから。(40頁)

    <参考音源>
    Ravel: Ma mère l’Oye ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Julian Kuerti


    Ravel: Ma Mère l'Oye - Lucas & Arthur Jussen


    マ・メール・ロワ(連弾)[ピティナ]
    おとぎ話に基づく5曲構成の組曲。元々はラヴェルが親しくしていたゴドフスキ夫妻の2人の子供のために書かれたピアノ連弾曲で、その後管弦楽曲版に編曲、さらにバレエ音楽に改作。タイトルはペローの作品『マ・メール・ロワ(フランス語で「マザーグース」の意味)のお話』に由来。
    1.眠りの森の美女のパヴァーヌ、2.親指小僧、3.女王の陶器人形レドロネット、4.美女と野獣の対話、5.妖精の園

    Maurice Ravel - Bolero


    Ravel Bolero - Toscanini - NBC 1939


    トスカニーニ、ラヴェルを怒らす - アッチェランドするボレロ [Ritornèllo](青澤隆明 2020.01.16/medici.tv)

    タグ:ラヴェル

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    <Kistachie N-3(Kistachie National Forest Nest-3)>
    雌ワシAndriaと雄ワシAlexの卵が11/19(推定)と11/22に生まれる。
    12/7 Andriaが痙攣し始め、抱卵せずに巣のレールに止まったまま。
    Andria has a neurological episode in the nest.


    12/8 夜中にAndriaが痙攣でバランスを失い巣から転落。USFS(United States Forest Service)レンジャーが翌朝にAndriaの救助に向かったが転落の衝撃で死亡していた。痙攣の原因として鉛・農薬中毒が疑われたが、2月末時点で解剖結果が出ていない。

    [2024.3.26 追記]ジョージア州立大学獣医学部による解剖結果報告
     「抗凝固殺鼠剤への曝露:微量ブロマジオロン(bromadiolone),鳥インフルエンザウイルスは検出されず、外傷の疑い:内出血」

    Andria seizes and falls from the tree. WARNING - Hard to watch!


    Andriaが巣に戻って来ないので、ずっと抱卵しているAlex。この巣に雌ワシが不在なのを知ったのか、侵入者(おそらくほとんどが雌)が次々と訪れ、Alexは巣と卵を守るために彼等を撃退する。

    12/9 侵入者(おそらくF2)を撃退するAlex。
    Male vs Female Bald Eagle Fight In Nest - DON'T MESS WITH MY EGGS!!!2023.12.9


    12/10 侵入者(F1)が巣に魚を持ち込み、さらに別の侵入者が周辺を飛んでいる。一度に侵入者2羽を相手にできないAlexは巣の周りにいる侵入者を追跡。魚を食べ終ったF1は卵を巣に埋めようとするが、途中で止めて飛び去った。戻ったAlexは大事な卵を抱卵。
    A new female comes to the nest with a fish. Alex defends the nest by defending from intruder.23.12.10


    12/10 同じ日の午後も巣にやって来たF1をAlexは追い出した。
    Bald Eagle Volume Alert - F1 comes to nest and Alex defends!


    12/11 Alexが抱卵中に侵入者(F1)が巣にやって来て、卵を巣に埋めて飛び去った。戻って来たAlexは卵を掘り出して、再び抱卵。
    The stranger buries the eggs, Alex unearths them bald eagle Kisatchie national forest E-3 Nest cam2 23/12/11


    12/12 また侵入者(F1)がやって来て卵を巣に埋め、Alexも再び卵を掘り出して抱卵。Alexは侵入者を追い出そうとするのではなく、巣と卵をF1に任せるかのように飛び立った。もしかしたら、F1が抱卵すると思っているのだろうか? F1は卵を壊すのではなく巣に埋めようとしている。
    KNF Kistachie Cam E-3 ~ Female Back In Nest 3 Times! 😲 Digs & Covers Eggs - Alex In & Out 12.12.23


    午後にもやって来たF1。(動画:Date of Video is12-12-23 (LOLOLOL) - Bald eagles Alex and F1 - maybe we can be friends.
    この日はF1とF2の両方が巣にやって来た。AlexはF2を警戒し、F1には巣と卵を置いてどこかへ飛び去った。。(動画:Video dated 12 12 - Alex with F1 and F2. Who do you think he likes?

