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エルネスト・ブロッホ/コンチェルト・グロッソ第1番
ブロッホという名前を聞いて最初に思い浮かぶのは、『希望の原理』を書いた哲学者のエルンスト・ブロッホ。
作曲家の方はエルネスト・ブロッホ。名前は一字違いなので紛らわしい。
作曲家のブロッホの代表作は 『ヘブライ狂詩曲-シェロモ』。この曲はユダヤ音楽を取り入れたといわれるもので、たしかに独特の雰囲気がある。
ブロッホを初めて聴くなら、これよりも管弦楽曲の『コンチェルト・グロッソ』の第1番か第2番の方が聴きやすい。2曲とも合奏協奏曲の形式を使っているので、バロックのような風雅な薫りのするとても美しい曲だが、やはり現代の音楽らしい和声や旋律なので、古い皮袋に新しいお酒を入れたような味わいがある。

『コンチェルト・グロッソ』は晩年に作曲した第2番の方が、完成度が高くて有名。第1楽章と第2楽章はバロック音楽的な様式を感じさせるが、憂愁ただよう旋律が美しい。第3楽章と第4楽章になると、現代的な不協和的な響きとエキゾチックな雰囲気が強くなる。
1924~1925年に作曲された第1番の方には、ピアノが入っている。
ピアノ協奏曲ではないのでそれほどピアノは前面に出てこないが、それでも存在感がかなりある。ピアノ協奏曲なら『交響的協奏曲』があるが、これは録音がとても少ない。
そもそもブロッホの曲自体の録音はそれほど多くはないので、この第1番の録音も数種類しかない。
コンチェルト・グロッソは第1番と第2番の両方を録音している場合が多いので、第1番の入っているCDを買えば、第2番も聴けることになる。

私は第1番の方が好きなので、聴くなら第1番の方。CDには第2番も入っているので、結局両方とも聴いてはいるが、第1番の方が緊迫感と躍動感があり、各楽章の性格が違っていて旋律も印象的だと思う。

ハンソン指揮イーストマン=ロチェスター管弦楽団 (Mercury Liv.presence)盤は、1959年録音で音がやや古めかしいが、やや速めのテンポで、シャープでメリハリと緊張感のある演奏がとても良い。
ただし、ピアノの存在感は他に比べるとやや薄め。(ピアニストの名前がCDジャケットにはリーフレットにも全く載っていない。ピアニストはオーケストラの奏者の一人のような扱い。)

ハンソン指揮イーストマン=ロチェスター管弦楽団 (Mercury Liv.presence)
Mahler: Symphony No. 1/Bloch: Concerto Grosso No. 1Mahler: Symphony No. 1/Bloch: Concerto Grosso No. 1
(1997/08/19)
Ernest Bloch、

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音質を気にするなら、新しい録音では、ほどよいテンポにピアノと弦楽のバランスが良いラウリアラ/ライスキン指揮聖ミケル弦楽オーケストラ盤(Alba)。
ハンソン盤よりもピアノの存在感がやや強い。演奏自体はハンソン盤よりも柔らかさがあって流麗だが、厚みがやや薄く軽やか。カップリングにブゾーニのピアノ協奏曲ニ短調(Op.17)が入っていて、この曲が結構面白い。

ラウリアラ/ライスキン指揮聖ミケル弦楽オーケストラ(Alba)
Ernest Bloch: Concerti Grossi 1 & 2Ernest Bloch: Concerti Grossi 1 & 2
(1994/01/25)
Ernest Bloch、

試聴する


逆に、ウェーバー/Duczmal指揮アマデウス室内オーケストラ(CPO)盤は、第1楽章のテンポがかなり遅い。かなり細部まで丁寧に表情をつけていて、ハンソン盤のような緊迫感はないが、叙情の美しい演奏。初めて聴いた時はテンポの遅さで違和感があったけれど、何回か聴けば表情の細やかさが良く思えてくる。

ウェーバー/Duczmal指揮アマデウス室内オーケストラ(CPO)
Ernest Bloch: Concerti Grossi 1 & 2Ernest Bloch: Concerti Grossi 1 & 2
(1994/01/25)
Ernest Bloch、

商品詳細を見る(たぶん廃盤らしい。)


フランクリン/ スタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団(Naxos Classical Archives)はテンポが異常に速く、録音が古くて音がかなり悪い。これは避けた方が無難。


『コンチェルト・グロッソ』第1番は4楽章構成。
I. Prelude: Allegro energico e pesante
かなり切迫感を感じさせる曲想で、弦楽が弾くアクセントを良く効かせた旋律が印象的。ピアノがわりと目立って聴こえる。旋律がとても印象的で、10年以上前に初めて聴いて以来、ブロッホと聴けば、この旋律がすぐに思い浮かんでくる。

II. Dirge: Andante moderato
一転、静かな落ち着いた曲想に変わるが、やや不可思議さのある旋律。弦が徐々に下降していく旋律や、ピアノの分散和音を背景に奏でる弦楽器の旋律など、あちこちでエキゾチックな雰囲気を感じるが、和声自体は非常に美しい。

III. Pastorale and Rustic Dances: Assai lento - Allegro
標題通り、田園風景や田舎風のダンスを連想させるような楽しげな曲。初めは静かだが、徐々にテンポと音量が上がり、明るく軽快で心が躍るような旋律に変わる。

IV. Fugue: Allegro
典雅な雰囲気でリズム感もあるフーガ。初めは弦楽だけで演奏しているが、やがてピアノも入ってきて、明るさと華かさが加わっていく。バロック音楽のような旋律が聴こえるが、どこかしらロマンティックなところもある。

この第1番は、おそらくブロッホの作品のなかで最も現代音楽とは思えない優雅さと美しさがあり、比較的エキゾチシズムが薄い曲。よりバロック的な雰囲気を味わいたいなら第2番の方を。

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好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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