ショスタコーヴィチ自作自演 (2)ピアノ協奏曲第2番 (1958年盤) 

2009, 05. 29 (Fri) 09:00

ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番(1957年)は、自身で演奏するために作曲された第1番と違い、息子のマクシムのために書かれ、彼に献呈された曲。
このマクシムは指揮者でショスタコーヴィチの曲の録音も残しているし、「2台のピアノのための協奏曲」では、ショスタコーヴィチとともにピアノを弾いた録音がある。
マクシムの息子であるドミートリイ2世はピアニストで、こちらもショスタコーヴィチの作品の録音がある。「ジュニア」という名前のところを見落として、ショスタコービチ自身がピアノを弾いているのかと誤解してしまった。

この第2番の録音で今入手できるのは、アレクサンドル・ガウク指揮モスクワ放送交響楽団盤(1958年録音)とクリュイタンス指揮フランス国立放送管盤(1958年録音)。
ガウク盤は、第1番のサモスード盤よりも録音年が新しいせいか、多少音が良い。
このCDはガウク盤とサモスード盤に加えて、「2台のピアノのためのコンチェルティーノ」や「24の前奏曲とフーガ」を収録したもの。
Dmitri Shostakovich: Piano Concerto 1Dmitri Shostakovich: Piano Concerto 1&2
(2008/01/10)
Dmitri Shostakovich

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私が持っているのは、『MEISTER KONZERTE』というBOXセットの中のCD。音源は同じ。

第1番と違って、穏やかな雰囲気が強くなっていて、叙情的な旋律は透明感があってとても美しく、「24の前奏曲とフーガ」(1952年)のような平明さを感じさせる。
第2番は1957年の作品で、作曲時期がそれほど離れていないので、この時期はこういう作風だったのかもしれない。

第1楽章はちょっとユーモアを感じさせる明るい主題。Allegroなのでテンポは速めだが、運動会をしているような躍動感があって、とても楽しい雰囲気。やがて続いて短調に転調して主題が再び現れ、こんどは一生懸命競走でもしているような急迫感があり、とにかくピアノとオケとも目まぐるしく動いている。
ショスタコーヴィチのピアノは第1番のような荒っぽい感じはなく、テンポが徐々に上がっていっても、クリアな打鍵で、わりと落ち着きのある演奏。といっても第1番があまりに凄かったせいで、この第2番でも疾走感に溢れた軽快なピアノを弾いている。

第2楽章はAndateからアタッカでAllegroへ。
冒頭はゆっくりと短調の叙情的な主題を弦楽が弾き、続くショスタコーヴィチのピアノが弾くのは、まるで映画音楽のワンシーンのように、馴染みやすく優しく美しい旋律。
和声も調和的なものが主体でとても綺麗な響き。時々、ショスタコーヴィチ独特の不協和的で靄のかかったような響きが混じっている。
この第2楽章は本当に美しくて、ショスタコーヴィチのピアノ独奏曲でも時々こういう叙情的な美しさを見せることがある。

Allegroへ入ると、またテンポが上がって、ダンスか運動会のようにショスタコーヴィチらしい軽快な主題に変わる。ピアノはスタッカート気味のタッチでとても軽やか。この主題がいろいろ変形しては繰り返し現れてくる。
最後はいつものショスタコーヴィチらしく加速しているが、この楽章も第1番を演奏したときのような型破り的な雰囲気はない。これがピアニストのごく普通の弾き方なんだと思う。

                                

カップリングされているのは、「2台のピアノのためのコンチェルティーノ Op.95」(1953年。録音は1956年)
この曲が録音されているのはあまり見かけない上に、ショスタコーヴィチ父子(ドミートリィとマキシム)によるピアノ演奏なら、かなり稀少な録音だと思う。
やや悲愴感を感じさせる短調の主題で静かに始まり、主題提示部が終わると、いつもの通り疾走し始めて初めは真面目な雰囲気の主題に変わるが、次にはまるでコメディ映画のBGMのような軽快で楽しげな旋律に転換する。
8分あまりの短い曲だが、この後も次から次へと主題が交代していく。楽譜を見ていないと形式が一体どうなっているかつかみどころがない。
かなり速いテンポでパッセージも細かいので、よほど息が合っていないと、ちぐはぐなピアノになりそう。そこはピアニストとして優れていた父子で弾いているせいか、乱れもなくよく揃っている。

ピアニストが親子で弾いている演奏を聴いたのは、ゼルキン父子の連弾によるシューベルト「行進曲」(Youtube映像はこちら)、ギレリス父娘のモーツァルト「2台のピアノのためのコンチェルト」(スタジオ録音)。
ゼルキンの演奏映像を見ていると、親子で弾いているせいか、とてもリラックスしている雰囲気で楽しそう。2人とも旋律を口ずさみながら弾いているところを見ると、やっぱり親子だな~と思ってしまう。パパ・ゼルキンがピーターを時々見ながら弾いているのが、とても微笑ましい。

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