グリモー/リフレクション~シューマン・ブラームス作品集 

2009, 03. 28 (Sat) 20:17

シューマンとブラームスの作品を集めたエレーヌ・グリモーの「リフレクション」。
グリモーとは相性はあまり良くないが、このアルバムの企画が良かったせいで買ったような記憶があるCD。
収録曲は、シューマンのピアノコンチェルト、クララ・シューマン作曲の歌曲、ブラームスのチェロ・ソナタに「2つのラプソディ」。歌曲はオッターが歌っている。かなりタイプの違った曲を集めて面白そうだったが、そのわりには1度しか聴いた覚えがなく、ずっとCDラックの奥に眠っていた。

ReflectionReflection
(2006/09/12)
エレーヌ・グリモー(Pf)、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)、トルルス・モルク(Vc)、シュターツカペレ・ドレスデン、エサ=ペッカ・サロネン(指揮)

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グリモーはだいたいが多分に情緒的であちこちで情念が噴出するピアノを弾く。
さすがに、シューマンのコンチェルトは、オーケストラが入っているせいか、その情念がまだしもバランスされて、叙情豊かだけれど、ソロの時よりもそれほど過度に情緒的にならずに弾いている。

グリモーは、いつも全ての音を鳴らすかのように響きが厚めで、彼女のピアノは濃密な感じがする。
第1楽章はわりとゆったりとしたペースで弾いていて、細部の表情づけは丁寧で、しっとりとした詩情溢れる弾き方。
対照的に第3楽章はわりと堂々とした弾きぶり。響きの厚みがかなりあり、潤いのある伸びやかな音なので、線の細さは全く感じない。テンポはそれほど上げずタッチも丁寧で、白熱感はそれほどないが、明るい輝きと雄大さがある。
気分の浮き沈みの激しいシューマンのコンチェルトのロマンティックな面が良く出ていて、このアルバムの中では最も良いというか、好みにあう演奏ではある。
最近聴いたシューマンのコンチェルトの中でも(カッチェン、フライシャー、アラウの1960年頃の録音)、シューマンらしい繊細で揺れ動く感情が一番自然に伝わってくる。
グリモーはこのコンチェルトを2005年に録音しているので、音の響きが綺麗に聴こえるのも良いところ。

クララ・シューマンが作曲した『リュッケルトの「愛の春」からの詩による2つの歌曲』と『岸辺で』。
『リュッケルト...』の方の2曲目は、ブラームスにも似たような旋律の歌曲があったような気がする。
オッターはいつもどおり品のあるかっちりとした歌いぶり。ちょっと硬さがあるような気はするが、これは伴奏のグリモーのピアノが良く歌っているせいで、対照的に聴こえてくるせいかも。

チェロ・ソナタ第1番は、ノルウェー出身の中堅チェリストであるトルルス・モルクが弾いている。チェロ曲はほとんど聴かないが、ブラームスのチェロ・ソナタはそれでも何度かは聴いている曲。
モルクは深みのある広がりのある音色で悠然と弾いている一方、グリモーのピアノはかなり大きな起伏と厚い響きで情熱的な感じがする。
この録音ではピアノがかなり前に出てきている。特にアレグロで白熱感のある第3楽章は、チェロがややかすんで、ピアノが騒々しすぎる。チェロよりピアノ独奏でも聴いている気分がする。

最後の「2つのラプソディ」は2曲とも、予想したとおりウェットな情念漂う演奏。
常にテンポが伸縮し、急激なクレシェンドに、(私には異常に思えるほど)たっぷりしたルパートがかかったりと、まるであちこちで感情に揺さぶられているようで、ブラームス的な叙情感や激情にどっぷりつかりたいのなら、グリモーの演奏はまさに理想的。
こういうタイプの弾き方は(特にブラームスでは)全く好みに合わないので、最後まで聴きとおすのに一苦労。こういう情念過多のブラームスを聴くととても疲れる。それよりは(淡白すぎるような気はするが)レーゼルが弾くようなさらりとしたブラームスの方がまだ良い。
グリモーのバッハ=ブゾーニのシャコンヌも情緒的だったし、ピアノ・ソロだとこの演奏スタイルはそうそう変わらない。感情と理性とのバランスを考えれば、グリモーを聴くならコンチェルトの方がいいんじゃないかと思えてきた。

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