*All archives*



アラウ ~ ショパン/バラード第1番
1年に1回くらいはたまにショパンを聴きたくなるときがある。そういう時は、ほとんど誰も率先しては薦めないに違いないアラウのショパンを聴いている。

そもそもショパンはほとんど聴かないので、好きなピアニストのCDを買っていたら、結局、ショパンの録音はアラウとポリーニ、キーシンで埋まってしまった。キーシンはともかく、かなり偏った好みだと我ながら思う。
この中で、良く聴くのはなぜかアラウ。ピアノ・ソナタはアラウは録音を残していないので、ポリーニで聴く事が多いけれど、一番ショパンらしいと思えるキーシンの録音はほとんど聴いていない。
ショパンらしいショパンの演奏は苦手なものがあるので、アラウのリズムの重いゆったりとしたテンポのワルツや、柔らかい響きとさりげない表現がシンプルな夜想曲には、独特の味わいがある。
アラウのショパンは、万人向けの演奏ではないので、この世界に共感できる人にしか向いていない。もし、共感できたのなら、とても幸せな時間が過ごせるのは間違いないでしょう。


私がアラウのショパン録音のなかで特に好きなのは、ピアノ協奏曲とこのバラード第1番。
ピアノ協奏曲は、インバル指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とのスタジオ録音クレンペラー指揮ケルン放送交響楽団とのライブ録音があって、巷で聴くタイプの演奏とは趣きが違うのは確か。
スタジオ録音の方はゆっくりとしたテンポで歌うような旋律の流れが美しく、一方、ライブ録音の方はドイツロマン派的な重厚かつダイナミックな演奏だけど、ピアノがとっても良く歌ってます。
流麗・華麗・センチメンタルなショパンとは違ったものをたまに聴きたい人には、とってもお薦め。聴きたがる人がそう多いとは思いませんが。

                               

バラード第1番を初めて聴いたのが、アラウの演奏。アラウが70歳を超えた時に録音したので、ところどころちょっと危なっかしいんだけれど、不思議と気にならない。
この演奏ばかり聴いていたものだから、他の演奏を聴くと装飾過剰に聴こえてくるので困ってしまう。おかげで、有名なツィメルマンの録音(あちこちで賞賛されてますが)には全然魅かれなかった。この頃はまだツィメルマンの音楽が好きだったので、何でも喜んで聴いていたんだけど。
アラウのショパン”らしくない”世界の方が自分にはぴったりと来るのが良くわかってしまった。

アラウの弾くバラードは、それほどルバートをきかせてなく、表現もあっさり。一音一音丁寧に弾いていて、技巧的な華やかさは感じさせない。音色や響きのバリエーションにこだわるようなタッチではなく、ショパンらしい流麗さや感傷性は希薄。
そのかわり、暖かみのある音色と柔らかく深い響きに包まれていて、とてもシンプルな音楽。なぜか懐かしささえ感じてくる。柔らかく淡い陽だまりのなかにいて、遠い過去を回想しているような....とでも言えばよいのでしょうか。
久しぶりに聴いたけれど、やっぱりこのアラウのバラードの世界の心地よさは、言葉では表現しがたいものがあります。


別れの曲~ショパン/ピアノ名曲集別れの曲~ショパン/ピアノ名曲集
(1997/10/08)
コチシュ、マガロフ、アラウ 

商品詳細を見る

アラウのバラード第1番を聴いたのは、このディスク。
PHILIPSのピアニストが弾いているので、ショパンで定評のあるマガロフ、ワルツのコチシュ、アラウというかなりユニークなコンピレーション。どちらかというと、やはりルービンシュタインやツィメルマンなど、ショパンで定評のあるピアニストで聴くのがよろしいかと。
それに廃盤になっているようなので、USED品しか入手できないでしょうし。

アラウのショパンを少し聴いてみたいのなら、幻想即興曲、プレリュード、ノクターン、スケルツォ第2番など6曲が収録されているので、良いかもしれません。
70歳~80歳の頃に録音しているので、技術的に完璧なものでは全然ないけれど、ショパンにしてはとてもシンプルで素朴さを感じさせる演奏で、柔らかな優しい響きが美しい親密な雰囲気の世界に浸れます。

アラウのバラード集のCDもあるけれど、すでに廃盤。このCDは持っていないし、アラウのバラードは第1番しか聴いたことがないので、他の曲についてはよくわかりません。
でも、だいたいの予想はつくので、聴いてしまうと気に入ってしまうのは間違いない。

ショパン:バラード第1番~4番ショパン:バラード第1番~4番
(2001/08/29)
アラウ(クラウディオ)

試聴する

tag : アラウ ショパン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

ショパンは滅多に聴かないのですが
yoshimiさん、こんにちわ

私もショパンの曲は滅多に聴かないのですが、バラード第1番と言うことで、家にあるコルトーが1929年に録音したCDを聴いてみました。

なるほど、中々、よい曲ですね。また、この時代のコルトーはいいですね。第1番もテンポを動かしていますが、それが決まっています。

あ、アラウの録音は多分、1枚も持っていないと思います。と言うのは、確か、氏はチリ生まれのピアニストと言うことで、本場生まれではないので、全く聴いたことがないにもかかわらず、敬遠しているからです(ドイツで勉強したことは知っていますが。これが日本人でしたら、応援と言う意味もあって聴くのですが)。あ、南米出身のピアニストでは、ウルグアイ生まれのポリー・フェルマンは好きです。ただし、9枚以上出ている氏のCDは中南米の音楽ばかりで、いわゆるクラシック音楽のは無いようですが。

バラードは第1番が一番有名ではないかと思います
matsump様、こんにちは。

バラードは4曲あるのですが、第1番が一番好きで、これはショパンにしては何十回と聴いている曲です。コルトー、ルービンシュタインとも聴いたことはないんですが、間違いなくショパンらしい良い演奏ではないかと思います。

アラウは子供の時から、リストの高弟クラウゼに7年間ほど師事していて、ピアノ以外にも、ヨーロッパ的な教養をつけるための教育を受けています。渡欧以来、チリにはほとんど帰国していないので、ドイツ文化の影響の方が強いと思います。
ドイツ人はバックボーンとしてドイツ的音楽の伝統を吸収しているので、それをベースに発展していくけれど、アラウの場合はその伝統をダイレクトに吸収したので、純化されたドイツ的な演奏になるのだと、どこかの評論で書いてました。シュナーベル的という人もいますし、多分古き良きドイツ的伝統の薫りがするのかもしれません。少なくとも、アラウの演奏からラテン系ピアニストらしき雰囲気や特徴は見つからないと思います。
南米出身の特徴をあえて探すとすれば、明るい色調のポジティブな方向性の音楽を作るというか、そういう曲想の曲に良い演奏が多いと個人的には思いますが、これはどちらかというと、性格的な適性の方が強いでしょう。

フェルマンは名前を聞いたことがありません。クラシック以外の分野は、ジャズを除いて守備範囲ではないので...。それにラテン系の音楽はかなり苦手なので、ヴィラ=ロボスやモンポウ以外はほとんど聴いていないですね。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。