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マルティヌー/フルート、チェロとピアノのための三重奏曲
休日の朝に聴くのにぴったりなマルティヌーの《フルート、チェロとピアノのための三重奏曲》。
響きが厚く緊迫感のあるダブルコンチェルトや交響曲をいくつか聴いていたので、それとは全く違った
とても明るく軽快でメロディの美しいトリオ。
まるでプーランクあたりの曲ではないかと錯覚するようにお洒落で都会的な雰囲気がある。
”Martinu/Works inspired by Jazz and sport”というアルバムもあったくらいだから、マルティヌーにはカメレオン的な変幻自在さがあるに違いない。

マルティヌーはチェコの作曲家と分類されてはいるが、彼が作曲家として活動をしていた期間は、チェコに住んでいた期間よりも、フランス(にスイス)やアメリカで暮らしていた方が長い。どちらかというとストラヴィンスキーのようにコスモポリタン的な作風なのかもしれない。

この作品は1944年6~7月という戦時中の真っ只中に作曲されているが、同年5~6月にかけて作曲された交響曲第3番(の第1楽章と第2楽章)が重苦しい雰囲気なのとは好対照。
1944年6月6日に連合国のノルマンディー上陸作戦が成功しているから、連合国がこのままドイツに勝てば祖国が解放されて帰国できるかもしれないという期待で心も晴れやかになった(だろうと思う)のが、影響しているのかもしれない。

第1楽章Poco allegrettは、冒頭はそれほど速くはないテンポで、小鳥が合唱しているように、フルートとピアノとチェロがわりと対等に旋律を弾いている。
高音で歌うフルートがとても可愛らしい雰囲気。ピアノは細かいパッセージで軽快に走っていたり、和音でポンポン飛び跳ねたりして、少し茶目っ気がある。チェロはそれに比べて、ちょっと地味。

第2楽章のAdagioは、短調で淡いメランコリーを感じさせる叙情的な曲。
前半はピアノソロが中心でやや重苦しい雰囲気。中盤はフルートとチェロが旋律を歌って、ピアノは背後に回って伴奏中心。この楽章はフルートと協奏するチェロの響きがとてもよく映えている。
途中でクレッシェンドして高揚していくところがいくつかあるが、激情的にはならずに、さらっと元の静けさにもどっていく。

第3楽章はAndante - Allegretto scherzando。静かなフルートの序奏から、テンポの速い明るく軽やかなトリオに。この楽章はとてもピアノが目立っていて、リズミカルで軽やかな和音伴奏や、流麗で華やかな細かいパッセージで躍動感は充分。とても推進力のあるピアノパートになっている。
中間部ではテンポを落として曲想がコロッとかわり、フルートとチェロとピアノがゆっくり対話するように旋律がからんでいって、前半の賑やかさとは打って変わったしとやかさ。終盤は元通り明るく楽しげなトリオに。

マルティヌーは、ピアノ協奏曲・独奏曲以外にも、管弦楽曲や室内楽曲にピアノを使っているものが多くて、ヴァイオリニスト出身なのに、理由はわからないけれど、ピアノを好んでいたようなところがある。
この曲でも、旋律を主に吹くフルートと同じくらいに、ソロや伴奏をしているピアノが目立っている。ピアノパートに集中して聴いていても、旋律と和声が美しく、奏法や緩急がくるくる変化していくので、とても楽しい曲になっている。

Martinu: Trio in F; Nonet No2Martinu: Trio in F; Nonet No2
(1995/11/21)
Sinfonia Lahti Chamber Ensemble

試聴する(米国amazon)[トラック5-7]

tag : マルティヌー

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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