スティーヴン・ハフ ~ メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番 

2009, 03. 12 (Thu) 20:03

HYPERIONのロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズは、ロマン派でもあまり知られていないピアノ協奏曲を発掘しているなかなか優れたシリーズ。
第1巻が1991年にリリースされて以来延々とリリースが続いており、最新録音はVol.47。
かなり技術的難易度が高い曲が多く、このシリーズで弾いているピアニストは、マルク=アンドレ・アムラン、スティーヴン・ハフといった技巧派が多い。

ハフは、このシリーズでサン=サーンス、メンデルスゾーン、シャルヴェンカ、ザウアーのピアノ協奏曲を録音している。
手に入れたのはメンデルスゾーン。すでに、ゼルキンとカツァリスのCDを持っているのに、また買わないでも良さそうな気もしたが、この曲をどう弾いているのか気になってしまった。
ハフのコンサートプログラムをみると、去年はラフマニノフとチャイコフスキーの協奏曲が多かったが、今年はこのメンデルスゾーンの第1番のコンチェルトが頻繁に登場している。この曲は技巧的に華やかでロマンティックなので、コンサート映えするに違いない。

Mendelssohn: Piano Concerti Nos. 1 & 2; Capriccio Brillant; Rondo BrillantMendelssohn: Piano Concerti Nos. 1 & 2; Capriccio Brillant; Rondo Brillant
(1997/08/12)
Stephen Hough,Lawrence Foster,City of Birmingham Symphony Orchestra

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このアルバムは、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番と第2番、それにピアノと管弦楽による協奏的作品が3曲収録されている。この後の3曲は珍しい録音。全曲通しで聴いていると、似たような作りと雰囲気の曲が多いので、やや飽きてくるところがあるのが難点といえば難点。

一番好きなピアノ協奏曲第1番は、ゼルキンのピアノで聴くことが多い。
ゼルキンの演奏は、力強いタッチと速いテンポで、とてもダイナミック。叙情的な美しさも十分あるが、なにより勢いと疾走感があって、とても男性的なメンデルスゾーン。
オケはオーマンディ指揮フィラデルフィア管なので、カラフルでドラマティックで、見た目(聴いた目に)派手な伴奏。
ゼルキンのピアノの音色もとても煌びやかに輝いていて、響きも豊かで、オケとピアノが良く合っている。

ハフの演奏は、優美で繊細な叙情がとても美しい。
ゼルキンのタッチはゴツゴツしたところがあるが、ハフはどんなに速く込み入ったパッセージでも、1音1音の粒立ちが良い上に、軽やかなレガートで流麗なタッチ。
それに打鍵のコントロールが凄く良い。粒がよく揃い、繊細なタッチの弱音でも響きはしっかりしている。全ての音がよく鳴り響いているが、残響が少なめなので各旋律が明瞭に聴き取れて、ここはこういうフレーズだったのかといろいろ発見できるのが面白い。

ゼルキンの演奏のような聴いてすぐわかるような派手さと輝きはないが、ハフは軽快ではあってもしっかりと芯の通った演奏。
ところどころ少し強めのアクセントをつけたり、テヌート気味に弾いたり、抑揚のつけ方も凝っていて、結構芸の細かいところがある。
特に、第2楽章は美しい弱音をきかせて繊細な叙情漂う気品のある演奏。この楽章のハフのピアノは、ゼルキンよりもはるかに詩情豊かで美しい。
第3楽章の冒頭はオケがやや遅いテンポだったが、ハフのピアノがかなりテンポを上げて入ってきて軽快なタッチで疾走感も十分。ゼルキンに負けず劣らず、良い演奏だと思う。

伴奏は、ローレンス・フォスター指揮バーミンガム市交響楽団。
オーマンディ指揮のフィラデルフィア管の伴奏に慣れているせいか、色彩的にも盛り上げ方にもかなり地味な感じがして、もう少しカラフルな音色と軽やかさ、それにメリハリがあって欲しい気はする。それも英国のオケの音色と響きなのかもしれないけど。しかし、慣れてしまえば、重厚ではないが、深く落ち着いた響きが心地良く思えてくる。

第2番のコンチェルトになると、ピアノもオケも一転してかなりドラマティックな弾き方に変わっているのが面白い。
第1番の方が、技巧的に華やかで演奏効果が高い派手さがあるが、第2番の方は音楽的によく練られたような叙情性の強い曲。でも、第1番の方がシンプルでわかりやすい曲想なので、聴いていてもずっと楽しく感じてしまう。

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