アムラン ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番(ライブ中継) 

2009, 09. 12 (Sat) 00:57

7時半からインターネットのABC Classic FMでライブ中継されていたマルク=アンドレ・アムランとアルヴォ・ヴォルメル指揮アデレード交響楽団によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。
(ウェブラジオの放送予定は、<おかか since 1968 Ver.2.0>というサイトに掲載されています)

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、あまり好きではないのでほとんど聴かない曲。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲はほとんど全集単位でCDを買うので、第3番は必ず入っているけれど、第1番と第4番(たまに「皇帝」)ばかり聴いている。
ギレリスとセル&ウィーンフィルのライブ録音が今まで聴いた中で一番この曲らしさが出ていたような記憶があるが、随分昔に聴いたので聴き直せばまた違う印象をもつかもしれないし、もともとこの曲にはあまりこだわりがない。

今日はライブ中継ながら、回線も途切れることなく、音質も非常によくて、ピアノの演奏がとても鮮明に聴こえた。

アムランはメカニックは全く問題なく、どんな曲でもそこは安心して聴ける。
いつもながら硬質のタッチで、シャープでクリアな音色。この前聴いたハフの音と比べると、やや金属的な弾力のある感じのタッチなので、ハフの音の方が好み。

第1楽章は、スタッカート気味に弾いているところがいくつかあって、軽快感はあるが、ちょっとクリスピーな感じがする。
打鍵のコントロールが良いので、響きは多彩でとても綺麗。特にアルペジオの響きが濁りがなくて華麗。
この楽章は少しオドロオドロしいような雰囲気があった気がするが、アムランの演奏にはそういうところは全然なく、響きが美しくスマートな演奏。強弱のコントラストがわりに直線的に明確なので、もやもやしたところがなく明晰。
第2楽章は明るく優しげな雰囲気で弾いている。ここはややストイックな感じの静けさがあったような気がしたが、長い間聴いていないのでその記憶はとても怪しい。
第3楽章は左手で刻むリズムがきびきび。ここはもう少し哀感があっても良い曲だと思ったけれど、アムランは速いテンポとシャープなタッチでスラスラと淀みなく弾いているせいか、わりとあっさりした感じ。

アムランは明るい音色で響きがとても綺麗な弾き方なので、逆に陰翳は薄め。記憶にあった第3番のイメージとはちょっと違って、すっきりと洗練された雰囲気のベートーヴェンだった。

アムランは、興味があるピアニストなので、スクリャービン、カプースチン、アルカンとかいくつか録音は聴いているけれど、いずれも素晴らしい演奏。たぶんベートーヴェンは録音していなかったはず。
今日の演奏を聴いた感じだと、アムランを聴くなら、ベートーヴェンも悪くはないけれど、それよりもショスタコーヴィチのピアノ協奏曲などの現代ものとか、技巧的難易度の高い(ブゾーニのピアノ協奏曲とか)曲の方を聴きたくなる。そういうタイプの曲の方が、アムランの鮮やかなテクニックと現代的にシャープで切れのよい演奏が良く映える。

アムランの録音はかなり多い。メトネルやハイドンまで録音しているようで、レパートリーはレアものがわりと多いけれど、ヴァリエーションはかなり豊富。


色彩感のある響きと情念濃厚なスクリャービンも、アムランの演奏だとかなりすっきりした響きになって聴きやすくなる。(スクリャービンはあまり好きではないので、4番以外はほとんど聴かない)
Scriabin: The Complete Piano SonatasScriabin: The Complete Piano Sonatas
(1996/04/10)
Mark-Andre Hamelin

試聴する(米国amazonサイト)


アルカンはアムランの演奏によって知られるようになった(と思う)作曲家。この協奏曲的なピアノ曲など技巧的難曲の大作があるので有名。古典的な形式だけれど、ほどよいロマンティックさもある。
Alkan: Concerto for solo piano; Troisième recueil de chantsAlkan: Concerto for solo piano; Troisième recueil de chants
(2007/09/11)
Mark-Andre Hamelin

試聴する


これはほとんどジャズといって良いカプースチンの作品集。カプースチンの重戦車のような自作自演盤の弾き方とは違って、アムランの演奏はシャープなタッチと響きの美しさで都会的な雰囲気に仕上がっている。面白いのはカプースチンだけれどかなりハードな響きなので疲れるものがあり、やはりアムランのピアノの方が聴きやすい。
Nikolai Kapustin: Piano MusicNikolai Kapustin: Piano Music
(2004/07/13)
Mark-Andre Hamelin

試聴する


これもブゾーニ作品中、難曲中の難曲で演奏に70~80分近くかかるピアノ協奏曲。弾くのも体力勝負みたいなところがあって疲れるだろうけれど、聴く方もかなりのエネルギーがいる。
Busoni;Piano Concerto Op.39Busoni;Piano Concerto Op.39
(2000/01/31)
Hamelin, Elder / City Of Birmingham.so

試聴する(米国amazonサイト)

タグ:ベートーヴェン アムラン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

2 Comments

matsumo  

Yoshimiさん、こんにちわ。本日(9/12)の都内は朝の天気予報が外れて、非常に暗く、雨が降っていますので出かけられずに、クレメンス・クラウス指揮ウィーンpo.のシュトラウス・ファミリー・コンサートの録音を聴きながら、インターネットしています。

さて、インターネット中継でのライブですか。ううん、時代は変わりましたね。以前はFM放送が実況や実況録音の音源でしたが(それ以前はAM放送で2局を使用したステレオ放送が行われていたそうですし)、FM放送ではあまりクラシック音楽は放送されなくなったようですので(と言っても、長い間、FM放送は聴いていませんが)、それに替わりつつあるものだと思います。雑誌なんかを読むと、ベルリンpo.のコンサートがCD以上の高音質+高画質映像でインターネット中継されているそうですし、また、メトロポリタン歌劇場の上演も中継されているそうですし。

いずれにしろ、今後、10年間位は「キーワードがインターネット」と言う時代が続くのではと思っています。

2009/09/12 (Sat) 10:43 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

本当に便利な時代になりました

matsumo様、こんにちは。

今朝はこちらも雨です。雨の日は出歩けないので、逆に音楽日和りですね。私はヒンデミットの《ルードゥス・トナリス》を聴いてました。

日本のインターネットサイトはさっぱりですが、海外のクラシックFMのウェブサイトはなんて素晴らしいんだろうと実感します。CDの音源ではなく、ライブが聴けるというのが良いところですね。

時差の関係で夕方~未明にかけての放送が多いですが、放送を聞き逃せば、オンデマンドで聴けるサイトもなかにはあります。
好きな演奏家のライブもいろいろ放送されていて、CDでは録音されていない曲も演奏されていることもよくあります。
CDを集めて聴くのとは違った面白さがあって、ウェブラジオ放送はかなり気に入っています。

ベルリンpo.のコンサートのライブ中継は、オンラインチケット(10ユーロくらい)で聴くDigital Concert Hallというサイトのことですね。私は聴いたことはありませんが、ベルリンフィルが好きな人なら聴きたいと思うでしょうね。
ベルリンフィルのコンサートなら、映像なしで音声だけで良いのなら、webラジオでもライブ中継しています。

2009/09/12 (Sat) 11:12 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment