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スーク ~ ドヴォルザーク/ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ
ヨゼフ・スークがドヴォルザークの小品を演奏している珍しいライブ録音が、Music & Artsからリリースされている。
NAXOSでたまたま見つけて聴いてみたら、音がややデッドだし、ジャケットのイラストが楽しそうなM&A盤なので、1950~60年代の古いライブ音源かと思ったら、全然違っていた。

Dvorak Day: Monument Dedication ConcertDvorak Day: Monument Dedication Concert
(2001/10/23)
Steven Richman (指揮), Lincoln Mayorga (Piano), Josef Suk (Violin)

試聴する(NAXOSサイト)


調べてみると、1997年9月13日、ニューヨークのStuyvesant Squareでドヴォルザークの彫像を設置するためのセレモニーが行われた。その一環として行われた演奏会にスークが参加したときのライブ録音。ちゃんと拍手も入ってました。
ドヴォルザークにまつわるセレモニーで演奏する音楽家として、直系のひ孫のスーク以上に相応しい人はいないから、招聘されたのでしょう。

このドヴォルザーク像にまつわる話は、「ニューヨーク音楽情報」に詳しく書かれている。

.......それによると、ドヴォルザークは1892年から1895年の間、アメリカ国立音楽院の学長としてニューヨークで暮らしていて、Stuyvesant Squareと道を隔てたところにあったアパートメントハウスに住んでいた。その間に作曲されたのが、あの有名な交響曲第9番『新世界より』とチェロ協奏曲。このアパートメントハウスは1991年に取り壊されている。
ドヴォルザークの思い出を残すために、ユーゴ系アメリカ人の彫刻家Ivan Mestrovicがドヴォルザーク像を製作。1963年にチェコスロヴァキア大使館よりニューヨーク・フィルハーモニックに送られたが、なぜか一般公開はされずに、Avery Fisher Hallに保管されていた。

そのドヴォルザーク像がようやくStuyvesant Squareの北東エリアに公開展示されることになり、1997年9月13日にそのセレモニーが行われた。
式典の後に、スクエアに隣接するSt. George Churchで、ドヴォルザーク作品のフリー・コンサートが開催された。演奏されたのは『新世界』交響曲など。

スークは、このコンサートのゲストアーティストとして招かれている。
当日演奏したのは、ドヴォルザークのヴァイオリン曲の中でも特に有名な「ヴァイオリン ソナチネ ト長調」と、クライスラー編曲の「ユーモレスク」。
伴奏ももちろんチェコ人のピアニストだろうと思っていたら、米国のピアニスト、リンカン・マヨルガ。ジャズ・クラシック・ポップスなどクロスオーバーな分野で、有名なアーティストの伴奏をつとめてきて、自身のレーベルも設立したという活動的なピアニスト。

この「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ ト長調」は、ドヴォルザークが15歳の娘オティリエと10歳の息子アントニンのために作曲したもので、技術的には易しくて子供にも弾けるらしい。それでも、ヴァイオリン・ソナタよりも人気があって、演奏回数も多い気がする。

スークの弾く「ヴァイオリン・ソナチネ」は、有名なスタジオ録音・ライブ録音があわせて数種類でている。
この曲をスークは、実演、録音合わせて、何百回とは言わず何千回...とまではいかずとも、それに近いくらい頻繁に弾いてきたに違いない。
ドヴォルザークはもっぱら交響曲を聴くだけで、ピアノも室内楽も聴いたことがなかったけれど、スーク/ホレチェクの『ヴァイオリンとピアノのための作品全集』を手に入れてから、かなり気に入って良く聴いている。
室内楽ならピアノ三重奏曲の《ドゥムキー》などが有名なんだろうけど、気軽に聴くには重たい曲なので、ヴァイオリン&ピアノ作品の方がずっと聴きやすい。
ブラームスがそのメロディメーカーぶりを賞賛したドヴォルザークだけあって、「ヴァイオリン・ソナチネ」はメロディがとても綺麗。第1楽章の序盤に出てくる疾走感のある旋律や、第2楽章のしっとりとした叙情的な旋律は、一度聴くと忘れられないくらい印象的。

