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スティーヴン・ハフ ~ チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番(BBC Proms 2009)
今日の夜聴いたのは、インターネットラジオで配信されていたスティーヴン・ハフが弾くチャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番。
この演奏は、2009年8月8日にロイヤル・アルバートホールで行われたコンサートのライブ録音で、午後9時からMusiq3がストリーミング配信していたもの。毎年恒例の”BBC Proms 2009”の一環で、伴奏はヴァシリー・ペトレンコ指揮英国国立ユース管弦楽団。

この演奏会は"BBC Proms 2009"のウェブサイトでも、8月にライブ中継していたはず。ライブ中継は、その後1週間くらいはネット上でそれを聴けるようになっている。(ハフのライブは8月だったので、今は聴けません)
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00llrks/episodes/player

このプロムスの演奏を前にしたハフのインタビュー記事がTIMES誌のウェブサイトに掲載されている。
”Stephen Hough: a polymath prepares for Prom nights - The pianist talks about rethinking Tchaikovsky and figuring out life as a gay Catholic”


このライブ放送の情報は、海外ウェブラジオで聞けるクラシック音楽ライブ放送のスケジュールをweb上で公開している<おかか since 1968 Ver.2.0>という、全く素晴らしいサイトに載っていた。
ここ1年大量にCDを収集したせいでそろそろ買い飽きてきたし、聴きたい演奏家のCDはなかなかリリースされないので、このところインターネットラジオのライブ放送をチェックして聴いている。
海外のコンサートはそれほどFMで放送されていないし、来日公演は東京中心だし(最近は特に外来アーティストの大阪公演が少なくなった気がする)、CDでは聴けない曲を弾いていることも多くて、このウェブラジオのライブ中継と録音は、音質はさほど良くはないとはいえ、CDを聴くのとは違った楽しみがある。

チャイコフスキーの曲は好きではないので、交響曲はもちろんピアノ・ソロもコンチェルトもまず聴かない。このピアノ協奏曲第1番も、カッチェンの録音は例外として(この弾き方が好きなので)、リファレンス目的以外ではほとんど聴かない曲。でも、ハフは好きなピアニストなので、聴かないわけにはいかない。
ハフのピアノ協奏曲の録音は、メンデルスゾーン、サン=サーンス、シャルヴェンカ、ザウアー、リーバーマンなど、演奏される機会が少ない曲が多い。メジャーなコンチェルトは、ラフマニノフとブラームスくらい。

ハフの弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲は、スピード感・力感と澄んだ叙情感のあるハフらしい演奏。
第1楽章冒頭の序奏から、ピアノがかなり速いテンポであの重たい和音をスラスラ弾いている。
和音の連打やアルペジオが前半は頻出するが、ピアノにスピード感があって音の切れも良く響きもすっきり。ことさらロシア的重厚さを強調する方向とは違い、テンポの速い力感と量感に溢れた現代的なタッチ。
和音とアルベジオの山が終って、中間部で細かいパッセージが出てくるが、これも軽やかでシャープ。叙情的な旋律を弾くと、きりきりっと引き締まったクリスタルのような透明感がある。

チャイコフスキーのコンチェルトって、こんなに爽やかだった?と思うくらいで、グリーグのピアノ協奏曲を聴いているような感じもする。ロシアの土っぽい大地の薫りよりも、北欧の澄み切った空気が流れているような雰囲気。
さすがにライブでこの速さで弾くと、重音とアルペジオだらけなので小さなミスタッチらしきものがあって(音質が悪いせいかも?)、打鍵が極めて正確なハフにしては珍しい。

途中でインターネット回線が混雑したのか、配信が一時的に途切れて、クライマックスの一部が聞けなかったのが残念。インターネットラジオはこういうことが良くある。それにちょっとピアノの音がやや篭もり気味な感じはする。

第2楽章もわりとテンポは速め。ハフの硬質で透明感のある響きで弾くと、とても清々しく、新緑の季節のような明るさがある。
中間部の蝶が舞うような細かいパッセージでは、本当に鮮やかに指がよく回っていて、後半はダイナミックにクレッシェンドして、かなり盛り上がっている。

第3楽章は”Allegro con fuoco”なので元々速く弾く楽章だけれど、ハフは普通弾かれるテンポよりもさらに速い。速くても打鍵がシャープなので、1音1音が明瞭に響く。
疾走感が抜群に良く、ダイナミックで勢いもある。カッチェンの録音も同じタイプの演奏で、時々暴走気味に速くなるところがあるが、ハフはテンポが良くコントロールされているので、そこは安心して聴ける。
ラストへ向かう盛り上がりと最後に弾くピアノのスケールも鮮やかで、白熱感も充分。演奏が終わった途端に会場は一斉に拍手喝采、ブラボーの声が飛び交っていた。

名盤といわれる演奏でも、オケがやたら大音響でピアノがかき消されがちなものもあるが、この英国国立ユース管というオケとピアノの音量的なバランスは丁度良い。ハフもかなり力を込めて弾いているに違いない。
オケもロシア風の重厚で情念漂う演奏ではなく、ハフと同じようにシャープで切れの良い音ですっきりとした響きだけれど、スピード感もあり起伏をダイナミックにつけているので、ピアノと相まって熱気漂う演奏だった。

WEBラジオの放送予定を見ると、ペライア&ハイティンク指揮シカゴ響のモーツァルト/ピアノ協奏曲第24番、アムラン&ヴォルメル指揮アデレード響のベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番、アンスネス&ドゥネーヴ指揮北ドイツ放送響のラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番とか、日本のFM放送では流さないであろうライブ録音が目白押し。
日本とは時差があるので、日本時間で夜~翌日未明くらいの放送時間帯が多い。マメに聴いていると睡眠不足になりそう。

tag : チャイコフスキー スティーヴン・ハフ

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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