    12/13 F1が再び巣にやって来て、卵を埋める。F1は卵を抱卵するためのホルモンが分泌されていないので、抱卵することはない。Alexは抱卵を促進するホルモンが分泌中でF1との交尾に興味はない。2羽のホルモンバランスが同期していておらず、抱卵されていない時間も長いので、卵が孵化することはない。
    KNF Nest Cam E-3 ~ Female Buries Eggs Again! Does Nestorations & Spends Night In Nest Tree 12.13.12


    12/15 この日は侵入者が相次ぎ、AlexとF1が協力して侵入者たちをテリトリーから追い出した。F1は大きな頭と鳴き声を持つ強くて頼もしそうな雌ワシ。羽を高く持ち上げる特徴的な羽ばたき(signature flapping)がトレードマーク。
    KNF Nest E-3 ~ Action Packed Day! Alex & F1 Team Up To Chase Intruders & Defend The Nest 12.15.23


    チャットでF1のことを”fierce Valkyrie”と呼んでいる人がいた。”Valkyrie”とは、「北欧神話の主神オーディンに仕える武装した乙女たちで〈戦死者を選ぶ者〉の意。彼女らはオーディンの命で馬を駆り戦場で倒れた勇士たちを天上の宮殿バルハラに導き,世界の終末の巨人族との決戦にそなえて武事にはげむ勇士たちをもてなす。」(改訂新版 世界大百科事典

    12/17 F1がやって来ても落ち着いているAlex。(動画:Video date-12/17 Alex is letting his guard down with F1

    12/18 F1が巣に持ち込んたオオバンを食べてから飛び去った。巣に戻って来たアレックスはオオバンの残りを見つけて食べていた。
    KNF Kistachie Nest Cam E-3 ~ F1 Brings Coot To The Nest & Eats! Alex Gets A Piece Of Prey! 12.18.23



    12/21 毎日巣にやって来るF1をAlexはすっかり受け入れている。この日も2羽で侵入者から巣と卵を守った。
    KNF Nest Cam E-3 ~ F1 Is A BIG Strong Female! Duet Vocals w/ Alex! Both Defending Nest! 12.21.23


    このままAlexとF1がペアになるかと思われたが、12/23を最後にF1が行方不明。侵入者との争いでテリトリーを追い出されたのかもしれない。F1がいない巣に新たな侵入者のF3(12/23)と亜成鳥F4(12/24)がやって来て、Alexが追い出そうとする。
    12/25午後以降、Alexが巣に戻らず行方不明。巣にやって来たF3が12/26と12/27に卵を巣に埋めた。12/27時点で第1卵は産卵後約38日、第2卵は35日経過し、完全に孵化不能となる。
    その後、F2・F3・F4が単独または雄ワシと一緒にN-3を訪れ、2月末時点でF3と雄ワシが巣作り中。


    <Kistachie N-1(Kistachie National Forest Nest-1)>
    雄ワシLouisと雌ワシAnnaの卵が2023/12/9に生まれる。
    12/27にAnnaの行動に異常(巣への着陸ミス、日中の眠気)が見られた(動画:KNF E-1 - 2023.12.27 - Anna's difficulty landing and drowsiness - for documentation purposes)。
    12/29夜もAnnaは巣に上手く着陸できず、歩行困難とふらつきも見られ、しばらく抱卵できなかった。

    Kisatchie Eagle Nest E-1 - Anna & Louis - Anna struggles to get in nest 11:58 am 12-29-23


    12/30と12/31はAnnaが巣に戻って来ず、夜中や日中にLouiが抱卵中に侵入者が巣に着陸。
    Louis continues to incubate and guard the egg bald eagle Kisatchie National Forest Cams


    12/31にAnnaが飛行中に背後から侵入者(おそらく巣にやって来ていた雌ワシ)に攻撃され、地上に落下。当日夜中にUSFSレンジャーに救助されルイジアナ州立大学獣医学部の野生動物病院に入院したが、鳥インフルエンザのような症状を発症したため安楽死。
    KNF E-1 - 2023-12-31 - Anna gets grounded and rescued


