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ベリオ/『ピアノのための4曲の《鍵盤》シリーズ』 ~ ベリオ・ピアノ作品集より
5年前に亡くなったルチアーノ・ベリオの代表作といえば、『セクエンツァ』が有名。全部で14曲あるのに、ピアノ独奏曲は「セクエンツァⅣ」の1曲のみ。
ベリオはこれ以外にもピアノ独奏曲をいくつか残していて、この作品集はそのベリオのピアノ曲がまとめて聴ける。
ピアニストはアンドレア・ルッケジーニ。1983年に若干17歳でディノ・チアーニ国際コンクールで優勝。彼の演奏を聴いたベリオが自作のピアノ協奏曲第2番のプロムスでの演奏やピアノ・ソナタの初演もつとめている。ベリオが信頼していたピアニストなので、このアルバムの演奏も安心して聴ける。

Luciano Berio: Piano MusicLuciano Berio: Piano Music
(2007/05/29)
Luciano Berio、

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最初に収録されているのは「ピアノ・ソナタ」
ベリオらしい音のタペストリーで彩られた作品だが、これを面白く聴けるかどうかは、かなり好みに左右される。
リズム感やさまざまな色彩と響きで構成されているので、どちらかというと感覚的な面白さの方が強い。ドビュッシーなどの印象派の曲を聴いているような気になるが、あまり音色と響き自体を楽しむ曲は好きではない。
好みにはあまり合わないとはいえ、現代音楽のピアノ・ソナタとしては、音色と響きがとても美しく、静かな間合いが心地よい曲。中間部はかなり激しい動きを見せるので、盛り上がりはそれなりにあって、この中間部がかなり面白いと思う。
有名な「セクエンツァ IV」は、つくりの論理性をかなり感じさせるが、思考と感性の両方がこの曲の壁で跳ね返されてしまうので、何度聴いてもとっつきが悪い。「セクエンツァ IV」の後に、「ピアノ・ソナタ」を聴くと、このソナタはなんと叙情的なんだろうとさえ思えてくる。

ベリオのピアノ曲でも、具体的な標題がついている曲はわりと入りやすい。
この曲集だと「芽 Brin」「葉 Leaf」と4曲のクラヴィアシリーズ。特に4曲のクラヴィアシリーズは旋律の美しさやリズムの面白さで4曲それぞれの個性がよく出ている。
「芽」はかなり神秘的な響きのするほとんど動きのない静かな曲。ゆったりと成長していく芽の不思議さ。
「葉」は、芽と違って見た目にもよく動くもののせいか、イレギュラーなリズムでポツポツと飛び跳ねるような旋律。

4曲のクラヴィア(鍵盤)シリーズは、水、地、大気、火の4要素がテーマ。
「水のクラヴィア」は、静謐さのなかに哀感が漂う調性が安定した旋律で、透明感のある響きと相まって、とても美しい曲。これくらい叙情性の強いベリオの曲は珍しい。ブラインドで聴けば、だれもベリオが作曲したとは思えないはず。
「地のクラヴィア」は、とても力強い響きをベースに、その上をポツポツと浮遊するように別の音が流れている。この2つの旋律が交錯しているところに摩訶不思議な面白さがある。
「大気のクラヴィア」になると、いろいろな渦を巻いて「気」が舞っているようなイメージ。
「火のクラヴィア」は、大気ではなくて、火炎がパチパチと躍動しているイメージ。「大気のクラヴィア」に比べて、燃え盛る火のように、かなり激しいタッチと鋭いリズム感で、色彩感も強い。「大気」と「火」の2曲は印象派の曲でも聴いているような気になる。

ベリオの曲で受け入れやすいものとしては、フォークソングを題材にとった歌曲集が有名。録音はそんなに多くはない。わりとポップス的なところがあって、現代音楽と思わずに聴けるところがある。

<収録曲>
1.Piano Sonata
2.芽 Brin
3.葉 Leaf
4.水のクラヴィア Wasserklavier
5.地のクラヴィア Erdenklavier
6.大気のクラヴィア Luftklavier
7.火のクラヴィア Feuerklavier
8.ラウンズ(ピアノ編) Rounds (arr. for piano)
9.セクエンツァ IV Sequenza IV
10. 5つの変奏曲 5 Variazioni
11.タッチ Touch
12.カンツォネッタ Canzonetta
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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