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ブラームスの自作編曲版 ~ 4手連弾と2台のピアノのための作品集
ブラームスは自作の交響曲、管弦楽曲、ピアノ協奏曲、室内楽曲の4手版(連弾版)の編曲を多数残している。
作曲家のなかで、自作の大規模な管弦楽曲や室内楽のピアノ編曲をこれほど多く残した人は、他にいないのではないかと思うくらい、豪華なラインナップである。

4手連弾用編曲版
 - 交響曲第1番~第4番全曲
 - 大学祝典序曲、悲劇的序曲、セレナード第1番・第2番
 - ドイツ・レクイエム、凱旋の歌(以上は管弦楽伴奏部分)、ワルツ集「愛の歌」 Op. 52aなど。
 - ピアノ協奏曲第1番
 - シューマンの主題による変奏曲、16のワルツ集(原曲はピアノ独奏曲)
 - ピアノ四重奏曲第1番と第2番
 - 弦楽四重奏曲第1番~第3番、弦楽五重奏曲第1番と第2番、弦楽六重奏曲第1番と第2番

2台のピアノ用編曲版
 - 交響曲第3番と第4番、ハイドンの主題による変奏曲
 - ピアノ協奏曲第1番
 - 16のワルツ集(原曲はピアノ独奏曲)
 - ピアノ五重奏曲は2台のピアノ用のピアノ・ソナタヘ短調(Op. 34b)として編曲。

連弾版と2台のピアノ版の両方があるのは、交響曲第3番と第4番、ピアノ協奏曲第1番、16のワルツ集。
ピアノ協奏曲第2番の方はピアノ用編曲版は残していない。

ハンガリー舞曲には、管弦楽版、ピアノ独奏版、ピアノ連弾版の3種類がある。
ブラームスは最初に連弾版を作曲して、後に第1~第10番までをピアノ独奏用に、管弦楽版は第1曲、第3曲、第10曲のみ編曲。
残りの18曲は、さまざまな編曲者による管弦楽版があるが、有名な第5番はブラームス自身の編曲ではない。

ハンガリー舞曲以外のブラームス曲の編曲版として有名なのは、シェーンベルクによるピアノ四重奏曲第1番の管弦楽編曲版、ベリオによるクラリネット・ソナタ第1番の管弦楽編曲版。
特に、オーケストラで聴くピアノ四重奏曲第1番は、ブラームスの交響曲が1つ増えたような曲で、編曲したシェーンベルクに感謝したいくらい。

一連のピアノ編曲版はナクソスが「ブラームス:4手のためのピアノ作品集」としてシリーズ化しており、いままでに第17巻までリリースされている。(ただし第16巻はシューマンとヨアヒムの作品の編曲版)
これだけの曲がシリーズとして揃うとなかなか圧巻。ピアニストは、クリスティアン・ケーンとジルケ=トーラ・マティース。

4手連弾版の交響曲第3番と悲劇的序曲を収録したCD。
ブラームス:4手のためのピアノ作品集 7(交響曲第2番, 第3番)ブラームス:4手のためのピアノ作品集 7(交響曲第2番, 第3番)
(2002/07/01)
マティーズ/ケーン

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※ナクソスの試聴サイトのタイトルは誤り。交響曲第3番は「4手編」が正しい。下の「2台ピアノ編」と聴き比べれば、使っている音域の違いがすぐにわかる。


2台のピアノ版の交響曲第3番と第4番を収録したCD。
重厚さはないが、第3番の第4楽章のこみいった旋律がとてもすっきりと明瞭に聴こえるし、2台のピアノで弾くとなかなかの迫力がある。第2楽章と第3楽章もとてもロマンティック。
第4番の第3楽章は、2台のピアノならではのスピード感と躍動感がある。
Brahms: Four Hand Piano Music Vol. 15; Symphonies Nos. 3 & 4(Version for two pianos)Brahms: Four Hand Piano Music Vol. 15; Symphonies Nos. 3 & 4 (Version for two pianos)
(2006/03/21)
Johannes Brahms

