ヘンデル/シャコンヌ ト長調 HWV.435 

2009, 05. 15 (Fri) 12:00

ヘンデルとバッハの対位法の扱い方の違いをあれこれ調べていて、たまたま見つけたのがヘンデルの「シャコンヌ ト長調 HWV.435」のピアノ編曲版。編曲者はEugene D'Albert。
ヘンデルのピアノ曲と言って思い浮かぶのは、子供の頃にピアノのレッスンで弾いた(ような気がする)「調子のよい鍛冶屋」くらい。
ブラームスのヘンデル・バリエーションの主題は、ヘンデルのクラヴィーア組曲第2巻(HWV434)の第1曲「Air」をもとにしていて、ブラームスの曲はもう何十回となく聴いているが、ヘンデルの原曲自体は聴いたことがない。

ピアノ曲以外でよく聴いた曲なら、歌劇「リナルド」の”わが泣くがままに”。この歌はとても好きで、初めて聴いたのが、ジェシー・ノーマンの『ヨーロピアン・ライブ』というアルバム。
この曲は映画の「カストラート」でも歌われていて、そのシーンがニコニコ動画にアップロードされている。歌の吹き替えは、高音域は女声のソプラノ歌手、低音域は男声のカウンターテナー(デレク・リー・レーギン)で、その2パートを合成したものを使っているそう。
Youtubeならサラ・ブライトマンが歌っている音声が聴ける。(ブライトマンの歌うクラシックは、全然良いとは思わないけれど)

ヘンデルはバッハと同時代に生きた作曲家といっても、オペラ・合唱・声楽曲では高名だけれど、それに比べると、鍵盤楽器の曲は大作は残していないらしい。ピティナのヘンデルに関する解説を読むと、鍵盤曲は公開演奏用ではなく王女の音楽教育に書かれたとあるので、それほど精緻に作ったわけでもなさそうだ。
ピアノ独奏曲の作品リストをみると、ソナタ、組曲などが並んでいるが、やっぱりピアノ練習曲の定番にはなっていない曲ばかりだと思う。録音もハープシコードやチェンバロによる録音が多い。

それでも演奏機会の多い曲というのはあるもので、「シャコンヌ ト長調 HWV.435」もその一つ。[ピティナの楽曲解説]
ピアノ曲の「シャコンヌ」といえば、ブゾーニ編曲のバッハの「シャコンヌ」が有名。
ヘンデルならどういう「シャコンヌ」になるのだろうかと聴いてみたら、バッハとは違った趣きで、開放感のある明るい曲想。
10分ほどの演奏時間で21の変奏から構成されているので、変化があって聴きやすい。
途中で短調の変奏が続くけれど、深刻な悲愴感のないさらりとした哀感が爽やか。
バッハのシャコンヌは緊張感・凝縮力があって気楽に聴けるという曲ではないのに、ヘンデルのシャコンヌは聴いていて楽しくて、とても晴れやかな気分になってくる。


《楽譜》
バッハ=ブゾーニ編曲のシャコンヌは難曲なので弾こうという気にはあまりならないけれど(一応楽譜は見たけれど、やっぱりパス)、ヘンデルのシャコンヌは音を聴いていると結構弾けそうな気がしてくる。
楽譜を確認してみると、音も全然混み込ってなくて、6頁しかない。音を拾うだけなら、初見でもかなり弾けるくらいに弾きやすい。
 楽譜のダウンロード(IMSLP)[原曲版]


《録音》
 「シャコンヌ ト長調 HWV.435」全曲の試聴ファイル:ピアニストの後藤正孝さんが公開している録音があります。音質は良くないけれど、ハープシコードではなくピアノ独奏で聴くことができます。(頁右側にある音源再生の「シャコンヌ」をクリックすると、MP3ファイルを再生/ダウンロードできます。)

CDなら、 アイナル・ステーン=ノックレベルグの『ピアノ・リサイタル』というアルバムに収録されていて、ナクソスのオンラインで聴ける。音質はかなり良くて、とても伸びやかな響きと明るい音色がとても綺麗で、表情も豊かでロマンティックな(と私には思える)演奏。
ituneなら、ピアノ以外にも、ハープシコードやチェンバロ、弦楽&ピアノなどの楽器で演奏したシャコンヌの録音も登録されている。

バロック・古典はベートーヴェンとピアノ演奏のバッハを聴く以外、滅多に聴くことはないけれど、このヘンデルのシャコンヌは一聴しただけで、時々聴きたいと思わせられる掘り出し物の曲だった。

Beethoven: Piano SonatasPiano Recital:BACH, J.S. / HANDEL, G.F. / SCHUBERT, F. / DEBUSSY, C. / RAVEL, M. / MOZART, W.A.
(2006/05/29)
Einar Steen-Nokleberg

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2 Comments

matsumo  

シャコンヌと言えば

シャコンヌば、元々、踊りの曲の筈ですので、多くの曲があると思いますが、やはり、私にとっては、バッハのシャコンヌと、ヴィターリのシャコンヌ、そして、ブラームスの交響曲第4番・第4楽章のシャコンヌで、残念ながら、ヘンデルのは聴いたことがないと思います。

「カストラート」はDVDで観ましたが、実に気持ち悪かったです。この映画では、ヘンデルも出てきましたね。

2009/05/16 (Sat) 19:43 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

やはりバッハのシャコンヌが一番有名かと

matsumo様、こんばんは。

やはりシャコンヌで有名なのは、バッハのヴァイオリン曲ですね。私はブゾーニ編曲のピアノ独奏版の方をもっぱら聴いています。これはもうバッハの曲ではなくブゾーニの曲としか言えませんが..。

ヴィターリは小品集で聴いたことがあるはずなんですが、もともとヴァイオリン曲はあまり聴かない方なので、記憶が定かではなくて...。
ブラームスの第4楽章はいつ聴いても良いですね。私はチェリビダッケで聴く事が多いです。

「カストラート」はずっと昔に見た覚えがあるのですが、オペラは全く聴かないこともあって、ベートーヴェンの映画よりは印象にあまり残っていません。それでも、歌の方は良かったと思います。
この頃には、カウンターテノールのCDをいろいろ集めました。マイケル・チャンスが歌うマタイ受難曲(ガーディナー指揮)のアリアがとても美しくて、この曲だけ何度も聴いたものです。

2009/05/16 (Sat) 20:06 | EDIT | REPLY |   

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