ストラヴィンスキー/イタリア組曲(ヴァイオリンとピアノ用編曲版) 

2009, 07. 29 (Wed) 12:00

このところ結構緊張感のある現代ものばかり聴いているような気がするので、こういう時は軽やかで明るい曲で気分転換したくなる。真っ先に思い浮かぶのは、古典ものならモーツァルトのピアノ協奏曲第23番。現代ものなら、新古典主義時代のストラヴィンスキーの『プルチネルラ』。

ストラヴィンスキーの新古典主義時代の代表作であるバレエ音楽『プルチネルラ』をヴァイオリンとピアノのために編曲したのが『イタリア組曲』(1933)。
『プルチネルラ』を初めて聴いた時は、どこかで聴いたことがあったけれど、バロックあたりだと思っていたはずなので、これがストラヴィンスキーの曲だったとわかり意外な気がした。『イタリア組曲』はヴァイオリンを弾く人は良く知っている曲らしい。
ストラヴィンスキーを評価する人は、初期の原始主義時代の作品(春の祭典とか)をあげることが多いようで、ストラヴィンスキーの擁護者である作家のミラン・クンデラは、『裏切られた遺言』でこの新古典主義時代の作品の方を評価していた。
アンセルメは、音楽と感情の繋がりが不可分だと思っていたので、ストラヴィンスキーの新古典主義時代の曲は、素材を音楽それ自体にしか求めていないと批判していた、とクンデラは言っていた。

新古典主義時代のピアノ曲では、『イ調のセレナード』『ピアノ・ソナタ』、『カプリッチョ』(これは管弦楽&ピアノ)が代表作。

このところ多少はヴァイオリンの曲を聴くようになったので、良く考えてみると、独奏ピアノ&独奏ヴァイオリン(またはビオラ、チェロ)というフォーマットは、ピアノと弦楽器のソロが1つの演奏で聴けてしまうのだから、結構贅沢なフォーマットだと思う。
ヴァイオリニストの個性のある音色と弾き方は、独奏か、協奏曲のソロで聴かないとよくわからない。
ヴァイオリニスト2人がデュオしている映像を見ていると、ヴァイオリン・ソナタのピアノパートをヴァイオリンが弾いているように、伴奏&ソロ、ソロ&ソロという役割になっているので、とても面白い。
ピアノ三重奏曲になると、ピアノ・ヴァイオリン・チェロの伴奏と独奏が詰め込まれているので、ややソロ部分のウェートが低くはなるけれど、このフォーマットが一番贅沢かもしれない。


NMLで見つけたムローヴァとカペックのリサイタルのライブ録音。
ムローヴァはメンデルゾーンの協奏曲のCDだけ持っているけれど、優雅な感じがして私の好みではなくて、それ以来聴いていない。(最近は随分、演奏スタイルを変えているらしい。)
『イタリア組曲』は典雅な曲だから、ムローヴァのようなタイプが良い気がする。
カペックは以前は姉妹でよく連弾していたはず。たしか、ず~っと昔、お酒の会社のテレビCMに出ていて人気が出たような記憶がある。

『イタリア組曲』は6曲構成。
 Ⅰ Introduzione
 Ⅱ Serenata
 Ⅲ Tarantella
 Ⅳ Gavotte con due variazioni
 V Scherzino
 Ⅵ Minuetto - Finale

第1曲イントロダクションは、どこかで聴いたことがある人は多いはず。私でも知っていたくらいだから、かなり有名な旋律なのは間違いない。
普通はオーケストラで聴くけれど、ピアノとヴァイオリンだと雰囲気が違って、かなり透明感がある。
第2曲もどこかで聴いた気はするような旋律。
バロック(古典)調だけれど、現代的な和声やリズムが使われているという。第2曲以降はそういうところがよくわかる。
バロックや古典主義時代の音楽は、好きな曲や作曲家以外は、すぐに集中力が途切れて飽きてしまうけれど、こういう現代風の曲になると全然飽きずに聴ける。この曲は、聴けば聴くほど良い曲に思えます。

ムローヴァのヴァイオリンは優雅で良いけれど、この曲は管弦楽版の原曲の方が、音の厚みと色彩感があって良いかもしれない。
それでも、ヴァイオリンとピアノの方が旋律はとてもクリアにわかるし、Scherzinoはスピード感も結構あって、この2つの楽器が一緒に鳴っているというのは良いものです。

Viktoria Mullova & Katia Lebeque in RecitalViktoria Mullova & Katia Lebeque in Recital
(2007/01/16)
Maurice Ravel,Igor Stravinsky,Franz Schubert,Clara Schumann

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原曲の『プルチネルラ』の録音はこちら。これはケーゲル指揮ドレスデン・フィルの演奏。レーゼルが弾く『カプリッチョ』と『ペトルーシュカ』も入っている。
指揮者とオケにはさほど強いこだわりがないので、ソリストが誰かで決めてしまう。これはわりと好きなレーゼルが入っているので。
冒頭から典雅な雰囲気のなかにも現代的な響きが聴こえてくる。響きに厚みがあるので、ヴァイオリン&ピアノ編曲版よりも、どういう和声が使われているのかよくわかる。
この曲は、先にオーケストラの原曲版を聴いてから、室内楽編曲版を聴くか、順番はともかく管弦楽版の方は必ず聴いておくに限る。

Stravinsky: Petrushka; PulcinellaStravinsky: Petrushka; Pulcinella
(2000/05/23)
レーゼル/ドレスデン・フィル/ケーゲル

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