スーク ~ スメタナ・ドヴォザーク・スーク/ヴァイオリンとピアノのための作品集 

2009, 07. 18 (Sat) 18:19

ヨゼフ・スークが75歳になるのを記念してリリースされたアルバムは、スメタナ・ドヴォルザーク・スーク(スークの祖父の作曲家の方)のヴァイオリンとピアノのための作品集。これは2004年のリリースなので、スークは今年で80歳になります。
このアルバムは、全て過去にスークが録音した曲の中から、有名な作品を収録したもの。
これにヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタが入っていれば、全く申し分なかったと思うけど、価格が1000円未満という安さなので、内容的にはこれだけでも充分なくらい。

Smetana, Dvorák, SukSmetana, Dvorák, Suk
(2004/10/26)
Josef Suk (Violin), Alfred Holecek (Piano), Jan Panenka (Piano) 

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スメタナ「わが故郷より(ヴァイオリンとピアノのための)」は、交響詩「わが祖国」の第4曲「ボヘミアの森と草原から」の室内楽バージョンのような曲。交響詩の方は壮大な風景をイメージさせるが、「わが故郷より」はチェコの田園風景の美しさやフォークダンスの楽しさなどを謳ったもので、より身近な感じがする。特に第1曲目の冒頭の郷愁を誘うような甘美な旋律がとても綺麗。
1962年録音でピアノはパネンカ。

スークの「バラード」は音楽学院時代、「4つの小品」は20歳代に書いた作品。いずれも演奏機会はそう多くはない作品だけど、若々しい感情に溢れたとてもロマンティックな曲。
バラードはなかなか激情的なところがあって、憂いをおびた主題の旋律がいろいろ展開されていく綺麗な曲。
「4つの小品」は、第1曲と第3曲はバラードと似たような憂愁な雰囲気のある曲。第2曲は速いテンポで”Appasionato”と書かれているように、情熱的な曲想で、4曲中最も好きな曲。第4曲は”Burleska”というとおり、おどけた調子の軽妙な曲。
1966年録音で、こちらもパネンカのピアノ。

ドヴォルザークの「ソナチネ」と「4つのロマンティクな小品」はとても有名。
チェコのヴァイオリニストは小さい時から度々弾いていたに違いないし、リサイタルでも良く弾いているし、アンコールピースでもある。
このCDに収録されているのは、1971年にホレチョクのピアノ伴奏で録音したもの。(後年に、同曲をハーラと再録している。)

私は「ソナチネ」よりも「4つのロマンティクな小品」の方が好きで(ソナチネももちろん良い曲です)、この曲は原曲が2台のヴァイオリンとチェロのための三重奏曲「ミニアチュア」。原曲もとても綺麗な曲で、スークは三重奏曲版も録音している。
第1曲(カヴァティーナ):川がさらさらと流れていくような”トットコトットコ”というピアノ伴奏で(このリズム感と響きが好き)、ゆったりと弾いているヴァイオリンの旋律がとてもメロディアス。
第2曲(カプリッチョ):ヴァイオリンの低音部の響きがとても力強い曲。
第3曲(ロマンス):とても爽やかな冒頭の主題と、ピアノ伴奏のアルペジオが調和してとても綺麗。
第4曲(エレジー、バラード):静かだけれど哀切感がとても強い。あまりに美しすぎるくらい美しい曲。

特に第1、第4曲の旋律がとても美しく一番好きな曲。やはりその美しさのせいか、この2曲だけそれぞれ独立して演奏されることも多いらしい。
この曲集は繰り返し聴いても不思議と飽きない。ブラームスが、ドヴォルザークのメロディメーカーとしての才能を賞賛した理由も、この曲を聴いていると実感してしまう。
ピアノ独奏用の編曲版がないか探してけれど、そもそもピアノ曲が少ない作曲家なので、ドヴォルザークは編曲していなかった。残念。