    U.S. Forest Service - Kisatchie National Forest 1月2日[facebook]
    「これは今日、私たちが望んでいた投稿ではありません。昨日1日、アンナが亡くなったことを皆様にお知らせしなければならず、悲しく、胸が張り裂けそうです。アンナはLSU獣医学部の野生動物病院に入院中、鼻汁、下痢、軽い震えといった症状を示し始めました。発作を起こしたこともあり、深刻な神経学的苦痛を抱えていたことがわかります。症状が悪化する前に、獣医は彼女を安楽死させた。高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)検査の結果が出れば、アンナがHPAIに感染していたかどうかがはっきりする。もしアンナがHPAIに感染していなかった場合、アンナの遺体は冷凍保存され、原因を特定するために剖検が行なわれる。アンナの検査結果が出次第、皆さんにお知らせします。なぜアンナは48時間から72時間も検査結果を待たずに、こんなに早く安楽死させなければならなかったのでしょうか?1)アンナは苦しんでいた、2)LSUには病気の動物を収容するバイオセキュアエリアがない。もしアンナがHPAIに感染していることが確認されれば、施設内のすべての鳥を安楽死させなければならなくなる-リハビリ中のワシ3羽、クーパーズ・ホーク、その他多くの猛禽類や様々な鳥を含む。鳥インフルエンザは、すべての鳥類にとって深刻で致命的な病気であり、重大な懸念事項です。」

    U.S. Forest Service - Kisatchie National Forest 1月5日[facebook]
    「私たちはルイジアナ州立大学獣医学部の野生動物病院から、アンナ(E-1メス)の検査結果が高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に感染しているかどうかの結論は出なかったという知らせを受けました。このことを知った獣医師は、2度目の検査を行うために冷凍庫からアンナの遺体を引き取りに行き、アンナの遺体が焼却処分されていたことを知りました。私たちはアンナが病気になった原因を知りたかったので、この知らせはとても残念です。E-3の巣にいたもう1羽のメスのワシ、アンドリアは12月初めに死亡し、私たちはまだ彼女の剖検結果を待っているところです。彼女が送られたジョージア州の施設に電話しましたが、まだ結果は出ていません。これらの検査には何週間もかかり、アンドリアは診断の確認のため、別のUSDA施設に送られるとのことです。」


    2024/1/1 Annaが戻って来なくても抱卵し続けるLoui。
    Louis: A Day of Nest/Egg Defense - Kisatchie National Forest Eagle Nest E-1 1/1


    1/2 Louiが巣に持ち帰った獲物を奪って食べる侵入者。その後も何度も巣にやって来た。
    The foreigen female eagle takes the prey from Louis bald eagle Kisatchie National Forest E1 Nest Cam


    1/2 夜中に巣にやって来てLouiに寄り添おうとする侵入者と拒絶するLoui。
    Louis & His Frequent Visitor - Kisatchie National Forest Eagle Nest E-1 1/2


    1/3 Louiが昼間に湖上高く飛行する姿を目撃されて以来行方不明。その後、雌F1・F2・F3、雄M1・M2が巣にやって来た。

    1/11 F2&M1ペアが巣作り中に卵を巣に埋める。
    ...And the Egg is Buried - Kisatchie National Forest Eagle Nest E-1 (1/11)


