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ヤナーチェクの作品 (2) ピアノ独奏曲、室内楽曲
 ピアノ独奏曲:ピアノ・ソナタ『1905年10月1日街頭にて』(1905)、霧の中で(1912)、ピアノ小品集『草かげの小径にて(第1集)(第2集)』(1901 - 1911)
ヤナーチェクのピアノ曲・室内楽曲は小規模ではあるけれど、いずれも強い個性が感じられる曲。
伝統的な西欧の音楽とはちょっと違った雰囲気はするけれど、叙情的でメロディアスな作風なので、ヤナーチェクの作品の中では一番親しみやすいと思う。

ピアノ独奏曲なら、「ピアノ・ソナタ『1905年10月1日街頭にて』」は構成的にかっちりしていて、論文的。散文的な小品集の「霧の中で」「草陰の小径にて」も、曲想が異なる独創的な曲が多くて、ピアノの響きを生かした美しさがある。
ピアノ独奏曲の録音は、チェコ人のピアニストならベテランのフィルクスニー。それにこだわらなければ、アンスネスの録音も良いと思う。
フィルクスニーは柔らかさがあってしっとりとした情感と懐の深さを感じさせるし、若い頃に録音したアンスネスの方は硬質で透明感のある叙情感が美しい。
昔はアンスネスの演奏が好きだったけれど、今はフィルクスニーの演奏の味わい深さが良く思えてきた。

[ピアノ曲について書いた昔の記事はこちら]

Janacek: Piano SonataJanacek: Piano Sonata
(2000/09/15)
Andsnes

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ヤナーチェク:ピアノ曲集ヤナーチェク:ピアノ曲集
(2008/05/21)
フィルクスニー(ルドルフ)

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ヴァイオリン・ソナタ(1913 - 1921)
室内楽曲では、ヴァイオリン・ソナタと弦楽四重奏曲が有名だけれど、ピアノが入っているヴァイオリン・ソナタの方が、ピアノ独奏曲と同じくらいに好きな曲。このヴァイオリン・ソナタは、近現代のヴァイオリン・ソナタの中でもかなりの名曲だと個人的には思っている。
ヤナーチェクの演奏なら、まずチェコ人演奏家で聴くのが良い気がするし、スークのヴァイオリンが好きなので、ヴァイオリン・ソナタはスーク&パネンカ、またはスーク&フィルクスニーの演奏で。

これはスーク&パネンカ盤。1960年代のモノラル録音。後年のステレオ録音と違って、スークのヴァイオリンはとても抒情表現が濃厚なタッチの弾き方で、力強いけれど叙情感が強くて、この曲に良く合っている。録音が良くないせいか、ピアノの音がやや小さく不鮮明なので、余計にヴァイオリンの演奏が鮮やか。4楽章ともヤナーチェクらしい抒情的な旋律と雰囲気がいっぱい。色彩豊かな絵を音で聴いているような感じがする。
このアルバムは、ドビュッシーやプーランク、それに戦前のプラハの作曲家ヤロスラフ・イェジェクのヴァイオリン・ソナタがカップリングされている。
スークがフランス近現代ものやイェジェクを弾いている録音は多くはなさそうなので、結構珍しいアルバムかもしれない。スークのベルクのヴァイオリン協奏曲は評価が高いし、ラヴェルやバルトークの録音もあるので、思っていたよりもいろんな曲を録音していました。

Violin SonatasViolin Sonatas
(2001/10/22)
Jan Panenka, Josef Suk

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がヤナーチェク)



これは1992年に初めてスークとフィルスクニーが共演したライブ録音。
曲目は、ドヴォルザークのソナチネ ト長調、ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第10番。
これは未聴。試聴した限りでは、ホールの残響が残っていてピアノがやや不鮮明。フィルクスニーが80歳と高齢なので、ピアノにやや不安定さを感じるけれど、チェコの代表的なヴァイオリニストとピアニストの初のライブなので、聴いて損はないでしょう。2人の音楽のつくり方(と年齢)から考えると、それほど白熱感はないけれど落ち着いた格調高い演奏になっている気がします。

