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アシュケナージ ~ ラウタヴァーラ/ピアノ協奏曲第3番 《夢の贈り物》
ラウタヴァーラのピアノ協奏曲第3番《Gift of Dreams(夢の贈り物)》は、アシュケナージが弾き振りするために委嘱したコンチェルト。
1998年に完成し、1999年にフィンランドのヘルシンキにて、アシュケナージ&ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団が初演。
2000年10月19日には、アシュケナージが弾き振りしたN響で日本初演。TV放映もあったらしい。

第1楽章と第2楽章は、タイトルどおり夢の中にいるような幻想的で浮遊しているような感覚。色彩感が豊かで、特にピアノの響きが素晴らしく綺麗。
前2作の協奏曲よりも、響きがずっと洗練された感じがする。
第2番の鬱々とした暗さはちょっと苦手なので、この第2番のパルテル調の夢のような明るさと柔らかい響きがとても心地よい。
初めて聴いた時は、なんか緩くてふわふわした感じであまり印象に残らなかったけれど、第1番を聴いてからもう一度この第3番を聴くと、ラウタヴァーラ独特の音の動きや響きに慣れたこともあって、聴けば聴くほど良い曲に思えてきた。
個人的には前衛性のある第1番が構成も曲想もわかりやすくて好きだけれど、作品の完成度は第3番が一番高いように思うので、ラウタヴァーラのピアノ協奏曲を初めて聴くなら、このまどろむような雰囲気と音の美しさで、第1番よりも第3番の方が良いかなという気はする。

第1楽章 Tranquillo
まろやかな弦楽の響きで静かに始まり、ピアノが同じように柔らかい響きで受け継いでいく導入部。まどろみながら夢の世界へ入っていくようなプロローグ。
すぐに、テンポが上がって、叙情的なオケの旋律をバックに、煌くようなピアノのアルペジオに変わる。徐々に感情が高揚していくように、ピアノがフォルテの和音の旋律に変わって、最後はブラスと鐘が鳴り響いて、再び主題のモチーフが再現され、ピアノのアルペジオのパッセージが現われる。
ピアノが伴奏的にアルペジオを引き続けながら、片方の手で叙情的な旋律を弾き、盛り上がっていくと鐘が再び鳴り響きと、このパターンが反復されて、最後は、冒頭に戻ったように静かに落ち着いてフェードアウト。

この楽章は、オケもピアノも柔らかく暖かみのあるカラフルな音色で、まるで夢のなかにいるようにファンタスティック。
ピアノはほとんど休むことなく、アルペジオと和音を引き続け、アシュケナージの色彩感のあるピアノの響きがとても綺麗。

第2楽章 Adagio assai
ピアノがオケのいろんなパートと対話しながら、展開していく楽章。この楽章はピアノパートの表情が豊かに変化して、とても饒舌。
冒頭は弦楽の息の長い旋律を背景に、静かに語りかけるように明るい色調のピアノ・ソロ。
やがてピアノは、アルペジオ、和音、スケールを取り混ぜて、コロコロと表情を変えていきながら、弦楽やティンパニと対話していく。
途中で、ブラスが警告するような音と旋律でそれを遮ると、ピアノが起こったように速いアルペジオで対抗し、次はとても穏やかな雰囲気の中で、入れ代わり登場するいろいろな木管のソロとピアノが対話する。
最後は冒頭部分に回帰し、静かにモノローグするようなピアノのソロがとても美しい。オケも黄昏のように穏やかなで、とても内省的な雰囲気で終る。

第3楽章 Energico
前2楽章とは打って変わって、とてもエネルギッシュ。
冒頭は激しいピアノの和音の連打がブルレスケ風で、オケもピアノに呼応するような伴奏で、ドラマティックな幕開け。
いくつかの主題が変形されながら次々と登場し、速いテンポで躍動的。オケが結構賑やかで、時々シンバルやらティンパニが鳴り響いて騒々しくて、この楽章はオケがかなり目立っている。
ピアノのアルペジオがとても華やかで、中間部のピアノソロで弾くところは、とても繊細で綺麗な響き。
最後は、乱舞するようなピアノの和音が力強く、シンバル、ティンパニに、鐘の音やら、いろいろな音がエンディングを告げるように壮大に鳴り響いて、やがて曖昧な雰囲気のなかでピアノが溶け込むように静かにフェードアウト。
いろんなモチーフが入れ代わり立ち代り出てくるので、主題がどれがどうなっているのかよくわからないところはあるけれど、フィナーレらしい躍動感と高揚感。この楽章は、ピアノ独奏付きの管弦楽曲風に聴こえる。


第3番の録音はミッコラとアシュケナージの盤があるけれど、この曲はアシュケナージのために書かれたものなので、ここはアシュケナージがヘルシンキフィルを弾き振りした演奏で。
Rautavaara: Piano Concerto No. 3 Rautavaara: Piano Concerto No. 3 "Gift of Dreams", Autumn Gardens / Ashkenazy
(2000/04/25)
Vladimir Ashkenazy (Conductor,piano),Helsinki Philharmonic Orchestra

試聴する(米国amazon)


カップリング曲の《秋の庭》も、ピアノ協奏曲第3番と同じように、穏やかで明るい色調で色彩感豊かな曲。
コンチェルトの方が、ピアノの響きが入っているせいか、より繊細で煌くような輝きがあるような気はするけれど。

tag : ラウタヴァーラ

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