*All archives*



シュニトケ/合奏協奏曲第4番(交響曲第5番)
このところ、バッハばかり聴いていたので、その反動で急に現代ものを聴きたくなる。
久しぶりにシュニトケの合奏協奏曲第4番を聴きなおしたけれど、やっぱり最初に感じたとおり第1楽章が聴いていて楽しい。

合奏協奏曲第4番(交響曲第5番)(1988年)は、コンセルトヘボウ管弦楽団創立100周年記念の委嘱作。
第1楽章とその他の楽章の作風がかなり違っていて、面白い曲だとは思うけれど、コンセルトヘボウの委嘱曲だからというわけでもないだろうが、あまり録音されていない。
どうして交響曲第5番なのに、合奏協奏曲第4番でもあるのかは、聴いてみればすぐに納得。

これは、ネーメ・ヤルヴィ指揮イェテボリ交響楽団による演奏(1989年の録音)。
Schnittke: Symphony No5; PianissimoSchnittke: Symphony No5 ( Concerto grosso No.4); Pianissimo
(1994/09/26)
Neeme Jarvi, Gothenburg Symphony Orchestra

試聴する(NAXOSサイト)


この曲は聴いていて楽しいのが第1楽章。ここだけがコンチェルトグロッソ風で、とても明るく華やか。
続く3つの楽章は本来のシュニトケらしいというか、弦楽の厚みのある響きが重苦しくも美しくもあり、突如管楽器が大音量で鳴るクライマックスと静寂さがドラマティックに交錯する。
第2~第4楽章には、マーラーとショスタコーヴィチのような和声やモチーフが織り込まれていて、まるで2人の作曲家へのオマージュのような曲に思えてくる。
圧巻は、強い緊迫感と推進力で劇的な第3楽章。私は第1楽章が一番好きだけれど、この第3楽章は結構好きな人が多いかも。

第1楽章 Allegro
冒頭はヤナーチェクの管弦楽曲かと思うようなトランペットのファンレーレが鳴るが、違うのはうやや調子ハズレなところ。
トランペットによる提示する冒頭の主題はとても明るく楽しげで、この主題をいろいろな楽器が入れ替わり立ち代り、変奏していく。この主題は第2楽章以降にも変形して織り込まれている。
第1楽章の形式はヴァイオリン、オーボエ、チェンバロとオーケストラによる合奏協奏曲。フーガのように声部がいくつか分かれて、それぞれ違った旋律を弾いているので、同時に違った曲が演奏されているような錯綜したような感じもするのが面白いし、よく聴いてみると、これはこれで対話というか掛け合いをやっているようなもの。
これは調性音楽で言えば、とても華やかな祝祭的な音楽じゃないかと思う。安定した調性がないので、お祭り騒ぎのような賑やかさのようには聴こえないが、これでも充分に祝祭的雰囲気が溢れている。
中間部では、ヴァイオリン・ソロが伴奏をバックにかなり長い間奏を弾いているが、再び主題旋律が登場すると、ラヴェルのボレロのように主題が延々と繰り返されて徐々に盛り上がっていく。
突如金管・打楽器が加わって賑やかになるが、ショスタコーヴィチのレニングラードの第1楽章のように行進曲風に打楽器が威勢良く打ち鳴らされて、第1楽章の締めくくり。
シュニトケの全作品を聴いたわけではないけれど、こんなに陽気で晴れやかなシュニトケの曲はとても珍しくて、複数の声部が錯綜したり対話したりしているのも面白い。

第2楽章以降は、曲想も形式がガラッと変わってくる。
響きが美しくドラマティックなので、聴きにくい曲では全然ないとはいえ、あまり相性が良くないタイプの曲で、こういうタイプの曲想が好きな人以外は、聴いていてかなり疲れるとは思う。