    2月末現在、F3とM2のペアが巣作りと交尾を行い、繁殖活動中。


    Kisatchie N-1&N-3 の観察記録スプレッドシート


    <孵化(抱卵)とホルモン>
    Bald Eagles REPRODUCTION AND HORMONES[elfruler]
    elfrulerのホルモンに関する記述では、「悪天候や配偶者の入れ替わりなどの破壊的な出来事に起因する比較的短い準備段階は、ペア間の同期性の発達を妨げる可能性があり、生殖ホルモンの分泌が抑制され、繁殖行動の停止、避難、侵入者への挑戦、エリアからの立ち退きなど、適切な反応が誘発される。」と書かれている。
    雌ワシが巣に戻らなくなってから雄ワシが抱卵し続けた日数は、Alexが約18日、Louiが3日(直前の2日間も含めれば5日間)。侵入者に餌を奪われたし、嘴で触れられて嫌がっていたLouiの方が、短期間で抱卵を止めて去って行った。防衛本能が高まって孵化ホルモンが抑制されたからだろうか。
    Alexは複数の侵入者から巣と卵を守るなかで、通常の雌と雄の役割が逆転し、抱卵するAlexと巣を守るF1みたいな関係になり、巣に魚を持ってきて食べ残しておいたりとAlexに敵対的な行動はとらなかった。しかし、F1が行方不明になり、再びAlexが単独で侵入者から巣と卵を防衛することになってから抱卵を止めて去ったのは、Louiと同じ。それにAlexが抱卵を止めた時には、卵の孵化日数(約35日)が来ていたので、孵化する兆候(卵の中から雛の声が聞こえる)がなかったので、孵化を諦めたのだろうか?

    <産卵>
    (1)交尾と産卵
    ・一般的にハクトウワシは一年中交尾可能だが、繁殖ペアが地域間移動(migration)するかどうかに依存する。頻繁な交尾はお互いの絆を強め、受精卵の可能性を高める。
    ・繁殖シーズン中、雌は2週間の妊娠可能期間(two week windows)を3回迎える可能性がある(may)。雄の精子は雌の体内で10日間生存可能と言われている。日照時間が長くなると、メスの脳下垂体から卵子のスイッチを入れるホルモンが分泌される。
    Bald Eagle Behavior[American Eagle Foundation]

    AEFのPodcastで、”the fertile window is two weeks in the year.”と言っていたが、AEFサイトでは‘the female may have three two-week windows throughout a breeding season where she is fertile.’と書かれていた。どちらが正しいのか、NEFLサイトのチャットMods(RaptorLvr_AEF)に質問した回答は以下の通り。
    ”there are biologists out there - Dr. Sharpe is one, who theorize that the female "may" have up to 3 two week fertile cycles - these additional cycles would only occur during a reclutch. ​​Once the pair has a successful clutch, there would be no additional fertile cycles during that breeding season."
    (つまり、産卵・孵化が成功した場合はWindowは2週間しかないが、孵化に失敗後、再クラッチのWindowがシーズン中に2回発生する可能性がある)


    ・交尾に成功すると、雌は5~10日以内に最初の卵を産む。その数日後に2個目の卵を産む。さらに数日後に3個目の産卵もありうる。
    WHEN DO BALD EAGLES LAY THEIR EGGS AFTER MATING?[animals.mom.com]
    How long does it take Mom to lay an egg?[Raptor Resource Project Blog]

    ・産卵個数:年に1~3個。稀に4個。最多記録はおそらく8個(2023年のSauces Canyon nest:雄Jak18歳、雌Audacity17歳。2/3~2/27に8個産卵、全て破卵)
    Sauces Canyon nest[Institute for Wildlife Studies]


    (2)Double/Second clutch(2回目の産卵)
    ・2回目の産卵が起こる場合は、通常、最初に産卵した卵が全て除去された後。
    ・ハクトウワシの回復プロジェクトでは、毎年孵化数を増やすため、第1クラッチの卵全てを巣から除去後に人工孵化させた。
    ・野生で2回目の産卵が起こる可能性があるケースは、最初の卵が全て、1)抱卵中に損傷、2)捕食動物動物が破壊、3)孵化期間を過ぎても孵化しない、などの原因で、親ワシが抱卵を中止した場合。(抱卵し続けた場合、2回目の産卵は起こらない)
    ・野生生物生態学者Peter Sharpe博士(Institute for Wildlife Studies)によれば「ワシは一般的に、2週間以上抱卵すると次のクラッチを産まないので、おそらく特定の抱卵量によってスイッチが入り、1シーズン以内に再び繁殖可能になることはない。」(この仮説に反する事例はSWFLとBerry College)
    What is double clutching?[American Eagle Foundation]

