カッチェン《ブラームス:ピアノ作品全集》より (6)スケルツォ 変ホ短調 Op.4 

2009, 02. 11 (Wed) 20:17

ブラームスのピアノ独奏曲としての「スケルツォ」は1曲のみ。作品番号4番の変ホ短調のスケルツォ。
この曲には逸話があって、この曲を他の作品と一緒にして、初めに向かったのがリスト。リストはこの曲をスラスラと初見で弾いてしまった。さらに、ショパンのスケルツォ第1番との類似性も指摘したということで有名。
(参照:http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/brahms/001064.html)

リストはショパンのスケルツォ第1番の第1主題と、ブラームスのスケルツォの第1主題とが似ているといったが、それよりも中間部の左手アルペジオに乗せて右手が旋律を弾くところを初めて聴いたときは、ショパンのスケルツォ第2番と良く似ていると思ったものだ。

ブラームスのピアノ小品といえば、もっぱら後期の間奏曲集等を聴く人が多い。
このスケルツォは2つのラプソディの第1曲と合わせて、若かりしブラームスが書いた数少ない小品で、好きな小曲。
ブラームスが18歳の時に作曲しただけあって、後期作品のような奥深い味わいはないが、若々しい感情と激しさがストレートにぶつかり合う。短調だが暗い影は全くないので、なぜかこの曲を聴くと気分が爽快になる。

カッチェンの弾くテンポはわりと速めで8:30で、ほど良いテンポ設定。50歳くらいの時に弾いていたバックハウスの演奏はとりわけ速くて7:30くらい。この速さでも違和感はほとんどない。
9分台前半で弾く演奏も少なくはないが、これは主題部を速く弾いても、中間部でテンポをかなり落としてくる場合が多いようだ。
とんでもなく長いと11分くらい(ビレット、アンドレアス・バッハ)。ここまでくるとやりすぎの感あり。冒頭から超スローテンポで、スケルツォらしい軽快さはなくなり、奇妙な面白さはあるが、まるで曲の解剖手術を聴いているかのように、旋律がバラバラにされて浮かんでくる。

冒頭から上がったり下がったりと、感情の浮き沈みが激しい旋律だが、一度聴くとなかなか忘れられないところがある。たしかにショパンの旋律に似ているといえば似ているが、あのような華麗さはない。
カッチェンの演奏も非常にストレート。いつものような柔らかな弱音はほとんど使っていない。左手低音部が弾力があって力強く響き、歯切れの良いタッチで軽快感はあるが、息をつかせないような急迫感がある。中間部は表情も柔らかくなりほっと一息するが、さほどテンポは落とさず、抑揚を大きくつけて華やかさを出している。

カッチェンの試聴ファイルはないので、バックハウスの試聴ファイルはこちら。(バックハウスの速いテンポの演奏も好きなので。これは1930年代の録音で音はかなり古い。)
Brahms: Works for Solo PianoBrahms: Works for Solo Piano
(1997/11/11)
Julius Katchen

試聴ファイル



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