カーゾン&セル ブラームス/ピアノ協奏曲第1番 

2009, 03. 14 (Sat) 19:11

ブラームスのピアノ協奏曲のCDが未聴のままたまっている。興味のあるピアニストがブラームスのピアノ協奏曲を録音していると、第1番でも、第2番でも、必ず聴くようになってしまったせい。ベートーヴェンのコンチェルトまで録音していたら、そちらも聴かないといけない。

ハフ、フライシャー、カーゾン、それにアラウのライブ録音と立て続けに聴いたので、それぞれの個性が良くわかる。
ハフは力強くてロマンティックで素晴らしく、フライシャーは若々しく明るいブラームスが爽快。アラウはスローテンポで情感豊かな予想通りの演奏だったけれど、スタジオ録音よりもずっと生き生きしている。

クリフォード・カーゾンがジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団の伴奏で弾いたCDは、カルショーが「レコードはまっすぐに」で賞賛していた演奏。廉価盤で聴いたことのない曲がカップリングされていたこともあって、取り寄せたもの。

Brahms: Piano Concerto no 1 / Curzon, SzellBrahms: Piano Concerto no 1 / Curzon, Szell
(1999/08/10)
BrahmsFranck

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カーゾンとセルの組み合わせで聴いたブラームスは、情感豊かに歌うタイプではなく、枝葉をとっぱらって幹だけを残したような精悍で男性的な演奏というのが第一印象。
しかし2回聴くと、時々岩のような荒々しさを感じるところはあるが、さっぱりした叙情が流れていて、職人芸的な渋さと味わいがあり、これはこれでなかなか良いものだと思えてきた。好みと正反対のタイプの演奏は、何回か聴かないとよくわからないところがある。

第1楽章はオケとピアノが拮抗し、強い緊迫感が流れている。
カーゾンの演奏は、タッチがそれほど強くなくてちょっと線が細いところがあるのと、感情のぶつかりあうような情熱的な演奏をするタイプではないので、黒やグレーの色調を連想してしまう。
冒頭のピアノのトリルの音の”汚さ”がかなり目立つ。この部分のトリルはもとから音が綺麗に響くトリルではないので、多かれ少なかれ多少の濁りはでるところにしても、不協和音のような音がギラギラ響くのには閉口。
普通はこういう風には弾かないものなので、わざとこの不協和音的な音を強調する弾き方をしているのだろうけど、ここにはとても気になったところ。
第2楽章は、さすがに穏やかになっているが、ピアノはさっぱりとした叙情感が美しく、品のある演奏。
第3楽章のカーゾンのピアノはタッチが柔らかく、なぜかとても優しい雰囲気の演奏に変わっている。ここはもっと白熱するはずの楽章なんだけど。ピアノに力感があまりないせいか、相変わらず元気なオケの方がやや目立っている。
セルが指揮するオケの演奏は、潤いのなさを感じるところはあるが、とてもシャープで引き締まった演奏。それに勇猛果敢というか迫力十分で、特に金管が大きく咆哮するのがかなり目立つ。
この伴奏はいつも聴いているブラームスとは違って、いろいろと変わったところがあって、他の指揮者の伴奏と聴き比べると面白いと思う。

演奏自体はとても良いもので、カルショーが賞賛していたのがよくわかる。
特に第1楽章は緊迫感に満ちていて、セルとカーゾンの組み合わせでしかこういう雰囲気は出せないのかもしれない。ゼルキンやフライシャーと共演していたセル(オケはクリーブランド管)とはまた違っているところは面白い。
叙情性やロマンティシズムを強調したブラームスとは違うので、好みと正反対な演奏だけれど、2回聴いてこの演奏の良さがよくよくわかってきた。

カップリングされているフランクの「交響的変奏曲」、リトルフの「スケルツォ」はどちらも初めて聴く曲で、なんのイメージも持っていないせいもあって、結構面白く聴けた。これはセルが指揮していない。エードリアン・ボート指揮のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が伴奏。
「交響的変奏曲」は初めは延々と暗い雰囲気で、変奏に入ると華やかな曲に変わっていく。あまりにオケ伴奏が少なく目立たないので、旋律だけ聴いているとピアノ独奏曲のように思えてくる。
「スケルツォ」はとても軽快で楽しい曲。カーゾンのピアノの線の細さがかえってよく似合っている。
カーゾンのピアノの繊細さと品の良さは、ブラームスよりもフランクやリトルフを聴いた方が良くわかる。

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