    1)最初の卵が抱卵2週間未満で失われ、2回目の産卵をした例:Big Bear ValleyのJackie&Shadow
    ・第1クラッチ:2019/1/6と1/9に産卵した卵がカラスに食べられ、1/13に産卵中に3番目の卵が割れる。
    ・第2クラッチ:2/8と2/11に産卵。最初の卵は3/18に孵化開始するも不成功。2番目の卵は孵化せず(51日間抱卵)。
    Big Bear Eagle History[Friends of Big Bear Valley]

    2)最初の卵から孵化した雛が死亡後、2回目の産卵をした事例:SWFLのHarriet&M15
    ・第1クラッチ:2019/12/19に孵化したE14(※参照)が2020/1/15に死亡。
    ・第2クラッチ:2/22にE15、2/25にE16を産卵(2羽とも巣立ちした)。
    Eagles Harriet and M15 produce two new eggs By Staff | Feb 25, 2020[SANIBEL-CAPTIVA NEWS]

    ※E14はピンフェザーが折れて出血し死亡。解剖により肝臓組織から高濃度の抗凝固殺鼠剤または殺鼠剤の一種であるブロジファクームが検出された。抗凝固殺鼠剤(殺鼠剤)は血液が正常に凝固するのを妨げ、毒物を摂取した動物を出血多量で死に至らしめる。ピンフェザーは "Blood feather(血羽) "とも呼ばれ、血液が流れているため損傷すると容易に出血する。 羽が成長するにつれ、血液供給は羽軸の根元だけに減少する。
    All About Bald Eagle Feathers(Loudoun Wildlife Conservancy)
    Mystery solved: Eaglet died from ingesting high levels of rat poison, CROW says[The News-Press]

    3-1)最初の卵を2週間以上抱卵後、2回目の産卵をした事例:Berry College Eagles
    ・第1クラッチ:2024/12/8、12/11に産卵。40~42日間の抱卵後、孵化せず(1/21、巣内に空の卵殻あり)
    ・第2クラッチ:2/17、2/20に産卵、3/25に1羽孵化、4/10死亡(原因不明、呼吸困難等で衰弱)。(見込みがないとわかったのか、衰弱している雛に親鳥が藁をかぶせていた)
    Georgia's Berry College Bald Eagle's Lay Rare Double Clutch of Eggs![NewsBreak Original]

    3-2)最初の卵を2週間以上抱卵後、2回目の産卵をした事例:Sauces Canyon
    ・第1クラッチ:2024/2/2に1個産卵、3/16(抱卵43日目)に破卵。
    ・第2クラッチ:2024/4/11に1個産卵、3/12破卵。

    Sauces Canyon Bald Eagles ~ Audacity lays A Surprise Egg After Mating With Jak! 💕💕 4.11.24



    <孵化(抱卵)>
    (1)孵化日数
    ・平均孵化日数:約35日。34日~36日くらい。elfrulerの調査では平均36.5日。(イヌワシは41日~45日、平均約42日)
    ・最長記録はおそらく44日(2012年、American Eagle Foudationの飼育下繁殖ペアIndependence&Franklin)
    ※孵化日数の計算は、孵化日を0として翌日が1日目として計算されていると思われる。時間単位で計算した場合と比べて、日数単位の計算はたぶん最大±1日の誤差がある。

    HATCH TIMINGS[elfruler]
    ・平均孵化時間は36.5日(36日12時間)、最短時間は約34.5日(34日11時間1分)、最長は約40.5日(40日12時間17分)。

    Watching Eaglets Grow[Judy Barrows]
    ※このサイトは年別・巣別繁殖情報サイト(親・子ワシの名前、産卵・孵化・羽化日、死亡・事故・救助情報など)。巣のHistoryを調べるのに便利。
    ※巣別の孵化日数は34日と35日はほとんどなく、36日~38日が多い。たまに39日と40日もある。