このライブは、スークが68歳くらいの時の演奏なので、全盛期(60年代後半から70年代くらいだろうか)の42歳で録音したスタジオ録音(1971年)と比べるとかなり落ち着いた雰囲気。
この曲のスークの録音は、定盤はホレチェクがピアノ伴奏をつとめた1971年録音盤。それ以外にも、晩年のフィルクスニーとのプラハ・ライブ、パネンカとハーラが伴奏しているスタジオ録音(廃盤)などいろいろあるので、CDを買うのならこのNYのライブ録音よりも、それらのいずれかから選んだ方が良いでしょう。


                                    

スークの録音したドヴォルザークの室内楽曲アルバム(ヴァイオリンとピアノのための作品集)

 『ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品全集』(ピアノ:ホレチェク)
一番有名な盤。DENONから国内盤がリリースされている。高音部がややキンキンする気はするが、これだけ選曲が充実したアルバムは出ていないし、スークが40歳頃の演奏なので躍動感や力強さが最もよく現れている録音。

ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品全集ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
(2003/03/26)
ヨゼフ・スーク , アルフレート・ホレチェク

試聴する(HMV)



 『スメタナ、ドヴォルザーク、スーク:ヴァイオリン作品集』(ピアノ:ホレチェク、パネンカ)
スークの75歳記念としてリリースされた過去の音源のコンピレーション盤。
ドヴォルザークは、ホレチェク盤から「ヴァイオリン・ソナチネ」と「4つのロマンティックな小品」が収録されている。スプラフォン原盤の音源を使っていると思うので、DENON盤よりも音質が柔らかく響きも膨らみがある感じがする。
カップリングは、スメタナとスーク)(スークの祖父の作曲家の方。同姓同名なのでややこしい)。スークの作品は珍しいので、これにヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタが収録されていれば、チェコの作曲家のヴァイオリン&ピアノ作品のベスト盤になったかもしれない。

Smetana, Dvorák, SukSmetana, Dvorák, Suk
(2004/10/26)
Alfred Holecek (Performer), Jan Panenka (Performer), Josef Suk (violinist)

試聴する(米国amazon)



 『フィルクシュニー&スーク、プラハの春1992年ライヴ』
ドヴォルザークの「ヴァイオリン・ソナチネ」、ヤナーチェク、ブラームス(第3番)、ベートーヴェン(第10番)のヴァイオリン・ソナタという充実した選曲。80歳近くのフィルクスニーと63歳のスークの演奏なので、悠然とした格調のある演奏。DVDも出てます。

「フィルクシュニー&スーク、プラハの春1992年ライヴ」  (SONATINA / SONATAS)「フィルクシュニー&スーク、プラハの春1992年ライヴ」 (SONATINA / SONATAS)
(2005/11/04)
Josef Suk , Rudolf Firkusny

試聴する(米国amazon)



 『ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品集』(ピアノ:ハーラ)(たぶん廃盤)
ホレチェクとの71年録音盤よりも、余分な力の抜けた穏やかなトーン。ハーラのピアノも奥ゆかしくてとても品が良い。ほっこり和やかな気分で聴けます。

ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品集  (Dvorak,A.  Violin Sonata, Romantic Pieces,Sonatina, Nocturne, Ballad/Suk/Hala)ドヴォルザーク:ヴァイオリンとピアノのための作品集 (Dvorak,A. Violin Sonata, Romantic Pieces,Sonatina, Nocturne, Ballad/Suk/Hala)
(2002/02/06)
Josef Suk , Josef Hala

試聴する



 『スーク・プレイズ・ドヴォルザーク、スメタナ、マルティヌー、ヤナーチェク』(ピアノ:ハーラ)(廃盤)

Josef Suk Plays Dvorak, Smetana, Martinu & JanacekJosef Suk Plays Dvorak, Smetana, Martinu & Janacek
(1997/05/20)
Josef Suk , Josef Hala

試聴する(米国amazon)

tag : スーク ドヴォルザーク

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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