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ツィンマーマン ~ ヒンデミット/ヴァイオリン協奏曲
昨日は夜中にF.P.ツィンマーマンが弾いたヒンデミットのヴァイオリン協奏曲を聴いていた。
これは、パーヴォ・ヤルヴィ指揮hr交響楽団と行った数日前のライブ録音で、真夜中にウェブラジオが放送していたもの。
ツィンマーマンはヒンデミットの曲はまだ録音していないので、この放送は聴き逃さないようにしていた。
ヒンデミットのヴァイオリン・ソナタも最近レパートリーにしているようなので、コンチェルトとヴァイオリン・ソナタのカップリングで、そのうち録音するのではないかとちょっと期待している。

ヒンデミットのヴァイオリン協奏曲の録音は、マイナーな曲(らしい)なので少ないけれど、録音しているのは、オイストラフ(これは名盤と言われているみたい)、ギトリス、スターン、ジェルトレル、カヴァコスと名の知られたヴァイオリニストが多い。
この曲は指揮者のメンゲルベルクの委嘱作品らしく、初演はメンゲルベルクの指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、独奏はコンマスのフェルディナント・ヘルマンで1940年に行われている。このライブ録音も残っている。

ツィンマーマンの演奏を聴く前に、少し古いけれどギトリスのCDで一応予習はしておいた。
このギトリスのVOX盤は、ベルクとストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲という現代もののカップリングで、それぞれ違った作風の曲なので、通しで聴くと面白い。

Berg Hindemith Stravinsky Violin ConcertiBerg Hindemith Stravinsky Violin Concerti
(2002/06/11)
Ivry Gitlis

試聴する(HMV:試聴ファイル3~5)


第1楽章 Massig bewegte Halbe
ゆったりしたテンポで弾くツィンマーマンの曲線的に滑らかなで柔らかなヴァイオリンの音が美しい。どことなく艶っぽい叙情感がある。
中間部は早いパッセージに変わり、ここは饒舌に歌うヴァイオリン。オケもカラフルで賑やか。
ギトリスの方がより饒舌さがあり、強弱やアクセントも強くつけて、起伏が大きくちょっと尖った感じがする。

いつもピアノが入った曲でヒンデミットを聴いているので、ヴァイオリンの曲と音で聴くと、ヒンデミット独特の和声の響きとか旋律の流れとかが違うように聴こえる。
ヴァイオリンの音色で息の長い旋律で弾かれると、かなり妖艶というかやや濃い情感があるような感じがする。ピアノ曲の場合は叙情性を感じさせるような旋律でも、艶やかさは希薄でそれよりも乾いた叙情感がある。

第2楽章 Langsam
やや妖しげで不安げな雰囲気。ヴァイオリンが高音域で息の長い旋律を延々と弾いている。
第1楽章もわりとヴァイオリンの弾く旋律はフレーズが長かったが、この楽章も時々途切れるところはあるけれど、基本的に長い。
ギトリスの弾き方だと音の線があまり細くなくし表情もはっきりしているので、あまり不安げな感じはしない。ツィンマーマンの演奏はヴァイオリンがずっとか細い響きで張り詰めていて、どことなく不安感が漂っている。
中間部はフォルテになり、オケの勇壮な独奏に変わる。ジャーンと幕が下りた思ったら、元のゆったりしたテンポにもどって、ヴァイオリンがまた高音域でか細い響きで延々と引き続けていく。
この楽章(曲)に限らず、今まで聴いたヒンデミットの曲は、3部構成というか、急-緩-急、緩-急-緩のどちらかのパターンをよく使っているような気がする。

第3楽章  Lebhaft
ここはテンポが速く躍動的でスケルツォのような華やかさ。フーガのようにヴァイオリンとオケが主旋律を交互に弾いていて、追いかけっこをしているように軽妙で面白い。
ツィンマーマンのヴァイオリンがとても軽やか。旋律自体はわりと滑らかにスラスラ弾いているが、リズム感の良さとシャープなタッチに加えて、時々つけるアクセントが良くきいている。
中間部はテンポが落ち、最後はオケの総奏で壮大な曲想で締めくくってから、ヴァイオリンのカデンツァ。終盤は最初の主題にもどって、終盤は再び最初の主題にもどり、最後はコーダに入ったように、速いテンポで細かなパッセージをヴァイオリンが引き続けてクライマックス的に盛り上がって、最後はオケと協奏して締めくくり。
現代音楽的に”明るい”タッチの楽章だけれど、プロコフィエフのようなあっけらかんとした諧謔さでも、ショスタコーヴィチのようなシニカルな破天荒さとも違う、やや理屈っぽさのある陽気さ。
現代もののヴァイオリン協奏曲の中では、わかりやすい展開だし、旋律も和声も綺麗で、地味といえば地味な気もしないではないけれど、あまり演奏されないのは残念。

この曲は、ヒンデミットが書いた3つのピアノ協奏曲に比べてかなり響きが薄めの感じ。ヴァイオリンが線的に弾く旋律が多くて、オケも部分的には総奏になるが、どちらかというと単独か複数の楽器で演奏するところが多いような気がする。
このライブ録音のオケはかなりパワフルでリズム感も良く、フーガでヴァイオリンと掛け合うところは面白かった。
ツィンマーマンのヴァイオリンは、いつもながら引き締まったシャープな切れの良さと、叙情的な旋律の滑らかな歌いまわし、それにストラディヴァリウスの音色がとても品良く綺麗だった。シマノフスキのヴァイオリン協奏曲と同様、ツィンマーマンの現代ものはかなり良いと思う。

ツィンマーマンは、アンコールでパガニーニ作の《英国国歌による変奏曲》(抜粋)を弾いている。
この曲、いつも聴衆に受けが良いらしい。この前見たDVDでもコンチェルトの後のアンコールでこれを弾いていた。
DVDとこのライブ録音では、弾いている変奏が違うのじゃないかと思う。この曲は複数の変奏曲で構成されているので、アンコールごとに、変奏をいろいろ組み合わせて弾いているらしい。最後にピッツィカートでおどけた調子で終ると、聴衆が笑いと一緒に拍手するのは、DVDと一緒。

tag : ツィンマーマン ヒンデミット

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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