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ルチアーノ・ベリオ/フォーク・ソングズ
ルチアーノ・ベリオの珍しく調性音楽的な作品 『フォーク・ソングズ 声と7つの楽器のための』

当時の妻であるキャシー・バーベリアンのために1963年~64年にかけて作曲。
イタリアやアメリカの民謡、フランスのオーヴェルニュやアルメニアなどの中央アジアのフォークソングが集められた歌曲集。
全編女声で歌われているが、伴奏は7つの楽器で演奏されていて、ピアノ伴奏に比べてとってもカラフル。曲も民族色豊かというか、曲想と旋律がバラエティに富んでいて、クラシックの歌手が歌う普通のフォーク・ソング集と比べても、かなりユニーク。

この曲集の録音はそれほど多くはなく、新しい録音だとドーン・アップショウがこの歌曲集を録音している。
フォーク・ソングという種類の曲のせいか、かなりポップな歌い方で、ミュージカルを聴いているような感じがする。それに、いつものように表情豊かではあるが、透明感や清楚さが薄めで、かなり濃厚な歌いっぷり。
第1曲(Black is the Colour)、第2曲(I Wonder as I Wander)、第3曲(Loosin Yelav)は叙情的な美しい曲。
第2曲は、どこかで聴いたような気がするアメリカのフォークソングだと思ったら、クリスマス・ソングで有名な曲だった。John Jacob Nilesの作曲らしい。
第10曲(Lo fiolaire)はシャンソンっぽい感じがする。
第5番以降の曲はかなり表現の凝ったところがあって、特に5曲目の”A la femminisca”はやりすぎと思えるほどかなりアクの強さがある。地方の民族色豊かな民謡なので、歌詞に合わせたからだとは思うが、純然たる声楽曲で聴いていたアップショウとはかなりイメージが違った歌い方。

Golijov: Ayre, Berio: FolksongsGolijov: Ayre, Berio: Folksongs
(2005/09/27)
Dawn Upshaw & Andalucian Dogs

試聴する(12曲目以降がベリオの曲)


アップショウとは違って、わりとあっさりと歌っているのは、メゾソプラノのジーン・スティルウェル。伴奏はアルメニアン指揮カナダ室内アンサンブル。
アップショウに比べると、声質がやや暗めで声が硬い。表現はシンプルだけれど、品良くまとめていて、クセの強くない歌い方。聴きやすくはあるが、叙情性の強い曲だとあっさりしすぎの感はある。
トータルで考えると、やはりアップショウの方が声も良く表現の深みと幅がある。
しかし、アップショウのネットリとした極彩色のような表現の曲はどうしても苦手。歌詞とメロディに合わせてそうい表現をしているのだろうけれど、そっちの方はスティルウェルの歌の方がアクが強くなくて聴きやすい。

Formazioni; Folk SongsFormazioni; Folk Songs
(1990/07/25)
Jean Stil Well (メゾ・ソプラノ)、Raffi Armenian,Canadian Chamber Ensemble

試聴する(米国amazon)


このベリオの曲について詳しく解説しているサイト”梅丘歌曲会館「詩と音楽」”があるので、歌詞・訳詩・曲の由来などが良くわかります。多分、国内サイトでは一番詳しいベリオの「フォーク・ソングズ」の解説だと思います。

<収録曲>
1. 私の恋人は黒い髪 Black is the Colour (USA)
   -アメリカのフォークソングらしい懐かしい雰囲気のする曲。

2. なにゆえにイエスは I Wonder as I Wander (USA)
   -哀感のある美しい曲。クリスマスになると、よく聴く曲。

3. 丘の上に月がのぼる Loosin Yelav (Armenia) 
   -これも哀しげな曲だが、ハープとフルート(?)の伴奏がとても美しい。

4. 森の小さなナイチンゲール Rossignolet du bois (France)
   -語りかけるような密やかな雰囲気の曲。伴奏のハープとトライアングルが不思議な雰囲気を出している。ラストも変わった終わり方。

5. よい天気になりますように A la femminisca (Sicily)
   -漁に出た夫をまちわびる歌。結構毒々しさのある曲で、旋律はかなりひねりがきいていて、歌い方のアクの強さがそれに輪をかけている。

6. 理想の女性  La donna ideale (Italy)
   -ちょっと調子はずれのところがあって、不可思議さの漂う旋律と伴奏。

7. 舞踏 Ballo (Italy)
   -踊りについて歌っているのではなく、理性を狂わせる愛を歌ったもの。ちょっとコミカルな歌。旋律も面白いが、伴奏がなかなか凝っていて面白い。

8. 悲しい歌 Motettu de tristura (Sardinia)
   -歌詞も旋律もタイトルどおり悲しげ。ピロピロと歌う伴奏の管楽器の音とリズムが面白い。

9. 女房もちはかわいそう Malurous qu'o uno fenno (Auvergne-France)
   -「オーベルニュの歌」で有名な曲。明るく陽気な曲。クラリネット(フルート?)の音色が楽しげ。

10. 糸つむぎ Lo fiolaire  (Auvergne-France)
   -短調の哀しげな曲。歌詞はそんなに物悲しくないけど。リロリロリロと歌うところが面白い。

11. アゼルバイジャンの恋 Azerbaijan love song (Azerbaijan)
   -行進曲風の軽快で楽しげな曲。

                    

tag : アップショウ

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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