シュニトケ/『ピアノ協奏曲集』より~ピアノ協奏曲(1960年) 

2009, 03. 02 (Mon) 20:00

シュニトケのピアノ曲は数はそれほど多くはないが、それでも独奏曲はピアノ・ソナタと小品がいくつか、ピアノ協奏曲は26歳の時に書かれた最初の「ピアノ協奏曲」(1960年)、「ピアノと室内オーケストラのための協奏曲」(1964年)、ピアノ曲の代表作「ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」(1979年)、「4手のピアノと室内オーケストラのための協奏曲」(1988年)を残している。

これは、そのシュニトケのピアノ協奏曲のうち、3曲を収録している珍しいアルバムで、クピークのピアノとシュトローベル指揮ベルリン放送響による演奏。クピークはポーランドの女流ピアニスト。ショパンが得意だが、現代曲もレパートリーにしているという。

シュニトケ:ピアノ協奏曲集シュニトケ:ピアノ協奏曲集
(2008/10/22)
クピーク(ピアノ)、シュトローベル指揮ベルリン放送響

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 ピアノ協奏曲(1960年)
シュニトケはかなり作風が変遷していくので、作曲した時代によって特徴があるが、一番調性が安定しているのは最初のピアノ協奏曲で、この曲はショスタコーヴィチの影響を受けていると言われる。シュニトケらしい不条理さが希薄な初期の作品のせいか、この曲はほとんど録音されていない。

第1楽章は、華々しい幕開けで、冒頭にピアノが打楽器的に奏でるモチーフが印象的で、他の楽章にも繰り返し現れる。リズム感もよく、覚えやすい旋律で、ブラインドで聴いてシュニトケの作品とわかる人はまずいないはず。
途中からやや不安定な和声でモチーフが次々と変奏されていくが、音の響き自体は美しい。ピアノパートは華やかで、オーケストラ伴奏も色彩感があり、いろんな楽器が同じリズムを順次刻んでいき、躍動感は十分。

第2楽章は、一転して穏やかで沈鬱な翳りのある美しい旋律に変わる。やがてピアノが弾く旋律はラヴェルのような透明感のある美しさ。オケ伴奏も叙情的な旋律で、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」のような雰囲気が少しする。
再び第1楽章の主題が現れるが、今度は叙情的に演奏されて、次はフォルテのオドロオドロしい曲想に変わり、オケもピアノも切迫感と緊張感が高まっていく。なかなかコワさを感じる展開。
最後はまた冒頭の美しい旋律に回帰して終わるという、緩徐楽章にしてはとてもドラマティックな楽章。

第3楽章は、勇壮な曲想に変わり、アレグロでピアノが走り回るが、第1楽章のような華やかさはなく、荒々しさが流れている。主題があまり印象的ではなく、モチーフも次々から次へと変化していき、ラヴェルやジャズの雰囲気を感じさせるようなところもある。
第1楽章に比べてまとまりが悪いような感じはするが、それでも、テンポが速く曲の展開も目まぐるしいので、一気に最後まで聴ける。

クペークのピアノには、気迫のこもった激しさと冷たい美しい叙情が感じられて、この複雑な曲想と急激な展開の曲をうまく弾いているように思う。
このコンチェルトは形式も調性も比較的安定していて、明確な主題に躍動的なリズム感、緩徐楽章の美しい旋律、スピーディな展開で、シュニトケが苦手な人でも、プロコフィエフやショスタコーヴィチのピアノコンチェルトがOKなら、安心して聴ける曲だと思う。

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