    2012 Nesting Season[American Eagle Foundation]
    IndependenceとFranklin(野生復帰不可能なアラスカ生まれの繁殖ペア。AEFの保護施設で繁殖活動)
    産卵日:2012/3/24、27、4/1(卵3個。遅延孵化により4/1以降に本格的な抱卵開始)
    孵化日:5/7に2羽(44日目と41日目)、5/8に1羽(38日)。(産卵後44日目に孵化した卵の抱卵日数は、遅延孵化により実質的には37日)


    (2)遅延孵化
    ・ハクトウワシの卵は非同期孵化:産まれた順に連続して孵化する。
    ・最初の孵化雛は、遅れて孵化する同腹雛よりも体が大きく成長しているため、雛同士の餌競争で有利。
    ・遅延孵化:親鳥は通常2個目の産卵まで断続的に抱卵し、初期の卵の胚の発達を遅らせることにより、雛間の孵化間隔を狭め、体格・能力差を緩和する。
    ・食料が豊富にあると、雛の孵化が遅れても、年長者と年少の兄弟間の体格や能力のばらつきが少なくなり、結果として食料をより公平に分かち合うことができるため、より多くの子供が生き残る可能性が高くなる。
    ・ハクトウワシは、最初の卵が産まれた直後に抱卵を開始する場合と開始しない場合があり、温度、湿度、降水量、捕食者などの局所的な要因に少なくとも部分的に依存する。しかし、同じまたは類似の状況でも、すべてのペアが同じ行動をとるとは限らない。
    ・後から生まれた卵は、最初の卵よりも親鳥が集中して抱卵するため、発育の進行が速く孵化日数が短くなる。
    Do bald eagles delay incubation?[Raptor Resource Project Blog]
    HATCH TIMINGS[elfruler]


    (3)抱卵行動
    ・主に雌ワシが抱卵するが、狩りや餌を食べたり休憩するため、時々雄ワシと交代する。雄ワシは巣にいる雌ワシに餌を持ってきたり、抱卵を交代したりする。
    ・抱卵中に時々卵を転がす必要がある。その理由は、卵のすべての部分を同じ温度に保ち、卵の中で発育中の胚が卵の殻にくっつくのを防ぐため。
    ・erflurerの説明では、卵の回転が必要な理由は、(上記の胚の胚外膜への付着防止及び温度の均質化ではなく)胚の発達を可能にする卵子の重要な成分が適切に機能するため。
    Eaglets[American Eagle Foundation]
    WHEN BALD EAGLE EGGS DON’T HATCH[erflurer]


    (4)雄ワシのみで抱卵
    ・産卵後に雌ワシが行方不明になったため、残された雄ワシが単独で抱卵した事例:2018年NEFLのRomeo、2023年Kistachie E-1のLouisとE-3のAlex
    ・上記3ケースでは、雄ワシだけで抱卵していると侵入者(または求婚者)が現れたため、雄ワシが防衛行動をとったり、侵入者が餌を奪ったりした結果、親ワシの抱卵が妨害され、最終的に雄ワシは抱卵を中止し卵と巣を放棄した。

    1)NEFL(2018)
    産卵後に雌ワシJulietが行方不明。侵入者の雌ワシが巣を何度も訪れ、第1クラッチのうちの1個から孵化直後の雛を持ち去り、翌日雄ワシRomeoは巣を去った。巣に残された2個目の卵は侵入者のワシ同士の争いで損傷し、彼らによって巣の中に埋められた。
    NEFL~Attention, please don't watch if you are sensitive~2018/12/25(動画)

    2)Kistachie E-3(2023)
    第2卵産卵から約2週間後、雌ワシAndriaが度々痙攣発作に見舞われ、巣から転落して死亡。残された雄ワシAlexが抱卵を続けるが、次々と侵入者の雌ワシが巣に訪れ、そのうちの一羽と協力して他の侵入者から巣と卵を守っていた。その雌ワシも行方不明になり、Alexは抱卵を中止し巣を去った。

    3)Kistachie E-1(2023)
    産卵から約18日後、雌ワシAnnaに無気力、バランス感覚喪失・転倒などの異常が見られ、巣から離れて飛行中に侵入者のワシとの争いで地上に落下。保護団体に救助されるが病院内で鳥インフルエンザに似た症状を発症したため安楽死。雄ワシLouiは抱卵を継続するが、巣に度々やって来る侵入者の雌ワシを追い出せず、最終的にLouiは抱卵を中止し巣を去った。