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4手連弾版の弦楽六重奏曲第1番と第2番を収録したCD。
Brahms: Four Hand Piano Music, Vol. 13;String Sextet No.1&No.2Brahms: Four Hand Piano Music, Vol. 13;String Sextet No.1&No.2
(2005/02/22)
Johannes Brahms

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弦楽六重奏曲第1番は、27歳の青年時代に作曲しただけあって、ブラームス晩年特有の重苦しい鬱々とした気分とは無縁な生気に溢れた情熱的な曲風。第2楽章は、ルイ・マル監督の映画「恋人たち」で使われたことで、数あるブラームスの室内楽曲の中でも特に有名な旋律である。
この第2楽章はピアノ独奏用の編曲版もあって、ブラームスがクララ・シューマンの誕生日にプレゼントした。「主題と変奏」というタイトルで、ルプーやブレンデルが録音している。

ピアノ編曲版とはいえ、演奏時間は原曲と同じくらい長く、交響曲では40~50分くらい。
重層的な交響曲を分解して組み立てなおしたピアノ編曲版で聴くと、曲の骨格が綺麗にすっきりと聴こえてきて面白いものがある。
オーケストラのような重厚さや渋みは感じないが、旋律の美しさやロマンティックな雰囲気がストレートに伝わってくる。
ブラームスは交響曲第2番以来、初演に先立って、ヴィルトオーゾのイグナーツ・ブリュルとともにピアノ連弾版で試演をするのが恒例だったという。
ピアノ協奏曲の連弾/2台のピアノ編曲版も悪くはないが、元からピアノが入っていない交響曲や室内楽曲を聴く方が面白い。
特に弦楽だけの室内楽は聴かないので、ピアノ編曲版でその曲を聴けるのはかなり嬉しい。曲の外郭や旋律がとてもクリアに聴こえるので、もっぱらピアノ編曲版で聴いている。

ブラームスは、交響曲第3番・第4番、ピアノ協奏曲第1番、16のワルツ集については、連弾版と2台のピアノ版の2種類を編曲しているので、それぞれ聴き比べると曲の雰囲気が多少違っているのがわかって面白い。
2台のピアノ版の方が編曲の自由度が連弾に比べて高いので、シンフォニックな響きになっているが、連弾版は1台を2人のピアニストで弾くという制約があるせいか、主旋律が前面に出てきて、旋律の流れと曲の叙情的な面が強調されている。特に連弾版は主旋律がかなり高音域で弾かれるので、曲全体の雰囲気がとても柔らかくなっている。
このピアノの響きと原曲とは違った趣きが気に入ると、このシリーズには結構はまってしまう。

tag : ブラームス

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(非公開コメント受付中)

はじめまして。貴重な情報ありがとうございます。
ミクシイ上で交響曲のピアノ版があるということを知って、探していましたらこちらに詳しいことが書かれていて、とてもうれしいです。

ナクソス版の視聴をしてみたら、感激のあまりホロホロ・・・・。

ほんとにどうもありがとうございました!!
がんばって譜面を探します!
編曲版の楽譜はIMSLPに載っています
ヨスィコ 様、はじめまして。コメントありがとうございます。
この情報がお役に立てて良かったです。

編曲版の楽譜は、IMSLPのホームページに載っていますので、無料でダウンロードできます。
IMSLPは、全て原曲の楽譜の下に、編曲版の楽譜を記載しています。

交響曲第1番(For Piano 4 hands (Brahms))
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.1,_Op.68_(Brahms,_Johannes)

交響曲第2番(For 2 Pianos, 4 hands (Brahms))
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.2,_Op.73_(Brahms,_Johannes)

交響曲第3番(For 2 Pianos, 4 hands (Brahms))
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.3,_Op.90_(Brahms,_Johannes)

交響曲第4番(For 2 Pianos, 4 hands (Brahms))
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.4,_Op.98_(Brahms,_Johannes)

IMSLPには、他にも編曲版の楽譜がいくつかありますので、お探しの楽譜があれば、まず原曲の楽譜があるホームページを見つけてください。
パブリック・ドメインになっている楽譜を誰かがアップロードしていてくれれば、楽譜が入手できることがあります。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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