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ヘンツェ/ピアノ協奏曲第1番
ドイツの現代作曲家のヘンツェならオペラが有名だけれど、交響曲や協奏曲も多く書いているし、室内楽曲やピアノ曲も数はそう多くはないけれど一応書いてはいる。
オペラは聴かないのでその作風はわからないけれど、それ以外の作品はわりと似通った雰囲気があって、不協和音的なゆがみが少なく、旋律はメロディアスではないけれど、無調音楽的な難解さは薄くて、わりととっつきは良い。
ピアノ作品なら、ピアノ協奏曲と交響曲のカップリング盤やピアノ作品集の録音が出ている。
まずはピアノ協奏曲第1番から。いままでの経験から言えば、現代音楽の場合は、モノトーンのピアノ・ソロよりも、色彩感のある協奏曲から聴いた方が、わりと作風がわかりやすいことが多いので。

ピアノは、クリストファー・テイントン、ペーター・ルジツカ指揮北ドイツ放送交響楽団。レーベルはWergo。
ピアノ協奏曲第1番は1950年の作品だが、なぜかこれが世界初録音。

Hans Werner Henze: Scorriabanda sinfonica sopra la tomba di una Maratona; Antifone; 1. KonzertHans Werner Henze: Scorriabanda sinfonica sopra la tomba di una Maratona; Antifone; 1. Konzert
(2003/10/14)
Hans Werner Henze、

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 ピアノ協奏曲第1番(1950年)

楽章ごとのタイトルが変わった名称になっているので、調べてみるとバレエにちなんでいるらしい。
”Pas de deux”(パ・ド・ドゥ )は「2人のステップ」という意味で、バレエ作品において男女2人の踊り手によって展開される踊りのことを指すという。
4曲構成のパ・ド・ドゥを特にグラン・パ・ド・ドゥという。その進行順序は、2人が入場するアントレ(Entrée)、男女2人で踊るアダージュ(Adage)、男性が1人で踊るヴァリアシオン(Variation)、男女2人で踊るコーダ(Coda)の順に進む。

I. Entree
冒頭からピアノとオケが賑やか。やや悲愴感のある旋律だけれど、ピアノはまるでおしゃべりしているかのように雄弁。一体何を話しているんだろうかと思って聴いていると、結構面白い。
不協和的な音だが、不快感を感じさせるほどではなく、ピアノの旋律は叙情的でいろんな表情がある。オケは賑やかで、あちこちでガガ~ンと急に楽器が鳴り響く。ピアノのおしゃべりといい勝負だと思う。規則的なリズム感はないが、変則的というか変わったリズム感がある。
この曲では、この第1楽章が一番面白い。
現代音楽のピアノ協奏曲としては、わかりやすい方だとは思うけれど、この騒々しさと物々しさには、好みが分かれるのは確か。音のまばらな音楽の方が苦手なので、こういうのは抵抗なく聴ける。

II. Pas de deux
ここは緩徐楽章なので、打って変わったように静か。ピアノがソロで弾く旋律は相変わらず何かを語っているような趣きがあるが、冷たい叙情をおびていて美しい。
と思って聴いていたら、突如ガガーンとオケが鳴り響き、一体何事が起こったのかと思ってしまう。
これが何度かあって、その後にピアノに動きが増し、またオケがガガーンとなるというパターン。
この楽章は、この静と動が交互に現れてくる構成になっている。静かに瞑想していたら、鉄槌で覚醒させられたような気がしてくる。

III. Coda
コーダはバレエでは、「テンポの早い激しい音楽に乗り、2人が高度なテクニックを披露する」踊り。
冒頭のピアノは細かいパッセージで疾走するように動き回り、オケもピアノと丁々発止の掛け合いのように躍動感を出している。どちらかというと、第1楽章よりはメカニカルな感じの旋律になっている。
この楽章はとてもあっさりと終わって、これで終わり?と思ってしまった。

カップリングの《侵略交響曲~マラトンの墓の上で》(2001年作曲)、《アンティフォナ~ 4fl, 4sax, 2tp, 2trbn, timp. のための~》(1960年作曲)は、いずれも躍動感と色彩感豊かで、賑やかな音楽。
《侵略交響曲》は、ピアノ協奏曲よりも、ずっと和声が調和的になっていて、曲想もわかりやすい。
これは2001年の作品だから、1950年に作曲したピアノ協奏曲が前衛性が濃かったのとは違って、作風がその後変遷していったためらしい。不協和音がほとんどないので、かなり聴きやすいが、アンティフォナの方が昔の作品なのでやや前衛的な硬さがある。でも、やはりどちらもヘンツェらしい雰囲気がいっぱい。

tag : ヘンツェ

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(非公開コメント受付中)

質問いたします。
ヘンツェは、すっかりゴリゴリねゲソと思い込んで昔から食わず嫌いしてたんです。
実は佐村河内守の背景に余り予備知識を持たずに4・4会場に足を運んで交響曲第一番の響きにすっかり魅了されてしまったんです。それで今やたらと佐村河内守の交響曲第一番がCDで聴きたいけど・・・当然無し。
そこで雰囲気だけでも佐村河内守の交響曲第一番の響きを味わいたいんですが、ヘンツェの交響曲(何番まであるかも知らない)で佐村河内守の交響曲第一番に一番響き(臭い?)の近いものがあったら何番のCDを買えばいいか是非教えては頂けませんか。
何卒よろしくお願いします。
ヘンツェの交響曲はあまり詳しくないのですが
麻美様、こんにちは。

私はヘンツェはピアノ関係の曲が好きなので、管弦楽曲は数曲をサラッと聴いただけですから、詳しくはありません。
私が良く聴くのは最新作の「侵略交響曲」や「Le fils de l'air」の<Erlkonig>ですが、佐村河内氏の曲とは、単にものものしい雰囲気が似ている気がするだけで、楽器編成・構成も異なりますし、メッセージ性は全く違う別物の曲です。
ヘンツェの曲は、佐村河内氏の曲のイメージを追って聴く曲ではないように個人的には思います。

お役に立てなくてすみませんが、佐村河内氏の交響曲がお好きなら、氏の作品そのものを聴かれた方が良いと思います。
Youtubeに 『吹奏楽のための小品』のライブ映像、ニコニコ動画に劇伴音楽である「影武者:交響曲組曲ライジング・サン」のサントラが登録されています。
ライジング・サンの方はCDも出ています。(今入手可能かどうかはわかりませんが)
ありがとうございました。
大変勉強になりました。
ありがとうございます。
そうですよね、佐村河内守の交響曲第一番のCD化を祈るばかりです。
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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