スーク ~ Best of Violin Gems (ヴァイオリン名曲集) 

2009, 10. 18 (Sun) 18:08

ピアノ名曲集という類のCDはほとんど持っていないのに、ヴァイオリン名曲集はいつの間にはいろいろ集まってしまった。
それも日本人ヴァイオリニストのものが多くて、五嶋みどり、前橋汀子、矢部達也、川畠生道など。
オイストラフとかシェリングなどの名曲集は1枚も持っていないのは、CDショップの店頭で最新盤を試聴してみて、衝動買いするというのが、小品集のCDを買うときのパターン。

唯一持っている日本人以外のヴァイオリニストの小品集は、スークの「ベスト・オブ・ヴァイオリン名曲」というアルバム。(ベルのも持っていたが、これは聴かないので処分してしまった。)
1999年~2001年にかけて、チェコのLOTOSレーベルに録音された名曲集のアルバム3点を日本のビクターがライセンス許諾を受けて、1枚の国内盤に編集しなおしたもの。
1994~95年頃にも名曲集のアルバムを3点リリースしていて、これは管弦楽伴奏だった。
このアルバムは、全てヨゼフ・ハーラのピアノ伴奏。ハーラのピアノは、高音が綺麗で奥ゆかしくて、オケ伴奏よりもピアノ伴奏版の方が室内楽的で親密感もあるのでずっと良い感じ。

収録曲は全部で20曲。ヴァイオリンで良く聴く曲もあれば、あまり聴かない珍しい曲もあって、かなりバラエティがある。
定番のヴァイオリン独奏の小品よりも、オケ・オペラ・ピアノなど他の演奏形式の曲をピアノ伴奏付きヴァイオリン独奏に編曲したと思われるものが多い。
編曲者がほとんど書かれていないので、もしかしたら作曲者自身が編曲版を書いていたのだろうか...と不思議に思うところはある。たぶん、昔からアンコールピースで弾かれている曲が多いので、誰かが編曲しているんだろう。

愛の挨拶/夢のあとに ベスト・オブVN名曲愛の挨拶/夢のあとに ベスト・オブVN名曲
(2002/02/21)
ヨゼフ・スーク(Violin), ヨゼフ・ハーラ(Piano)

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国内編集盤、LOTOSレーベルの3枚の原盤ともすでに廃盤。LOTOSのCDは廃盤になるのが早いので、手に入れるのにいつも苦労する。


こういう名曲集の小品は旋律がシンプルで美しいので、ヴァイオリンの音色と響きだけを味わうには、とても良い。
この録音の時はスークが70歳くらいだったはず。昔のようにストレートに情感を込めてというのではなく、肩の力を抜いたような自由さと深い余韻が漂う響きが綺麗。でも、歌いまわしは相変わらずロマンティック。
《夢のあとに》や《オンブラ・マイ・フ》といった歌曲を編曲した曲は、ヴァイオリンが歌うように鳴っていて、響きがとても綺麗で、演奏もとても叙情的。歌手が歌うのを聴くよりも、ヴァイオリンの音で聴く方がどちらかというと好きかも。
ピアノ独奏曲を編曲した曲もいくつか弾いているけれど、こっちはピアノの音に慣れているので、やっぱり原曲の方で聴きたい。

《オンブラ・マイ・フ》は、ソプラノやカウンターテナーで良く聴いていた。ヴァイオリンで弾いたのは初めて聴いたけれど、この曲はどういうフォーマットで聴いても美しい。ヘンデルにしてはかなりロマンティックなタッチのヴァイオリン。
《夢のあとに》は、歌曲はシュトゥッツマンのアルバムで良く聴いていた。何枚か持っているチェロ独奏の名曲集にもよく入っている。たしかピアノソロ用の編曲もあったので、フォーレの歌曲の中でも特に編曲が多い。

アルビノーニの《アダージョ》はオケで聴くとやたら悲愴感が強くてあまり好きではない曲。
ず~っと昔に高級時計のTVCMに使われていたので、この曲を聴くといつもこのCMを思い出してしまう。
スークのヴァイオリンは音色が太くて明るいせいか、悲愴感が強くなくてかなりさらっとしていて、これくらいがちょうど良い感じ。

