2009_04
02
(Thu)20:13

フライシャーのベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集 

レオン・フライシャーは、1959~61年にかけて、セル指揮クリーブランド管弦楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音している。
この全集は今は廃盤らしく、同じ顔ぶれで録音したベートーヴェン交響曲・ピアノ協奏曲全集のBOXセットでしか、聴けなくなっている。

ピアノ協奏曲第3番、第4番、第5番は、輸入盤の分配盤で簡単に入手できる。
問題は第1番と第2番で、USEDしか出回っていないし、CD1枚が数千円くらいの結構な値段。
第2番はなくても良いけれど、第1番の方は必須で、分売盤を集めるくらいなら、このベートーヴェンの交響曲全集とのセットを買った方がずっとコストパフォーマンスが良い。

ベートーヴェンの交響曲にはそれほどこだわりがなかったので、分売盤でクライバー、アバド、バーンスタイン、ジュリーニ、ケーゲル、フルトヴェングラー、ジンマン、クレンペラーと、いつの間にかばらばらと数十枚は持ってはいる。
交響曲全集はチェリビダッケ&ミュンヘンフィルのBOXしか持っていない。これはテンポ設定に独特なものがあったりして、かなり個性が強い。
他の定評のある全集を探していたら、ちょうどフライシャーのピアノ協奏曲も聴けるし、セルとクリーブランド管なら安心なので、このBOXセットをamazonで購入。(HMV、TOWERではなぜか扱っていない。)
セルのベートーヴェンも好みが分かれるタイプだとは思うけれど、速いテンポと抑制の聴いた感情表現で引き締まったスタイルは、感情移入型で情熱的なバーンスタインよりはずっと相性が良い。

Beethoven: The 9 Symphonies; The 5 Piano Concertos [Box Set]Beethoven: The 9 Symphonies; The 5 Piano Concertos [Box Set]
(2007/06/12)
George Szell ,Eugene Ormandy,Cleveland Orchestra, Philadelphia Orchestra,Leon Fleisher

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このBOXセットの注意点は
1.ブックレットは見開きのみの薄っぺらいもので、フランス語版のみ。
2.第9番のCDの背面のタイトルが”NO.4&7”と間違って書かれている。(なぜか訂正せずにミスプリントのまま販売している。)
3.三重協奏曲は、セル指揮クリーブランド管でなく、オーマンディ指揮フィラデルフィア管。ピアニストもフライシャーではなく、イストミン。(ヴァイオリンはスターン、チェロはローズ)。
4.BOXセットといっても、CDを紙ケースに格納した薄手のBOXセットではない。CDは全て1枚づつ普通のCDプラケースに入っていて、外箱(これは薄っぺらくて頼りない)がついている。これは結構保管スペースをくう。(分売盤を買っても、この点は同じ。)
5.このレッドとアイボリーのツートンカラーのジャケットデザインは、実物をみるととてもセンスが良いとは思えない感じ。分売盤の方がはるかにマシ。
6.新しい分売盤の方がリマスタリングの音が良いらしい。ただし、実際に比較して聴いていないので、どの程度本当に良いのかは不明。

早速ピアノ協奏曲第4番を聴いたけれど、低音がやや弱めなので、BASSのボリュームは少し大きめに。響きの伸びやかさが足らない気がするのでとても良い音だとは言わないが、60年前後の録音にしては全然悪くはない。
フライシャーの柔らかなタッチと響きが彼らしい。明るく若々しいけれど、優しい雰囲気があって、なかなか良い演奏。浮き沈みが多く翳りのある感情表現とかなりの力感が必要なブラームスのコンチェルトよりも、ベートーヴェンの方がフライシャー(とセル)には向いている気がする。

交響曲は、ほとんどまともに聴いたことがない第8番を聴いてみると、速いテンポで明るくて軽快。(後でチェリビダッケの演奏も聴いてみないと、セルの演奏の特徴が良くわからないけれど。)
ベートーヴェンは、このとても明るく楽しげな第8番(緩徐楽章がなく、全楽章がなぜか長調でとても明るい)が、自作交響曲の中で最も好きだったというのは意外な気がするけれど、この曲は”運命の一撃”によって<不滅の恋人>との破局が突然訪れる直前、1812年夏頃に作曲されている。
その頃のベートーヴェンの幸福感がこの第8番に溢れていて、他の交響曲のように強い個性はないかもしれないけれど、聴けば聴くほど良い曲です。

タグ:ベートーヴェン フライシャー セル

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