    関連記事: ハクトウワシの動画(8) Kisatchie N-1&N-3


    ・雛の孵化後に雄/雌ワシが行方不明になり、残された雌/雄ワシだけで育雛し巣立ちさせたケースは、少なくとも3例を映像で確認済み。いずれも雛が体温保持能力を獲得(約10-14日齢)した後に親ワシの片方が行方不明になったため、雛を長時間温める必要がなかった。(2018年Decorah・雌ワシMom、2023年SWFL・雄ワシM15、2023年Dale Hollow・雌ワシRiver)
    ・雄または雌ワシ1羽だけで卵から雛を孵化・巣立ちさせるのは、卵の抱卵と放雛(雛が体温保持能力を獲得するまで)が長時間必要なため、(ほぼ)不可能と思われる。(少なくとも映像では記録されていない)


    (5)卵以外を温める雄ワシ
    1)World Bird Sanctuary/Murphy (2023年):「石」を抱卵
    巣立ち時期の幼鳥時から保護施設で終生飼育下にある雄ワシMarphy。今まで施設内で交尾・繁殖経験がないのに31歳になって、繁殖相手もいないのに、突如巣作りを始め「石」を温め出した。
    Male eagle tries to hatch rock baby at local bird sanctuary, story goes viral

    ※ホルモンが巣作りと抱卵行動を促したと思われるが、本来の抱卵対象(「石」ではなく「卵」)が何かという点は学習する必要があるのかもしれない。
    関連記事:卵の代わりに石を温めるハクトウワシ

    2)Dulles Greenway/Lewis(2024年):「ハムボーン」を抱卵
    雄ワシMartinが行方不明後に、雌ワシRosaとペアになり、交尾も行っていたV2(Lewis)が、卵が産まれていないのに、1/22に突然「ハムボーン」を温め出した。
    V2 and The Ham Bone

    その後2/11には2個目のハムボーンを温めている。2/14に最初の卵が産まれた時には(ネストボールには卵と一緒にハムボーンもあった)が、全く関心がなく一度も抱卵しなかった。


    (6)抱卵しない雄ワシ
    繁殖経験がないと思われる若い成鳥の雄ワシが、繁殖初シーズンに正常な抱卵行動をしない事例。

    1)NEFL/Beau(2024)
    Gabbyとの繁殖活動の初シーズン。交尾行動も不器用でなかなか成功せず、ようやく交尾後に生まれた1つ目の卵を見ても抱卵しようとせず、なぜか卵を巣に埋めた。
    AEF~NEFL Nest Cam~Beau seen burying the egg 12 22 2023


    EVENTS AT THE NORTHEAST FLORIDA (NEFL) NEST DECEMBER 2023 [elfruler]
    ELFRULERの解釈では、Beau(以前の名称はV3)はGabbyが産卵するまでの数日間、他の雄ワシが挑戦してきたため戦闘モードに入り、副腎ホルモン(コルチコステロン、エピネフリン、ノルエピネフリン)が急速に増加し、生殖ホルモン(プロラクチン)の分泌を抑制した。再び生殖ホルモンと繁殖行動が現れ始めた時には、Gabbyのホルモンバランスと同期していなかった。そのため、Beauは卵を抱卵しようとせず、なぜか卵を巣に埋める行動に出た。卵を埋めた理由を推測すると(本当の理由はBeau以外にはわからないが)、繁殖経験のない雄なので、白い物体から雛が生まれることを知らず、単に巣を元の状態に戻そうとした。
    AEF NEFL Eagles ~ BEAU ACCIDENTALLY BURIES THE EGG! 😲 12.22.23”:Lady Hawkの解釈は、巣を通気しようして、誤って卵を巣の中に埋もれさせてしまった。

    巣に戻って来たGabbyが埋もれた卵を探している最中に、交尾しようとするBeau。
    AEF NEFL ~ Beau Just Wants To Mate While Gabby Searches For Her Egg To Incubate! 12.22.23