このアルバムの最後に収録されているのが、ドヴォルザークのスラブ舞曲(第1集)の第2番
元はピアノの4手連弾用の曲なので、スークはドヴォルザーク編曲版で弾いている。ドヴォルザークは、1892年春、アメリカ行きに先立ってボヘミアとモラヴィアで開いた告別演奏会のために、この第2番のヴァイオリン編曲版と、第8番のチェロ編曲版を作曲したという。
管弦楽版は音が多くて重たく感じるけれど(だからあまり聴いていない)、ヴァイオリン&ピアノ版で聴くととても素敵な曲。管弦楽版よりも、響きがすっきりとして軽やかさが出てくるし、特にヴァイオリンの細かな表現や響きの美しさがよく聴き取れるのがとっても良い。

このアルバムに収録している曲は、スークが若い頃(33歳~42歳くらい)に録音しているので、ヴァイオリンの音に力と張りがあり、後年の端正というか落ち着きを感じさせる弾き方ではなくて、感情を織り込んだようなとても叙情性の強い弾き方になっているように感じる。(弾いているのは1722年製アントニオ・ストラディヴァリ)

                                 

スメタナの曲は、原盤が廃盤になっていて、一番簡単に入手できるのがこのCD。日本のitune storeでもダウンロードできるが、録音年とピアノ伴奏者がわからない。
スークの曲は、スーク作品の室内楽曲集(全3巻)がリリースされていて、そちらにも収録されている。これもパネンカのピアノなので、音源は一緒だと思う。

ドヴォルザークの2曲は、すでにDENON盤の「ヴァイオリンとピアノのための作品集」(CREST1000シリーズ)に収録されている。
DENON盤を持っていると重複してしまうことになるとはいえ、この新盤の方が音が良いので、私はこれも買いました。

初めは曲が重複しているので買うべきかどうか考えていたけれど、DENON盤の音質が悪いというレビュを見つけた。DENON盤を持っている私としては、思えず、え~っ!。たしかに音がキーキーするというか、ちょっとささくれた感じがするという気がしてはいた。
試聴してみると、パソコンのスピーカーでも、このスプラフォン盤の方が音が若干良さそうに聴こえる。
CDが届いてからステレオで聴き比べてみると、DENON盤は音自体はシャープで明瞭だけれど、芯はあるけれど外側がかさかさしている感じ(まるでキューティクルがはがれかけた髪のような...)。特に高音は響きが痩せた感じがする。
DENON盤は、エンジニアが独自の機材をチェコのスプラフォン本社へ持ち込んで直接マスターテープをコピーしてリマスタリングしたとブックレットに書いているので、スプラフォン盤とは違う音になっている。
スプラフォン盤は、低音・高音とも音に潤いがあって伸びやかで、ステレオで聴くと違いが良くわかる。

DENON盤は収録曲数が多いところが良くて、この盤でしか聴けない曲もあるので、音質の問題はあってもやっぱり貴重なCD。
スプラフォン関係のDENON盤は、これと同様のケースと、なぜかその逆のケースもあるようなので、スプラフォン盤が出ている曲であれば、両方試聴して比較してから、音質の良いと思った方を買っている。
問題は、スプラフォンの原盤に廃盤が多いこと。どこかでCDを見つけたら、手に入れておくに越したことはありません。

タグ:スーク スメタナ パネンカ

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2 Comments

matsumo  

歳をとりましたねえ!!

yoshimiさん、こんにちわ

スーク、75歳ですか!! ジャケット写真を見ましたが、歳をとりましたねえ!

スークと言えば、私にとっては、バッハのバイオリンソナタ集の清廉でみずみずしい演奏です。と言う訳で、スークの他の作曲家の録音って、聴いたことがないような気がしますが、その内に、他の録音も聴きたくなりました。

2009/07/19 (Sun) 10:27 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

今年で80歳になりますね

matsumo様、こんにちは。

スークの穏やかな笑顔が良いですね~。こういう風に年はとりたいものです。
このアルバムは2004年リリースなので、今年で80歳です。
80歳を記念したドヴォルザーク等の室内楽曲集が出ています。私はオーダーしました。

スークのバッハのソナタ集も今オーダー中です。音が私好みのエラート盤の方にしました。
いつの間にかスークのCDが20枚近く集まってしまって、いま順番に聴いているところです。30~40歳代の録音ですが、どれも良い演奏ですよ。ロマン派の作品が多いですから、バッハよりはずっと叙情性が強いとは思います。

2009/07/19 (Sun) 11:59 | EDIT | REPLY |   

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