「フィルクシュニー&スーク、プラハの春1992年ライヴ」  (SONATINA / SONATAS)「フィルクシュニー&スーク、プラハの春1992年ライヴ」 (SONATINA / SONATAS)
(2005/11/04)
Josef Suk, Rudolf Firkusny

試聴する(米国amazonサイト)


このライブはDVDでもリリースされてます。Youtubeで、フィルクスニー&スークの演奏映像がDVDのプロモーション用映像として公開されています。
スークの深く落ち着いたヴァイオリンの響きも、フィルクスニーの上品で澄んだ綺麗なピアノの響きのも、どちらも本当に良いものです。この映像を見てしまうと、DVDとCDで全曲聴きたくなってしまう。
演奏している曲は、Dvorak: Sonatina for Violin and Piano ("Indian Lament"), B. 183 (Op. 100) Second movement - Larghetto。

ヴァイオリン・ソナタ集(ブラームス、ベートーヴェン、ヤナーチェク、ドヴォルザーク) スーク(vn)フィルクシュニー(p) ヴァイオリン・ソナタ集(ブラームス、ベートーヴェン、ヤナーチェク、ドヴォルザーク) スーク(vn)フィルクシュニー(p)
2007年05月18日
Josef Suk, Rudolf Firkusny




iJockeyからitune専用盤として、「ヨゼフ・スーク/ヴァイオリン・ソナタ集」(スーク編、ドヴォルザーク編、ヤナーチェク編、スメタナ編)がリリースされている。ヤナーチェク編は1曲(4楽章)で600円でダウンロードできる。iJockeyサイトからitune storeへリンクしている。
おそらくハーラの伴奏で録音したステレオ録音の音源だと思う。ヴァイオリン・ピアノとも音はとてもクリアで、ピアノがかなり力強く聴こえる。ヤナーチェクだけ聴きたいのなら、この音源で良い気がする。モノラル録音よりも濃厚な表現が薄くなっているせいか、すっきりと洗練された感じのする演奏になっている。


ysuku004.jpg


弦楽四重奏曲第1番『クロイツェル・ソナタ』(1923)、第2番『ないしょの手紙』(1928)
この2曲は、バルトークやショスタコーヴィチに並んで、20世紀の弦楽四重奏曲の傑作といわれる(らしい)。弦楽だけの室内楽曲はほとんど聴かないので良くはわからない。
第1番は、タイトルから察せられるとおり、トルストイの『クロイツェル・ソナタ』に触発された曲。
第2番の『ないしょの手紙』、ヤナーチェクが親しい友人カミラに送った手紙のこと。
ヤナーチェクの結婚生活にはいろいろと問題があったせいか、一種の内面的な告白だとも言われるせいか、とにかく感情の起伏が激しくて、弦が激しくかき鳴らすフレーズがあちこちで登場する。

弦楽四重奏曲はスメタナ弦楽四重奏団のライブ録音がおすすめ。
といっても、私は聴いていないけれど、チェコ有数のSQでこれが4度目の録音。1980年度アカデミー賞ディスクなので、そんなにはずれることはないでしょう。

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」&第2番「内緒の手紙」ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」&第2番「内緒の手紙」
(2006/03/23)
スメタナ弦楽四重奏団

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10年以上前に買ったアルバン・ベルク弦楽四重奏団のスタジオ録音。アルバンベルクSQはかなりシャープでドラマティックな雰囲気の演奏。残響が長めの音なので、響きは綺麗。
コクがあるというか味わい深い雰囲気がするのは、試聴してみた限りではやっぱりスメタナSQのような感じがするが、感情的な激しさはアルバンベルクSQの方が強い表現になっているように思う。

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番≪クロイツェル・ソナタ≫、第2番≪内緒の手紙≫ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番≪クロイツェル・ソナタ≫、第2番≪内緒の手紙≫
(2009/01/21)
アルバンベルク四重奏団

