バッハ/ヴァイオリンソナタ第6番第3楽章 

2009, 09. 18 (Fri) 18:05

バッハの《ヴァイオリンとチェンバロのための6つのソナタ》のなかで、第6番だけは第3楽章が丸ごとチェンバロの独奏曲として書かれているという珍しい構成。
せっかく、チェンバロの独奏曲が入っているのだから、この曲を自分で弾かないという手はない。

このヴァイオリン・ソナタ全集は、3声をヴァイオリンとチェンバロで弾くという形式なので、チェンバロパートだけ弾いても、緩徐楽章以外(第2楽章と第4楽章)は、かなり完結した曲に聴こえる。
チェンバロパートは、基本的には2声。緩徐楽章になると主旋律をヴァイオリンが弾くことが多いので、チェンバロは伴奏的な動きが多くなり、重音が多用され声部がもっと増えていく。

第6番の第3楽章はチェンバロ独奏として書かれているので、伴奏パートよりも凝っていて独奏曲として完結しているので、やっぱり弾いていても面白い。
基本は2声で時に3声。3声の部分は、上部2声で対話するようになっている。
ポピュラーな鍵盤楽器の独奏曲よりも歌謡性と叙情性が強く、よく弾くフランス組曲よりも音の配置が少し入り組んで変化があるので、この頃はこの曲の方を毎日弾いている。
ピアノで弾くパルティータも横の旋律の流れが美しいが、この第3楽章(というか、このヴァイオリン・ソナタ全体)は、堅苦しさがなく叙情的なものを強く感じさせるので、パルティータよりも気分的にずっとシンクロしやすい気はする。

楽譜はIMSLPからダウンロードできます。
http://imslp.org/wiki/Sonatas_for_Violin_and_Clavier,_BWV_1014-1019_(Bach,_Johann_Sebastian)


この曲のピアノ伴奏なら、ゴルトベルク変奏曲の録音もあるカニーノ。
ムローヴァのPHILIPS盤でピアノ伴奏をしているが、明るく軽やかな音色と強めのタッチで、左手のリズム感も歯切れ良く、生き生きとした躍動感がある。(このCDは廃盤)

Bach. Sonata BWV 1019. Mov.3 Allegro (Bruno Canino, piano)




ツィンマーマンのピアノ伴奏者パーチェの演奏は、ピアノならではのゆるやかな強弱をつけた旋律の流れで、カニーノと違ったしっとりした叙情感がある。

Bach Sonata for Violin & Piano BWV 1019 G major F P Zimmermann, E Pace 3 Piano solo




あまり聴いていないチェンバロ演奏のうち、最近の録音ならムローヴァ(Onyx盤)のダントーネの演奏がチェンバロの音が軽やかで綺麗。装飾音もいろいろ入っているので、キラキラと表情豊か。[試聴ファイル]

Youtubeに登録されているのは、スークのチェンバロ伴奏者だったルージチコヴァーの演奏。スークとはこのヴァイオリン・ソナタ全集を4回録音している。
テンポが遅めで、チェンバロの音が金属的で重たい感じはするが、曲自体が好きなのでどの演奏で聴いてもやっぱり良い曲に思える。[ルージチコヴァーの演奏(Youtube)]

                                

他の楽章で弾きやすいのは、明るく快活な第2番の第4楽章
速いテンポのノンレガートなタッチが良く映える曲。小気味良いリズムで弾けるし、トリル気味の可愛らしい8分音符(後半に出てくる)が面白い。

華やかな第3番の第4楽章。協奏曲的な音の動きが面白い曲で、形式的にも3部(再現部を入れると4部)に分かれていて、曲想が変化していくので、やや長めの曲だけれど単調さがないので、弾きやすい。
チェンバロ伴奏ではなくピアノ伴奏の演奏はそもそも珍しいので、新しい映像でまともに聴ける演奏はツィンマーマン/パーチェのライブ映像くらいしか見当たらない。


第3番の第2楽章は、バッハにしては珍しいくらいにとても可愛らしい旋律の曲。ピアノで弾くときは、ノンレガートで、それもかなりスタッカートに近いタッチで弾かないと、軽やかに可愛らしく聴こえない。

一番人気があるといわれる第4番第4楽章はわりと弾きやすいフーガ。少なくとも第2楽章のフーガほど長くもないし、覚えやすい音の並びなので弾きやすい。
とてもバロックの曲とは思えないような現代風な哀感がある(と感じる)曲なので、フーガを弾くならこの第4楽章が面白い。
グールド&メニューインの放送用映像(Youtube)

最も悲愴感の強い第5番(ツィンマーマンは、この曲集のハイライトと言っていた)は、第2楽章のフーガがかなり弾きやすい。
テンポが速くて、急迫感とやや悲愴感のある曲想。速いテンポで弾くパッセージが細かくて、特に左手の練習には良い。曲も短いし音の動きが似たパターンなので、前半が弾ければ、後半もすぐに弾けるようになる。

このヴァイオリン・ソナタ集のなかでも、特に弾いていて気分的に楽しいのは、第6番第1楽章とフィナーレの第5楽章
第1楽章は最終曲のオープニングに相応しい音が転がるように軽快でキラキラと明るく輝きのある曲。管弦楽曲を室内楽に編曲したような流れるような旋律とリズミカルな伴奏で、ピアノパートだけ弾いていても、まとまった曲に聴こえる。細かいパッセージをノンレガートで弾くと音がとても軽やかで、タッチをいろいろ変えると音がカラフル。

第5楽章は左手で刻むリズムがキビキビと躍動感があり、細かいパッセージが速いテンポで左右の手に交互に現れてきて、フィナーレらしい華やかさ。
快活で明るく、とても生き生きとした雰囲気で、弾いていてもそういう気分になってくる。

タグ:バッハ パーチェ スーク カニーノ ツィンマーマン グールド

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

0 Comments

Leave a comment