    2つ目の卵も抱卵しようとしないBeau。(卵の周りの巣材を通気するような素振りを見せたので、また卵を埋めるつもりだった?)
    AEF NEFL ~ Beau & Gabby In The Morning! Beau Sees Egg #2 Alone On Nest & Pulls Up Moss 12.24.23


    最初の産卵日から2週間経過後に、ようやくBeauが抱卵。その後も2/21まで何度も抱卵した。2/27にはGabbyのために巣に魚を持って帰ったので、繁殖期の雄ワシがするべき行動が定着し始めた。
    AEF~NEFL Nest Cam~Beau Incubating~The moment we have been waiting for ~1 3 2024


    Beauの抱卵行動が定着し始めた時には、すでに卵が抱卵されなかった時間が長すぎ、卵の回転も不足していたため、孵化期間(約35日プラス数日)を過ぎても孵化せず。GabbyとBeauは2024/2/21に抱卵中止。
    最初の産卵日は12/19(12/22にBeauが卵を巣に埋めた)、2個目の産卵日は12/23、抱卵日数は60日間。


    2)Dulles Greenway/Lewis(2024)
    産卵前に「ハムボーン」を抱卵していたことから、雄ワシLewis(V2)は繁殖経験のない若い雄ワシだと思われる。「ハムボーン」で抱卵の”練習”していたのに、本当の卵が産まれてもLewisは全く抱卵しようとせず、Rosaに獲物を持ってくることもない。Rosaは自分で餌を探しに行かねばならず、度々抱卵を止めており、卵が保温されていない時間が長かった。

    Hello Lewis!


    抱卵中のRosaと交尾するLewis。(巣で埋もれた卵を探しているGabbyと交尾しようとしたBeauの行動と似ている)
    Mating over the eggs


    夜中に抱卵を中止したRosa。巣にやって来たLewisは相変わらず抱卵しない。
    Rosa Stops Incubating the Eggs


    最初の卵は2/14、2番目の卵は2/17に産卵。Rosaは2/23に抱卵中止。
    卵が壊れておらず、孵化期間も十分残っているのに抱卵を止めるのは珍しい。その理由として考えられるのは、何らかの原因による体調不良、抱卵と狩りの両方を全て行うことによる疲労、餌不足、テリトリー内に侵入者がいるため孵化ホルモンが抑制された、など。
    その後、2/23にカラスたちが放置されていた卵を嘴や足で壊し、2/27に見知らぬハクトウワシの繁殖ペアがやって来て卵を巣に埋めた。
    2/24以降、RosaとLewisが行方不明。しかし、3/3にLewisが別の雌ワシを連れて巣に戻り、その後交尾や巣作りをしている。


    (7)抱卵とホルモン
    Bald Eagles REPRODUCTION AND HORMONES[elfruler]
    elfrulerのホルモンに関する記述から推測すると、雄ワシが産卵前にハムボーンを抱卵したり、産卵後に卵を抱卵しなかったりないのは、雄ワシのホルモンバランスが安定しておらず、雌ワシのホルモンバランスと同期していないのが原因ではないかと考えられる。
    「生殖ホルモンが減少して抱卵を促進するホルモンが分泌され、抱卵行動が促進される。雌と雄のホルモンバランスが同期する必要がある。」
    「ホルモンは、生殖腺の再発などの内因性変化や、交尾や巣作りなどの活動を誘発し、この活動が配偶者のホルモンや生物学的な変化をさらに刺激し、連続的なフィードバックループで繰り返される。この循環性は、特に準備段階で、女性と男性の間の行動的および生理学的同期を確立するための鍵となる。
    悪天候や配偶者の入れ替わりなどの破壊的な出来事に起因する比較的短い準備段階は、ペア間の同期性の発達を妨げる可能性があり、生殖ホルモンの分泌が抑制され、繁殖行動の停止、避難、侵入者への挑戦、エリアからの立ち退きなど、適切な反応が誘発される。」

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    Author:Yoshimi
    <プロフィール>
    クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

    好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

    好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

    好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

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