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ドヴォザークのピアノ独奏曲 ~ 《 詩的な音画 》、《 8つのユモレスク 》
ドヴォルザークのピアノ曲は、他の分野(管弦楽曲、室内楽曲)に比べて、なぜかあまり知られていない。
ピアノ協奏曲は1曲のみで、チェロ協奏曲やヴァイオリン協奏曲に比べて演奏機会が少ないし、ピアノ連弾のスラブ舞曲集は、管弦楽編曲版の方が有名になってしまった。

ピアノ独奏曲は作品数がわりと多いので、全集をCDで録音すると5枚分。ブラームスのピアノ独奏曲と数としてはさほど変わらない。
でも、ブラームスのピアノ曲が、規模が大きく難度も高いピアノ・ソナタや変奏曲、中期や晩年の小品集とバリエーションが豊富で、頻繁に演奏・録音されているのとは違って、小品中心で実演も録音も少ないのがドヴォルザークのピアノ曲。

さすがにメロディーメーカーだけあって、ドヴァルザークのピアノ独奏曲は、美しくメロディアスな旋律とスラブ風の抒情が豊か。小粒だけれどキラキラときらめきのある小品が多い。
比較的知られている曲は、ユモレスクを収録した《 8つのユモレスク 》と《 詩的な音画 》。
ヴァイオリンで弾かれるユモレスクは、原曲がピアノ独奏曲。それはすっかり忘れられているらしく、てっきり、元々、ヴァイオリンのための曲かと思っていた。

ドヴォルザークのピアノ作品を録音した全集は数少ない。
有名なのはステファン・ヴェセルカ(今はNAXOS盤)か、クヴァピル(Supraphon盤)あたりかな?(ドヴォルザークはあまり聴かないのでよくはわかりません。)
クヴァピルよりもヴェセルカの演奏の方がより感情表現が濃くて、チェコの民族色を感じさせるところがある。
ヴェセルカは、1968年生まれで、チェコ系の両親の元に生まれたノルウェー出身のピアニストで、ヤナーチェクの遠縁にあたる家系らしい。


ピアノ独奏音楽全集ピアノ独奏音楽全集
(2004/08/01)
ステファン・ヴェセルカ

試聴する(HMV)[詩画:DISC3、ユモレスク:DISC4]

NAXOSからは分売盤もリリースされている。


ドヴォルザークのピアノ独奏曲の特徴は、HMVのCD紹介文によると、「主に短い舞曲や情緒的な小品として書かれたものが多く、情熱的なものと親密さ、華麗な賑やかさと抒情性が立ち代り現れる、サロンで弾くよりもコンサートホールでの演奏に適した内容」。

「詩的な音画」(Op.85)
13曲の連作ピアノ曲集で演奏時間は1時間近くかかるという、小品集にしては結構なボリューム。
曲集のタイトルどおり、ポエティックな旋律と美しい和声が散りばめられた色彩感のある曲で、イメージが浮かんでくるような「音画」。
旋律はとてもメロディアスなものが多くて、ピアノのもつ響きの豊かさを引き出したような和声がとても綺麗。
1つの曲の中でも曲想が移り変わっていくので単調さは全くなく、ドヴォルザークのメロディメーカーぶりがじっくり味わえる。

No. 1: On the Road at Night
 -アルペジオがとても美しくて、満点の星空の下で道を歩いているようなポエジー。
No. 2: Toying
 -いろんなリズムと旋律が次から次へと移り変わって、いろんな遊びに夢中になっている子供心溢れたファンタジー。
No. 3: At the Old Castle
 -ややアンニュイな気分とゆったりとした時間の流れを感じさせるがところがあって、途中で一瞬ドラマティックに高揚するのは、古い歴史を重ねた古城の不可思議さのせい?
No. 4: Spring Song
 -春らしい明るさと晴れやかさに溢れた曲。
No. 5: Peasant's Ballad
 -素朴なボヘミア地方の民謡風な曲で、楽しげで、どこかしら、のどか。
No. 6: Reverie
 -弱音で弾かれる哀しさと明るさが交錯する旋律がとても美しい曲。
No. 7: Furiant
 -これも民謡風な曲で力強く動きの目まぐるしい曲。
No. 8: Goblins' Dance
 -舞曲風でユーモア溢れた曲で、とても楽しげ。
No. 9: Serenade
 -コミカル・セレナーデと言われる曲で、穏やかだけど明るく楽しさに満ちた曲。
No. 10: Bacchanal
 -速いテンポの短調の曲。この曲集では珍しく、ドラマティックな激しさと華やかさがある。
No. 11: Tittle-Tattle
 -今までの曲にくらべてややつかみ所のない軽妙さや不可思議さのある曲。
No. 12: At a Hero's Grave
 -追悼の気持ちを込めた厳粛さを感じさせる曲。冒頭は和音・重音主体で重厚さがある。
 -中間部でメロディアスな旋律に変わり、英雄を讃えるかのような高揚感がある。
No. 13: At svata hora
 -スヴァター・ホラ(Svatá Hora=聖なる山)は、17世紀後半の初期チェコ・バロックの至宝で、チェコで最も重要な聖母マリア巡礼地。
 -下降する音のカスケードと聖歌風の旋律が組み合わされた清々しさと神々しさを感じさせる曲。


「8つのユモレスク」(Op.101)
ドヴォルザークの最後の重要なピアノ作品。第7曲があの有名な「ユモレスク」。
曲想は「ユモレスク」のようなAndanteのメルヘンティックな曲が多いけれど、Vivaceで力強い民族色を感じさせる曲、舞曲風の軽快な曲まで、わりとバリエーションがある。
なかでも「ユモレスク」は有名なだけあって、小品ながらもやっぱり名曲。
冒頭の軽やかなリズムから、一転してドラマティックな旋律に変わると、故郷への郷愁を歌った哀愁が漂い、ここが一番美しい。こういう旋律の曲は、ヴァイオリンで弾いた方が叙情感がずっと濃厚な感じがする。


ピアノ独奏版。アントルモンのピアノだと、とても爽やかでほんとにメルヘンの世界みたい。
ドヴォルザークというより、瀟洒なフランス音楽を聴いている気分。
Dvořák - Humoresque Philippe Entremont, Piano



スークのヴァイオリンによる”Humoresque”。ピアノはハーラ。ホレチェクとの旧録音もあり。
ドヴォルザークを聴くときは、なんともいえない独特のコクがあるので、いつもスークのヴァイオリン。
Josef Suk, A. Dvorak Humoresque

tag : ドヴォルザーク スーク

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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