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バックハウスのライブ録音集
ヴィルヘルム・バックハウスは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を2回録音している。
モノラル録音で旧盤(1950-54年)と、ステレオ録音の新盤(1959-69年。第29番のみ1952年モノラル録音)があるが、今簡単に入手できるのは新盤の方。
バックハウスのベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いている人も評価している人も、この新しいステレオ録音の方をもとにしていることが多いのでは。

新盤の方は、”枯淡”とか”虚飾を廃した”とかいう形容詞が良くついているけれど、6大ソナタと最後の3つのソナタを聴いてももう一つ魅かれるものがなかったので、バックハウスのスタジオ録音はほとんど集めたのにそのまま眠っていた。その頃はアラウやポリーニでベートーヴェンを聴くことが多かったせいもあるし。
久しぶりにディアベリ変奏曲とピアノ協奏曲第4番のスタジオ録音と演奏映像を見聴きしてこれがかなり良かったので、評判が良かったライブ録音をいろいろ集めて聴いてみたところ、本当にライブ録音は素晴らしいものが多い。


『カーネギー・ホール・リサイタル』(1954年3月30日)[DECCA]
オール・ベートーヴェン・プログラムで、ピアノ・ソナタの第8番「悲愴」、第17番「テンペスト」、第25番「かっこう」、第26番「告別」、第32番に加え、アンコール(シューベルト、ブラームス、シューマン、モーツァルト)を収録。

「matsumo's blog(写真と映画と本と音楽等のページ)」のmatsumoさんが、このカーネギー・ライブのLPから作成したMP3ファイルをブログ上で公開されています。
次の4つのベートーヴェンのピアノ・ソナタを全楽章聴くことができますので、リンク先のホームページに記載されているURLからダウンロードしてお聴きください。
パソコン上で音声ファイルを再生してみると、DECCAのCD盤よりも残響が少なめで音像がやや近く、音自体に自然なまろやかさがあり、モノラルのライブ録音なのに綺麗で聴きやすい音です。
すでに廃盤なので滅多に聴くことができない演奏で、スタジオ録音とは違うバックハウスが聴けるという、とっても貴重な音源です。

  第8番「悲愴」:http://matsumo.seesaa.net/article/115082408.html
  第17番「テンペスト」:http://matsumo.seesaa.net/article/115801620.html
  第26番「告別」:http://matsumo.seesaa.net/article/116543348.html
  第32番:http://matsumo.seesaa.net/article/117526060.html


カーネギー・ホール・リサイタルカーネギー・ホール・リサイタル
(1997/09/10)
バックハウス(ウィルヘルム)

試聴する



『カーネギー・ホール・ライブ』(1956年4月11日)[Profil]
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」、第29番「ハンマークラヴィーア」、アンコール(シューベルト、ショパン、シューマン、モーツァルト)
音はそれほど良くはないけれど、聴けないほどではない。
「ハンマークラヴィーア」の録音は、モノラルのスタジオ録音以外に残っていなかったはずなので、ライブ音源という点も加えて、とても貴重な録音。

Wilhelm Backhaus Live at Carnegie HallWilhelm Backhaus Live at Carnegie Hall
(2007/10/30)
Ludwig van Beethoven、

試聴する(NAXOSサイト)


ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、ショパン「練習曲集より」[medici MASTERS]
ショルティ&ケルン放送交響楽団との「皇帝」、「ワルトシュタイン」、ショパンのエチュードのカップリング。いずれもライブ録音で録音時期はそれぞれ違う。「ワルトシュタイン」は1959年9月24日、ボンのベートーヴェンハレでのライブ録音(モノラル)。
これはまだ手に入れていないけれど、ステレオ録音の「ワルトシュタイン」も1959年10月の録音なので、聴き比べて見ると面白いと思う。

Wilhelm Backhaus Live at Carnegie Hallピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、ショパン「練習曲集より」
(2007/10/30)
Backhaus, Solti, Cologne West German Radio Symphony Orchestra