Allegrettoの第2楽章冒頭は、第1楽章の陽気な曲想から一転して、重苦しさがあるが濃密な叙情感も漂っている。徐々にフォルテになり、後半は響きの厚みがある、ちょっとオドロオドロしいところのあるドラマティックな曲想。
マーラーが16歳の時に作曲した「ピアノ四重奏曲」の第2楽章(24小節しか残っていない)の断片がモチーフになっているというとおり、マーラー的な濃密な叙情を感じさせる旋律と和声があちこちで顔を出している。
全体的に弦楽の重厚な響きで構成されているが、時々突発的に管楽器が大音量で鳴る。まるでシュニトケ風のアレンジが施されたマーラーを聴いている気分になってくる。

第3楽章は初めはLentoで、ゆったりと静かに重奏低音のような音が重苦しく続くが、突如、大音量で悲愴感と緊迫感に満ちた旋律がキンキンとなり響き、最後にゴ~ンと破裂するということを何度か繰り返していく。
緩急の曲想が何度も交代してゆくので、とらえどころのないところがある。
第1楽章の主題があちこちで織り込まれているが、第1楽章のような明るさは全くない。
第2楽章はマーラー的だったけれど、この楽章はショスタコーヴィチ風の抑圧された重苦しい叙情感が支配しているような...。時々ショスタコーヴィチの曲のモチーフが断片的に挿入されているように聴こえる。
演奏時間が16分を超え、4楽章中最も長い曲で、とにかく重厚な響きで緊迫感に満ちたとてもヘビーな楽章。

第4楽章Lentoは葬送行進曲のように静かで陰鬱な曲。
弦楽が弾く旋律はキリキリと研ぎ澄まされて悲愴感に満ちている。金管と鐘が加わって盛り上がっていき、また元の静けさに戻る。ドラムは行進曲風で重苦しい。
この楽章もショスタコーヴィチのような雰囲気が漂い、第3楽章のコーダのようにも聴こえる。

tag : シュニトケ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

お久しぶりで
今晩は、うじゃくです。御無沙汰してます。

最近好みがモイセイ・ヴァインベルク(ショスタコーヴィチの弟子に当たる人です)の交響曲第6番という、なかなか安定しない日々が続いております。確かにショスタコの影響をもろに受けた作風で、聴いてて面白いんですよ。曲想が目まぐるしく変わったり少年合唱が入ったり…。

という訳で、今の私はヴァインベルクの影響下にあるため、シュニトケについてのコメントが難しい状況です。御免なさい。

お手持ちのCDのピアニッシモという曲はカフカの「流刑地にて」にヒントを得て書かれた曲で、拷問にかけられる様を描写したようです。そう思って聴くと、ちと怖いですね。
《ピアニッシモ》は変わった曲でした
うじゃく様、こんばんは。

ヴァインベルクは名前も初めて聞きますし、当然ながら聴いたこともありません。今度ナクソスで聴いてみます。

《ピアニッシモ》は、おっしゃるとおるカフカにちなんでいて、シュニトケの言葉では、「フランツ・カフカ的構造思想」なるものを体現した曲らしいですね。どういう意味かと思ったら、そういうことだったんですね~。言われてみれば、不気味な雰囲気が漂ってますね。
オケの各セクションを12音階的に融和させた形式らしいですが、かなり前衛的に聴こえたので、いわゆるトーン・クラスターなる手法の実験的な曲なのかと思ってました。

私も今はバッハに凝っていて、このところバッハの曲ばかり聴いています。目下のお気に入りはヴァイオリン・ソナタ全集で、ピアノの独奏曲よりも面白いです。そういえば、シュニトケはバッハを崇拝してましたね。
他にも、バルトーク、マルティヌー、ヒンデミットの未聴CDが山のようにあり、頭の中のモードを切り替えるのが大変です。

また、シュニトケモードにカムバックした時にでも、コメントいただければ良いですし、ROMだけでもかまいませんので、あまりお気になさらず。
もうすぐ都響でこの曲を聴くので、大変参考になりました。
 
蘭子様
コメントありがとうございます。

かなり以前に聴いた曲なので、すっかり忘れていましたが、記事がお役に立ったようで良かったです。

シュニトケの音楽は、いろいろ屈折したところはありますが、現代音楽にしては聴きやすい方だと思います。
ライブでこの曲を演奏するのは、珍しいのではないでしょうか。
ぜひ実演でお楽しみくださいね。
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。