アルヴォ・ペルト/ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌 

2009, 02. 20 (Fri) 20:29

作曲家の吉松隆は、アルヴォ・ペルトを"現代最大のアダージョ作曲家"と評したらしいが、確かにペルトのアダージョの静謐な美しさはどの作曲家よりも印象的だと思う。
ぺルトの曲は、静寂さがあり内面に沈潜しているような音楽が多いが、旋律がとても美しく、音が沈黙するなかにも音楽が流れているような不思議な雰囲気がする。

ペルトが一次ブームになったのが10年くらい前。クレーメルとキース・ジャレットが演奏するECMのアルバムがその当時は一番売れていたはず。
クレーメルとジャレットという組み合わせの話題性もあるだろうが、なによりアルバム全体が緊張感で研ぎ澄まされたような演奏になっていた。

このアルバムの最後の曲は、作曲家ブリテンへ捧げられた「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌(Cantus in Memory of Benjamin Britten)」。
ブリテンのピアノ小曲集を聴いていて、ペルトが書いたこの曲を思い出した。
1976年に亡くなったブリテンのための追悼曲で、1977年の作曲。
演奏はデニス・ラッセル・デイヴィス指揮シュトゥットガルト国立管弦楽団。1984年1月の録音。

冒頭は鐘の音だけが打ち鳴らされて、やがて弦楽が入ってくるが、ピアニッシモから徐々に音の厚みと音量が増していき、カスケードのように流れていく。
弦楽の奏でる旋律は極めてシンプルで淡々としたミニマル的だが、重苦しく沈鬱で厳粛な響き。背後で鳴り続ける鐘の音は鎮魂の響き。
最後にはゆったりとリタルダンドしてゆくが、なかなか消え去ろうとはしない弦の厚い響きと、その背後で鳴り続ける鐘の音が、心の奥深くの悲痛感をあらわしているような曲である。

このアルバムの録音がYoutubeに登録されている。


Part: Fratres/Cantus in Memory of Benjamin Britten/Tabula RasaPart: Fratres/Cantus in Memory of Benjamin Britten/Tabula Rasa
(1994/02/15)
Gidon Kremer,Keith Jarrett,Dennis Russell Davies,Saulus Sondeckis, Lithuanian Chamber Orchestra,Staatsorchester Stuttgart

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カップリングされている”Fratres”はクレーメルとジャレットによる演奏。12人のチェリストのための編曲版も収録されているが、ピアノとヴァイオリンによる演奏の方が緊迫感がある。

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