シュニトケ/『ピアノ協奏曲集』より ~ ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲(1979年) 

2009, 03. 08 (Sun) 20:57

シュニトケのピアノ協奏曲の代表作である「ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」(1979)。クピークのピアノとシュトローベル指揮ベルリン放送響による演奏。
1960年に作曲したピアノ協奏曲とは全く違う、極めてシュニトケらしい作品。

シュニトケ:ピアノ協奏曲集シュニトケ:ピアノ協奏曲集
(2008/10/22)
クピーク(ピアノ)、シュトローベル指揮ベルリン放送響

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 ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲(1979)
第3作目の「ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」(1979)は、シュニトケのピアノ協奏曲の中で最も録音・演奏の機会が多い曲。
クライネフというピアニストのために作曲したもので、コフマン指揮、クライネフのピアノによりウクライナで初演された。シュニトケのピアノ協奏曲というと、ほとんどこの曲が演奏されている。

25分あまりの1楽章形式の曲。コンチェルトグロッソ第1番を作曲した直後の多様式の時代の曲で、弦楽セクションの不安に満ちた旋律と、不協和音を弾く(叩く)ピアノとが相まって独特の不可思議な世界。
冒頭は、水面に水滴が落ちていくように、シンプルな主題をポロンポロンと爪弾くようなピアノ独奏が弾くという、極めて静寂な世界。
初めは断片的な旋律で主題らしくない感じがしたけれど、よく注意して聴いていると、この主題が変形されて曲のあちこちで顔を出してくる。

この曲のピアノパートは、不協和的で不可思議な雰囲気をかもし出してはいるけれど、歪んだ不快な響きではなく、打楽器的に弾かれるピアノの音は硬質で冷たく美しい。
やがて弦楽セクションが入ってきて、バロック音楽のような協和音の旋律と不協和音とが入り混じり、ピアノはガンガンと鍵盤を叩き、ピアノとオケがまるで対立しているようなムード。

緩徐楽章にあたる部分に入ると、ピアノが妖しい雰囲気のある叙情的な旋律を弾き始める。
弦楽セクションも不安さを煽るような不気味で神経質な響き。
終盤へ向かうにつれ、弦楽とピアノがフォルテで不協和な音を鳴らし続けるが、なぜか協調していくような合奏に変わっている。

最後はピアノが、冒頭のように単音を静かに弾き、弦楽が背後からまた不安げな音をかき鳴らし、全てが消え行くように終える。

現代音楽らしさのある旋律と響きの曲なので、聴いていて感情移入できるような類の曲ではないとはいえ、このシュニトケの不協和な音の世界は、冷たく輝く妖しげな美しさと艶やかさにゾクっとするものがある。
弦楽オーケストラも不安げで不気味な雰囲気で、まさにシュニトケワールド。
特に、クピークのピアノが弾く旋律と響きが美しい。極めてストイックな硬質の冷たい響きに妖艶さが入り混じって、とても魅力的なピアノソロ。


 4手のピアノと室内オーケストラのための協奏曲(1988)
カップリングされている第4作目のピアノ協奏曲「4手のピアノと室内オーケストラのための協奏曲」は、前作とは違って、ピアノがポツポツと静かに美しいが不安に満ちた旋律を奏でる、かなり内省的な感じのする曲。
全体的には暗い色調で、前作よりも前衛的な雰囲気が強い。
ピアノパートは連弾をしているようには思えないほど、音の密度は低い。
楽想も断片的で次々と変わって、静寂なピアノ・ソロと、劇的に不安を掻き立てるようなオーケストラパートが交互に現れてくるので、全体の構成がなかなかつかみにくい。
聴けないことはないとはいえ、もう一度聴きたいという気はしない曲。私の受容力の限界は「ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」あたりのような...。

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