*All archives*



『100 Best 20th Century Classics』 (邦題:ベスト現代音楽100)
EMIから今年2月にリリースされた『ベスト現代音楽100』が、iTunesでクラシック・トップアルバム・チャートで1位になったらしい(今はチャートから脱落しているが)。
売れないはずの「現代音楽」ものがチャート1位なったり、ヒットしているのは、かなり不思議。

「現代音楽」の定義もいろいろあって、”難解”というイメージがあるのは、無調音楽で12音技法とか、トーンクラスター、セリーの技法などの手法を使った音楽が真っ先に思い浮かぶからに違いない。
このBOXセットの中身をみると、いわゆる「現代音楽」というよりは、「現代の音楽」「20世紀の音楽」といった方が良いラインナップ。
邦題名が『現代音楽』となっていたので誤解してしまったけれど、そもそも英文タイトルは「100 Best 20th Century Classics」。このBOXセットは、広義の意味の「現代音楽」で、(主に)20世紀(以降)に書かれた音楽を収録したもの。

小難しい「現代音楽」の範囲には普通入らないであろうドビュッシー、ラフマニノフ、シベリウス、ラヴェル、プーランク、サティなどの曲も収録されているし、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキー、ヴィラ=ロボス、etc.とか、20世紀に生きた作曲家の曲も入っている。
完全調性音楽のジョン・ラターなどは「現代音楽」とは言いがたいものがあるが、ラターの場合は”現代音楽とは思えないほど美しい、聴きやすい”とかいうフレーズがひっつくことが多いので、「現代音楽」の定義と分類は結構ややこしい。

このアルバムには国内盤と海外盤があるが、収録内容や曲順が異なっている。ituneは輸入盤の音源を使っている。海外盤でもCD現物は2000円未満と安い。
iTunesでは『100 Best 20th Century Classics』として配信されていて、6枚組CDが1500円でダウンロードできる。
収録曲もかなりバラエティ豊富で、調性音楽も結構多いので、20世紀のクラシック音楽の入門編としてはとても手頃だと思う。

100 Best 20th Century Classics100 Best 20th Century Classics
(2009/02/25)
オムニバス(クラシック)

商品詳細を見る
ituneのダウンロードサイトはこちらから。

国内盤の収録曲リスト
海外盤の収録曲リスト

収録曲リストを見ると、調性音楽から映画音楽、12音技法、ミニマル、多様式まで、かなり広い範囲の作風の異なる曲を収録している。狭義の「現代音楽」については、代表的作曲家の古典的な有名曲が中心でかなり物足りなさを感じる。欧州とは違う現代音楽の世界を形成しているアメリカの作曲家だけで、1枚分を費やしているのが面白い。
個人的には様式別に分かれていた方が特徴がわかりやすいと思うけれど、国内盤はブックレットの解説にそういうことは載っているらしい。
聴きやすさ優先のカテゴリー分けらしく、一番初めに聴くであろうCD1は、調性音楽主体でとっつきやすい曲ばかり。「THE LAST OF THE ROMANTICS」(ロマン主義者たちの最期・終焉)というテーマに相応しく、ロマンティシズムの黄昏のように美しい。
このBOXセットを購入して無調音楽を聴いてNGだったとしても、他の調性の安定したわかりやすい曲で一応満足できるような構成。1500円でこれだけの曲がダウンロードできるなら、そんなに損をすることもないだろうと思う。

CDごとのテーマタイトルも海外盤と国内盤で異なる。邦題は意訳気味で、CD1のタイトルなんかは原題と意味が正反対じゃないかと思う。CD6も「祈り」の音楽は多いけれど、「祈り」とは関係ない曲もある。

CD1:THE LAST OF THE ROMANTICS/(邦題)現代音楽の曙光
CD2:INOVATORS/(邦題)モダニストたちの挑戦
CD3:BRAVE NEW WORLD/(邦題)メシアンからペルトまで
CD4:AMERICA/(邦題)アメリカの潮流
CD5:INSTRUMENTAL & CHAMBER/(邦題)独奏曲、室内楽曲
CD6:CHORAL & VOCAL/(邦題)20世紀の祈りの響き