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 チェロとピアノのための『おとぎ話』(1910/1923 改訂)
ロシアの作家ヴァシーリー・ジュコーフスキーの妖精物語をイメージした曲といわれる。たしかに、おとぎ話のようにメルヘンチックな雰囲気はあるけれど、ヤナーチェクらしく起伏の激しさもある曲。
録音が多くないので、ずっと昔に買ったイッサーリスとムストネンという、なかなか個性的な組み合わせのCDしか持っていない。
ムストネンの弾くピアノは、音色・響きが多彩で、歌い回しが表情豊か。ピアノがかなり目立っているけれど、ヤナーチェクの複雑に移り変わる詩情をうまく表現している。さすがに知的な解釈で定評のあるムストネンらしい、センスの良い演奏です。
チェロについては、あまり聴かない楽器なのでよくはわからない。旋律の厚みが薄いので、ピアノよりもおとなしく聴こえる。冒頭のチェロをつまはじくような音は不思議な感覚がする。

このアルバムの特徴は、初稿版と改訂版の2種類の演奏が収録されていて、聴き比べできるところ。トラックをプログラミングして聴けば、5楽章構成版としても聴ける。
それに、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ第4番とプロコフィエフのチェロ・ソナタがカップリングされていて、これが2曲ともかなり面白く、選曲がとても良いアルバム。
叙情的なショスタコーヴィチと、軽妙なプロコフィエフという、性格の違った作風が良くわかります。こっちはヤナーチェクに比べて、ピアノが目立ちすぎることもなくて、チェロ・ソナタらしい良いバランス。

Janacek/Shostakovich/Prokofiev: Works For Cello & PianoJanacek/Shostakovich/Prokofiev: Works For Cello & Piano
(1996/04/16)
Isserlis / Mustonen

試聴する(HMVサイト)

他には、フィルクスニーとシュタルケルの録音などいくつかはあるようなので、お好みの演奏家で。

<関連記事>
「ヤナーチェクの作品 (1) グラゴル・ミサ、弦楽合奏曲」
「ヤナーチェクの作品 (3) 映画 『存在の耐えられない軽さ』、クンデラ 『裏切られた遺言』 

tag : ヤナーチェク アンスネス フィルクスニー イッサーリス ムストネン スーク パネンカ

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ヤネーチェックですか
yoshimiさん、こんにちわ

ヤナーチェックですか、ううん、ドイツものが好きな私はあまり聴かない作曲家の1人です。そこで、リストを調べてみると、シンフォニエッタ、ずる賢い雌狐、タラス・フリーバ、弦楽四重奏曲第1番 がありましたので、スメタナSQの「引退コンサート」の実況録画LDを聴いてみましたが、部分的には中々と言う所もありましたが、全体的には私の趣味には合いませんでした。その後、LDに入っていた「スメタナ:弦楽四重奏曲第1番」も聴きましたが、こちらの方が私の趣味にあっていました。

やはり、ヤナーチェックって、私にとっては「シンフォニエッタ」の冒頭部分のファンファーレが一番です。
ヤナーチェクは独特の雰囲気がありますから
matsumo様、こんにちは。

ヤナーチェクは独特の旋律やリズムですから、好みが分かれますね。
ファンファーレの部分がOKなら、「グラゴル・ミサ」の冒頭の2つの楽章は、管楽器・打楽器が目立って祝祭のようで、とても迫力があります。
何か機会があれば、お聴きになってみても良いかと思います。
私はあの響きが昔は苦手でしたが、最近再び聴くと結構面白く思えてきました。

ヤナーチェクはオペラが一番良いらしいのですが、あいにくと私はオペラは全くダメなので、オペラ以外を聴いています。
合わないものはムリして聴かなくても良いと思っていますし、合わないものを聴いてもその良さはわからないですね。
年齢とともに好みも変わっていくので(最近それを強く感じてしまいます)、その時々の好みにあった曲を聴くようにしています。

私は逆に、スメタナ、それに、ドヴォルザークはあまり聴かないのです。
ドヴォルザークの方は、ピアノ入り室内楽曲は良さそうな感じなので、スークの録音を最近手に入れたところです。昔はあまり室内楽曲は聴かなかったのですが、最近はピアノが入ったものなら、いろいろ聴くようになりました。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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