カッチェン《Decca Recodings 1949-1968》より ~ バルトーク/ピアノ協奏曲第3番(1953年モノラル録音) 

2009, 07. 23 (Thu) 18:00

カッチェンはバルトークのピアノ協奏曲第3番を2度録音している。
1953年のモノラル録音は、力感と技巧性が鮮やかな12年後のステレオ録音と比べて、軽やかで清々しさのある爽やかなバルトークになっている。

モノラル録音は、ステレオ録音に比べて演奏時間が2分ほど短く(23分少々)、第1楽章と第2楽章はテンポが速く、逆に第3楽章はテンポが遅め。
第1楽章はステレオ録音盤よりも速いテンポで、シャープで軽やかなタッチ。強弱と緩急のコントラストがやや弱く、細部の表情づけがあっさりしているので、直線的な表現に聴こえるところはあるが、ストレートな爽やかさのあるピアノ。
フォルテの部分は、音質が悪くてかなりこもりがちな音で、力感があまり感じられないのが惜しい。

第2楽章は”Adagio Religioso”。ゆっくりとしたテンポでタッチは軽やか。厳粛な雰囲気は希薄な気がするけれど、なぜか明るい透明感があって、硬質なタッチのシャープで清々しい叙情感が美しい。

第3楽章は”Allegro Vivace”にしては、テンポはちょっと遅め。重音が多い楽章なので、全体的に演奏が重たく感じる。タッチは力強くフォルテの音量も大きいので、力感・量感はあるが、スピード感がさほどないので畳み掛けるような迫力には欠ける。好みとしては、もう少しスピード感と切れの良さが欲しいところ。

カッチェンが27歳くらいの時の録音なので、その若さが清々しく爽やかな演奏につながっている。
これは第1楽章で良い面が出ているけれど、第2楽章はテンポを落としてより沈潜した感じのする後年のステレオ録音の方がはるかに良い。若いときの演奏なので、ややテンポが速く、叙情性はあるけれど、なぜか明るさを感じさせるものがある。
第3楽章はステレオ録音のスピード感と勢いのある演奏を聴き慣れているので、この演奏は力強さを出そうとして切れが悪くなっているように感じる。

音質は1953年のモノラル録音なので、オケが古ぼけた音がする。ピアノはそれに比べると多少はクリアには聴こえるし、慣れてしまえばそれなりには聴ける。
しかし、一度ステレオ録音の方を聴いてしまうと、やっぱりこのモノラル録音盤は音が冴えないし、演奏内容自体もステレオ録音の方が良いので、そちらばかり聴いてしまう。



 ピアノ協奏曲第3番のステレオ録音の記事

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 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ


                                   

DECCAの資料だと、このモノラル録音はすでにパブリックドメイン(PD)になっている。
楽譜の方は、第1~第3番のピアノ協奏曲ともEUと米国ではまだPD化していないので、IMSLPには登録されていない。
IMSLPの注釈によれば、EUなど、著作権存続期間が著作者の死後70年間(以上)の国では、ほとんどの作品がPD化していない。さらに、米国では1923年以後の著作物は著作権で保護されている。カナダなど著作権存続期間が著作者の死後50年間の国ではPD化している。
さらに、バルトークの場合は、著作権に戦時加算とかいう条件が加わることもあるらしく、著作権に関してはいろいろややこしいことが多い。

DECCAのBOXセットである”Julius Katchen: Decca Recordings 1949-1968” に収録されているが、バルトークだけ聴きたいなら次の2種類のCDが出ている。
さらにナクソス盤(バルトーク&プロコフィエフ)もあって、”Decca Recordings”よりも、若干音がクリアに聴こえ、オケの音量の大きい気がする。
ステレオ録音盤が廃盤になっているため、たぶんモノラル録音を聴いている人の方が多いでしょう。もし入手可能なら、ステレオ録音の方を絶対お薦めします。


Bartok: Pno Cto. No 3/Cto for Orch/Dance SteBartok: Pno Cto. No 3/Cto for Orch/Dance Ste
(2009/03/06)
BartokKatchen

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アンセルメ&スイスロマンド管の管弦楽曲がメインのアルバム。シリーズもので、カッチェンが弾くプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を収録したCDが別盤でリリースされている。



Prokofiev: Piano Concerto No. 3; Bartók: Piano Concerto No. 3; Mikrokosmos (excerpts)Prokofiev: Piano Concerto No. 3; Bartók: Piano Concerto No. 3; Mikrokosmos (excerpts)
(2003/07/08)
Julius Katchen, Ernest Ansermet, L'Orchestre de la Suisse Romande

試聴する(米国amazonサイト)
バルトークとプロコフィエフのピアノ協奏曲に加えて、珍しくもカッチェンが弾いているバルトークのピアノ独奏曲「ミクロコスモス」(第6巻より8曲抜粋)が収録されている。これはDECCAからのライセンス盤(らしい)。

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