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スーク&ルージチコヴァ ~ バッハ/ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ
最近は、このバッハの《ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ》を古楽器で録音するのがトレンドらしく、モダン・ヴァイオリンで録音した新譜が随分少なくなったような気がする。
それでも、往年のヴァイオリニストはモダン・ヴァイオリンで録音しているので、聴くのに困るということはない。この曲だと、調べてみるとグリュミオーやスークあたりの演奏が良いらしく(他にもいろいろあるでしょうが)、聴いたのはスークの演奏で。

スークは、バッハの「ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ」をルージチコヴァのチェンバロ伴奏で、4度録音している。最初の録音だけCD化されておらず、2度目のエラート盤以降の録音はCD化されている。

 1)SUPRAPHON : 1963年6月17~21日録音(Prague)[SUA 50 549~550](LPのみ)
 2)ERATO : 1969年3月5~10日録音(Paris)[WARNER/ELATUS 2564 60498]
 3)DENON : 1986年2月14~16日録音(Prague)[CO1370-71,COCO 70687-88]
 4)Lotus : 1998年5月録音(Prague)[0060-2 131]

※出典:ZUZANA RŮŽIČKOVÁ DISCOGRAPHY

国内で簡単に入手できるDENON盤は残響が短く、音はシャープでクリアだが、ヴァイオリンはやや線の細い硬めの音がする。
そのせいか、強弱のコントラストが強めで、表情づけがとても明瞭な感じがする。(試聴ファイルで聴いただけなので、これはちょっと怪しいところがある)
チェンバロは音量的にも表現的にもかなり存在感を感じる。ルージチコヴァはモダン・チェンバロ(折衷型というのか、改良型というのか)を弾いているらしく、ガチャガチャと金属的な音がして、かなりうるさい。
個人的な好みとしては、こういう種類の音がでるチェンバロはもっと控え目に鳴っていて欲しい。
音色は好みの問題なので、ヴァイオリンの方はともかく、このチェンバロの音がどうにも好きにはなれず、結局この盤は買わず仕舞い。

2度目の録音となるERATO盤は国内盤・輸入盤があるが、国内盤(B15D39185/86)は廃盤。たまにオークションで出ていることがある。
原盤の輸入盤は廃盤になっていたが、ElatusというWARNERの廉価盤レーベルから、デジタルリマスタリングされて、2005年に再リリースされた。
これはCDとダウンロード販売(itune,HMV)で入手できる。(2009/6/28現在)
ただしCDの方は、メーカー在庫切れでHMVでは入荷のめどがたたず、結局、amazonの英国サイトで在庫を持っているベンダーから購入した。

ERATO/Elatus盤が、DENON盤と音質がかなり違うのは、試聴してもすぐわかる。
ERATO/Elatus盤の方が残響が少し長めで、響きにも膨らみと透明感があるし、全体的に音がとてもまろやか。低音には深みがあり、高音になっても柔らかく透明感がある響きなので、個人的にはこの音の方がずっと好み。
チェンバロは、やや後方から聴こえてくるので、音量が少し落ちて、あのガチャガチャとうるさい音がだいぶ控えめ。そのせいで、ヴァイオリンの音が良く聴こえる。チェンバロの音にも多少柔らかさを感じるので、これくらいのバランスの音だとちょうど良い感じ。

録音時、40歳だったスークのヴァイオリンは、DENON盤に比べてややゆったりとした弾き方。
一音一音を丁寧に引き込んでいるようで、表情の彫りが深く柔らかみがあり、情感の濃い表現。
LPに書かれている紹介文によると、”最初の録音(=SUPRAPHON盤のこと)は非常にゆっくりなテンポでスークのヴィブラートが長く伸びた真摯な演奏であったが、リズム感のやや乏しい所があった。2度目は、そのあたりに配慮したのか、テンポを速め、リズム感が出ている”という。
といっても、昨今の古楽演奏などとは全く違う、テンポをゆったりととったロマンティックな演奏。フレージングは長めで旋律を表情豊かな朗々と歌わせ、しっかりとした太く深い響きのヴァイオリンの音色がとても美しい。
ただし、テンポがかなり遅い分、アレグロやヴィバーチェの急速楽章はとても重たくて、躍動感に欠ける。最近の演奏はテンポが結構速いのが多くて、それを聴きなれていると、ヴァイオリンとチェンバロが交互に掛け合っていくようなところになると、なぜかヴァイオリンがチェンバロを待っているように感じてしまう。
それでも、1969年という古い録音で、ちょっと濃厚な感じのするバッハのソナタではあるけれど、ヴァイオリンの音がとても綺麗に聴こえるので、いろいろ探し回ったかいがあって、かなり満足しました。

                                  

DENON盤とERATO/Elatus盤の音源・音質の違いを知ったのは、<僕が聴いた(買った/借りた)CD 解説>というブログ記事を読んだから。
これを読まなければ、DENONとERATO/Elatus盤が同一音源だと思い込んで、すぐに手に入る国内盤を買っていたかも。多少手間はかかっても、CDレビュの事前調査はしておくものだと思う。


これはElatus盤(輸入盤)のCD。
J. S. Bach: Sonatas for Harpsichord and ViolinJ. S. Bach: Sonatas for Harpsichord and Violin
2005年02月19日
Suk(Vn), Ruzickova(Cemb)

試聴ファイル



これはDENON盤。試聴ファイルでElatus盤と比較してみると、音質の違いがわかる。
音質はともかく、演奏スタイルが17年前とは違うような気がするので、この録音もそのうち聴いてみても良いかなという気もする。
バッハ:ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタバッハ:ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ
(2004/03/24)
スーク(ヨゼフ)、ルージチコヴァー(ズザナ)

試聴する

tag : スーク バッハ

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yoshimiさん、こんにちわ

家にある(2)を久しぶりに聴いてみました。あ、こちらは輸入盤ではなく、ERATO原盤のものをBMG Victor Inc.が製造・発売した国内盤の方です。こちらでは、バイオリンとチェンバロの音はほぼ同じような音量に聞こえましたが、バイオリンの音はかなり硬質に感じました。そういえば、チェンバロと異なり、音の強弱ってできないのでしたね。音量を上げるには、弾く鍵盤の数を増やすだけでしたね。

私の場合、バッハの曲って、慣れだと思いますが、ピアノだとかなり違和感を覚えますので、この曲でしたら、やはり、チェンバロの方が好きです。
チェンバロとピアノ
matsumo様、こんにちは。

BMGの国内盤はオークションで出回っていたのですが、AADだったので、新しくADDになっていたElatus盤を買いました。
比較対照と再生機器とリマスタリングと個人の感覚によって、音の聞こえ方が変わると思いますので、音質について確たることはよくわからないとは思うのですが、ネットで試聴しただけでも、Elatus盤はDENON盤よりは膨らみのある伸びやかな音がすると感じました。ステレオで聴くとやっぱり良い音がします。

ピアノの音量は、演奏中にタッチ(打鍵の強さ・速度・角度)を変えれば、1音1音の音量をコントロールできます。弾く鍵盤の数を増やしても、逆にタッチを弱くすれば、音は小さく聴こえます。

鍵盤楽器といっても、チェンバロとピアノは全く別の楽器ですね。
慣れもあるのかもしれませんが、もともとチェンバロの音色よりもピアノの音色がずっと好きなので、表現の幅も広いこともあって、バッハはピアノで聴いてます。
といっても、チェンバロでも好みに合うものはありますので、この曲に関していえば、ムローヴァ/ダントーネ(Onxy盤)かピノック/ポッジャー(Channel盤)は、チェンバロの音も演奏も良いと思いました。(好きなのはピノックの方ですが)
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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