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『GRATE PIANISTS』(1960年5月18日,1953年6月11日)[Documents]
バックハウスのライブ録音は、ハイドンのピアノ・ソナタ、アンダンテと変奏曲、幻想曲、ベートーヴェン「テンペスト」、ショパンのエチュード・ノクターン・ワルツなどを収録した珍しいCD 『GRATE PIANISTS』(Documents)も出ている。
これは他にグルダ、ゼルキン、チェルカスキー、シフラ、ギレリスなど10人のピアニストのライブ録音を収録した10枚組みのBOXセット。ゼルキンのライブ録音は別盤でも出ていて素晴らしく良い出来なので、ゼルキンのライブを聴くだけでも充分元はとれる。
このBOXセットは1800円くらいで、音質はそれほど悪くないらしいし、コストパフォーマンスがすこぶる良いセットだと思う。(このCDは未聴)

GRATE PIANISTSGRATE PIANISTS
(2001/04/25)
Gulda,Backhausm,Serkin,Anda,Cherkassky,Berman,Gilels,
Maltuzynski,Cziffra,Canino他




『ザルツブルグ・リサイタル』(1966年7月30日)[ORFEO]
-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番、第14番「月光」、第17番「テンペスト」、第26番「告別」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番 他 [Import]ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番 他 [Import]
(1992年11月05日)
Wilhelm Backhaus

試聴する(フランスamazon)


『ザルツブルグ・リサイタル』(1968年8月10日)[ORFEO]
-ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第23番<熱情>、第32番」、バッハ「前奏曲とフーガ」、モーツァルト「ピアノ・ソナタ第5番/ピアノ・ソナタ第11番トルコ行進曲付」
Wilhelm Backhaus Plays Beethoven, Mozart and BachWilhelm Backhaus Plays Beethoven, Mozart and Bach
(2000/10/17)
Wilhelm Backhaus

試聴する(米国amazon)

上の2つCDはザルツブルグ音楽祭のライブ録音。
すでに82歳と84歳という超高齢のときの録音なので、技術的には崩れているところも多々あるけれども、それ以上に無駄な力が一切入っていないような音の柔らかさと、音楽が自然に自由に流れていくような演奏は、今までの録音では聴くことのできない素晴らしさ。
これは枯れた音楽ではなくて、まるで仙人とでもいうような飄々とした自由闊達さがあって、とても生き生きとしたエナジーを感じてしまう。


『バックハウス~最後の演奏会』(1969年6月26日、6月28日)[DECCA]
-26日:ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番<ワルトシュタイン>」、シューベルト「楽興の時 D.780」、モーツァルト「ピアノ・ソナタ第11番<トルコ行進曲付き>」、シューベルト「即興曲 D.935-2」
-28日:ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第18番」、シューマン「幻想小曲集より~第1曲:夕べに、第3曲:何故に?」、シューベルト「即興曲 D.935-2」

最後の演奏会最後の演奏会
(2004/03/24)
バックハウス(ヴィルヘルム)

試聴する

これは「最後の演奏会」として知られている録音で、オーストリアのケルンテンで初めて行われて音楽祭でのリサイタルを収録したもの。すでに廃盤。
26日のリサイタルは無事に終わったが、28日の第18番ソナタの演奏中に気分を悪くして途中で演奏を中断し、医師は中止するように勧告したけれど、しばらく休憩した後にプログラムを変更して(一説では第32番のソナタが組まれていたらしい)、シューマンを2曲演奏。
アンコールが鳴り止まなかった、医師はこれ以上演奏するのを止めたけれど、それでもバックハウスはステージに戻ってシューベルトの「即興曲」を弾いたという。
演奏終了後に倒れて病院へ運び込まれたが、1週間後にこの世を去ってしまうので、この演奏はバックハウスの「白鳥の歌」。最後の最後までステージでピアノを弾いていたところが、「余暇にはピアノを弾いています。」と言っていたバックハウスらしい。

                          
[追記 2014.10.4]
その後発売されたライブ録音集を追加。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 (第15,18, 21, 30番) (1969)[audite]
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 (Beethoven : Piano Sonatas Nos. 15, 18, 21 & 30 / Wilhelm Backhaus (1969 LIVE)) (2CD)ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 (第15,18, 21, 30番) (1969 LIVE)
(2010/07/08)
ヴィルヘルム・バックハウス

試聴ファイル
音質が大変よく、残響も豊か。それに、ベーゼンドルファーではなくベヒシュタインを弾いているので、かなり輝きのある音色。
亡くなる3ヶ月前のリサイタルなので、齢85歳。テンポも遅くなることなく、音も演奏も瑞々しく、生き生きした躍動感が若々しいくらい。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』、第6番、シューベルト:即興曲(1959)[audite]
Schubert: Impromptu in B flat - Beethoven: Piano Sonatas Nos. 6 & 29 Schubert: Impromptu in B flat - Beethoven: Piano Sonatas Nos. 6 & 29
(2012/02/28)
Wilhelm Backhaus