いわゆる「現代音楽」的なものは、CD3「メシアンからペルトまで」(あまり意味のないタイトル)、CD5「独奏曲、室内楽曲」に多い。なぜか、ショスタコーヴィチの「映画「馬あぶ」より ロマンス」がCD5に入っている。
CD2「モダニストたちの挑戦」には、狭義の「現代音楽」という分野が形成される初期の頃の作品が多い。シェーンベルク、ウェーベルン、ストラヴィンスキーが入っているのは良くわかるが、ラヴェルが入っているのは「INOVATORS」だから。
CD4「アメリカの潮流」には、代表的なアメリカ人作曲家が並べられていて、映画音楽で有名なJ.ウィリアムズやジャズ風のガーシュウィンも。アメリカでは、シェーンベルクが亡命した頃は、もっぱら後期ロマン主義時代の作品(浄夜など)が演奏されていたというから、欧州とは現代音楽に対する関心と嗜好の方向が違っていたようだ。
CD6「20世紀の祈りの響き」は、かなり混沌としたラインナップ。ペルト、タヴナー、ベリオ、ブーレーズが入っているかと思うと、ロイド・ウェバー、ポール・マッカトニー、R.シュトラウス、ヴィラ=ロボスの曲もある。

「20世紀の音楽」の入門編としては、バラエティがあって、エッセンスを抽出したかのようにコンパクトにまとめている。
CD6枚分が1500円で手に入るんだったらダウンロードしてみようかという気にもなったが、一部だけ抜粋している曲も多いので、これならナクソスのオンラインで聴けばよいと思い直した。

                                

「現代音楽」をしっかり聴ききたければ、「ナクソス・ミュージック・ライブラリ(NML)」が最も良いツールになる。ダウンロードはできないが、全曲が月1890円の会費で聴き放題。
メジャーレーベルは参加していないが、NAXOS以外にもBIS、CHANDOSなど、多数のレーベルが参加していて、質的に安心して聴けるものがあるし、現代音楽に強いマイナーレーベルも入っている。現代音楽以外の曲も豊富にある。
NAXOS専属のアーティストには、シチェルバコフ、グレムザー、ヴィトなど優れた演奏家もいるので、玉石混交だった初期の頃はともかく、今のNAXOSの録音は質的にかなり安定しているようだ。
メジャーレーベルのアーティストでも、歴史的録音やモノラル期の録音が登録されていたり、ピーター・レーゼル、ハワード・シェリー、オピッツ、アムラン、ヤルヴィ、キタエンコ、アシュケナージ、etc.など、リリース元のレーベルによっては録音が登録されている場合もある。
ブログを見ていると、音楽関係の仕事をしている人が結構加入しているようで、全く便利なサイトである。

入会時は当初1ヶ月間は無料になる。ただし、1ヶ月で脱会したら1ヶ月分の会費は払わないといけない。試しに2ヶ月間だけ入会して、ひたすら聴いてみてから判断すれば良いと思う。
どうしても音源を所有したいとか、メジャーなレーベル・アーティストにこだわるなら、NMLは向いていない。
「現代音楽」は一部の代表的な曲を除いて、メジャーレーベル・アーティストの録音は少ない。ある程度自分で判断して何を聴くべきか取捨選択できる人には、NMLはとても便利だと思う。

NMLを活用するなら、「鎌倉スイス日記」さんのブログが参考になります。「ナクソスのHPで聞いた録音」というカテゴリがあって、現代音楽を含めていろいろな音源が紹介されています。ブログでは、ナクソスに限らず、とても幅広い時代・形式・作風の作曲家と演奏家の録音が紹介されていて、新しい作曲家や作品を開拓する手がかりになります。

"Tomo's Homepage"の< 「20世紀の音楽解説」~現代音楽入門>は、「20世紀の音楽」の歴史や代表的な作家・作品に関する解説が載っていて、コンパクトでわかりやすい。このくらいの知識があれば、どういう作風の曲から聴いていけば良いのか判断しやすい。
「現代音楽」を聴くなら、新古典主義やさまざまな手法を折衷した多様式の音楽が、表現方法の豊富さと知的な刺激があって面白く、比較的聴きやすいものも多い(と思う)。そのあたりから入っていくと、難解な「現代音楽」に対する拒否反応を起こさずに済むかもしれない。
Secret
(非公開コメント受付中)

