シチェルバコフ ~ レスピーギ/ピアノ作品集 

2009, 02. 16 (Mon) 20:44

レスピーギといえばローマ三部作が有名。彼のピアノ作品は、そうそう演奏される機会が多くはないので珍しいものだが、なぜかシチェルバコフがピアノ作品集を録音している。
超絶技巧のシチェルバコフと古典回帰のレスピーギとのイメージがなかなか合わなかったので、一体どういう風に弾いているのだろうと興味深々で聴いたが、これはとても良いアルバム。精神的に落ち着きたいときに聴くのに選びたくなるような曲集。

そもそもバロック・古典を聴くと眠くなる曲が多いので、極めて限られた好きな曲以外は聴かないが、このレスピーギの曲は典雅だけれどロマンティックで、眠気を催さないところが良い。
旋律がとても美しいせいもあるが、シチェルバコフがいつもの硬質で鋭いタッチとは違って、かなり柔らかいタッチも交えて、優雅だけれどさっぱりとした情感の漂うピアノを弾いている。
ポリーニがモーツァルトを弾くと、不思議な透明感と気品が漂うのと似ていて、こういうヴィルトオーゾ系のピアニストがバロックや古典の趣きのある曲を弾くと、意外と似合ったりする。
リスト=ベートーヴェンの交響曲を弾くシチェルバコフはとても好きだけど、このレスピーギを弾く彼のピアノも凄く良い。

レスピーギ:ピアノ曲「リュートのための古い舞曲とアリア」/「ピアノのための6つの小品」/他レスピーギ:ピアノ曲「リュートのための古い舞曲とアリア」/「ピアノのための6つの小品」/他
(1998/04/01)
シチェルバコフ

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 リュートのための古風な舞曲とアリア Op.114
管弦楽版で有名だが、これはピアノ版。その名の通り古風な曲ではあるけれど、旋律と和声の美しさで結構聴かせる曲。
第5曲はこの曲集中最も有名な第3集の「シチリアーナ」。
それより第1曲「Balletto detto 'Il Conte Orlando」、第4曲「Italiana」が明るく愛らしくて、こっちの方が聴いていて楽しい。
第6曲「Passacaglia」と第8曲「Bergamasca」は堂々と華やか。短調よりも長調の曲の方が好みに合うようだ。

 6つの小品 Op.44
これはずっとロマンティックな小品。第1曲の冒頭から、フランス近代音楽のような明るく瀟洒な雰囲気が漂っていて、まるでサティやプーランクを聴いている気分がする。
第1曲「Valse Caressante」はとても明るく軽快でサティのよう。第6曲「Internmezzo-Serenata」もドビュッシーのような流れるような美しい旋律。

 ピアノ・ソナタ ヘ短調 Op.16
これはドイツロマン派風(だと思う)のピアノ・ソナタ。作品番号が若いので、今まで聴いた曲とは違ってこなれた感じの曲ではないが、第3楽章の冒頭は躍動感のある旋律で、交響曲をピアノ編曲したかのような雰囲気がする。

 グレゴリオ風の旋律による3つの前奏曲 Op.131
これは管弦楽曲「教会のステンドグラス」の原曲。
作品番号がこれだけ後になると、かなり古典回帰色が強くなる。
第1曲は強い哀感が漂うとても美しい曲。第2曲になるとTempestosoのとおり、激しい動きを見せるが、第3曲は教会音楽風でここまでくると古典的すぎて私は苦手。
管弦楽版の「教会のステンドグラス」は壮大かつ流麗で、オケ版を聴いている方が楽しいが、第2楽章がやたらに騒々しすぎる気はする。

この曲集では、「リュートのための古風な舞曲とアリア」と「6つの小品」が、旋律が美しくて曲想のバラエティもあって、聴きやすい。
「グレゴリオ風の旋律による3つの前奏曲」は、この2曲よりもはるかに凝ったつくりをしている気はするが、馴染みやすさはやや薄い気がする。

<収録曲>
リュートのための古風な舞曲とアリア Op. 114 (抜粋)
 I Balletto detto 'Il Conte Orlando'
 II Villanella (Quadro III)
 III Gagliarda
 IV Italiana
 V Siciliana
 VI. Passacaglia
 VII. Campanae parisiennses
 VIII. Bergamasca

6つの小品 Op.44
 No.1 Valse Caressante
 No.2 Canone
 No.3 Notturno
 No.4 Minuetto
 No.5 Studio
 No.6 Internmezzo-Serenata

ピアノ・ソナタ ヘ短調 Op.16
 I. Allegro
 II. Lento
 III. Allegretto

グレゴリオ風の旋律による3つの前奏曲 Op.131
 I Molto lento
 II. Tempestoso. Largo
 III. Lento

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2 Comments

よんちゃん  

こんにちは。

レスピーギのピアノ作品集はよさそうですね。

「リュートのための~」のピアノ版があるとは知りませんでした。オーケストラ版は好きな曲で耳になじんでいますが、ピアノだと違った響きと味わいがあっていいんだろうなと思います。

2009/02/17 (Tue) 09:22 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

ピアノ版もなかなか良いものです

よんちゃん様、こんにちは。

オケ版の方がずっと優雅に聴こえます。ピアノ独奏版だと、旋律がそれぞれ浮かびあがってきて、シンプルですが明晰さがあります。
シチェルバコフは旋律を弾き分けるのが上手いので、ピアノだけのわりにはシンフォニックな感じがします。

ブラームスも、自ら交響曲等のピアノ版を編曲していて、ピアノ版ならではの味わいがあります。

2009/02/17 (Tue) 10:51 | EDIT | REPLY |   

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