試聴ファイル

これは未聴。1959年のライブ録音(モノラル)にしては、とても音質が良い。
珍しい「ハンマークラヴィーア」のライブ録音を収録。(他にはprofil盤があるのみ)


                              

スタジオ録音の全集だと録音年にかなり幅があるせいか、曲によって堅牢さがやや崩れているような印象があったりする。1950年代のライブは技術的にもしっかりしているし、70歳を超えるというのに速いテンポで生き生きとした躍動感のある演奏が聴ける。
スタジオ録音にはそれはそれで良さがあるのだろうけれど、ライブ録音を立て続けに聴いているとライブの方が格段に素晴らしいと思えてくる。1950年代前半に録音したモノラル録音は分売盤とかで少しずつ入手しているが、全集はどんな風だったのだろうと聴きたい気がしてくる。これも廃盤になっているのが残念。
最晩年のORFEO盤のライブ録音は入手しやすいこともあってわりと聴かれているようだけれど、50年代のカーネギー・ホールのライブ録音は、最晩年の頃のバックハウスとは違った力強さと集中力があるl。
音質は良くないけれど、70歳前後とはいえバックハウスのベートーヴェンは揺るぎなく、これがライブ録音で聴けるというのは嬉しい。
晩年の1960年代のライブ録音は、技術的な衰えを感じさせるところはあるとはいえ、テンポもそれほど遅くならずに相変わらず速くて緩みがなく、推進力と躍動感のある演奏は生気に溢れていて、煌くような輝きと若々しさを感じさせる。
ステレオ録音のベートーヴェンには魅かれなかったけれど、ライブ録音を聴くとまるで別人が弾いているみたいに素晴らしく思えてくる。

tag : バックハウス ベートーヴェン

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『バックハウス~最後の演奏会』
『バックハウス~最後の演奏会』のCD、持っています。

バックハウス、最後の演奏と言うことを知っているせいか、シューベルト「即興曲 D.935-2」は心に染み入るような演奏だと思います。

以前に、レコード会社「カメラータ」の社長の話を読んだことがありますが、レコード・プロデューサーと言うのは、自分の思った通りに演奏させて録音するのが仕事のようで(会わない場合は、演奏家を説得して、そのような演奏にするそうです)、このため、録音されているものが、その演奏家の解釈とは限らないようです。勿論、編集も行いますので、曲の流れを損なうこともあるようですし。と言うことで、実況録音の方が、その演奏家の解釈に近いのではと思います。
ライブ録音の良さ
matsumo様、こんにちは。コメントありがとうございます。

最近、なぜかバックハウスのライブ録音が無性に聴きたくなって探し回っていますが、「最後の演奏会」はこの前オークションで見つけて手に入れました。
シューベルトの曲は最後に弾くのに相応しいというか、そういう雰囲気をもっていますね。晩年になると、シューベルトの曲を録音しようとするピアニストも少なくないような気もします。

プロデューサーの思い通りに行くかどうかは、演奏家にもよるのでしょう。どういうコンセプトで、演奏家の才能を最大に生かせるアルバムを作るかというところが、プロデューサーの腕の見せ所だと思います。
ポリーニはデビュー当時はEMIと契約していましたが、録音時にプロデューサーと意見が合わなかったために録音は取りやめ。その後、グラモフォンと契約して、あの有名なストラヴィンスキーとプロコフィエフのCDをリリースして、華々しく登場しましたが、EMIは、さぞ悔しがったんじゃないだろうかと想像してしまいます。

最近のスタジオ録音は、継ぎ接ぎ細工だったり、音を変換・加工したりするものが少なくないようで(詳しいことはよくわかりませんが)、キズは多いけれど一回性のライブ録音の方が良い場合もありますね。
ただしライブは出来不出来のばらつきが結構あるので、記録として残すには向いていないことも多いと思います。良いライブ録音に出会えたのなら、それは本当に幸運なことですね。

カメラータはマニアックと言いますか、それほど売れそうにもないCDをいろいろ製作していたと思うので(デビュー時の吉松隆作品とか..)、プロデューサーがしっかりしていないと大変だったでしょうね。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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