バッハの《アヴェ・マリア》のピアノ伴奏部分は、平均律クラヴィーア曲集第1巻の一番最初に出てくるプレリュードと同じはず。この平均律のプレリュードは聴くのも弾くのもあまり好きではないので、たいていスキップして聴いている。でも、グノーが旋律をつけたバージョンは好きなので、この曲を聴くときは、ヴァイオリン(たまに歌曲版)で聴いている。

ブラームスの《ワルツ第15番》は、ヴァイオリンの音だとちょっと線が細くてキリキリした感じがする。
このワルツは映画(ゼッフィレリ監督&トーマス・ハウエル主演の『トスカニーニ』)の中で、ハウエルがチェロで弾いていた曲。チェロの響きで弾いたワルツは深みと包容力があって、それ以来、チェロ編曲版のワルツは、原曲と同じくらい(かそれ以上)に好きな曲。

ドヴォルザークの《わが母の教え給ひし歌》《ユモレスク 》《おやすみなさい》の3曲は、お国ものでもあってスークが昔から(たぶん子供の時から)慣れ親しんできた曲。
太く深みのある響きで情感を込めた歌いまわしには、他のヴァイオリニストにはない独特のコクがあって、やっぱりドヴォルザークはスークの演奏が一番しっくりとくる。
この《ユモレスク 》は元々はピアノソロが原曲だけど、今はヴァイオリン編曲版の方がすっかり有名になってしまった。たしかに、ピアノよりもヴァイオリンで弾くほうが、この曲のもつ情感がより強く伝わってくる。

《小舟にて》は連弾用の曲。大学時代の定期演奏会で弾いたことがあるので、よく覚えている。
ヴァイオリンで弾くと、川の上を小舟が揺れながら進んでいるような感じがよく出ている。ピアノだとこういう風には弾けない。

《故郷の人々(スワニー川)》は曲自体も良いけれど、スークの演奏もドヴォルザークを弾いている時のように、郷愁を誘う雰囲気がたっぷり。


《収録曲》
1. 愛の挨拶 (エルガー)
2. 夢のあとに (フォーレ)
3. トロイメライ (シューマン)
4. G線上のアリア (バッハ)
5. アヴェ・マリア (シューベルト)
6. ラルゴ(オンブラ・マイ・フ) (ヘンデル)
7. アダージョ (アルビノーニ)
8. アヴェ・マリア (バッハ)
9. わが母の教え給ひし歌 (ドヴォルザーク)
10. 亜麻色の髪の乙女 (ドビュッシー)
11. ノクターン 第11番 (ショパン)
12. ワルツ 第15番 (ブラームス)
13. メヌエット (ベートーヴェン)
14. ユモレスク (ドヴォルザーク/クライスラー編)
15. ハバネラ (ラヴェル)
16. 小舟にて (ドビュッシー)
17. アンダルーサ (グラナドス)
18. 故郷の人々 (スワニー川)(フォスター/クライスラー編)
19. 子守唄 (フォーレ)
20. おやすみなさい (ドヴォルザーク)

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2 Comments

matsumo  

Yoshimiさん、こんにちわ

第2次世界大戦前のバイオリンのコンサートでは、現在とは異なり、このCDのような小品を集めたものが主流だったそうですね。勿論、バイオリンソナタ等も演奏されたのでしょうが、それは前半に、後半は小曲集だったようです。

それが現在は、前半も後半も長い曲が主流となったのは、LPのせいで、聴衆が長い曲が好みになったためでしょうか。

「小舟にて」は、フルート独奏を入れたオーケストラ編曲の演奏が好きです。

2009/10/18 (Sun) 18:44 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

時代とともにプログラムも変わるのですね

matsumo様、こんにちは。コメントありがとうございます。

戦後は演奏技術と音楽評論のレベルが上がっていますから、小品が多いと演奏者も聴衆も、物足りなく思えてくるのではないかと思います。
LPのせいで、日常的に聴ける音楽の種類が増えましたし、耳が肥えてしまったのでしょう。
演奏解釈云々とか問われだしてくると、やはりヴァイオリンソナタとか、難曲といわれる曲を弾かないと、評価されなくなってきたのかもしれません。

「小舟にて」のオケ版は聴いたことがありますが、色彩感があるので聴きやすいですね。

2009/10/18 (Sun) 19:04 | EDIT | REPLY |   

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