ジャン・カルロ・メノッティ/ピアノ協奏曲 

2009, 10. 15 (Thu) 18:05

現代音楽のピアノ協奏曲のなかでも、難解さとは全く無縁でとても洒落たジャン・カルロ・メノッティのコンチェルト。メノッティはイタリア出身のアメリカの作曲家で、このピアノ協奏曲は1945年の作曲。

メノッティはミラノのヴェルディ音楽院に入学した12歳の時に、最初のオペラを作曲したという、ブリテン並みの早熟の作曲家。
米国に渡って、主にオペラの分野で活躍したので、ピアノ曲はほとんど残していない。
そう言われてみると、このメロディアスな旋律と流れるようなフレージングは、オペラを得意とする作曲家の特徴のようにも思える。

ピアノは技巧派のアール・ワイルド。ジョージ・メスター指揮シンフォニー・オブ・ジ・エアーの伴奏。
カップリングはコープランドのピアノ協奏曲。面白さだけではこのメノッティのコンチェルトの方が上。でも、作曲者の個性を感じさせるという点では、やはりコープランドのコンチェルトの方が印象に残る。

コープランド、メノッティ:ピアノ協奏曲コープランド、メノッティ:ピアノ協奏曲
(2004/09/22)
ワイルド、コープランド、メスター、シンフォニー・オブ・ジ・エアー

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これは現代音楽といっても、ショスターヴィチ風の諧謔さと詩的なメロディが流れていて、こんなに聴きやすいコンチェルトは珍しいくらい。
時々、ショスタコーヴィチの交響曲第7番の有名なあの「チチンプイプイ」のような旋律が入っていて、ショスタコーヴィチ的なシニカルというか諧謔さを感じるところもある。
と思えば、緩徐楽章では、ガーシュウィンのピアノコンチェルトのようなロマンティックな旋律。
確固とした一定の形式で書いているわけではなく、いろんな作風がまぜこぜになっているような折衷的で、通俗的なわかりやすさがある。

第1楽章 Allegro
冒頭でオーケストラが弾くメロディは、ショスタコーヴィチの交響曲第7番の「チチンプイプイ」に聴こえる。第1楽章では途中で何回かこのモチーフがエコーする。
続いてピアノが入ってくるが、これが小気味よくてユーモラス。オケのパートはバレエ音楽のような描写的な旋律が多い。
ピアノパートは全体的に響きがとても軽やかで、旋律がとてもメロディアス。まるで明るいショスタコーヴィチを聴いているような気がする。

第2楽章 Lento
ここも冒頭のオケの総奏は、背後で劇の一幕が演じられているような音楽。これが結構長いが、ピアノはやや翳りのある叙情的な旋律。終盤はガーシュウィンのピアノ協奏曲のような華麗な盛り上がり方を一瞬見せるところがある。
ワイルドは技巧派のピアニストとはいえ、鋭いけれども清々しさのあるロマンティックなピアノを弾く人。硬質の鋭いタッチと透明感のある響きがとても綺麗。(彼の録音なら、ラフマニノフのピアノ協奏曲がとても良い。)

第3楽章 Allegro
これも何か有名なモチーフをもじったのではなかと思わせるところがあるが、軽妙で楽しげな曲。プロコフィエフとガーシュインを折衷したような雰囲気がしないでもない。
中間部では、テンポが落ちて、叙情的な旋律に変わる。ここはピアノと伴奏(特に弦楽)とも第2楽章よりもずっと美しい。

まるで、音楽の後ろでバレエか劇が演じられているような描写的なところがあって、バレエ音楽をピアノコンチェルトに書き直したような感じがする。
面白さと聴きやすさはあるけれど、個性的なモチーフや一貫した形式的なものが希薄なのでつかみどころがなくて、しばらくして思い出そうとすると、どんな曲だったっけ?とほとんど記憶に残っていないかった。

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