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マルティヌー/コンチェルト・ダ・カメラ(室内協奏曲)
多作家マルティヌーは協奏曲だけで30曲あまりの作品を残している。
作品リストを調べてみると、そのうちピアノ協奏曲は5曲、ピアノ・ソロの入った管弦楽曲が3曲、ピアノ&他楽器のソロも加えた協奏曲が8曲。
このほかに、交響曲や管弦楽曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲、さらに室内楽曲・器楽曲も多数作曲しているから、旺盛な作曲意欲とエネルギーは凄い。
作品もそれを反映してか、ピアノ協奏曲・合奏協奏曲では、エネルギッシュでドラマティックな作風のものが多い。

《ピアノ協奏曲》
 - ピアノ協奏曲第1番 H.149(1925)
 - ピアノ協奏曲第2番 H.237(1934)
 - ピアノ協奏曲第3番 H.316(1947-48)
 - ピアノ協奏曲第4番 「呪文」 H.358(1955-56)
 - ピアノ協奏曲第5番 「ファンタジー・コンチェルタンテ」H.366(1957-58)

《ピアノ&管弦楽曲》
- コンチェルティーノ(ディヴェルティメント) 左手で弾くピアノと小編成のオーケストラのための H.173(1926)
- コンチェルティーノ H.269(1938)
- シンフォニエッタ・ジョコーザ ピアノと室内楽のための H.282(1940)

《ピアノ&他楽器&管弦楽曲》
- ピアノ・トリオと弦楽オーケストラための協奏曲 H.231(1933)
- ピアノ・トリオと弦楽オーケストラためのコンチェルティーノ H.232(1933)
- 2つのオーケストラとピアノとテェインパニのためのダブル・コンチェルト H.271(1938)
- コンチェルト・ダ・カメラ ピアノと打楽器のあるオーケストラとヴァイオリンのための H.285(1941)
- 2台のピアノと弦楽オーケストラのためのコンチェルト H.292(1943)
- シンフォニア・コンチェルタンテ ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、バス-ン、オーケストラとピアノのための H.322(1949)
- 2本のヴァイオリンとオーケストラのためのコンチェルト H.329(1950)
- ヴァイオリン、ピアノとオーケストラのためのコンチェルト H.342(1953)

このなかで有名なのは、「ダブル・コンチェルト」、「ピアノ協奏曲第4番《呪文》」、「コンチェルト・ダ・カメラ」あたりらしい。
最初に聴いたのは「2つのオーケストラとピアノとティンパニのためのダブル・コンチェルト」。
ピアノ協奏曲の方は全集録音がほとんどなく(スプラフォン盤があるのみ)、フィルクスニーのCDは第2~4番を録音している。

「コンチェルト・ダ・カメラ」は室内協奏曲の意。ヴィヴァルディやオネゲルなどにも同名の曲が残っている。
この曲も録音がとても少なくて、”Martinu: The Complete Music for Violin and Orchestra”という全4巻シリーズの第2巻に収録されている。
2004年の録音で、クリストファー・ホグウッド指揮チェコ・フィル、カレル・コシャーレクのピアノのHyperion盤。itune storeではこの曲だけのダウンロード購入もできる。

Martinu: The Complete Music for Violin and Orchestra, Vol. 2Martinu: The Complete Music for Violin and Orchestra, Vol. 2
(2008/02/12)
マトウシェク(violin), コシャーレク(piano),ホグウッド指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

試聴する(米国amazon)[トラック1~3]


コンチェルト・ダ・カメラ ピアノと打楽器のあるオーケストラとヴァイオリンのための H.285(1941)

「コンチェルト・ダ・カメラ」は、”ピアノと打楽器のあるオーケストラとヴァイオリンのための”と記されているように、ヴァイオリン協奏曲風な曲で、ヴァイオリン・ソロが目立っている。
この曲が作曲されたのは、マルティヌーがナチスのブラックリストに載ったため、パリから米国へ逃れた直後の1941年。欧州でナチスからの逃避行を手助けしてくれた指揮者のザッハーのために作曲したもの。
マルティヌーは、ナチスがチェコに食指を伸ばしつつあった1938年、ダブル・コンチェルトを作曲しているが、それは全楽章に強い不安と緊迫感が満ちていた。
それに比べると、安全な米国へ逃れてフィルクスニーたち友人と再会したせいか、「コンチェルト・ダ・カメラ」も緊迫感にて満ちているが、得たいの知れないものに追いかけられているかのような強い不安感は少し緩んでいる。
第3楽章も終盤になると、明るさの差し込んだポジティブな雰囲気が感じられてきたりする。


第1楽章 Moderato, Poco Allegro
冒頭から不安がひたりよってくるような雰囲気のトゥッティが主題を演奏し、打楽器的に低音を打ち鳴らすピアノが入ってきて、物々しい始まり。この主題が何度も繰り返し変形されて出てくるので、すぐに覚えてしまう。
ヴァイオリン・ソロが主題の旋律を弾き始めて、ピアノがヴァイオリンの伴奏のように入ってくる。ピアノがオケに埋もれることなく、伴奏ではかなり目立っているので、音色と響きの変化があってわりとカラフル。

第2楽章 Adagio
ヴァイオリン・ソロが弾く旋律は叙情的で美しいが暗い翳りがあり、オケとピアノの方はやや不協和的な響きで、音の厚みもあって、じわじわと圧迫感のある陰鬱さが漂う楽章。

第3楽章 Poco Allegro
疾走感のある弦楽とリズム感のある打楽器的なピアノの協奏で初まり、ピアノのグリッサンドが何度か使われていて、とても華やか。シンコペーション的なリズムと舞曲風な旋律が特徴的。
前半はピアノパートが目立っていたが、ヴァイオリン・ソロが登場してからは、オケの一部のようになって伴奏の中に埋もれてしまった。
第3楽章も、第1楽章同様緊迫感が強く、似たような音型とリズムが繰り返し演奏されるが、ときどき調和的なパストラル風(のような)の旋律がちらっと出てきたりする。これが最後のフィナーレでも顔を出してくる。
一度、第3楽章が終ったかのように締めくくられるが、これで終わりではなく、アダージョにかわり、ピアノのシンプルな伴奏で、ヴァイオリンが息の長い旋律を朗々と弾き始めた。
やがて、再び速いテンポに戻って、少し明るい色調のモチーフがリズミカルに演奏されてストンと終る。どうもこれがフィナーレだったらしい。
第3楽章はいろんな曲想が混在していて、冒頭は強い緊迫感があったが、徐々にそれが緩んできて時折安心感をのぞかせ、終盤になるとわりにポジティブな雰囲気が強くなってくる。

ダブル・コンチェルトは緊迫感が強くて終楽章まで一気に聴かせるけれど、やや単調さを感じさせるところがところがある。
それに比べると、「コンチェルト・ダ・カメラ」は各楽章の曲想の違いが強くなって、何度か聴いていると、一見わかりにくい構成の第3楽章が変化に満ちていて、わりと面白く思えてくる。

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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