こんにちは。

ここ数ヶ月ituneサイトとは御無沙汰状態でした。
耳寄りの情報をありがとうございます。

HMVで収録曲を見ました。いろんな作曲家の様々な作品が幅広く聞けるのが魅力ですね。気に入った作品があると、そこからいろいろと広がっていきそうな気がします。
20世紀のクラシックは面白いですね
よんちゃん様、こんにちは。

私はituneは試聴ファイルを探すのに良く使うのですが、これはたまたまwebニュースで記事を読んで知ったアルバムです。

20世紀のクラシックの入り口としては、コンピレーションなので間口が広くてとっつきやすいアルバムです。いわゆる「現代音楽」に限って言えば、古典的なものが多いので、かなり物足りないところがありますが...。

コンテンポラリーは知れば知るほど面白い世界です。100曲もあれば、相性の良い作曲家もみつかると思います。
yoshimiさん、こんにちわ

現代音楽ですか、私は美しい旋律の曲が好きなのですが、現代音楽においては、そのようなことはほとんどないので、滅多に聴きません。

という事で、家にあるLPやCD等のリストをチェックしましたが、第二次世界大戦後に作曲されたもので、いわゆる現代音楽に属するもの(ショスタコービッチ、ストラビンスキー等を除く)としては以下がありました。

(1)グレッキ:交響曲第3番、(2)一柳彗:星の輪、ほか、(3)柴田南雄:カドリール、ほか、(4)小川寛興:日本の城、(5)武満徹:秋庭歌一具、(6)高田三郎:歌唱ミサ、(7)黛敏郎:涅槃交響曲、(8)ペンデレツキ:ルカ受難曲、(9)三善晃:レクイエム、(9)三善晃:ピアノ協奏曲・バイオリン協奏曲、(10)三枝成章:ラジェーション・ミサ、(11)外山雄三:ラプソディ、(12)シチュエドリン:アンナ・カレーニナ

この中では、現代音楽らしからぬ旋律の(1)(4)(6)が好きです。
現代音楽には独特の美しさがあるので
matsumo様、こんにちは。

現代音楽といっても、定義にもよりますし、前衛~調性音楽まで、いろんな形式と作風がありますので、ひとくくりにして言えないところがあります。
特に現代音楽の作曲家は作風が変遷している場合が多いので、探せば現代音楽でも調性音楽的な響きのする美しい曲はいろいろあります。
もっとも、そういう音楽を聴きたいのなら、バロック・古典・ロマン主義時代の音楽を聴けばよいのであって、おっしゃる通り現代音楽をあえて聴く必要はないですね。
現代音楽を聴く人は、伝統的な調性音楽とは異なる現代的なセンス・美しさや、美しさ以外のものを求めて聴いているのだと思いますが、何を音楽に求めるかは人によって違うので、好きなものを聴けばよいと思います。

ちなみに、日本の作曲家なら、吉松隆の曲は美しさでは有名です(聴かれたことがあるかわかりませんが)。他に、矢代秋雄、中田喜直、など。
武満徹も合唱曲は綺麗な曲が多いです。伊福部昭も独特の美的感覚があって私は好きですが、人によって美しさの感覚が違うので...。私は日本人の作曲家はあまり聴いていなかったので、これくらいしか知りません。

外国の作曲家なら、ジョン・ラター、アルヴォ・ペルトの旋律の美しさは有名ですし、ブリテン、ウォーロックなど英国系の音楽は和声が綺麗ですね。ナイマンも聴きやすい方だと思います。
グレツキは「悲歌のシンフォニー」で一時流行りましたね。私はアップショウの録音を持っています。
たとえ不協和音でも独特の美しい響きはしますから、シュニトケ、ラウタヴァーラ、ブロッホ、etc...は曲によっては充分に美しいです。彼らの曲に特有の書法と響きに慣れていないと、そうは思えないでしょうが。

10年以上前に聴いた時は現代音楽は好みに合わないと思いましたが、これは聴くべき作曲家と曲を間違えていたのと、耳が慣れていなかったためです。最近は近・現代音楽には独特の面白さと新鮮さがあるのがわかって、よく聴いています。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。